説明

音楽再生装置及び音楽再生プログラム

【課題】再生楽曲のリズムを運動スケジュールに応じて制御することで、楽曲に合わせて運動する者に適当な負荷を与える音楽再生装置において、リズムが大きく変化すると、リズムが適合せずに再生される楽曲が不自然になる。
【解決手段】運動スケジュールに沿って設定される基準心拍数Vs(t)と心拍数検出センサから得られる測定心拍数Vm(t)との差分ΔV(t)に基づいてリズムRv(i+1)を求めるが、そのリズムRv(i+1)が現在再生中の楽曲の固有リズムRo(i)からどの程度変化しているかを示す変化率を求める。その変化率が、閾値Gthより小さい場合には楽曲はそのままでリズムだけをRv(i+1)に変化させるが、閾値Gth以上になっている場合にはリズムRv(i+1)と同一又は最も近い固有リズムRo(i+1)に対応する楽曲に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲に合わせて運動する者(以下、「運動者」という)に対して、楽曲のリズムを制御して再生出力させることにより、適当な運動負荷を与える音楽再生装置及び音楽再生プログラムに係る。
【背景技術】
【0002】
フィットネスやエクササイズ等の業界においては、健康的で効果的な運動方法として、一定のリズムを保って運動する持続型エクササイズや、一定の心拍数を保った状態で運動する定脈拍エクササイズが有効であることが知られている。従って、それらの運動方法では音楽が取り入れられていることが多く、例えば、エアロビクス等に代表されるスタジオトレーニングでは、音程を変えずに再生速度だけをスムーズに変化させる機能を有した音楽再生装置が活用されている。
【0003】
また、下記特許文献1においは、運動に最適な理想心拍と測定心拍とのずれを検出し、最適な運動負荷を与える音楽再生速度を一意的に決定し、決定された速度で楽曲データを再生・出力する心拍測定機能付き音楽速度制御装置が提案されている。更に、下記特許文献2では、端末装置を携帯するユーザが一定距離を歩行する度に、経過時間・運動強度・心拍数・歩行テンポ等のパラメータセットを配信サイトへ送信し、これを受信した配信サイト側がパラメータセットに応じた最適運動負荷を与えるテンポの楽曲データを検索して配信する曲データの配信装置及び配信方法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−177750号公報
【特許文献2】特開2003−108154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1の音楽速度制御装置では、理想心拍と測定心拍との差に応じて音楽再生速度を設定するが、リズム変化の大きさによっては楽曲本来の魅力が著しく損なわれ、聴くに耐えないような楽曲再生になることがある。また、そのような再生状態では運動者が不快感を覚え、却って運動効果を阻害することになる。一方、前記特許文献2では、配信サイト側での条件を指定した検索により、運動用楽曲データは予めユーザに逐次最適な運動負荷を与えるように設定されたものであり、それがユーザ側の携帯端末装置へダウンロードされるようになっている。しかし、この提案では、携帯端末装置側で実際の運動過程で生じる様々な状態にきめ細かに対応する制御が不可能であり、楽曲の選択に関する自由度もない。
【0005】
本発明は、従来技術における前記のような問題点に鑑みてなされたものであり、再生される楽曲のリズムを運動過程で変化する心拍数に応じて制御すると共に、リズムの変化によって楽曲本来の魅力が損なわれるような場合には、楽曲自体をリズムに適合したものに変えることができ、更には運動者に楽曲選択の自由度を持たせることが可能な音楽再生装置及び音楽再生プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、運動スケジュールとして設定された時間と心拍数との関係を記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、前記スケジュール記憶手段において前記計時手段がカウントする時間に対応する心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める差分演算手段と、前記差分演算手段が求める差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求めるリズム演算手段と、再生中の楽曲のリズムが前記リズム演算手段で求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する再生制御手段とを有した音楽再生装置において、前記楽曲記憶手段は各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報を対応付けて複数の楽曲データを記憶しており、前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記リズム演算手段が求めたリズムの変化率を演算する変化率演算手段と、前記変化率演算手段が求めた変化率が所定閾値以上か否かを判定する判定手段と、初期の動作開始時、及び前記判定手段により前記変化率が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段において前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか又は最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する楽曲選択手段とを具備し、前記再生手段が前記楽曲選択手段によって選択された楽曲データを再生させることを特徴とする音楽再生装置に係る。
【0007】
この第1の発明では、計時手段によるカウント時間に基づいてスケジュール記憶手段から予め時系列的に設定された基準心拍数が求められ、差分演算手段がその基準心拍数と心拍数測定手段によるリアルタイムな測定心拍数との差分を求め、更にリズム演算手段がその差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求める。このリズムは運動者に対して理想的な運動負荷を与えるものであるが、時間の経過に伴って前記差分が変化することにより再生される楽曲のリズムが変化すると、そのリズムが楽曲に適合しない場合が発生する。この課題について、この発明では変化率演算手段が求めた再生楽曲の固有リズム情報に対するリズムの変化率が所定閾値以上になったことを判定手段で判定できた場合に、その時点で適用されているリズムが楽曲に適合しない状態になっているものとみなす。そして、楽曲記憶手段には各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報を対応付けて複数の楽曲データが記憶せしめられており、楽曲選択手段により楽曲記憶手段の複数の楽曲データの内からその時点でリズム演算手段が求めているリズムと一致するか又は最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを選択し、その選択した楽曲を新たな楽曲として切り換えて再生させる。
【0008】
また、この第1の発明における楽曲選択方式として、次のような構成も採用できる。即ち、表示手段と、初期の動作開始時、及び前記判定手段により前記変化率が所定閾値以上であると判定された場合に、前記楽曲記憶手段において前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか又は近似した固有リズム情報に対応付けられている楽曲データの曲名を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段とを設け、前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、前記楽曲選択手段ではその指定による楽曲の選択を優先させることとすれば、設定リズムに対する楽曲の適合性を確保しながら、楽曲選択の自由度も併せて持たせることができる。
【0009】
尚、前記第1の発明をプログラムにより実行させる場合には、次のような構成の音楽再生プログラムとして構成できる。
(1) 運動スケジュールとして設定された時間と心拍数との関係を記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報を対応付けて複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段とを備えた音楽再生装置に適用されるプログラムであって、前記スケジュール記憶手段において前記計時手段がカウントする時間に対応する心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める第1のステップと、前記第1のステップで求めた差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求める第2のステップと、再生中の楽曲のリズムが前記第2のステップで求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する第3のステップと、前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記第2のステップで求めたリズムの変化率を演算する第4のステップと、前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上か否かを判定する第5のステップと、初期の動作開始時、及び前記第5のステップで前記変化率が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段において前記第2のステップで求めたリズムと一致するか又は最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する第6のステップとをコンピュータに実行させることにより、前記再生手段が前記第6のステップで選択された楽曲データを再生させることを特徴とする音楽再生プログラム。
(2) 前記音楽再生プログラムにおいて、音楽再生装置が表示手段とその表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段とを備えており、初期の動作開始時、及び前記第5のステップで前記変化率が所定閾値以上であると判定された場合に、前記楽曲記憶手段において前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか又は近似した固有リズム情報に対応付けられている楽曲データの曲名を前記表示手段に表示させる第7のステップと、前記第7のステップで前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、その指定による楽曲の選択を前記第6のステップでの楽曲の選択より優先させる第8のステップとをコンピュータに実行させることとした音楽再生プログラム。
【0010】
第2の発明は、時間と心拍数との関係により構成された運動スケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、前記計時手段がカウントする時間に対応して前記運動スケジュールから得られた心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める心拍数差分演算手段と、前記心拍数差分演算手段が求める差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求めるリズム演算手段と、再生中の楽曲のリズムが前記リズム演算手段で求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する再生制御手段とを有した音楽再生装置において、前記楽曲記憶手段は各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報と楽曲におけるリズムのとり易さを示す値である固有リズミカル値とを対応付けて記憶しており、前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲データを読み出して楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記リズム演算手段が求めたリズムの変化率を演算するリズム変化率演算手段と、現在位置を測定する位置測定手段と、各地域の位置情報と騒音レベルとを対応付けて記憶した騒音レベル算出用テーブルと、騒音レベルとリズミカル値との関係を記憶したリズミカル値算出用テーブルと、所定時間毎に、前記位置測定手段が測定した現在位置情報に基づいて、前記騒音レベル算出用テーブルと前記リズミカル値算出用テーブルにより、前記現在位置に対応するリズミカル値を求めるリズミカル値算出手段と、前記リズミカル値算出手段が前回求めた前記リズミカル値と今回求めた前記リズミカル値との差分を求めるリズミカル値差分演算手段と、前記リズム変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上か否か、及び前記リズミカル値差分演算手段が求めた差分が所定閾値以上か否かを判定する判定手段と、再生動作開始時には、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、指定入力により指定された楽曲データ若しくは既設定の楽曲データ、又は前記リズミカル値算出手段が求めているリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択し、再生動作開始後には、前記判定手段により前記リズム変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記リズミカル値差分演算手段が求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記リズミカル値算出手段が求めているリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する楽曲選択手段とを具備し、前記再生手段が前記楽曲選択手段によって選択された楽曲データを再生させることを特徴とする音楽再生装置に係る。
【0011】
前記第1の発明の音楽再生装置を携帯してランニングによる運動スケジュールを消化しているような場合には、様々な騒音の中を通過するため、楽曲の再生音が騒音に掻き消されてリズムがとりにくくなる。この第2の発明では、騒音レベルに対してリズムがとり易さの目安を示すリズミカル値という値を導入し、第1の発明のようにリズムの変化率が所定閾値以上になった場合だけでなく、リズミカル値の変化も考慮して、前回求めた前記リズミカル値と今回求めた前記リズミカル値との差分が所定閾値以上になった場合にも、新たに適合する楽曲を選択し直す。また、その選択に際しても、今回求められたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向のリズミカル値をもつ楽曲群の中から、新たに求められたリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報を持つ楽曲が選択されるようになっている。
【0012】
この第2の発明の音楽再生装置においても、前記第1の発明の場合と同様に表示手段に曲名を表示させて指定させる楽曲選択方式を採用することが可能である。その場合には、前記楽曲記憶手段が、各楽曲データの曲名を更に対応付けて記憶しており、表示手段と、再生動作開始時、及び前記判定手段により前記リズム変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記リズミカル値差分演算手段が求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記リズミカル値算出手段が求めているリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか又は近似した前記固有リズム情報に対応付けられている1又は2以上の楽曲データの曲名を読み出して前記表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段とを設けた構成とし、前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、前記楽曲選択手段ではその指定による楽曲の選択を優先させるようにする。
【0013】
尚、前記第2の発明をプログラムにより実行させる場合には、次のような構成の音楽再生プログラムとして構成できる。
(1) 時間と心拍数との関係により構成された運動スケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、現在位置を測定する位置測定手段と、各地域の位置情報と騒音レベルとを対応付けて記憶した騒音レベル算出用テーブルと、騒音レベルと楽曲におけるリズムのとり易さを示すリズミカル値との関係を記憶したリズミカル値算出用テーブルと、各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報と固有リズミカル値を対応付けて複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、制御手段とを備えた音楽再生装置の前記制御手段に実行させる音楽再生プログラムであって、前記計時手段がカウントする時間に対応して前記運動スケジュールから得られた心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める第1のステップと、前記第1のステップで求めた差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求める第2のステップと、再生中の楽曲のリズムが前記第2のステップで求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する第3のステップと、前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記第2のステップで求めたリズムの変化率を演算する第4のステップと、前記位置測定手段が求めている現在位置情報に基づいて、前記騒音レベル算出用テーブルと前記リズミカル値算出用テーブルによりリズミカル値を求める第5のステップと、前回の第5のステップの実行により求めたリズミカル値と今回の第5のステップの実行により求めたリズミカル値との差分を求める第6のステップと、前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上か否か、及び前記第6のステップで求めた差分が所定閾値以上か否かを判定する第7のステップと、再生動作開始時には、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、指定入力により指定された楽曲データ若しくは既設定の楽曲データ、又は前記第5のステップで求めたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択し、再生動作開始後には、前記第7のステップにおいて、前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記第6のステップで求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記第5のステップで求めたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する第8のステップとを前記制御手段に実行させる音楽再生プログラム。
(2) 前記音楽再生プログラムにおいて、前記音楽再生装置は、前記楽曲記憶手段が、各楽曲データの曲名を更に対応付けて記憶すると共に、表示手段と、この表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段とを備えており、再生動作開始時、及び前記第7のステップにおいて、前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記第6のステップで求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段から、前記第5のステップで求めたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか又は近似した固有リズム情報に対応付けられている楽曲データの曲名を読み出して前記表示手段に表示させる第9のステップと、前記第9のステップで前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、その指定による楽曲の選択を前記第8のステップでの楽曲の選択より優先させる第10のステップとを前記制御手段に実行させるようにした請求項7に記載の音楽再生プログラム。
【発明の効果】
【0014】
本発明の音楽再生装置及び音楽再生プログラムは、以上の構成を有していることにより、次のような効果を奏する。運動スケジュールに沿って設定されている基準心拍数と運動者の実際の心拍数との差分に応じて再生楽曲のリズムを制御することで運動者に理想的な運動負荷を与えている場合に、変化したリズムが楽曲に適合せずに楽曲本来の魅力が損なわれことがあるが、第1の発明によれば、リズムに適合した楽曲を選択して自動的に変更して再生するため、運動者が快適に運動スケジュールを消化してゆくことができる。また、リズムに適合した楽曲に変更する際に、候補となる楽曲を表示させて好みの楽曲を選択することを可能にする。第2の発明は、音楽再生装置を携帯して楽曲を聴きながらランニングすることにより運動スケジュールを消化するような場合において、前記第1の発明の効果に加えて、騒音が大きくなった場合にリズムのとり易い楽曲が選択されるようにし、戸外での運動スケジュールの消化をより円滑に行えるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の音楽再生装置及び音楽再生プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[実施形態1]
先ず、図1はこの実施形態1に係る携帯型の音楽再生装置のシステム回路図である。同図において、10はCPU、10a,10bはCPU10の内蔵タイマ、11はシステム制御プログラムを格納したROM、12は管理データを格納したRAM、13は多数の符号化楽曲データを格納したRAM、14は符号化楽曲データを復号するデコーダ、15はデコーダ14で復号された楽曲データをアナログ信号に変換するD/A変換器、16は低周波増幅器、17はイヤホン、18と18aはユーザ(運動者)の心拍数を測定する心拍測定センサとその測定信号の入力インターフェイス(I/F)、19と19aは操作部とその操作信号の入力I/F、20と20aは液晶表示部と同部に対する表示信号の入力I/F、21と21aはデータ入力端子とその入力信号の入力I/Fを示し、各回路要素は図示するような関係でCPU10のバスに接続されている。
【0016】
また、図2は前記音楽再生装置の外観図であり、筐体30の前面には液晶表示部20と操作部19が配置されていると共に、筐体30の上側壁面にはイヤホン17と心拍測定センサ18がそれぞれコネクタを介して接続されており、右側壁面にはデータ入力端子21が設けられている。そして、液晶表示部20は3つの表示エリア31,32,33に分かれており、エリア31には心拍測定センサ18から得られるユーザのリアルタイムな心拍数とRAM12の運動スケジュールテーブルに基づいて求められる基準心拍数が表示され、エリア32には前記各心拍数の差分から求められるリズム情報と現在選択中の楽曲の固有リズム情報とが表示され、エリア33には現在選択中の曲名と再生の進行状態が表示されるようになっている。一方、操作部19には、楽曲再生の開始/停止や処理の決定/キャンセルや運動プログラムの中断等を指示するための動作指示部34と、心拍数及びリズム情報の増減と決定を指示入力するための情報入力部35とが設けられている。
【0017】
ユーザは、前記音楽再生装置をポケットに入れたり、ベルトに掛け止める等の方法で携帯し、心拍測定センサ18を身体の脈拍検出部位に直接取り付けると共に、イヤホン17を耳に装着した状態で使用する。但し、その使用の前提として、ユーザは、前記音楽再生装置の入力端子21とトレーニングジム等が運用している運動管理システムとを接続させて、予めユーザ用に作成されている管理データと多数の符号化楽曲データとをダウンロードさせ、管理データをRAM12に、符号化楽曲データをRAM13に格納させておく。ここに、管理データは運動スケジュールテーブルとリズム算出用テーブルと楽曲リストとからなり、また各符号化楽曲データはそれぞれ楽曲番号で管理データ側の楽曲リストと関連付けられているが、それらの構成については後述する。
【0018】
以下、前記音楽再生装置の動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。但し、その動作手順はCPU10がROM11のシステム制御プログラムを実行することにより進行する。先ず、ユーザが運動開始時に動作指示部34のボタン操作によって音楽再生の開始指示を行うと、CPU10はタイマ10aのカウントを開始させ、直ちにRAM12の運動スケジュールテーブルを参照して、時間t=0における基準心拍数Vs(0)を求める(S1〜S3)。ここに、運動スケジュールテーブルはユーザが要望した運動スケジュールに応じて設定された時間tと基準心拍数Vs(t)との関係を規定したテーブルであり、例えば、図4(A)に示すように、基準心拍数Vs(t)が初期値Vs(0)から時間の経過に伴って除々に上昇し、所定時間後にほぼ一定値になり、その状態が一定時間だけ継続した後、除々に下降して所定時間後に前記初期値Vs(0)と同一値へ戻るような関係で規定されている。この場合は、運動開始時でタイマ10aのカウント値tが0であるため、基準心拍数はVs(0)として求められる。
【0019】
また、CPU10は心拍測定センサ18から入力されている測定心拍数Vm(0)を検出して前記基準心拍数Vs(0)との差分であるΔV(0)=Vs(0)−Vm(0)を演算し(S4,S5)、更にRAM12のリズム算出用テーブルを参照して前記差分ΔV(0)に対応する楽曲再生用のリズム情報Rv(0)を求める(S4〜S7)。このリズム算出用テーブルは前記差分ΔV(t)=Vs(t)−Vm(t)とリズムRv(i)の関係を規定したものであり、例えば、図4(B)に示すように差分ΔV(t)が正側に大きくなればリズムRv(i)を速くし、逆に差分ΔV(t)が負側に大きくなればリズムRv(i)を遅くする傾向で規定されている。ここでは、初期段階での前記差分ΔV(t)の絶対値は小さな値に収まっているため、ほぼニュートラル状態でのリズムRv(0)となる。
【0020】
このようにして初期のリズムRv(0)が求められると、CPU10はRAM12の楽曲リストを参照して前記リズムRv(0)と同一か又は最も近い固有リズムRo(0)に対応する楽曲番号を1つ選択し、その選択した楽曲番号に対応するRAM13の符号化楽曲データを前記リズムRv(0)に対応した速度でデコーダ14へ読み出して復号し、D/A変換器15でアナログ信号に変換した後、低周波増幅器16で増幅してイヤホン17から楽曲を音声出力させる(S8,S9)。
【0021】
より詳細には、RAM12の楽曲リストは楽曲番号と曲名とその楽曲の固有リズム情報を対応させており、またRAM13は楽曲番号と符号化楽曲データを対応させていることから、ステップS7で求めたリズム情報Rv(0)を用いてRAM12を検索して固有リズム情報Ro(0)を求め、その固有リズム情報Ro(0)を有する楽曲の楽曲番号を用いてRAM13を検索することにより再生すべき楽曲データを求めることになる。尚、その楽曲はリズムRv(0)に対応した速度で再生出力されるために、楽曲は固有のリズムRo(0)で再生されない場合もあり得るが、前記のようにRv(0)はRo(0)に近似しており、それほど不自然な再生にはならない。
【0022】
ところで、前記のように固有リズムRo(i)の楽曲を初期のリズムRv(0)で再生させた後、ユーザがその再生された楽曲に合わせて運動していると、当然にユーザの心拍数は上昇してゆく。そして、図4(A)の運動スケジュールテーブルはその心拍数の上昇を想定して時間tと基準心拍数Vs(t)の関係を規定しているが、ユーザの実際の心拍数である測定心拍数Vm(t)はスケジュールどおりの運動を実行しているつもりであっても基準心拍数Vs(t)の変化に対応して変化しているとは限らない。この実施形態の音楽再生装置では、一定時間Δt毎(例えば、5sec毎)に最初からの経過時間tを確認してRAM12の運動スケジュールテーブルから基準心拍数Vs(t)を求めると共に、その時点で心拍測定センサ18から入力されている測定心拍数Vm(t)を検出し、初期の場合と同様に、それら心拍数の差分ΔV(t)=Vs(t)−Vm(t)を求める(S10〜S13)。
【0023】
そして、この差分ΔV(t)は運動量が十分でない場合には正側へ大きくなり、逆に過剰な運動量になっていると差分ΔV(t)は負側へ大きくなるが、前記初期の場合と同様に、RAM12のリズム算出用テーブルを参照して前記差分ΔV(t)に対応する楽曲再生用のリズム情報Rv(i+1)を求める(S14)。即ち、基準心拍数Vs(t)と測定心拍数Vm(t)との差分ΔV(t)が0に近づくように楽曲のリズムを変化させることで、ユーザがスケジュールに沿った運動量を消化するようにする。
【0024】
従って、新たに求められたリズムRv(i+1)は直ちに楽曲の再生速度に反映されるべきであるが、この実施形態ではリズムの変更が再生される楽曲に影響するか否かを判定するようになっており、必要な場合には新たに設定されるリズムRv(i+1)に適合した楽曲に変更される。具体的には、現在再生中の楽曲の固有リズム情報Ro(i)に対する新たに求めたリズム情報Rv(i+1)の変化率[=|Rv(i+1)−Ro(i)|/Ro(i)]が閾値Gth以上であるか否かを判定し(S15)、前記変化率が閾値Gthよりも小さい場合には、単にリズムだけをRv(i)からRv(i+1)へ変更するだけであるが(S15→S16→S9)、閾値Gth以上の場合には、前記と同様にリズムをRv(i+1)へ変更すると共に、RAM12の楽曲リストにおいてそのリズムRv(i+1)と同一か又は最も近い固有リズムRo(i+1)に対応する楽曲を新たに選択し、その選択した楽曲のデータをRAM13から前記リズムRv(i+1)に対応する速度で読み出して再生させる(S15→S17→S8)。
【0025】
これは、前記変化率が閾値Gth以上であった場合には、その時点で選択されている楽曲を新たに設定されたリズムRv(i+1)で再生すると不自然さが生じてユーザに不快感を与えるため、リズムRv(i+1)に適合した楽曲を新たに選択し直してその問題点を解消するものである。尚、あまり頻繁に楽曲が変更されると逆に落ち着きがなく散漫な印象を与えるため、閾値Gthとしては、例えば0.2に設定して、リズムが20%以上変化した場合に楽曲を選択し直すようにすれば、再生されている楽曲の連続性を阻害せず比較的自然な再生状態になる。
【0026】
以降、音楽再生装置は運動スケジュールが完了するまでステップS8からステップS17の手順を繰り返して実行し、再生リズムを適応的に変化させながら、楽曲の再生状態が設定リズムに対して不自然にならないように楽曲を変更することにより、ユーザがスケジュールに沿った運動量を快適に消化できるようにする。
【0027】
ところで、以上の実施形態では、楽曲の選択が音楽再生装置において自動的に実行されるようになっているが(図3のステップS8)、例えば、図5に示すように液晶表示部20’に曲名表示エリア33'を設けておき、ユーザが曲名を指定して楽曲を選択できるようにしてもよい。その場合は、図3における前記ステップS8の手順が図6のように変更される。
【0028】
先ず、図3のステップS7においてリズム情報Rv(0)が求められた段階、又はステップS14においてリズム情報Rv(i+1)が求められた段階で、RAM12の楽曲リストにおいてそれらのリズム情報Rv(0),Rv(i+1)と同一か又は一定範囲内で近い固有リズムを有する楽曲の項目情報をI/F20aへ読み出し、図5に示すように液晶表示部20の曲名表示エリア33'に楽曲番号と曲名とアーティスト名とその楽曲の固有リズム情報を表示させる(S21)。また、楽曲の項目情報を表示させて選曲が可能になったことをユーザに通知するためにイヤホン17から指定督促音を出力させると共に、タイマ10bのカウントを開始させる(S22,S23)。
【0029】
このタイマ10bは入力期間Δtw(例えば、5sec)を設定するためのものである。従って、同期間Δtw内に曲名表示エリア33'内の曲名を指定した入力が有った場合には、その指定に係る楽曲が選択されたものとみなされ(S24,S25)、同期間Δtw内に指定入力が無い場合には、図3のステップS8と同様の基準で楽曲が選択される(S26,S27)。また、指定操作は図5に示す情報入力部35’のボタン操作により行われ、楽曲番号の選択位置を上下させて選択・決定する。尚、指定操作の有無に拘わらず、楽曲が選択された段階でタイマ10bはリセットされる(S28)。
【0030】
この方式によれば、ユーザに楽曲選択の自由度が与えられ、好みの楽曲を制御されたリズムで聴きながら運動を行うことができる。尤も、楽曲を逐一選択することが面倒な場合には、入力期間Δtw内に選択操作を行わずに装置側で自動的に選択させればよく、また、選択方式を装置側での自動選択モードにするか手動選択モードにするかを情報入力部35のボタン操作で切り換えられるようにしておいてもよい。
【0031】
以上のように、この実施形態の音楽再生装置では、管理データと楽曲データをトレーニングジム等が運用している運動管理システムから一括してダウンロードさせてRAM12,13に格納するようになっている。しかし、ユーザにとって、好みの楽曲を収録しておくには、自分のオーディオシステムやパーソナルコンピュータから好みの楽曲を音楽再生装置へダウンロードさせるようにした方が合理的である。その場合には、ダウンロードさせた楽曲データから曲名や固有リズム情報等を自動的に検出して自動的に楽曲リストを作成し、その楽曲リストをRAM12に、楽曲データをRAM13にそれぞれ格納させるためのプログラムを予めROM11に持たせておけばよい。また、本実施形態の音楽再生装置では、システム制御プログラムを予めROM11に格納しているものとして説明したが、本発明に係る音楽再生プログラムに関するプログラム自体を上記運動管理システム等からダウンロードするように構成してもよい。
【0032】
[実施形態2]
上記実施形態1の音楽再生装置においては、運動者に適当な運動負荷を与えるように楽曲のリズムを変化させるための再生制御機能と、必要に応じて再生楽曲の選択・変更を行う機能とを合理的に組み合わせたことにより、楽曲の音楽としての本来的な魅力を損なうことなく、快適で理想的なエクササイズを行えるようにしている。従って、運動者は、選択された楽曲のリズムに合せて運動していれば目的とする心拍数になり、予め設定したスケジュールに適合した運動量を消化することができる。しかし、自分の好みで数多くの楽曲を収録させているような場合には、リズムのとりにくい楽曲や途中でリズムや音量が大きく変化する楽曲(例えば、クラシックの楽曲)が混在していることもあり得る。また、実際のエクササイズでは交通量の多い道路沿いをランニングするような場合も多いが、そのような使用状況では騒音によって楽曲が聴き取りづらくなり、リズムがとりにくくなる可能性がある。この実施形態の音楽再生装置には、実施形態1で説明した機能と共に、そのような問題点に対応した機能が付加されている。
【0033】
この実施形態に係る携帯型の音楽再生装置のシステム回路図は図7に示される。同図と図1とを比較すれば明らかなように、この実施形態の音楽再生装置は、GPS(Global Positioning System)モジュール22と時刻計時用のタイマ10cが追加されている点において異なるだけであり、システム回路上の他の構成は実施形態1の場合と同様である。但し、ROM11'のシステム制御プログラムがこの実施形態に特有な手順を含んでいると共に、GPSモジュール22が設けられたことに伴い、RAM12の管理データとして、上記実施形態1における運動スケジュールテーブルとリズム算出用テーブルと楽曲リストに加えて、GPSに対応した地図情報と共に、図11に示すような地域別騒音レベルテーブルと図12に示すリズミカル値算出用テーブルが追加されている。
【0034】
また、図8はこの実施形態2の音楽再生装置の外観図である。この外観に関しても実施形態1の図2に示したものとほぼ同様であり、次の点で相違しているだけである。筐体40の前面の液晶表示部41には、実施形態1の場合と同様に、心拍数に関する表示エリア31と、リズム情報に関する表示エリア32と、選択中の曲名と再生の進行状態に関する表示エリア33が設けられていると共に、現在地情報や時刻情報の表示エリア42が追加されている。操作部43については、心拍数及びリズム情報の増減や決定を指示入力するための情報入力部44のボタン配置が異なるだけで、基本的には実施形態1の場合と同様である。
【0035】
そして、この実施形態の主たる特徴は、GPSモジュール22から得られる現在地情報とRAM12に追加された前記各テーブルを用いて、騒音レベルに相関するリズミカル情報を加味した楽曲選択基準を設けた点にある。以下、CPU10がROM11'のシステム制御プログラムを実行する動作手順を図9及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。先ず、ユーザが運動(この実施形態ではランニングによる運動)開始時に動作指示部34のボタン操作によって音楽再生の開始指示を行うと、CPU10はタイマ10aのカウントを開始させ、直ちにRAM12の運動スケジュールテーブルを参照して、時間t=0における基準心拍数Vs(0)を求める(S51〜S53)。この運動スケジュールテーブルは、実施形態1における図4(A)の場合と同様に、運動スケジュールに応じて設定された時間tと基準心拍数Vs(t)との関係を規定のものであり、ここでは、運動開始時でタイマ10aのカウント値tが0であるため、基準心拍数はVs(0)として求められる。
【0036】
また、CPU10は心拍測定センサ18から入力されている測定心拍数Vm(0)を検出して前記基準心拍数Vs(0)との差分であるΔV(0)=Vs(0)−Vm(0)を演算し(S54,S55)、更にRAM12のリズム算出用テーブルを参照して前記差分ΔV(0)に対応する楽曲再生用のリズム情報Rv(0)を求める(S54〜S57)。このリズム算出用テーブルも実施形態1における図4(B)に示したものと同様であり、前記差分ΔV(t)=Vs(t)−Vm(t)とリズムRv(i)の関係を規定しており、この初期段階での前記差分ΔV(t)の絶対値は小さな値に収まっているため、ほぼニュートラル状態でのリズムRv(0)となる。
【0037】
次に、CPU10はGPSモジュール22から現在地情報Pi(0)を取得すると共に、タイマ10cから現在の時刻情報T(0)を取得し、RAM12の騒音レベルテーブルを参照して現在地の騒音レベルを求め、更にその騒音レベル値を用いてRAM12のリズミカル値算出用テーブルを参照することによりリズミカル値Cv(0)を求める(S58〜S61)。即ち、騒音レベルテーブルは図11に示すように地域毎に各時間帯の騒音レベルN(t)を規定したものであり、現在地情報Pi(0)と時刻情報T(0)が求まると現在地を含む地域の騒音レベルN(0)を求めることができ、更にリズミカル値算出用テーブルは図12に示すように騒音レベルN(t)とリズミカル値Cv(j)の関係を規定しており、前記騒音レベルN(0)に基づいてリズミカル値Cv(0)が求まる。尚、リズミカル値算出用テーブルにおけるリズミカル値Cv(j)はリズムのとり易さを示す値であり、騒音レベルN(t)の増加/減少に対してリズミカル値も増加/減少する傾向で規定されている。
【0038】
このようにして初期のリズムRv(0)とリズミカル値Cv(0)が求められると、CPU10はRAM12の楽曲リストを参照して、前記リズミカル値Cv(0)以上の一定範囲内にある固有リズミカル値に対応する全ての楽曲を抽出し、更にその抽出された楽曲の内で前記リズムRv(0)と同一か又は最も近い固有リズム情報Ro(i)を有するに対応する楽曲番号を1つ選択する(S62,S63)。そして、その選択した楽曲番号に対応するRAM13の符号化楽曲データを前記リズムRv(0)に対応した速度でデコーダ14へ読み出して復号し、D/A変換器15でアナログ信号に変換した後、低周波増幅器16で増幅してイヤホン17から楽曲を音声出力させる(S64)。
【0039】
より詳細には、この実施形態におけるRAM12の楽曲リストでは楽曲番号と曲名に対してその楽曲の固有リズミカル値Co(j)と固有リズム情報Ro(i)が対応付けられており、またRAM13は楽曲番号と符号化楽曲データを対応させている。従って、ステップS61で求めたリズミカル値Cv(0)を下限値とした一定範囲内の固有リズミカル値を有するという条件で楽曲を絞り込み、それら楽曲の内からステップS57で求めたリズムRv(0)と同一か最も近い値になっている固有リズム情報Ro(0)を求め、その固有リズム情報Ro(0)を有する楽曲の楽曲番号を用いてRAM13を検索することにより再生すべき楽曲データを求める。尚、その楽曲はリズムRv(0)に対応した速度で再生出力されるために、楽曲は固有のリズムRo(0)で再生されない場合もあり得るが、前記のようにRv(0)はRo(0)に近似しており、それほど不自然な再生にはならない。
【0040】
そして、ユーザがその再生された楽曲に合わせて運動(ランニング)を継続することによりユーザの心拍数は上昇してゆくが、実施形態1の場合と同様に、一定時間Δt毎(例えば、5sec毎)に最初からの経過時間tを確認してRAM12の運動スケジュールテーブル[図4(A)]から基準心拍数Vs(t)を求め、その時点で心拍測定センサ18から入力されている測定心拍数Vm(t)を検出して、それら心拍数の差分ΔV(t)=Vs(t)−Vm(t)を求める(S65〜S68)。ここで、前記心拍数の差分ΔV(t)は、運動量が十分でない場合には正側へ大きくなり、逆に過剰な運動量になっていると差分ΔV(t)は負側へ大きくなるが、前記初期の場合と同様に、RAM12のリズム算出用テーブルを参照して前記差分ΔV(t)に対応する楽曲再生用のリズム情報Rv(i+1)を求める(S69)。
【0041】
また、この実施形態ではランニングによる運動であるため、ユーザは時間の経過と共に移動し、それに伴って周囲の騒音環境も変化してゆく。そこで、この実施形態では、一定時間Δt毎にGPSモジュール22から現在地情報Pi(t)を取得すると共に、タイマ10cから現在の時刻情報T(t)をそれぞれ取得し、それら情報Pi(t),T(t)を用いて地域別騒音レベルテーブル(例えば、図11)を参照することにより現在地の騒音レベルN(t)を求め、更にその騒音レベルN(t)を用いてリズミカル値算出用テーブル(図12)を参照することによりリズミカル値Cv(j+1)を求める(S70〜S73)。
【0042】
以上のステップ65からステップS73までの手順でリズム情報Rv(i+1)とリズミカル値Cv(j+1)が求まった段階で、本来的にはリズム情報Rv(i+1)が直ちに楽曲の再生速度に反映されるべきであるが、この実施形態でも実施形態1の場合と同様にリズムの変更が再生される楽曲に影響するか否かを判定し、必要な場合に新たに設定されるリズムRv(i+1)に適合した楽曲に変更するようになっている。また、たとえリズムの観点からは楽曲を変更する必要がない場合であっても、騒音レベルが大きい場合にはリズムのとり易い楽曲が選択されるべき場合があることを考慮し、この実施形態ではその観点から楽曲の変更を行うことも予定している。
【0043】
具体的には、現在再生中の楽曲の固有リズム情報Ro(i)に対する新たに求めたリズム情報Rv(i+1)の変化率[=|Rv(i+1)−Ro(i)|/Ro(i)]が閾値G1th(実施形態1の場合の閾値Gthに相当)以上であるか否かを判定し(S74)、その変化率が閾値G1th以上の場合には、CPU10がRAM12の楽曲リストを参照して、前記ステップ前記リズミカル値Cv(j+1)以上の一定範囲内にある固有リズミカル値に対応する全ての楽曲を抽出した後、更にその抽出された楽曲の内で前記リズムRv(i+1)と同一か又は最も近い固有リズム情報Ro(i+1)を有するに対応する楽曲番号を1つ選択し(S74→S77→S62,S63)、その選択した楽曲番号に対応するRAM13の符号化楽曲データを前記リズムRv(i+1)に対応した速度でデコーダ14へ読み出して復号し、D/A変換器15でアナログ信号に変換した後、低周波増幅器16で増幅してイヤホン17から楽曲を音声出力させる(S64)。
【0044】
一方、前記変化率が閾値G1thよりも小さい場合には、実施形態1の場合のように直ちにリズムだけをRv(i)からRv(i+1)へ変更する手順を実行するのではなく、今回のリズミカル値Cv(j+1)と前回のリズミカル値Cv(j)との差の絶対値[=|Cv(j+1)−Cv(j)|]を求め、その値が所定閾値G2th以上であれば、たとえ前記リズムに係る変化率が閾値G1thより小さくても、前記ステップS62,S63による新たな楽曲の選択を実行し、その選択した楽曲をリズムRv(i+1)で再生して出力させる(S74,S75→S77→S62〜S64)。従って、ここでの閾値G2thは周辺の騒音状況の変化により再生楽曲を変化すべきか否かを判断する基準を示す値である。
【0045】
逆に、前記変化率が閾値G1thよりも小さく、且つ今回と前回のリズミカル値の差分の絶対値[=|Cv(j+1)−Cv(j)|]が閾値G2thより小さい場合には、楽曲の変更を行うことなく、その時点で選択されている楽曲のリズムRv(i)をRv(i+1)へ変更するだけである(S74,S75→S76→S64)。即ち、この場合は、元々リズムの観点からは楽曲を変更する必要がない状態にあり、騒音状況も大きく変化していないとみなせるためにリズムのとり易い楽曲に変える必要性もないことから、楽曲再生のリズムRv(i)をRv(i+1)へ変更するだけに留める。
【0046】
以降、音楽再生装置はランニングによる運動スケジュールが完了するまで図10のステップS62からステップS77の手順を繰り返して実行し、再生リズムを適応的に変化させながら、設定されるリズムに対して楽曲の再生が不自然にならず、且つ周囲の騒音状況も考慮して最もリズムがとり易い楽曲を選択して再生することにより、ユーザがスケジュールに沿った運動量を確実で快適に消化できるようにする。
【0047】
ところで、実施形態1では装置による楽曲の自動選択方式と共にリズムについて一定の許容条件を満たす複数の楽曲の項目情報を表示させてユーザが選択できる方式も説明しているが、その方式はこの実施形態においても採用できる。その場合には、例えば、図8の液晶表示部41の構成を図13に示すように変更し、液晶表示部51に曲名表示エリア52を設けて、楽曲番号と曲名とアーティスト名とその楽曲の固有リズミカル値と固有リズム情報を表示させるようにする。そして、図10のフローチャートにおけるステップS62,S63の手順が図14のフローチャートに示される手順に変更される。
【0048】
先ず、図9に示した手順でリズム情報Rv(0)とリズミカル値Cv(0)が求められた段階、又は図10のステップS64からステップS73の手順でリズム情報Rv(i)とリズミカル値Cv(j)が求められた段階で、RAM12の楽曲リストにおいて、前記リズミカル値Cv(0),Cv(j)以上の一定範囲内にある固有リズミカル値に対応し、且つ前記リズム情報Rv(0),Rv(i+1)と同一か又は一定範囲内で近い固有リズムを有する楽曲の項目情報をI/F20aへ読み出し、図13に示したように液晶表示部51の曲名表示エリア52に前記項目情報に基づいて楽曲番号と曲名とアーティスト名とその楽曲の固有リズミカル値と固有リズム情報を表示させる(S81)。また、楽曲の項目情報を表示させて選曲が可能になったことをユーザに通知するためにイヤホン17から指定督促音を出力させると共に、タイマ10bのカウントを開始させる(S82,S83)。
【0049】
そして、このタイマ10bは曲名表示エリア52内の曲名を情報入力部44から指定入力するための入力期間Δtwを設定するものであり、同期間Δtw内に指定入力があった場合にはその指定に係る楽曲が選択されたものとみなされ(S84,S85)、指定入力が無い場合には、図10のステップ62,S63と同様の基準で楽曲が選択される(S86,S87)。尚、指定入力の有無に拘わらず、楽曲が選択された段階でタイマ10bはリセットされる(S88)。
【0050】
尚、図10におけるステップS75では今回と前回のリズミカル値の差分の絶対値[=|Cv(j+1)−Cv(j)|]を閾値G2thと比較するようにしているが、差分[=Cv(j+1)−Cv(j)]が負の値をとった場合、即ち騒音が前回より小さくなった場合は、リズムのとり易さの観点からは必ずしも楽曲を変更する必要はない。従って、差分の絶対値をとらずに差分と閾値とを比較する方式として、差分が正になった場合と負になった場合とで別の閾値を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ユーザが楽曲に合わせて運動スケジュールを消化する際に使用される音楽再生装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態1に係る音楽再生装置のシステム回路図である。
【図2】実施形態1に係る音楽再生装置の外観図である。
【図3】実施形態1に係る音楽再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】運動スケジュールテーブルの内容(A)とリズム算出テーブルの内容(B)の概念図である。
【図5】ユーザによる楽曲指定方式を採用した場合における音楽再生装置の正面図である。
【図6】図3のフローチャートにおけるステップS8とは別の楽曲選択手順(ユーザによる楽曲指定方式)を示すフローチャートである。
【図7】実施形態2に係る音楽再生装置のシステム回路図である。
【図8】実施形態2に係る音楽再生装置の外観図である。
【図9】実施形態2に係る音楽再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2に係る音楽再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】地域別騒音レベルテーブルの構成を示す図である。
【図12】リズミカル値算出用テーブルの構成を示す図である。
【図13】ユーザによる楽曲指定方式を採用した場合における音楽再生装置の正面図である。
【図14】図10のフローチャートにおけるステップS62,S63とは別の楽曲選択手順(ユーザによる楽曲指定方式)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
10…CPU、10a,10b,10c…タイマ、11,11'…ROM、12,13…RAM、14…デコーダ、15…D/A変換器、16…低周波増幅器、17…イヤホン、18…心拍測定センサ、18a,19a,20a,21a…インターフェイス、19,19’,43…操作部、20,20’,41,51…液晶表示部、21…入力端子、22…GPSモジュール、30,40…筐体、31,31',32,32',33,33',42,52…表示エリア、34…動作指示部、35,35’,44…情報入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間と心拍数との関係により構成された運動スケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、前記計時手段がカウントする時間に対応して前記運動スケジュールから得られた心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める差分演算手段と、前記差分演算手段が求める差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求めるリズム演算手段と、再生中の楽曲のリズムが前記リズム演算手段で求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する再生制御手段とを有した音楽再生装置において、
前記楽曲記憶手段は各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報を対応付けて記憶しており、
前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲データを読み出して楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記リズム演算手段が求めたリズムの変化率を演算する変化率演算手段と、
前記変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上か否かを判定する判定手段と、
再生動作開始時には、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、指定入力により指定された楽曲データ若しくは既設定の楽曲データ、又は前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択し、再生動作開始後には、前記判定手段により前記変化率が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか又は最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する楽曲選択手段と
を具備し、前記再生手段が前記楽曲選択手段によって選択された楽曲データを再生させることを特徴とする音楽再生装置。
【請求項2】
前記楽曲記憶手段は、各楽曲データの曲名を更に対応付けて記憶しており、
表示手段と、
再生動作開始時、及び前記判定手段により前記変化率が所定閾値以上であると判定された場合に、前記楽曲記憶手段から、前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか又は近似した固有リズム情報に対応付けられている1又は2以上の楽曲データの曲名を読み出して前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段と
を設け、
前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、前記楽曲選択手段ではその指定による楽曲の選択を優先させることとした請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項3】
時間と心拍数との関係により構成された運動スケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報を対応付けて複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、制御手段とを備えた音楽再生装置の前記制御手段に実行させる音楽再生プログラムであって、
前記計時手段がカウントする時間に対応して前記運動スケジュールから得られた心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める第1のステップと、
前記第1のステップで求めた差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求める第2のステップと、
再生中の楽曲のリズムが前記第2のステップで求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する第3のステップと、
前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記第2のステップで求めたリズムの変化率を演算する第4のステップと、
前記第4のステップで演算した変化率が所定閾値以上か否かを判定する第5のステップと、
再生動作開始時には、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、指定入力により指定された楽曲データ若しくは既設定の楽曲データ、又は前記第2のステップで求めたリズムと一致するか又は最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択し、再生動作開始後には、前記第5のステップで前記変化率が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記楽曲記憶手段において前記第2のステップで求めたリズムと一致するか又は最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する第6のステップと
を前記制御手段に実行させる音楽再生プログラム。
【請求項4】
前記音楽再生装置は、
前記楽曲記憶手段が、各楽曲データの曲名を更に対応付けて記憶すると共に、
表示手段と、この表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段とを備えており、
再生動作開始時、及び前記第5のステップで前記変化率が所定閾値以上であると判定された場合に、前記楽曲記憶手段から、前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか又は近似した固有リズム情報に対応付けられている1又は2以上の楽曲データの曲名を読み出して前記表示手段に表示させる第7のステップと、
前記第7のステップで前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、その指定による楽曲の選択を前記第6のステップでの楽曲の選択より優先させる第8のステップと
を前記制御手段に実行させるようにした請求項3に記載の音楽再生プログラム。
【請求項5】
時間と心拍数との関係により構成された運動スケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、前記計時手段がカウントする時間に対応して前記運動スケジュールから得られた心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める心拍数差分演算手段と、前記心拍数差分演算手段が求める差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求めるリズム演算手段と、再生中の楽曲のリズムが前記リズム演算手段で求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する再生制御手段とを有した音楽再生装置において、
前記楽曲記憶手段は各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報と楽曲におけるリズムのとり易さを示す値である固有リズミカル値とを対応付けて記憶しており、
前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲データを読み出して楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記リズム演算手段が求めたリズムの変化率を演算するリズム変化率演算手段と、
現在位置を測定する位置測定手段と、
各地域の位置情報と騒音レベルとを対応付けて記憶した騒音レベル算出用テーブルと、
騒音レベルとリズミカル値との関係を記憶したリズミカル値算出用テーブルと、
所定時間毎に、前記位置測定手段が測定した現在位置情報に基づいて、前記騒音レベル算出用テーブルと前記リズミカル値算出用テーブルにより、前記現在位置に対応するリズミカル値を求めるリズミカル値算出手段と、
前記リズミカル値算出手段が前回求めた前記リズミカル値と今回求めた前記リズミカル値との差分を求めるリズミカル値差分演算手段と、
前記リズム変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上か否か、及び前記リズミカル値差分演算手段が求めた差分が所定閾値以上か否かを判定する判定手段と、
再生動作開始時には、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、指定入力により指定された楽曲データ若しくは既設定の楽曲データ、又は前記リズミカル値算出手段が求めているリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択し、再生動作開始後には、前記判定手段により前記リズム変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記リズミカル値差分演算手段が求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記リズミカル値算出手段が求めているリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する楽曲選択手段と
を具備し、前記再生手段が前記楽曲選択手段によって選択された楽曲データを再生させることを特徴とする音楽再生装置。
【請求項6】
前記楽曲記憶手段は、各楽曲データの曲名を更に対応付けて記憶しており、
表示手段と、
再生動作開始時、及び前記判定手段により前記リズム変化率演算手段が演算した変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記リズミカル値差分演算手段が求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記リズミカル値算出手段が求めているリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記リズム演算手段が求めているリズム情報と一致するか又は近似した前記固有リズム情報に対応付けられている1又は2以上の楽曲データの曲名を読み出して前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段と
を設け、
前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、前記楽曲選択手段ではその指定による楽曲の選択を優先させることとした請求項5に記載の音楽再生装置。
【請求項7】
時間と心拍数との関係により構成された運動スケジュールを記憶したスケジュール記憶手段と、楽曲を聴きながら前記運動スケジュールに沿って運動する者の心拍数を測定する心拍数測定手段と、運動開始時からの時間をカウントする計時手段と、現在位置を測定する位置測定手段と、各地域の位置情報と騒音レベルとを対応付けて記憶した騒音レベル算出用テーブルと、騒音レベルと楽曲におけるリズムのとり易さを示すリズミカル値との関係を記憶したリズミカル値算出用テーブルと、各楽曲データにそれぞれの固有リズム情報と固有リズミカル値を対応付けて複数の楽曲データを記憶した楽曲記憶手段と、前記楽曲記憶手段から楽曲データを読み出して楽曲を再生させる再生手段と、制御手段とを備えた音楽再生装置の前記制御手段に実行させる音楽再生プログラムであって、
前記計時手段がカウントする時間に対応して前記運動スケジュールから得られた心拍数と前記心拍数測定手段が測定した心拍数との差分を求める第1のステップと、
前記第1のステップで求めた差分に基づいて前記再生手段で再生させる楽曲のリズムを求める第2のステップと、
再生中の楽曲のリズムが前記第2のステップで求めたリズムとなるように前記再生手段の再生速度を制御する第3のステップと、
前記再生手段が前記楽曲記憶手段の1つの楽曲を再生させている状態で、その再生中の楽曲の固有リズム情報に対する前記第2のステップで求めたリズムの変化率を演算する第4のステップと、
前記位置測定手段が求めている現在位置情報に基づいて、前記騒音レベル算出用テーブルと前記リズミカル値算出用テーブルによりリズミカル値を求める第5のステップと、
前回の第5のステップの実行により求めたリズミカル値と今回の第5のステップの実行により求めたリズミカル値との差分を求める第6のステップと、
前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上か否か、及び前記第6のステップで求めた差分が所定閾値以上か否かを判定する第7のステップと、
再生動作開始時には、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、指定入力により指定された楽曲データ若しくは既設定の楽曲データ、又は前記第5のステップで求めたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択し、再生動作開始後には、前記第7のステップにおいて、前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記第6のステップで求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段が記憶している複数の楽曲データから、前記第5のステップで求めたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか若しくは最も近い固有リズム情報に対応付けられている楽曲データを再生対象として選択する第8のステップと
を前記制御手段に実行させる音楽再生プログラム。
【請求項8】
前記音楽再生装置は、
前記楽曲記憶手段が、各楽曲データの曲名を更に対応付けて記憶すると共に、
表示手段と、この表示手段に表示された曲名の内の1つを選択して指定する曲名指定手段とを備えており、
再生動作開始時、及び前記第7のステップにおいて、前記第4のステップで求めた変化率が所定閾値以上であると判定される度、又は前記第6のステップで求めた差分が所定閾値以上であると判定される度に、前記楽曲記憶手段から、前記第5のステップで求めたリズミカル値よりリズムがとり易い傾向を示す固有リズミカル値に対応した楽曲データの内で前記第2のステップで求めたリズム情報と一致するか又は近似した固有リズム情報に対応付けられている楽曲データの曲名を読み出して前記表示手段に表示させる第9のステップと、
前記第9のステップで前記表示手段に曲名が表示された後の一定時間内に前記曲名指定手段からの指定があった場合には、その指定による楽曲の選択を前記第8のステップでの楽曲の選択より優先させる第10のステップと
を前記制御手段に実行させるようにした請求項7に記載の音楽再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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