説明

音楽再生装置および音楽再生端末

【課題】オーディオファイルの再生を行う場合、1つの高性能なLSIがヘッダ解析からオーディオデータ再生処理までの必要なすべての処理を行うため、処理負荷、消費電力が大きくなり、長時間の音楽再生ができない。
【解決手段】記憶装置30はオーディオファイルの記憶領域とヘッダ解析結果保存部31を有する。第1のLSI10は、ヘッダ情報解析部13により記憶装置30からオーディオファイルAFのヘッダAHを読み出して解析しヘッダ解析結果を記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31に保存した後、省電力状態に移行する。第2のLSI20は、第1のLSI10の省電力状態において、記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31に保存されたヘッダ解析結果に基づいて、記憶装置30に保持されたオーディオデータADを読み出し再生処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッダおよびオーディオデータで構成されるオーディオファイルを再生する
音楽再生装置および音楽再生端末にかかわり、特には、低消費電力を実現し長時間の音楽再生を可能とするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽再生機能をもつ携帯電話や携帯型オーディオプレーヤなどは、パソコン経由でHDDやフラッシュメモリなどの内蔵メモリやSD(Secure Digital)カードなどの外付けメモリカードといった記憶装置にユーザ好みの音楽を保存し、外出先でも手軽に音楽を楽しむことができる。近時は、インターネット回線や携帯電話の通信網を介してコンテンツをダウンロードし、記憶装置に保持して視聴することも可能である。ここで、記憶装置に保持される音楽データは、MP4やASF(AdvancedStreaming Format)といった多重化オーディオファイルで構成されることがある。多重化オーディオファイルは、圧縮されたオーディオデータとオーディオデータの情報・内容の書かれているヘッダで構成される。
【0003】
図18は従来のオーディオファイルを再生する音楽再生装置の一例の構成を示すブロック図である。この音楽再生装置は、1つの高性能なLSI70と記憶装置30とで構成されている。LSI70は、CPU71とヘッダ情報解析部72と記憶装置コントローラ73とオーディオ再生部74で構成されている。記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFは、オーディオデータADと、オーディオデータADの情報が書かれたヘッダAHとで構成される。LSI70は、CPU71が記憶装置30からオーディオファイルAFを読み出し、そのヘッダAHをヘッダ情報解析部72にて解析し、ヘッダ解析結果に従って記憶装置30からオーディオデータADを読み出し、オーディオ再生部74を介してオーディオ再生装置40に送信し、音楽再生を行う。
【0004】
ところで、こういった高性能なLSIは一般的に消費電力が大きく、長時間の音楽再生がむずかしい。そこで、LSIを、記憶装置に保持されたオーディオファイルのヘッダの解析処理を行うLSIと、オーディオデータの解凍・再生処理を行うLSIとに分けることにより、各LSIの処理負荷を低減し、長時間の音楽再生を実現する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図19は特許文献1において、本発明に関係する部分を簡素化して図示したものである。10はCPU11とLSIインタフェース12を備えた第1のLSI、20はDSP(Digital Signal Processor)21a、LSIインタフェース22および記憶装置コントローラ23を備えた第2のLSI、30は記憶装置、80はD/A変換器、40はオーディオ再生装置である。
【0006】
記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFのファイルシステムといった管理情報を第1のLSI10で解析して読出制御情報を生成し、記憶装置30からオーディオデータを読み出し、第2のLSI20のDSP21aに与えることにより、DSP21aはオーディオファイルAFを解凍し、D/A変換器80を介してオーディオ再生装置40に送る。このように構成することにより、CPU11を含む消費電力の大きい第1のLSI10の処理負荷を低減させ、長時間の音楽再生を実現する。
【特許文献1】特開2003−316395号公報(第4−6頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術においては、第2のLSIに設けられたDSPは種々のフォーマットのオーディオファイルのヘッダ解析ができない、これを実現するためには、そのフォーマットのヘッダ解析に対応したDSPを用意する必要がある。
【0008】
また、記憶装置30に保存されたオーディオファイルAFのファイルシステムといった管理情報の解析を第1のLSI10で行うもので、記憶装置30のセクタサイズ分(例えば、512バイト単位)のオーディオファイルを読み出しDSP21aに処理させるごとに、第1のLSI10を起動して次に再生すべきオーディオファイルの管理情報を解析し、記憶装置30からオーディオファイルを読み出しDSP21aに与える必要があり、第1のLSI10の頻繁な起動が要求される。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて創作したものであり、ヘッダ解析用のDSPを不要としながら第1のLSIの頻繁な起動を不要として、オーディオ再生を低消費電力で実現し、長時間の音楽再生可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明による音楽再生装置は、オーディオファイルの記憶領域とヘッダ解析結果保存部を有する記憶装置と、前記記憶装置から前記オーディオファイルのヘッダを読み出して解析するヘッダ情報解析部を有する第1のLSIと、前記ヘッダ情報解析部によるヘッダ解析結果に基づいて前記記憶装置からオーディオデータを読み出して再生処理を行う第2のLSIとを備え、
前記第1のLSIは、前記ヘッダ情報解析部による前記ヘッダ解析結果を前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成され、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIの省電力状態において、前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている。
【0011】
この構成において、第1のLSIはオーディオファイルのヘッダ解析を分担し、第2のLSIはオーディオファイルのファイルシステム管理情報の解析を含めたオーディオファイルの読み出し処理とオーディオデータの再生処理とを分担する。第1のLSIのヘッダ情報解析部は記憶装置から読み出したオーディオファイルのヘッダを解析し、そのヘッダ解析結果を第2のLSIに通知するとともに、記憶装置のヘッダ解析結果保存部に保存し、このヘッダ解析結果の保存が完了すると、省電力状態に移行する。そして、第2のLSIは、記憶装置のヘッダ解析結果保存部に保存されたヘッダ解析結果に基づいて記憶装置からオーディオデータを読み出し、オーディオファイルを再生する。この第2のLSIによる音楽再生中は、第1のLSIが省電力状態となっている。すなわち、第1のLSIの頻繁な起動を不要としながら、オーディオ再生を低消費電力で実現し、結果として、長時間の音楽再生可能とする。
【0012】
(2)また、本発明による音楽再生装置は、オーディオファイルの記憶領域を有する記憶装置と、前記記憶装置から前記オーディオファイルのヘッダを読み出して解析するヘッダ情報解析部を有する第1のLSIと、前記ヘッダ情報解析部によるヘッダ解析結果を保存するヘッダ解析結果保存部を有し、前記ヘッダ解析結果に基づいて前記記憶装置からオーディオデータを読み出して再生処理を行う第2のLSIとを備え、
前記第1のLSIは、前記ヘッダ情報解析部による前記ヘッダ解析結果を前記第2のLSIの前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成され、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIの省電力状態において、前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている。
【0013】
この構成において、第1のLSIはオーディオファイルのヘッダ解析を分担し、第2のLSIはオーディオファイルのファイルシステム管理情報の解析を含めたオーディオファイルの読み出し処理とオーディオデータの再生処理とを分担する。第1のLSIのヘッダ情報解析部は記憶装置から読み出したオーディオファイルのヘッダを解析し、そのヘッダ解析結果を第2のLSIに通知するとともに、第2のLSIのヘッダ解析結果保存部に保存し、このヘッダ解析結果の保存が完了すると、省電力状態に移行する。そして、第2のLSIは、ヘッダ解析結果保存部に保存されたヘッダ解析結果に基づいて記憶装置からオーディオデータを読み出し、オーディオファイルを再生する。この第2のLSIによる音楽再生中は、第1のLSIが省電力状態となっている。すなわち、第1のLSIの頻繁な起動を不要としながら、オーディオ再生を低消費電力で実現し、結果として、長時間の音楽再生可能とする。
【0014】
(3)上記いずれかの音楽再生装置において、前記第1のLSIは、そのヘッダ情報解析部が前記記憶装置に保持されているすべての前記オーディオファイルの前記ヘッダを一括して順次に解析し、すべてのヘッダ解析結果を前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成されているという態様がある。
【0015】
この場合、オーディオファイルを再生ファイル単位ごとにヘッダ解析するのではなく、記憶装置に保持されている複数のオーディオファイルのすべてについて一括して順次にヘッダ解析を行うことにより、複数のオーディオファイルを連続的に再生処理するに際して、第1のLSIの省電力状態も連続化させることが可能となり、さらなる低消費電力化、長時間再生を可能とする。
【0016】
(4)また上記いずれかの音楽再生装置において、前記第1のLSIは、さらに、前記記憶装置に保持されたオーディオファイル群の中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部を備え、前記第1のLSIの前記ヘッダ情報解析部は、前記プレイリスト管理部における前記プレイリストに基づいて、前記記憶装置に保持されている前記オーディオファイルの前記ヘッダを一括して順次に解析し、前記プレイリストに記述された前記オーディオファイルのヘッダ解析結果を前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成されているという態様がある。
【0017】
この場合、記憶装置に保持しているオーディオファイル群においてユーザがプレイリストを作成し、そのプレイリストをプレイリスト管理部で管理させる。そして、一括的なヘッダ解析に際して、プレイリスト基準で複数オーディオファイルのヘッダ解析を行うので、ユーザが所望するプレイリストにおいて連続的な再生処理を行うに際して、第1のLSIの省電力状態も連続化させることが可能となる。
【0018】
(5)また、上記の構成の音楽再生装置において、前記第2のLSIは、1つのオーディオファイルの再生処理の開始直後に、次に再生すべきオーディオファイルのヘッダを前記記憶装置から読み出して前記第1のLSIの前記ヘッダ情報解析部に送るように前記記憶装置を制御する並行処理制御部をさらに備え、前記第2のLSIが前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて前記オーディオファイルを再生中に、前記第1のLSIの前記ヘッダ情報解析部は、前記記憶装置に保持された前記次に再生すべきオーディオファイルのヘッダ解析およびヘッダ解析結果の保存を行い、保存完了後に省電力状態に移行するように構成されているという態様がある。
【0019】
このように構成すれば、第1のLSIを省電力状態に移行させる前に、次に再生すべきオーディオファイルのヘッダを第1のLSIのヘッダ情報解析部においてあらかじめ解析するので、先のオーディオファイルの再生処理が終了すると、直ちに次に再生すべきオーディオファイルの再生処理へ移行することが可能で、次のオーディオ再生処理の開始までの時間を短くすることが可能となる。
【0020】
(6)さらに、上記の並行処理制御部に言及した音楽再生装置において、前記並行処理制御部は、前記記憶装置から次に再生すべきオーディオファイルのヘッダの前記第1のLSIへの読み出し処理よりも、前記記憶装置から現に再生すべきオーディオファイルのオーディオデータの前記第2のLSIへの読み出し処理を優先させるように構成されているという態様がある。
【0021】
このように構成すれば、並行処理制御部は第2のLSIによるオーディオデータの取得を第1のLSIによる次に再生すべきオーディオファイルのヘッダの取得よりも優先させるので、現に再生すべきオーディオファイルの再生処理が安定したものになる。
【0022】
(7)また、本発明による音楽再生装置は、オーディオファイルの記憶領域とヘッダ解析結果保存部を有する記憶装置と、前記記憶装置に対して前記オーディオファイルを保存する第1のLSIと、前記オーディオファイルのヘッダを解析するヘッダ情報解析部を有し、前記ヘッダ情報解析部によるヘッダ解析結果に基づいて前記記憶装置からオーディオデータを読み出して再生処理を行う第2のLSIとを備え、
前記第1のLSIは、前記第2のLSIに対して前記オーディオファイルを前記記憶装置に保持する要求を行い、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIによる前記オーディオファイルの保存の要求の際に、前記オーディオファイルのヘッダを前記ヘッダ情報解析部によって解析し、そのヘッダ解析結果を前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存し、
前記第1のLSIは、前記ヘッダ解析結果の前記ヘッダ解析結果保存部に対する保存が完了する都度に、省電力状態に移行し、省電力状態において次に保存すべきオーディオファイルがあるときは前記の保存要求を繰り返し、省電力状態において前記記憶装置に保持された前記オーディオファイルを再生するときはその再生の指令を前記第2のLSIに与え、次いで省電力状態に移行し、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIの省電力状態において、前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている。
【0023】
この構成において、第1のLSIは、記憶装置に対するオーディオファイルの保存の指令を与え、それが完了すると、省電力状態に移行する。第2のLSIは、保存しようとするオーディオファイルのヘッダ解析をヘッダ情報解析部で行い、ヘッダ解析結果を記憶装置のヘッダ解析結果保存部に保存する。上記の繰り返しによって、複数のオーディオファイルのヘッダ解析とヘッダ解析結果の保存とオーディオファイルの保存が行われ、その都度、第1のLSIは省電力状態に移行する。そして、記憶装置に保持されたオーディオファイルの再生の指示がユーザによって与えられると、省電力状態にあった第1のLSIが起動し、再生指令を第2のLSIに対して与え、再度、省電力状態に移行する。第2のLSIは、記憶装置のヘッダ解析結果保存部に保存されたヘッダ解析結果に基づいて記憶装置からオーディオデータを読み出し、オーディオファイルを再生する。この第2のLSIによる音楽再生中は、第1のLSIが省電力状態となっている。すなわち、第1のLSIの頻繁な起動を不要としながら、オーディオ再生を低消費電力で実現し、結果として、長時間の音楽再生可能とする。さらに、オーディオファイルの再生処理時にヘッダ解析するのではなく、再生処理開始に先立って、オーディオファイルの保存の都度にヘッダ解析を行うので、複数のオーディオファイルを連続的に再生処理するに際して、第1のLSIの省電力状態も連続化させることが可能となり、さらなる低消費電力化、長時間再生を可能とする。
【0024】
(8)また上記構成の音楽再生装置において、前記第1のLSIは、さらに、前記ヘッダ情報解析部が行った前記ヘッダ解析結果を番号付けした上でそのヘッダ番号を管理するヘッダ番号リスト管理部を備え、
前記第1のLSIは、前記第2のLSIによるオーディオファイルの再生に際して、前記ヘッダ番号リスト管理部による前記ヘッダ番号を前記第2のLSIに通知し、次いで省電力状態に移行し、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIから通知された前記ヘッダ番号に基づいて前記ヘッダ解析結果保存部にアクセスし、前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されているという態様がある。
【0025】
このように構成すれば、再生すべきオーディオファイルの選択に際して、第1のLSIはオーディオファイルの管理番号のみを第2のLSIに通知すればよく、再生すべきオーディオファイルの選択が簡単に行える。
【0026】
(9)上記のヘッダ番号リスト管理部に言及した音楽再生装置において、前記第1のLSIは、前記ヘッダ番号リスト管理部の中からランダムに前記ヘッダ番号を選択し、前記第2のLSIに通知することにより、前記ヘッダ番号に対応した前記オーディオファイルをランダムに再生させるという態様がある。この場合、記憶装置に保持されたオーディオファイルをランダムに再生することが可能となる。
【0027】
(10)上記(8)の音楽再生装置において、前記第1のLSIは、さらに、前記記憶装置に保持されたオーディオファイル群の中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部を備え、前記プレイリスト管理部による前記プレイリストに従って、前記ヘッダ番号リスト管理部による前記ヘッダ番号を順番に選択して前記第2のLSIに通知するという態様がある。この場合、プレイリストに記述された順番にヘッダ番号を第2のLSIに通知して、ユーザが所望するプレイリストにおいて連続的な再生処理を行うことが可能になる。
【0028】
(11)また、上記(8)の音楽再生装置において、前記第1のLSIは、さらに、前記記憶装置に保持されたオーディオファイル群の中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部を備え、前記プレイリスト管理部による前記プレイリストに従って、前記ヘッダ番号リスト管理部による前記ヘッダ番号をランダムに選択して前記第2のLSIに通知するという態様がある。この場合、ユーザが所望するプレイリストにおいてランダムな再生処理を行うことが可能になる。
【0029】
(12)本発明による音楽再生端末は、上記いずれかの音楽再生装置と、前記音楽再生装置における前記第1のLSIに接続されたキー入力部とを備え、第1のLSIは、前記オーディオファイルの再生処理時には省電力状態に移行し、省電力状態で前記キー入力部のキー入力があったときは前記キー入力に従った処理を行うように構成されているものである。
【0030】
(13)また、本発明による音楽再生端末は、上記いずれかの音楽再生装置と、前記音楽再生装置における前記第1のLSIに接続された無線通信部とを備え、第1のLSIは、前記オーディオファイルの再生処理時には省電力状態に移行し、省電力状態で前記無線通信部に無線基地局からの信号やオーディオファイルのダウンロードといった無線通信信号入力があったときは前記無線通信信号入力に従った処理を行うように構成されているものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、第1のLSIと第2のLSIとでオーディオファイルのヘッダ解析とオーディオデータの再生との処理を分担し、第2のLSIでオーディオデータの再生処理中は、第1のLSIを省電力状態に移行させることにより、オーディオ再生を低消費電力化し、長時間の音楽再生を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明にかかわる音楽再生装置の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図2、図3、図4は、実施の形態1の変形の態様の音楽再生装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施の形態の音楽再生装置は、第1のLSI10と第2のLSI20と記憶装置30とから構成されている。第1のLSI10は、CPU11とLSIインタフェース12とヘッダ情報解析部13を備えている。第2のLSI20は、CPU21とLSIインタフェース22と記憶装置コントローラ23とオーディオ再生部24を備えている。オーディオファイルAFを記憶する記憶装置30は、ヘッダ解析結果保存部31を備えている。
【0035】
第1のLSI10におけるCPU11は、LSIインタフェース12,22および記憶装置コントローラ23を介して記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFのヘッダAHを読み出し、第1のLSI10におけるヘッダ情報解析部13は読み出したヘッダAHの解析を行う。このヘッダ解析結果をLSIインタフェース12,22を介して第2のLSI20のCPU21に通知し、さらに記憶装置コントローラ23を介して記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31に保存する。
【0036】
第2のLSI20におけるCPU21は、記憶装置コントローラ23を介して記憶装置30におけるヘッダ解析結果保存部31にアクセスし、そこに保存されているヘッダ解析結果に基づいてオーディオデータADを読み出し、オーディオ再生部24を介してオーディオ再生装置40に送信し、オーディオファイルAFを再生する。
【0037】
このような構成の音楽再生装置において、第2のLSI20による音楽再生中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる。
【0038】
本実施の形態において、記憶装置コントローラ23は第2のLSI20外にあってもよい。例えば、図2の音楽再生装置は、第1のLSI10が記憶装置コントローラ14を有し、記憶装置30を制御する。また、図3の音楽再生装置は、第1のLSI10、第2のLSI20の外部に記憶装置コントローラ50を有し、記憶装置30を制御する。また、図4の音楽再生装置は、第1のLSI10内に記憶装置コントローラ14を有するとともに、第2のLSI20内に記憶装置コントローラ23を有し、ワイヤードオアで記憶装置30に接続されている。このような変形の態様は、以下に説明する実施の形態についても同様に適用可能である。
【0039】
次に、上記のように構成された本実施の形態の音楽再生装置の動作を図5の動作シーケンス図に従って説明する。
【0040】
第1のLSI10におけるヘッダ情報解析部13は、記憶装置30よりヘッダAHを取得し(S1)、ヘッダAHの解析を行う(S2)。このヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知し(S3)、かつ記憶装置30に保存する(S4)。記憶装置30は、第1のLSI10に対して保存完了通知を送信する(S5)。第1のLSI10におけるCPU11は、記憶装置30より保存完了通知を受け取ると(S5)、省電力状態Xに移行する。
【0041】
第2のLSI20におけるCPU21は、記憶装置30に保持されたヘッダ解析結果に従って、記憶装置30よりオーディオデータADを取得し(S11)、オーディオデータADの解凍後、再生データをオーディオ再生装置40に送信する(S12)。これらオーディオ再生処理Yをオーディオデータサイズ分繰り返し、オーディオファイルAFの再生が完了すると、第1のLSI10に再生完了通知を行う(S13)。第1のLSI10におけるCPU11は、再生完了通知を受け取ると(S13)、省電力状態Xを解除する。
【0042】
その後、次に再生すべきオーディオファイルAFについても、上記のシーケンスを繰り返し実施する。
【0043】
すなわち、上記の構成により、処理時間のかかるオーディオ再生処理Y中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させることにより、音楽再生装置全体としての消費電力を低減させることが可能となり、その結果、長時間の音楽再生を行うことが可能となる。第2のLSI20にはヘッダ解析用のDSPは不要である。
【0044】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図6において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。実施の形態1ではヘッダ解析結果保存部31が記憶装置30に設けられているのに対して、本実施の形態では第2のLSI20に、ヘッダ情報解析部13がヘッダAHに対して行って得たヘッダ解析結果を保存するためのヘッダ解析結果保存部25が設けられている。
【0045】
第2のLSI20におけるCPU21は、ヘッダ解析結果保存部25に保存されているヘッダ解析結果に基づき、記憶装置コントローラ23を介して記憶装置30にアクセスしてオーディオデータADを読み出し、オーディオ再生部24を介してオーディオ再生装置40に送信し、オーディオファイルAFを再生する。
【0046】
このような構成の音楽再生装置において、第2のLSI20による音楽再生中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる。
【0047】
次に、上記のように構成された本実施の形態の音楽再生装置の動作を図7の動作シーケンス図に従って説明する。実施の形態1の場合の図5に対して、S6のヘッダ解析結果通知・保存とS7の保存完了通知が相違している。
【0048】
第1のLSI10におけるヘッダ情報解析部13は、記憶装置30よりヘッダAHを取得し(S1)、ヘッダAHの解析を行う(S2)。このヘッダ解析結果を第2のLSI20のCPU21に通知するとともに、ヘッダ解析結果保存部25に保存する(S6)。第2のLSI20は、第1のLSI10に対して保存完了通知を送信する(S7)。第1のLSI10におけるCPU11は、第2のLSI20より保存完了通知を受け取ると(S7)、省電力状態Xに移行する。
【0049】
第2のLSI20におけるCPU21は、ヘッダ解析結果保存部25に保存されたヘッダ解析結果に従って、記憶装置30よりオーディオデータADを取得し(S11)、オーディオデータADの解凍後、再生データをオーディオ再生装置40に送信する(S12)。これらオーディオ再生処理Yをオーディオデータサイズ分繰り返し、オーディオファイルAFの再生が完了すると、第1のLSI10に再生完了通知を行う(S13)。第1のLSI10におけるCPU11は、再生完了通知を受け取ると(S13)、省電力状態Xを解除する。
【0050】
その後、次に再生すべきオーディオファイルAFについても上記のシーケンスを繰り返し実施する。
【0051】
すなわち、上記の構成により、処理時間のかかるオーディオ再生処理Y中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させることにより、音楽再生装置全体としての消費電力を低減させることが可能となり、その結果、長時間の音楽再生を行うことが可能となる。第2のLSI20にはヘッダ解析用のDSPは不要である。
【0052】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における音楽再生装置は、図1の構成を有し、記憶装置30にオーディオファイルAFが複数保存されている場合に、複数のオーディオファイルAF分すべて一括して順次にヘッダAHの解析を行うように構成されている。
【0053】
次に、上記のように構成された本実施の形態の音楽再生装置の動作を図8の動作シーケンス図に従って説明する。
【0054】
第1のLSI10におけるヘッダ情報解析部13は、記憶装置30よりヘッダAHを取得し(S1)、ヘッダAHの解析を行う(S2)。このヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知し(S3)、かつ記憶装置30に保存する(S4)。このヘッダAHの取得からヘッダ解析結果の処理を、記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFの個数分繰り返す。
【0055】
記憶装置30に保持されたすべてのオーディオファイルAFのヘッダ解析が完了すると、記憶装置30は第1のLSI10に対して保存完了通知を行う(S5)。第1のLSI10におけるCPU11は、記憶装置30より保存完了通知を受け取ると(S5)、省電力状態Xに移行する。
【0056】
第2のLSI20におけるCPU21は、記憶装置30に保持されたヘッダ解析結果に従って、記憶装置30よりオーディオデータADを取得し(S11)、オーディオデータADの解凍後、再生データをオーディオ再生装置40に送信する(S12)。これらオーディオ再生処理Yをオーディオデータサイズ分繰り返す。
【0057】
1つのオーディオファイルAFの再生が完了すると、次に再生すべきオーディオファイルAFについても上記のシーケンスを繰り返し実施する。第2のLSI20におけるCPU21は、記憶装置30に保持されたすべてのオーディオファイルAFについて、既に保存済みのヘッダ解析結果に従い繰り返しオーディオ再生を行う。したがって、第1のLSI10の省電力状態Xを長くすることができる。
【0058】
本実施の形態によれば、オーディオファイルAFを再生ファイル単位ごとにヘッダ解析するのではなく、記憶装置30に保持されている複数のオーディオファイルAFのすべてについて一括して順次にヘッダ解析を行うことにより、複数のオーディオファイルAFを連続的に再生処理するに際して、第1のLSI10の省電力状態Xも連続化させることができ、さらなる低消費電力化、長時間再生を可能とする。
【0059】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図9において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。本実施の形態では、第1のLSI10にプレイリスト管理部15を備えている。プレイリスト管理部15は、記憶装置30に保持されたすべてのオーディオファイルAFの中からユーザが作成したプレイリストを管理するものである。第1のLSI10におけるCPU11は、プレイリスト管理部15にあるプレイリストを参照して、記憶装置30に保持されたすべてのオーディオファイルAFのヘッダAHを読み出し、ヘッダ情報解析部13はヘッダAHの解析を行う。
【0060】
このような構成の音楽再生装置において、第2のLSI20による音楽再生中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる。
【0061】
次に、上記のように構成された本実施の形態の音楽再生装置の動作を図10の動作シーケンス図に従って説明する。
【0062】
第1のLSI10におけるヘッダ情報解析部13は、記憶装置30よりヘッダAHを取得し(S1)、ヘッダAHの解析を行う(S2)。このヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知し(S3)、かつ記憶装置30に保存する(S4)。このヘッダAHの取得からヘッダ解析結果の処理を、プレイリスト管理部15におけるプレイリストに記述されたオーディオファイルAFの個数分繰り返す。
【0063】
プレイリストに記述されたすべてのオーディオファイルAFのヘッダ解析が完了すると、記憶装置30は第1のLSI10に対して保存完了通知を行う(S5)。第1のLSI10におけるCPU11は、記憶装置30より保存完了通知を受け取ると(S5)、省電力状態Xに移行する。
【0064】
第2のLSI20におけるCPU21は、記憶装置30に保持されたヘッダ解析結果に従って、記憶装置30よりオーディオデータADを取得し(S11)、オーディオデータADの解凍後、再生データをオーディオ再生装置40に送信する(S12)。これらオーディオ再生処理Yをオーディオデータサイズ分繰り返す。
【0065】
1つのオーディオファイルAFの再生が完了すると、次に再生すべきオーディオファイルAFについても上記のシーケンスを繰り返し実施する。第2のLSI20におけるCPU21は、プレイリスト管理部15におけるプレイリストに記述されたすべてのオーディオファイルAFについて、既に保存済みのヘッダ解析結果に従い繰り返しオーディオ再生を行う。したがって、第1のLSI10の省電力状態Xを長くすることができ、かつユーザの作成したプレイリストに従ったオーディオ再生が可能となる。
【0066】
本実施の形態によれば、記憶装置30に保持しているオーディオファイルAF群においてユーザが作成したプレイリストをプレイリスト管理部15で管理させ、一括的なヘッダ解析に際して、プレイリスト基準で複数のオーディオファイルAFのヘッダ解析を行うもので、ユーザが所望するプレイリストにおいて連続的な再生処理を行うに際して、第1のLSI10の省電力状態Xも連続化させることができる。
【0067】
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図11において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。本実施の形態では、第2のLSI20に並行処理制御部26を備えている。並行処理制御部26は、第2のLSI20による1つのオーディオファイルの再生処理の開始直後に、第1のLSI10に対して次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHの解析を行うように通知するとともに、そのオーディオファイルAFのヘッダAHを記憶装置30から読み出して第1のLSIのヘッダ情報解析部13に送るように記憶装置30を制御するものとして構成されている。また、並行処理制御部26は、オーディオ再生を安定化するために、記憶装置30から次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHの第1のLSI10への読み出し処理よりも、記憶装置30から現に再生すべきオーディオファイルAFのオーディオデータADの第2のLSI20への読み出し処理を優先させるように構成されている。第1のLSI10におけるCPU11は、第2のLSI20によるオーディオ再生中に、並行処理制御部26からの通知を受けると、ヘッダ情報解析部13は次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHを解析し、ヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知するとともに、記憶装置30におけるヘッダ解析結果保存部31に保存する。その後、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる。
【0068】
次に、上記のように構成された本実施の形態の音楽再生装置の動作を図12の動作シーケンス図に従って説明する。
【0069】
第1のLSI10におけるヘッダ情報解析部13は、記憶装置30よりヘッダAHを取得し(S1)、ヘッダAHの解析を行う(S2)。このヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知し(S3)、かつ記憶装置30におけるヘッダ解析結果保存部31に保存する(S4)。記憶装置30は、第1のLSI10に対して保存完了通知を送信する(S5)。
【0070】
次いで、第2のLSI20はオーディオ再生処理Yに進み、第2のLSI20におけるCPU21は、第1のLSI10のヘッダ解析結果に従って、記憶装置30よりオーディオデータADを取得し(S11)、オーディオデータADの解凍後、再生データをオーディオ再生装置40に送信する(S12)。
【0071】
そして、本実施の形態においては、この後、第1のLSI10は直ちに省電力状態Xに入ることはせず、第2のLSI20によるオーディオ再生処理Yと並行して、記憶装置30から次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHを取得し(S1)、ヘッダを解析し(S2)、ヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知するとともに(S3)、記憶装置30における保存完了通知に保存する(S4)。2回目のヘッダAHの取得(S1)、ヘッダ解析(S2)よりもオーディオデータADの取得(S11)、再生データの送信(S12)の方が優先されている。そして、第1のLSI10は、記憶装置30より保存完了通知を受け取ると(S5)、省電力状態Xに移行する。
【0072】
その後、第2のLSI20によるオーディオ再生処理Yが行われている間、第1のLSI10は省電力状態Xを保持する。先のオーディオファイルAFの再生処理が終了すると、第2のLSI20は次に再生すべきオーディオファイルAFの再生処理に移行する。次に再生すべきオーディオファイルAFについては、すでにそのヘッダAHの解析が終了し、ヘッダ解析結果が記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31に保存されているので、第2のLSI20による次に再生すべきオーディオファイルAFの再生処理は可能である。このようにヘッダAHの解析をすでに終えているので、次のオーディオ再生処理の開始までの時間を短くすることができる。
【0073】
このように、次のオーディオ再生処理が開始されると、さらに次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHの解析を行うために、第1のLSI10は、省電力状態Xを解除する。そして、省電力状態Xを解除した上で、その次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHの取得(S1)、ヘッダ解析(S2)へ進む。そのヘッダ解析が終了すると、第1のLSI10は再度の省電力状態Xへ入る。
【0074】
以降、上記のシーケンスを繰り返し実施する。
【0075】
本実施の形態によれば、処理時間のかかる第2のLSI20によるオーディオ再生処理Yに対して、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させるので、音楽再生装置全体としての消費電力を低減させることが可能となり、その結果、長時間の音楽再生を行うことが可能となる。
【0076】
また、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる前に、次に再生すべきオーディオファイルAFのヘッダAHを第1のLSI10においてあらかじめ解析するので、先のオーディオファイルAFの再生処理Yが終了すると、直ちに次に再生すべきオーディオファイルAFの再生処理Yへ移行することが可能で、次のオーディオ再生処理の開始までの時間を短くすることができる。
【0077】
また、並行処理制御部26は、第2のLSI20によるオーディオデータADの取得(S11)を、第1のLSI10によるヘッダAHの取得(S1)および解析(S2)よりも優先させるので、オーディオ再生処理Yを安定したものにすることができる。
【0078】
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図13において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。実施の形態1ではヘッダ情報解析部13が第1のLSI10に設けられているのに対して、本実施の形態では、第2のLSI20にヘッダ情報解析部27が設けられている。ヘッダ情報解析部27は、第1のLSI10が記憶装置30にオーディオファイルAFを保存する際に、オーディオファイルAFのヘッダAHの解析を行う。オーディオファイルAFとヘッダAHのヘッダ解析結果を記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31に保存した後、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる。
【0079】
次に、上記のように構成された本実施の形態の音楽再生装置の動作を図14の動作シーケンス図に従って説明する。
【0080】
第1のLSI10におけるCPU11は、第2のLSI20にオーディオファイルAFの保存を要求する(S01)。第2のLSI20におけるCPU21は、このオーディオファイルAFのヘッダ解析を行い(S02)、オーディオファイルAFおよびヘッダ解析結果を記憶装置30におけるヘッダ解析結果保存部31に保存する(S03)。記憶装置30は、保存処理が完了すると、第1のLSI10に対して保存完了通知を行う(S04)。そして、第1のLSI10は省電力状態Xに移行する。
【0081】
次に再生すべきオーディオファイルAFがきたときは、第1のLSI10の省電力状態Xを解除し、上記と同様のシーケンスを繰り返す。
【0082】
その後、ユーザの再生開始操作に従って、第1のLSI10におけるCPU11は、省電力状態Xを解除し、第2のLSI20にオーディオ再生通知を行う(S05)。第2のLSI20より再生通知受信通知を受け取ると(S06)、第1のLSI10は再び省電力状態Xに移行する。
【0083】
第2のLSI20におけるCPU21は、受け取ったオーディオ再生通知(S05)に従い、オーディオ再生処理Yを行う。すなわち、第2のLSI20におけるCPU21は、記憶装置30に保持されたヘッダ解析結果に従って、記憶装置30よりオーディオデータADを取得し(S11)、オーディオデータADの解凍後、再生データをオーディオ再生装置40に送信する(S12)。これらオーディオ再生処理Yをオーディオデータサイズ分繰り返す。
【0084】
1つのオーディオファイルAFの再生が完了すると、次に再生すべきオーディオファイルAFについても上記のシーケンスを繰り返し実施する。
【0085】
本実施の形態によれば、処理時間のかかるオーディオ再生処理Y中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させることにより、音楽再生装置全体としての消費電力を低減させることが可能となり、その結果、長時間の音楽再生を行うことが可能となる。
【0086】
また、オーディオファイルAFの保存時に第2のLSI20にてヘッダ解析(S02)を行うことにより、オーディオ再生時に必要なヘッダ解析処理時間分、再生開始までの時間を短くすることができる。加えて、オーディオファイルAFの再生中の第1のLSI10の処理負荷をさらに低減することができる。
【0087】
初期の段階でオーディオファイルAFを記憶装置30に格納する際に、そのオーディオファイルAFのヘッダAHの解析を行ってしまい、そのヘッダ解析結果を記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31に格納しておくので、複数のオーディオファイルAFに対するオーディオ再生処理Yにおいて、第1のLSI10を省電力状態Xに保持したまま、それら複数のオーディオ再生処理Yを連続して実行することができる。
【0088】
(実施の形態7)
図15は、本発明の実施の形態7における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図15において、実施の形態1の図1におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。本実施の形態では、第1のLSI10にヘッダ番号リスト管理部16を備えている。ヘッダ番号リスト管理部16は、ヘッダ情報解析部13が行ったヘッダ解析結果を番号付けした上でそのヘッダ番号を管理するものである。
【0089】
第1のLSI10におけるCPU11は、LSIインタフェース12,22および記憶装置コントローラ23を介して記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFのヘッダAHを読み出し、ヘッダ情報解析部13は読み出したヘッダAHの解析を行う。このヘッダ解析結果を第2のLSI20におけるCPU21に通知するとともに、記憶装置30におけるヘッダ解析結果保存部31に保存する。また、このヘッダ解析結果を番号付けし、ヘッダ番号リスト管理部16にてこの番号をリスト管理する。
【0090】
オーディオ再生時は、第1のLSI10におけるCPU11は、ヘッダ番号リスト管理部16にて保存されたヘッダ番号を第2のLSI20におけるCPU21に通知する。このヘッダ番号の通知を受けた第2のLSI20におけるCPU21は、ヘッダ番号に基づいて記憶装置30のヘッダ解析結果保存部31にアクセスし、ヘッダ解析結果保存部31に保存されているヘッダ解析結果に基づき、記憶装置コントローラ23を介してオーディオデータADを読み出し、オーディオ再生部24を介してオーディオ再生装置40に送信し、オーディオファイルAFを再生する。
【0091】
第2のLSI20による音楽再生中は、第1のLSI10を省電力状態Xに移行させる。
【0092】
第1のLSI10におけるCPU11はオーディオファイルAFの管理番号のみを第2のLSI20におけるCPU21に通知することにより、再生するオーディオファイルAFの選択が簡単になる。
【0093】
また、第1のLSI10におけるCPU11は、ヘッダ番号リスト管理部16に保存された番号からランダムに選択し、第2のLSI20におけるCPU21に通知することにより、記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFをランダムに再生することも可能である。
【0094】
(実施の形態8)
図16は、本発明の実施の形態8における音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図16において、実施の形態7の図15におけるのと同じ符号は同一構成要素を指している。本実施の形態では、記憶装置30に保持されたすべてのオーディオファイルAFの中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部15を備えている。第1のLSI10におけるCPU11は、プレイリスト管理部15にあるプレイリストに従って、ヘッダ番号リスト管理部16に保存された番号を順番に選択し、第2のLSI20におけるCPU21に通知することにより、プレイリストに記述されたオーディオファイルAFを再生することも可能である。
【0095】
あるいは、第1のLSI10におけるCPU11は、プレイリスト管理部15にあるプレイリストに従って、ヘッダ番号リスト管理部16に保存された番号をランダムに選択し、第2のLSI20におけるCPU21に通知することにより、プレイリストに記述されたオーディオファイルAFをランダムに再生することも可能である。
【0096】
(その他の実施の形態)
本発明は、例えば図17に示すような音楽再生端末に応用することが可能である。
【0097】
図17において、第1のLSI10におけるCPU11は、無線通信部61、液晶表示装置(LCD)62、キー入力部63を制御し、かつ記憶装置30に保持されたオーディオファイルAFのヘッダAHの解析を行う。
【0098】
第2のLSI20がオーディオ再生処理中は、第1のLSI10におけるCPU11は省電力状態に移行し、無線通信信号入力やキー入力などの外部イベントが発生した場合に、省電力状態から復帰し、外部イベントに対応した処理を行う。
【0099】
すなわち、上記の構成により、オーディオ再生時には第1のLSIを省電力状態に移行させることにより、音楽再生端末としての消費電力を低減させることが可能となり、その結果、長時間の音楽再生が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明にかかる音楽再生装置は、ヘッダとオーディオデータで構成されるオーディオファイルを再生する携帯型の音楽再生機器や音楽再生機能をもつ携帯電話などの電子機器として有用である。またオーディオデータAD再生に限らず、動画データ再生機能をもった携帯端末機器などの用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態1における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の変形の態様における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1の変形の態様における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1の変形の態様における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態1における音楽再生装置の動作を示す動作シーケンス図
【図6】本発明の実施の形態2における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態2における音楽再生装置の動作を示す動作シーケンス図
【図8】本発明の実施の形態3における音楽再生装置の動作を示す動作シーケンス図
【図9】本発明の実施の形態4における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態4における音楽再生装置の動作を示す動作シーケンス図
【図11】本発明の実施の形態5における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態5における音楽再生装置の動作を示す動作シーケンス図
【図13】本発明の実施の形態6における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図14】本発明の実施の形態6における音楽再生装置の動作を示す動作シーケンス図
【図15】本発明の実施の形態7における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図16】本発明の実施の形態8における音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図17】本発明の実施の形態における音楽再生端末の構成を示すブロック図
【図18】従来の音楽再生装置の構成を示すブロック図
【図19】従来の音楽再生装置の構成の他の例を示すブロック図
【符号の説明】
【0102】
10 第1のLSI
11 CPU
12 LSIインタフェース
13 ヘッダ情報解析部
14 記憶装置コントローラ
15 プレイリスト管理部
16 ヘッダ番号リスト管理部
20 第2のLSI
21 CPU
22 LSIインタフェース
23 記憶装置コントローラ
24 オーディオ再生部
25 ヘッダ解析結果保存部
26 並行処理制御部
27 ヘッダ情報解析部
30 記憶装置
31 ヘッダ解析結果保存部
40 オーディオ再生装置
50 記憶装置コントローラ
60 音楽再生端末
61 無線通信部
62 液晶表示装置(LCD)
63 キー入力部
AF オーディオファイル
AH ヘッダ
AD オーディオデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオファイルの記憶領域とヘッダ解析結果保存部を有する記憶装置と、前記記憶装置から前記オーディオファイルのヘッダを読み出して解析するヘッダ情報解析部を有する第1のLSIと、前記ヘッダ情報解析部によるヘッダ解析結果に基づいて前記記憶装置からオーディオデータを読み出して再生処理を行う第2のLSIとを備え、
前記第1のLSIは、前記ヘッダ情報解析部による前記ヘッダ解析結果を前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成され、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIの省電力状態において、前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている音楽再生装置。
【請求項2】
オーディオファイルの記憶領域を有する記憶装置と、前記記憶装置から前記オーディオファイルのヘッダを読み出して解析するヘッダ情報解析部を有する第1のLSIと、前記ヘッダ情報解析部によるヘッダ解析結果を保存するヘッダ解析結果保存部を有し、前記ヘッダ解析結果に基づいて前記記憶装置からオーディオデータを読み出して再生処理を行う第2のLSIとを備え、
前記第1のLSIは、前記ヘッダ情報解析部による前記ヘッダ解析結果を前記第2のLSIの前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成され、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIの省電力状態において、前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている音楽再生装置。
【請求項3】
前記第1のLSIは、そのヘッダ情報解析部が前記記憶装置に保持されているすべての前記オーディオファイルの前記ヘッダを一括して順次に解析し、すべてのヘッダ解析結果を前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成されている請求項1または請求項2に記載の音楽再生装置。
【請求項4】
前記第1のLSIは、さらに、前記記憶装置に保持されたオーディオファイル群の中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部を備え、
前記第1のLSIの前記ヘッダ情報解析部は、前記プレイリスト管理部における前記プレイリストに基づいて、前記記憶装置に保持されている前記オーディオファイルの前記ヘッダを一括して順次に解析し、前記プレイリストに記述された前記オーディオファイルのヘッダ解析結果を前記ヘッダ解析結果保存部に保存した後、省電力状態に移行するように構成されている請求項1または請求項2に記載の音楽再生装置。
【請求項5】
前記第2のLSIは、1つのオーディオファイルの再生処理の開始直後に、次に再生すべきオーディオファイルのヘッダを前記記憶装置から読み出して前記第1のLSIの前記ヘッダ情報解析部に送るように前記記憶装置を制御する並行処理制御部をさらに備え、
前記第2のLSIが前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて前記オーディオファイルを再生中に、前記第1のLSIの前記ヘッダ情報解析部は、前記記憶装置に保持された前記次に再生すべきオーディオファイルのヘッダ解析およびヘッダ解析結果の保存を行い、保存完了後に省電力状態に移行するように構成されている請求項1または請求項2に記載の音楽再生装置。
【請求項6】
前記並行処理制御部は、前記記憶装置から次に再生すべきオーディオファイルのヘッダの前記第1のLSIへの読み出し処理よりも、前記記憶装置から現に再生すべきオーディオファイルのオーディオデータの前記第2のLSIへの読み出し処理を優先させるように構成されている請求項5に記載の音楽再生装置。
【請求項7】
オーディオファイルの記憶領域とヘッダ解析結果保存部を有する記憶装置と、前記記憶装置に対して前記オーディオファイルを保存する第1のLSIと、前記オーディオファイルのヘッダを解析するヘッダ情報解析部を有し、前記ヘッダ情報解析部によるヘッダ解析結果に基づいて前記記憶装置からオーディオデータを読み出して再生処理を行う第2のLSIとを備え、
前記第1のLSIは、前記第2のLSIに対して前記オーディオファイルを前記記憶装置に保持する要求を行い、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIによる前記オーディオファイルの保存の要求の際に、前記オーディオファイルのヘッダを前記ヘッダ情報解析部によって解析し、そのヘッダ解析結果を前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存し、
前記第1のLSIは、前記ヘッダ解析結果の前記ヘッダ解析結果保存部に対する保存が完了する都度に、省電力状態に移行し、省電力状態において次に保存すべきオーディオファイルがあるときは前記の保存要求を繰り返し、省電力状態において前記記憶装置に保持された前記オーディオファイルを再生するときはその再生の指令を前記第2のLSIに与え、次いで省電力状態に移行し、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIの省電力状態において、前記記憶装置の前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている音楽再生装置。
【請求項8】
前記第1のLSIは、さらに、前記ヘッダ情報解析部が行った前記ヘッダ解析結果を番号付けした上でそのヘッダ番号を管理するヘッダ番号リスト管理部を備え、
前記第1のLSIは、前記第2のLSIによるオーディオファイルの再生に際して、前記ヘッダ番号リスト管理部による前記ヘッダ番号を前記第2のLSIに通知し、次いで省電力状態に移行し、
前記第2のLSIは、前記第1のLSIから通知された前記ヘッダ番号に基づいて前記ヘッダ解析結果保存部にアクセスし、前記ヘッダ解析結果保存部に保存された前記ヘッダ解析結果に基づいて、前記記憶装置に保持された前記オーディオデータを読み出し再生処理を行うように構成されている請求項1または請求項2に記載の音楽再生装置。
【請求項9】
前記第1のLSIは、前記ヘッダ番号リスト管理部の中からランダムに前記ヘッダ番号を選択し、前記第2のLSIに通知することにより、前記ヘッダ番号に対応した前記オーディオファイルをランダムに再生させる請求項8に記載の音楽再生装置。
【請求項10】
前記第1のLSIは、さらに、前記記憶装置に保持されたオーディオファイル群の中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部を備え、前記プレイリスト管理部による前記プレイリストに従って、前記ヘッダ番号リスト管理部による前記ヘッダ番号を順番に選択して前記第2のLSIに通知する請求項8に記載の音楽再生装置。
【請求項11】
前記第1のLSIは、さらに、前記記憶装置に保持されたオーディオファイル群の中からユーザが作成したプレイリストを管理するプレイリスト管理部を備え、前記プレイリスト管理部による前記プレイリストに従って、前記ヘッダ番号リスト管理部による前記ヘッダ番号をランダムに選択して前記第2のLSIに通知する請求項8に記載の音楽再生装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれかに記載の音楽再生装置と、前記音楽再生装置における前記第1のLSIに接続されたキー入力部とを備え、第1のLSIは、前記オーディオファイルの再生処理時には省電力状態に移行し、省電力状態で前記キー入力部のキー入力があったときは前記キー入力に従った処理を行うように構成されている音楽再生端末。
【請求項13】
請求項1から請求項11までのいずれかに記載の音楽再生装置と、前記音楽再生装置における前記第1のLSIに接続された無線通信部とを備え、第1のLSIは、前記オーディオファイルの再生処理時には省電力状態に移行し、省電力状態で前記無線通信部に無線通信信号入力があったときは前記無線通信信号入力に従った処理を行うように構成されている音楽再生端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−59638(P2008−59638A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232366(P2006−232366)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】