説明

音声発音型電動紙芝居

【課題】 スイッチボタンの操作により順次絵が変わると共に絵の情景にあわせたストーリーの音声が流れる玩具では面白みに欠け、直ぐに飽きる欠点があったため、絵と文字を合わせて描かれた表示を有し、この文字の朗読を聞かせることにより楽しく文字の学習もできる電動紙芝居とする。
【解決手段】 本発明は、装置本体10とカセット体100とし、カセット体100にはロールに巻き取られた帯布に物語の場面とストーリーの文字とが描かれ、且つ、表示枠の位置を示すマーカー147が各表示枠に応じて設けられ、装置本体10は、センサーによりマーカー147を検出して順次帯布を送る制御と共に各表示枠に描いた文字を朗読する発音を行なう制御手段を有する電動紙芝居とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物語などのお話の場面を描いた絵を順送りして見せる電動式の紙芝居に関するものです。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体のボタンスイッチを操作することにより、絵を描いたロールを所定量だけ送ることにより、物語の場面を描いた絵を順次切り換えると共に、カセットなどに録音された物語の音声がスピーカーから発音される玩具が種々提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】実開昭54−2098号公報
【特許文献2】特開平3−292988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のように、スイッチボタンの操作により順次絵が変わると共に絵の情景にあわせたストーリーの音声が流れる玩具では、面白みに欠け、子供にとっても直ぐに飽きてしまう欠点があった。
本発明は、絵と文字を合わせて描かれた表示を有し、この文字の朗読を聞かせることにより楽しく飽きることの無い文字の学習をさせ、又、子供が自ら遊びに参加することのできる紙芝居玩具を提供するものです。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、装置本体(10)とカセット体(100)とを有し、カセット体(100)にはロールに巻き取られた帯布(141)に物語の場面と物語のストーリーを表す文字とが描かれた表示枠(145)が複数設けられ、帯布(141)には表示枠(145)の位置を示すマーカー(147)が各表示枠(145)に応じて形成されており、カセット体(100)又は装置本体(10)には制御手段(151)を有し、この制御手段(151)は、センサー(45)によりマーカー(147)を検出して表示枠(145)の単位で順次帯布(141)を送る制御と共に各表示枠(145)に描いた文字を朗読する音声データを音声メモリIC(157)から読み出してスピーカー(53)から発音させる電動紙芝居とするものです。
【0005】
尚、制御手段(151)や音声メモリIC(157)はカセット体(100)に内蔵させておき、電源(45)やスイッチ類、スピーカー(53)、及び、カセット体(100)の帯布(141)を送り戻しする駆動モータ(57)を装置本体(10)に内蔵させることが好ましいものです。
【0006】
そして、この装置本体(10)には、スタートスイッチ(25)とリセットスイッチ(22)及び戻しスイッチ(23)の他、複数のエフェクトスイッチ(23,31,32)を設けておき、このエフェクトスイッチ(23,31,32)が操作されたとき、物語の朗読とは異なる効果音などを発音させる制御手段(151)とするものです。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る音声発音型電動紙芝居では、場面の絵を見て物語の朗読を聴くのみでなく、朗読される言葉も表示枠に描かれているため、文字の学習も行なうことが可能であり、飽きの来ない紙芝居を演出することができるものです。
また、制御手段及び音声メモリICをカセット体に内蔵させることにより、カセット体の帯布に描くストーリーに合わせた表示枠の駆動制御及び音声の制御を制御手段に行なわせることを極めて容易に行うことができるものです。
【0008】
そして、効果音を発音させるエフェクトスイッチを有する電動紙芝居の装置本体では、物語の展開途中でスイッチを操作することにより発音をさせることができるため、より一層面白味のある遊びが可能となるものです。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る音声発音型電動紙芝居の最良の形態は、装置本体10とカセット体100とを有し、カセット体100は装置本体10に着脱自在とされると共に、ロールに巻き取られた帯布141を内蔵し、この帯布141に物語の場面と物語のストーリーを表す文字とが描かれた表示枠145の複数個が設けられ、帯布141には表示枠145の位置を示すマーカー147を各表示枠145に応じて形成しているものです。
【0010】
そして、装置本体10は、電源45とするバッテリーと共に帯布141を送り戻しする駆動モータ57や音声を発音するスピーカー53、帯布141に描かれた表示枠145の位置を検出する画面検出センサー45を内蔵すると共に、電源スイッチ21及びスタートスイッチ25やリセットスイッチ22並びに戻しスイッチ23の他、複数の操作スイッチとしての第1エフェクトスイッチ31や第2エフェクトスイッチ32及び第3エフェクトスイッチ33を有するものです。
【0011】
又、カセット体100には、画面検出センサー45によりマーカー147を検出して表示枠145単位で順次帯布141を送る制御を行なうと共に各表示枠145に描いた文字を朗読する音声データを音声メモリIC157から読み出してスピーカー53などから発音する制御をも行ない、且つ、複数のエフェクトスイッチ31,32,33の内の何れかが操作されたとき、物語の朗読とは異なる効果音などを発音させる制御手段151を音声メモリIC157と共に内蔵するものです。
【実施例】
【0012】
本発明にかかる音声発音型電動紙芝居の実施例は、図1に示すように、装置本体10と、この装置本体10のカセット挿入口12に着脱可能とされたカセット体100とにより構成するものであって、挿入口12から装置本体10にカセット体100を挿入したとき、カセット体100の窓部111を透視可能とする表示窓14を装置本体10に有するものです。
【0013】
そして、この装置本体10は、カセット挿入口12と対向する位置に持手部16を有し、持手部16の取付け部分近くには電源スイッチ21と電源スイッチ21がオン状態の表示を行うランプ27を有すると共に、スタートスイッチ25及び絵を1画面だけ戻すための戻しスイッチ23と帯布141をスタート画面位置に戻すリセットスイッチ22とを有するものです。
【0014】
更に、この装置本体10は、スピーカー53を内部に設けた発音穴18や操作スイッチとしての押しボタンスイッチである第1エフェクトスイッチ31、第2エフェクトスイッチ32、第3エフェクトスイッチ33を有し、又、装置本体10の側面にイヤーホーン用のジャック穴29と音量調整用のボリューム47を有するものです。
【0015】
また、このカセット体100は、図2に示すように、前ケース110と後ケース120とで形成し、第1ロール131及び第2ロール132に各々両端を固定した帯布141を収納し、カセット体100の両側にはカセット体100を装置本体10に挿入したときにカセット体100を装置本体10に固定するための係合凹部105を有するものです。
【0016】
そして、カセット体100に収納される帯布141は、長尺の不織布や樹脂シートに複数の表示枠145が印刷されるものであり、図3に示すように、各表示枠145には順次物語の場面を描いた絵と物語の場面に合わせた内容の文章を表す文字とが描かれているものです。
【0017】
又、この表示枠145の下方には、各場面の番号を示すためのマーカー147が描かれており、このマーカー147は、例えば5個以上の黒色マークを所定位置に塗ることにより、停止位置を示すための1個のマークと14画面までの場面番号を少なくとも4個のマークとによるマーカー147とすることができるものです。
【0018】
尚、物語の場面のほか、物語の題名を表示するスタート画面と物語の終了の後の終了画面とを描いた表示枠145も場面を描いた表示枠145の他に帯布141には描いているものです。
また、マーカー147は、スタート画面用の単一のマークとスタート画面以外の画面である表示枠145の位置を示す各々単一の位置マークとすることもあり、黒色のマークにより形成する場合のみでなく、帯布141に小さな透孔を開けることにより形成することもあるものです。
【0019】
更に、この帯布141の両端を固定する第1ロール131及び第2ロール132は、同一太さの円筒状の本体を有し、第1ロール131及び第2ロール132の本体の両端には本体よりも直径を大きくした鍔部137を有するものです。
【0020】
そして、帯布141の幅を第1ロール131や第2ロール132の本体の長さに合わせ、この本体に帯布141を巻き付けるとき、両端の鍔部137により帯布141の両端を揃えるようにして第1ロール131及び第2ロール132に巻き付け、この第1ロール131及び第2ロール132の鍔部137の周縁をカセット体100の前ケース110や後ケース120の端部の形状により回転可能に支持しているものです。
また、第1ロール131及び第2ロール132の下端には、各々中央に多角柱形状の窪みである軸穴135を有するものです。
【0021】
そして、前ケース110は、平板状の前面板に窓部111を有し、この窓部111は透明な合成樹脂で形成するものであり、この窓部111の下方にマーク窓113を開けているものです。また、前面板の両端は円弧状に丸味を持たせて前ケース110に厚みを形成し、上方には前ケース上板115を、下方には前ケース底板117を設けて内側を空洞とするものです。
【0022】
尚、前ケース底板117の両端近くには第1ロール131及び第2ロール132の軸穴135にあわせた半円形の前ケース切欠き119を設けているものです。
また、後ケース120は、後面板の両端を円弧状に丸味を持たせて前ケース110の前面板両端の丸味と合わせてカセット体100の両端を半円筒形状とすると共に、上方には後ケース上板127を、下方には後ケース底板121を設けているものです。
【0023】
更に、後ケースの中央には後ケース上板127から後ケース底板121に至る平板状の押え部129を有し、この押え部129の左右両端は後面板の両端形状である円弧形状に合わせた円弧状として後ケース120の両端部に半円形の溝を形成しているものです。
【0024】
そして、この半円形とした溝の半径は第1ロール131や第2ロール132の鍔部137の半径と略一致させているものであり、この溝部に各々第1ロール131と第2ロール132を収納して第1ロール131及び第2ロール132を第1ロール131や第2ロール132の回転軸を移動させること無くカセット体100の内部で回転可能に支持しているものです。
【0025】
また、押え部129は、前ケース110の窓部111とした透明板と平板状の押え部129との間に帯布141を移動可能に支持しているものであり、この押え部129と後面板との間の空間に制御回路部150を収納し、この制御回路部150に制御手段151としてのワンチップマイクロコンピュータやROM153及びRAM155更には音声メモリIC157を組み込んでいるものです。
【0026】
この音声メモリIC157には、前記帯布141の表示枠145に書いた文章を朗読した音声データや効果音などのデータを記憶させているものであり、この音声データなどを制御手段151とするマイクロコンピュータにより読み出し、帯布141を表示枠145毎に順次送りつつ音声データに基づいた音声をスピーカー53から発音させるものです。
【0027】
そして、制御手段151に所定の動作をさせるためのスイッチ信号や検出信号をカセット体100に内蔵した制御手段151に伝達し、制御手段151からの音声信号やモータ駆動制御信号を装置本体10のアンプ51やモータドライバー55に出力するためのピンジャックを備えたコネクタ受け部123を後ケース底板121に有しているものです。
【0028】
なお、後ケース底板121の両端近くには、第1ロール131及び第2ロール132の軸穴135にあわせた半円形の後ケース切欠き125を有し、前ケース切欠き119と後ケース切欠き125とを合わせて前ケース110及び後ケース120の底板に後述するドライブ軸69を貫通させるための透孔を形成するものです。
【0029】
また、装置本体10は、内部にスピーカー53や駆動モータ57などを内蔵するものであって、図4に示すように、複数の電池を用いる電源41から電源スイッチ21を介してカセット体100の制御手段151に電力を供給すると共に、装置本体10のアンプ51やモータドライバー55などに電力を供給するものです。
【0030】
この制御手段151とするワンチップマイクロコンピュータには、カセット体100のコネクタ受け部123に挿入されるコネクタ43を介して装置本体10に設けた画面検出センサー45やスタートスイッチ25及びリセットスイッチ22や戻しスイッチ、更に、操作スイッチとする第1エフェクトスイッチ31乃至第3エフェクトスイッチ33が接続されると共に、この制御手段151は、装置本体10に内蔵させたアンプ51を介してスピーカー53やジャック穴29に設けたイヤーホーンジャック38に接続され、モータドライバー55を介して駆動モータ57を制御するものです。
【0031】
なお、制御回路部150はこの制御手段151を有すると共に、音声メモリIC157及び音声メモリIC157からの音声データの読み出しや種々の動作制御に際しての必要な条件データなどを一時的に記憶するRAM155と制御プログラムなどを記憶したROM153を有するものである。
【0032】
又、ランプ27を電源スイッチ21と直列に接続し、電源41からの電力が制御手段151に供給されるとき、このランプ27が点灯して電源がオン状態であることの表示を行えるようにしているものです。
【0033】
そして、駆動モータ57は、図5に示すように、モータ軸にモータカナ59を有し、このモータカナ59と噛み合う減速歯車61を回転軸63に取付けて回転軸63を回転させるものであり、この回転軸63の両端にウォーム65を取付け、このウォーム65と噛み合うウォーム歯車67をドライブ軸69の端部に固定してドライブ軸69を回転させるものです。
【0034】
このドライブ軸69は、カセット挿入口12の奥に取付けられるものであり、第1ロール131や第2ロール132の軸穴135にあわせた多角柱形状とされ、先端を多角錐形状として径を小さくし、カセット体100がカセット挿入口12から挿入されたとき、カセット体100をカセット挿入口12の奥まで押し込むとドライブ軸69が軸穴135へ確実に挿入されるものです。
【0035】
この装置本体10へのカセット体100の挿入は、図6に示すように、カセット体100をカセット挿入口12から挿入したとき、カセット体100の底部が検出ロッド81の先端であるロッド先端82を押し込むようにして所定位置で係止体95の係合爪96がカセット体100の両側に設けられた係合凹部105に係合してカセット体100を装置本体10に固定するものです。
【0036】
このカセット体100の有無を検出する検出ロッド81は、ロッド先端82をカセット挿入口12の空間に突出させた棒状体であって、後端にテーパー部83を有して軸方向である装置本体10の前後方向に移動可能とされているものです。
【0037】
そして、このテーパー部83は、ロックバー85と接触させているものであって、ロックバー85は、円筒状のバー支持部89により上下移動可能に支持され、検出ロッド81のテーパー部83と接する本体から上方に突出する突出上部86を有し、バー支持部89との間に挿入されたスプリング87により常に上方へ付勢され、検出ロッド81が後退したときにスプリング87を圧縮して下方へ僅かに移動するものです。
【0038】
また、この装置本体10に組み込まれる電源スイッチ21は、電気接点を有するスイッチ本体71にスイッチカバー75を被せ、スイッチカバー75の突起部76を装置本体10の表面に露出させて指先で操作できるようにしているものであって、このスイッチカバー75の一部には、突出上部86が嵌合する切欠き部77が設けられているものです。
【0039】
この切欠き部77は、スイッチ本体71をオフ状態とするスイッチカバー75の位置で切欠き部77にロックバー85の突出上部86が挿入する位置に設けられているものであって、このスイッチカバー75には、切欠き部77とは別にロック穴78も設けられているものです。
【0040】
そして、スイッチカバー75の位置として、スイッチ本体71をオン状態とする位置にスイッチカバー75を移動させたとき、このスイッチカバー75位置のロック穴78の位置にロックピン74を挿入可能とするように電磁ロック73を装置本体10の内部に設けているものです。
【0041】
この電磁ロック73は、電磁石を備え、電磁石に通電しないときはロックピン74を弾性体により突出させ、電磁石に通電を行なうとロックピン74を後退させるものであって、ロックピン74の先端又はロック穴78の側方に傾斜部を有し、スイッチカバー75を電源オフの位置から電源オンの位置に移動させるときは傾斜部によりロックピン74を後退させて電源オンの状態にスイッチ本体71をすることができるも、電源オンの位置にスイッチカバー75を位置させてロックピン74がロック穴78に挿入されると、電磁石に通電を行なってロックピン74を後退させない限り、スイッチカバー75をオン状態位置から移動させることができないようにしているものです。
【0042】
従って、この装置本体10に組み込まれた電源スイッチ21は、カセット体100挿入されていないときは、ロックバー85の突出上部86によりスイッチカバー75は電源オフの状態位置に固定され、カセット体100をカセット挿入口12に挿入して所定位置まで押し込んだとき、検出ロッド81が後退してロックバー85を降下させ、ロックバー85の突出上部86がスイッチカバー75の切欠き部77から外れることにより電源スイッチ21をオン状態とすることができるものです。
【0043】
そして、カセット体100を挿入するカセット挿入口12の空間の両側には、係合爪96をカセット挿入口12の空間に突出させる係止体95を設けているものであって、この係止体95は軸を中心に回動可能な棒状体であり、棒状体の先端に設けた係合爪96をカセット挿入口12の空間に突出させるように係止バネ97により付勢されているものです。
【0044】
従って、カセット体100がカセット挿入口12から挿入されたとき、先端に丸味を持たせた係合爪96がカセット体100の底部に接触すると係合爪96を後退させるように係止体95が回動し、カセット体100が所定位置まで押し込まれると係止バネ97により係合爪96を突出させてカセット体100の係合凹部105に係合爪96を係合させ、カセット体100を固定しておくことができるものです。
【0045】
このようにカセット体100を挿入した状態で電源スイッチ21をオン状態としたときは、電磁ロック73のロックピン74がスイッチカバー75のロック穴78に挿入され、電磁ロック73の電磁石に通電したときにのみ電源スイッチ21をオフ状態とすることができるものです。
【0046】
更に、電源スイッチ21のスイッチカバー75には、スイッチカバー75の一端から前方に突出する棒状の第1リンクバーを有しているものであり、この第1リンクバーの側方に第2リンクバー92を有し、第1リンクバーと第2リンクバー92との接触面を傾斜面とすることにより、スイッチカバー75の移動により第1リンクバーが横方向に移動したとき、第2リンクバー92がカセット挿入口12方向である前方に移動可能としているものです。
【0047】
また、この第2リンクバー92の先端を楔形とし、第2リンクバー92が前進すると2本のロックリンクバー93の間に第2リンクバー92が挿入されるようにしているものです。
このロックリンクバー93は、装置本体10におけるカセット挿入口12の空間の左右に設けた各係止体95の各後方端部の間に配置された棒状体であって、左右のロックリンクバー93の間に第2リンクバー92が挿入されたとき、左右のロックリンクバー93は各々その端部を係止体95の後方端部に接触させ、係止体95の回動を阻止して係止体95の係合爪96を突出させた状態に固定するものです。
【0048】
従って、電源スイッチ21がオン状態とされると、第2リンクバー92が2本のロックリンクバー93の間に押し込まれ、係止体95の係合爪96をカセット体100の係合凹部105に係合させた状態に固定し、カセット体100をカセット挿入口12から抜き出すことができないようにしているものであり、電源スイッチ21がオフ状態とされたときは、第2リンクバー92がロックリンクバー93の間から抜けるため、係止体95は係止バネ97の付勢に抗して回動可能となり、カセット体100を強く引き抜くと係合爪96が係合凹部105から外れてカセット体100を装置本体10から取り出すことができるものです。
【0049】
このように、電源スイッチ21がオン状態とされると装置本体10から抜き取れないようにしたカセット体100に内蔵する制御手段151の制御動作は、先ず、電源が投入されると制御手段151であるマイクロコンピュータの初期設定を行なった後、図7に示すように、挿入されたカセット体100に内蔵する帯布141がスタート画面を表示している所定位置であるか否かをマーカー147により検出する初期画面の判断(S100)を行い、帯布141の表示枠145に描かれた絵の内、タイトルなどの初期画面の絵が表示窓14に表示されていないとき、スタート画面の絵を正しく表示窓14に表示させる画面設定処理(S110)を行なうものです。
【0050】
尚、この画面設定処理(S110)は、駆動モータ57を正転させて帯布141を送り、最初に検出されたマーカー147が初期画面のマーカー147であれば駆動モータ57を停止させ、最初に検出されたマーカー147が初期画面のマーカー147でないときは駆動モータ57を逆転させ、初期画面のマーカー147を検出するまで駆動モータ57の逆転を継続させるものです。
【0051】
そして、初期画面が正しく表示されたとき若しくは正しく表示されているときは、電磁ロック73の電磁石に通電を行う電磁石オンの処理(S112)を行い、物語を始める準備が完了していることを知らせる準備完了音をスピーカー53から発音させる準備完了音の処理(S115)を行なってスタートスイッチ25が操作されるか否かを検出するスタートスイッチオン操作の判断(S120)を行なうものです。
【0052】
このようにして、スタートスイッチオン操作の判断(S120)を繰り返し、スタートスイッチ25が操作されると電磁ロック73の電磁石への通電を停止する電磁石オフの処理(S122)を行なって電源スイッチ21をオフ状態とできないようにした後、音声メモリIC157からRAM153に読み込んだデータに基づき、物語を朗読する音声や効果音をスピーカー53から発音させる音声出力処理(S124)を行うと共に所定時間が経過したか否かの判断である時間経過判断(S126)を行うものです。
【0053】
更に、所定時間が経過すると、モータ制御処理(S130)により駆動モータ57を順回転させ、減速歯車61やウォーム歯車67を介してドライブ軸69を回転させることにより第1ロール131と第2ロール132とを同一方向に同一速度で回転させて帯布141を第1ロール131から第2ロール132に巻き取るようにして表示枠145を移動させるものです。
【0054】
また、モータ制御処理(S126)を行ないつつ画面検出センサー45によりマーカー147の検出を行なう次画面位置検出判断(S132)を行い、マーカー147を検出すると駆動モータ57を停止させるモータ停止処理(S134)を行なうものです。
【0055】
このように、マーカー147位置を検出して駆動モータ57を停止させることにより、常に画面検出センサー45の位置でマーカー147を停止させて帯布141に描いた表示枠145を表示窓14の位置に合わせて確実に停止させることができるものです。
【0056】
そして、帯布141を所定位置で停止させたとき、マーカー147により検出した表示枠145の画面番号により、特定操作音を発音させる画面が表示窓14に表示されているか否かの判断である。特定音発音画面判断(S140)を行い、特定操作音を発音させる画面のときは特定割込み許可処理(S142)を行なってこの表示画面が最終画面か否かの判断である最終画面判断(S144)を行なうものです(図8参照)。
【0057】
この特定音発音画面判断(S140)よって行なう特定割込み許可処理(S142)は、第1エフェクトスイッチ31又は第2エフェクトスイッチ32が操作されたときの信号を割込み信号として制御手段151が受け付けるように設定するものであって、表示枠145に内側に描かれる絵や文字に第1エフェクトスイッチ31又は第2エフェクトスイッチ32の操作を示唆する絵又は文字を加えておき、絵又は文字により指定したエフェクトスイッチが操作されたとき、図7及び図8に示した主制御に対して割込み処理を行い、「ヒュウードロドロドロ」や「良くできましたー」、「アンパーンチ」等の言葉や効果音をスピーカー53から発音させる処理を行うことを可能とするものです。
【0058】
この特定割込み許可処理(S142)を行なった後に、画面検出センサー45で検したマーカー147を解析して最終画面か否かの判断である最終画面判断(S144)を行い、最終画面でないときは音声データによりこの画面にあった朗読の音声や音楽を出力する音声出力処理(S154)を行いつつ、10秒などの所定時間が経過したか否かの判断を行なう時間経過判断(S156)を行うものです。
【0059】
そして、所定時間が経過したときは制御手段151が特別割込み信号を受け付ける状態であるか否かの判断である特別割込み許可状態判断(S162)を行なって特別割込み信号を受け付ける状態のときは第1エフェクトスイッチ31又は第2エフェクトスイッチ32からの割り込み信号を受け付けなくする特別割込み不許可処理(S164)を行なってモータ駆動処理(S130)に戻るものです。
【0060】
このため、モータ駆動処理(S130)を行ないつつ次画面位置検出判断(S132)を行い、次画面が表示されるとモータ停止処理(S134)、特定音発音画面判断(S140)、最終画面判断(S144)、音声出力処理(S154)などを繰り返すものです。
【0061】
また、最終画面判断(S144)により物語の最終場面の画面であることをマーカー147の解析により検出したときは、最終画面にあわせた朗読を行う音声出力処理(S174)を行ないつつ時間経過判断(S176)を行なうものです。
尚、最終画面であるか否かの判断は、スタート画面から順次画面送りした画面数をカウントして行うこともできるものです。
【0062】
また、この最終画面における時間経過判断(S176)は、通常の時間経過判断(S156)における10秒などの所定時間よりも長い15秒などの時間とし、この時間が経過したか否かの判断を行ないつつ通常の時間よりも長い時間を用いてエンディングの盛り上げを行なうものです。
【0063】
そして、制御手段151が特別割込み信号を受け付ける状態であるか否かの判断である特別割込み許可状態判断(S182)を行い、特別割込み信号を受け付ける状態のときは特別割込み信号を受け付けない状態とする特別割込み不許可処理(S184)を行なって巻戻し処理(S190)を行なうものです。
【0064】
この巻戻し処理(S190)は、最終画面での朗読が終了し、所定時間が経過すると、表示枠145を進めて終了の絵を短時間だけ一旦表示し、且つ、その後スタート画面の絵が描かれた最初の表示枠145を表示窓14に表示するように帯布141を巻き戻すものです。
【0065】
この巻戻し処理(S190)においては、画面検出センサー45でマーカー147を確認しつつ駆動モータ57の逆転を行うものであって、画面検出センサー45により読み込んだマーカー147がスタート画面のマーカー147であるか否かの判断である初期画面位置判断(S192)を行ないつつ巻戻し処理(S190)を継続するものです。
【0066】
そして、初期画面位置判断(S192)によりスタート画面のマーカー147を検出すると駆動モータ57の逆転を停止させるモータ停止処理(S194)を行い、電磁ロック73の電磁石に通電を行なう電磁石オンの処理(S196)を行なって電源スイッチ21をオフ状態とする操作を可能とし、スタートスイッチがオン操作されることの検出処理(S120)に戻るものです。
尚、初期画面位置判断(S192)では、単にマーカー147の通過個数をカウントして最初の表示枠145までの巻戻し処理を行うこともあるものです。
【0067】
そして、戻しスイッチ23やリセットスイッチ22が操作されたときは、制御手段151としたマイクロコンピュータでの通常の割り込み処理により処理を行うものであって、図7及び図8に示した主制御を行なっているときに戻しスイッチ23又はリセットスイッチ22が操作されたときは、制御手段151に入力された通常割込み信号により主制御を中断して割込み処理を行うものです。
【0068】
この通常割込み処理は、図9に示すように、戻しスイッチ23からの信号かリセットスイッチ22からの信号かの判断である戻り判断(S200)を行い、戻しスイッチ23からの信号であるときは駆動モータ57を逆転させるモータ逆転処理(S202)を行ないつつ画面検出センサー45によりマーカー147の検出を行なう前画面位置判断(S204)を行い、マーカー147により前画面の位置を検出すると駆動モータ57を停止させるモータ停止処理(S206)を行なうものです。
【0069】
このモータ停止処理(S206)の後、マーカー147により検出した画面番号により、特定操作音を発音させる画面が表示窓14に表示されているか否かの判断である。特定音発音画面判断(S210)を行い、特定操作音を発音させる画面のときは特定割込み許可処理(S212)を行なってこの画面にあった朗読の音声を出力する音声出力処理(S214)を行いつつ、10秒などの所定時間が経過したか否かの判断を行なう時間経過判断(S216)を行なうものです。
【0070】
そして、所定時間が経過すると特別割込み信号を受け付けない状態とする特別割込み不許可処理(S218)を行なって通常割込み信号が再度入力されるか否かの判断である通常再割込み判断(S220)を行ないつつ5分間などの所定時間が経過するか否かの判断である5分経過判断(S230)を行なうものです。
【0071】
そして、通常割込み信号が再度入力されるとこの割込み信号が戻しスイッチ23からの信号かリセットスイッチ22からの信号かの判断である戻り判断(S200)に戻るものであって、5分経過判断(S230)により5分間が経過したときは、割込み処理を終了し、主制御における巻戻し処理(S190)に移行するものです。
【0072】
又、戻しスイッチ23からの信号かリセットスイッチ22からの信号かの判断である戻り判断(S200)によりリセットスイッチ22からの信号であると判断したときも、主制御における巻戻し処理(S190)に移行する処理を行うものです。
【0073】
そして、割り込み処理としては、戻しスイッチ23やリセットスイッチ22からの信号である通常割込み信号と、前述の第1エフェクトスイッチ31及び第2エフェクトスイッチ32からの特別割込み信号のほか、第3エフェクトスイッチ33からの割込み信号も制御手段151に入力するものとしており、第3エフェクトスイッチ33からの割込み信号は、常に割り込み受付状態とされてこの割込み信号が入力されると効果音や特定の言葉の音声をスピーカー53から発音させるものです。
【0074】
従って、第1エフェクトスイッチ31乃至第3エフェクトスイッチ33の何れかが操作されたときは、適宜、音声メモリIC157から読み出した効果音や子供用の流行言葉などを割り込み処理により発音させるものであり、第1エフェクトスイッチ31及び第2エフェクトスイッチ32による音声は特定の画面でのみ発音させることができ、第3エフェクトスイッチ33による音声はどの画面でも第3エフェクトスイッチ33を操作すると発音させることができるものです。
【0075】
そして、この第1エフェクトスイッチ31乃至第3エフェクトスイッチ33に対応する効果音や流行言葉を発音させるに際しては、絵や文字により特定のエフェクトスイッチの操作を指示して画面検出センサー45で読み込んだ画面によっては割り込み処理を許可又は禁止して有効なスイッチと無効とされるスイッチとを設定する場合の他、画面の停止時間に対して朗読を短くしてスイッチ操作を促すようにすることもあるものです。
【0076】
なお、効果音や流行言葉としては、「ガハハハハハハ」や「パンパカパーン」「ヒュードロドロドロ」「アンパーンチ」「良くできましたー」などの言葉や拍手、風の音など種々のものを記録するものです。
この様に、カセット体100に制御手段151を組み込むことにより、画面数の決まったカセット体100の駆動制御をカセット体100に組み込んだ制御手段151で行う故、制御を確実とすることができ、また、マーカー147は表示枠145の位置を示す単純なマーカー147として制御手段151は予め決まった場面数を所定時間毎に送り、音声出力処理において場面にあった朗読の音声出力を行なうようにして次画面位置検出処理などの内容を単純化することもできるものです。
【0077】
このように、表示枠145に物語の場面の絵を描くと共に物語の言葉も書き込み、この書き込んだ言葉を朗読する音声を音声メモリIC157に記憶させて制御手段151と共に音声メモリIC157を組み込んだカセット体100を用い、この音声メモリIC157のデータにより場面に合わせた音声や効果音を発音させるため、単に絵を見て声を聞くのみでなく、絵と絵にあわせた物語の文字を見ながら音声を聞くため、文字の学習も行なえる音声出力型電動紙芝居とすることができるものです。
【0078】
また、イヤーホーンジャック38を備えているため、イヤーホーンにより音声を聞くことができ、イヤーホーンの使用時にはスピーカー53からの発音を停止させるため、屋外や大勢の人のいるところでも楽しめる音声出力型電動紙芝居です。
【0079】
更に、表示窓14に順次物語の絵が切り替わるように表示されると共に、第1エフェクトスイッチ31や第2エフェクトスイッチ32又は第3エフェクトスイッチ33を操作して効果音などの音を発音させることにより、単に受身で物語を聞くのみでなく、物語の間にスイッチ操作で音を発音させてより一層楽しく遊ぶこともできるものです。
【産業上の利用可能性】
【0080】
物語を聞きながら物語の絵を見て楽しむことができると共に、物語の文字を読んで文字の学習も可能な音声出力型の電動紙芝居を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る音声発音型電動紙芝居の外観を示す図。
【図2】本発明に係る音声発音型電動紙芝居のカセット体を示す分解図。
【図3】本発明に係る音声発音型電動紙芝居の帯布を示す図。
【図4】本発明に係る音声発音型電動紙芝居のブロック図。
【図5】本発明に係る音声発音型電動紙芝居の駆動機構を示す図。
【図6】本発明に係る音声発音型電動紙芝居のカセット体の固定構造の要部を示す図。
【図7】本発明に係る音声発音型電動紙芝居の動作の一例の前半を示すフローチャート図。
【図8】本発明に係る音声発音型電動紙芝居の動作の一例の後半を示すフローチャート図。
【図9】本発明に係る音声発音型電動紙芝居の動作の割込み処理の一例を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0082】
10 装置本体
12 カセット挿入口 14 表示窓
16 持手部 18 発音穴
21 電源スイッチ 22 リセットスイッチ
23 戻しスイッチ 25 スタートスイッチ
27 ランプ
29 ジャック穴
31 第1エフェクトスイッチ 32 第2エフェクトスイッチ
33 第3エフェクトスイッチ 38 イヤーホーンジャック
41 電源 43 コネクタ
45 画面検出センサー
51 アンプ 53 スピーカー
55 モータドライバー 57 駆動モータ
59 モータカナ 61 減速歯車
63 回転軸 65 ウォーム
67ウォーム歯車 69 ドライブ軸
71 スイッチ本体
73 電磁ロック 74 ロックピン
75 スイッチカバー 76 突起部
77 切欠き部 78 ロック穴
81 検出ロッド 82 ロッド先端
83 テーパー部
85 ロックバー 86 突出上部
87 スプリング
89 バー支持部
91 第1リンクバー 92 第2リンクバー
93 ロックリンク 95 係止体
96 係合爪
97 係止バネ
100 カセット体 105 係合凹部
110 前ケース 111 窓部
113 マーク窓 115 前ケース上板
117 前ケース底板 119 前ケース切欠き
120 後ケース 121 後ケース底板
123 コネクタ受け部 125 後ケース切欠き
127 後ケース上板 129 押え部
131 第1ロール 132 第2ロール
135 軸穴 137 鍔部
141 帯布
145 表示枠 147 マーカー
150 制御回路部 151 制御手段
153 ROM 155 RAM
157 音声メモリIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体とカセット体とで構成され、カセット体は装置本体に着脱自在とされると共に、ロールに巻き取られた帯布を内蔵し、この帯布に物語の場面と物語のストーリーを表す文字とが描かれた表示枠が複数設けられ、且つ、この帯布には表示枠の位置を示すマーカーが各表示枠に応じて形成されており、カセット体又は装置本体に制御手段を有し、該制御手段は、センサーにより前記マーカーを検出して表示枠単位で順次帯布を送る制御と共に、各表示枠に描いた文字を朗読する音声データを音声メモリICから読み出して発音させることを特徴とする音声発音型電動紙芝居。
【請求項2】
前記制御手段及び音声メモリICがカセット体に内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載した音声発音型電動紙芝居。
【請求項3】
前記装置本体は、スタートスイッチとリセットスイッチ及び戻しスイッチの他、複数のエフェクトスイッチを有し、このエフェクトスイッチが操作されたとき、前記制御手段は物語の朗読とは異なる効果音などを発音させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した音声発音型電動紙芝居。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−209375(P2007−209375A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29205(P2006−29205)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(503468086)有限会社マギーズプランニング (2)
【Fターム(参考)】