音響システム及び音響制御方法
【課題】所定の空間内に設けられた個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、操作性に優れた音響システムを提供する。
【解決手段】所定の空間内に設けられる個別空間に対して音響処理を実行することで該個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、隣接する個別空間同士を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付部と、前記操作受付部で受け付けた前記仕切情報を前記所定の空間に対応するイメージ画像と共に表示する表示部と、前記操作受付部で受け付けた仕切情報に基づいて個別空間を設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行する音響制御部と、を備える。
【解決手段】所定の空間内に設けられる個別空間に対して音響処理を実行することで該個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、隣接する個別空間同士を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付部と、前記操作受付部で受け付けた前記仕切情報を前記所定の空間に対応するイメージ画像と共に表示する表示部と、前記操作受付部で受け付けた仕切情報に基づいて個別空間を設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行する音響制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響システム及び音響制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機、鉄道、自動車といった乗り物において、座席毎に異なる音響環境を提供可能な音響システムが知られている。しかし、聴取者がヘッドセットを用いない場合には、他席からの漏れ音や騒音が問題となる。そこで、このような問題を解決する技術として、例えば、逆位相の音を重ねることで騒音等を消去する技術(ANC:Active Noise Control)を利用した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、同一空間内で別々の音源を聴取することが可能となる。
【特許文献1】特開平05−344584号公報
【特許文献2】特開2006−053435号公報
【特許文献3】特開2007−116363号公報
【特許文献4】特開平10−32890号公報
【特許文献5】特開平10−32898号公報
【特許文献6】特開平10−32899号公報
【特許文献7】特開平10−32900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
逆位相の音を重ねることで騒音等を消去する技術(ANC)が知られている。この技術によれば、同一空間内で別々の音源を聴取することが可能となる。一方、同一空間(例えば、車両空間)内において異なる音源を聴取する場合、簡単な操作で各席の音響制御を実行できることが好ましい。特に、車両空間内においては、車両の運転者が操作を行う可能性もあることから、安全性の面から見ても簡単な操作で各席の音響制御を実行できることが好ましい。
【0004】
本発明では、上記した問題に鑑み、所定の空間内に設けられる個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、操作性に優れた音響システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上述した課題を解決するために、所定の空間内に設けられる個別空間に対して音響処理を実行することで該個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムにおいて、隣接する個別空間同士を仕切るための仕切情報を受け付け、受け付けた仕切情報に基づいて個別空間を設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行することとした。また、仕切情報は、表示部に表示することとした。これにより、本発明によれば、隣接する個別空間を仕切るための仕切情報を入力するといった簡単な操作で個別空間に対して個別音響環境を提供することができる。また、仕切情報が表示部に表示されので、聴取者は、現在の所定の空間内の状況を直感的に把握することが可能となる。
【0006】
より詳細には、本発明は、所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別の音響環境を提供する音響システムであって、前記所定の空間に対応するイメージ画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付部と、前記操作受付部で受け付けた仕切情報に基づいて前記所定の空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理
を実行する音響制御部と、を備える。
【0007】
本発明の音響システムによれば、空間を仕切るための仕切情報を入力するといった簡単な操作で、所定の空間内に設けられる個別空間に対して個別音響環境を提供することができる。すなわち、例えば、車両空間といった閉ざされた空間内において別々の音源を聴取者(運転者や搭乗者)に聴取させることが可能となる。また、設定された個別空間については、例えば逆位相の音を重ねることで騒音等を消去する技術等の音響処理が施されることから、同一空間内で異なる音源を聴取する場合に懸念される、音漏れや騒音の影響を低減することができる。
【0008】
ここで、本発明において、前記仕切情報は、隣接する個別空間同士の間に設けられる仕切線に関する情報とすることができる。また、前記音響制御部は、隣接する個別空間同士の間に仕切線が存在する場合、該仕切線を基準としてその両側に設けられている個別空間同士を異なる個別空間として設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行するようにしてもよい。本発明によれば、個別空間同士の間に仕切線を設けるといった非常に簡単な操作で個別空間の設定が可能となる。仕切線は、隣接する個別空間同士を仕切れる線であればよく、直線、曲線を問わない。
【0009】
なお、仕切線によって仕切られた領域は、一つの個別空間として扱うことができる。従って、前記仕切線によって仕切られた領域としての個別空間には、同一の音源を提供することができる。
【0010】
また、本発明において、前記操作受付部と前記表示部は、タッチパネルであり、該タッチパネルに対する聴取者の指触によって前記仕切情報を受け付け、該タッチパネルに前記聴取者の指触の軌跡を前記仕切情報として、前記イメージ画像と共に表示するようにしてもよい。本発明によれば、操作受付部及び表示部をタッチパネルとすることで、より簡単な操作で個別空間の設定等を行うことができる。また、仕切情報をイメージ画像と共に表示部に表示してもよく、これにより、聴取者は、現在の所定の空間内の状況、すなわち隣の搭乗者が同じ音源を聴取しているか否かといったことを直感的に把握することが可能となる。
【0011】
また、前記音響処理には、隣接する個別空間のうちの一の個別空間から他の個別空間へ漏れる音を低減する漏れ音低減処理と、聴取者の前方に仮想音源を生成する仮想音源処理と、のうち少なくともいずれか一つが含まれるようにすることができる。
【0012】
個別空間に対して漏れ音低減処理を実行することで、隣接する個別空間からの漏れ音を低減し、より質のよい音声を提供することができる。また、個別空間に対して仮想音源処理を実行することで、個別空間に臨場感のある個別環境空間を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記所定の空間は、車両空間であり、前記個別空間は、前記車両空間内の座席毎に設けられるようにしてもよい。本発明の音響システムは、上述したように非常に簡単な操作で個別空間の設定等を行うことができる。車両空間では、運転者も聴取者に含まれ、安全性の面から見ても簡単な操作で各席の音響制御を実行できることが好ましい。従って、本発明の音響システムは、車両空間に搭載する音響システムとして好適に用いることができる。
【0014】
なお、本発明は、上述したいずれかの機能を実現させる方法としてもよい。すなわち、本発明は、所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別音響環境を提供する音響制御方法であって、前記所定の空
間に対応するイメージ画像を表示する表示ステップと、前記表示ステップで表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付ステップと、前記操作受付ステップで受け付けた仕切情報に基づいて前記所定空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理を実行する音響制御ステップと、を備える方法に関する発明とすることができる。更に、本発明は、上述したいずれかの機能を実現させるプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所定の空間内に設けられる個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、操作性に優れた音響システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の音響システムの実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、本発明の音響システムを車両に適用した場合、より具体的には車両のナビゲーションシステムに組み込んだ場合を例に説明する。但し、これに限定されるものではなく、本発明の音響システムは、映画館、コンサートホール、電車やバスなどの各座席に適用してもよい。
【0017】
<概略構成>
図1は、本実施形態の音響システム100の概略構成を示す。本実施形態の音響システム100は、CD/DVD、MD、FM/AM、TV等を再生可能な音声再生ユニット1、DSP2(Digital Signal Processor)、表示部31及び操作受付部32からなるインターフェース(I/F)3、CPU41及びメモリ42を備える制御部4、マイクアンプ(MICアンプ)5、メインアンプ6によって構成されている。なお、本実施形態の音響システム100は、シート毎すなわち個別空間毎に個別音響環境を提供するものである。そこで、個別音響環境の提供を実現するため、本実施形態の音響システム100では、マイクアンプ5に車両200の各シートに配置されるエラーマイク7が接続されている。また、メインアンプ6には、車両の各シートに配置されるスピーカ8が接続されている。
【0018】
音声再生ユニット1は、本発明の音源に相当し、聴取者の要求に応じて各種音声情報を再生する。すなわち、本実施形態の音声再生ユニット1は、異なる音声信号をシート毎に出力可能である。例えば、音声再生ユニット1は、運転席にAM放送の音声信号やナビゲーション装置からの音声案内に関する音声信号等を出力し、後部座席には、CDやDVD等に格納されている楽曲等の音声信号を出力することができる。
【0019】
音声再生ユニット1から出力された音声信号は、図示しないA/Dコンバータによりデジタル信号に変換され、デジタル信号に変換された音声信号は、DSP2にて音響処理が実施され、図示しないD/Aコンバータにてアナログ信号に変換され、メインアンプ6で音声信号が増幅され、所定のスピーカ8より出力される。DSP2で実行される音響処理とは、他席のスピーカから漏れる音を低減するための漏れ音制御等である。このような音響処理は、各シートに配置されるエラーマイク7で取得される他席の漏れ音に基づいて行われる。そこで、DSP2の具体的な構成を説明する前に、各シートに設置されるエラーマイク7及びスピーカ8について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態の音響システム100が搭載される車両200の概略構成を示す。同図に示すように、車両200には、閉ざされた空間300(本発明の所定の空間に相当する。)が設けられ、この空間300には、本発明の聴取者に相当する運転者を含む搭乗者が滞在可能である。車両200内の各シートにはスピーカ8が設置され、各シートに対応する個別空間に対して夫々異なる音響環境、すなわち、個別音響空間の提供が可能とな
っている。
【0021】
運転席201、助手席202、後部座席左203、後部座席右204といった夫々のシートには、聴取者の頭部近傍にスピーカ8が聴取者へ向けて設置されている。運転席201のスピーカ81を例に説明すると、運転席のスピーカ81は、聴取者へ向けて設置された左スピーカ81aと右スピーカ81bとによって構成されている。左スピーカ81a及び右スピーカ81bは、運転席201のシート背面部に設置されている。スピーカ8は、音声再生ユニット1から供給された音声信号であって、個別空間に対して個別音響空間を提供すべくDSP2によって音響処理が行われた音声信号を車両200の室内300へ出力する。
【0022】
また、運転席201のスピーカ81の前方には、運転席201のエラーマイク71が設置されている。このエラーマイク71は、左エラーマイク71aと右エラーマイク71bによって構成されている。なお、図2においては、各シートに設置されたエラーマイク7が、聴取者の耳の横付近に設けられているが、実際には、スピーカ8と同じく、運転席201のシート前面側、例えばシート肩口、ヘッドレスト等に設置される。例えば運転席に設置されているエラーマイク71は、他席(例えば、後部座席)からの漏れ音を取得し、これに基づいてDSP2による音響処理が実行される。
【0023】
なお、助手席202、運転席後部の後部座席(以下、後部座席右204という。)及び助手席202の後部の後部座席(以下、後部座席左203という。)にも運転席201と同様に夫々聴取者の頭部近傍に、左スピーカ82a等と右スピーカ82b等が聴取者へ向けて設定されている。また、左スピーカ82a等と右スピーカ82b等の夫々の前方には左エラーマイク72a等や右エラーマイク72b等が設置されている。その結果、本実施形態の音響システム100では、各シート毎(個別空間毎)に対して個別音響空間の提供が可能となっている。
【0024】
次に、DSP2について説明する。DSP2にて実施される音響処理は、インターフェース3から受け付けた視聴者の指示を反映すべく、制御部4によって行われる。なお、インターフェース3を構成する表示部31及び操作受付部32の構成の詳細については後述する。
【0025】
ここで、図3は、DSP2を中心とした機能ブロック図を示す。なお、図3は、運転席201のスピーカ81へ供給される音声信号に音響処理を実行する例を示す。同図に示すように、DSP2は、漏れ音低減フィルタ21、仮想音源フィルタ22、後方音源逆フィルタ23、補助フィルタ24によって構成されている。後部座席203、204のスピーカ83、84から運転席201の聴取者に漏れる音を効果的に低減するため、後部座席203、204のスピーカ83、84と運転席201のエラーマイク71との間の漏れ音伝達関数P(z)と、運転席201のスピーカ81と運転席201のエラーマイク71との間の誤差経路伝達関数C(z)を動的に推定すると共に、臨場感のある個別音響環境を提供するために、運転席201のスピーカ81が出力する音声を仮想音源81a1、81b1に示すように聴取者の前方に定位させる。
【0026】
このように、環境変化に応じて変化し易い誤差経路伝達関数C(z)を動的に推定することで、漏れ音低減フィルタ21の動作制度を向上させることができる。また、仮想音源フィルタ22で聴取者の前方に音像を有する音を生成し、更に、後方音源逆フィルタ23で、運転席201のスピーカ81の位置を基準とする音像を聴取者の耳位置に近いエラーマイク71の位置へ定位させることで臨場感のある個別音響環境を提供することができる。
【0027】
漏れ音低減フィルタ21は、補助フィルタ24の出力に基づいて推定された漏れ音伝達関数P(z)及び誤差経路伝達関数C(z)を用い、後部座席203、204のスピーカ83、84からの漏れ音を打ち消す制御音を発生させるフィルタである。この漏れ音低減フィルタ21は、ADF(適応フィルタ:Adaptive Digital Filter)として構成される
。なお、漏れ音低減フィルタ21に供給される音声信号は、音声再生ユニット1から出力される。
【0028】
ここで、漏れ音低減フィルタ21の算出手順について簡単に説明する。漏れ音低減フィルタ21を「Hl(z)」、補助フィルタ24を「S(z)」、漏れ音伝達関数を「P(z)」、誤差経路伝達関数を「C(z)」とすると、これらの関係は、式1によって表される。なお、漏れ音低減フィルタ21が生成する制御音(打ち消し音)は、Hl(z)C(z)として表される。
S(z)=P(z)+Hl(z)C(z)・・・式1
【0029】
上記式1において、S(z)及びHl(z)に2通りの初期値(S1(z)、びHl1(z)、S2(z)、Hl2(z))を入力し、打ち消し誤差が最小となるようにS1(z)及びS2(z)を更新することで、最適なP(z)及びC(z)を推定することができる。そして、最適なHl(z)は、式2で表すことができる。
Hl(z)=−P(z)/C(z)・・・式2
【0030】
仮想音源フィルタ22は、音声再生ユニット1から出力される音声信号を受け取り、運転席201の聴取者の前方に仮想的な音像を有する仮想音場を生成するフィルタ(Q(z))である。なお、仮想音源フィルタ22によって生成される仮想音場は、図3の仮想音源81a1、81b1に示したように、あたかも聴取者の前方に音源があるように音声再生ユニット1からの音声信号を処理したものである。また、仮想音源フィルタ22は、事前の測定結果に基づいて予め求められた伝達関数であるので、処理負荷をかけることなく臨場感のある音場を得ることができる。ここで、この事前の測定は、聴取者を模擬したダミーヘッドの前方に設置した2つのスピーカから音声を出力し、ダミーヘッドの耳位置に設置されたマイクで、耳位置におけるインパルス応答を測定することによって行われる。そして、この測定の結果に基づいて目標音場の目標伝達関数を求め、求めた目標伝達関数をQ(z)とする。
【0031】
後方音源逆フィルタ23は、運転席201のスピーカ81と運転席201のエラーマイク71との間の誤差経路伝達関数C(z)の逆関数として定義されるフィルタであり、運転席201のスピーカ81の位置を基準とする仮想音場を運転席201のエラーマイク71位置へ定位させる処理を行う。これにより、運手席201のスピーカ81が聴取者の後方に設置されることに起因する音像の後方定位を補正することが可能となる。なお、後方音源逆フィルタ23を「Hb(z)」とすると、Hb(z)は、式3で表すことができる。なお、式3におけるC(z)は、予め推定しておいた静的な誤差経路伝達関数が用いられる。
Hb(z)=1/C(z)・・・式3
【0032】
補助フィルタ24は、音声再生ユニット1と運転席201のエラーマイク71の出力を受け取り、漏れ伝達関数P(z)及び誤差経路伝達関数C(z)を推定する処理を行うフィルタである。そして、この補助フィルタ24の出力は、漏れ音低減フィルタ21の適応制御に用いられる。
【0033】
次に表示部31及び操作受付部32からなるインターフェース3について説明する。図4は、インターフェース3の一例を示す図である。本実施形態のインターフェース3は、いわゆるタッチパネルであり、表示部31に直接タッチすることで各種操作が可能となっ
ている。つまり、表示部31が操作受付部32の機能も兼ね備えている。なお、図4では、表示部31に、車両200の空間300と聴取者の位置が表示されている。本実施形態では、タッチパネル方式のインタ−フェース3を用いたがこれに限定されるものではない。表示部にカーソルを表示し、表示部の近傍にカーソルを操作するための操作キーを設けるようにしてもよい。
【0034】
(処理フロー)
次に、上述した本実施形態の音響システム100で実行される処理について説明する。図5は、音響システム100で行われる処理フローを示す。なお、以下に説明する処理は、CPU41がメモリ42に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0035】
ステップS01では、パーソナル音響モードが起動される。パーソナル音響モードとは、個別空間に対して個別音響環境を提供するために起動されるものである。具体的には、メニュー画面からパーソナル音響モードが選択されることでパーソナル音響モードの設定画面が表示される。上述した図4に示す表示例がこれに相当する。パーソナル音響モードが起動されるとステップS02へ進む。
【0036】
ステップS02では、個別空間の設定が行われる。個別空間の設定は、インタフェース3を介して入力される聴取者の指示に基づいて行われる。すなわち、個別空間の設定は、CPU41が、インターフェース3に入力される仕切線の位置に関する情報を読み取ることで実行される。図6は、個別空間の設定状態の一例を示す。図6に示す例では、車両200の空間300が前方と後方とに直線状の仕切線90によって仕切られている。すなわち、運転席201及び助手席202が一つの個別空間として選択され、後部座席左203と後部座席右が更に一つの個別空間として選択されている。従って、CPU41は、運転席201及び助手席202と後部座席203、204との間に仕切線90が設定されたことを認識し、仕切線90を基準として両側に配置される夫々の個別空間が異なる個別空間と認識する。そして、夫々の個別空間に、異なる音源が提供される。このように本実施形態の音響システム100によれば非常に簡単な操作で個別空間の設定が可能となる。個別空間の設定が完了するとステップS03へ進む。
【0037】
ステップS03では、設定された個別空間の夫々について音源の設定が行われる。音源の設定は、インターフェース3に表示される音源リストから聴取者によって選択されることで行われる。すなわち、音源の設定は、CPU41が、インターフェース3を介して選択される音源を取得することで実行される。ここで、図7は、音源の設定状態の一例を示す。図7に示す例では、運転席201及び助手席202からなる前方の個別空間に対する音源としてAMラジオ放送が選択されている。一方、後部座席203、204からなる後方の個別空間に対する音源としてCDが選択されている。従って、CPU41は、運転席201及び助手席202からなる前方の個別空間に対しては音源としてAMラジオ放送を設定し、後部座席0からなる後方の個別空間に対しては音源としてCDを設定する。音源の設定が完了するとステップS04へ進む。
【0038】
ステップS04では、音響処理を行うか否かが判断される。音響処理を行うか否かの判断は、インターフェース3を介して入力される聴取者の指示に基づいて行われる。なお、本実施形態では、音響処理を行うか否かについて、CPU41が、インターフェース3に音響処理を行わない旨の指示が入力されたか否かによって判断する。従って、インターフェース3に音響処理を行わない旨の指示が入力されない限り、夫々の個別空間について音響処理が実行されることになる。ここで、図8は、音響処理を行わない指示がインターフェース3に入力された状態の一例を示す。図8に示す例では、前方の個別空間を示す領域に×印が入力されている。CPU41は、選択された個別領域に×印が入力されると、音
響処理を行わないと判断し、インターフェース3の表示部を切り替える。図9は、前方の個別空間について音響処理を行わない設定がなされた後の表示状態を示す。同図に示すように、図9では、前方の個別空間の設定(図8において斜線で示す。)が解除されている。なお、本実施形態のインターフェース3には、リセットボタン33が設けられている。従って、音響処理を行わない旨の指示は、リセットボタン33を押すことで行ってもよい。音響処理を行うか否かの設定が完了するとステップS05へ進む。
【0039】
ステップS05では、前方の個別空間及び後方の個別空間の夫々について音響処理が実行される。すなわち、CPU41は、漏れ音低減フィルタ21、仮想音源フィルタ22、後方音源フィルタ0、補助フィルタ24を制御して漏れ音を低減する処理や音源を前方に定位させる処理等を実行する。その結果、夫々の個別空間において最適な個別音響環境が提供される。
【0040】
<変形例>
上述した実施形態においては、個別空間の設定において、車両200の前方と後方とを区切ることとした。しかし、個別空間の設定は、これに限定されるものではない。図10は、変形例の個別空間の設定状態を示す。本変形例に示す例では、後部座席左203を一つの個別空間として設定するため、L字状の仕切線によって仕切られている。このように、仕切線をL字状とすることで、一つのシートを一つの個別空間として設定することができる。従って、個別空間の設定は、CPU41が、シート同士の間に仕切線90が存在するかを認識し、シート同士の間に仕切線90が存在する場合に、その隣接するシート同士を別の個別空間として設定するようにすればよい。なお、図10に示す例では、後部座席左203の個別空間には点領域が表示され、それ以外の個別空間には斜線領域が表示されており、夫々に音響間処理が実行されている。従って、聴取者は、一目で車両200の空間300の状態を把握することができる。
【0041】
また、図11は、その他の変形例の個別空間の設定状態を示す。本変形例に示す例では、運転席201及び助手席202を一つの個別空間として設定するため、楕円の仕切線によって、運転席201及び助手席202を囲んでいる。このように、仕切線90を楕円若しくは円状とすることで、任意のシートを一つの個別空間として設定することができる。この場合でも、個別空間の設定は、CPU41は、シート同士の間に仕切線が存在するかを認識し、シート同士の間に仕切線が存在する場合に、その隣接するシート同士を別の個別空間として設定することができる(図11において斜線領域として示す。)。なお、図11に示すその他の変形例では、上述した実施形態と異なり、楕円状の仕切線によって囲まれた領域のみ音響処理が実行されるように設定されている。図12は、運転席201及び助手席202のみを一つの個別空間として設定した後の表示状態を示す。同図に示すように、楕円状の仕切線90によって囲まれた領域のみが音響処理が実行されるよう、音源のリストが表示されている。
【0042】
<効果>
以上説明した本実施形態の音響システム100によれば、車両200の空間300内の個別空間の設定等を非常に簡単な操作で行うことができる。また、車両200の空間300内に複数の個別空間が設定された場合、その設定状況がインターフェース3に表示されるので、聴取者は個別空間の設定状況を一目で把握することができる。
【0043】
本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の音響システムはこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。なお、個別空間を設定する際の仕切線の形状は、上記に限定されるものでない。また、選択された領域を色づけすることでより分かり易い表示とすることができる。更に、上述した実施形態では、漏れ音低減処理をエラーマイクで取得した音に基づいて制御する適応制御とした。しかしこれに限定されるものでは
なく、漏れ音低減処理は、実験等によって予め取得した漏れ音低減関数や誤差経路伝達関数を用いて行ってもよい。すなわち、ADF(適応フィルタ)に換えて、事前に測定したインパルス応答を用いて漏れ音低減フィルタを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態の音響システムの概略構成を示す。
【図2】本実施形態の音響システムが搭載される車両の概略構成を示す。
【図3】DSPを中心とした機能ブロック図を示す。
【図4】インターフェースの一例を示す図である。
【図5】音響システムで行われる処理フローを示す。
【図6】個別空間の設定状態の一例を示す。
【図7】音源の設定状態の一例を示す。
【図8】音響処理を行わない指示がインターフェースに入力された状態の一例を示す。
【図9】前方の個別空間について音響処理を行わない設定がなされた後の表示状態を示す。
【図10】変形例の個別空間の設定状態を示す。
【図11】その他の変形例の個別空間の設定状態を示す。
【図12】運転席及び助手席のみを一つの個別空間として設定した後の表示状態を示す。
【符号の説明】
【0045】
1・・・再生処理ユニット
2・・・DSP
3・・・インターフェース
4・・・制御部
5・・・マイクアンプ
6・・・メインアンプ
7・・・エラーマイク
8・・・スピーカ
21・・・漏れ音低減フィルタ
22・・・仮想音源フィルタ
23・・・後方音源逆フィルタ
24・・・補助フィルタ
100・・・音響システム
200・・・車両
201・・・運転席
202・・・助手席
203・・・助手席後方後部座席
204・・・運転席後方後部座席
300・・・空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響システム及び音響制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機、鉄道、自動車といった乗り物において、座席毎に異なる音響環境を提供可能な音響システムが知られている。しかし、聴取者がヘッドセットを用いない場合には、他席からの漏れ音や騒音が問題となる。そこで、このような問題を解決する技術として、例えば、逆位相の音を重ねることで騒音等を消去する技術(ANC:Active Noise Control)を利用した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、同一空間内で別々の音源を聴取することが可能となる。
【特許文献1】特開平05−344584号公報
【特許文献2】特開2006−053435号公報
【特許文献3】特開2007−116363号公報
【特許文献4】特開平10−32890号公報
【特許文献5】特開平10−32898号公報
【特許文献6】特開平10−32899号公報
【特許文献7】特開平10−32900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
逆位相の音を重ねることで騒音等を消去する技術(ANC)が知られている。この技術によれば、同一空間内で別々の音源を聴取することが可能となる。一方、同一空間(例えば、車両空間)内において異なる音源を聴取する場合、簡単な操作で各席の音響制御を実行できることが好ましい。特に、車両空間内においては、車両の運転者が操作を行う可能性もあることから、安全性の面から見ても簡単な操作で各席の音響制御を実行できることが好ましい。
【0004】
本発明では、上記した問題に鑑み、所定の空間内に設けられる個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、操作性に優れた音響システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上述した課題を解決するために、所定の空間内に設けられる個別空間に対して音響処理を実行することで該個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムにおいて、隣接する個別空間同士を仕切るための仕切情報を受け付け、受け付けた仕切情報に基づいて個別空間を設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行することとした。また、仕切情報は、表示部に表示することとした。これにより、本発明によれば、隣接する個別空間を仕切るための仕切情報を入力するといった簡単な操作で個別空間に対して個別音響環境を提供することができる。また、仕切情報が表示部に表示されので、聴取者は、現在の所定の空間内の状況を直感的に把握することが可能となる。
【0006】
より詳細には、本発明は、所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別の音響環境を提供する音響システムであって、前記所定の空間に対応するイメージ画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付部と、前記操作受付部で受け付けた仕切情報に基づいて前記所定の空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理
を実行する音響制御部と、を備える。
【0007】
本発明の音響システムによれば、空間を仕切るための仕切情報を入力するといった簡単な操作で、所定の空間内に設けられる個別空間に対して個別音響環境を提供することができる。すなわち、例えば、車両空間といった閉ざされた空間内において別々の音源を聴取者(運転者や搭乗者)に聴取させることが可能となる。また、設定された個別空間については、例えば逆位相の音を重ねることで騒音等を消去する技術等の音響処理が施されることから、同一空間内で異なる音源を聴取する場合に懸念される、音漏れや騒音の影響を低減することができる。
【0008】
ここで、本発明において、前記仕切情報は、隣接する個別空間同士の間に設けられる仕切線に関する情報とすることができる。また、前記音響制御部は、隣接する個別空間同士の間に仕切線が存在する場合、該仕切線を基準としてその両側に設けられている個別空間同士を異なる個別空間として設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行するようにしてもよい。本発明によれば、個別空間同士の間に仕切線を設けるといった非常に簡単な操作で個別空間の設定が可能となる。仕切線は、隣接する個別空間同士を仕切れる線であればよく、直線、曲線を問わない。
【0009】
なお、仕切線によって仕切られた領域は、一つの個別空間として扱うことができる。従って、前記仕切線によって仕切られた領域としての個別空間には、同一の音源を提供することができる。
【0010】
また、本発明において、前記操作受付部と前記表示部は、タッチパネルであり、該タッチパネルに対する聴取者の指触によって前記仕切情報を受け付け、該タッチパネルに前記聴取者の指触の軌跡を前記仕切情報として、前記イメージ画像と共に表示するようにしてもよい。本発明によれば、操作受付部及び表示部をタッチパネルとすることで、より簡単な操作で個別空間の設定等を行うことができる。また、仕切情報をイメージ画像と共に表示部に表示してもよく、これにより、聴取者は、現在の所定の空間内の状況、すなわち隣の搭乗者が同じ音源を聴取しているか否かといったことを直感的に把握することが可能となる。
【0011】
また、前記音響処理には、隣接する個別空間のうちの一の個別空間から他の個別空間へ漏れる音を低減する漏れ音低減処理と、聴取者の前方に仮想音源を生成する仮想音源処理と、のうち少なくともいずれか一つが含まれるようにすることができる。
【0012】
個別空間に対して漏れ音低減処理を実行することで、隣接する個別空間からの漏れ音を低減し、より質のよい音声を提供することができる。また、個別空間に対して仮想音源処理を実行することで、個別空間に臨場感のある個別環境空間を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記所定の空間は、車両空間であり、前記個別空間は、前記車両空間内の座席毎に設けられるようにしてもよい。本発明の音響システムは、上述したように非常に簡単な操作で個別空間の設定等を行うことができる。車両空間では、運転者も聴取者に含まれ、安全性の面から見ても簡単な操作で各席の音響制御を実行できることが好ましい。従って、本発明の音響システムは、車両空間に搭載する音響システムとして好適に用いることができる。
【0014】
なお、本発明は、上述したいずれかの機能を実現させる方法としてもよい。すなわち、本発明は、所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別音響環境を提供する音響制御方法であって、前記所定の空
間に対応するイメージ画像を表示する表示ステップと、前記表示ステップで表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付ステップと、前記操作受付ステップで受け付けた仕切情報に基づいて前記所定空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理を実行する音響制御ステップと、を備える方法に関する発明とすることができる。更に、本発明は、上述したいずれかの機能を実現させるプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所定の空間内に設けられる個別空間に対して個別音響環境を提供する音響システムであって、操作性に優れた音響システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の音響システムの実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、本発明の音響システムを車両に適用した場合、より具体的には車両のナビゲーションシステムに組み込んだ場合を例に説明する。但し、これに限定されるものではなく、本発明の音響システムは、映画館、コンサートホール、電車やバスなどの各座席に適用してもよい。
【0017】
<概略構成>
図1は、本実施形態の音響システム100の概略構成を示す。本実施形態の音響システム100は、CD/DVD、MD、FM/AM、TV等を再生可能な音声再生ユニット1、DSP2(Digital Signal Processor)、表示部31及び操作受付部32からなるインターフェース(I/F)3、CPU41及びメモリ42を備える制御部4、マイクアンプ(MICアンプ)5、メインアンプ6によって構成されている。なお、本実施形態の音響システム100は、シート毎すなわち個別空間毎に個別音響環境を提供するものである。そこで、個別音響環境の提供を実現するため、本実施形態の音響システム100では、マイクアンプ5に車両200の各シートに配置されるエラーマイク7が接続されている。また、メインアンプ6には、車両の各シートに配置されるスピーカ8が接続されている。
【0018】
音声再生ユニット1は、本発明の音源に相当し、聴取者の要求に応じて各種音声情報を再生する。すなわち、本実施形態の音声再生ユニット1は、異なる音声信号をシート毎に出力可能である。例えば、音声再生ユニット1は、運転席にAM放送の音声信号やナビゲーション装置からの音声案内に関する音声信号等を出力し、後部座席には、CDやDVD等に格納されている楽曲等の音声信号を出力することができる。
【0019】
音声再生ユニット1から出力された音声信号は、図示しないA/Dコンバータによりデジタル信号に変換され、デジタル信号に変換された音声信号は、DSP2にて音響処理が実施され、図示しないD/Aコンバータにてアナログ信号に変換され、メインアンプ6で音声信号が増幅され、所定のスピーカ8より出力される。DSP2で実行される音響処理とは、他席のスピーカから漏れる音を低減するための漏れ音制御等である。このような音響処理は、各シートに配置されるエラーマイク7で取得される他席の漏れ音に基づいて行われる。そこで、DSP2の具体的な構成を説明する前に、各シートに設置されるエラーマイク7及びスピーカ8について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態の音響システム100が搭載される車両200の概略構成を示す。同図に示すように、車両200には、閉ざされた空間300(本発明の所定の空間に相当する。)が設けられ、この空間300には、本発明の聴取者に相当する運転者を含む搭乗者が滞在可能である。車両200内の各シートにはスピーカ8が設置され、各シートに対応する個別空間に対して夫々異なる音響環境、すなわち、個別音響空間の提供が可能とな
っている。
【0021】
運転席201、助手席202、後部座席左203、後部座席右204といった夫々のシートには、聴取者の頭部近傍にスピーカ8が聴取者へ向けて設置されている。運転席201のスピーカ81を例に説明すると、運転席のスピーカ81は、聴取者へ向けて設置された左スピーカ81aと右スピーカ81bとによって構成されている。左スピーカ81a及び右スピーカ81bは、運転席201のシート背面部に設置されている。スピーカ8は、音声再生ユニット1から供給された音声信号であって、個別空間に対して個別音響空間を提供すべくDSP2によって音響処理が行われた音声信号を車両200の室内300へ出力する。
【0022】
また、運転席201のスピーカ81の前方には、運転席201のエラーマイク71が設置されている。このエラーマイク71は、左エラーマイク71aと右エラーマイク71bによって構成されている。なお、図2においては、各シートに設置されたエラーマイク7が、聴取者の耳の横付近に設けられているが、実際には、スピーカ8と同じく、運転席201のシート前面側、例えばシート肩口、ヘッドレスト等に設置される。例えば運転席に設置されているエラーマイク71は、他席(例えば、後部座席)からの漏れ音を取得し、これに基づいてDSP2による音響処理が実行される。
【0023】
なお、助手席202、運転席後部の後部座席(以下、後部座席右204という。)及び助手席202の後部の後部座席(以下、後部座席左203という。)にも運転席201と同様に夫々聴取者の頭部近傍に、左スピーカ82a等と右スピーカ82b等が聴取者へ向けて設定されている。また、左スピーカ82a等と右スピーカ82b等の夫々の前方には左エラーマイク72a等や右エラーマイク72b等が設置されている。その結果、本実施形態の音響システム100では、各シート毎(個別空間毎)に対して個別音響空間の提供が可能となっている。
【0024】
次に、DSP2について説明する。DSP2にて実施される音響処理は、インターフェース3から受け付けた視聴者の指示を反映すべく、制御部4によって行われる。なお、インターフェース3を構成する表示部31及び操作受付部32の構成の詳細については後述する。
【0025】
ここで、図3は、DSP2を中心とした機能ブロック図を示す。なお、図3は、運転席201のスピーカ81へ供給される音声信号に音響処理を実行する例を示す。同図に示すように、DSP2は、漏れ音低減フィルタ21、仮想音源フィルタ22、後方音源逆フィルタ23、補助フィルタ24によって構成されている。後部座席203、204のスピーカ83、84から運転席201の聴取者に漏れる音を効果的に低減するため、後部座席203、204のスピーカ83、84と運転席201のエラーマイク71との間の漏れ音伝達関数P(z)と、運転席201のスピーカ81と運転席201のエラーマイク71との間の誤差経路伝達関数C(z)を動的に推定すると共に、臨場感のある個別音響環境を提供するために、運転席201のスピーカ81が出力する音声を仮想音源81a1、81b1に示すように聴取者の前方に定位させる。
【0026】
このように、環境変化に応じて変化し易い誤差経路伝達関数C(z)を動的に推定することで、漏れ音低減フィルタ21の動作制度を向上させることができる。また、仮想音源フィルタ22で聴取者の前方に音像を有する音を生成し、更に、後方音源逆フィルタ23で、運転席201のスピーカ81の位置を基準とする音像を聴取者の耳位置に近いエラーマイク71の位置へ定位させることで臨場感のある個別音響環境を提供することができる。
【0027】
漏れ音低減フィルタ21は、補助フィルタ24の出力に基づいて推定された漏れ音伝達関数P(z)及び誤差経路伝達関数C(z)を用い、後部座席203、204のスピーカ83、84からの漏れ音を打ち消す制御音を発生させるフィルタである。この漏れ音低減フィルタ21は、ADF(適応フィルタ:Adaptive Digital Filter)として構成される
。なお、漏れ音低減フィルタ21に供給される音声信号は、音声再生ユニット1から出力される。
【0028】
ここで、漏れ音低減フィルタ21の算出手順について簡単に説明する。漏れ音低減フィルタ21を「Hl(z)」、補助フィルタ24を「S(z)」、漏れ音伝達関数を「P(z)」、誤差経路伝達関数を「C(z)」とすると、これらの関係は、式1によって表される。なお、漏れ音低減フィルタ21が生成する制御音(打ち消し音)は、Hl(z)C(z)として表される。
S(z)=P(z)+Hl(z)C(z)・・・式1
【0029】
上記式1において、S(z)及びHl(z)に2通りの初期値(S1(z)、びHl1(z)、S2(z)、Hl2(z))を入力し、打ち消し誤差が最小となるようにS1(z)及びS2(z)を更新することで、最適なP(z)及びC(z)を推定することができる。そして、最適なHl(z)は、式2で表すことができる。
Hl(z)=−P(z)/C(z)・・・式2
【0030】
仮想音源フィルタ22は、音声再生ユニット1から出力される音声信号を受け取り、運転席201の聴取者の前方に仮想的な音像を有する仮想音場を生成するフィルタ(Q(z))である。なお、仮想音源フィルタ22によって生成される仮想音場は、図3の仮想音源81a1、81b1に示したように、あたかも聴取者の前方に音源があるように音声再生ユニット1からの音声信号を処理したものである。また、仮想音源フィルタ22は、事前の測定結果に基づいて予め求められた伝達関数であるので、処理負荷をかけることなく臨場感のある音場を得ることができる。ここで、この事前の測定は、聴取者を模擬したダミーヘッドの前方に設置した2つのスピーカから音声を出力し、ダミーヘッドの耳位置に設置されたマイクで、耳位置におけるインパルス応答を測定することによって行われる。そして、この測定の結果に基づいて目標音場の目標伝達関数を求め、求めた目標伝達関数をQ(z)とする。
【0031】
後方音源逆フィルタ23は、運転席201のスピーカ81と運転席201のエラーマイク71との間の誤差経路伝達関数C(z)の逆関数として定義されるフィルタであり、運転席201のスピーカ81の位置を基準とする仮想音場を運転席201のエラーマイク71位置へ定位させる処理を行う。これにより、運手席201のスピーカ81が聴取者の後方に設置されることに起因する音像の後方定位を補正することが可能となる。なお、後方音源逆フィルタ23を「Hb(z)」とすると、Hb(z)は、式3で表すことができる。なお、式3におけるC(z)は、予め推定しておいた静的な誤差経路伝達関数が用いられる。
Hb(z)=1/C(z)・・・式3
【0032】
補助フィルタ24は、音声再生ユニット1と運転席201のエラーマイク71の出力を受け取り、漏れ伝達関数P(z)及び誤差経路伝達関数C(z)を推定する処理を行うフィルタである。そして、この補助フィルタ24の出力は、漏れ音低減フィルタ21の適応制御に用いられる。
【0033】
次に表示部31及び操作受付部32からなるインターフェース3について説明する。図4は、インターフェース3の一例を示す図である。本実施形態のインターフェース3は、いわゆるタッチパネルであり、表示部31に直接タッチすることで各種操作が可能となっ
ている。つまり、表示部31が操作受付部32の機能も兼ね備えている。なお、図4では、表示部31に、車両200の空間300と聴取者の位置が表示されている。本実施形態では、タッチパネル方式のインタ−フェース3を用いたがこれに限定されるものではない。表示部にカーソルを表示し、表示部の近傍にカーソルを操作するための操作キーを設けるようにしてもよい。
【0034】
(処理フロー)
次に、上述した本実施形態の音響システム100で実行される処理について説明する。図5は、音響システム100で行われる処理フローを示す。なお、以下に説明する処理は、CPU41がメモリ42に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0035】
ステップS01では、パーソナル音響モードが起動される。パーソナル音響モードとは、個別空間に対して個別音響環境を提供するために起動されるものである。具体的には、メニュー画面からパーソナル音響モードが選択されることでパーソナル音響モードの設定画面が表示される。上述した図4に示す表示例がこれに相当する。パーソナル音響モードが起動されるとステップS02へ進む。
【0036】
ステップS02では、個別空間の設定が行われる。個別空間の設定は、インタフェース3を介して入力される聴取者の指示に基づいて行われる。すなわち、個別空間の設定は、CPU41が、インターフェース3に入力される仕切線の位置に関する情報を読み取ることで実行される。図6は、個別空間の設定状態の一例を示す。図6に示す例では、車両200の空間300が前方と後方とに直線状の仕切線90によって仕切られている。すなわち、運転席201及び助手席202が一つの個別空間として選択され、後部座席左203と後部座席右が更に一つの個別空間として選択されている。従って、CPU41は、運転席201及び助手席202と後部座席203、204との間に仕切線90が設定されたことを認識し、仕切線90を基準として両側に配置される夫々の個別空間が異なる個別空間と認識する。そして、夫々の個別空間に、異なる音源が提供される。このように本実施形態の音響システム100によれば非常に簡単な操作で個別空間の設定が可能となる。個別空間の設定が完了するとステップS03へ進む。
【0037】
ステップS03では、設定された個別空間の夫々について音源の設定が行われる。音源の設定は、インターフェース3に表示される音源リストから聴取者によって選択されることで行われる。すなわち、音源の設定は、CPU41が、インターフェース3を介して選択される音源を取得することで実行される。ここで、図7は、音源の設定状態の一例を示す。図7に示す例では、運転席201及び助手席202からなる前方の個別空間に対する音源としてAMラジオ放送が選択されている。一方、後部座席203、204からなる後方の個別空間に対する音源としてCDが選択されている。従って、CPU41は、運転席201及び助手席202からなる前方の個別空間に対しては音源としてAMラジオ放送を設定し、後部座席0からなる後方の個別空間に対しては音源としてCDを設定する。音源の設定が完了するとステップS04へ進む。
【0038】
ステップS04では、音響処理を行うか否かが判断される。音響処理を行うか否かの判断は、インターフェース3を介して入力される聴取者の指示に基づいて行われる。なお、本実施形態では、音響処理を行うか否かについて、CPU41が、インターフェース3に音響処理を行わない旨の指示が入力されたか否かによって判断する。従って、インターフェース3に音響処理を行わない旨の指示が入力されない限り、夫々の個別空間について音響処理が実行されることになる。ここで、図8は、音響処理を行わない指示がインターフェース3に入力された状態の一例を示す。図8に示す例では、前方の個別空間を示す領域に×印が入力されている。CPU41は、選択された個別領域に×印が入力されると、音
響処理を行わないと判断し、インターフェース3の表示部を切り替える。図9は、前方の個別空間について音響処理を行わない設定がなされた後の表示状態を示す。同図に示すように、図9では、前方の個別空間の設定(図8において斜線で示す。)が解除されている。なお、本実施形態のインターフェース3には、リセットボタン33が設けられている。従って、音響処理を行わない旨の指示は、リセットボタン33を押すことで行ってもよい。音響処理を行うか否かの設定が完了するとステップS05へ進む。
【0039】
ステップS05では、前方の個別空間及び後方の個別空間の夫々について音響処理が実行される。すなわち、CPU41は、漏れ音低減フィルタ21、仮想音源フィルタ22、後方音源フィルタ0、補助フィルタ24を制御して漏れ音を低減する処理や音源を前方に定位させる処理等を実行する。その結果、夫々の個別空間において最適な個別音響環境が提供される。
【0040】
<変形例>
上述した実施形態においては、個別空間の設定において、車両200の前方と後方とを区切ることとした。しかし、個別空間の設定は、これに限定されるものではない。図10は、変形例の個別空間の設定状態を示す。本変形例に示す例では、後部座席左203を一つの個別空間として設定するため、L字状の仕切線によって仕切られている。このように、仕切線をL字状とすることで、一つのシートを一つの個別空間として設定することができる。従って、個別空間の設定は、CPU41が、シート同士の間に仕切線90が存在するかを認識し、シート同士の間に仕切線90が存在する場合に、その隣接するシート同士を別の個別空間として設定するようにすればよい。なお、図10に示す例では、後部座席左203の個別空間には点領域が表示され、それ以外の個別空間には斜線領域が表示されており、夫々に音響間処理が実行されている。従って、聴取者は、一目で車両200の空間300の状態を把握することができる。
【0041】
また、図11は、その他の変形例の個別空間の設定状態を示す。本変形例に示す例では、運転席201及び助手席202を一つの個別空間として設定するため、楕円の仕切線によって、運転席201及び助手席202を囲んでいる。このように、仕切線90を楕円若しくは円状とすることで、任意のシートを一つの個別空間として設定することができる。この場合でも、個別空間の設定は、CPU41は、シート同士の間に仕切線が存在するかを認識し、シート同士の間に仕切線が存在する場合に、その隣接するシート同士を別の個別空間として設定することができる(図11において斜線領域として示す。)。なお、図11に示すその他の変形例では、上述した実施形態と異なり、楕円状の仕切線によって囲まれた領域のみ音響処理が実行されるように設定されている。図12は、運転席201及び助手席202のみを一つの個別空間として設定した後の表示状態を示す。同図に示すように、楕円状の仕切線90によって囲まれた領域のみが音響処理が実行されるよう、音源のリストが表示されている。
【0042】
<効果>
以上説明した本実施形態の音響システム100によれば、車両200の空間300内の個別空間の設定等を非常に簡単な操作で行うことができる。また、車両200の空間300内に複数の個別空間が設定された場合、その設定状況がインターフェース3に表示されるので、聴取者は個別空間の設定状況を一目で把握することができる。
【0043】
本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の音響システムはこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。なお、個別空間を設定する際の仕切線の形状は、上記に限定されるものでない。また、選択された領域を色づけすることでより分かり易い表示とすることができる。更に、上述した実施形態では、漏れ音低減処理をエラーマイクで取得した音に基づいて制御する適応制御とした。しかしこれに限定されるものでは
なく、漏れ音低減処理は、実験等によって予め取得した漏れ音低減関数や誤差経路伝達関数を用いて行ってもよい。すなわち、ADF(適応フィルタ)に換えて、事前に測定したインパルス応答を用いて漏れ音低減フィルタを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態の音響システムの概略構成を示す。
【図2】本実施形態の音響システムが搭載される車両の概略構成を示す。
【図3】DSPを中心とした機能ブロック図を示す。
【図4】インターフェースの一例を示す図である。
【図5】音響システムで行われる処理フローを示す。
【図6】個別空間の設定状態の一例を示す。
【図7】音源の設定状態の一例を示す。
【図8】音響処理を行わない指示がインターフェースに入力された状態の一例を示す。
【図9】前方の個別空間について音響処理を行わない設定がなされた後の表示状態を示す。
【図10】変形例の個別空間の設定状態を示す。
【図11】その他の変形例の個別空間の設定状態を示す。
【図12】運転席及び助手席のみを一つの個別空間として設定した後の表示状態を示す。
【符号の説明】
【0045】
1・・・再生処理ユニット
2・・・DSP
3・・・インターフェース
4・・・制御部
5・・・マイクアンプ
6・・・メインアンプ
7・・・エラーマイク
8・・・スピーカ
21・・・漏れ音低減フィルタ
22・・・仮想音源フィルタ
23・・・後方音源逆フィルタ
24・・・補助フィルタ
100・・・音響システム
200・・・車両
201・・・運転席
202・・・助手席
203・・・助手席後方後部座席
204・・・運転席後方後部座席
300・・・空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別の音響環境を提供する音響システムであって、
前記所定の空間に対応するイメージ画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部で受け付けた仕切情報に基づいて前記所定の空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理を実行する音響制御部と、
を備える音響システム。
【請求項2】
前記仕切情報は、隣接する個別空間同士の間に設けられる仕切線に関する情報であり、
前記音響制御部は、隣接する個別空間同士の間に仕切線が存在する場合、該仕切線を基準としてその両側に設けられている個別空間同士を異なる個別空間として設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行する
請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記仕切線によって仕切られた領域としての個別空間には、同一の音源が提供される請求項1又は請求項2に記載の音響システム。
【請求項4】
前記操作受付部と前記表示部は、タッチパネルであり、該タッチパネルに対する聴取者の指触によって前記仕切情報を受け付け、該タッチパネルに前記聴取者の指触の軌跡を前記仕切情報として、前記イメージ画像と共に表示する、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の音響システム。
【請求項5】
前記音響処理には、
隣接する個別空間のうちの一の個別空間から他の個別空間へ漏れる音を低減する漏れ音低減処理と、
聴取者の前方に仮想音源を生成する仮想音源処理と、
のうち少なくともいずれか一つが含まれる請求項1から請求項4のいずれか一に記載の音響システム。
【請求項6】
前記所定の空間は、車両空間であり、前記個別空間は、前記車両空間内の座席毎に設けられる、請求1から請求項5のいずれか一に記載の音響システム。
【請求項7】
所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別音響環境を提供する音響制御方法であって、
前記所定の空間に対応するイメージ画像を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付ステップと、
前記操作受付ステップで受け付けた仕切情報に基づいて前記所定空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理を実行する音響制御ステップと、
を備える音響制御方法。
【請求項8】
前記仕切情報は、隣接する個別空間同士の間に設けられる仕切線に関する情報であり、
前記音響制御ステップでは、隣接する個別空間同士の間に仕切線が存在する場合、該仕切線を基準としてその両側に設けられている個別空間同士を異なる個別空間として設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行する
請求項7に記載の音響制御方法。
【請求項1】
所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別の音響環境を提供する音響システムであって、
前記所定の空間に対応するイメージ画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部で受け付けた仕切情報に基づいて前記所定の空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理を実行する音響制御部と、
を備える音響システム。
【請求項2】
前記仕切情報は、隣接する個別空間同士の間に設けられる仕切線に関する情報であり、
前記音響制御部は、隣接する個別空間同士の間に仕切線が存在する場合、該仕切線を基準としてその両側に設けられている個別空間同士を異なる個別空間として設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行する
請求項1に記載の音響システム。
【請求項3】
前記仕切線によって仕切られた領域としての個別空間には、同一の音源が提供される請求項1又は請求項2に記載の音響システム。
【請求項4】
前記操作受付部と前記表示部は、タッチパネルであり、該タッチパネルに対する聴取者の指触によって前記仕切情報を受け付け、該タッチパネルに前記聴取者の指触の軌跡を前記仕切情報として、前記イメージ画像と共に表示する、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の音響システム。
【請求項5】
前記音響処理には、
隣接する個別空間のうちの一の個別空間から他の個別空間へ漏れる音を低減する漏れ音低減処理と、
聴取者の前方に仮想音源を生成する仮想音源処理と、
のうち少なくともいずれか一つが含まれる請求項1から請求項4のいずれか一に記載の音響システム。
【請求項6】
前記所定の空間は、車両空間であり、前記個別空間は、前記車両空間内の座席毎に設けられる、請求1から請求項5のいずれか一に記載の音響システム。
【請求項7】
所定の空間内に設けられる複数の個別空間に対して音響処理を実行することで該複数の個別空間に対して個別音響環境を提供する音響制御方法であって、
前記所定の空間に対応するイメージ画像を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された前記所定の空間に対応するイメージ画像において、空間を仕切るための仕切情報を聴取者から受け付ける操作受付ステップと、
前記操作受付ステップで受け付けた仕切情報に基づいて前記所定空間内に複数の個別空間を設定し、該設定された複数の個別空間に対して音響処理を実行する音響制御ステップと、
を備える音響制御方法。
【請求項8】
前記仕切情報は、隣接する個別空間同士の間に設けられる仕切線に関する情報であり、
前記音響制御ステップでは、隣接する個別空間同士の間に仕切線が存在する場合、該仕切線を基準としてその両側に設けられている個別空間同士を異なる個別空間として設定し、設定された個別空間に対して音響処理を実行する
請求項7に記載の音響制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−147814(P2009−147814A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325084(P2007−325084)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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