説明

音量予測プログラム、音量予測装置及び音量予測方法

【課題】電子機器の内部における音の有用な伝達特性を予測することを課題とする。
【解決手段】音量予測装置は、電子機器のモデル情報と、電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報とを取得する。また、音量予測装置は、モデル情報と位置情報とに基づいて、電子機器内の音源から発生する音の伝搬経路を示す音線について、該音源の位置から吸気部及び/又は排気部の方向に、電子機器の外部に到達するまで該音線を延伸する。また、音量予測装置は、延伸された音線上の流路における幾何情報に基づいて、電子機器内における音の伝達特性を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量予測プログラム、音量予測装置及び音量予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器には、該電子機器に含まれる電子部品を冷却するファンが実装されることが多い。電子機器に実装されるファンは、該電子機器の動作や周囲環境等に起因して発生する電子部品の発熱を抑制するので、発熱による電子機器の故障や高温となった電子機器に利用者が触れることによる火傷等を防止することができる。
【0003】
近年では、電子機器が種々の機能を有することにより電子部品数が増加することや、電子機器の小型化に伴い圧力損失が増大することで、ファンをより一層回転させることとなり、ファンの動作音による騒音が問題となっている。このため、静音化が要求される電子機器に対しては、該電子機器の設計段階において適切な冷却設計、ファンの選択及びファン回転数の制御等を検討することが好ましい。
【0004】
電子機器におけるファンによる騒音の予測については、一つの態様として、ファンのメーカ等から提供される無負荷時及び定格時の回転数において、吸気側正面から1メートル離れた位置の音圧レベル値に基づいて予測する方法がある。また、電子機器におけるファンによる騒音の予測については、他の態様として、動作点での負荷騒音に基づいて予測する手法もある。
【0005】
最近では、熱解析により動作点でのファン前後の圧力差を予測し、ファンの負荷騒音やPQ特性等から動作点での負荷騒音や風量を予測する技術がある。また、最近では、送風機によってダクト端部に伝達する騒音を予測する技術がある。また、最近では、騒音源から障壁の先の受音点までの最短伝搬経路を示す音線を引き、距離減衰や回折減衰等を計算して、該受音点での騒音を予測する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−108642号公報
【特許文献2】特開平8−123434号公報
【特許文献3】特開平4−165900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、電子機器の内部における音の有用な伝達特性を予測することができないという課題がある。具体的には、熱解析により動作点での負荷騒音を予測する技術は、電子機器の内部における音の伝達特性を予測するものではない。また、ダクト端部に伝達する騒音を予測する技術は、ダクト内の形状や配置される電子部品毎の減衰量等を事前に実測して、利用者が手入力することになる。ダクト内の形状や配置される電子部品は、電子機器の新規設計において従来とは異なるものになるため、既存品での実測値を用いれば生じる誤差が大きくなることがある。
【0008】
また、騒音源から受音点までの最短伝搬経路の音線を引く技術は、複雑に入り組んだ電子機器の内部における音の伝達特性について、距離減衰及び回折減衰を計算することになるため計算量が増大し、電子機器の内部における音の伝達特性の予測には適さない。ところで、一般に、SEA(Statistical Energy Analysis:統計的エネルギ解析)、FEM(Finite Element Method:有限要素法)及びBEM(Boundary Element Method:境界要素法)等の解析ツールが知られている。かかる解析ツールは、モデル作成やデータベースの事前準備等の利用者に対する高いスキルが要求される。もちろん、電子機器内の音線を、断面図を見ながら利用者が設定する場合には、ファンとマイクロホンとの数が多数であれば、該音線を引く工数が増大することは言うまでもない。
【0009】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電子機器の内部における音の有用な伝達特性を予測することが可能である音量予測プログラム、音量予測装置及び音量予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する音量予測プログラムは、電子機器に含まれるファンの回転に起因する音の音量を予測する音量予測装置に実行させる音量予測プログラムであって、電子機器のモデル情報と、電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報とに基づいて、ファンの回転によって発生する音の伝搬経路を示す音線について、該ファンの位置から吸気部及び/又は排気部の方向に、電子機器の外部に到達するまで該音線を延伸し、延伸された音線上の流路における幾何情報に基づいて音の伝達特性を予測する処理を音量予測装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本願に開示する音量予測プログラム、音量予測装置及び音量予測方法の一つの態様は、電子機器の内部における音の有用な伝達特性を予測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施例に係る音量予測装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、音線延伸部による音線の延伸について説明する図である。
【図3A】図3Aは、音線が曲折する例を説明する図である。
【図3B】図3Bは、音線が曲折する例を説明する図である。
【図4】図4は、電子機器の外部近傍に障壁が存在する場合の音線の例について説明する図である。
【図5】図5は、電子機器外部における音線の例を示す図である。
【図6】図6は、充填率の算出に係る電子機器内部の空間の抽出の例を示す図である。
【図7A】図7Aは、電子機器の装置内における音の伝達特性である装置内減衰量の例を示す図である。
【図7B】図7Bは、電子機器の装置内における音の伝達特性である装置減衰適用後の例を示す図である。
【図8】図8は、本実施例に係る音量予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、音量予測プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する音量予測プログラム、音量予測装置及び音量予測方法の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
[音量予測装置の構成]
図1を用いて、本実施例に係る音量予測装置の構成を説明する。図1は、本実施例に係る音量予測装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、音量予測装置100は、記憶部110と、制御部120とを有し、電子機器内の音源から発生する音の音量を予測する。なお、以下では、音源の一例としてファンを挙げて説明する。
【0015】
記憶部110は、制御部120による各種処理に要するデータや、制御部120による各種処理結果を記憶し、モデル情報111を有する。また、記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。
【0016】
モデル情報111は、電子機器や該電子機器に含まれる各種電子部品に関する情報を記憶する。例えば、モデル情報111は、電子機器自体の形状や大きさに関する情報に加え、電子機器に含まれる各種電子部品の名称、電子機器内における位置情報、形状、大きさ及び電子部品の向きに関する情報等を記憶する。すなわち、モデル情報111は、電子機器自体に関する情報に加え、電子機器内のどの場所にどの電子部品がどの方向に配置されているか等の情報を有する。
【0017】
制御部120は、制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム及び所要データを格納するための内部メモリを有し、音量予測装置100全体を制御する。また、制御部120は、音線延伸部121と、伝達特性予測部122とを有する。また、制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、又は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0018】
音線延伸部121は、モデル情報111に記憶された各種のモデル情報と、電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報とに基づいて、ファンの回転によって発生する音の伝搬経路を示す音線を延伸する。例えば、音線延伸部121は、モデル情報111に含まれるファンの位置情報及び向きと、入力された吸気部及び/又は排気部の位置情報とに基づき、ファンから吸気部及び/又は排気部の方向に、電子機器の外部に到達するまで音線を延伸する。なお、吸気部及び排気部の位置情報は、記憶部110が予め記憶していても良い。
【0019】
図2を用いて、音線延伸部121による音線の延伸について説明する。図2は、音線延伸部121による音線の延伸について説明する図である。図2では、ファンや各種電子部品を有する電子機器の断面を示しており、吸気部まで音線を延伸する場合を説明する。
【0020】
例えば、図2に示すように、音線延伸部121は、モデル情報111に含まれるファンに関する位置、形状及び大きさ等の情報と、入力された吸気部の位置情報とに基づき、ファンから吸気部の方向に、電子機器の外部に到達するまで音線を延伸する。このとき、音線延伸部121は、延伸された音線上に電子部品が存在する場合に、音線を曲折させることになる。
【0021】
図3A及び図3Bを用いて、音線が曲折する例を説明する。図3A及び図3Bは、音線が曲折する例を説明する図である。図3A及び図3Bでは、電子機器やファン以外の電子部品を図示せず、電子機器の内面或いは電子部品の外面と、音線の流路との境界線を図示している。
【0022】
例えば、図3A及び図3Bに示すように、音線延伸部121は、音線の延伸において境界線が存在する場合に、複数の境界線同士の中央付近を通るように、吸気部及び/又は排気部の方向に、電子機器の外部に到達するまで音線を延伸する。境界線については、音線延伸部121は、モデル情報111に含まれる電子機器及び電子部品に関する位置や大きさ等の情報から求めることになる。なお、図3A及び図3Bでは、説明の簡略のために平面の断面を示しているが、音線は、ファンの位置から吸気部及び/又は排気部に向かいつつ、全ての方向に曲折し得る。
【0023】
また、音線延伸部121は、電子機器の外部に障壁がある場合に、該電子機器と該障壁との間を電子機器の内部とみなして、該障壁がない位置に到達するまで音線を延伸する。図4を用いて、電子機器の外部近傍に障壁が存在する場合の音線について説明する。図4は、電子機器の外部近傍に障壁が存在する場合の音線の例について説明する図である。
【0024】
図4では、電子機器のファンの吸気側に障壁が存在する場合を図示している。また、図4に示す排気側及び吸気側における網掛けは、音の広がりを示しており、該網掛けが濃いほど該音のレベルがより強いことを示している。また、図4に示すマイクロホンは、音を測定するものであり、実線の矢印は電子機器内部における音線を、破線の矢印は電子機器外部における音線を示している。
【0025】
例えば、図4に示すように、音線延伸部121は、吸気部と床面等の障壁との距離が所定距離未満である場合に、該電子機器と該床面との位置の中央付近を通るように、音を測定するマイクロホンの方向に向かって、所定距離以上になるまで音線を延伸する。なお、障壁の位置やマイクロホンの位置等は、予め記憶部110に記憶されたもの或いは音量予測装置100に入力されたものを利用する。また、吸気部及び/又は排気部が複数存在する場合には、吸気部及び/又は排気部それぞれの位置が入力される。
【0026】
図5を用いて、電子機器外部における音線について説明する。図5は、電子機器外部における音線の例を示す図である。図5に例示する直方体の電子機器は、該電子機器の長手状の一端と他端とに吸気部及び排気部を有する。すなわち、図5では、例えば、吸気部から任意のマイクロホンまで破線で示す音線が延伸されており、排気部から任意のマイクロホンまで一点鎖線で示す音線が延伸されている。
【0027】
例えば、図5に示すように、音線延伸部121は、マイクロホンの位置情報に基づき、吸気部及び/又は排気部まで延伸された音線を、該マイクロホンへの最短距離となるように該音線を延伸する。電子機器外部における音線については、任意の手法で延伸すれば良い。
【0028】
図1の説明に戻り、伝達特性予測部122は、音線延伸部121によって延伸された音線上の流路における幾何情報に基づいて音の伝達特性を予測する。例えば、伝達特性予測部122は、音線延伸部121によって延伸された音線の電子機器内における距離を求める。
【0029】
このとき、伝達特性予測部122は、音線の形状が曲折する場合に、該曲折する角度を求めつつ該音線の距離を求める。すなわち、音線の形状が曲折する場合には、音の強さが減衰する場合があるため、該曲折する角度を求めることになる。また、複数の音線が引ける場合、すなわち装置内に複数の音の経路がある場合には、各音線が分岐する位置における各音線の通る流路の断面積、断面の向き等に応じて音のエネルギーを分割して各音線毎に予測される音の伝達特性を適用して電子機器端部での音量を求め、全音線分をエネルギー合計して全音線での音量を予測する。なお、主となる音線が明確であり、他の音線の経路での音の伝達が小さい場合等では、伝達特性の予測で利用する音線は、例えば、音線延伸部121で延伸された音線のうち、最短距離となるもの或いは曲折する回数が最も少ないもの等に限定して利用すれば良い。利用する音線の規定については、任意に変更可能である。
【0030】
また、伝達特性予測部122は、例えば、電子機器内における音線上の流路における断面積及び充填率を求め、音の伝達特性を予測する。詳細には、伝達特性予測部122は、電子機器内の音線が通る空間毎に、平均断面積、最小断面積及び充填率等を求め、求められた音線の距離、断面積、充填率及び曲折する角度等に基づいて、音線毎における音の伝達特性を周波数毎に予測する。このうち、平均断面積は、例えば、空間の全ての断面積の平均を示す。また、最小断面積は、例えば、流路のうち最も狭い部分の断面積を示す。なお、伝達特性予測部122は、伝達特性の予測においては任意の数式を利用する。
【0031】
図6を用いて、充填率の算出に係る電子機器内部の空間の抽出を説明する。図6は、充填率の算出に係る電子機器内部の空間の抽出の例を示す図である。図6では、電子機器の一例として、携帯電話機等の携帯端末を挙げており、網掛け部分は空間を、白抜き部分は電子部品を、実線は電子部品の外周をそれぞれ示している。例えば、伝達特性予測部122は、図6に示す電子機器内部の空間の体積と、電子部品の体積とをモデル情報に基づいて抽出し、電子部品の充填率を求める。
【0032】
図7A及び図7Bを用いて、電子機器等の装置内における音の伝達特性を説明する。図7Aは、電子機器の装置内における音の伝達特性である装置内減衰量の例を示す図である。図7Bは、電子機器の装置内における音の伝達特性である装置減衰適用後の例を示す図である。
【0033】
図7A及び図7Bでは、縦軸は音圧レベル(dB(A))を示し、横軸は周波数(Hz)を示している。図7Aは、装置内における減衰量を示すことから、音圧レベルは、ファンの位置における音圧レベルと、電子機器の外部に到達する吸気部或いは排気部における音圧レベルとの差である。
【0034】
また、図7Bでは、実線は周波数毎におけるファンの音圧レベルを示し、一点鎖線は装置内減衰の適用後の音圧レベルである伝達特性を示している。すなわち、図7Bに示す一点鎖線の装置内減衰適用後の伝達特性は、実線で示すファン音に、図7Aに示す装置内減衰量を含む種々の幾何情報を適用したときの伝達特性となる。
【0035】
このようにして電子機器内部における伝達特性を予測した音量予測装置100は、例えば、予測した伝達特性と、熱解析ソフト等から得られる動作点での負荷騒音や風量等の電子機器外部における伝達特性とに基づき、電子機器における音量(騒音)を予測する。かかる音量の予測では、電子機器内のファンが複数である場合に、全てのファンに対する音圧レベルを求めたり、各ファンに対する音圧レベルを求めたりする。
【0036】
[音量予測処理]
次に、図8を用いて、本実施例に係る音量予測処理について説明する。図8は、本実施例に係る音量予測処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0037】
例えば、図8に示す音量予測の開始のトリガとして、ユーザ等により音量の予測開始に係る所定操作が行われ、電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報等が入力される。そして、音量予測装置100は、位置情報が入力された場合に(ステップS101肯定)、該位置情報とモデル情報とに基づき、ファンから吸気部及び/又は排気部の方向に、電子機器の外部に到達するまで音線を延伸する(ステップS102)。このとき、音量予測装置100は、延伸された音線上に電子部品が存在する場合に、音線を曲折させる。
【0038】
続いて、音量予測装置100は、記憶部110或いは入力された吸気部及び/又は排気部、障壁及びマイクロホン等の位置情報を用いて、電子機器の外部に障壁があるか否かを判定する(ステップS103)。このとき、音量予測装置100は、吸気部及び/又は排気部と障壁との距離が所定距離未満等により電子機器の外部に障壁があると判定した場合に(ステップS103肯定)、障壁がない位置、すなわち所定距離以上になるまで音線を延伸する(ステップS104)。なお、音量予測装置100は、障壁がないと判定した場合には(ステップS103否定)、ステップS105の処理を実行する。
【0039】
その後、音量予測装置100は、延伸された電子機器内における音線の距離や、音線上の流路における断面積及び充填率、流路出口の短辺・長辺の長さ等を求め、音の伝達特性を予測する(ステップS105)。なお、音量予測装置100は、伝達特性の予測において、音線の形状が曲折する場合には、曲折する角度を求めて音の伝達特性の予測に用いることになる。また、音量予測装置100は、電子機器内の伝達特性を求めた後には、電子機器外部における音の伝達特性を距離減衰、指向性、床の反射音、回折減衰等の計算を行なうことにより、電子機器から出力される音量(騒音)を予測することになる。また、音量予測装置100は、電子機器内部における音の伝達特性を任意の装置に出力し、任意の装置が電子器機器から出力される音量を予測することにしても良い。
【0040】
[実施例による効果]
上述したように、音量予測装置100は、電子機器内部における音の伝搬経路を示す音線を延伸し、音線上における種々の幾何情報から該電子機器内部における音の伝達特性を予測する。この結果、音量予測装置100は、電子機器内部に存在する電子部品を考慮することなく伝達特性を予測する従来技術と比較して、電子機器の内部における音の有用な伝達特性を予測することができる。また、音量予測装置100は、電子機器内のファン等の音源から電子機器外の任意のマイクロホンの位置までの音線を幾何情報に基づいて延伸するので、断面図等を見ながら利用者が音線を設定する従来技術と比較して、作業工数を削減することができる。また、音量予測装置100は、上記のように事前準備や利用に関する高いスキルを要することがないので、SEA、FEM及びBEM等の解析ツールを利用する場合と比較して、容易に伝達特性を予測することができる。
【実施例2】
【0041】
さて、これまで本願に開示する携帯端末装置の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)装置の構成、(2)プログラム、において異なる実施例を説明する。
【0042】
(1)装置の構成
また、上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタ等を含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、図示した音量予測装置100の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。
【0043】
(2)プログラム
ところで、上記実施例では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現するようにしても良い。そこで、以下では、図9を用いて、上記実施例に示した音量予測装置100と同様の機能を有する音量予測プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図9は、音量予測プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【0044】
図9に示すように、音量予測装置100としてのコンピュータ11は、バス18で接続されるHDD13、CPU14、ROM15及びRAM16等を有する。
【0045】
ROM15には、上記実施例に示した音量予測装置100と同様の機能を発揮する音量予測プログラムが予め記憶されている。つまり、ROM15には、図9に示すように、音線延伸プログラム15aと、伝達特性予測プログラム15bとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム15a〜プログラム15bについては、図1に示した音量予測装置100の各構成要素と同様、適宜統合または分散しても良い。
【0046】
そして、CPU14がこれらのプログラム15a〜プログラム15bをROM15から読み出して実行する。これにより、図9に示すように、プログラム15a〜プログラム15bは、音線延伸プロセス14aと、伝達特性予測プロセス14bとして機能するようになる。なお、プロセス14a〜プロセス14bは、図1に示した、音線延伸部121と、伝達特性予測部122とに対応する。そして、CPU14は、RAM16に記録されたモデル情報等のデータに基づいて音量予測プログラムを実行する。
【0047】
なお、上記各プログラム15a〜プログラム15bについては、必ずしも最初からROM15に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ11に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておいても良い。また、例えば、コンピュータ11の内外に備えられるHDD等の「固定用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておいても良い。また、例えば、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ11に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」等に各プログラムを記憶させておいても良い。そして、コンピュータ11がこれから各プログラムを読み出して実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
100 音量予測装置
110 記憶部
111 モデル情報
120 制御部
121 音線延伸部
122 伝達特性予測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器内の音源から発生する音の音量を予測する音量予測装置に実行させる音量予測プログラムであって、
前記電子機器のモデル情報と、前記電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報とに基づいて、前記音源から発生する音の伝搬経路を示す音線について、該音源の位置から前記吸気部及び/又は排気部の方向に、前記電子機器の外部に到達するまで該音線を延伸し、
前記延伸された音線上の流路における幾何情報に基づいて音の伝達特性を予測する
処理を音量予測装置に実行させることを特徴とする音量予測プログラム。
【請求項2】
前記電子機器の外部近傍に障壁がある場合に、該電子機器と該障壁との間を前記電子機器の内部とみなして、該障壁がない位置に到達するまで前記音線を延伸する処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の音量予測プログラム。
【請求項3】
前記延伸された音線の距離及び形状と、前記音線上の流路における断面積及び充填率とを求め、音の伝達特性を予測する処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1又は2に記載の音量予測プログラム。
【請求項4】
前記延伸された音線の形状が曲折する場合に、該曲折する角度を求めつつ該音線の距離を求める処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項3に記載の音量予測プログラム。
【請求項5】
電子機器内の音源から発生する音の音量を予測する音量予測装置であって、
前記電子機器のモデル情報と、前記電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報とに基づいて、前記音源から発生する音の伝搬経路を示す音線について、該音源の位置から前記吸気部及び/又は排気部の方向に、前記電子機器の外部に到達するまで該音線を延伸する音線延伸部と、
前記音線延伸部によって延伸された音線上の流路における幾何情報に基づいて音の伝達特性を予測する伝達特性予測部と
を有することを特徴とする音量予測装置。
【請求項6】
電子機器内の音源から発生する音の音量を予測する音量予測装置が実行する音量予測方法であって、
前記電子機器のモデル情報と、前記電子機器の吸気部及び/又は排気部の位置情報とに基づいて、前記音源から発生する音の伝搬経路を示す音線について、該音源の位置から前記吸気部及び/又は排気部の方向に、前記電子機器の外部に到達するまで該音線を延伸し、
前記延伸された音線上の流路における幾何情報に基づいて音の伝達特性を予測する
処理を音量予測装置が実行することを特徴とする音量予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−63178(P2012−63178A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206066(P2010−206066)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】