音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法
【課題】ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価することを目的とする。
【解決手段】模擬音量測定装置50は、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンS2で測定された音量とのコヒーレンス(音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12)を算出し、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンR1で測定された音量とのコヒーレンス(音源−評価位置間コヒーレンスCoh13)を算出し、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12とマイクロフォンR1で測定された音量に基づいて、評価位置における模擬音源52の音量を算出する。さらに、模擬音量測定装置50は、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13、及び評価位置における模擬音源52の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する。
【解決手段】模擬音量測定装置50は、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンS2で測定された音量とのコヒーレンス(音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12)を算出し、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンR1で測定された音量とのコヒーレンス(音源−評価位置間コヒーレンスCoh13)を算出し、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12とマイクロフォンR1で測定された音量に基づいて、評価位置における模擬音源52の音量を算出する。さらに、模擬音量測定装置50は、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13、及び評価位置における模擬音源52の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所等で騒音の測定を行う場合、音源となる測定対象機器(ファンやポンプ等)の音量を所定の評価位置で測定する。しかし、他の周辺機器からの音(ノイズ)の影響を受けて、評価位置における対象機器の音量を正確に測定することが困難であった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、直線上に配置された複数のマイクロフォンと、その直線上の複数の音源と1つのマイクロフォンとの間の距離を測定する距離測定手段と、1つのマイクロフォンと各音源間、および他のマイクロフォン間の距離の情報を用い、各音源が発した音波を混合した混合波であって、各マイクロフォンで収音されて得られた混合信号から、目的音の信号成分を分離する音源分離手段を備え、音源分離手段は、各マイクロフォンから出力される出力信号を相互に分離係数を用いて線形結合し、線形結合後の信号間の相互相関係数の値が最小となるように分離係数での信号を出力信号とする技術が記載されている。従って、特許文献1に記載の技術では、同一方向から到来する目的音とノイズを分離して収音することができ、所望の出力に目的音を特定して出力できる。
【0004】
また、複数のマイクロフォンで構成されるマイクロフォンアレイを用いて、騒音の発生方向を特定し、音量の測定を行う技術も開発されている。
【0005】
さらに、評価位置で測定された音と、測定対象機器に近接した位置で測定された音とのコヒーレンスから、評価位置における測定対象機器の音量を評価する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−98003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の測定では、同一方向から到来する目的音とノイズとを分離することはできるが、異なる方向から到来する目的音とノイズとを分離することはできなかった。
また、上記マイクロフォンアレイを用いる測定では、非常に多数のマイクロフォンが必要となり、その構成が複雑になった。
さらに、上記コヒーレンスを用いる測定では、測定環境下においてノイズ源がある場合は、評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法は以下の手段を採用する。
【0010】
すなわち、本発明に係る音量誤差測定装置は、測定対象機器に近接して設置された第1マイクロフォンと、ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォンと、前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンと、前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンスを算出する第1算出手段と、前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスを算出する第2算出手段と、前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3算出手段と、前記第1算出手段で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3算出手段で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する導出手段と、を備える。
【0011】
本発明によれば、第1マイクロフォンが測定対象機器に近接して設置され、第2マイクロフォンがノイズ源に近接して設置され、第3マイクロフォンが第1マイクロフォン及び第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置される。
【0012】
第1算出手段によって、第1マイクロフォンで測定された音量と第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスが算出され、第2算出手段によって、第1マイクロフォンで測定された音量と第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスが算出される。そして、第3算出手段によって、第2算出手段で算出された第2コヒーレンスと第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、評価位置における測定対象機器の音量が算出される。
さらに、導出手段によって、第1算出手段で算出された第1コヒーレンス、第2算出手段で算出された第2コヒーレンス、及び第3算出手段で算出された測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データが導出される。
【0013】
このように、ノイズ源に近接して設置されたマイクロフォンで測定された音量も加味して、評価位置で測定される測定対象機器の音量の誤差を導出するので、本発明は、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0014】
一方、本発明に係る音量誤差測定方法は、測定対象機器を模擬した模擬音源に近接して設置された第1マイクロフォン、ノイズ源を模擬した模擬ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォン、前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンを用いて、音量を測定する第1工程と、前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンス、及び前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスとを算出する第2工程と、前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3工程と、前記第2工程で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3工程で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する第4工程と、を含む。
【0015】
本発明によれば、ノイズ源に近接して設置されたマイクロフォンで測定された音量も加味して、評価位置で測定される測定対象機器の音量の誤差を導出するので、本発明は、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0016】
また、本発明の音量誤差測定方法は、測定対象機器である音源に近接して設置された第4マイクロフォン、ノイズ源に近接して設置された第5マイクロフォン、前記第4マイクロフォン及び前記第5マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第6マイクロフォンを用いて測定された前記測定対象機器の音量の誤差を、前記第4工程で導出された前記予測誤差データを用いて評価してもよい。
【0017】
本発明によれば、測定対象機器である音源に近接して設置された第4マイクロフォン、ノイズ源に近接して設置された第5マイクロフォン、第4マイクロフォン及び第5マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第6マイクロフォンを用いて、測定対象機器の音量が測定される。
そして、測定対象機器の音量が予め導出された予測誤差データを用いて評価されるので、本発明は、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0018】
また、本発明は、予め予測誤差データが導出されているので、測定対象機器の音量の誤差が所望の大きさとなるように、第4マイクロフォン、第5マイクロフォン、及び第6マイクロフォンの設置位置を定めることができる。
【0019】
また、本発明の音量誤差測定方法は、前記第4マイクロフォンを、前記測定対象機器に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記測定対象機器以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとし、前記第5マイクロフォンを、前記ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記ノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとしてもよい。
【0020】
第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスが小さいほど、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差は、小さくなる。
そこで、本発明によれば、測定対象機器に対して指向性を有するマイクロフォン、又は測定対象機器以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、第4マイクロフォンとされ、ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又はノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、第5マイクロフォンとされる。
【0021】
これにより、第4マイクロフォンは、測定対象機器の音量のみを測定し易くなり、第5マイクロフォンは、ノイズ源の音量のみを測定し易くなるので、第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスが小さくなる。従って、本発明は、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差をより小さくできる。
【0022】
また、本発明の音量誤差測定方法は、前記第4マイクロフォンに替えて、前記測定対象機器の振動を検知する振動検知手段を備えてもよい。
【0023】
第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスが小さいほど、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差は、小さくなる。
そこで、本発明によれば、第4マイクロフォンに替えて、測定対象機器の振動を検知する振動検知手段を用いる。測定対象機器の振動は、測定対象機器の音量と周期及び大きさが関連しており、かつノイズ源からの音が測定対象機器の振動に与える影響は小さい。
【0024】
これにより、第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスに比較して、振動検知手段によって測定される振動と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスは小さくなる。従って、本発明は、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差をより小さくできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音量測定装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る音量測定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る模擬音量測定装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る評価位置におけるSN比と予測誤差との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態に係るSN比と音源−評価位置間コヒーレンスとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る音源−評価位置間コヒーレンスと予測誤差との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る予測誤差データ導出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る音源−ノイズ源間コヒーレンス、音源−評価位置間コヒーレンス、及び予測誤差の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態に係るマイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のコヒーレンス及びCOPとを示すグラフである。
【図11】本発明の第3実施形態に係音量測定装置の構成を示す模式図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るマイクロフォンS1,S2を用いた場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1の替わりに振動計を用いた場合のコヒーレンス及びCOPとを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る音量測定装置10の構成を示す模式図である。
音量測定装置10は、音源となる測定対象機器12に近接して設置されたマイクロフォンS1と、ノイズ源となる機器(以下、「ノイズ源機器14」という。)に近接して設置されたマイクロフォンS2と、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置されたマイクロフォンR1と、を備える。
【0029】
測定対象機器12とは、例えば、発電所等におけるファンやポンプ等であり測定対象音となる音N1(騒音)を発する機器であり、ノイズ源機器14とは、測定対象機器12以外であって、測定対象音に対して雑音となる音N2を発する機器である。なお、本第1実施形態に係る測定対象機器12からの音N1とノイズ源機器14からの音N2とは、相関関係がない。
また、マイクロフォンS1の位置は、例えば、測定対象機器12から数cm〜数十cm離れた位置であり、同様に、マイクロフォンS2の位置は、例えば、ノイズ源機器14から数cm〜数十cm離れた位置である。なお、図1に示されるマイクロフォンR1の位置は、測定対象機器12の位置とマイクロフォンS1の位置を結ぶ略直線上であるが、これは一例であり、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置であれば、マイクロフォンR1の位置(評価位置)は限定されない。
【0030】
さらに、音量測定装置10は、マイクロフォンS1,S2,R1で測定された音を示すデータ(以下、「音データ」という。)が入力され、該データに対して種々の処理を行う情報処理装置16を備えている。
【0031】
図2は、情報処理装置16の電気的構成を示すブロック図である。
本第1実施形態に係る情報処理装置16は、情報処理装置16全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)20、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)22、CPU20による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)24、各種プログラム及び各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)26を備えている。
【0032】
さらに、情報処理装置16は、キーボード及びマウス等から構成され、各種操作の入力を受け付ける操作入力部28、各種画像を表示する、例えば液晶ディスプレイ装置等の画像表示部30、マイクロフォンS1,S2,R1と接続され、音データを受信する外部インタフェース32を備えている。
【0033】
これらCPU20、ROM22、RAM24、HDD26、操作入力部28、画像表示部30、及び外部インタフェース32は、システムバス34を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU20は、ROM22、RAM24、及びHDD26へのアクセス、操作入力部28に対する操作状態の把握、画像表示部30に対する画像の表示、及び外部インタフェース32を介したマイクロフォンS1,S2,R1からの音データの受信等を各々行なうことができる。
【0034】
ところで、マイクロフォンS1は、測定対象機器12に近接して設置されるので、主に測定対象機器12からの音N1を測定するが、測定対象機器12からの音N1と共にノイズ源機器14からの音N2も測定してしまう。また、マイクロフォンR1は、評価位置における測定対象機器12からの音N1を測定するが、測定対象機器12からの音N1と共にノイズ源機器14からの音N2も測定してしまう。
このため、マイクロフォンS1,R1で、測定される音には、測定対象機器12からの音とノイズ源機器14からの音とが混在するため、マイクロフォンS1,R1だけでは、測定対象機器12の音量を正確に測定することができない。
【0035】
そこで、本第1実施形態に係る音量測定装置10は、ノイズ源機器14に近接して設置されたマイクロフォンS2で測定された音量も用いることによって、評価位置における測定対象機器の音量をより正確に測定する音量測定処理を行う。
なお、マイクロフォンS2は、ノイズ源機器14に近接して設置されるので、主にノイズ源機器14からの音N2を測定するが、ノイズ源機器14からの音N2と共に測定対象機器12からの音N1も測定することとなる。
【0036】
図3は、音量測定処理を行う場合に、CPU20によって実行される音量測定プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、音量測定プログラムはHDD26の所定領域に予め記憶されている。なお、音量測定プログラムは、オペレータによって、音量測定処理の実行指示が操作入力部28を介して情報処理装置16に入力された場合に、実行を開始する。
【0037】
まず、ステップ100では、マイクロフォンS1,S2,R1に測定対象機器12及びノイズ源機器14からの音を測定させ、マイクロフォンS1,S2,R1から出力された音データの入力を受け付ける。音データは、不図示のアナログデジタル変換機によって、アナログデータからデジタルデータである音データに変換され、情報処理装置16に入力される。
【0038】
次の、ステップ102では、マイクロフォンS1によって測定された音量とマイクロフォンS2によって測定された音量とのコヒーレンスである、音源−ノイズ源間コヒーレンスを算出する。
音源−ノイズ源間コヒーレンスは、下記(1)式のコヒーレンス関数γS1S22によって算出される。
【数1】
(1)式において、GS1S1は、マイクロフォンS1の音データのパワースペクトルであり、GS2S2は、マイクロフォンS2の音データのパワースペクトルであり、GS1S2は、マイクロフォンS1の音データとマイクロフォンS2の音データとのクロススペクトルである。
【0039】
次のステップ104では、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンR1で測定された音量とのコヒーレンスである音源−評価位置間コヒーレンスを算出する。
音源−評価位置間コヒーレンスは、下記(2)式のコヒーレンス関数γS1R12によって算出される。
【数2】
(2)式において、GR1R1は、マイクロフォンR1の音データのパワースペクトルであり、GS1R1は、マイクロフォンS1の音データとマイクロフォンR1の音データとのクロススペクトルである。
【0040】
そして、コヒーレンス関数γS1R12は、マイクロフォンR1で測定された音量に含まれるマイクロフォンS1で測定された音量の割合となる。すなわち、ステップ104で算出される割合とは、マイクロフォンR1で測定された音量から、マイクロフォンS1で測定された音量以外の他の音量(ノイズ源機器14の音量)を除いた割合である。
【0041】
次のステップ106では、ステップ104で算出したコヒーレンス関数γS1R12とマイクロフォンR1で測定された音量に基づいて、評価位置における測定対象機器12の音量を算出する。
【0042】
具体的には、マイクロフォンR1で測定された音量に含まれるマイクロフォンS1で測定された音量の割合を示すコヒーレンス関数γS1R12を用いて、下記(3)式から、評価位置に設置されているマイクロフォンR1で測定された音量における測定対象機器12の音量を示すCOP(Coherent Output Power)を算出する。
【数3】
【0043】
なお、上記のような、COPによって音源の音量を特定する方法をCOP法という。
【0044】
次のステップ108では、評価位置における測定対象機器12の音量の算出結果を出力する出力処理を行い、本プログラムを終了する。
なお、出力処理としては、例えば、画像表示部30に算出結果を表示させたり、HDD26に算出結果を記憶させる。
【0045】
そして、本第1実施形態では、COP法によって算出した測定対象機器12の音量は、以下で説明するように、模擬音量測定装置50を用いて予め導出された予測誤差データに基づいて評価される。
【0046】
図4は、予測誤差データを導出するための模擬音量測定装置50の構成を示す。なお、図4における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第1実施形態に係る模擬音量測定装置50は、測定対象機器12を模擬した模擬音源52に近接してマイクロフォンS1が設置され、ノイズ源機器14を模擬した模擬ノイズ源54に近接してマイクロフォンS2が設置され、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置にマイクロフォンR1が設置されている。
なお、本第1実施形態に係る模擬音源52及び模擬ノイズ源54としては、一例として、測定対象機器12及びノイズ源機器14が発する音と同様の音を発するスピーカーを用いる。
【0047】
そして、本第1実施形態に係る模擬音量測定装置50は、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と、第1実施形態に係る音量測定処理によって算出される評価位置における測定対象機器12の音量(COP)に対して予測される誤差(以下、「予測誤差」という。)と、の関係を示す予測誤差データを導出する予測誤差データ導出処理を行う。
なお、本第1実施形態では、予測誤差データ導出処理に用いられる音データとして、マイクロフォンS1,S2,R1で測定された音データのうち、1/3(3分の1)オクターブバンドデータを用いる。
【0048】
ここで、図5は、評価位置におけるSN比と予測誤差との関係を示すグラフの一例であるであり、図5の例では、SN比が−5dB以下の環境においては、予測誤差が±5dB以下である。
【0049】
図5に示されるような環境下において、SN比と音源−評価位置間コヒーレンスCoh13との関係を示したグラフの一例が図6である。
図6の例では、図6の円で囲まれた領域で示されるように、SN比が小さい場合に、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13が大きい。
【0050】
また、図5に示されるような環境下において、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差との関係を示したグラフの一例が図7である。
図7の例では、図7の円で囲まれた領域で示されるように、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13が大きくても、予測誤差が大きい。
【0051】
そして、本第1実施形態では、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と予測誤差との関係と、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差との関係を組み合わせることによって、予測誤差データを導出する。
【0052】
図8は、予測誤差データ導出処理を行う場合に、CPU20によって実行される予測誤差データ導出プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、予測誤差データ導出プログラムはHDD26の所定領域に予め記憶されている。なお、予測誤差データ導出プログラムは、オペレータによって、予測誤差データ導出処理の実行指示が操作入力部28を介して情報処理装置16に入力された場合に、実行を開始する。
【0053】
まず、ステップ200では、マイクロフォンS1,S2,R1に模擬音源52及び模擬ノイズ源54からの音を測定させ、マイクロフォンS1,S2,R1からの出力された音データの入力を受け付ける。音データは、不図示のアナログデジタル変換機によって、アナログデータからデジタルデータである音データに変換され、情報処理装置16に入力される。
なお、本第1実施形態では、模擬音源52と模擬ノイズ源54から同時に音を出力させて音の測定を行う。また、本第1実施形態では、ノイズの影響の無い、より正確な音源−評価位置間コヒーレンスCoh13を算出するために、模擬音源52からの音を出力させる一方、模擬ノイズ源54からの音の出力を停止させた場合の音の測定も行う。
【0054】
次のステップ202では、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と予測誤差との関係、及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差の関係を導出する。
【0055】
なお、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12は、上述した音量測定処理におけるステップ102による音源−ノイズ源間コヒーレンス(コヒーレンス関数γS1S22)の算出方法と同様に算出される。また、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13は、上述した音量測定処理におけるステップ104による音源−評価位置間コヒーレンス(コヒーレンス関数γS1R12)の算出方法と同様に算出される。
【0056】
また、予測誤差は、模擬音源52と模擬ノイズ源54を用いて算出される。具体的には、「模擬音源52のみから音を出力させた場合のCOP」と「模擬音源52と模擬ノイズ源54から音を出力させた場合のCOP」の差が本第1実施形態にかかる予測誤差となる。
なお、COPの算出方法は、上述した音量測定処理におけるステップ106による評価位置における測定対象機器12の音量の算出方法と同様に算出される。
【0057】
次のステップ204では、ステップ202で導出した音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と予測誤差との関係、及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差との関係を組み合わせることによって、予測誤差データを導出する。
【0058】
図9は、導出した予測誤差データの一例を示すグラフである。
図9に示されるように、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12が小さく、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13が大きいほど、予測誤差は小さくなることが分かる。
【0059】
また、下記表1は、図9に示される予測誤差データのうち代表点と、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と音源−評価位置間コヒーレンスCoh13との関係を表形式で表わしたものである。
【表1】
【0060】
次のステップ206では、ステップ204で導出した予測誤差データを出力する出力処理を行い、本プログラムを終了する。なお、出力処理としては、例えば、図9に示されるようなグラフ又は表1に示されるような表形式で予測誤差データを画像表示部30に表示させたり、図9に示されるようなグラフ又は表1に示されるような表形式で予測誤差データをHDD26に記憶させる。
【0061】
以上説明したように、本第1実施形態に係る模擬音量測定装置50は、マイクロフォンS1が測定対象機器12を模擬した模擬音源52に近接して設置され、マイクロフォンS2がノイズ源機器14を模擬した模擬ノイズ源54に近接して設置され、マイクロフォンR1がマイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置される。
【0062】
そして、模擬音量測定装置50は、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンS2で測定された音量とのコヒーレンス(音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12)を算出し、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンR1で測定された音量とのコヒーレンス(音源−評価位置間コヒーレンスCoh13)を算出し、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12とマイクロフォンR1で測定された音量に基づいて、評価位置における模擬音源の音量を算出する。
さらに、模擬音量測定装置50は、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13、及び評価位置における模擬音源の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する。
【0063】
このように、模擬音量測定装置50は、模擬ノイズ源に近接したマイクロフォンS2で測定された音量も加味して、評価位置で測定される測定対象機器の音量の誤差を導出するので、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0064】
また、本第1実施形態に係る音量測定装置10は、測定対象機器12である音源に近接して設置されたマイクロフォンS1、ノイズ源機器14に近接して設置されたマイクロフォンS2、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置されたマイクロフォンR1を用いて、測定対象機器12の音量(COP)を測定する。そして、音量測定装置10によって測定された測定対象機器12の音量(COP)の精度が、模擬音量測定装置50によって予め導出された予測誤差データを用いて評価される。
さらに、本第1実施形態では、模擬音量測定装置50によって予め予測誤差データが導出されているので、測定対象機器12の音量の誤差が所望の大きさとなるように、音量測定装置10のマイクロフォンS1、マイクロフォンS2、及びマイクロフォンR1の設置位置を定めることができる。
【0065】
なお、本第1実施形態では、模擬音源52及び模擬ノイズ源54を用いた模擬音量測定装置50によって予測誤差データを導出する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、実際の測定対象機器12及びノイズ源機器14を用いて予測誤差データを導出する形態としてもよい。
この形態の場合、予測誤差データを作成するために、測定対象機器12を動作させる一方、ノイズ源機器14を停止させて、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13、及び予測誤差を算出する。
【0066】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本第2実施形態に係る音量測定装置10の構成は、図1に示される第1実施形態に係る音量測定装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0067】
第1実施形態に係る模擬音量測定装置50で導出された予測誤差データから分かるように、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12が小さいほど、予測誤差は小さくなる。すなわち、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12を小さくできれば、換言すると、ノイズの影響を小さくできれば、評価位置における測定対象機器12の音量の算出結果の誤差を小さくできる。
【0068】
そこで、本第2実施形態に係る音量測定装置10のマイクロフォンS1を、測定対象機器12に対して指向性を有するマイクロフォン、又は測定対象機器12以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとする。さらに、本第2実施形態に係る音量測定装置10のマイクロフォンS2を、ノイズ源機器14に対して指向性を有するマイクロフォン、又はノイズ源機器14以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとする。
これにより、マイクロフォンS1は、測定対象機器12の音量のみを測定し易くなり、マイクロフォンS2は、ノイズ源機器14の音量のみを測定し易くなるので、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12が小さくなる。
【0069】
図10に、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のコヒーレンス及びCOPとを示す。
【0070】
図10(A−1)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図10(B−1)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合における、マイクロフォンR1のCOP(R1COP)、マイクロフォンS1のCOP(S1COP)、及びマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
図10(A−2)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図10(B−2)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のおける、マイクロフォンR1のCOP(R1COP)、マイクロフォンS1のCOP(S1COP)、及びマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
【0071】
図10に示されるグラフは、第1実施形態に係る模擬音量測定装置50を用いて実験的に測定された結果である。また、図10(A−2),(B−2)に示されるグラフは、マイクロフォンS1と共に模擬音源52を吸音ボックスに入れ、マイクロフォンS2と共に模擬ノイズ源54を吸音ボックスに入れて音量を測定された結果である。
なお、COP(R1COP)とCOP(S1COP)とは、模擬音源52及び模擬ノイズ源54から音を出力して測定した場合である。一方、音量(S1)は、模擬音源52のみから音を出力して測定した場合、すなわち、ノイズが無い環境で測定された結果である。
【0072】
図10(A−1),(A−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のコヒーレンスは、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合に比較して小さくなっている。
また、図10(B−1),(B−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のCOP(S1COP)は、ノイズが無い環境における音量S1と同等となっており、ノイズの影響を受ける度合いが、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合に比較して小さく、ノイズの影響による誤差が小さくなることが分かる。
【0073】
なお、マイクロフォンS1,S2を指向性のマイクロフォンとすることでも、同様の結果が得られる。
【0074】
以上説明したように、本第2実施形態に係る音量測定装置10は、測定対象機器12に対して指向性を有するマイクロフォン、又は測定対象機器12以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、マイクロフォンS1とされ、ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又はノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、マイクロフォンS2とされる。
従って、本第2実施形態に係る音量測定装置10は、評価位置で算出される測定対象機器12の音量の誤差をより小さくできる。
【0075】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
図11に本第3実施形態に係る音量測定装置70の構成を示す。なお、図12における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第3実施形態に係る音量測定装置70は、マイクロフォンS1の替わりに、測定対象機器12の表面に設置され、測定対象機器12の振動を検知する振動計72を用いる。なお、振動計72としては、例えば、加速度計が用いられる。
【0076】
測定対象機器12の振動は、測定対象機器の音量と周期及び大きさが関連しており、かつノイズ源機器14からの音が、測定対象機器12の振動に与える影響は小さい。
そのため、マイクロフォンS1で測定される音量とマイクロフォンS2で測定される音量とのコヒーレンスに比較して、振動計72によって測定される振動とマイクロフォンS2で測定される音量とのコヒーレンスは小さくなる。
【0077】
図12に、マイクロフォンS1,S2を用いた場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合のコヒーレンス及びCOPとを示す。
【0078】
図12(A−1)は、振動計72用いない場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図12(B−1)は、振動計72を用いない場合のマイクロフォンR1における、COP(R1COP)、マイクロフォンS1におけるCOP(S1COP)、及びマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
図12(A−2)は、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図12(B−2)は、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合における、マイクロフォンR1のCOP(R1COP)、振動計72のCOP(S1’COP)、参考用のマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
【0079】
図12に示すグラフは、第1実施形態に係る模擬音量測定装置50を用いて実験的に測定された結果である。
なお、COP(R1COP)とCOP(S1’COP)とは、模擬音源52及び模擬ノイズ源54から音を出力して測定した場合である。一方、音量(S1)は、模擬音源52のみから音を出力して測定した場合、すなわち、ノイズが無い環境で測定された結果である。
【0080】
図12(A−1),(A−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合のコヒーレンスは、振動計72を用いない場合に比較して小さくなっている。
また、図12(B−1),(B−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合のCOP(S1’COP)は、ノイズが無い環境における音量S1と同等となっており、ノイズの影響を受ける度合いが、振動計72を用いない場合に比較して小さい。
【0081】
以上説明したように、本第3実施形態に係る音量測定装置10は、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いることによって、評価位置で算出される測定対象機器12の音量の誤差をより小さくできる。
【0082】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
例えば、上記各実施形態では、ノイズ源機器14を一つとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ノイズ源機器14を複数とする形態としてもよい。この形態の場合、各ノイズ源機器14毎に音源−ノイズ源間コヒーレンスを算出し、各音源−ノイズ源間コヒーレンスに基づいて、音量測定処理や予測誤差データ導出処理が行われる。
【符号の説明】
【0084】
10 音量測定装置
12 測定対象機器
14 ノイズ源機器
16 情報処理装置
20 CPU
50 模擬音量測定装置
52 模擬音源
54 模擬ノイズ源
72 振動計
S1 マイクロフォン
S2 マイクロフォン
R1 マイクロフォン
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所等で騒音の測定を行う場合、音源となる測定対象機器(ファンやポンプ等)の音量を所定の評価位置で測定する。しかし、他の周辺機器からの音(ノイズ)の影響を受けて、評価位置における対象機器の音量を正確に測定することが困難であった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、直線上に配置された複数のマイクロフォンと、その直線上の複数の音源と1つのマイクロフォンとの間の距離を測定する距離測定手段と、1つのマイクロフォンと各音源間、および他のマイクロフォン間の距離の情報を用い、各音源が発した音波を混合した混合波であって、各マイクロフォンで収音されて得られた混合信号から、目的音の信号成分を分離する音源分離手段を備え、音源分離手段は、各マイクロフォンから出力される出力信号を相互に分離係数を用いて線形結合し、線形結合後の信号間の相互相関係数の値が最小となるように分離係数での信号を出力信号とする技術が記載されている。従って、特許文献1に記載の技術では、同一方向から到来する目的音とノイズを分離して収音することができ、所望の出力に目的音を特定して出力できる。
【0004】
また、複数のマイクロフォンで構成されるマイクロフォンアレイを用いて、騒音の発生方向を特定し、音量の測定を行う技術も開発されている。
【0005】
さらに、評価位置で測定された音と、測定対象機器に近接した位置で測定された音とのコヒーレンスから、評価位置における測定対象機器の音量を評価する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−98003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の測定では、同一方向から到来する目的音とノイズとを分離することはできるが、異なる方向から到来する目的音とノイズとを分離することはできなかった。
また、上記マイクロフォンアレイを用いる測定では、非常に多数のマイクロフォンが必要となり、その構成が複雑になった。
さらに、上記コヒーレンスを用いる測定では、測定環境下においてノイズ源がある場合は、評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法は以下の手段を採用する。
【0010】
すなわち、本発明に係る音量誤差測定装置は、測定対象機器に近接して設置された第1マイクロフォンと、ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォンと、前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンと、前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンスを算出する第1算出手段と、前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスを算出する第2算出手段と、前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3算出手段と、前記第1算出手段で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3算出手段で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する導出手段と、を備える。
【0011】
本発明によれば、第1マイクロフォンが測定対象機器に近接して設置され、第2マイクロフォンがノイズ源に近接して設置され、第3マイクロフォンが第1マイクロフォン及び第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置される。
【0012】
第1算出手段によって、第1マイクロフォンで測定された音量と第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスが算出され、第2算出手段によって、第1マイクロフォンで測定された音量と第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスが算出される。そして、第3算出手段によって、第2算出手段で算出された第2コヒーレンスと第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、評価位置における測定対象機器の音量が算出される。
さらに、導出手段によって、第1算出手段で算出された第1コヒーレンス、第2算出手段で算出された第2コヒーレンス、及び第3算出手段で算出された測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データが導出される。
【0013】
このように、ノイズ源に近接して設置されたマイクロフォンで測定された音量も加味して、評価位置で測定される測定対象機器の音量の誤差を導出するので、本発明は、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0014】
一方、本発明に係る音量誤差測定方法は、測定対象機器を模擬した模擬音源に近接して設置された第1マイクロフォン、ノイズ源を模擬した模擬ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォン、前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンを用いて、音量を測定する第1工程と、前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンス、及び前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスとを算出する第2工程と、前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3工程と、前記第2工程で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3工程で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する第4工程と、を含む。
【0015】
本発明によれば、ノイズ源に近接して設置されたマイクロフォンで測定された音量も加味して、評価位置で測定される測定対象機器の音量の誤差を導出するので、本発明は、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0016】
また、本発明の音量誤差測定方法は、測定対象機器である音源に近接して設置された第4マイクロフォン、ノイズ源に近接して設置された第5マイクロフォン、前記第4マイクロフォン及び前記第5マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第6マイクロフォンを用いて測定された前記測定対象機器の音量の誤差を、前記第4工程で導出された前記予測誤差データを用いて評価してもよい。
【0017】
本発明によれば、測定対象機器である音源に近接して設置された第4マイクロフォン、ノイズ源に近接して設置された第5マイクロフォン、第4マイクロフォン及び第5マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第6マイクロフォンを用いて、測定対象機器の音量が測定される。
そして、測定対象機器の音量が予め導出された予測誤差データを用いて評価されるので、本発明は、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0018】
また、本発明は、予め予測誤差データが導出されているので、測定対象機器の音量の誤差が所望の大きさとなるように、第4マイクロフォン、第5マイクロフォン、及び第6マイクロフォンの設置位置を定めることができる。
【0019】
また、本発明の音量誤差測定方法は、前記第4マイクロフォンを、前記測定対象機器に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記測定対象機器以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとし、前記第5マイクロフォンを、前記ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記ノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとしてもよい。
【0020】
第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスが小さいほど、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差は、小さくなる。
そこで、本発明によれば、測定対象機器に対して指向性を有するマイクロフォン、又は測定対象機器以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、第4マイクロフォンとされ、ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又はノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、第5マイクロフォンとされる。
【0021】
これにより、第4マイクロフォンは、測定対象機器の音量のみを測定し易くなり、第5マイクロフォンは、ノイズ源の音量のみを測定し易くなるので、第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスが小さくなる。従って、本発明は、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差をより小さくできる。
【0022】
また、本発明の音量誤差測定方法は、前記第4マイクロフォンに替えて、前記測定対象機器の振動を検知する振動検知手段を備えてもよい。
【0023】
第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスが小さいほど、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差は、小さくなる。
そこで、本発明によれば、第4マイクロフォンに替えて、測定対象機器の振動を検知する振動検知手段を用いる。測定対象機器の振動は、測定対象機器の音量と周期及び大きさが関連しており、かつノイズ源からの音が測定対象機器の振動に与える影響は小さい。
【0024】
これにより、第4マイクロフォンで測定される音量と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスに比較して、振動検知手段によって測定される振動と第5マイクロフォンで測定される音量とのコヒーレンスは小さくなる。従って、本発明は、算出される測定対象機器の評価位置における音量の誤差をより小さくできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音量測定装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る音量測定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る模擬音量測定装置の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る評価位置におけるSN比と予測誤差との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態に係るSN比と音源−評価位置間コヒーレンスとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る音源−評価位置間コヒーレンスと予測誤差との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る予測誤差データ導出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る音源−ノイズ源間コヒーレンス、音源−評価位置間コヒーレンス、及び予測誤差の関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態に係るマイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のコヒーレンス及びCOPとを示すグラフである。
【図11】本発明の第3実施形態に係音量測定装置の構成を示す模式図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るマイクロフォンS1,S2を用いた場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1の替わりに振動計を用いた場合のコヒーレンス及びCOPとを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る音量誤差測定装置及び音量誤差測定方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態に係る音量測定装置10の構成を示す模式図である。
音量測定装置10は、音源となる測定対象機器12に近接して設置されたマイクロフォンS1と、ノイズ源となる機器(以下、「ノイズ源機器14」という。)に近接して設置されたマイクロフォンS2と、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置されたマイクロフォンR1と、を備える。
【0029】
測定対象機器12とは、例えば、発電所等におけるファンやポンプ等であり測定対象音となる音N1(騒音)を発する機器であり、ノイズ源機器14とは、測定対象機器12以外であって、測定対象音に対して雑音となる音N2を発する機器である。なお、本第1実施形態に係る測定対象機器12からの音N1とノイズ源機器14からの音N2とは、相関関係がない。
また、マイクロフォンS1の位置は、例えば、測定対象機器12から数cm〜数十cm離れた位置であり、同様に、マイクロフォンS2の位置は、例えば、ノイズ源機器14から数cm〜数十cm離れた位置である。なお、図1に示されるマイクロフォンR1の位置は、測定対象機器12の位置とマイクロフォンS1の位置を結ぶ略直線上であるが、これは一例であり、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置であれば、マイクロフォンR1の位置(評価位置)は限定されない。
【0030】
さらに、音量測定装置10は、マイクロフォンS1,S2,R1で測定された音を示すデータ(以下、「音データ」という。)が入力され、該データに対して種々の処理を行う情報処理装置16を備えている。
【0031】
図2は、情報処理装置16の電気的構成を示すブロック図である。
本第1実施形態に係る情報処理装置16は、情報処理装置16全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)20、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)22、CPU20による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)24、各種プログラム及び各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)26を備えている。
【0032】
さらに、情報処理装置16は、キーボード及びマウス等から構成され、各種操作の入力を受け付ける操作入力部28、各種画像を表示する、例えば液晶ディスプレイ装置等の画像表示部30、マイクロフォンS1,S2,R1と接続され、音データを受信する外部インタフェース32を備えている。
【0033】
これらCPU20、ROM22、RAM24、HDD26、操作入力部28、画像表示部30、及び外部インタフェース32は、システムバス34を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU20は、ROM22、RAM24、及びHDD26へのアクセス、操作入力部28に対する操作状態の把握、画像表示部30に対する画像の表示、及び外部インタフェース32を介したマイクロフォンS1,S2,R1からの音データの受信等を各々行なうことができる。
【0034】
ところで、マイクロフォンS1は、測定対象機器12に近接して設置されるので、主に測定対象機器12からの音N1を測定するが、測定対象機器12からの音N1と共にノイズ源機器14からの音N2も測定してしまう。また、マイクロフォンR1は、評価位置における測定対象機器12からの音N1を測定するが、測定対象機器12からの音N1と共にノイズ源機器14からの音N2も測定してしまう。
このため、マイクロフォンS1,R1で、測定される音には、測定対象機器12からの音とノイズ源機器14からの音とが混在するため、マイクロフォンS1,R1だけでは、測定対象機器12の音量を正確に測定することができない。
【0035】
そこで、本第1実施形態に係る音量測定装置10は、ノイズ源機器14に近接して設置されたマイクロフォンS2で測定された音量も用いることによって、評価位置における測定対象機器の音量をより正確に測定する音量測定処理を行う。
なお、マイクロフォンS2は、ノイズ源機器14に近接して設置されるので、主にノイズ源機器14からの音N2を測定するが、ノイズ源機器14からの音N2と共に測定対象機器12からの音N1も測定することとなる。
【0036】
図3は、音量測定処理を行う場合に、CPU20によって実行される音量測定プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、音量測定プログラムはHDD26の所定領域に予め記憶されている。なお、音量測定プログラムは、オペレータによって、音量測定処理の実行指示が操作入力部28を介して情報処理装置16に入力された場合に、実行を開始する。
【0037】
まず、ステップ100では、マイクロフォンS1,S2,R1に測定対象機器12及びノイズ源機器14からの音を測定させ、マイクロフォンS1,S2,R1から出力された音データの入力を受け付ける。音データは、不図示のアナログデジタル変換機によって、アナログデータからデジタルデータである音データに変換され、情報処理装置16に入力される。
【0038】
次の、ステップ102では、マイクロフォンS1によって測定された音量とマイクロフォンS2によって測定された音量とのコヒーレンスである、音源−ノイズ源間コヒーレンスを算出する。
音源−ノイズ源間コヒーレンスは、下記(1)式のコヒーレンス関数γS1S22によって算出される。
【数1】
(1)式において、GS1S1は、マイクロフォンS1の音データのパワースペクトルであり、GS2S2は、マイクロフォンS2の音データのパワースペクトルであり、GS1S2は、マイクロフォンS1の音データとマイクロフォンS2の音データとのクロススペクトルである。
【0039】
次のステップ104では、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンR1で測定された音量とのコヒーレンスである音源−評価位置間コヒーレンスを算出する。
音源−評価位置間コヒーレンスは、下記(2)式のコヒーレンス関数γS1R12によって算出される。
【数2】
(2)式において、GR1R1は、マイクロフォンR1の音データのパワースペクトルであり、GS1R1は、マイクロフォンS1の音データとマイクロフォンR1の音データとのクロススペクトルである。
【0040】
そして、コヒーレンス関数γS1R12は、マイクロフォンR1で測定された音量に含まれるマイクロフォンS1で測定された音量の割合となる。すなわち、ステップ104で算出される割合とは、マイクロフォンR1で測定された音量から、マイクロフォンS1で測定された音量以外の他の音量(ノイズ源機器14の音量)を除いた割合である。
【0041】
次のステップ106では、ステップ104で算出したコヒーレンス関数γS1R12とマイクロフォンR1で測定された音量に基づいて、評価位置における測定対象機器12の音量を算出する。
【0042】
具体的には、マイクロフォンR1で測定された音量に含まれるマイクロフォンS1で測定された音量の割合を示すコヒーレンス関数γS1R12を用いて、下記(3)式から、評価位置に設置されているマイクロフォンR1で測定された音量における測定対象機器12の音量を示すCOP(Coherent Output Power)を算出する。
【数3】
【0043】
なお、上記のような、COPによって音源の音量を特定する方法をCOP法という。
【0044】
次のステップ108では、評価位置における測定対象機器12の音量の算出結果を出力する出力処理を行い、本プログラムを終了する。
なお、出力処理としては、例えば、画像表示部30に算出結果を表示させたり、HDD26に算出結果を記憶させる。
【0045】
そして、本第1実施形態では、COP法によって算出した測定対象機器12の音量は、以下で説明するように、模擬音量測定装置50を用いて予め導出された予測誤差データに基づいて評価される。
【0046】
図4は、予測誤差データを導出するための模擬音量測定装置50の構成を示す。なお、図4における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第1実施形態に係る模擬音量測定装置50は、測定対象機器12を模擬した模擬音源52に近接してマイクロフォンS1が設置され、ノイズ源機器14を模擬した模擬ノイズ源54に近接してマイクロフォンS2が設置され、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置にマイクロフォンR1が設置されている。
なお、本第1実施形態に係る模擬音源52及び模擬ノイズ源54としては、一例として、測定対象機器12及びノイズ源機器14が発する音と同様の音を発するスピーカーを用いる。
【0047】
そして、本第1実施形態に係る模擬音量測定装置50は、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と、第1実施形態に係る音量測定処理によって算出される評価位置における測定対象機器12の音量(COP)に対して予測される誤差(以下、「予測誤差」という。)と、の関係を示す予測誤差データを導出する予測誤差データ導出処理を行う。
なお、本第1実施形態では、予測誤差データ導出処理に用いられる音データとして、マイクロフォンS1,S2,R1で測定された音データのうち、1/3(3分の1)オクターブバンドデータを用いる。
【0048】
ここで、図5は、評価位置におけるSN比と予測誤差との関係を示すグラフの一例であるであり、図5の例では、SN比が−5dB以下の環境においては、予測誤差が±5dB以下である。
【0049】
図5に示されるような環境下において、SN比と音源−評価位置間コヒーレンスCoh13との関係を示したグラフの一例が図6である。
図6の例では、図6の円で囲まれた領域で示されるように、SN比が小さい場合に、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13が大きい。
【0050】
また、図5に示されるような環境下において、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差との関係を示したグラフの一例が図7である。
図7の例では、図7の円で囲まれた領域で示されるように、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13が大きくても、予測誤差が大きい。
【0051】
そして、本第1実施形態では、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と予測誤差との関係と、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差との関係を組み合わせることによって、予測誤差データを導出する。
【0052】
図8は、予測誤差データ導出処理を行う場合に、CPU20によって実行される予測誤差データ導出プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、予測誤差データ導出プログラムはHDD26の所定領域に予め記憶されている。なお、予測誤差データ導出プログラムは、オペレータによって、予測誤差データ導出処理の実行指示が操作入力部28を介して情報処理装置16に入力された場合に、実行を開始する。
【0053】
まず、ステップ200では、マイクロフォンS1,S2,R1に模擬音源52及び模擬ノイズ源54からの音を測定させ、マイクロフォンS1,S2,R1からの出力された音データの入力を受け付ける。音データは、不図示のアナログデジタル変換機によって、アナログデータからデジタルデータである音データに変換され、情報処理装置16に入力される。
なお、本第1実施形態では、模擬音源52と模擬ノイズ源54から同時に音を出力させて音の測定を行う。また、本第1実施形態では、ノイズの影響の無い、より正確な音源−評価位置間コヒーレンスCoh13を算出するために、模擬音源52からの音を出力させる一方、模擬ノイズ源54からの音の出力を停止させた場合の音の測定も行う。
【0054】
次のステップ202では、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と予測誤差との関係、及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差の関係を導出する。
【0055】
なお、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12は、上述した音量測定処理におけるステップ102による音源−ノイズ源間コヒーレンス(コヒーレンス関数γS1S22)の算出方法と同様に算出される。また、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13は、上述した音量測定処理におけるステップ104による音源−評価位置間コヒーレンス(コヒーレンス関数γS1R12)の算出方法と同様に算出される。
【0056】
また、予測誤差は、模擬音源52と模擬ノイズ源54を用いて算出される。具体的には、「模擬音源52のみから音を出力させた場合のCOP」と「模擬音源52と模擬ノイズ源54から音を出力させた場合のCOP」の差が本第1実施形態にかかる予測誤差となる。
なお、COPの算出方法は、上述した音量測定処理におけるステップ106による評価位置における測定対象機器12の音量の算出方法と同様に算出される。
【0057】
次のステップ204では、ステップ202で導出した音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と予測誤差との関係、及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と予測誤差との関係を組み合わせることによって、予測誤差データを導出する。
【0058】
図9は、導出した予測誤差データの一例を示すグラフである。
図9に示されるように、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12が小さく、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13が大きいほど、予測誤差は小さくなることが分かる。
【0059】
また、下記表1は、図9に示される予測誤差データのうち代表点と、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12と音源−評価位置間コヒーレンスCoh13との関係を表形式で表わしたものである。
【表1】
【0060】
次のステップ206では、ステップ204で導出した予測誤差データを出力する出力処理を行い、本プログラムを終了する。なお、出力処理としては、例えば、図9に示されるようなグラフ又は表1に示されるような表形式で予測誤差データを画像表示部30に表示させたり、図9に示されるようなグラフ又は表1に示されるような表形式で予測誤差データをHDD26に記憶させる。
【0061】
以上説明したように、本第1実施形態に係る模擬音量測定装置50は、マイクロフォンS1が測定対象機器12を模擬した模擬音源52に近接して設置され、マイクロフォンS2がノイズ源機器14を模擬した模擬ノイズ源54に近接して設置され、マイクロフォンR1がマイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置される。
【0062】
そして、模擬音量測定装置50は、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンS2で測定された音量とのコヒーレンス(音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12)を算出し、マイクロフォンS1で測定された音量とマイクロフォンR1で測定された音量とのコヒーレンス(音源−評価位置間コヒーレンスCoh13)を算出し、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12とマイクロフォンR1で測定された音量に基づいて、評価位置における模擬音源の音量を算出する。
さらに、模擬音量測定装置50は、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13、及び評価位置における模擬音源の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する。
【0063】
このように、模擬音量測定装置50は、模擬ノイズ源に近接したマイクロフォンS2で測定された音量も加味して、評価位置で測定される測定対象機器の音量の誤差を導出するので、ノイズ源を含む環境における評価位置において測定された、測定対象機器の音量の精度を正確に評価できる。
【0064】
また、本第1実施形態に係る音量測定装置10は、測定対象機器12である音源に近接して設置されたマイクロフォンS1、ノイズ源機器14に近接して設置されたマイクロフォンS2、マイクロフォンS1及びマイクロフォンS2の設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置されたマイクロフォンR1を用いて、測定対象機器12の音量(COP)を測定する。そして、音量測定装置10によって測定された測定対象機器12の音量(COP)の精度が、模擬音量測定装置50によって予め導出された予測誤差データを用いて評価される。
さらに、本第1実施形態では、模擬音量測定装置50によって予め予測誤差データが導出されているので、測定対象機器12の音量の誤差が所望の大きさとなるように、音量測定装置10のマイクロフォンS1、マイクロフォンS2、及びマイクロフォンR1の設置位置を定めることができる。
【0065】
なお、本第1実施形態では、模擬音源52及び模擬ノイズ源54を用いた模擬音量測定装置50によって予測誤差データを導出する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、実際の測定対象機器12及びノイズ源機器14を用いて予測誤差データを導出する形態としてもよい。
この形態の場合、予測誤差データを作成するために、測定対象機器12を動作させる一方、ノイズ源機器14を停止させて、音源−評価位置間コヒーレンスCoh13、及び予測誤差を算出する。
【0066】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本第2実施形態に係る音量測定装置10の構成は、図1に示される第1実施形態に係る音量測定装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0067】
第1実施形態に係る模擬音量測定装置50で導出された予測誤差データから分かるように、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12が小さいほど、予測誤差は小さくなる。すなわち、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12を小さくできれば、換言すると、ノイズの影響を小さくできれば、評価位置における測定対象機器12の音量の算出結果の誤差を小さくできる。
【0068】
そこで、本第2実施形態に係る音量測定装置10のマイクロフォンS1を、測定対象機器12に対して指向性を有するマイクロフォン、又は測定対象機器12以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとする。さらに、本第2実施形態に係る音量測定装置10のマイクロフォンS2を、ノイズ源機器14に対して指向性を有するマイクロフォン、又はノイズ源機器14以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとする。
これにより、マイクロフォンS1は、測定対象機器12の音量のみを測定し易くなり、マイクロフォンS2は、ノイズ源機器14の音量のみを測定し易くなるので、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12が小さくなる。
【0069】
図10に、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のコヒーレンス及びCOPとを示す。
【0070】
図10(A−1)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図10(B−1)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合における、マイクロフォンR1のCOP(R1COP)、マイクロフォンS1のCOP(S1COP)、及びマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
図10(A−2)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図10(B−2)は、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のおける、マイクロフォンR1のCOP(R1COP)、マイクロフォンS1のCOP(S1COP)、及びマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
【0071】
図10に示されるグラフは、第1実施形態に係る模擬音量測定装置50を用いて実験的に測定された結果である。また、図10(A−2),(B−2)に示されるグラフは、マイクロフォンS1と共に模擬音源52を吸音ボックスに入れ、マイクロフォンS2と共に模擬ノイズ源54を吸音ボックスに入れて音量を測定された結果である。
なお、COP(R1COP)とCOP(S1COP)とは、模擬音源52及び模擬ノイズ源54から音を出力して測定した場合である。一方、音量(S1)は、模擬音源52のみから音を出力して測定した場合、すなわち、ノイズが無い環境で測定された結果である。
【0072】
図10(A−1),(A−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のコヒーレンスは、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合に比較して小さくなっている。
また、図10(B−1),(B−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れた場合のCOP(S1COP)は、ノイズが無い環境における音量S1と同等となっており、ノイズの影響を受ける度合いが、マイクロフォンS1,S2を吸音ボックスに入れない場合に比較して小さく、ノイズの影響による誤差が小さくなることが分かる。
【0073】
なお、マイクロフォンS1,S2を指向性のマイクロフォンとすることでも、同様の結果が得られる。
【0074】
以上説明したように、本第2実施形態に係る音量測定装置10は、測定対象機器12に対して指向性を有するマイクロフォン、又は測定対象機器12以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、マイクロフォンS1とされ、ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又はノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンが、マイクロフォンS2とされる。
従って、本第2実施形態に係る音量測定装置10は、評価位置で算出される測定対象機器12の音量の誤差をより小さくできる。
【0075】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
図11に本第3実施形態に係る音量測定装置70の構成を示す。なお、図12における図1と同一の構成部分については図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第3実施形態に係る音量測定装置70は、マイクロフォンS1の替わりに、測定対象機器12の表面に設置され、測定対象機器12の振動を検知する振動計72を用いる。なお、振動計72としては、例えば、加速度計が用いられる。
【0076】
測定対象機器12の振動は、測定対象機器の音量と周期及び大きさが関連しており、かつノイズ源機器14からの音が、測定対象機器12の振動に与える影響は小さい。
そのため、マイクロフォンS1で測定される音量とマイクロフォンS2で測定される音量とのコヒーレンスに比較して、振動計72によって測定される振動とマイクロフォンS2で測定される音量とのコヒーレンスは小さくなる。
【0077】
図12に、マイクロフォンS1,S2を用いた場合のコヒーレンス及びCOPと、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合のコヒーレンス及びCOPとを示す。
【0078】
図12(A−1)は、振動計72用いない場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図12(B−1)は、振動計72を用いない場合のマイクロフォンR1における、COP(R1COP)、マイクロフォンS1におけるCOP(S1COP)、及びマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
図12(A−2)は、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合における、音源−ノイズ源間コヒーレンスCoh12及び音源−評価位置間コヒーレンスCoh13と周波数との関係を示すグラフである。
図12(B−2)は、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合における、マイクロフォンR1のCOP(R1COP)、振動計72のCOP(S1’COP)、参考用のマイクロフォンS1で測定された音量(S1)と周波数との関係を示すグラフである。
【0079】
図12に示すグラフは、第1実施形態に係る模擬音量測定装置50を用いて実験的に測定された結果である。
なお、COP(R1COP)とCOP(S1’COP)とは、模擬音源52及び模擬ノイズ源54から音を出力して測定した場合である。一方、音量(S1)は、模擬音源52のみから音を出力して測定した場合、すなわち、ノイズが無い環境で測定された結果である。
【0080】
図12(A−1),(A−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合のコヒーレンスは、振動計72を用いない場合に比較して小さくなっている。
また、図12(B−1),(B−2)の円内を比較して分かるように、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いた場合のCOP(S1’COP)は、ノイズが無い環境における音量S1と同等となっており、ノイズの影響を受ける度合いが、振動計72を用いない場合に比較して小さい。
【0081】
以上説明したように、本第3実施形態に係る音量測定装置10は、マイクロフォンS1の替わりに振動計72を用いることによって、評価位置で算出される測定対象機器12の音量の誤差をより小さくできる。
【0082】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
例えば、上記各実施形態では、ノイズ源機器14を一つとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ノイズ源機器14を複数とする形態としてもよい。この形態の場合、各ノイズ源機器14毎に音源−ノイズ源間コヒーレンスを算出し、各音源−ノイズ源間コヒーレンスに基づいて、音量測定処理や予測誤差データ導出処理が行われる。
【符号の説明】
【0084】
10 音量測定装置
12 測定対象機器
14 ノイズ源機器
16 情報処理装置
20 CPU
50 模擬音量測定装置
52 模擬音源
54 模擬ノイズ源
72 振動計
S1 マイクロフォン
S2 マイクロフォン
R1 マイクロフォン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象機器に近接して設置された第1マイクロフォンと、
ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォンと、
前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンと、
前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンスを算出する第1算出手段と、
前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスを算出する第2算出手段と、
前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3算出手段と、
前記第1算出手段で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3算出手段で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する導出手段と、
を備える音量誤差測定装置。
【請求項2】
測定対象機器を模擬した模擬音源に近接して設置された第1マイクロフォン、ノイズ源を模擬した模擬ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォン、前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンを用いて、音量を測定する第1工程と、
前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンス、及び前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスとを算出する第2工程と、
前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3工程と、
前記第2工程で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3工程で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する第4工程と、
を含む音量誤差測定方法。
【請求項3】
測定対象機器である音源に近接して設置された第4マイクロフォン、ノイズ源に近接して設置された第5マイクロフォン、前記第4マイクロフォン及び前記第5マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第6マイクロフォンを用いて測定された前記測定対象機器の音量の誤差が、前記第4工程で導出された前記予測誤差データを用いて評価される請求項2記載の音量誤差測定方法。
【請求項4】
前記第4マイクロフォンを、前記測定対象機器に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記測定対象機器以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとし、
前記第5マイクロフォンを、前記ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記ノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとする請求項3記載の音量誤差測定方法。
【請求項5】
前記第4マイクロフォンに替えて、前記測定対象機器の振動を検知する振動検知手段を備えた請求項3記載の音量誤差測定方法。
【請求項1】
測定対象機器に近接して設置された第1マイクロフォンと、
ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォンと、
前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンと、
前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンスを算出する第1算出手段と、
前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスを算出する第2算出手段と、
前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3算出手段と、
前記第1算出手段で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2算出手段で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3算出手段で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する導出手段と、
を備える音量誤差測定装置。
【請求項2】
測定対象機器を模擬した模擬音源に近接して設置された第1マイクロフォン、ノイズ源を模擬した模擬ノイズ源に近接して設置された第2マイクロフォン、前記第1マイクロフォン及び前記第2マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第3マイクロフォンを用いて、音量を測定する第1工程と、
前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第2マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第1コヒーレンス、及び前記第1マイクロフォンで測定された音量と前記第3マイクロフォンで測定された音量とのコヒーレンスである第2コヒーレンスとを算出する第2工程と、
前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンスと前記第3マイクロフォンで測定された音量に基づいて、前記評価位置における前記測定対象機器の音量を算出する第3工程と、
前記第2工程で算出された前記第1コヒーレンス、前記第2工程で算出された前記第2コヒーレンス、及び前記第3工程で算出された前記測定対象機器の音量に対して予測される誤差との関係を示す予測誤差データを導出する第4工程と、
を含む音量誤差測定方法。
【請求項3】
測定対象機器である音源に近接して設置された第4マイクロフォン、ノイズ源に近接して設置された第5マイクロフォン、前記第4マイクロフォン及び前記第5マイクロフォンの設置位置よりも離れた位置である評価位置に設置された第6マイクロフォンを用いて測定された前記測定対象機器の音量の誤差が、前記第4工程で導出された前記予測誤差データを用いて評価される請求項2記載の音量誤差測定方法。
【請求項4】
前記第4マイクロフォンを、前記測定対象機器に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記測定対象機器以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとし、
前記第5マイクロフォンを、前記ノイズ源に対して指向性を有するマイクロフォン、又は前記ノイズ源以外からの音を吸音する吸音ボックスに入れられたマイクロフォンとする請求項3記載の音量誤差測定方法。
【請求項5】
前記第4マイクロフォンに替えて、前記測定対象機器の振動を検知する振動検知手段を備えた請求項3記載の音量誤差測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−141214(P2012−141214A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294138(P2010−294138)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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