説明

音波の仰角焦点制御のための方法及び装置

音響プローブ100は、1次元のアレイで配置された複数の音響変換素子を含む音響変換器20、及び音響変換器に結合する可変屈折音響レンズ10を含む。可変屈折音響レンズは、電極全体に印加される選択された電圧に応答して可変屈折音響レンズの焦点を調整するように適応される少なくとも一組の電極150, 160を持つ。一実施例において、可変屈折音響レンズは、キャビティ、キャビティ内に配置される第1及び第2流体媒体141, 142並びに一組の電極を含む。第1流体媒体中の音波の音の速さは、第2流体媒体中の音波の音の速さとは異なる。第1及び第2流体媒体は互いに混ざり合わず、第1流体媒体は、第2流体媒体と実質的に異なる導電率を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響撮像方法、音響撮像装置に関係し、特に、可変流体レンズを使用した音波の仰角焦点制御のための方法及び装置に関係する。
【背景技術】
【0002】
音波(特に超音波を含む)は、医療診断、機械的部品の非破壊制御及び水中撮像などのような多くの科学的又は技術的分野において有用である。音波は、電磁波に対して透明でない媒体の中を伝播することができるので、光学観察を補完する診断及び制御を可能にする。
【0003】
音響撮像機器は、従来の1次元("1D")音響変換器アレイを使用する機器、及び微小ビーム形成技術を使用した十分にサンプリングされる2次元("2D")音響変換器アレイを使用する機器の両方を含む。
【0004】
1次元音響変換器アレイを使用する機器において、音響変換素子は、単一平面内の焦点調節を最適化するようにしばしば配置される。これは、軸方向次元(即ち伝播方向)及び横方向次元(即ち1Dアレイの方向に沿った方向)の両方において、送受信される音響圧力波の焦点調節を可能にする。面外(仰角)焦点調節は通常、音響変換器ジオメトリによって固定され、すなわち音響変換素子の仰角高さが、仰角次元におけるアレイの本来の焦点を制御する。ほとんどの医療アプリケーションにとって、面外(仰角)焦点は、名目上の焦点深さに大部分の音響エネルギーを集中させるために音響変換器アレイの前面に固定されるレンズの追加によって、又は仰角高さにおける素子のジオメトリの変更によってのみ変更されることができる。残念なことに、この妥協案は、しばしば異なる深さにおける準最適な仰角焦点調節につながる。またこれは、リアルタイムで仰角方向の焦点を調整することができないことにつながり、次に、調査されるボリュームが深さの関数として異なる原因になる。結果として、画像の品質が"面外"情報又は"クラッター(clutter)"によって低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
増加した素子数(1.5Dアレイ、2Dアレイ)又は可変レンズ材料(流動学的遅延構造)を含めて、いくつかの技術的ソリューションがこの問題に対して提案されたが、それぞれは普遍的に受け取られることはなかった。素子数を増加させることは、各々の素子が個別にアドレス指定可能な場合にのみ成功することができるが、関連する電子回路のコストを非常に増加させる。流動学的材料のような可変遅延は、各々の素子で遅延を別々に調整することがさらに必要であり、また複雑性が増すので、決して最適解ではない。
【0006】
したがって、所望の仰角焦点調節によって様々な深さに最大のエネルギーを供給することを可能にするために、仰角焦点のリアルタイム調整が可能な音響撮像装置を提供することが望ましい。さらに、通常の1次元音響変換器アレイの使用と更なる"面外"焦点調節の追加とを容易に切り替えることを可能にするような装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様において、音響撮像装置は、1次元のアレイで配置される複数の音響変換素子を持つ音響変換器、及び前記音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを含み、前記可変屈折音響レンズが、その電極全体に印加される選択された電圧に応答して当該可変屈折音響レンズの少なくとも1つの特性を調整するように適応される少なくとも一組の電極を持つ音響プローブ、前記音響変換器に結合する音響信号プロセッサ、選択された電圧を前記一組の電極に印加するように適応される可変電圧源、並びに選択された電圧を前記一組の電極に印加するように可変電圧源を制御するように適応されるコントローラを有する。
【0008】
本発明の更に別の態様において、音響プローブは、1次元のアレイで配置された複数の音響変換素子を含む音響変換器、及び前記音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを有し、前記可変屈折音響レンズは、その電極全体に印加される選択された電圧に応答して当該可変屈折音響レンズの少なくとも1つの特性を調整するように適応される少なくとも一組の電極を持つ。
【0009】
本発明の更に別の態様において、音波を用いて測定を実行する方法は、(1) 音響プローブを患者に当て、(2) 前記音響プローブの可変屈折音響レンズを所望の仰角焦点にフォーカスするように制御し、(3) 前記所望の仰角焦点に対応する標的領域から戻ってくる音波を音響変換器において前記可変屈折音響レンズから受け取り、及び(4) 受け取られた音波に対応する電気信号を前記音響変換器から出力する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は次に、本発明の好ましい実施形態が示される添付の図面を参照して、以下により十分に説明される。しかしながら、本発明は異なる形態で実施されることができ、本明細書で述べられる実施の形態に制限されるように解釈されてはならない。むしろ、これらの実施の形態は、本発明を教示する例として提供される。
【0011】
可変焦点流体レンズ技術は、特定の屈折率を有する流体で満たされたキャビティの物理的境界の変更によって光がフォーカスされることを可能にするという明確な目的のために元は発明されたソリューションである(PCT公報WO2003/069380参照。この文献の全てが本明細書中で完全に記載されたものとして参照として本明細書に組み込まれる)。導電性電極への電圧の印加によってキャビティ内の流体が動かされるエレクトロウェッティングとして知られるプロセスは、流体の表面の運動を達成する。表面トポロジにおけるこの変化は、伝播経路を変更するように光が屈折することを可能にし、それによって光をフォーカスする。
【0012】
一方、超音波は流体媒体中を伝播する。実際、人間の体は、しばしば疎密波以外の高周波音波をサポートすることができない流体とみなされる。この意味において、波は、バルク組織中の音の伝播速さにおける差による又は界面における音の速さの突然の変化による歪みに高感度である。この特性は、PCT公報WO2005/122139において利用され、この文献の全てが本明細書中で完全に記載されたものとして参照として本明細書に組み込まれる。PCT公報WO2005/122139は、音響変換器への超音波及び音響変換器からの超音波をフォーカスするために、レンズと接触するバルク組織とは異なる音速を有する可変焦点流体レンズの使用を開示する。しかしながら、PCT公報WO2005/122139は、音波の仰角焦点を制御するために1次元音響変換器アレイに可変焦点流体レンズ技術を適用することを開示又は教示しない。
【0013】
音波を発生させる音響発生器、前記音波を可変に屈折させることが可能である音響インタフェース、及び前記音響発生器から前記音響界面へ前記音波を導くための手段を含む音響装置の1つ以上の実施の形態が、以下で開示される。有利なことに、前記音響インタフェースは、音波が異なる音速をその中で持つ2つの別々の流体媒体間の境界、及び前記境界の少なくとも一部の変位を選択的に引き起こすために流体媒体の一方の少なくとも一部に力を直接適用するための手段を含む。
【0014】
図1A-Bは、音響変換器20に結合する可変屈折音響レンズ10を有する音響プローブ100の一実施例を示す。有利なことに、可変屈折音響レンズ10は、後でより詳しく説明されるように、伝播軸に沿って("フォーカス")及びこの面に対して垂直に("偏向")、音波の仰角焦点を変化させる能力を含む。可変屈折音響レンズ10は、ハウジング110、カップリング素子120、第1及び第2流体媒体141及び142、第1電極150並びに少なくとも1つの第2電極160aを含む。例えば、ハウジング110は円筒状の形状であることができる。有利なことに、ハウジング110の上端部及び下端部は実質的に音響的に透明であり、一方、音波はハウジング110の側壁を貫通しない。音響変換器20は、有利には1つ以上の音響整合層130によって、ハウジング110の下部に結合する。
【0015】
一実施例において、音響プローブ100は、送信モード及び受信モードの両方で動作するように適応される。その場合、送信モードにおいて、音響変換器20は、それへの電気信号入力を、それが出力する音波に変換する。受信モードにおいて、音響変換器20は、それが受信する音波を、それが出力する電気信号に変換する。音響変換器20は、音波の技術において公知の種類のものである。有利には、音響変換器20は、音響変換素子の1次元アレイを有する。
【0016】
別の実施例において、音響プローブ100は、その代わりに、受信専用モードで動作するように適応されることができる。その場合、送信変換器は、それとは別に提供される。
【0017】
有利には、カップリング素子120がハウジング110の一端に提供される。カップリング素子120は、体(例えば人間の体)に対して押圧される場合に接触面積を拡張するように設計される。有利には、カップリング素子120は、マイラーフィルムのようなカップリング固体物質で満たされるフレキシブル密封ポケット(すなわち音響ウィンドウ)又は体に対して実質的に等しい音響インピーダンスを有するプラスチック薄膜からなる。
【0018】
ハウジング110は、第1及び第2流体媒体141及び142がその中に提供されるボリュームVを持つ密封キャビティを取り囲む。一実施例において、例えば、ハウジング110の中のキャビティのボリュームVは、直径が約0.8cmで、高さ(すなわちハウジング110の軸に沿った長さ)が約1cmである。
【0019】
有利には、第1及び第2流体媒体141及び142中の音の速さは互いに異なる(すなわち、音波が流体媒体141の中で流体媒体142中とは異なる速度で伝播する)。また、第1及び第2流体媒体141及び142は、互いに混ざり合わない。したがって、それらはキャビティの中で常に別々の液相のままである。第1及び第2流体媒体141及び142間の分離は、第1及び第2流体媒体141及び142の間の境界を定める接触面又はメニスカスであり、いかなる固体の部分も伴わない。また、有利には、2つの流体媒体141, 142のうちの一方は導電性であり、他方の流体媒体は実質的に非導電性又は電気的に絶縁性である。
【0020】
一実施例において、第1流体媒体141は、主として水から成る。例えばそれは、電気極性挙動を示すため又は導電性であるために十分に高いイオン含有量を持つ塩溶液であることができる。その場合、第1流体媒体141は、カリウム及び塩化物イオンを、例えば共に1 mol. l-1の濃度で含むことができる。代わりにそれは、ナトリウム又はカリウムのようなイオンの(例えば0.1 mol.l-1の濃度での)存在に起因してかなりの導電率を有する水とエチルアルコールとの混合物であることができる。例えば、第2流体媒体142は、電場に反応しないシリコンオイルから成ることができる。有利には、第1流体媒体141中の音の速さは1480m/sであることができ、第2流体媒体142中の音の速さは1050m/sであることができる。
【0021】
有利には、第1電極150は、2つの流体媒体141, 142のうちの電気的に導電性である一方と接触するように、ハウジング110中に提供される。図1A-Bの例において、流体媒体141が電気的に導電性の流体媒体であり、流体媒体142が実質的に非導電性の流体媒体であると仮定する。しかしながら、流体媒体141が実質的に非導電性の流体媒体であり、流体媒体142が電気的に導電性の流体媒体であることができることが理解されるべきである。その場合、第1電極150は流体媒体142に接触するように配置される。またその場合、図1A-Bに示される接触メニスカスの凹面は逆になる。
【0022】
一方、第2電極160aは、ハウジング110の側方の(側)壁に沿って提供される。オプションとして、2つ以上の第2電極160a, 160bなどが、ハウジング110の側方の(側)壁(又は複数の壁)に沿って提供される。電極150及び160aは、可変電圧源(図1A-B中に図示せず)の2つの出力に接続される。
【0023】
操作上、可変屈折音響レンズ10は、次のように音響変換器20と共に動作する。図1Aの例示的な実施の形態において、可変電圧源によって電極150と160との間に印加される電圧がゼロである場合、第1及び第2流体媒体141及び142間の接触面はメニスカスM1である。既知のように、メニスカスの形状は、ハウジング110の側方の壁の内側の表面特性によって決定される。その形状は、特に第1及び第2流体媒体141及び142の両方が実質的に等しい密度である場合には、おおよそ球面の一部である。音波Wが第1及び第2流体媒体141, 142の中で異なる伝播速度を持つので、第1及び第2流体媒体141, 142で満たされるボリュームVは、音波Wの収束レンズとして作用する。したがって、プローブ100に入る音波Wの拡散は、第1及び第2流体媒体141, 142間の接触面を横切る際に低減される。可変屈折音響レンズ10の焦点距離は、音響変換器20から音波の点音源までの距離であり、音波は、音響変換器20に当たる前にレンズ(可変屈折音響レンズ20)によって平面にされる。
【0024】
可変電圧源によって電極150と160との間に印加される電圧が正又は負の値に設定される場合、電極150と160との間の電場に起因して、メニスカスの形状は変更される。特に、力が、第1及び第2流体媒体141と142との間の接触面に隣接した第1流体媒体141の一部に加えられる。第1流体媒体141の極性の挙動のために、それは電極160に近づく傾向があり、第1及び第2流体媒体141及び142間の接触面は、図1Bの例示的な実施の形態にて図示されるように平らになる。図1Bにおいて、M2は、電圧がゼロでない値に設定される場合の接触面の形状を示す。接触面の形のそのような電気的に制御された変化は、エレクトロウェッティングと呼ばれる。第1流体媒体141が導電性である場合には、電圧が印加された場合の第1及び第2流体媒体141及び142間の接触面の形状の変化は、以前に説明されたものと同じである。接触面の平坦化によって、電圧がゼロでない場合、可変屈折音響レンズ10の焦点距離は増加する。
【0025】
有利には、図1A-Bの例において、流体媒体141が主として水から成る場合には、少なくともハウジング110の底部壁が親水性被覆170でコーティングされる。もちろん、流体媒体142が主として水から成る異なる例において、ハウジング110の上部壁が代わりに親水性被覆170でコーティングされることができる。
【0026】
一方、PCT公報WO2004051323(同文献は全体として本明細書に十分に記載されたものとして参照として本明細書に組み込まれる)は、可変屈折流体レンズのメニスカスを傾けることの詳細な説明を提供する。
【0027】
有利には、以下でより詳細に説明されるように、音響変換器20に結合する可変屈折音響レンズ10の組み合わせは、従来の1次元変換器アレイを置き換えることができ、所望の仰角焦点調節によってさまざまな深さに最大エネルギーを供給することを可能にするための仰角焦点のリアルタイム調整という更なる利点をもつ。
【0028】
図2は、リアルタイム仰角焦点制御を提供するために音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを含む音響プローブを使用した音響撮像装置200の実施の形態のブロック図である。音響撮像装置200は、プロセッサ/コントローラ210、送信信号源220、送受信スイッチ230、音響プローブ240、フィルタ250、利得/減衰ステージ260、音響信号処理ステージ270、仰角焦点コントローラ280及び可変電圧源290を含む。一方、音響プローブ240は、音響変換器244に結合する可変屈折音響レンズ242を含む。
【0029】
音響プローブ240は、図1に関して上で説明されたような音響プローブ100として実現されることができる。その場合、有利には、可変屈折音響レンズ242の2つの流体141, 142は整合するインピーダンスを持つが、異なる音の速さを持つ。これは、ビームの方向の制御を可能にしつつ、音波の最大限の前方への伝播を可能にする。有利には、流体141, 142は、音波の焦点調節及び屈折のフレキシビリティを最大化するように選択される音の速さを持つ。
【0030】
有利には、音響変換器要素244は、音響変換素子の1次元アレイから成る。
【0031】
操作上、音響撮像装置200は、次のように動作する。
【0032】
仰角焦点コントローラ280は、可変電圧源290によって可変屈折音響レンズ242の電極に印加される電圧を制御する。前述したように、これは次に可変屈折音響レンズ242の「焦点距離」を制御する。
【0033】
可変屈折音響レンズ242中の2つの流体によって定められるメニスカスの面が適切なトポロジに達すると、プロセッサ/コントローラ210は、所望の音波を生成するために音響変換器244に適用される所望の電気信号を生成するように送信信号源220を制御する。ある場合において、送信信号源220は、Mモードにおいて動作する短時間の(広帯域の)信号、パルス波ドップラーを可能にするできる限り短いトーンバースト又は他の撮像技術のための他の関連する信号を生成するように制御されることができる。典型的な用途は、臨床的関心領域に調節される一定の仰角焦点で平面を撮像することである。他の用途は、複数の焦点で平面を撮像し、軸焦点の領域に供給されるエネルギーを最大化するように仰角焦点を調節することである。音響信号は、通常のエコー、Mモード若しくはPWドップラーのような時間領域で分解された信号であることができ、又はCWドップラーのような時間領域で分解されていない信号であることもできる。
【0034】
図2の実施の形態において、音響プローブ240は、送信モード及び受信モードの両方で動作するように適応される。あるいは前述したように、別の実施例において、音響プローブ240は受信専用モードで動作するように適応されることができる。その場合、送信変換器が別に提供され、送受信スイッチ230は省略されることができる。
【0035】
図3は、図2の音響撮像装置200の仰角焦点を制御する方法300の一実施例のフローチャートを示す。
【0036】
第1ステップ305において、音響プローブ240が患者に結合される。
【0037】
そして、ステップ310において、仰角焦点コントローラ280は、可変電圧源290によって可変屈折音響レンズ242の電極に印加される電圧を、標的仰角にフォーカスするように制御する。
【0038】
次に、ステップ315において、プロセッサ/コントローラ210は、所望の電気信号を音響変換器244に適用するために、送信信号源220及び送受信スイッチ230を制御する。音波を生成し、目標仰角を含めて患者の標的領域に音波をフォーカスするために、可変屈折音響レンズ242は音響変換器244と連動して動作する。
【0039】
続いて、ステップ320において、可変屈折音響レンズ242は、患者の標的領域から戻る音波を受信するために音響変換器244と連動して動作する。この時に、プロセッサ/コントローラ210は、電気信号を音響変換器244からフィルタ350に出力するために、音響変換器244をフィルタ250に接続するように送受信スイッチ230を制御する。
【0040】
次に、ステップ330において、フィルタ250、利得/減衰器ステージ260及び音響信号処理ステージ270は、音響変換器244からの電気信号を調節してそれから受信音響データを生成するために、一緒に動作する。
【0041】
それで、ステップ340において、受信音響データは、音響撮像装置200の音響信号処理ステージ270のメモリ(図示せず)に記憶される。
【0042】
次に、ステップ345において、プロセッサ/コントローラ210は、他の仰角平面に焦点を合わせるかどうかを決定する。もしそうならば、ステップ350において新しい仰角平面が選択され、プロセスはステップ310において繰り返す。そうでない場合には、ステップ355において、音響信号処理ステージ270は、画像を作成して出力するために、受信音響データを(たぶんプロセッサ/コントローラ210と連動して)処理する。
【0043】
最終的に、ステップ360において、音響撮像装置200は画像を出力する。
【0044】
一般に、方法300は、音波が通常のエコー、Mモード若しくはPWドップラーのような時間領域で分解された信号又はCWドップラーのような時間領域で分解されていない信号である測定を行うように適応されることができる。
【0045】
好ましい実施の形態がここで開示されるが、多くのバリエーションが可能であり、それらは本発明のコンセプト及び範囲内である。そのようなバリエーションは、本願の明細書、図面及び特許請求の範囲の調査の後、当業者にとって明らかになる。したがって、本発明は添付の請求項の精神及び範囲以外では制限されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを含む音響プローブの一実施例を示す図。
【図1B】音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを含む音響プローブの一実施例を示す図。
【図2】音響撮像装置の仰角焦点を制御する方法の一実施例のフローチャート。
【図3】他の音響撮像装置の実施の形態のブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次元のアレイで配置される複数の音響変換素子を持つ音響変換器、及び前記音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを含み、前記可変屈折音響レンズが、その電極に印加される選択された電圧に応答して当該可変屈折音響レンズの少なくとも1つの特性を調整する少なくとも一組の電極を持つ、音響プローブ、
前記音響変換器に結合する音響信号プロセッサ、
選択された信号を前記一組の電極に印加する可変電圧源、並びに
選択された電圧を前記一組の電極に印加するように前記可変電圧源を制御するコントローラを有する、音響撮像装置。
【請求項2】
送信信号源、並びに前記音響変換器を前記送信信号源及び前記音響信号プロセッサに選択的に結合する送受信スイッチをさらに有する請求項1に記載の音響撮像装置。
【請求項3】
前記可変屈折音響レンズが、
キャビティ、
前記キャビティ内に配置される第1及び第2流体媒体、並びに
第1及び第2電極を有し、
第1流体媒体中の音波の音の速さが第2流体媒体中の音波の音の対応する速さと異なり、
第1及び第2流体媒体が互いに混ざり合わず、
第1流体媒体が第2流体媒体と実質的に異なる導電率を持つ、
請求項1に記載の音響撮像装置。
【請求項4】
第1及び第2流体媒体が実質的に等しい密度を持つ、請求項3に記載の音響撮像装置。
【請求項5】
前記可変屈折音響レンズが前記キャビティを定めるハウジングを含み、前記一組の電極のうちの第1電極が前記ハウジングの底部又は上部に提供され、前記一組の電極のうちの第2電極が前記ハウジングの側方の側面に提供される、請求項3に記載の音響撮像装置。
【請求項6】
前記一組の電極のうちの第1電極が、第1及び第2流体媒体のうちのより大きな導電性を持つ一方に接触して提供され、前記一組の電極のうちの第2電極が、より大きな導電性を持つ第1及び第2流体媒体から絶縁される、請求項3に記載の音響撮像装置。
【請求項7】
前記可変屈折音響レンズが、少なくとも1つの音響整合層によって前記音響変換器に結合する、請求項1に記載の音響撮像装置。
【請求項8】
前記電極に印加される選択された電圧に応答して調整される、前記可変屈折音響レンズの前記少なくとも1つの特性が、前記可変屈折音響レンズの焦点及び仰角を含む、請求項1に記載の音響撮像装置。
【請求項9】
1次元のアレイに配置された複数の音響変換素子を含む音響変換器、及び前記音響変換器に結合する可変屈折音響レンズを有し、前記可変屈折音響レンズが、その電極に印加される選択された電圧に応答して、当該可変屈折音響レンズの少なくとも1つの特性を調整する少なくとも一組の電極を持つ、音響プローブ。
【請求項10】
前記可変屈折音響レンズが、
キャビティ、
前記キャビティ内に配置される第1及び第2流体媒体、並びに
前記一組の電極を有し、
第1流体媒体中の音波の音の速さが第2流体媒体中の音波の音の対応する速さと異なり、
第1及び第2流体媒体が互いに混ざり合わず、
第1流体媒体が第2流体媒体と実質的に異なる導電率を持つ、
請求項9に記載の音響プローブ。
【請求項11】
第1及び第2流体媒体が実質的に等しい密度を持つ請求項10に記載の音響プローブ。
【請求項12】
前記可変屈折音響レンズが前記キャビティを定めるハウジングを含み、前記一組の電極のうちの第1電極が前記ハウジングの底部又は上部に提供され、前記一組の電極のうちの第2電極が前記ハウジングの側方の側面に提供される、請求項10に記載の音響プローブ。
【請求項13】
前記一組の電極のうちの第1電極が、第1及び第2流体媒体のうちのより大きな導電性を持つ一方に接触して提供され、前記一組の電極のうちの第2電極が、より大きな導電性を持つ第1及び第2流体媒体から絶縁される、請求項10に記載の音響プローブ。
【請求項14】
前記可変屈折音響レンズが、少なくとも1つの音響整合層によって前記音響変換素子に結合する、請求項9に記載の音響プローブ。
【請求項15】
前記電極に印加される選択された電圧に応答して調整される、前記可変屈折音響レンズの前記少なくとも1つの特性が、前記可変屈折音響レンズの焦点及び仰角を含む、請求項9に記載の音響プローブ。
【請求項16】
音波を用いて測定を実行する方法であって、
(1)音響プローブを患者に当て、
(2)所望の仰角焦点にフォーカスするように前記音響プローブの可変屈折音響レンズを制御し、
(3)前記所望の仰角焦点に対応する標的領域から戻ってくる音波を音響変換器において前記可変屈折音響レンズから受け取り、
(4)受け取られた前記音波に対応する電気信号を前記音響変換器から出力する、
方法。
【請求項17】
(5)前記変換器によって出力された前記電気信号から受信音響データを生成する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(6)前記受信音響データをメモリに記憶し、
(7)他の仰角焦点にフォーカスするか否かを決定し、
(8)他の仰角焦点が選択される場合、新たな仰角焦点に対してステップ(1)から(7)を繰り返し、
(9)もはや仰角焦点が選択されない場合、記憶された音響データを処理し、処理された音響データから画像を出力する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(3)に先立って、前記所望の仰角焦点にフォーカスされた音波を生成するために、前記可変屈折音響レンズに結合する前記音響変換器に電気信号を適用する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
標的領域にフォーカスするための前記可変屈折音響レンズの制御が、前記可変屈折音響レンズのハウジングの中に配置された2つの流体を互いに対して変位させるために前記可変屈折音響レンズの電極に電圧を印加することを含み、前記2つの流体が互いに異なる音波伝播速度を持つ、請求項16に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−535146(P2009−535146A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508594(P2009−508594)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051582
【国際公開番号】WO2007/125500
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】