説明

音響センサおよび方法

例えば、第2の捕獲剤(例えば、抗体)のための導波路材料、固定化材料、または両方として機能することができる可溶性ポリマー、モノマー(場合によっては、このようなモノマーから形成されたオリゴマーおよび/またはポリマーと混合させた)、または多官能性化合物を含む音響センサ、好ましくは表面弾性波センサ、より好ましくは横波型表面弾性波センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照により本明細書に組み込まれる2003年12月30日出願の米国特許仮出願第60/533,169号明細書;2003年11月14日出願の米国特許出願第10/714,053号明細書;2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,075号明細書;2003年11月14日出願の米国特許出願第10/713,174号明細書、および2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,522号明細書に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
音響波センサは、その検出機構が機械的または音響波であるのでそのように呼ばれる。音響波は材料の表面を通り抜けてまたはその上を伝播するので、伝播経路の特性への変化は、波の速度および/または振幅に影響を及ぼす。速度の変化は、センサの周波数または位相特性を測定することによって監視することができ、次いで対応する測定された物理量に対して相関することができる。
【0003】
事実上、音響波装置およびセンサはすべて、音響波を発生するために圧電材料を使用する。圧電気は、機械的ストレスを課すことによる電荷の生成を指す。この現象は相互的である。適切な電場を圧電材料にかけることにより、機械的ストレスが生じる。圧電音響波センサは、振動電場を加えて、機械的波を作製し、これは基板を通り抜けて伝播し、次いで測定用の電場に変換され戻す。音響波センサのタイプに応じて、様々な金属電極配置を使用して、圧電材料を駆動する電場を設立する。例えば、音響波が、厚みすべりモード(TSM)センサなどでバルク横波である場合、電極は平面であり、圧電材料をサンドイッチ状に挟んでいる。地上発射型音響波センサでは、電極は、通常は圧電基板に直接フォトリソグラフィーによって作製された交互嵌合(IDT)型電極対である。
【0004】
音響波デバイスは、波が圧電基板を通り抜けてまたはその上を伝播するモードによって記載されている。基板を通り抜けて伝播する波は、バルク波と呼ばれる。最もよく使用されるバルク音響波デバイスは、厚みすべりモード(TSM)共振器である。
【0005】
音響波が基板の表面上を伝播する場合、表面波と呼ばれる。表面弾性波センサ(SAW)および横波型表面弾性波(SH−SAW)センサは、最も広く使用されている表面波デバイスである。SH−SAWセンサの重要な特徴の1つは、液体中での感知が可能であることである。これは、横波型波がセンサの表面に限定されているので、エネルギーをその表面を含む液体に放散させず、液体操作が減衰せずに可能であるからである。
【0006】
公知の液体センシング用音響センサすべてのうち、SH−SAWの特別な一クラスであるラブ波センサは、最高の感度を有する。ラブ波センサを作製するために、導波路コーティングを、横波型波のエネルギーがそのコーティングに限定され集中されるようにSH−SAWデバイス上に配置する。次いで、従来型の完全なセンサを形成するために、生体認識コーティング(例えば、捕獲剤を含むもの)を導波路コーティング上に配置する。固定化化学物質層(固定化化学物質層)が、生体認識と導波路のコーティングの間に挿入されて、2つのコーティングの間でタイ層として働く。生体分析物を生体認識コーティングに結合させることにより、表面弾性波の伝播特性が変化し、これらの変化の測定を使用して、分析物の存在を定量的に検出することができる。
【0007】
導波路材料は、具体的には遅延線デバイスの構築物に関して、音響エネルギーの伝播に重要である。光導波路と同様に、音響エネルギーは導波路の方向に伝播される。導波路は、音響波長程度の大きさの層であり、上記に記載のように、薄膜導波路を使用して、音響波を導くデバイス構造をラブ波デバイスと呼ぶことが多い。ラブ波デバイスでは、音響エネルギーは、純な横波モードでデバイスの表面に本当に限定され、より高い分析感度になる。通常の導波路には、無機材料および有機材料を共に含む広範囲の材料が含まれる。
【0008】
無機材料をラブ波デバイスで導波路として使用することに成功しているが、有機ポリマー材料は、一般により有利である。というのは、このような材料のレオロジーは、液体下での導波路の低音響損失、高安定性のために調整することができ、かつ液体中で使用する場合に優れた電気絶縁性をデバイスの交互嵌合型電極(IDT)に提供することができるからである。さらに、広範囲のコーティング方法を使用して、デバイス構築物にポリマー導波路を塗布することができる。有機ポリマー材料は、(光)画像作製することも容易であり、したがってパターン形成されたコーティングを容易に得ることができる。
【0009】
同様に、固定化有機化学物質(固定化化学物質)(導波路と生体認識コーティングの間の架橋を形成する)は望ましい。というのは、このような材料のレオロジーは、特にこの層の厚さが音響波長に比べた場合に認め得るほどになる場合に、液体下での固定化化学物質層の低音響損失、高安定性のために調整することができるからである。有機材料は、導波路と生体認識コーティングの間に優れた接着架橋を提供することもできる。さらに、広範囲のコーティング方法を使用して、デバイス構築物にポリマー固定化層を塗布することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
音響センサで導波路および/または固定化化学物質として使用することができる有機材料が継続して必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、音響センサ、好ましくは表面弾性波センサ、より好ましくは横波型表面弾性波センサを提供する。通常は、このようなセンサには、例えば官能化可溶性ポリマー、官能化モノマー(または、モノマー、オリゴマー、およびこのようなモノマーから形成されたポリマーの混合物)、あるいは第2の捕獲剤(例えば、抗体)用の導波路材料、固定化材料、または両方として機能することができる多官能性化合物が含まれる。例えば、本発明のいくつかの材料(例えば、官能化可溶性ポリマー)は、導波路材料(様々な固定化材料を含む)、固定化材料(様々な導波路材料を含む)として機能することができ、あるいは両方として機能することができる。さらに、本発明のいくつかの材料(例えば、官能化可溶性ポリマー)は、導波路および捕獲材料の機能を行うことができる。すなわち、本発明のいくつかの材料(好ましくは、官能化可溶性ポリマー)は、導波路材料および捕獲材料(通常は、非特異的捕獲用)としてすべて一体になって機能する。
【0012】
このような官能化可溶性ポリマーは好ましくは、下記の官能基(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を含む:
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびZは本明細書に定義する通りである)。
【0013】
適切な官能化モノマー(このようなモノマーから形成されたオリゴマーおよび/またはポリマーと組み合わせることができる)は、官能基(I)、(II)、および(IV)を含む。これらのモノマーは、(第2の捕獲剤(例えば、抗体)を含んでまたは含まず)導波路層、固定化層、または両方での使用に適したものとすることができる。
【0014】
適切な多官能性化合物は、官能基(I)、(II)、および(IV)を含む。これらの化合物は、(第2の捕獲剤(例えば、抗体)を含んでまたは含まず)導波路層、固定化層、または両方での使用に適したものとすることができる。
【0015】
本発明の音響センサで(通常は、固定化層で)の使用に適した化合物の別のクラスには、式I、II、またはIV(式中、各Y基(Y1、Y2、Y3)は、基板の反応性官能基に結合されている)で表される1つまたは2つの官能基を含む化合物が含まれる。
【0016】
本発明の音響センサで(通常は、導波路層で)使用するための他の材料には:1つまたは複数の様々なモノマー(ただし、少なくとも1つが、(メタ)アクリラートモノマーである)から誘導され、式I、II、III、およびIVで表される官能基を含まないポリマー;N−ビニルカルバゾールおよび場合によっては他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマー;ポリエポキシド(好ましくは、芳香族または脂環式のジエポキシドのポリマー);およびフッ化ビニリデン(VF2)含有フルオロポリマーが含まれる。
【0017】
このような材料の様々な組合せ(混合物を含む)を、音響センサで使用することができる。
【0018】
本発明の音響センサで(通常は、導波路層で)の使用に適した他の材料は、通常は上記に記載する材料の1つと組み合わせて、1つまたは複数の(メタ)アクリラートモノマーから誘導されたポリマー、スチレン含有ポリマー、N−ビニルカルバゾールおよび場合によっては他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマー、ポリイミド、VF2含有フルオロポリマー、またはそれらの組合せが含まれる。
【0019】
一実施形態では、本発明は:
(a)次式を有する官能基からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマー:
【化2】

(式中、
1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)であり;
4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Re(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し、前記ヘテロ環状またはヘテロ二環状基を、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる)であり;
1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基であり;かつ
4およびY5はそれぞれ結合である);あるいは
(b)次式のモノマー:
A−R7−X−C(O)−C(R8)=CH2
(式中、
Aは、式(I)、(II)、および(IV)を有する官能基からなる群から選択され;
Xは、−N(R9)−または−O−であり;
7は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組合せ(ただし、アルキレンおよびヘテロアルキレンは場合によっては、1つまたは複数のカルボニルを含む)からなる群から選択された2価基であり;
8は、水素またはメチルであり;かつ
9は、水素またはC1~6アルキル基である);あるいは
(c)次式の多官能性化合物:
(A’−)y−Q
(式中、
A’はそれぞれ独立に、式(I)、(II)、および(IV)を有する官能基からなる群から選択され;
Qは、単結合、またはy−価原子もしくは基であり;かつ
yは、2〜10の整数であり;
ただし、Q、Y1、Y2、およびY3は、ジスルフィド基を含まないことを条件にする);あるいは
(d)式I、II、またはIV(式中、各Y基(Y1、Y2、Y3)は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシルオキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファト、エチレン性不飽和基、およびそれらの組合せからなる群から独立に選択された基板の反応性官能基に結合されている)で表される1つまたは2つの官能基を有する化合物;あるいは
(e)1つまたは複数の様々なモノマー(ただし、少なくとも1つのモノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである)から誘導され、式I、II、III、またはIVを有する官能基を含まないポリマー;あるいは
(f)N−ビニルカルバゾールおよび場合によっては他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマー;あるいは
(g)VF2含有フルオロポリマー;
(h)ポリエポキシド;あるいは
それらの組合せを含む表面を含む音響センサを提供する。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、次式を有する官能基からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを含む音響センサを提供する:
【化3】

(式中、
1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)であり;
4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Re(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し、前記ヘテロ環状またはヘテロ二環状基を、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる)であり;
1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基であり;かつ
4およびY5はそれぞれ結合である)。
【0021】
別の実施形態では、本発明は音響センサの被覆方法を提供する。方法は、非接触被着技法を使用して、(本明細書に記載のような)可溶性ポリマーを音響センサの表面に塗布するステップを含む。
【0022】
定義
用語の「含む(comprises)」およびその変形は、これらの用語が明細書および特許請求の範囲で出現する場合限定的意味をもたない。
【0023】
本明細書では、「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは複数の」を交換可能に使用する。
【0024】
また本明細書では、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0025】
本明細書では、用語の「アルキル」は、1価基のアルカンを指し、線状、分枝状、環状、またはそれらの組合せである基を含む。アルキル基は、通常は1〜30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、およびエチルヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書では、用語の「アルキレン」は、2価基のアルカンを指す。アルキレンは、直鎖、分枝、環状、またはそれらの組合せとすることができる。アルキレンは、通常は1〜200個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレンは、1〜100個、1〜80個、1〜50個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、1〜6個、または1〜4個の炭素原子を含む。アルキレン基の中心は、同じ炭素原子上(すなわち、アルキリデン)または異なる炭素原子上とすることができる。
【0027】
本明細書では、用語の「アラルキル」は、1価基の化合物R−Ar(式中、Arは芳香族炭素環状基であり、Rはアルキル基である)を指す。
【0028】
本明細書では、用語の「アラルキレン」は、式−R−Ar−の2価基(式中、Arはアリーレン基であり、Rはアルキレン基である)を指す。
【0029】
本明細書では、用語の「アリール」は、1価の芳香族炭素環状基を指す。アリールは、1個の芳香族環を有することができ、あるいは芳香族環に接続または縮合させた最高5個の炭素環構造を含むことができる。他の環構造は、芳香族、非芳香族、またはそれらの組合せとすることができる。アリール基の例には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、およびフルオレニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書では、用語の「アリーレン」は、接続、縮合、またはそれを組み合わせた1〜5個の環を有する2価基の炭素環芳香族化合物を指す。いくつかの実施形態では、アリーレン基は、最高5個の環、最高4個の環、最高3個の環、最高2個の環、または1個の芳香族環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレンとすることができる。
【0031】
上記のアリールおよびアリーレンは、低級アルキル、ハロ、およびアルコキシなどの置換基を場合によっては含むことができる。
【0032】
本明細書では、用語の「カルボニル」は、式−(CO)−の2価基を指す。
【0033】
本明細書では、用語の「カルボニルイミノ」は、式−(CO)NRa−(式中、Raは、水素、アルキル、またはアリールである)の2価基を指す。
【0034】
本明細書では、用語の「カルボニルオキシ」は、式−(CO)O−の2価基を指す。
【0035】
本明細書では、用語の「クロロアルキル」は、少なくとも1個の水素原子を塩素原子で置換させているアルキルを指す。
【0036】
本明細書では、用語の「ジスルフィド」は、式−S−S−の2価基を指す。
【0037】
本明細書では、用語の「エチレン性不飽和」は、式−CY=CH2(式中、Yは、水素、アルキル、またはアリールである)の炭素−炭素二重結合を有する1価基を指す。
【0038】
本明細書では、用語の「フルオロアルキル」は、少なくとも1個の水素原子をフッ素原子で置換させているアルキルを指す。いくつかのフルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基である。
【0039】
本明細書では、用語の「ヘテロアルキレン」は、1つまたは複数の炭素原子を硫黄、酸素、または、NRd(式中、Rdは、水素またはアルキルである)で置換させている2価のアルキレンを指す。ヘテロアルキレンは、線状、分枝状、環状、またはそれらの組合せとすることができ、かつ最高400個の炭素原子、および最高30個のヘテロ原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキレンは、最高300個の炭素原子、最高200個の炭素原子、最高100個の炭素原子、最高50個の炭素原子、最高30個の炭素原子、最高20個の炭素原子、または最高10個の炭素原子を含む。
【0040】
本明細書では、用語の「ヘテロアリーレン」は、1つまたは複数の炭素原子を硫黄、酸素、またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)で置換させている2価のアリーレンを指す。
【0041】
本明細書では、用語の「オキシ」は、式−O−の2価基を指す。
【0042】
本明細書では、用語の「パーフルオロアルキル」は、水素原子をすべてフッ素原子で置換させているアルキル基を指す。
【0043】
本明細書では、用語の「チオ」は、式−S−の基を指す。
【0044】
本明細書では、用語の「室温」は、約20℃〜約25℃、または約22℃〜約25℃の温度を指す。
【0045】
本明細書では、式中の2個の基を接続する曲線は、2個の基が共に環状構造の一部分を形成することを示唆している。
【0046】
本明細書に提示される化合物のいずれについても、当業者によって理解されるはずであるように、下記の可変基(例えば、R1、R2、Y1、Y2、Z、Aなど)のうちの1つはその実施形態のいずれかにおいてそれぞれ、他の可変基のその実施形態のいずれかにおいて任意の1つまたは複数と組み合わせることができる。得られる可変基の組合せはそれぞれ、本発明の一実施形態である。
【0047】
基(または、置換基もしくは可変基)が、本明細書に記載する化合物またはポリマー中2度以上存在する場合、基(または、置換基もしくは可変基)はそれぞれ独立に、明記されていようがいまいが選択される。例えば、本発明の可溶性ポリマーについて、懸垂基はそれぞれ独立に選択される。さらに、懸垂基がそれぞれ、下記に定義するような1つまたは複数のL基を含む場合、L基もそれぞれ、独立に選択される。
【0048】
本発明の上記の要約は、本発明の開示された実施形態またはあらゆる実施をそれぞれ記述するものではない。下記の明細書は、例示的実施形態をより具体的に示す。本出願全体を通して複数の場所で、指針は実施例のリストによって提供され、その実施例は様々な組合せで使用することができる。どの場合にも、記載されたリストは、代表的基であるにすぎず、排他的リストとして解釈されるべきでない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明は、少なくとも1つの物理的特性の変化を検出し、かつ検出可能な変化に応答して信号を生成する音響センサ、より詳細には音響的機械的バイオセンサを使用する。好ましくは、本明細書で使用する音響的機械的バイオセンサは、表面弾性波(SAW)バイオセンサである。これらのデバイスでは、圧電基板上のインターデジタルトランスデューサ(IDT)から、音響波を表面弾性波としてまたはバルク音響波として発生する。第2のIDTは、音響波を測定用の電気信号を変換し戻すことができる。これは、遅延線と呼ばれる。あるいは、デバイスは、共振器として動作することができる。2個のIDT間の空間を、化学またはバイオセンシング用途向けの反応性分子を含むことができるコーティングで改変することができる。
【0050】
図1を参照して、いくつかの実施形態では、IDT15間の音響的機械的バイオセンサ表面100は、好ましくは2つの遅延線を含む。第1のチャンネル、すなわち「アクティブ」チャンネル20が、試験試料を受け入れるため設けられている。第2のチャンネル、すなわち「参照」チャンネル30が、ベースラインまたは対照として設けられている。したがって、物理的特性の変化は、アクティブチャンネルと参照チャンネルとの差である。必要の場合には、音響導波路10(図1では、その境界しか記述されていない)は、通常はIDT間の領域、およびIDTそれ自体をカバーしている。感度を改善するために、データを数学アルゴリズムで変換することができる。
【0051】
圧電系SAWバイオセンサは、通常は質量または粘度の微細な変化を検出するその能力に基づいて動作する。米国特許第5,814,525号明細書に記載の通り、圧電系音響的機械的バイオセンサのクラスを、さらに質量変化のその検出モードに応じて、表面弾性波(SAW)、音響プレートモード(APM)、または水晶振動子マイクロバランス(QCM)デバイスに細分割することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、音響的機械的バイオセンサは、興味深い生体分子を圧電系音響的機械的バイオセンサの表面に結合させる第2の捕獲剤または反応物質(例えば、抗体)を含む。他の実施形態では、音響的機械的バイオセンサは、粘度変化など、液体(例えば、水溶液)の物理的変化を検出する。表面波の伝播速度は、質量、弾性、粘弾性、導電率、および誘電率などの変化を検出することができる高感度プローブである。したがって、これらの特性のいずれの変化も、表面弾性波の検出可能な変化をもたらす。すなわち、物質が、SAWデバイスの表面コーティングに接触し、吸収し、またはその他の方法で接着させられる場合、対応する応答が生じる。
【0053】
APMは、液体と接触しているデバイスで操作することもできる。同様に、QCM(通常は、ATカット水晶)デバイス上の2個の対向電極に加えられた交流電圧によって、共鳴周波数がコーティング材料中の質量変化に比例して変化する厚さすべり波モードが誘導される。
【0054】
音響波伝播方向(例えば、導波路に平行なまたは導波路の平面に垂直な平面における)は、音響的機械的バイオセンサを構築する圧電材料の結晶カットで決まる。平面をおよび平面から伝播する音響波(すなわち、レイリー波、大半のラム波)の大部分を有するSAWバイオセンサは、表面との液体接触による音響減衰が大きすぎるので、通常は液体センシング用途では使用されない。
【0055】
液体試料媒体では、横波型表面弾性波バイオセンサ(SH−SAW)は、好ましくは波の伝播が横波型モード(すなわち、バイオセンサ導波路の面内)に回転できるようになる結晶カットおよび方位を有する圧電材料で構築され、バイオセンサ表面と接触している液体に対する音響減衰損失の低減がもたらされる。横波型音響波には、例えば音響プレートモード(APM)、表面スキミングバルク波(SSBW)、ラブ波、漏洩音響波(LSAW)、およびブルースタイン−グリヤエフ(Bleustein−Gulyaev)(BG)波が含まれる。
【0056】
特に、ラブ波センサは、ST水晶のSSBWや36°YX LiTaO3の漏洩波などのSH波モードを支持する基板からなる。これらのモードは、音響導波薄層または導波路の適用によってラブ波モードに変換される。これらの波は、周波数に依存しており、導波路層のすべり波速度が圧電基板のそれより低いことを条件として、発生され得る。SiO2は、水晶の音響導波路層として使用されている。ポリメチルメタクリラート、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば、登録商標ノバラック(NOVALAC))、ポリイミド、およびポリスチレンなど他の熱可塑性架橋ポリマー導波路材料も使用されている。
【0057】
あるいは、QCMデバイスでは、音響波は液体媒体によって大幅に減衰され、一般に感度の高くないデバイスになるが、これらのデバイスも液体試料媒体で使用することができる。
【0058】
音響的機械的手段を使用するバイオセンサ、およびそのようなバイオセンサの構成要素は、公知である。例えば、米国特許第5,076,094号明細書;第5,117,146号明細書;第5,235,235号明細書;第5,151,110号明細書;第5,763,283号明細書;第5,814,525号明細書;第5,836,203号明細書;第6,232,139号明細書を参照のこと。SH−SAWデバイスは、米国ニューメキシコ州アルバカーキ(Albuquerque, NM)のサンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)など様々な製造業者から得ることができる。ある種のSH−SAWバイオセンサは、バイオセンサとバイオ電子工学(Biosensors and Bioelectronics)、19巻、849〜859頁(2004年)の「36°YX LiTaO3のラブ波バイオセンサを使用する低レベル炭疽菌刺激剤の検出(Low−level detection of a Bacillus anthracis stimulant using Love−wave biosensors of 36°YXLiTaO3)」にも記載されている。SAWバイオセンサ、および生物学的作用物質の検出方法は、2003年12月30日出願の米国特許仮出願第60/533,169号明細書にも記載されている。
【0059】
いくつかの実施形態では、バイオセンサの表面は、導波路層の上にある第2の捕獲剤または反応物質(例えば、抗体)を含む。この実施形態では、バイオセンサは、通常は第2の捕獲剤または反応物質によって束縛される粘度および/もしくは質量の変化を検出する。この実施形態では、バイオセンサは、(導波路層の上にある)固定化層および任意のタイ層を含むことが好ましい。
【0060】
第2の捕獲剤または反応物質(例えば、抗体)を表面に結合させるために、固定化層を設けることができる。
【0061】
本発明の音響センサで(通常は、固定化層で)の使用に適した化合物の別のクラスには、式I、II、またはIVによって表される1つまたは2つの官能基(式中、各Y基(Y1、Y2、Y3)は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシルオキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファト、エチレン性不飽和基、およびそれらの組合せからなる群から独立に選択された基質の反応性官能基に結合している)を有する化合物が含まれる。例示的固定化層には、N−(11−トリクロロシリルウンデセノイル)サッカリンが含まれる。このような化合物は、本出願人の譲受人の同時係属の、2003年11月14日出願の米国特許出願第10/714,053号明細書と第10/713,174号明細書、および2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,075号明細書と第10/987,522号明細書に開示されている。
【0062】
固定化層に適した材料(本明細書では、「固定化化学物質」と呼ぶ)の他の例には、例えば式(I)、(II)、(III)、または(IV)を有する2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマー;式(A’−)y−Qの多官能性化合物(式中、A’はそれぞれ独立に、(I)、(II)、および(IV)を有する官能基からなる群から選択され、Qは、単結合、またはy−価原子もしくは基であり、かつyは、2〜10の整数であり;ただし、Q、Y1、Y2、およびY3は、ジスルフィド基を含まないことを条件にする);あるいは次式のモノマー(場合によっては、このようなモノマーから形成されたオリゴマーまたはポリマーと組み合せる)A−R7−X−C(O)−C(R8)=CH2(式中、Aは、次式(I)、(II)、および(IV)を有する官能基からなる群から選択され、Xは、−N(R9)−または−O−であり、R7は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組合せ(ただし、アルキレンおよびヘテロアルキレンは場合によっては、1つまたは複数のカルボニルを含む)からなる群から選択された2価基であり、R8は、水素またはメチルであり、かつR9は、水素またはC1~6アルキル基である)が含まれる。
【0063】
好ましくは、固定化層は、官能基(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを含む。
【0064】
あるいは、これらの官能基はそれ自体、捕獲材料として機能することができる。このような実施形態では、第2の捕獲剤(例えば、抗体)を使用せず、本明細書に記載する官能化ポリマー、モノマー、または多官能性化合物が通常は第2の捕獲剤を使用する場合ほど特異的ではないが、興味深い生体分子を捕捉する機能を果たす。
【0065】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、バイオセンサは、第2の捕獲剤(すなわち、抗体などの反応物質)を実質的に含まない。例えば、固定化層を、本明細書に記載する式(I)、(II)、(III)、または(IV)を有する2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーから形成している場合、これらの官能基は、捕獲材料として機能することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、官能化された固定化化学物質(具体的には、本明細書に記載する可溶性ポリマー)は、導波路として機能することもできる。このような実施形態では、音響的機械的バイオセンサは、(捕獲材料として機能する)導波路層のみ含むことができ、あるいは第2の捕獲剤をこの材料に結合させることができる(この場合、導波路が固定化導波路となるはずである)。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、官能化固定化層(具体的には、本明細書に記載する可溶性ポリマー)は、導波路として機能することもできる。このような実施形態では、音響的機械的バイオセンサは、(捕獲材料として機能する)導波路層のみ含むことができ、あるいは第2の捕獲剤をこの材料に結合させることができる(この場合、導波路が固定化導波路となるはずである)。
【0068】
別の実施形態では、導波路材料および固定化層は、別々の層として塗布され、固定化層は導波路材料の上にある。導波路と固定化層との接着を改善するために、潜在的反応性基を、導波路材料、固定化層、または両方に組み込むことができる。被覆および乾燥した後、これらの潜在的反応性基を誘発して、2層間の界面における接着を向上させることができる。このような潜在的反応性基の一例は、4−アクリロイルオキシベンゾフェノンである。この基を、(フュージョンDバルブや中圧水銀ランプなどからの)強力UV光に曝露させることによって活性化し、水素を引き抜き、反応性基と周囲ポリマーの間で共有結合を形成することができる。
【0069】
あるいは、定着剤を使用することもできる。定着剤を相溶剤およびカップリング剤に細分割することができる。相溶剤は、2つの不混和性ポリマーの相溶性を増大させ、カップリング剤は、2つのポリマー層間の接着を増大させる。さらに、相溶剤およびカップリング剤は、反応性、または非反応性とすることができる。相溶剤は、2つのポリマー間の界面エネルギーを低減し、したがってポリマー−ポリマー界面の全域の溶解性を改善することによって接着を増大させるという原理で働く。相溶剤は、一般に3つのカテゴリー:ポリマー間の界面の全域に溶解性架橋を提供することによって接着を増大させる非反応性ブロックコポリマー;界面の全域にブロックコポリマーを現場形成することによって接着を増大させる反応性官能性コポリマー;およびポリマー−ポリマー界面の全域に極性相互作用を提供することによって接着を増大させる非反応性極性コポリマーに分かれる。カップリング剤は、通常はポリマー−ポリマー界面の全域に共有結合を形成することができ、官能基が各ポリマー層にある多官能性小分子である。最も一般的なカップリング剤は、シランをベースとしている。相溶剤は、通常はポリマー層の1つにブレンドされている。場合によっては、相溶剤をポリマー被着体に被覆することも可能である。カップリング剤をポリマーにブレンドすることもできるが、被着体表面に適切な溶媒担体で被覆することもできる。あるいは、カップリング剤を、導波路および固定化層の材料1つまたは両方と共重合させることもできる。
【0070】
他の適切な定着剤には、国際公開第01/66820号パンフレットに記載のようなダイヤモンド様ガラス、および米国特許第6,632,872号明細書に記載された自己集合型単層が含まれる。他の定着剤、例えば金を含むタイ層などを使用することもできる。
【0071】
ダイヤモンド様ガラスは、N−(11−トリクロロシリルウンデセノイル)サッカリン、または例えば固定化層で使用されるような他の化学物質と共に、特に有用である。ダイヤモンド様ガラスは、炭素、ケイ素、および;水素、酸素、フッ素、硫黄、チタン、または銅から選択された1つまたは複数の元素を含む非晶質材料である。いくつかのダイヤモンド様ガラス材料は、プラズマ法を使用して、テトラメチレンシラン前駆体から形成される。疎水性材料は、さらに酸素プラズマ中で処理して、表面上のシラノール濃度を制御して生成することができる。
【0072】
ダイヤモンド様ガラスは、基板において薄膜の形、または別の層もしくは材料上のコーティングの形とすることができる。いくつかの用途では、ダイヤモンド様ガラスは、少なくとも30重量パーセントの炭素、少なくとも25重量パーセントのケイ素、および最高45重量パーセントの酸素を有する薄膜の形とすることができる。このような膜は、柔軟で透明なものとなり得る。いくつかの多層基板では、ダイヤモンド様ガラスを、ダイヤモンド様炭素層上に被着する。ダイヤモンド様炭素は、いくつかの実施形態で、多層基板においてポリマー層とダイヤモンド様ガラス層との間の第2のタイ層または下塗り層として機能することができる。ダイヤモンド様炭素膜を、例えばアセチレンからプラズマ反応器中で調製することができる。このような膜の他の調製方法は、米国特許第5,888,594号明細書および第5,948,166号明細書、ならびにエム・デービッド(M. David)ら、AlChE Journal、37巻、3号、367〜376頁(1991年3月)の論文に記載されている。
【0073】
すなわち、いくつかの実施形態では、本発明のセンサは、第2の捕獲剤(例えば、抗体)用の導波路層および固定化オーバー層を含み、導波路層または上にある固定化層は、可溶性ポリマー、モノマー(このようなモノマーから形成されたオリゴマーおよび/またはポリマーとの組合せとすることができる)、または多官能性化合物を含む。例えば、このような材料は、(様々な固定化材料と共に)導波路材料、(様々な導波路材料と共に)固定化材料として機能することができ、または両方として機能することができる。さらに、このような材料は、導波路材料、固定化材料、および捕獲材料(通常は、非特異的捕獲用)としてすべて一体になって機能することもできる。このような材料をより詳細に下記に記載する。好ましいこのような材料は、より詳細に下記に記載する可溶性ポリマーである。
【0074】
本明細書に記載する材料は、材料による小さい音響損失、水中での優れた電気絶縁性、頑健性および安定性、加工の点から見た作業性、導波路と固定化化学物質層との間の強力な接着を提供することができ、かつ生体認識コーティングを化学的に結合させることができ、結合させた後も生物活性のままにしておく表面化学的性質を提示することができるので有利である。
【0075】
本発明の音響センサに使用するための他の導波路材料には、ポリエポキシド(好ましくは、芳香族または脂環式のジエポキシドのポリマー)、1つまたは複数の(メタ)アクリラートモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリラートホモポリマー、フルオロアルキル(メタ)アクリラートコポリマー)から誘導されたポリマー、スチレン含有ポリマー、N−ビニルカルバゾールと場合によっては他のエチレン性不飽和モノマーとから誘導されたポリマー、ポリイミド、VF2含有フルオロポリマー、またはそれらの組合せが含まれる。このような材料をより詳細に下記に記載する。
【0076】
官能化可溶性ポリマーおよびモノマー
音響センサでの使用に適した可溶性官能化ポリマー(導波路層もしくは固定化オーバー層内、または固定化導波路材料として)は、次式を有するものから独立に選択される2つ以上の懸垂基を有するものである:
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびZは、本明細書の下記に定義する)。
【0077】
本明細書では、可溶性ポリマーは、水または少なくとも1つの有機溶媒中、室温で少なくとも0.01重量パーセント(重量%)の量で可溶であるものである。好ましくは、本発明の可溶性ポリマーは、水または少なくとも1つの有機溶媒中、室温で少なくとも0.1重量%の量で可溶である。好ましくは、本発明の可溶性ポリマーは、水または少なくとも1つの有機溶媒中、室温で少なくとも1.0重量%の量で可溶である。ポリマーが可溶であり得る例示的有機溶媒には、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、塩素化およびフッ素化炭化水素、フッ素化エーテル、またはそれらの組合せが含まれる。
【0078】
このような可溶性ポリマーは、アミン反応性官能基を有するモノマーの重合、またはアミン反応性官能基を有する反応性誘導体と適切に置換されているオリゴマーおよびポリマーとの付加によって作製することができる。
【0079】
重合手法では、エチレン性不飽和モノマーの付加重合が好ましい。これらには、例えば(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、スチレン、オレフィン(例えば、歪み内部オレフィン)、アリルエーテルなどが含まれる。少なくとも1つのモノマーは、上記に定義する懸垂基を形成する官能基を含む。
【0080】
好ましい出発モノマーは、次式のものである:
A−R7−X−C(O)−C(R8)=CH2
(式中、
Xは、−N(R9)−または−O−であり;
7は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組合せ(例えば、アルキレンとアリーレン基を共に含む基)からなる群から選択された2価基であり、場合によっては、1つまたは複数のカルボニルを含み;
8は、水素またはメチルであり;かつ
9は、水素またはC1~6アルキル基である);
さらにAは、次式を有する官能基からなる群から選択された:
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、Y2、Y3、およびZは、本明細書の下記に定義する))。
【0081】
コモノマーは、上記に特定する式A−R7−X−C(O)−C(R8)=CH2のモノマーの希釈、熱的および機械的安定性、接着などを含めて、いくつかの理由で選択することができる。コモノマーの例には、低級アルキルアクリラートおよびメタクリラート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアクリラートおよびメタクリラート、ビニルエーテル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、アリルエーテル、歪み内部オレフィンなどが含まれる。
【0082】
本発明の可溶性ポリマーを調製する第2の手法は、付加または縮合重合で作製された予め存在するポリマーに、官能基として反応性のアミン捕獲基を付加させるものである。例えば、ClC(O)C816C(O)−サッカリンを、ポリ(メチルメタクリラート−コ−ヒドロキシエチルメタクリラート)およびポリビニルアルコールと反応させることができる。
【0083】
本明細書において、式Iでは、R1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する。
【0084】
本明細書において、式IIおよびIIIでは、R3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)である。
【0085】
式IIおよびIIIのいくつかの実施形態では、R3は、アルキル、アリール、またはアラルキルである。適切なアルキル基は、通常は30個以下の炭素原子、20個以下の炭素原子、10個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、または4個以下の炭素原子を含む。いくつかの化合物では、アルキル基は、メチル、エチル、またはプロピルである。適切なアリール基は、通常は6〜18個の炭素原子、6〜12個の炭素原子、または6個の炭素原子を含む。いくつかの化合物では、アリール基はフェニルである。アリール基の一例は、4−メチルフェニルである。適切なアラルキル基は、通常は6〜30個の炭素原子を有するアリール基および30個以下の炭素原子を有するアルキル基を含む。
【0086】
式IIおよびIIIの他の実施形態では、R3は、−NRab基(式中、RaおよびRbは、10個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、または4個以下の炭素原子を有するアルキル基である)である。あるいは、RaおよびRb基は共に、これらが結合している窒素原子と組み合わさって、4〜8員の環構造を形成することができる。例えば、RaおよびRbは組み合わさって、窒素ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロ環状基を形成することができる。
【0087】
本明細書において、式IIおよびIIIでは、R4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する。
【0088】
本明細書において、式IVでは、R6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する。
【0089】
式IVのいくつかの実施形態では、R6は、C1~30アルキル、C1~10アルキル、またはC1~6アルキルとすることができる。式IVの他の実施形態では、R6は、C1~30フルオロアルキル、C1~10フルオロアルキル、またはC1~4パーフルオロアルキル基とすることができる。式IVのさらに別の実施形態では、R6は、C6~12アリールとすることができる。例えば、R6は、フェニル基とすることができる。
【0090】
本明細書において、式IVでは、Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Reである。式IVのいくつかの実施形態では、Zは、アルキルまたはアリールとすることができる。例えば、Zは、C1~6アルキルとすることができる。他の実施例では、Zは、C6~12アリールとすることができる。式IVの他の実施形態では、Zは、−(CO)Re基(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する)とすることができる。
【0091】
本明細書において、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基である。いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、次式−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a−を有する基からなる群から選択された(式中、Ar1はアリーレンであり、かつY1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された)。
【0092】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、次式:−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a−を有する基からなる群から選択された。このような式では、Ar1は、アリーレン(好ましくは、フェニレン)であり、かつY1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された。
【0093】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する、アリーレン基に連結している第1のアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1のアルキレン基は、さらにカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレンまたは第1のヘテロアルキレン基に連結している。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレンまたは第1のヘテロアルキレン基に連結させることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有するアリーレンに連結している第1のヘテロアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1のヘテロアルキレン基は、さらにカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のヘテロアルキレンまたは第1のアルキレン基に連結している。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ基、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のヘテロアルキレンまたは第1のアルキレン基に連結させることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に接続している第1のアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に接続させることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、ヘテロアルキレン基である。いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続している第1のヘテロアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続させることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、1〜30個の炭素原子、ならびにN、O、S、およびそれらの組合せからなる群から選択された最高30個のヘテロ原子を有するヘテロアルキレンであり、ヘテロアルキレン基は、線状、分枝状、環状、またはそれらの組合せである。
【0098】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、1〜30個の炭素原子を有するアルキレンであり、アルキレン基は、線状、分枝状、環状、またはそれらの組合せである。これらの実施形態のいくつかでは、アルキレン基は、最高20個の炭素原子を有する線状または分枝状とすることができる。いくつかの実施形態では、アルキレンは、式(CH2n(式中、nは、1〜20の整数である)を有するものである。
【0099】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、1つまたは複数のアルキレン基および1つまたは複数のヘテロアルキレン基に加えて、アリーレン基を含む(好ましくは、最高18個の炭素原子、最高12個の炭素原子、または最高6個の炭素原子を含む)。
【0100】
本明細書において、Y4およびY5はそれぞれ結合である。
【0101】
式Iの例示的構造には、下記:
【化6】

(式中、Rは、アルキルであり、かつY1は、式Iについて先に定義したのと同じである)が含まれるが、これらに限定されない。これらの例示的実施形態のいくつかでは、Y1は、−Y1a−Ar1−または−Ar1−Y1a−とすることができる(式中、Ar1は、アリーレン(好ましくは、フェニレン)であり、かつY1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された)。式Iの官能基は、非置換とする、あるいはハロ、アルキル、アルコキシ、またはそれらの組合せで置換することができる。
【0102】
式Iの例示的構造には、下記:
【化7】

(式中、R1およびR2は、式Iについて先に定義したのと同じであり;nはそれぞれ独立に、1〜100の整数であり;mは、1〜200の整数であり;kは、2〜4の整数であり;Dは、酸素、硫黄、またはNHであり;Ar1は、アリーレン基であり;Lはそれぞれ独立に、酸素またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;かつqは、0または1の整数である)も含まれるが、これらに限定されない。このような実施形態では、好ましくは、nは80以下、60以下、40以下、20以下、または10以下であり;好ましくは、mは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、または10以下であり;好ましくは、kは、2に等しく;好ましくは、Dは酸素であり;かつ好ましくは、Ar1はフェニレンである。
【0103】
式IIの例示的構造には、下記:
【化8】

(式中、R3およびY2は、式IIについて先に定義したのと同じである)が含まれるが、これらに限定されない。式IIの官能基は、非置換とする、あるいはハロ、アルキル、アルコキシ、またはそれらの組合せで置換することができる。
【0104】
式IIの例示的構造には、下記:
【化9】

(式中、R3、R4、およびR5は、式IIについて先に定義したのと同じであり;vは、1〜200の整数であり;xは、1〜4の整数であり;かつDは、酸素、硫黄、またはNHである)も含まれるが、これらに限定されない。このような実施形態では、好ましくは、vは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下、5個以下、4以下、3以下、2以下であり、または1に等しく、より好ましくは、vは、1または2であり;好ましくは、xは、3以下、2以下であり、または1に等しく、より好ましくは、xは、1または2であり;かつ好ましくは、Dは、酸素または硫黄である。
【0105】
式IIIの例示的構造には、次式:
【化10】

が含まれる。
【0106】
式IVの例示的構造には、次式に示すような芳香族基に縮合しているヘテロ環状基:
【化11】

(式中、Y3は、式IVについて先に定義したのと同じである)が含まれる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明の可溶性ポリマーは、次式から独立に選択された2つ以上の懸垂基を含む:
【化12】

(式中、R6は、式IVについて先に定義したのと同じであり;Wは、Ck2kDまたはDCk2kであり;Dは、酸素、硫黄、またはNH(好ましくは酸素)であり;nは、1〜100の整数(好ましくは80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;mは、1〜200の整数(好ましくは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;pは、1〜10の整数(好ましくは8以下、6以下、4以下、または2以下)であり;qは、0または1の整数であり;tは、0〜12の整数(好ましくは、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下、または0に等しい)であり;kは、2〜4の整数(好ましくは、3以下、2以下、または2に等しい)であり;かつLはそれぞれ独立に、酸素またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;ただし、少なくとも1つのLは、各−Lq−C(O)−Lq−部分に存在し、かつヘテロ原子−ヘテロ原子結合は存在しないことを条件にする)。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明の可溶性ポリマーは、次式から独立に選択された2つ以上の懸垂基を含む:
【化13】

(式中、R6は、式IVについて本明細書の先に定義したのと同じであり;nは、1〜100の整数(好ましくは80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;mは、1〜200の整数(好ましくは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;pは、1〜10の整数(好ましくは、8以下、6以下、4以下、または2以下)であり;tは、0〜12の整数(好ましくは、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下、または0に等しい);kは、2〜4の整数(好ましくは、3以下、2以下、または2に等しい)であり;Lはそれぞれ独立に、酸素またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;かつqは、0または1である)。
【0109】
本発明の可溶性ポリマーを調製するための好ましいモノマー化合物は、次式を有するものである:
【化14】

【化15】

【0110】
本発明の好ましい可溶性ポリマーは、2〜4つの異なる(メタ)アクリラートモノマーから誘導され、少なくとも1つのモノマーは、アシルスルホンアミド基を含む。好ましくは、少なくとも1つのモノマーは、上記に記載するように式A−R7−X−C(O)−C(R8)=CH2を有するものである。
【0111】
さらにより好ましい可溶性ポリマーは、次式を有するものである:
【化16】

(式中、
R’’はそれぞれ独立に、HまたはCH3であり;
Eはそれぞれ、−O−または−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;
m’、n’、o’、p’は、各部分がポリマーに存在する回数を表し;
X’、Y’、Z’、およびW’は独立に、アルキル(例えば、メチルまたはイソボルニルなどのシクロアルキル)、アリール、ヒドロキシエステル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、エーテル、フルオロアルキル、トリアルコキシシリルアルキル、およびN含有基(例えば、ジメチルアミノエチル基、サッカリン基)からなる群から選択され;かつ
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つは、アシルスルホンアミド基、好ましくは下記のN含有基(式中、カルボニルへの結合は、基の結合部位を表す)を含む:
【化17】


この表示の好ましいポリマーは、少なくとも2つの異なる部分を含む(すなわち、2つの異なるモノマーから形成されている)。すなわち、上記の式は、コポリマー、ターポリマー、またはテトラポリマーを表す。好ましくは、ターポリマーである。このようなポリマーは、ブロックまたはセグメント化ポリマーとすることができるが、好ましくはランダムポリマーである。これらの繰返し部分は、少なくとも1000、かつ好ましくは100万を超えるまでの分子量を有するポリマーを形成するのに十分な数が存在する。
【0112】
好ましくは、X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つは、下記の基である:
【化18】


【0113】
このようなポリマーは、X’、Y’、Z’、およびW’官能基を組み合わせた少なくとも2つ(好ましくは、3つまたは4つ、より好ましくは3つ)の異なる(メタ)アクリラートモノマーから構築することができる。適切な(メタ)アクリラートには、例えばアルキル(メタ)アクリラート、アリール(メタ)アクリラート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、N含有(メタ)アクリラート、エーテル含有(メタ)アクリラート、およびフルオロアルキル(メタ)アクリラートが含まれる。
【0114】
アルキル(メタ)アクリラートの例には、メチル−、エチル−、ブチル−、イソブチル−、n−ヘキシル−、2−エチルヘキシル−、イソデシル−、ラウリル−、ステアリル−、ベヘニル−、およびイソトリデシル−(メタ)アクリラートが含まれる。環状(例えば、シクロアルキルおよびアリール)(メタ)アクリラートの例には、ベンジル−、イソボルニル−、シクロヘキシル−、および3,3,5−トリメチルシクロヘキシル−(メタ)アクリラートが含まれる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの例には、2−ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルメタクリラートが含まれる。N含有メタクリラートの例には、N,N−ジメチルアミノエチル−、N,N−ジメチルアミノプロピル−、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリラートクロリド、およびサッカリンが含まれる。エーテル含有メタクリラートの例には、エチルトリグリコール−、テトラヒドロフルフリル−、ポリエチレングリコール、モノメチルエチル−、およびブチルジグリコール−メタクリラートが含まれる。フルオロアルキルメタクリラートの例には、N−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラートが含まれる。
【0115】
本発明のより好ましい可溶性ポリマーは、次式を有するものである(式中、可変基m’、n’、o’、p’は、少なくとも1000、かつ好ましくは100万を超えるまでの分子量のこれらのランダムポリマーにおける繰返し単位を表す):
【化19】

【化20】


【0116】
本発明の特に好ましい可溶性ポリマーは、次式を有するものである:
【化21】


【0117】
本発明の可溶性ポリマーの調製に適したアミン反応性基を有する重合可能なエチレン性不飽和モノマーは、官能基として置換されたアミン捕獲基(A/R/G)(本明細書に記載する式I〜IVの懸垂基を表す)を、相補的官能基を有するエチレン性不飽和モノマーと共有結合させることによって作製することができる。例えば、適切な官能化モノマーは、以下の通り調製することができる:
RCH=CH−P+Q−A/R/G→RCH=CH−U−A/R/G
(式中、「P」および「Q」は相補的であり、これらのモノマーが(共)重合された場合、共有結合的に互いに反応し、「U」基が形成され、A/R/Gがポリマーに接続される。
【0118】
例えば、ヒドロキシエチルメタクリラートを無水グルタル酸と反応させて、グルタル酸モノ(メタクリルオキシエチル)エステルを得ることができ、その塩化アシルを、サッカリンNa塩またはN−4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホニルスクシンイミドと結合することができる。この合成戦略により、広範囲の基の評価が、アミン反応性基の結合、およびその後のアミンの捕獲に特異的な系を最適化することが可能になる。ポリエチレングリコールやアルカンジオールなど容易に入手可能な成分により、テザーの長さ、親水性、および回転自由度の変動の変化が可能になり、そのすべてが、結合させたアミン反応性基の応答性を変更させるものと予想される。このようなエチレン性不飽和モノマーは、ラジカル重合条件下、好ましくは溶液重合で(共)重合可能である。これらの場合、所望の官能化モノマー、場合によっては1つまたは複数のコモノマー、および熱開始剤の溶液から、酸素を除去し、加熱し、撹拌した(通常は、約20時間)。コモノマーは、溶解性、ガラス転移、融点、疎水性/親水性および疎油性/親油性、基板への接着などに対するその効果の点で選択することができる。コモノマーの例には、低級アルキルアクリラートおよびメタクリラート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアクリラートおよびメタクリラート、ビニルエーテル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエーテル、歪み内部オレフィンなどが含まれる。
【0119】
あるいは、本発明の可溶性ポリマーは、官能基として置換された予備成形ポリマーから作製することができる。すなわち、本発明の可溶性ポリマーは、官能基として置換されたアミン捕獲基を、相補的官能基を有する可溶性ポリマー(P基を有するもの、および上記に記述のような相補的Q基を有するもの)と共有結合させることによって、またはアミン捕獲基を、アシル化またはスルホニル化基を有する可溶性ポリマーから生じさせることによって作製することができる。例えば、ヒドロキシエチルメタクリラートとメチルメタクリラートのコポリマーは、まず過剰の塩化グルタリルをサッカリンNa塩またはN−4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホニルスクシンイミドと反応させ、次いで過剰の塩化グルタリルを除去することから誘導された酸塩化物で処理することができる。代替の一戦略として、サッカリンNa塩を、塩化β−アクリルオキシアクリロイルとアルキルアクリラートのコポリマーと反応させること、またはN−4−ヒドロキシエトキシベンゼン−スルホニルスクシンイミドを、ポリ(5−ノルボルネン−2−カルボニルクロリド)と反応させることを例示する。
【0120】
多官能性化合物
本発明は、次式の化合物を提供する:
(A’−)y−Q
(式中、A’はそれぞれ独立に、次式を有する官能基からなる群から選択された:
【化22】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、Y2、Y3、Z、y、およびQは、本明細書に定義されている))。
【0121】
本明細書において、式(A’−)y−Qの化合物では、Qは、単結合、またはy−価原子もしくは基である。いくつかの実施形態では、Qは、C、N、S、O、またはPから選択された原子である。いくつかの実施形態では、Qは、最高20個の炭素原子と最高6個のヘテロ原子および/または官能基を含むy−価基(カルボニル基など)である。いくつかの実施形態では、Qは、環系を含む。例示的Q基には、カルボニル、アルキレン、アルカントリイル(すなわち、3価のアルカン基)、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレン−オキシ−アルキレン(例えば、−CHCH2OCH2CH−)、アルキレン−カルボニル−アルキレン、およびそれらの組合せ(例えば、ヘテロ原子および/または官能基を含むまたは含まない、アルキレンとアリーレン基とを共に含む基)が含まれる。例示的Q環構造は、下記を含む:
【化23】


【0122】
本明細書において、yは、2〜10の整数である。いくつかの実施形態では、yは、2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、yは、2〜4の整数である。いくつかの実施形態では、yは、2〜3の整数である。いくつかの実施形態では、yは2であり、かつA’基は末端部である。
【0123】
A’基は、同じでも、異なってもよい。しかし、合成の都合上、これらは同じである場合が多い。
【0124】
本明細書において、式Iでは、R1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する。
【0125】
本明細書において、式IIでは、R3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)である。
【0126】
式IIのいくつかの実施形態では、R3は、アルキル、アリール、またはアラルキル基である。適切なアルキル基は、通常は30個以下の炭素原子、20個以下の炭素原子、10個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、または4個以下の炭素原子を含む。いくつかの化合物では、アルキル基は、メチル、エチル、またはプロピルである。適切なアリール基は、通常は6〜18個の炭素原子、6〜12個の炭素原子、または6個の炭素原子を含む。いくつかの化合物では、アリール基はフェニルである。アリール基の一例は、4−メチルフェニルである。適切なアラルキル基は、通常は6〜30個の炭素原子を有するアリール基、および30個以下の炭素原子を有するアルキル基を含む。
【0127】
式IIの他の実施形態では、R3は、−NRab基(式中、RaおよびRbは、10個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、または4個以下の炭素原子を有するアルキル基である)である。あるいは、RaおよびRb基は共に、これらが結合している窒素原子と組み合わさって、4〜8員の環構造を形成することができる。例えば、RaおよびRbを組み合わせて、窒素ヘテロ原子を有する5または6員のヘテロ環状基を形成することができる。
【0128】
本明細書において、式IIでは、R4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する。
【0129】
本明細書において、式IIIでは、R6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成する。
【0130】
式IIIのいくつかの実施形態では、R6は、C1~30アルキル、C1~10アルキル、またはC1~6アルキルとすることができる。式IIIの他の実施形態では、R6は、C1~30フルオロアルキル、C1~10フルオロアルキル、またはC1~4パーフルオロアルキル基とすることができる。式IIIのさらに他の実施形態では、R6は、C6~12アリールとすることができる。例えば、R6は、フェニル基とすることができる。
【0131】
本明細書において、Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Reである。式IIIのいくつかの実施形態では、Zは、アルキルまたはアリールとすることができる。例えば、Zは、C1~6アルキルとすることができる。他の実施例では、Zは、C6~12アリールとすることができる。式Iの他の実施形態では、Zは、−(CO)Re基とすることができる(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し、このヘテロ環状またはヘテロ二環状基は、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる)。
【0132】
本明細書において、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基である。いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、次式−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a−を有する基からなる群から選択された(式中、Ar1はアリーレンであり、かつY1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された)。
【0133】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、次式:−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a−を有する基からなる群から選択された。このような式では、Ar1はアリーレン(好ましくは、フェニレン)であり、かつY1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された。
【0134】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する、アリーレン基に連結している第1のアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1のアルキレン基は、さらにカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレンまたは第1のヘテロアルキレン基に連結している。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレンまたは第1のヘテロアルキレン基に連結させることができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する、アリーレンに連結している第1のヘテロアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1のヘテロアルキレン基は、さらにカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のヘテロアルキレンまたは第1のアルキレン基に連結している。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ基、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のヘテロアルキレンまたは第1のアルキレン基に連結させることができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に接続している第1のアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に接続させることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された基を有する第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続している第1のヘテロアルキレン基を含む。これらの実施形態のいくつかでは、追加のアルキレンまたはヘテロアルキレン基を、第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続させることができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、例えば1〜30個の炭素原子およびN、O、S、およびそれらの組合せからなる群から選択された最高30個のヘテロ原子を有するヘテロアルキレンであり、ヘテロアルキレン基は、線状、分枝状、環状、またはそれらの組合せである。
【0139】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、1〜30個の炭素原子を有するアルキレンであり、アルキレン基は、線状、分枝状、環状、またはそれらの組合せである。これらの実施形態のいくつかでは、アルキレンは、1〜20個の炭素原子の直鎖または分枝状とすることができる。これらの実施形態のいくつかでは、アルキレンは、式(CH2n(式中、nは、1〜20の整数である)を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、Y1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、1つまたは複数のアルキレン基および1つまたは複数のヘテロアルキレン基に加えて、アリーレン基を含む(好ましくは、最高18個の炭素原子、最高12個の炭素原子、または最高6個の炭素原子を含む)。
【0141】
式Iの例示的構造には、下記:
【化24】

(式中、Rはアルキルであり、かつY1は式Iについて先に定義したのと同じである)が含まれるが、これらに限定されない。これらの例示的実施形態のいくつかでは、Y1は、−Y1a−Ar1−または−Ar1−Y1a−(式中、Ar1はアリーレン(好ましくは、フェニレン)であり、かつY1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された)とすることができる。式Iの官能基は、非置換とする、あるいはハロ、アルキル、アルコキシ、またはそれらの組合せで置換することができる。
【0142】
式Iの例示的構造には、下記:
【化25】

(式中、R1およびR2は、式Iについて先に定義したのと同じであり;nはそれぞれ独立に、1〜100の整数であり;mは、1〜200の整数であり;kは、2〜4の整数であり;Dは、酸素、硫黄、またはNHであり;Ar1は、アリーレン基であり;Lはそれぞれ独立に、酸素またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;かつqは、0または1の整数である)も含まれるが、これらに限定されない。このような実施形態では、好ましくは、nは、80以下、60以下、40以下、20以下、または10以下であり;好ましくは、mは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、または10以下であり;好ましくは、kは2に等しく;好ましくは、Dは酸素であり;かつ好ましくは、Ar1はフェニレンである。
【0143】
式IIの例示的構造には、下記:
【化26】

(式中、R3およびY2は、式IIについて先に定義したのと同じである)が含まれるが、これらに限定されない。式IIの官能基は、非置換とする、あるいはハロ、アルキル、アルコキシ、またはそれらの組合せで置換することができる。
【0144】
式IIの例示的構造には、下記:
【化27】

(式中、R3、R4、およびR5は、式IIについて先に定義したのと同じであり;vは、1〜200の整数であり;xは、1〜4の整数であり;かつDは、酸素、硫黄、またはNHである)も含まれるが、これらに限定されない。このような実施形態では、好ましくは、vは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1に等しく、より好ましくは、vは1または2であり;好ましくは、xは、3以下、2以下、または1に等しく、より好ましくは、xは1または2であり;かつ好ましくは、Dは酸素または硫黄である。
【0145】
式IIIの例示的構造には、次式に示すような芳香族基に縮合しているヘテロ環状基が含まれる:
【化28】

(式中、Y3は、式IIIについて先に定義したのと同じである)。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明の多官能性化合物は、次式から独立に選択された2つ以上の懸垂基を含む:
【化29】

(式中、Wは、Ck2kDまたはDCk2kであり;Dは、酸素、硫黄、またはNH(好ましくは、酸素)であり;nは、1〜100の整数(好ましくは、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;mは、1〜200の整数(好ましくは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;pは、1〜10の整数(好ましくは、8以下、6以下、4以下、または2以下)であり;qは、0または1の整数であり;tは、0〜12の整数(好ましくは、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下、または0に等しい)であり;kは、2〜4の整数(好ましくは、3以下、2以下、または2に等しい)であり;かつLはそれぞれ独立に、酸素またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;ただし、少なくとも1つのLは、各−Lq−C(O)−Lq−部分に存在し、かつヘテロ原子−ヘテロ原子結合は存在しないことを条件にする)。
【0147】
いくつかの実施形態では、本発明の多官能性化合物は、次式から独立に選択された2つ以上の懸垂基を含む:
【化30】

(式中、nは、1〜100の整数(好ましくは、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;mは、1〜200の整数(好ましくは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)であり;pは、1〜10の整数(好ましくは、8以下、6以下、4以下、または2以下)であり;tは、0〜12の整数(好ましくは、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下、または0に等しい)であり;kは、2〜4の整数(好ましくは、3以下、2以下、または2に等しい)であり;Lはそれぞれ独立に、酸素またはNRf(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;かつqは、0または1の整数である)。
【0148】
好ましい多官能性化合物は、次式の二官能性または三官能性化合物である:
【化31】

(式中、m’は、1〜200の整数(好ましくは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)である)。
【0149】
本出願人の同時係属の、2003年11月14日出願の米国特許出願第10/714,053号明細書と第10/713,174号明細書、および2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,075号明細書と第10/987,522号明細書の官能基として置換されたアミン捕獲剤を使用して、本発明の多官能性化合物を作製することができる。これは、このような化合物を、y相補的官能基を有するコアのQ基に結合させて、本発明の多官能性アミン捕獲剤を生じることによって行うことができる。例えば、ClC(O)C64SO2N(C(O)CH22を、ポリエチレングリコールなどのジオール、またはトリメチロールプロパンエトキシラートなどのトリオールと反応させることができる。また、(EtO)3SiC1022C(O)−サッカリンなどのシランを、テトラエトキシシランと予備反応して、複数のアミン捕獲アシルサッカリン基を含むゾル−ゲル縮合物を形成することができる。あるいは、本出願人の同時係属の、2003年11月14日出願の米国特許出願第10/714,053号明細書と第10/713,174号明細書、および2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,075号明細書と第10/987,522号明細書に例示されている反応によって、アミン捕獲基を多官能性Q基の末端に形成することができる。例えば、Q基含有多官能性酸塩化物を、サッカリンナトリウムと反応させることができ、またはQ基含有多スルホンアミドを、塩化スクシノイルと反応させることができる。
【0150】
基板反応性基を有する官能化化合物
本発明の音響センサで(通常は、固定化層で)の使用に適した化合物の別のクラスには、式I、II、またはIVによって表されている1つまたは2つの官能基を有する化合物が含まれる(式中、各Y基(Y1、Y2、Y3)は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシルオキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファト、エチレン性不飽和基、およびそれらの組合せからなる群から独立に選択された基板反応性官能基に結合されている)。例示的固定化層は、N−(11−トリクロロシリルウンデセノイル)サッカリンを含む。このような化合物は、本出願人の譲受人の同時係属の、2003年11月14日出願の米国特許出願第10/714,053号明細書と第10/713,174号明細書、および2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,075号明細書と第10/987,522号明細書に開示されている。
【0151】
(メタ)アクリラートポリマー
1つまたは複数の(好ましくは、2つ以上の)(メタ)アクリラート(すなわち、アクリラートまたはメタクリラート)同士、またはそれと他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーは、特に音響センサの導波路に適している。好ましくは、1つまたは複数の異なるモノマー(ただし、少なくとも1つは、(メタ)アクリラートモノマーである)から誘導されたポリマーは、特に望ましい音響センサの導波路である。このようなポリマーを、式I、II、III、またはIVのそのような官能基以外の基で官能化してもよく、またはしなくてもよい。したがって、このようなポリマーでは、他の官能基が可能であり得る(例えば、パーフルオロブタンスルホンイミド)。
【0152】
適切な(メタ)アクリラートには、例えばアルキル(メタ)アクリラート、アリール(メタ)アクリラート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート(下記に述べるように、アルキル(メタ)アクリラートの範囲内と考えられる場合が多い)、N含有(メタ)アクリラート、エーテル含有(メタ)アクリラート、およびフルオロアルキル(メタ)アクリラートが含まれる。好ましくは、(メタ)アクリラートは、アルキル(メタ)アクリラートである。
【0153】
適切なアルキル(メタ)アクリラートには、構造:CH2=C(R1)−CO−OR2(式中、R1は、水素またはメチルであり、かつR2は、好ましくは1〜16個の炭素原子を含むアルキル基である)を有するものが含まれる。R2基を、例えばヒドロキシ、ハロ、フェニル、およびアルコキシなど1個または複数、通常は1〜3個の部分で置換することができる。したがって、適切なアルキル(メタ)アクリラートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートを含む。アルキル(メタ)アクリラートは、通常はアクリル酸またはメタクリル酸のエステルである。好ましくは、R1は、水素またはメチルであり、かつR2は、2〜12個の炭素原子を有するアルキル基である。最も好ましくは、R1は、水素またはメチルであり、かつR2は、2〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0154】
適切な(メタ)アクリラートの例には、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、イソアミル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、イソデシル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、ラウリル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、ノニル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート(HPMA)、およびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリラートが含まれるが、これらに限定されない。
【0155】
二官能性(メタ)アクリラートモノマーを、これらのポリマーで使用することもできる。例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、アリルメタクリラートなどが含まれる。
【0156】
フッ素化(メタ)アクリラートモノマーを、これらのポリマーで使用することもできる。例には、N−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラート、およびフルオロカーボンアルキル鎖F(CF2CF2n(式中、n=4〜20)を有するパーフルオロアルキル(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0157】
他のエチレン性不飽和コモノマーは、このような(メタ)アクリラートポリマーを作製する際に使用することができる。このようなコモノマーを、上記で特定されたモノマーの希釈、熱的および機械的安定性、接着、音響特性などを含めて、いくつかの理由で選択することができる。
【0158】
適切なエチレン性不飽和コモノマーには、上記に記載する(メタ)アクリラートのいずれか、およびオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなど)、ジオレフィン(例えば、ブタジエン)、スチレン、α−メチルスチレン、ハロスチレン、イソプレン、ジアリルフタラート、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルナフタレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニルステアラート、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどが含まれる。
【0159】
2つ以上の(メタ)アクリラート(すなわち、アクリラートまたはメタクリラート)同士、またはそれと他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマーの好ましいクラスには、非官能性(メタ)アクリラートホモポリマー、非官能性(メタ)アクリラートコポリマー、ターポリマーまたはテトラポリマー、およびフッ素化(メタ)アクリラートコポリマーが含まれる。
【0160】
(メタ)アクリラート含有ポリマーの一実施形態では、本発明は、5部〜95部の疎水性アルキル(メタ)アクリラートまたは(メタ)アクリルアミド;95部〜5部の低級(すなわち、C1〜C3)アルキル(メタ)アクリラート;および場合によっては、架橋性モノマー、あるいはヒドロキシル、イソシアナト、カルボキシル、スルホン酸、ホスホン酸、またはアミドから選択される官能基を含むモノマーの反応生成物から生成されたポリマーを提供する。好ましい疎水性(メタ)アクリラートには、4個以上の炭素を有するアルキル(メタ)アクリラートが含まれ、このアルキルは、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、イソボルニル、ナフチル、フェニル、アダマンチル、ブチル、オクタデシル、ベヘニルなど線状、分枝状、環状、および芳香族とすることができる。好ましい疎水性アクリルアミドには、N−オクチルアクリルアミドが含まれる。好ましい低級(メタ)アクリラートには、メチル(メタ)アクリラートおよびエチル(メタ)アクリラートが含まれる。
【0161】
非官能性(メタ)アクリラートホモポリマーの好ましい例には、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリイソボルニルメタクリラート(PIBMA)、ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)のポリマーが含まれる。このような材料は、本明細書に記載する音響センサの導波路層での使用に適している。PMMAは、音響センサの導波路としての使用で知られている(例えば、ジー・エル・ハーディング(G.L. Harding)ら、Smart Mater. Struct.、6巻、716〜720頁(1997年)を参照のこと)。
【0162】
非官能性(メタ)アクリラートコポリマーの好ましい例には、例えば75/25〜25/75の組成比を含めて、イソボルニル(メタ)アクリラートとメチル(メタ)アクリラートの50/50コポリマー(例えば、ポリ(IBMA/MMA))、ならびに例えば45/50/5および40/50/10の組成比を含めて、イソボルニル(メタ)アクリラート、メチル(メタ)アクリラート、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリラートのターポリマー(例えば、ポリ(IBMA/MMA/HEMA))が含まれる。このような材料は、本明細書に記載する音響センサの導波路層での使用に適している。これらの非官能性(メタ)アクリラートコポリマーは、固定化オーバー層中、本明細書に記載する官能化材料、特に官能化可溶性ポリマーと組み合わせて、導波路として特に望ましい。
【0163】
フッ素化(メタ)アクリラートコポリマーの好ましい例には、米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA)からのシラン−A174([3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシランを5%含有するポリスチレンとN−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラートの47.5/47.5 コポリマーであるポリ(スチレン/MeFBSEMA/A174);および米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA)のシラン−A174([3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシラン)を5%含有するポリメチルメタクリラートとN−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラートとの47.5/47.5コポリマーであるポリ(MMA/MeFBSEMA/A174)が含まれる。このような材料は、本明細書に記載する音響センサの導波路層での使用に適している。
【0164】
VF2含有フルオロポリマー
本明細書に記載する音響センサの導波路層での使用に適したフルオロポリマー材料には、フッ化ビニリデン(「VF2」または「VDF」と呼ばれることがある)から誘導された共重合単位を有するポリマー(コポリマー、ターポリマーなどを含む)が含まれる。好ましくは、この好ましいクラスのフルオロポリマー材料は、VF2から誘導された共重合単位を少なくとも3重量パーセント(重量%)含有する。このようなポリマーは、VF2のホモポリマー、VF2と他のエチレン性不飽和モノマーのコポリマー、ターポリマーなどとすることができる。特に好ましいこのようなポリマーには、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンから誘導された共重合単位が含まれる。
【0165】
VF2含有ポリマーを調製するための有用なフッ素含有モノマーには、米国特許第4,558,142号明細書(ホランド(Holland)ら)に記載されているものなど、ヘキサフルオロプロピレン(「HFP」)、テトラフルオロエチレン(「TFE」)、クロロトリフルオロエチレン(「CTFE」)、2−クロロペンタフルオロ−プロペン、パーフルオロアルキルビニルエーテル(例えば、CF3OCF=CF2またはCF3CF2OCF=CF2)、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロ−ペンタフルオロプロペン、ジクロロジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、ビニルフルオリド、およびパーフルオロ−1,3−ジオキソールが含まれる。パーフルオロジアリルエーテルやパーフルオロ−1,3−ブタジエンなど、いくつかのフッ素含有ジオレフィンも有用である。
【0166】
フッ素含有モノマーを、フッ素を含まない(好ましくは、末端が不飽和の)オレフィン性コモノマー、例えばエチレンまたはプロピレンと共重合することもできる。好ましくは、重合可能な混合物中のすべてのモノマーの少なくとも50重量%は、フッ素を含有している。有用なオレフィン性不飽和モノマーには、エチレンやプロピレンなどのアルキレンモノマーが含まれる。
【0167】
適切なVF2含有フルオロポリマーの例は、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンターポリマー、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、およびその混合物からなる群から選択された。
【0168】
VF2含有ポリマーは、周知の通常の手段によって、例えば他のエチレン性不飽和モノマーを用いてまたは用いずにVF2のラジカル重合によって作製することができる。このようなポリマーおよびコポリマーのコロイド状水性分散液の調製は、例えば米国特許第4,335,238号明細書(ムーア(Moore)ら)に記載されている。乳化重合技法を使用したVF2含有フルオロポリマーの他の調製方法は、米国特許第4,338,237号明細書(ズルツバハ(Sulzbach)ら)または米国特許第5,285,002号明細書(グロウタート(Grootaert))に記載されている。
【0169】
適切なVF2含有ポリマーも市販されている。これらには、例えば、登録商標THV(米国ミネソタ州オークデール(Oakdale, MN)のダイニオン(Dyneon LLC)から入手可能なCF2=CF2/CH2=CF2/CF3CF=CF2(TFE/VDF/HFP)のターポリマー)、カイナー(KYNAR)(アトフィナ(Atofina)から入手可能なVDFホモポリマーおよびVDFコポリマー)、およびフローレル(FLUOREL)(例えば、ダイニオン(Dyneon LLC)から入手可能なCF2=CH2/CF3CF=CF2(VDF/HFP)のコポリマー)で市販されているものが含まれる。好ましい材料は、メチルエチルケトン中、固形分を8%にしたテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンのターポリマーであるTHV 220フルオロポリマー(米国ミネソタ州オークデールのダイニオン(Dyneon, Oakdale MN)である。
【0170】
ポリエポキシド
本明細書に記載する音響センサの導波路層に使用するためのポリエポキシドには、オキシラニル(エポキシド)基を含む反応性樹脂から誘導された材料の幅広いクラスが含まれる。ポリエポキシドは、特に固定化オーバー層中、本明細書に記載する官能化材料、特に官能化可溶性ポリマーを含む特に望ましい導波路である。
【0171】
本明細書に記載する音響センサの導波路層での使用に適した好ましいポリエポキシドには、芳香族または脂環式のジエポキシド、より好ましくはビスフェノールのジグリシジルエーテルから誘導されたポリマー(例えば、約350〜約5000、好ましくは350〜600の分子量を有する)、さらにより好ましくはビスフェノールAジエポキシドのポリマーが含まれる。
【0172】
ポリエポキシド導波路を調製するのに典型的なコーティング組成物は、1つまたは複数のオキシラン官能性樹脂を含み、場合によっては非反応性充填剤(例えば、粘土やタルクなどの無機粉末)を含み、かつオキシラン基と反応する硬化剤も含む。オキシラン基と反応する硬化剤は、当業者に周知であり、これには、ジ−およびポリ−アミン、ジ−およびポリ−チオール、ジ−およびポリ−フェノール、ジ−およびポリ−無水物、ジ−およびポリ−カルボン酸、イミダゾール、イミダゾール金属錯体、ならびにカチオン重合を開始するある種の金属塩が含まれる。
【0173】
導波路として有用なポリエポキシドコーティングは、コーティングを貯蔵安定性にすることができる方法によって大まかに分類することができる。一液型ポリエポキシドコーティングでは、貯蔵条件下で非可溶であるが、硬化条件下で可溶になるような硬化剤が選択される。このような1つの硬化剤は、ジシアンジアミドである。あるいは、光でその硬化反応が開始される硬化剤を選択することができる。このような1つの材料は、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファートである。貯蔵安定性が実現される別の方法は、二液型エポキシコーティングを配合するものである。この場合、オキシラン官能性樹脂を、硬化剤とは別の容器に貯蔵する。硬化を所望のときに、硬化を開始するために2成分を適切な比率で混合する。
【0174】
導波路として使用するためのポリエポキシドの別のクラスは、電子産業で多用されるエポキシレジストによって表される。このような材料の一般的例は、いくつかの供給業者(例えば、米国マサチューセッツ州ニュートンのマイクロケムコーポレーション(Microchem Corporation, Newton MA))から市販のSU8レジストである。このタイプのポリエポキシドを導波路として使用する利点は、光パターン形成できる能力であり、まさに音響センサで必要とされている場所に導波路のコーティングが可能になる。さらに、このようなポリエポキシドは、様々な半導体および金属酸化物表面に対して優れた接着を示す。
【0175】
好ましいポリエポキシドは、下記を含む1対1の二液型室温硬化性エポキシから調製される:第1液(A液):比が90/10のビスフェノールAジエポキシド(ダウケミカル(Dow Chemical) DER 317エポキシ樹脂)/希釈液(O−クレジルグリシジルエーテル)と、第2液(B液):アミン硬化剤(レゾリューションパフォーマンスプロダクツのエピキュア(Resolution Performance Products Epi−Cure) 3251)。
【0176】
スチレン含有ポリマー
本明細書に記載する音響センサの導波路層での使用に適したスチレン含有ポリマーには、スチレンまたはその誘導体(例えば、α−メチルスチレン、ハロスチレン)から誘導されたホモポリマー、コポリマーなどが含まれる。ポリスチレンは、音響センサの導波路として使用されることが知られている(例えば、ディー・ダブリュー・ブランチ(D.W. Branch)ら、バイオセンサとバイオ電子工学(Biosensors and Bioelectronics)、19巻、849〜859頁(2004年)を参照のこと)。
【0177】
導波路材料としてのスチレン含有ポリマー、具体的にはポリスチレンの主な魅力は、これらのポリマーが有する低い誘電率および力率(power factor)からもたらされ、これらのポリマーはポリオレフィンおよびフルオロカーボンのクラスに入る。ポリスチレンは、様々な周波数でかつ水分の存在下で安定な優れた電気絶縁特性を有する。したがって、良好な導波路の主要機能のうちの1つが、電極構造を液体環境から電気的に絶縁することであるので、これらの特性により、ポリスチレンが音響導波路用の優れた材料になる。実際、ポリスチレンは、高周波において電気絶縁が必要な多数の商業用途で広く使用されている。様々な分子量を有する様々なポリスチレンは、多数の商業供給業者(例えば、米国ニューヨーク州オンタリオのサイエンティフィックポリマープロダクツ(Scientific Polymer Products, Ontario, NY)から入手可能である。
【0178】
好ましい例は、サイエンティフィックポリマープロダクツ(Scientific Polymer Products)(米国ニューヨーク州オンタリオ(Ontario, NY))(Mw=280KDa)から市販のポリスチレンである。他のスチレン含有ポリマーには、米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA)からのシラン−A174([3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシラン)を5%含有するポリスチレンとN−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラートとの47.5/47.5コポリマーであるポリ(スチレン/MeFBSEMA/A174)が含まれる。
【0179】
ポリ(N−ビニルカルバゾール)
本明細書に記載する音響センサの導波路層に使用するための別の適切な材料には、N−ビニルカルバゾール、および場合によっては他のエチレン性不飽和モノマー、具体的にはポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)から誘導されたポリマーが含まれる。
【0180】
ポリ(N−ビニルカルバゾール)は、その光伝導特性で最も知られている。これは、エンジニアリングプラスチックとして使用されているが、有機発光デバイスの正孔輸送層として最も一般的に使用されている。したがって、ヨウ素、TCNQ、TNFなどを含めて様々なドーパントでドープして使用することが多い。これは、エンジニアリングプラスチックとして良好な機械的および熱的諸特性を有し、これらの諸特性により、航空宇宙用途における候補物になる。これは、加工可能で、非常に強固であり、高ガラス転移温度(例えば、200℃超)を有することがある。その誘電的および機械的諸特性のため、ならびにこの材料の精密なコーティングおよびパターニングのための複数の加工がすでに特定され、使用されている光電子産業における広いその用途のため、このポリマーは、音響センサにおける導波路使用に有用な候補物である。
【0181】
音響導波路に使用するためのこのポリマーの別の利点は、導波路の機械的、音響的および接着的特性を精密に調整するために、様々な他のエチレン性不飽和モノマーと容易にそれを共重合させる能力である。PVKは、広範囲の分子量で、様々な供給業者から市販されている。好ましい例は、ポリマーソース(Polymer Source)(カナダ モントリオール(Montreal, CA))から市販されている2つの異なる分子量(58.6KDaおよび118KDa)のものである。
【0182】
ポリイミド
本明細書に記載する音響センサの導波路層に使用するための別の適切な材料には、ポリイミド(PI)が含まれる。ポリイミドは、音響センサの導波路としての使用で知られている(例えば、ディー・ダブリュー・ブランチ(D.W. Branch)ら、バイオセンサとバイオ電子工学(Biosensors and Bioelectronics)、19巻、849〜859頁(2004年)を参照のこと)。
【0183】
ポリイミドは、二無水物をジアミンと反応させることによって形成される。ジアミンは芳香族であり、メチレンジアニリンからジアミノジフェニルエーテルに及ぶことができる。無水物は、ナジ酸無水物からベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデン−ビス−ナフフタル酸)に及ぶことができる。ポリイミド重合の際立った特徴は、各重合ステップにおける水の脱離反応である。通常は、重合は、最初にポリアミック酸を形成し、次いで高温で硬化することによってイミド化して、ポリイミドを形成することによって進行する。ポリイミド硬化温度は、通常は220℃より高い。
【0184】
音響センサの導波路層に特に有用であるポリイミドは、通常は電子用途におけるレジストとして使用されるポリイミドのクラスである。このクラスのポリイミドの導波路使用による魅力のある特徴は、これらのフォトレジストのいくつかが、フォトリソグラフィー技法によってパターン形成できる能力である。これによって、従来型の手段が、まさに音響センサで必要とされている場所に導波路層を精密に配置することが可能になる。さらに、これらのポリマーは、様々な半導体および金属酸化物表面に対して良好な接着も示す。これらのタイプのポリイミドの例は、エッチ・ディー・マイクロシステムズ(HD MicroSystems)から市販されている(例えば、エッチ・ディー・マイクロシステムズ(HD Microsystems) PI2600シリーズ、具体的には、登録商標パイラリン(PYRALIN) PI2610)で市販されているポリイミド)。
【0185】
被着方法
音響センサで用いられるように、本明細書に記載する材料を、適切な任意の技法または方法によって被着することができる。通常は、担体液体(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸2−ブトキシエチル、トルエン、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸2−エトキシエチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、水、およびその混合物)と材料が例えば溶液または分散液を形成して、このような材料を基板に担体液体で送達することが好ましい場合がある。そのようにして送達される場合、材料を表面に被着するためのいくつかの適切な被着技法の例には、フラッドコーティング、スピンコーティング、プリンティング、非接触被着(例えば、インクジェッティング、スプレージェッティングなど)、化学蒸着コーティング、パターンコーティング、ナイフコーティングなどが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、2003年6月27日出願の米国特許出願第10/607,698号明細書に記載のコーティング法など、被着技法は、表面をパターンコーティングする、すなわち材料を表面の選択部分にのみ被着する能力を有することが好ましい場合がある。
【0186】
好ましい方法は、溶液または分散液を25ミクロンと小さい形状を有する実質上任意の表面に被着することができる非接触被着法、具体的にはエアゾールジェット被着法(例えば、スプレージェットまたはインクジェット)である。方法は、非接触および相似であり、既存の構造の上に、曲面の全体に、かつチャンネルまたはバイア(via)にパターン形成することが可能である。被着プロセス中に、液体組成物は、直径1ミクロン程度の液滴に噴霧化される;次いで、液滴はガス流に同伴される。同伴液滴は、被着ヘッドに向けられ、不活性ガスの環状フローにより、その流が25ミクロンと小さい直径に圧縮される。液滴のエアゾールジェットは、被着ヘッドを高速で出て行き、標的標的表面(基板)上に被着する。
【0187】
いくつかの実施形態では、本発明の材料は、下にある基板上の第2の捕獲剤用の導波路材料と固定化材料として機能することができる。他の実施形態では、本発明の材料は、導波路材料、固定化材料、および捕獲材料として機能することができる。これらの変形ではともに、好ましくは、本発明の材料を、担体液体が下にある基板に悪影響を及ぼさないように、担体液体にそれ自体が事実上非可溶である下にある基板上に被着する。
【0188】
しかし、本発明の材料を被着しようとする表面が、本発明の材料を送達するために使用する担体液体にいくらかの溶解性を示す場合、例えばインクジェッティング、スプレージェッティングなどの非接触被着技法を使用して、本発明の材料を被着することが好ましい場合がある。例えば、下にある基板が、例えばポリイミドなどでセンサ基板上に形成された導波路であり、かつ本発明の可溶性ポリマーを、担体液体として例えば酢酸ブチルを使用して被着しようとする場合、導波路層の変形を制限し、好ましくは得られた被覆表面上に曝露された本発明の材料の機能特性を保持するために非接触被着方法を使用することが好ましい場合がある。
【0189】
エアゾールジェット被着法(例えば、スプレージェットコーティング法)で制御することができる変数は、被着速度、基板速度(被着ヘッドに比べて)、シースガス流量、シースガス、ラスタースペーシング、ラスターパターン、パス回数、溶液/分散液の固形分パーセント、ノズル直径、担体液体、本発明の材料が被着されている下にある表面の組成物などを含めて、複数存在する。本発明の材料を被着して、適切なコーティングを生じることができる特定の条件は、実験的に決定することができる。
【0190】
検出システムおよびカートリッジ
本明細書で述べる通り、本発明の材料および方法を、センサに使用して、導波路、固定化層、捕獲材料、またはそれらの組合せを提供することができる。以下の考察は、本発明の材料を使用するセンサを使用することができるシステムおよび検出カートリッジの潜在的例を提示する。
【0191】
様々な検出システムおよび構成要素(バイオセンサを含む検出カートリッジなど)に関連した追加の考察は、例えば「音響的−機械的検出システムおよび使用方法」という名称の2003年12月30日出願の米国特許仮出願第60/533,169号明細書;本明細書と同日付出願の国際公開第_________号パンフレット(代理人整理番号59468WO003);および「検出カートリッジ、モジュール、システム、および方法」という名称の、本明細書と同日付出願の国際公開第_____________号パンフレット(代理人整理番号60342WO003)で見ることができる。
【0192】
図2は、バイオセンサを含む1つの検出装置の略線図である。描写された装置は、試薬222、供試体224、および洗浄緩衝液226などインプットを含むことができる。これらの様々な構成要素を、例えばステージング室228に導入することができ、そこでこれらを混合かつ/または互いに反応させることができ、さらに加工することができる試料材料を形成することができる。例えば、試薬222および供試体224をステージング室228に導入して、試薬222が供試体224に、供試体224内の標的生物学的分析物を効果的に改変することができるように作用することが可能になることが望ましい場合がある。あるいは、1つまたは複数のこれらの構成要素は、他の構成要素の1つまたは複数を調製室228に導入する前に、そこに存在することができる。
【0193】
試薬222は、標的生物学的分析物に対して選択的であること、すなわち、供試体224中の他の生物学的分析物は、試薬222によって改変されないことが好ましい場合がある。あるいは、試薬222は、非選択的とすることができ、すなわち、生物学的分析物が標的生物学的分析物であるか否かに関わらず供試体224中のいくつかの生物学的分析物に作用することができる。
【0194】
送達した後、供試体224および試薬222を、ステージング室228から検出室230に移動させることができ、そこで標的生物学的分析物が、本発明の材料を使用して好ましくは製造することができるセンサの検出表面232に接触することができる。検出表面232は、好ましくは、試料材料中の標的生物学的分析物が選択的に検出表面232に結合されるようにその上に配置させた捕獲剤を含むタイプとすることができる。
【0195】
試料材料中の標的生物学的分析物は、検出室230に十分な期間滞留し、またはそれを通り抜けて移動した後、洗浄緩衝液226を、検出室230に導入して、結合していない生物学的分析物および他の材料を検出室230から除去することができる。これらの材料は、好ましくは検出室230に連結させた廃棄室236に移動させることができる。
【0196】
選択的に検出表面に結合している標的生物学的分析物の検出は、好ましくは任意選択の制御モジュール235によって操作されるセンサ234を使用して行われる。制御モジュール235は、好ましくは適切な音響的−機械的エネルギーが発生するようにセンサ234を操作し、さらに検出表面232上の標的生物学的分析物の有無を決定できるようにセンサ234を監視する。
【0197】
本発明に関連して使用することができるものなど、音響的−機械的センサを駆動し監視するための技法の例は、例えば米国特許第5,076,094号明細書(フライ(Frye)ら);同第5,117,146号明細書(マーティン(Martin)ら);同第5,235,235号明細書(マーティン(Martin)ら);同第5,151,110号明細書(バイン(Bein)ら);同第5,763,283号明細書(Cernosekら);同第5,814,525号明細書(レンシュラー(Renschler)ら);同第5,836,203号明細書((マーティン(Martin)ら);および同第6,232,139号明細書(カザルヌオーボ(Casalnuovo)ら)などで見ることができる。別の例は、例えばブランチ(Branch)ら、バイオセンサとバイオ電子工学(Biosensors and Bioelectronics)、19巻、849〜859頁(2004年)の「36°YX LiTaO3のラブ波バイオセンサを使用する低レベル炭疽菌刺激剤の検出(Low−level detection of a Bacillus anthracis stimulant using Love−wave biosensors of 36°YXLiTaO3)」;ならびに「表面弾性波センサによる伝播速度推定(Estimating Propagation Velocity Through A Surface Acoustic Wave Sensor)」という名称の、2003年12月30日出願の米国特許仮出願第60/533,177号明細書および本明細書と同日付出願の国際公開第_____________号パンフレット(代理人整理番号58927WO003)に記載することができる。
【0198】
図3に、試薬322、供試体324、洗浄緩衝液326、および磁性粒子327を場合によっては含んでもよいインプットを有する代替の例示的検出装置を示す。これらの様々な構成要素を、例えばステージング室328に導入することができ、そこでこれらを混合かつ/または互いに反応させることができる。あるいは、1つまたは複数のこれらの構成要素は、他の構成要素の1つまたは複数をステージング室328に導入する前に、そこに存在することができる。
【0199】
例えば、試薬322および供試体324をステージング室328に導入して、試薬322が、供試体324内の標的生物学的分析物に作用し、かつ/または結合することが可能になることが望ましい場合がある。その後、磁性粒子327をステージング室328に導入することができる。磁性粒子327は、必ずしもそのようにする必要はないが、好ましくは選択的にステージング室328内の標的生物学的分析物材料に結合することができる。
【0200】
供試体324中の標的生物学的分析物が磁性粒子327に結合した後、供試体324(および関連付けられた磁性粒子)をステージング室328から検出室330に移動させることができ、そこで試料材料中の標的生物学的分析物が、本発明の材料を使用して好ましくは製造することができるセンサの検出表面332に接触することができる。
【0201】
標的生物学的分析物が磁性粒子と関連付けられた場合、コントローラ335によって操作されるセンサ334を使用して、磁性粒子と関連付けられた標的生物学的分析物を検出用の検出表面に磁気的に引き付けることができるような磁場を検出表面332に生じることができる磁気装置333を含むことが望ましいことがある。磁性粒子を標的生物学的分析物と共に使用すると、例えば磁気吸引力の存在しないときに予想できる場合より速く例えば標的生物学的分析物を検出表面332に移動させることによって、検出を向上させることができる。
【0202】
検出表面332が、磁場が存在しないときに標的生物学的分析物を選択的に検出表面332に結合させるようにその上に配置した選択的捕獲剤を含む場合、標的生物学的分析物を担持していない(またはそれによって担持されていない)磁性粒子を、例えば磁場を除去し、検出表面332を洗浄することによって検出表面332から除去することができる。
【0203】
本発明に関連して使用することができる2つの例示的検出装置を、図2および3に関連して上記に述べているが、これらの装置は、検出カートリッジとして記述することができる統合ユニットに収容することができる。しかし、検出カートリッジは、上記に記載するようなコントローラ235/335を含まない可能性があり、制御機能は、図5のシステムに関連して下記に記載するように、好ましくは検出カートリッジを操作可能に連結させた機器によって行われる。
【0204】
本発明の検出カートリッジは、好ましくは統合センサ、およびセンサへの試料材料の選択的送達の助けとなる流体制御機構を含むことができる。図4に略図で示されている例示的検出カートリッジ410は、とりわけ、ステージング室420、検出室430、廃棄室440、センサ450、体積流量制御機構470、およびモジュール480を含む。一般に、図4の検出カートリッジ410は、ステージング室420、検出室430、および廃棄室440を含む内部体積(interior volume)を有するものと記述することができ、この様々な室がステージング室420から検出室430を経由して、廃棄室440への下流方向を定義している。本発明に関連して使用するすべての検出カートリッジが、必ず図4の検出カートリッジ410に収容された構成要素の組合せを含むものとは限らない。
【0205】
検出カートリッジ410の検出室430は、好ましくはセンサ450の検出表面と、センサ450の検出表面に対向して配置された対向する表面460との間の内部体積を定義する。検出室430は、好ましくは側壁、または検出室430の内部体積の残部を定義する他の構造(すなわち、センサ450の検出表面および対向する表面460によって定義されない検出室430のその部分)を提供することができる。
【0206】
図4に、好ましくはセンサ450に操作可能に連結させて、例えば電力をセンサ450に供給することができるコネクタ454も示している。コネクタ454は、センサ450をコントローラ、あるいは制御信号をセンサ450に供給することができ、またはセンサ450からの信号を受信することができる他のシステムに連結するように機能することもできる。必要なら、コネクタ454(または追加のコネクタ)を、バルブ、流体監視装置、温度制御素子(加熱および/または冷却をもたらすための)、温度センサ、および検出カートリッジ410の一部分として含むことができる他のデバイスなど他の構成要素に操作可能に連結させることができる。
【0207】
検出室430に加えて、図4に示す検出カートリッジ410は、材料が検出室430を出た後流れ込む任意選択の廃棄室440も含む。廃棄室440は、検出室430からの試料材料が廃棄室440に流れ込む速度を制御するために使用することができる体積流量制御機構470を経由して検出室430と流体連結することができる。体積流量制御機構470は、好ましくは流体を、検出室430を経由して引き出す助けとなり、それを廃棄室440に移動させることができる。本明細書に記載する様々な例示的実施形態では、体積流量制御機構470は、下記の構成要素の1つまたは複数を含むことができる:1つまたは複数の毛管チャンネル、多孔質膜、吸収材料、真空供給源など。様々な実施形態では、これらの様々な構成要素は、カートリッジ410内に配置される方法および場所に応じて流量を制限または増大させることができる。例えば、廃棄室440が、毛管構造の存在しないときに過剰に高い流量を引き起こすことがある吸収材料を含む場合、例えば、毛管構造を検出室430と廃棄室440の間に設けて、検出室430から廃棄室440への流れを制限することができる。
【0208】
図4に示す別の特徴は、ベント478であり、好ましくはベント478が開放状態である場合周囲大気(すなわち、検出カートリッジ410が配置されている大気)と流体連結している検出カートリッジ410の内部体積を配置するために設けることができる。ベント478は、好ましくはベント478を通り抜ける流体流れが実質的になくなっている閉状態であることもできる。いくつかの実施形態では、ベント478の閉鎖によって、検出カートリッジ410の内部体積を通り抜ける流体流れを効果的に中止または止めることができる。廃棄室440に入るように示されているが、1つまたは複数のベントを設けることができ、これらを検出カートリッジ410内の適切な位置、例えばステージング室420、検出室430などに直接連結することができる。ベント478は、適切な任意の形、例えば1つまたは複数の空隙、チューブ、フィッティングなどを取ることができる。
【0209】
ベント478は、ベント開口部を開閉し、またはそのサイズを調整するシール、キャップ、バルブ、ストッパー、もしくは他の構造の形の閉鎖素子479を含むことができる。いくつかの実施形態では、閉鎖素子479を使用して、ベントを開閉することができる。他の実施形態では、閉鎖素子479は、検出カートリッジ410を通り抜ける流体流量を調整するためにベント開口部のサイズを完全閉鎖と完全開放の間の少なくとも一サイズに調整することができるように調整可能とすることができる。例えば、ベント開口部のサイズを増大させると、流体流量を増大させることができる一方、ベント開口部のサイズを制限すると、検出カートリッジ410の内部体積、例えばステージング室420、検出室430などを通り抜ける流体流量の制御可能な低減を引き起こすことができる。ベント478が複数のオリフィスを含む場合、オリフィスの1つまたは複数を、閉鎖素子479などによって開放または閉鎖することができる。
【0210】
検出室430を通り抜けて移動する流体の体積流量は、体積流量制御機構470によって制御することができるが、検出室430を通り抜けた流頭進行の制御を実現することが好ましい場合がある。流頭進行制御は、確実に検出室430内で曝露されたセンサ450の検出表面の部分がすべて、気泡もしくは空隙が形成されないように試料材料の流体でカバーされまたは浸潤される助けをすることができる。例えば、流頭が検出室430を通り抜けて、検出室430を通り抜ける流れ方向に直角に向いている一般に直線の形で進行することが好ましい場合がある。
【0211】
図4に示す例示的実施形態では、流頭制御機構を、好ましくは対向する表面460内または上に設けることができる。これは、センサ450が、検出表面の形状および/または組成物によって影響を受けることができる物理的諸特性に依存する場合、例えば検出表面が、検出表面を成し、または検出表面の下にある導波路を通り抜ける音響エネルギー伝達に依存するセンサの一部分である場合、特に真実となり得る。検出表面を覆って配置された物理的構造または様々な材料の不連続によって、例えば検出室430内の標的分析物の正確な検出の助けとならないように音響エネルギーを検出表面全体に渡って伝播する恐れがある。
【0212】
対向する表面460上に設けられた流頭制御機構は、好ましくは受動なものとすることができ、すなわち、これらは動作するための外部インプットまたはエネルギーを必要とせず、流体は検出室430を通り抜けて移動している。流頭制御機構は、好ましくは検出室430を通り抜けることができる広範囲の試料体積全体に渡って動作することもできる(例えば、10マイクロリットル以下の範囲の小試料体積から5ミリリットル以上のより多い試料体積まで)。
【0213】
対向する表面460とセンサ450の検出表面は、対向する表面460(およびその上に配置されているあらゆる機構)がセンサ450の検出表面に接触しないように相互に間隔をあけて配置されていることが好ましい場合がある。音響センサに関して、対向する表面460がセンサの検出表面に密接に近接している場合でさえ、センサ操作の特性に悪影響を及ぼす恐れがある。センサ450の検出表面と、対向する表面460の最下部機構との間の間隔が20マイクロメートル以上、またはさらにより好ましくは50マイクロメートル以上であることが好ましい場合がある。効果的な流頭制御では、対向する表面460の最下部機構と、センサ450の検出表面との距離が10ミリメートル以下、より好ましくは1ミリメートル以下、より好ましくは250マイクロメートル以下であることが好ましい場合がある。
【0214】
流頭制御機構の一クラスでは、対向する表面460は、チャンネル、ポストなど、検出室430を通り抜ける流体の流れを制御するために使用することができる物理的構造を含むことができる。具体的な物理的構造に関わらず、検出室を通り抜ける流頭進行が有意義に影響されるような十分に大きい規模であることが好ましい。適切な物理的構造の例には、例えば対向する表面全体にわたって分散され、個別の構造を分離するランドエリア(ランドエリア)から突出している、ポスト、埋め込まれたまたは取り付けられたビーズなどの形の複数の個別の構造が含まれ得る。物理的構造が対向する表面に形成されたチャンネルを含む場合、チャンネルは、好ましくは相互に平行に配置された直線チャンネルであり、所望の流体流れ方向に直角に向くことができる。チャンネルは、不規則な大きさ、不規則な造形、不規則な間隔、直線状、曲線状、90度角以外での流体流れに対する向きなどとすることができる。隣接チャンネルは、相互に直接隣接しているものとすることができ、または対向する表面上のランドエリアで隔てることができる。チャンネルは、任意の断面形状、例えば、三角形、弓状、長方形、台形、半球形など、およびそれらの組合せを有することができる。
【0215】
いくつかの実施形態では、流頭進行制御は、(物理的構造が存在せずに、またはそれと組み合わせて)対向する表面460上に配置された親水性および/または疎水性の材料を使用することにより、実現することができる。例えば、対向する表面460は、対向する表面460の部分を占める疎水性材料の領域および親水性材料の領域を含むことができる。領域は、(他の親水性/疎水性のパターンを使用することができるが)好ましくは検出室を通り抜ける流れの方向に一般に直角に向いている連続帯として設けることができる。領域に使用する親水性および/または疎水性の材料を、対向する表面460上に被覆またはその他の方法で設けることができる。
【0216】
図4に示す任意選択のステージング室420を使用して、試料材料を検出室430に導入する前にそれをステージング、混合またはその他の方法で保持することができる。ステージング室420は、適切な任意の形を取ることができる。場合によっては、ステージング室420から検出室430へのその受動的送達の助けとなり得る静水頭が、ステージング室420中の試料材料内で発現し得るように、カートリッジ410の使用中、ステージング室420の体積を、(重力に関して)検出室430より上に配置することが好ましい場合がある。
【0217】
任意選択のポート422は、材料を例えば注射器、ピペットなどによってカートリッジ410の内部体積に導入することができるように、ステージング室420に(またはカートリッジ410の内部に通じる別の位置に)設けることができる。設ける場合は、材料をカートリッジ410に挿入する前および/または後、ポート422を例えばセプタム、バルブ、および/または他の構造によってシールすることができる。いくつかの実施形態では、ポート422は、好ましくは例えばルアーロックフィッティング、ねじ式フィッティングなど試験試料送達デバイスとかみ合うように設計された外部構造を例えば含むことができる。1つのポート422しか描かれていないが、2つ以上の別のポートを設けることができると理解されたい。
【0218】
いくつかの実施形態では、ステージング室420を、流れ制御構造/機構424(例えば、バルブなど)によって、検出室430との直接流体連結から分離することができる。流れ制御構造/機構424を設けて、検出室430をステージング室420から分離する場合、ステージング室420は潜在的に、より効果的に使用して、材料を検出室430に放出する前に貯蔵することができる。流れ制御構造/機構424が存在しない場合、検出室430への材料の流れの制御は、潜在的に他の技法、例えばカートリッジ410を、重力、求心力などが材料をステージング室420に保持する助けとなることができる方位に、検出室430へのその送達が望まれるまで保持することによって得ることができる。
【0219】
図4に示す別の任意選択の特徴は、流体監視装置427を含むことである。流体監視装置427は、好ましくは、流体の存在、流れ速度、流量などの能動的リアルタイム監視を実現することができる。流体監視装置427は、適切な任意の形、例えば流体に曝露され、流れ特性および/または監視用電極上の流体の存在を決定するために例えば交流を使用して監視される電極を取ることができる。別の代替物は、監視される流体と必ずしも接触している必要のないキャパシタンスベースの流体監視装置を使用することができる。
【0220】
検出室430を監視するように描かれているが、流体監視装置を、検出カートリッジ410の内部体積内の適切な任意の位置に配置することができると理解されたい。例えば、流体監視装置をステージング室420、廃棄室440などに配置することができる。さらに、複数の流体監視装置をカートリッジ410内の様々な位置で使用することができる。
【0221】
流体監視装置427の潜在的利点は、例えばモジュール480などと関連付けられたアクチュエータ490を動作させるためにフィードバックループで使用される流体監視装置427によって感知された状態に応答して、試料材料、試薬、洗浄緩衝液などの導入を自動的に活性化する能力を例えば含むことができる。あるいは、流体監視装置427によって感知された状態は、人間オペレータに評価および/または行動のための信号またはフィードバックを提供することができる。いくつかの用途、例えば診断医療用途では、検出カートリッジが適切に動作していること、すなわち許容できるパラメータ内で流体を受けていることを確実にするように流体監視装置427を使用することができる。
【0222】
ポート422に加えてまたはその代わりに、好ましくは材料をカートリッジ410に導入または送達するために使用することができる任意選択のモジュール480も図4に示す。モジュール480は、場合によっては、潜在的に材料を直接検出室430に送達することができるが、図示する通り、材料をステージング室420に送達することが好ましい場合がある。送達される材料が、材料をモジュール480から移動しカートリッジ410に移動する助けとなる少なくとも1つの液体成分を含むことが好ましい場合があるが、モジュール480を使用して、広範囲の材料を送達することができる。モジュール480を使用して導入することができる材料には、例えば、供試体、試薬、緩衝液、洗浄材料などがある。モジュール480からカートリッジ410への材料の導入の制御は、いくつかの方式で得ることができる。例えば、モジュール480中の材料をカートリッジ410に入れるために開放することができるシール、バルブなどによって、モジュール480をカートリッジ410から分離することができる。
【0223】
各モジュール480内に収容されている材料を、選択された回数、選択された速度、選択された順序などで検出カートリッジに導入することができるようにモジュール480は相互に独立していることが好ましい場合がある。場合によっては、アクチュエータ490は、モジュール480内の材料がカートリッジ410に移動するように各モジュール480と関連付けることができる。アクチュエータ490をモジュール480の設計に基づいて選択することができる。アクチュエータ490は、手動で操作することができ、または例えば油圧、空気圧、ソレノイド、パルスモータなどを使用して自動化することができる。アクチュエータ490を検出カートリッジ410の構成要素として図示しているが、カートリッジを本明細書に述べるように使用するより大きいシステムの一部分として設けることができる。
【0224】
システム設計
図2および3の検出装置は、図4に関連して記載されるように、検出カートリッジで実施されることが望ましい場合がある。しかし、その特定の実施に関わらず、検出装置/カートリッジは、好ましくは、例えばセンサまたは検出カートリッジ中の他のデバイスへの電力の提供;センサによって生成されたデータの受け取り;流体流れおよび/またはセンサ操作を制御するためのユーザー入力を取得する能力の提供など様々な機能を提供することができる機器とドッキングまたは連結できるものとすることができる。
【0225】
1つのこのようなシステム500は、図5に略図で示されており、好ましくは電源501およびユーザーインターフェース502(例えば、押しボタン、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホンなど)を含むことができる。システム500は、特定の検出システム/カートリッジ510を例えばバーコード、無線周波識別デバイス、機械的構造などを使用して識別するように適合させた識別モジュール503も含むことができる。
【0226】
システム500は、好ましくは検出カートリッジ中のセンサからデータを得るセンサアナライザー504、およびセンサの出力を解釈するプロセッサ505も含むことができる。言い換えれば、センサアナライザー504は、センサ検出カートリッジ510からの出力を受理し、出力をプロセッサ505に提供することができ、したがってセンサの出力が解釈される。
【0227】
プロセッサ505は、センサアナライザー504からの出力を受理し、例えば音響的−機械的センサを通り抜けるまたは全体にわたる波の伝播と関連付けられた測定も含むことができる。次いで、プロセッサ505は、標的生物学的分析物が試料材料に存在しているかどうかを決定することができる。本発明はこの点に限定されないが、検出カートリッジ510をシステム500中または上のスロットまたは他のドッキング構造に挿入することによって、検出カートリッジ510中のセンサをセンサアナライザー504に電気的に結合することができる。プロセッサ505をセンサアナライザー504と同じユニットに収納することができ、あるいは別のユニットまたは別のコンピュータの一部分とすることもできる。
【0228】
プロセッサ505は、メモリ506と結合することもでき、1つまたは複数の様々なデータ解析技法を保存することができる。あるいは、所望の任意のデータ解析技法を例えばプロセッサ505内のハードウェアとして設計することができる。どんな場合でも、プロセッサ505は、データ解析技法を実行して、検出可能な量の標的生物学的分析物が、検出カートリッジ510中のセンサの検出表面上に存在しているかどうか決定する。
【0229】
一例として、プロセッサ505は、メモリ506に保存されたソフトウェアを実行する汎用マイクロプロセッサとすることができる。その場合、プロセッサ505は、特別に設計されたコンピュータ、汎用パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータなどに収納することができる。あるいは、プロセッサ505は、特定用途向け集積回路(ASIC)または特別に設計された他のプロセッサとすることができる。どんな場合でも、プロセッサ505は、好ましくは所望の任意のデータ解析技法、または標的生物学的分析物が試験試料内に存在しているかどうかを決定する技法を実行する。
【0230】
メモリ506は、プロセッサ505によって適用することができるプロセッサ実行可能ソフトウェア命令を保存するコンピュータ可読媒体の一例である。一例として、メモリ506は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなどとすることができる。データ解析技法はどれも、センサの出力の解析に使用されるより大きいソフトウェアプログラムの一部分を成すことができる(例えば、米国テキサス州オースチンのナショナルインスツルメンツコーポレーション(National Instruments Corporation, Austin, Texas)からのラボビュー(LABVIEW)ソフトウェア)。
【0231】
本発明に関連して使用することができるシステムおよびデータ解析技法のさらなる説明は、「表面弾性波センサによる伝播速度推定(Estimating Propagation Velocity Through A Surface Acoustic Wave Sensor)」という名称の、2003年12月30日出願の米国特許仮出願第60/533,177号明細書および本明細書と同日付出願の国際公開第_____________号パンフレット(代理人整理番号58927WO003)に記載することができる。本発明のセンサを使用して標的生物学的分析物の存在(または存在していないこと)を決定する他のデータ解析技法、例えば位相変位計算などを平易にする実験後のノイズ低減フィルタとして使用する時間領域ゲーティングを使用することもできる。さらに、潜在的に有用な他のデータ解析技法は、音響センサの使用に関して本明細書で特定した文献に記載することができる。表面弾性波センサの使用に関するシステムおよび方法は、そこに記載されているが、これらのシステムおよび方法の使用は、他の音響的−機械的センサも共に使用することができると理解されたい。
【実施例】
【0232】
これらの実施例は、単に例示の目的のものにすぎず、添付の特許請求の範囲を限定するためのものではない。実施例および残りの明細書中の部、百分率、比などはすべて、別段の記載のない限り重量による。使用する溶媒および他の試薬は、別段の注記のない限り、シグマ−アルドリッチケミカルカンパニー(Sigma−Aldrich Chemical Company);米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee, Wisconsin)から得た。
【0233】
【表1】

【0234】
調製例M1:
【化32】

ガラス製反応容器に、DMF(154ミリリットル)、4−カルボキシベンゼンスルホンアミド(30.0グラム)、無水コハク酸(16.41グラム)、およびトリエチルアミン(33.19グラム)の混合物を撹拌し、窒素雰囲気中で50℃に4時間加熱した。混合物を室温まで放冷し、無水酢酸(18.27ミリリットル)を添加し、混合物を室温でさらに3時間撹拌した。混合物を、400ミリリットルの撹拌された1N HCl水溶液に注ぎ入れた。この混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥して、所望の生成物を得た。収量:36.94グラム。
【0235】
調製例M2:
【化33】

調製例M1のカルボキシ含有生成物(20.0グラム)および乾燥アセトニトリル(85グラム)の撹拌された混合物が入っているガラス製反応容器に、塩化チオニル(10.0グラム)およびDMF(1滴)を添加した。得られた混合物を撹拌し、還流下1時間加熱し、室温に冷却し、さらに氷浴中で冷却すると、固体沈殿物の形成が生じた。固体を濾過によって収集し、冷アセトニトリルおよび冷トルエンで連続洗浄し、真空オーブン中50℃で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。収量:17.7グラム。
【0236】
調製例M3:
【化34】

還流冷却器、温度計、均圧滴下漏斗、および窒素導入口を備えたガラス製反応容器に、60重量パーセントNaHの鉱物油分散液(22.52グラム)を加えた。分散液をヘプタンで3回、混合物を数分間撹拌することによって洗浄し、混合物を静置し、ピペットを使用して上澄みヘプタンをデカンテーションした。フラスコに、NMP(32グラム)を添加し、混合物を撹拌した。この撹拌された混合物に、無水樟脳酸(11.7グラム)、スルファニルアミド(10グラム)、およびNMP(50グラム)の溶液を滴下漏斗で徐々に添加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌し、0.1N HCl水溶液と組み合わせ、酢酸エチルで抽出した。抽出物をMgSO4で乾燥し、ロータリーエバポレータを使用して揮発性成分を除去した。ガラス製反応容器中で、この中間体材料を、塩化メタンスルホニル(6.98グラム)、トリエチルアミン(13.51グラム)、およびDMF(82.4グラム)と組み合わせ、得られた混合物を60℃で1時撹拌した。混合物を、1N HCl水溶液に注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって単離し、メタノールで再結晶して、所望の生成物を得た。収量:3グラム。
【0237】
調製例M4:
【化35】

還流冷却器および電磁撹拌棒を備えたガラス製反応容器に、オルトギ酸トリメチル(34.28グラム)、4−カルボキシベンゼンスルホンアミド(50.00グラム)、トルエンスルホン酸(2.5グラム)、およびメタノール(197mL)を加えた。混合物を70℃に16時間加熱した。冷却した混合物をロータリーエバポレータで濃縮した。ジエチルエーテル(200mL)を濃縮物に添加し、撹拌した。得られた固体を濾過して、所望の4−メトキシカルボニルベンゼンスルホンアミド51.3グラムを得た。還流冷却器、温度計、均圧滴下漏斗、および窒素導入口を備えたガラス製反応容器に、60重量パーセントNaHの鉱物油分散液(16.22グラム)を加えた。分散液をヘプタンで3回、混合物を数分間撹拌することによって洗浄し、混合物を静置し、ピペットを使用して上澄みヘプタンをデカンテーションした。フラスコに、NMP(50グラム)を添加し、混合物を撹拌した。この撹拌された混合物に、無水樟脳酸(14グラム)、4−メトキシカルボニルベンゼンスルホンアミド(15グラム)、およびNMP(61グラム)の溶液を滴下漏斗で徐々に添加した。得られた混合物を室温で約1時間撹拌し、脱イオン水の入ったビーカーに注ぎ入れ、激しく撹拌した。この塩基性混合物を1.0N HClで酸性にし、続いてEtOAcで抽出した。ロータリーエバポレータを使用して揮発性成分を除去して、固体中間体を得た。この中間体を、THF(111グラム)、無水酢酸(8.54グラム)、およびトリエチルアミン(23.3グラム)と組み合わせ、60℃で1時間撹拌した。混合物を1N HCl水溶液に注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって単離した。固体を、メタノールと組み合わせ、この混合物を沸騰するまで加熱し、室温に冷却し、濾過し、メタノールおよびジエチルエーテルで連続洗浄した。固体を真空オーブン中、室温で67Pa(0.5mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。
【0238】
調製例M5:
【化36】

還流冷却器、温度計、および窒素導入口を備えたガラス製反応容器に、調製例M4のカルボン酸生成物およびACN(20グラム)を加えた。フラスコを氷浴中に配置し、スイス ブッフスのフルカホールディングAG(Fluka Holding AG, Buchs, Switzerland)から得た20重量パーセントホスゲンのトルエン溶液(15.57グラム)を注射器で徐々に添加した。混合物を放置して室温にまで温め、加熱還流した。定期的に、ホスゲン指示紙を使用して、反応混合物上の雰囲気をホスゲンの存在について試験した。このようにしてホスゲンが検出されない場合、フラスコに蒸留ヘッドを取り付け、少量の揮発性材料を留去した。混合物を濾過し、固体を窒素気流下で乾燥して、所望の生成物を得た。
【0239】
調製例M6:
【化37】

ガラス製反応容器中、スルファニルアミド(10.75グラム)のTHF(85.4ミリリットル)溶液に、ピリジン(5.93グラム)を添加し、フラスコを氷浴中で冷却した。無水メタクリル酸(10.59グラム)を添加し、混合物を室温にまで温めながら終夜撹拌した。反応混合物を濾過し、真空オーブン中、室温で133.3Pa(1mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。収量:8.4グラム。
【0240】
調製例M7:
【化38】

丸底フラスコ中、2,3−ジヒドロ−3−オキソベンゾイソスルホナゾール(5.0グラム(g))、トリエチルアミン(3.3g)、およびアセトニトリル(30g)の混合物を窒素雰囲気中で電磁撹拌し、氷浴中で冷却した。フラスコに、塩化10−ウンデセノイル(6.1g)のTHF(12g)溶液を、均圧滴下漏斗を使用して徐々に添加した。混合物を放置して室温にまで温め、次いで濾過した。ロータリーエバポレータを使用して濾液を濃縮乾固し、残渣をジエチルエーテルで粉砕した。得られた固体はエーテルであった。得られた固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、室温で風乾して、生成物8.7gを得た。
【0241】
調製例M8:
【化39】

125mLのねじ口ビン中で、実施例9のエチレン性不飽和含有生成物(4.0g)、トリクロロシラン(3.1g)、および塩化メチレン(25g)の混合物を組み合わせた。キシレン中の白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラン錯体を、塩化メチレンで約1.5重量パーセントの濃度に希釈し、この溶液3滴をビンに添加した。次いで、ビンをシールし、水浴で60℃に加熱した。18時間後、混合物を室温まで放冷し、追加の白金錯体溶液(1滴)を添加した。ビンを再びシールし、60℃でさらに24時間加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、ロータリーエバポレータを使用して揮発性成分を除去した。
【0242】
調製例MP1:
【化40】

均圧滴下漏斗および窒素導入口を備えたガラス製反応容器に、60重量パーセントNaHの鉱物油分散液(9.45グラム)およびヘキサン(20ミリリットル)を加えた。混合物を約15分間撹拌し、DMF(100ミリリットル)を添加した。フラスコに、DMF(100ミリリットル)中p−トルエンスルホンアミド(15.7グラム)および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(16.2グラム)の混合物を、滴下漏斗で徐々に添加した。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。フラスコに、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(1.6グラム)のDMF(10ミリリットル)溶液を滴下し、混合物を約6時間撹拌した。フラスコに、無水酢酸(28.14グラム)を添加し、混合物を終夜撹拌した。NaHCO3水溶液と、続いてHCl水溶液を添加した。混合物を濾過し、濾過し、真空オーブンを使用して固体を終夜乾燥し、メタノールで再結晶して、所望の生成物を得た。収量:14.8グラム。
【0243】
調製例 MP2:
【化41】

ガラス製反応容器中で、NMP(9.11ミリリットル)、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(0.78グラム)および調製例M2のカルボニルクロリド生成物の試料(1.50グラム)の混合物を組み合わせ、室温で終夜撹拌した。混合物を0.1N HClに注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって収集し、脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中、室温で133.3Pa(1mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。収量:1.53グラム。
【0244】
調製例MP3:
【化42】

窒素雰囲気中、氷浴で冷却させたガラス製反応容器に、調製例M2のカルボニルクロリド生成物の試料(4.58グラム)のACN(6.6グラム)溶液を加えた。この撹拌された溶液に、2−ヒドロキシプロピルアクリラート(2.07グラム)、トリエチルアミン(1.69グラム)のACN(20.0グラム)溶液を添加した。混合物を終夜撹拌し、放置して室温にまで温めた。混合物を0.1N HCl水溶液に注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって収集し、脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中、室温で133.3Pa(1mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。
【0245】
調製例MP4:
【化43】

還流冷却管を備えたガラス製反応容器に、調製例M6の生成物の試料(6.00グラム)、無水コハク酸(2.75グラム)、トリエチルアミン(3.34グラム)のACN(40ミリリットル)溶液を微量のフェノチアジンと共に加えた。この混合物を6時間還流し、室温に冷却し、無水コハク酸(3.25グラム)およびトリエチルアミン(6.11グラム)を添加し、混合物を1時間還流した。混合物を0.1N HCl水溶液に注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって収集し、脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中、室温で133.3Pa(1mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。収量:5.9グラム。
【0246】
調製例MP5:
【化44】

窒素雰囲気中、氷浴で冷却させたガラス製反応容器で、調製例M3の生成物(1.20グラム)およびピリジン(0.34グラム)の乾燥THF(4.3グラム)溶液を、塩化塩化アクリロイル(0.39グラム)の乾燥THF(2.0グラム)溶液に徐々に添加した。混合物を終夜撹拌し、放置して室温にまで温めた。ロータリーエバポレータを使用して、溶媒を部分除去した。混合物を、0.01N HCl水溶液に注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって収集し、脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中、室温で133.3Pa(1mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。収量:0.80グラム。
【0247】
調製例MP6:
【化45】

ガラス製反応容器中で、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(0.68グラム)および調製例M5のカルボニルクロリド生成物の試料(1.68グラム)のNMP(9.45ミリリットル)溶液を室温で終夜撹拌した。混合物を0.1N HCl水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。有機相を脱イオン水および飽和NaCl水溶液で連続洗浄し、MgSO4で乾燥した。ロータリーエバポレータを使用して、溶液を濃縮し、真空オーブン中、室温で67Pa(0.5mmHg)で終夜乾燥して、所望の生成物を得た。収量:1.8グラム。
【0248】
調製例MP7:
【化46】

ガラス製反応容器に、アセトン(150ミリリットル)中サッカリンNa(トルエンと共沸することによって乾燥された)(20.5グラム)のスラリーを加えた。この撹拌されたスラリーに、塩化アクリロイル(9.2グラム)を添加し、得られた混合物を24時間撹拌した。混合物を濾過し、溶媒を除去して、IR分光法によって同一である不溶性白色固体18.3グラムおよび可溶性白色固体9.5グラムを得た。可溶性および不溶性固体を水400ミリリットル中で再び組み合わせ、濾過し、乾燥して、NMRによる純度約80%の所望の生成物を得た。収量:20.5グラム。固体は、EtOAcにわずかに可溶であり、NMPに可溶であった。
【0249】
調製例MP8:
【化47】

ガラス製反応容器中で、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(22.31グラム)、無水グルタル酸(20.54グラム)、およびトリエチルアミン(19.08グラム)の乾燥THF(167.5ミリリットル)溶液を、室温で終夜撹拌した。ロータリーエバポレータを使用して、溶液を濃縮し、残渣をEtOAc400ミリリットルに溶解した。有機相を脱イオン水、飽和NaCl水溶液で連続洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶液を濾過し、ガラス製反応容器中、塩化チオニル(21.14グラム)およびDMF(3滴)で処理した。混合物を終夜撹拌し、ロータリーエバポレータで濃縮した。氷浴中で冷却した乾燥アセトン(250ミリリットル)中乾燥サッカリンNa(31.29グラム)の撹拌された懸濁液に、濃縮物を徐々に添加した。混合物を終夜撹拌し、放置して室温にまで温めた。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、クロロホルム中でスラリー化し、再び濾過した。濾液を濃縮し、ジエチルエーテルを添加し、沈殿物を濾過によって単離し、窒素気流中で乾燥して、所望の生成物を得た。収量:40.5グラム。
【0250】
調製例MP9:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物1.0グラム、メタクリル酸メチル8.0グラム、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.0グラム、およびEtOAc30グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 102ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0251】
調製例MP10:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物1.0グラム、メタクリル酸メチル3.5グラム、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.5グラム、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.8グラム、およびEtOAc20グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 100ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0252】
調製例MP11:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物1.0グラム、メタクリル酸メチル2.0グラム、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.5グラム、およびEtOAc20グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 101ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0253】
調製例MP12:
ガラスビン中で、調製例MP7の生成物2.0グラム、アクリル酸メチル8.0グラム、N−メチルピロリドン10グラム、およびEtOAc20グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 70ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0254】
調製例MP13:
ガラスビン中で、調製例MP7の生成物2.0グラム、アクリル酸メチル8.0グラム、およびNMP10グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 70ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0255】
調製例MP14:
ガラスビン中で、調製例MP7の生成物2.0グラム、メタクリル酸メチル8.0グラム、およびNMP20グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 65ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0256】
調製例MP15:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物1.0グラム、メタクリル酸メチル8.0グラム、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.0グラム、およびEtOAc30グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 102ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0257】
調製例MP16:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物1.0グラム、メタクリル酸メチル3.5グラム、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.5グラム、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.8グラム、およびEtOAc20グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 100ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0258】
調製例MP17:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物1.0グラム、メタクリル酸メチル2.0グラム、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.5グラム、およびEtOAc20グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 101ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0259】
調製例MP18:
ガラスビン中で、調製例MP1の生成物0.24グラム、N,N−ジメチルアクリルアミド4.8グラム、ACN4.6グラム、およびTHF3.0グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 50ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0260】
調製例MP19:
ガラスビン中で、調製例MP2の生成物0.295グラム、N,N−ジメチルアクリルアミド4.8グラム、ACN6.9グラム、およびTHF0.8グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 51ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0261】
調製例MP20:
ガラスビン中で、調製例MP4の生成物0.17グラム、N,N−ジメチルアクリルアミド2.7グラム、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.017グラム、およびACN4.3グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 29ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0262】
調製例MP21:
ガラスビン中で、調製例MP6の生成物0.33グラム、N,N−ジメチルアクリルアミド0.87グラム、ACN1.6グラム、およびTHF0.2グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 12ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で24時間混転した。
【0263】
調製例MP22:
ガラスビン中で、調製例MP8の生成物1.00グラム、アクリル酸メチル1.50グラム、ACN6.75グラム、およびTHF0.75グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 17.5ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、55℃の水浴中で24時間混転した。
【0264】
調製例MP23:
ガラスビン中で、調製例MP8の生成物1.00グラム、メタクリル酸メチル4.00グラム、アクリルオキシベンゾフェノン0.025グラム、ACN6.75グラム、およびTHF0.75グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 17.5ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、55℃の水浴中で24時間混転した。
【0265】
調製例MP24:
ガラスビン中で、調製例MP8の生成物1.50グラム、N,N−ジメチルアクリルアミド1.50グラム、ACN6.75グラム、およびTHF0.75グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 17.5ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、55℃の水浴中で24時間混転した。
【0266】
調製例MP25:
ガラスビン中で、調製例MP8の生成物1.00グラム、メタクリル酸メチル3.00グラム、メタクリル酸イソボルニル1.00グラム、4−アクリルオキシベンゾフェノン0.025グラム、ACN13.50グラム、およびTHF1.50グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 17.5ミリグラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、55℃の水浴中で24時間混転した。
【0267】
調製例MP26(ターポリマー):
ガラスビン中で、調製例MP8の生成物30グラム、メタクリル酸メチル35グラム、メタクリル酸イソボルニル35グラム、4−アクリルオキシベンゾフェノン0.30グラム、酢酸ブチル/アセトニトリル233グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 0.3グラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で20時間混転した。
【0268】
調製例MP27(コポリマー):
ガラスビン中で、メタクリル酸メチル15グラム、メタクリル酸イソボルニル15グラム、酢酸ブチル70グラムを混合した。この混合物に、VAZO 67 0.09グラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で20時間混転した。得られたポリマーは、希釈およびスピンコーティングに対処できる状態であった。
【0269】
調製例MM1:
【化48】

ガラス製反応容器中で、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(26.9グラム)、p−スルファミル安息香酸(30.0グラム)、TEA(49.8グラム)、およびDMF(82グラム)の混合物を撹拌し、窒素雰囲気中で、50℃に2時間加熱し、続いて90℃で終夜加熱した。混合物を室温に冷却し、フラスコに、無水酢酸(18.3グラム)を添加した。混合物を室温で終夜撹拌し、1N HCl水溶液に注ぎ入れ、得られた固体を濾過によって単離し、真空オーブンを使用して乾燥した。得られた固体を氷酢酸で再結晶して、所望の生成物を得た。収量:12.6グラム。
【0270】
調製例MM2:
【化49】

還流冷却器および窒素導入口を備えたガラス製反応容器中、調製例MM1のカルボン酸生成物(5.0グラム)、塩化チオニル(2.2グラム)、DMF(1滴)、およびACN(28.9ミリリットル)の混合物を窒素雰囲気中で撹拌し、加熱して1時間還流した。混合物を室温まで放冷し、ロータリーエバポレータを使用して揮発性成分を除去した。得られた固体をフリットガラス製漏斗に洗い流し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで窒素気流中室温で乾燥して、所望の生成物を得た。収量:4.7グラム。
【0271】
調製例MM3:
【化50】

乾燥サッカリンNa(10.25グラム、0.50mol)およびアセトン200ミリリットルの撹拌されたスラリーに、窒素雰囲気中で塩化セバコイル(6.0グラム、0.025mol)を添加した。得られた混合物を室温で20時間撹拌した。IR分光法から、−COClのピークが存在していないことが判明した。混合物を濾過し、アセトンで洗浄して、白色固体11.8グラムを得た。洗液からアセトンを除去して、黄褐色(tan)固体3.7グラムを得、濾化物と組み合わせ、水で洗浄し、乾燥して、所望の生成物を得た(NMRで一致した構造)。これは、ACN、アセトンおよび2−ブタノンにわずかに可溶であった。収量:9.1グラム。
【0272】
調製例MM4:
【化51】

CH2Cl2100ミリリットル中PEG600二酸(30グラム、0.05mol、式中、m’は約14である)の混合物に、SOCl210ミリリットルを添加し、直ちにHClが発生した。20時間後、溶媒を真空下で除去して、淡黄色オイル33.6グラムを得た。このうち、6.4グラム(0.01mol)を、乾燥サッカリンNa(4.1グラム、0.02mol)添加し、得られたスラリーを24時間撹拌し、濾過し、真空乾燥して、淡黄褐色シロップの所望の生成物を得た。収量:9.3グラム。
【0273】
調製例MM5:
【化52】

ガラス製反応容器中で、調製例M2のクロロカルボニル生成物の試料(1.0グラム)を、NMP(3.6グラム)に溶解し、氷浴中で冷却した。フラスコに、PEG3400(3.54グラム、式中、m’は約77である)のTHF(3.54グラム)溶液を徐々に添加した。混合物を終夜撹拌し、混合物を室温にまで温めた。混合物を濃縮し、IPAで再結晶し、得られた白色固体を濾過し、冷却したIPAですすいで、所望の生成物を得た。収量:4.17グラム。ポリエチレンイミンの添加によってヒドロゲルを形成した。平均分子量(Mw)は約2,000である。50重量%の水(0.17グラム)溶液とこの生成物(0.50グラム)の50重量%水溶液。
【0274】
調製例MM6:
【化53】

ガラス製反応容器に、調製例MM2のクロロカルボキシ生成物の試料(1.99グラム)を、THF(10グラム)に溶解した。PEG3400(8.20グラム、式中、m’は約77である)、ピリジン(0.48グラム)、およびTHF(3.54グラム)の溶液を徐々に添加し、得られた混合物を終夜撹拌した。混合物を濃縮し、IPAで再結晶し、得られた白色固体を濾過し、冷却したIPAですすいで、所望の生成物を得た。収量:9.0グラム。
【0275】
調製例MM7:
【化54】

ガラス製反応容器に、調製例M2のクロロカルボニル生成物の試料(2.00グラム)を、THF(8グラム)に溶解した。TPEG990(2.07グラム、式中、m’は約22である)、TEA(0.70グラム)、およびTHF(8.0グラム)の溶液を徐々に添加し、得られた混合物を終夜撹拌した。IR分光法から、−COClのピークが存在していないことが判明した。混合物を濃縮し、EtOAcで再構成し、濾過して、固形分24.5%の透明無色溶液を得た。
【0276】
導波路材料例
導波路例W1
調製例MP27と同様にして、イソボルニルメタクリラートとメチルメタクリラートの50/50コポリマー(ポリ(IBMA/MMA))を作製し、酢酸ブチルで固形分7〜10%に希釈した。
【0277】
導波路例W2
ポリメチルメタクリラート(PMMA)は、メタクリル酸メチル30グラムおよび酢酸ブチル70グラムをガラスビン中で撹拌することによって作製した。この混合物に、VAZO 67 0.09グラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で20時間混転した。得られたポリマーは、希釈およびスピンコーティングに対処できる状態であった。スピンコーティングは、酢酸ブチルで固形分7〜10%に希釈した溶液を用いて行った。
【0278】
導波路例W3
ポリイソボルニルメタクリラート(PIBMA)は、メタクリル酸イソボルニル30グラムおよび酢酸ブチル70グラムをガラスビン中で撹拌することによって作製した。この混合物に、VAZO 67 0.09グラムを添加した。ビンを窒素ガスで不活性にし、シールした。シールしたビンを、60℃の水浴中で20時間混転した。得られたポリマーは、希釈およびスピンコーティングに対処できる状態であった。スピンコーティングは、酢酸ブチルで固形分7〜10%に希釈した溶液を用いて行った。
【0279】
導波路例W4A
サイエンティフックポリマープロダクツ(Scientific Polymer Products)(米国ニューヨーク州オンタリオ(Ontario, NY))からのポリスチレン(PS)(Mw=280KDa)を、酢酸2−ブトキシエチルで固形分10%にした。
【0280】
導波路例W4B
サイエンティフックポリマープロダクツ(Scientific Polymer Products)(米国ニューヨーク州オンタリオ(Ontario, NY))からのポリスチレン(PS)(Mw=280KDa)を、トルエンで固形分10%にした。
【0281】
導波路例W5
47.5%のポリスチレン、47.5%のN−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラート、および5%の米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA)からのシラン−A174([3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシラン)のコポリマー混合物であるポリ(スチレン/MeFBSEMA/A174)は、スチレン4.75g、N−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラート4.75g、シラン−A174 0.5g、VAZO 67 100mg、および酢酸エチル25.0gをガラスビンに添加することによって作製した。窒素でパージした後、シールしたビンを、60℃の水浴中で22時間混転した。得られたポリマーは、希釈およびスピンコーティングに対処できる状態であった。スピンコーティングは、酢酸プロピルで固形分7〜10%に希釈した溶液を用いて行った。
【0282】
導波路例W6
47.5%のポリメチルメタクリラート、47.5%のN−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラート、および5%の米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA)からのシラン−A174([3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシラン)のコポリマー混合物であるポリ(MMA/MeFBSEMA/A174)は、メタクリル酸メチル4.75g、N−メチルパーフルオロブタンスルホンアミドエチルメタクリラート4.75g、シラン−A174 0.5g、VAZO 67 100mg、および酢酸エチル25.0gをガラスビンに添加することによって作製した。窒素でパージした後、シールしたビンを、60℃の水浴中で40時間時間混転した。得られたポリマー(28%固形分)は、希釈およびスピンコーティングに対処できる状態であり、スピンコーティングは、酢酸プロピルで固形分7〜10%に希釈した溶液を用いて行った。
【0283】
導波路例W7A
ポリマーソース(Polymer Source)(カナダ モントリオール(Montreal, Canada))から入手できるポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)(分子量 58.6KDa)を、トルエンで固形分7〜10%にした。
【0284】
導波路例W7B
ポリマーソース(Polymer Source)(カナダ モントリオール(Montreal, Canada))から入手できるポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)(分子量 118KDa)を、トルエンで固形分7〜10%にした。
【0285】
導波路例W8
ダイニオン(Dyneon)11008/0003(米国ミネソタ州オークデール(Oakdale, MN))から入手可能なポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、メチルエチルケトンで固形分6%にした。
【0286】
導波路例W9
ダイニオン(Dyneon)(米国ミネソタ州オークデール(Oakdale, MN))からTHV220として入手可能なテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン(THV)のターポリマーを、メチルエチルケトンで固形分8%にした。
【0287】
導波路例W10A
二液型(1:1)室温硬化性エポキシを、A液:比が90:10のビスフェノールAジエポキシド(DER 317 エポキシ樹脂、米国ミシガン州ミッドランドのダウケミカル(Dow Chemical, Midland, MI)から入手可能)と希釈液のO−クレジルグリシジルエーテル、およびB液:アミン硬化剤(レゾリューションパフォーマンスプロダクツのエピキュア(Resolution Performance Products Epi−Cure)3251))で調製した。両液とも、キシレンで固形分7〜10%に希釈した。
【0288】
導波路例W10B
二液型(1:2、A:B)室温硬化性エポキシを、A液:比が90:10のビスフェノールAジエポキシド(ダウケミカル(Dow Chemical) DER 317 エポキシ樹脂)と希釈液のO−クレジルグリシジルエーテル、およびB液: アミン硬化剤(レゾリューションパフォーマンスプロダクツのエピキュア(Resolution Performance Products Epi−Cure)3251))で調製した。両液とも、キシレンで固形分7〜10%に希釈した。
【0289】
導波路例W11
パイラリン(Pyralin)PI 2610として入手可能なポリイミド(PI)を、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, DE)のエッチ・ディー・マイクロシステムズ(HD MicroSystems)からのN−メチル−2−ピロリドンで固形分10%にした。
【0290】
熱可塑性導波路を有するセンサの調製
実施例W1〜W11中で上記に記載する導波路材料を使用して、その上を被覆された導波路材料を有するセンサを調製した。使用するベースセンサはすべて、サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)によって提供された103MHzで動作するLiTaO3デバイスであった。回折によって引き起こされるバルク波ノイズを低減するために、センサ縁部を研磨した。圧縮空気を使用して、粉塵を吹き払った。次いで、センサをメチルエチルケトン、続いてイソプロピルアルコール、および脱イオン水で洗浄した。センサを大型のパイレックス(登録商標)時計皿中のスライドガラス上に配置し、より小さいパイレックス(登録商標)時計皿で直ちにカバーした(粉塵による汚染を防止するため)。次いで、時計皿を2〜15ワット(2〜15ジュール/秒)のUV光下に配置し、清浄の一法として20分間照射した。
【0291】
センサ上におおよその厚さ0.8〜1ミクロンの導波路材料を得るため、スペシャルティーコーティングシステムズ(Specialty Coating Systems, Inc.)によって製造されたスピンコーターP6700シリーズを使用して、導波路材料W1〜W9をセンサ上にスピン−コートした。スピンコーター、および導波路の被着、センサの位置決めなどのための少量の作業空間にとって十分に大きいプレキシグラス密閉空間である「クリーンボックス」に、スピンコーターを陽圧下で収納した。
【0292】
ピンセットを使用し、かつ手袋を着用して、センサをクリーンボックスの内側にあるスピンコーターのチャック上に配置した。導波路溶液1滴をセンサの中央部に置き、次いで他の液滴を連続縁部の周りに「引きずった」。最後に、さらに導波路材料3〜4滴をセンサの中央上に配置し、センサ表面をあふれさせた。溶液は、0.2μmのフィルタを通して注射器で被着させ、あるいは予め(0.2μmのフィルタを用いて)濾過し、小ピペットで被着させる。スピンコーティングをランプ5秒、速度約1100rpmで60秒間行った(rpmは、材料粘度、所望の厚さに依存する)。
【0293】
導波路希釈液でわずかに濡らした消毒綿を使用して、センサ上の交互嵌合型電極用の電気接触パッドを2回清浄した。パッド清浄ステップ後、クリーンボックス中で、ホットプレートを用いて、センサを90℃で少なくとも5分間加熱した。窒素でパージしたオーブン中、センサを150℃でさらに加熱し、45分間加熱した後、オーブン中で室温まで放冷した。
【0294】
導波路材料W10を、下記を例外とする以外はW1〜W9およびW11で行ったのと同様な調製ステップに従って、センサに調製した。パッドを清浄した後、乾燥および湿潤の測定の前にW10(エポキシ)被覆センサを室温で架橋させておいた。
【0295】
導波路材料の乾燥および湿潤の測定値、ならびに結果の表
乾燥測定値は、アジレント(Agilent)8753ETネットワークアナライザーで構成されているラボビュー(LabView)ソフトウェア、および受動回路板によって計測した。これは、各センサ上に存在する2つのチャンネルの測定を連続して行う(例えば、まずチャンネルA、続いてチャンネルBを測定する)。導波路層の存在によるセンサの挿入損失の変化を特性決定するため、導波路材料1つに付き2つのセンサを使用した。各センサは2つのチャンネルを有するので、測定する2つのセンサから合計4つのデータ点が得られた。所与の導波路材料では、まず未被覆センサ(導波路なし)、次いで被覆した後に、再び導波路層付きの同じセンサについて、挿入損失を測定した。挿入損失は、未被覆センサと導波路被覆センサとにとって最適信号を付与する動作周波数で測定した。この最適動作周波数は、デバイスの共鳴周波数に対応する(サンディア(Sandia)センサの場合103MHz±1MHz)。下記の表(ドライセンサの音響特性)は、これらの4つの測定値の平均およびその標準偏差を示している。測定値はすべて、乾燥センサの場合のものである(例えば、センサを空気中で測定する)。
【0296】
液体下における導波路被覆センサの音響安定性を特性決定するため、受動板の代わりに能動電子板を使用した点以外は乾燥測定値と同じハードウェアを使用して、湿潤測定値を計測した。すなわちシステムは、センサのチャンネルAとチャンネルBとを同時に読み取ることができた。収集されたデータは、乾燥の10点と、その後に続くPBS(リン酸緩衝液、0.20M NaPO4および0.15M NaCl、pH7.5)注入を含んだ。定常状態の緩衝液流量は、0.03mL/分であった。初期の10のデータ点(経過時間5分に等しい)は、システムが熱平衡に到達することを可能にし、乾燥条件下におけるセンサの安定性を提供した。緩衝液流れを開始した後、追加の70点のデータ(経過時間35分に等しい)を収集した。測定周波数は、測定する各センサにとって最適動作周波数に固定し、かつデータを時間の関数として収集した。時間領域(固定周波数)におけるデータの収集によって、導波路安定性の定量的特性が得られた。ドリフトが挿入損失および位相で観察される可能性がある。各導波路材料について、下記の表(水中におけるセンサの音響安定性)に、センサ上で緩衝液流れが開始して最初の30分間にわたって挿入損失および位相ともに変化(ドリフト)が起こったことが報告されている。これらの値について、標準偏差も報告されている。報告されている値は、4つの測定値の平均からなっている(2つのセンサがそれぞれ2つのチャンネルを有する)。
【0297】
導波路と固定化化学物質材料の様々な組合せで被覆されたセンサの、液体下における音響安定性(上記に記載のようなPBS緩衝液)も、同様な方式で特性決定した。固定化化学物質は、ターポリマー(調製例MP26)、UV硬化性(調製例MP23)、およびジサッカリン(調製例MM3)であった。上記に記載するスピンコーティング手順を使用して、固定化化学物質を塗布した。これらの測定は、導波路でしか被覆していないセンサの湿潤音響安定性の特性決定について記述したのと同じ方式で行った。導波路と固定化化学物質の所与の各組合せについて、下記の表(導波路材料+固定化化学物質を有するセンサの音響安定性)に、センサ上で緩衝液流れが開始して最初の30分間にわたって挿入損失の変化(ドリフト)が報告されている。センサが乾燥状態(空気中)から湿潤(緩衝液下)になるときの挿入損失の変化も報告されている。報告されている値は、4つの測定値の平均からなっている(2つのセンサがそれぞれ2つのチャンネルを有する)。固定化化学物質を含まないセンサについての測定は、新らたな実験的反復を表している。
【0298】
【表2】

【0299】
【表3】

【0300】
【表4】

【0301】
導波路例12
捕獲/固定化を伴う導波路材料
調製例MP26(ターポリマー)と同じようにして調製されたポリマーをセンサ上にスピン−コートし、先例と同様にして研磨し、清浄した。コーティング条件は、rpmレベルを1500に設定した点以外は上述と同じに維持した。酢酸ブチルとアセトニトリル(50/50)の混合物を溶媒として使用した。センサパッドを同じ溶媒で清浄した。被覆センサを、フレックス回路に結合させて、3M 7313 z軸接着剤を使用して電気接触させた。CHES緩衝液(pH9)中、50μg/mLの濃度のウサギ抗黄色ブドウ球菌(anti S. aureus)抗体を使用して、表面と反応させた。溶液の試料15μlを各チャンネル上に置き、30分間(mins)反応させた。センサを、PBS緩衝液、続いて0.05%ツィーン(TWEEN)20を含むPBS、最後にPBS緩衝液で洗浄した。センサを、流れカートリッジに配置し、上記に記載する手順を使用して、乾燥および湿潤の測定値を計測した。
【0302】
測定開始時における挿入損失は、チャンネルAでは−10.61db、およびチャンネルBでは−11.47dbであった。測定終了時における挿入損失の変化は、チャンネルAでは0.2db、およびチャンネルBでは0.1dbであった。位相変化を測定すると、チャンネルAでは0.5度、およびチャンネルBでは0.25度であった。
【0303】
捕獲/検出例
捕獲例1
ターポリマーに結合させた黄色ブドウ球菌(S. aureus)抗体に対する黄色ブドウ球菌の捕獲:
導波路コーティング
調製例MP26と同じようにして調製されたポリマーを、アセトニトリルと酢酸ブチル(50/50)の混合物に溶解して、スピンコーティング用の1%溶液を得た。溶液を、清清浄スライドガラス上に、先に記載したようにスピン−コートした。スライドガラスを塩基性浴中で清浄し、続いて水およびエタノールで洗浄し、被覆する前に風乾した。コーティングの厚さを測定すると、0.8ミクロンであった。
【0304】
抗体結合
次いで、抗体溶液を被覆導波路センサに移動させることによって、抗体を表面に結合させた。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に特異的なウサギIgG抗体は、米国ニューヨーク州ウェストベリーのアキュレートケミカル・アンド・サイエンティフィック(Accurate Chemical and Scientific, Westbury, NY)から4.52mg/mL溶液として得た。この溶液をCHES緩衝液で希釈して、IgG濃度が50μg/mLの溶液を得た。抗体溶液をターポリマーコーティング上に30分間配置した。試料を、リン酸緩衝生理食塩水緩衝液で洗浄した。「PBS緩衝」液は、0.02M リン酸ナトリウム(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))および0.15M 塩化ナトリウム(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))で構成された。次いで、0.05%(v/v)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、(登録商標ツィーン(TWEEN)20、米国ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)から入手可能)を含むPBS緩衝液、続いてPBS緩衝液で、試料をさらに洗浄した。
【0305】
アクリジンオレンジ染色
濃度10mg/mLのアクリジンオレンジ溶液をMolecualr Probes(カタログ番号 A3568、米国オレゴン州ユージーン(Eugene, OR))から得た。蒸留水で0.01mg/mLに希釈し、染色に使用した。0.2%(w/v)プルロニック(PLURONIC) L64界面活性剤(ビーエーエスエフ・コーポレーション、米国ニュージャージー州マウント・オリーブ(BASF Corporation, Mount Olive, NJ)、PBS−L64緩衝液)を含有するPBS緩衝液中の黄色ブドウ球菌(ATCC 25923)を、アクリジンオレンジで染色した。500μlの黄色ブドウ球菌(S. aureus bacteria)溶液を、500μlのアクリジンオレンジ希釈溶液と混合し、室温で15分間静置した。溶液をボルテックスし、8000回転/分(rpm)で5分間遠心した。上澄みを除去し、500μlの蒸留水を添加し、ボルテックスし、再度遠心した。この洗浄手順をさらに2回繰り返し、次いで細菌をPBS−L64緩衝液に分散し、十分にボルテックスして、凝集塊を破壊した。緩衝液中、染色された黄色ブドウ球菌の濃度は、109コロニー形成単位/ミリリットル(109cfu/mL)であった。
【0306】
表面での捕獲
アクリジンオレンジで染色された、PBS−L64中の黄色ブドウ球菌(ATCC 25923)50μlを抗体表面上に10分間配置した。次いで、試料を、PBS緩衝液、ツィーン(TWEEN)20を含むPBS、続いてPBS緩衝液で洗浄した。試料は、共焦点顕微鏡で観察されるまでPBS緩衝液中に貯蔵した。
【0307】
オリンパス(Olympus) FV−300モデルの共焦点顕微鏡(リーズプレシジョン、米国ミネソタ州ミネアポリス(Leeds Precision, Inc., Minneapolis, MN)から入手可能)を使用して、試料を共焦点顕微鏡検査によって分析した。表面の顕微鏡画像中、暗い背景に対して対照的なスポットの存在により、黄色ブドウ球菌は結合されていると決定した。
【0308】
捕獲例2
エポキシ導波路での捕獲:シランと混合したエポキシ導波路:
二液型室温硬化性エポキシを使用して、導波路コーティングを作製した。A液は、比が90/10のビスフェノールAジエポキシド(ダウケミカル(Dow Chemical) DER 317 エポキシ樹脂、米国ミシガン州ミッドランド(Midland, MI))と希釈液(O−クレジルグリシジルエーテル)であった。B液は、アミン硬化剤(レゾリューションパフォーマンスプロダクツのエピキュア、米国テキサス州ヒューストン(Resolution Performance Products Epi−Cure 3251, Houston, TX))であった。A液およびB液はともに、キシレンで固形分8%に希釈し、1:1で混合した。グリシドキシ(Glycidoxy)シラン(シラン A187、米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA))を、エポキシ溶液に1%で混合して、センサ上のコーティング用の導波路材料を作製した。エポキシ系を上記の導波路例と同じようにしてスピンコートした。
【0309】
調製例M8で調製のようなサッカリンシランを、ジクロロメタンに濃度1%で溶解した。エポキシ中で混合させたシラン A187(米国ペンシルバニア州トゥリータウンのGSFケミカルズ(GSF Chemicals, Tullytown, PA))を含むエポキシ導波路被覆するセンサを、サッカリンシラン溶液 に15分間浸した。センサを取り出し、溶媒で洗浄し、実験室用空気供給源を使用して乾燥した。
【0310】
抗体を、上記のようにセンサに塗布した。染色された緩衝液中黄色ブドウ球菌を、上記のようにセンサ表面に塗布した。試料を、上記のように共焦点顕微鏡検査で分析した。黄色ブドウ球菌は、試料の表面に結合されていると決定した。
【0311】
捕獲例3
増量させた硬化剤を含むエポキシ導波路:
A液とB液の比が1:2であった点を除いて捕獲例2で使用した二液型エポキシを使用して、導波路を作製した。捕獲例2と同じようにして、コーティングを塗布し、硬化させた。被覆センサを、調製例MM3)と同じようにして調製したジサッカリンと反応した。エポキシ被覆センサを1%ジサッカリンのN−メチルピロリジノン(NMP)溶液に15分間配置した。次いで、浸漬被覆する試料をさらにNMPで洗浄し、実験室用空気を使用して乾燥した。
【0312】
抗体を上記のようにセンサに塗布した。緩衝液中の染色された黄色ブドウ球菌を、上記のようにセンサ表面に塗布した。試料を、上記のように共焦点顕微鏡検査で分析した。黄色ブドウ球菌は、試料の表面に結合されていると決定した。
【0313】
捕獲例4
ターポリマーを含むエポキシ導波路:
増量した硬化剤を含む二液型エポキシ導波路を、捕獲例3と同じようにして調製した。アセトニトリル/酢酸ブチル混合物(50/50)に濃度1%で溶解させた調製例MP26(ターポリマー)に記載のようなポリマーを、先に記述したスピンコーティング手順を使用して、エポキシ被覆センサ上にスピン−コートした。抗体を上記のようにセンサに塗布した。緩衝液中の染色された黄色ブドウ球菌を、上記のようにセンサ表面に塗布した。試料を、上記のように共焦点顕微鏡検査で分析した。黄色ブドウ球菌は、試料の表面に結合されていると決定した。
【0314】
捕獲例5
UV硬化性ポリマーを含むエポキシ導波路:
増量した硬化剤を含む二液型エポキシ導波路を、捕獲例3と同じようにして調製した。1% UV硬化性ポリマー溶液を、アセトニトリルに溶解させた調製例MP23を使用して作製した。この溶液を、上記に記載するようにスピン−コートし、強力UV光に曝露させることによってUV硬化させた。
【0315】
抗体を上記のようにセンサに塗布した。緩衝液中の染色された黄色ブドウ球菌を、上記のようにセンサ表面に塗布した。試料を、上記のように共焦点顕微鏡検査で分析した。黄色ブドウ球菌は、試料の表面に結合されていると決定した。
【0316】
捕獲例6
スライドガラス上にスピン−コートしたPMMA/IBMA導波路上へのターポリマーのスプレージェッティング;タンパク質Aビーズ捕獲:
スライドガラスを、塩基性浴、続いて蒸留水およびエタノール中に配置した。スライドガラスを風乾した。調製例MP27と同じようにして調製したPMMA/IBMAコポリマーを、上記に記載する手順を使用して、スライドガラス上にスピン−コートした。
【0317】
次いで、エアゾールジェット被着システム(M3D−101モデル、オプトメック、米国ニューメキシコ州アルバカーキ(Optomec, Inc., Albuquerque, NM)から入手可能)を使用して、ポリマー被覆スライドガラスに、濃度1.0%のターポリマー(調製例26MP)の酢酸ブチル/アセトニトリル(50/50)溶液を流量30cm3/分でスプレージェットした。
【0318】
米国ニューヨーク州ウェストベリーのアキュレートケミカル・アンド・サイエンティフィック(Accurate Chemical and Scientific, Westbury, NY)から4.52mg/mL溶液として得られた黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に特異的なウサギIgG抗体を、CHES緩衝液で希釈して、IgG濃度が50μg/mLの溶液を得た。抗体溶液をターポリマーコーティング上に30分間配置した。試料を、PBS緩衝液、0.05%ツィーン(TWEEN)20を含むPBS緩衝液、続いてPBS緩衝液で洗浄した。米国ペンシルベニア州ウォリントンのポリサイエンス(Polysciences, Inc., Warrington, PA)(タンパク質Aフルオレスブライト(Fluoresbrite)YG ポリスチレンマイクロスフェア、カタログNo.17845として入手可能)から得られた1ミクロンサイズの蛍光タンパク質Aビーズ50μl体積を、表面上に15分間配置した。ビンにおいて、緩衝液:0.02M リン酸ナトリウム(pH7.4)、8mg/mL NaCl、10mg/mL BSA、0.1%アジ化ナトリウム、および5%グリセロール中、タンパク質Aビーズ濃度204μg/mL。試料を、PBS緩衝液、次いで蒸留水で洗浄し、共焦点顕微鏡(上記のものと同じ)によって観察した。次いで、タンパク質Aビーズを計数した。この手順をターポリマー濃度を変更しながら繰り返して、下記の表4に示す結果が得られた。
【0319】
【表5】

【0320】
捕獲例7
PMMA/IBMA導波路で被覆し、ターポリマーでスプレー−ジェットし,タンパク質Aビーズで覆われたセンサ上のタンパク質Aビーズの捕獲
サンディア(Sandia)103 LiTaO3センサ(上記に記載)を、PMMA/IBMA(調製例MP27)ポリマーで被覆して、導波路を厚さ0.8μmで提供した。ターポリマーを、上記に記載するように導波路上にスプレー−ジェットした。アキュレートケミカルズ(Accurate Chemicals)からのウサギ抗黄色ブドウ球菌(anti S. aureus)抗体を、上記からの抗体コーティング手順を使用して、チャンネルの上に手で被覆する。センサを、上記に記載するようにフレックス回路に結合させた後、流れカートリッジ内に載せた。PBSを、まず速度3mL/分でセンサを越えて流れさせて、システム内の気泡を除去し、その後、速度0.03mL/分で流すことによってシステムを30分間平衡化した。タンパク質AビーズのPBS−L64溶液の250μl体積を注入し、0.03mL/分で運転した。この注入に続いて、さらにPBSでの平衡化、および速度4mL/分での洗浄を行った。センサを取り外して、共焦点顕微鏡で観察し、表面に結合したビーズは、観察された。
【0321】
捕獲例8
音響バイオセンサ上のタンパク質A:
103MHzで動作し、かつサンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)で作製されたLiTaO3ベースの横波型音響波センサを、これらの実験で使用した。片面研磨された36° YX LiTaO3(ソーヤーリサーチプロダクツ、米国オハイオ州イーストレイク(Sawyer Research Products Inc., Eastlake, OH))ウェハを、最初にアセトン、メタノール、イソプロパノール、および18MΩcm水でそれぞれすすぐことによって清浄し、次いで窒素で乾燥した。リフトオフ手順を使用して、各遅延線向けのインターデジタルトランスデューサを定義した。接着を促進するために、LiTaO3ウェハ上の100オングストロームのチタン(Ti)結合層を、e−ビームエバポレータ(シービーシー・プロダクツ、米国ニューヨーク州ロチェスター(CVC Products Inc., Rochester, NY))を使用して蒸発させた。次いで、800オングストローム金層を抵抗蒸発によってTi膜上に被着した。
【0322】
センサをPMMA/IBMA(調製例MP26)ポリマーでスピン−コートして、導波路を厚さ0.8μmで提供した。次いで、z軸接着剤を使用して、センサをフレックス回路に結合させた。調製例MP26(ターポリマー)と同じようにして調製したポリマーを酢酸ブチルで1%に溶解し、エアゾールジェット被着システム(M3D−101モデル、オプトメック、米国ニューメキシコ州アルバカーキ(Optomec, Inc., Albuquerque, NM)から入手可能)を使用して、導波路層上にスプレー−ジェットした。
【0323】
次いで、センサのアクティブチャンネルに、アキュレートケミカルズ(Accurate chemicals)から得られたウサギ抗黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)抗体、およびジャクソンイミュノリサーチ(Jackson Immuno Research)から参照チャンネルとして得られたトリ抗体を手で被覆した。抗体濃度をpH9.0のCHES緩衝液(シグマ(Sigma)化学品から)で約50μg/mLに調整した。抗体を30分間反応させておき、次いでPBS緩衝液、続いてツィーン(TWEEN)20を含む同じ緩衝液で洗浄し、最後にPBS緩衝液ですすいだ。次いで、フレックス時のセンサを、流れカートリッジに保管した。このカートリッジの温度を、定温浴から循環する流体で28℃に維持した。
【0324】
センサを、6ポートバルブに結合しているシリンジポンプを経由して送達されるPBS−L64緩衝液を走行させることによって30分間平衡化した。システム中の空気気泡を除去するために流量を3mL/分に調整し、続いて30μl/分の流れに調整した。平衡に達すると、タンパク質A濃度が1μg/mLのタンパク質A溶液(タンパク質A、米国カリフォルニア州サンフランシスコのZymedから入手(San Francisco, CA))を6ポートバルブの1つを経由して注入した。ループサイズを500μlしか試料がセンサポッドに注入されないように調整した。この試料をカートリッジに送達した後、緩衝液を流量30μl/分で再開した。
【0325】
位相データは、センサの各チャンネルごとに1.8MHz周波数スパンにわたって103MHz付近で収集した。測定値は、データ取得用のアジレント(Agilent)8753ESネットワークアナライザーおよびラボビュー(LabView)ソフトウェアを使用して収集した。アクティブまたは参照チャンネル測定を実現してクロストークをなくすためのインラインスイッチを有する、プリント回路基板中の直線信号経路を使用した。取得データは、アクティブおよび参照の両チャンネルの位相対周波数対時間マトリックスから構成された。
【0326】
生の位相データをまず、一次音響波信号からのノイズをフィルターにかける機能を本質的に行う時間領域ゲーティングによって処理した。位相を固定周波数(103MHz)で抽出した。データ抽出は、アクティブおよび参照の両チャンネルに対して個別に行われる。位相を使用して、応答を決定した。データ解析の最終ステップは、実験中に発生した環境ノイズ因子を除去するために、参照チャンネル信号をアクティブチャンネル信号から差し引くことであった。これによって、2つの基本的な領域:センサ表面全体にわたって分析物を注入する前のベースライン位相、および注入後のオフセット位相を成す単一曲線を生じた。オフセットの大きさは、分析物のタイプおよび濃度に依存した。
【0327】
上記手順は、様々な濃度の溶液中タンパク質A、および記録されたセンサ応答、および下記の表5の結果で決定された位相変化に伴って繰り返した。
【0328】
【表6】

【0329】
本明細書に引用した特許の完全な開示、特許文献、および刊行物は、それぞれが個別に組み込まれたかのように、参照によりその全体を本明細書に組み込む。本発明に対する様々な修正形態および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。ある本発明は、本明細書に記載された例示的実施形態および実施例によって無為に限定されるものではないこと、このような実施例および実施形態は、例として提示されているものにすぎず、本発明の範囲は、以下の通り本明細書の請求の範囲によってしか限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0330】
【図1】本発明の音響センサの代表図である。
【図2】バイオセンサを含む検出装置の一例の略線図である。
【図3】代替の検出装置の略線図である。
【図4】検出カートリッジの一例の略線図である。
【図5】音響センサ検出システムの略線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)次式を有する官能基からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマー:
【化1】

(式中、
1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)であり;
4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Re(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し、前記ヘテロ環状またはヘテロ二環状基を、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる)であり;
1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基であり;かつ
4およびY5はそれぞれ結合である);あるいは
(b)次式のモノマー:
A−R7−X−C(O)−C(R8)=CH2
(式中、
Aは、式(I)、(II)、および(IV)を有する官能基からなる群から選択され;
Xは、−N(R9)−または−O−であり;
7は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、およびそれらの組合せ(ただし、アルキレンおよびヘテロアルキレンは場合によっては、1つまたは複数のカルボニルを含む)からなる群から選択された2価基であり;
8は、水素またはメチルであり;かつ
9は、水素またはC1~6アルキル基である);あるいは
(c)次式の多官能性化合物:
(A’−)y−Q
(式中、
A’はそれぞれ独立に、式(I)、(II)、および(IV)を有する官能基からなる群から選択され;
Qは、単結合、またはy−価原子もしくは基であり;かつ
yは、2〜10の整数であり;
ただし、Q、Y1、Y2、およびY3は、ジスルフィド基を含まないことを条件にする);あるいは
(d)式I、II、またはIV(式中、各Y基(Y1、Y2、Y3)は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシルオキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファト、エチレン性不飽和基、およびそれらの組合せからなる群から独立に選択された基板の反応性官能基に結合されている)で表される1つまたは2つの官能基を有する化合物;あるいは
(e)1つまたは複数の様々なモノマー(ただし、少なくとも1つのモノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである)から誘導され、式I、II、III、またはIVを有する官能基を含まないポリマー;あるいは
(f)N−ビニルカルバゾールおよび場合によっては他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマー;あるいは
(g)VF2含有フルオロポリマー;
(h)ポリエポキシド;あるいは
それらの組合せを含む表面を含む音響センサ。
【請求項2】
表面弾性波センサである、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項3】
横波型表面弾性波センサである、請求項2に記載の音響センサ。
【請求項4】
ラブモードで動作することができる、請求項3に記載の音響センサ。
【請求項5】
導波路層および固定化オーバー層を含む、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項6】
固定化層が、官能基(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを含む、請求項5に記載の音響センサ。
【請求項7】
可溶性ポリマーが、少なくとも1000の分子量を有するランダムポリマーであり、かつ次式を有するものであり:
【化2】

(式中、
R’’はそれぞれ独立に、HまたはCH3であり;
Eはそれぞれ、−O−または−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;
m’、n’、o’、p’は、各部分がポリマーに存在する回数を表し;
X’、Y’、Z’、およびW’は独立に、アルキル、アリール、ヒドロキシエステル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、エーテル、フルオロアルキル、トリアルコキシシリルアルキル、およびN含有基からなる群から選択され;かつ
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つは、次式のアシルスルホンアミド基を含む:
【化3】

);かつ
ポリマーは、少なくとも2つの異なる部分を含む、請求項6に記載の音響センサ。
【請求項8】
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つが下記の基である、請求項7に記載の音響センサ:
【化4】


【請求項9】
可溶性ポリマーが下記からなる群から選択された、請求項8に記載の音響センサ:
【化5】

【化6】

(式中、m’、n’、o’、およびp’は、各部分がポリマーに存在する回数を表す)。
【請求項10】
可溶性ポリマーが次式を有する、請求項9に記載の音響センサ:
【化7】


【請求項11】
導波路層が、2つ以上の異なるモノマー(ただし、少なくとも1つが、(メタ)アクリラートモノマーである)から誘導されたポリマー、N−ビニルカルバゾールから誘導されたポリマー、ポリエポキシド、VF2含有フルオロポリマー、またはそれらの組合せを含む、請求項5に記載の音響センサ。
【請求項12】
導波路層が、2つ以上の異なるモノマー(ただし、少なくとも1つが、(メタ)アクリラートモノマーである)から誘導されたポリマー、ポリエポキシド、またはそれらの組合せを含む、請求項11に記載の音響センサ。
【請求項13】
固定化層が、官能基(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを含む、請求項11に記載の音響センサ。
【請求項14】
固定化導波路層を含む、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項15】
固定化導波路層が、官能基(I)、(II)、(III)、および(IV)からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを含む、請求項14に記載の音響センサ。
【請求項16】
固定化導波路層が、少なくとも1000の分子量を有するランダムポリマーを含み、かつ次式を有するものであり:
【化8】

(式中、
R’’はそれぞれ独立に、HまたはCH3であり;
Eはそれぞれ、−O−または−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;
m’、n’、o’、p’は、各部分がポリマーに存在する回数を表し;
X’、Y’、Z’、およびW’は独立に、アルキル、アリール、ヒドロキシエステル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、エーテル、フルオロアルキル、トリアルコキシシリルアルキル、およびN含有基からなる群から選択され;かつ
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つは、次式のアシルスルホンアミド基を含む:
【化9】

);かつ
ポリマーが、少なくとも2つの異なる部分を含む、請求項15に記載の音響センサ。
【請求項17】
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つが次の基である、請求項16に記載の音響センサ:
【化10】


【請求項18】
可溶性ポリマーが下記からなる群から選択された、請求項17に記載の音響センサ:
【化11】

【化12】

(式中、m’、n’、o’、およびp’は、各部分がポリマーに存在する回数を表す)。
【請求項19】
可溶性ポリマーが次式を有する、請求項18に記載の音響センサ:
【化13】


【請求項20】
次式を有する官能基からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを含む音響センサ:
【化14】

(式中、
1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)であり;
4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Re(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し、前記ヘテロ環状またはヘテロ二環状基は、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる)であり;
1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基であり;かつ
4およびY5はそれぞれ結合である)。
【請求項21】
可溶性ポリマーを含む固定化導波路層を含む、請求項20に記載の音響センサ。
【請求項22】
可溶性ポリマーが、少なくとも1000の分子量を有するランダムポリマーであり、かつ次式を有するものであり:
【化15】

(式中、
R’’はそれぞれ独立に、HまたはCH3であり;
Eはそれぞれ、−O−または−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)であり;
m’、n’、o’、p’は、各部分がポリマーに存在する回数を表し;
X’、Y’、Z’、およびW’は独立に、アルキル、アリール、ヒドロキシエステル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、エーテル、フルオロアルキル、トリアルコキシシリルアルキル、およびN含有基からなる群から選択され;かつ
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つは、次式のアシルスルホンアミド基を含む:
【化16】

);かつ
ポリマーが少なくとも2つの異なる部分を含む、請求項21に記載の音響センサ。
【請求項23】
X’、Y’、Z’、またはW’の少なくとも1つが次の基である、請求項22に記載の音響センサ:
【化17】


【請求項24】
可溶性ポリマーが下記からなる群から選択された、請求項23に記載の音響センサ:
【化18】

【化19】

(式中、m’、n’、o’、およびp’は、各部分がポリマーに存在する回数を表す)。
【請求項25】
可溶性ポリマーが次式を有する、請求項24に記載の音響センサ:
【化20】


【請求項26】
導波路層および固定化オーバー層を含み、固定化オーバー層が可溶性ポリマーを含む、請求項20に記載の音響センサ。
【請求項27】
導波路層が、ポリエポキシド、1つまたは複数の(メタ)アクリラートモノマーから誘導されたポリマー、スチレン含有ポリマー、N−ビニルカルバゾールおよび場合によっては他のエチレン性不飽和モノマーから誘導されたポリマー、ポリイミド、VF2含有フルオロポリマー、またはそれらの組合せを含む、請求項26に記載の音響センサ。
【請求項28】
音響センサの被覆方法であって:
次式を有する官能基からなる群から独立に選択された2つ以上の懸垂基を有する可溶性ポリマーを、音響センサの表面に非接触被着技法を使用して塗布するステップを含む方法:
【化21】

(式中、
1およびR2は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
3は、アルキル、アリール、アラルキル、または−NRab(式中、RaおよびRbはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員のヘテロ環状基を形成する)であり;
4およびR5は、これらが結合しているジカルボキシミド基と共に、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
6は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(式中、RcおよびRdはそれぞれ、アルキル基であり、またはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜8員の環状基を形成する)であり、あるいはR6はReおよびこれらが結合している基と一緒になって、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し;
Zは、アルキル、アリール、または−(CO)Re(式中、ReはR6およびこれらが結合している基と一緒になって、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4〜8員のヘテロ環状またはヘテロ二環状基を形成し、前記ヘテロ環状またはヘテロ二環状基を、任意選択の芳香族基、任意選択の飽和もしくは不飽和の環状基、または任意選択の飽和もしくは不飽和の二環状基に縮合させることができる)であり;
1、Y2、およびY3はそれぞれ独立に、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(式中、Rfは、水素またはアルキルである)およびそれらの組合せからなる群から選択された2価基であり;かつ
4およびY5はそれぞれ結合である)。
【請求項29】
非接触被着技法が、エアゾールジェット被着方法を使用するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
音響センサが導波路層を含み、かつ可溶性ポリマーを導波路層の表面に塗布する、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−518073(P2007−518073A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547152(P2006−547152)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042382
【国際公開番号】WO2005/066092
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】