説明

音響信号再生装置及び方法

【課題】従来に対して、個人差、音響特性、視聴位置の影響を受けずに、2ch音声信号でありながら、更に、スピーカの間隔が狭くても、広がり感のある再生音の提供が可能である。
【解決手段】2chオーディオ信号は、入力端子1,2よりそれぞれ入力され、差信号生成器3にて、差信号(L−R)及び(R−L)が生成される。そして、この差信号は、フィルタ4〜7にて、所定の方向に音像定位するようにフィルタ処理を受け、遅延器8〜11および係数器12〜15にて所定の遅延時間及び振幅レベルを調整されて、加算器17,18で元のオーディオ信号に加算されて、出力端子18,19を介して出力される。フィルタ4〜7の伝達特性は、音像定位方向制御手段20により、25ms〜70msの間隔で、音像定位方向が切替わるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ch音声信号でありながら、また、スピーカの間隔が狭くても、広がり感のある再生音を提供できる音響信号再生装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響再生装置に於いて、簡単な構成で臨場感の高い再生音を再現することを目的とした音場信号再生装置が、特許文献1において開示されており、その音場信号再生装置の構成を図8に示す。図8に於いて、音場信号再生装置は、入力端子101,102と、差信号抽出器103と、演算回路104,105,106,107と、遅延器108,109,110,111と、加算器112,113とスピーカ114,115とを備えて構成される。
【0003】
まず、差信号抽出器103において入力された2つの信号MR(t)、ML(t)の差が求められ、その出力信号は演算回路104〜107においてFIRフィルタリング処理により受聴者116の左右側方、又は左右後方に音像が定位させられる。演算回路104〜107の出力は、遅延器108〜111で、それぞれ遅延時間τ1、τ2だけ時間遅延して、加算器112,113に与えられる。加算器112は入力端子102、遅延器108、遅延器110の出力信号を任意の割合で加算し、加算器113は入力端子101、遅延器109、遅延器111の出力信号を任意の割合で加算し、その出力はそれぞれスピーカ114,115に出力させる。
【特許文献1】特開平7−336798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上説明したように、入力信号の差又は和を求め、演算手段により、任意の方向に音像を定位させるための畳み込み演算を行い、任意の時間遅延のあと、任意の加算割合で入力信号に加算し、再生することで、簡単なシステム構成で臨場感のある自然な広がりが再生可能な音場信号再生装置を提供できる。
【0005】
しかしながら、上述の従来技術の音場信号再生装置においては、任意の方向に音像を定位させるための処理が固定の処理であるため、受聴者が物理的に固定されていないと効果が発揮できない、また、その効果が受聴者により異なる、所謂個人差が大きいと言う問題点を有していた。
【0006】
本発明の目的は、以上の問題点を解決し、受聴者の動きや個人差があっても、簡単なシステム構成で、臨場感のある自然な広がりが再生可能な音場信号再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る音響信号再生装置は、入力音声信号に対して、前記入力音声信号の音像を所定の方向に定位させるための信号処理を施し、2チャンネルの出力音声信号として出力する信号処理手段と、前記信号処理手段が前記音像を定位させる方向を制御する音像定位方向制御手段とを備え、前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向を所定の時間間隔で変化させるように制御することを特徴とするものである。
【0008】
また、前記信号処理手段が前記入力音声信号の音像を定位可能な方向は複数存在し、前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向を、前記複数の方向の中から前記所定の時間間隔で順次選択することにより変化させるように制御することを特徴とするものである。
【0009】
また、前記所定の時間間隔が、ハース効果の持続時間を少し越える時間間隔であることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記所定の時間間隔が、25ms〜70msであることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向をランダムな時間間隔で変化させるように制御することを特徴とするものである。
【0012】
また、前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向を、前記入力音声信号のエンベロープが所定のレベル以下のときに変化させるように制御することを特徴とするものである。
【0013】
また、前記入力音声信号は、2チャンネルの音声信号の差信号であり、前記信号処理手段は、前記差信号を所定の伝達特性で処理して前記2チャンネルの音声信号の夫々に加算することにより、前記差信号の音像を所定の方向に定位させるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、前記入力音声信号は、5.1チャンネルコンテンツのサラウンド信号、もしくは7.1チャンネルコンテンツのサラウンド信号であることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の音響信号再生方法は、入力音声信号に対して、前記入力音声信号の音像を所定の方向に定位させるための信号処理を施し、2チャンネルの出力音声信号として出力する信号処理ステップと、前記信号処理ステップにおける前記音像を定位させる方向を制御する音像定位方向制御ステップとを備え、前記音像定位方向制御ステップにおいて、前記音像を定位させる方向を所定の時間間隔で変化させるように制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上詳述したように本発明に係る音響装置によれば、各ch間の差信号に複数の角度に対応したスペクトルキュー特性を選択して処理を施して、再生することで、2ch音声信号でありながら、更に、スピーカの間隔が狭くても、また、受聴者の動きや個人差があっても、広がり感のある再生音を提供できる効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における音響装置の構成ブロック図である。図1において、1、2は入力端子、3は差信号生成器、4,5,6,7はフィルタ、8,9,10,11は遅延器、12,13,14,15は係数器、16,17は加算器、18,19は出力端子、20はフィルタ4〜7の特性を切り換えるための音像定位方向制御手段である。
【0019】
図2は、実施の形態1の動作を説明するための、音源から受聴者への経路を示す図であり、図3、図4は、実施の形態1の動作を説明するための、音源の角度に対する音源から受聴者の耳介部への音圧周波数特性を示すグラフであり、図5は、実施の形態1におけるフィルタの動作を説明する説明図である。以上の図面を用いて、本発明の実施の形態1の動作を説明する。
【0020】
図1に於いて、2chオーディオ信号であるLch入力信号およびRch入力信号は、入力端子1及び2よりそれぞれ入力され、差信号生成器3にて、差信号(L−R)及び(R−L)が生成される。そして、この差信号は、フィルタ4〜7にて、所定の方向に音像定位するようにフィルタ処理を受け、遅延器8〜11にて所定の遅延時間遅延され、係数器12〜15で振幅レベルを調整されて、加算器16,17でLch入力信号およびRch入力信号に加算されて、出力端子18,19を介して出力される。
【0021】
2chのオーディオ信号の差を取ることで、両chに同相同レベルで加えられた成分(両chの中央に定位する成分、例えば、ポップス音楽ではボーカルが該当する)が相殺され、また両chで相関の高い成分が弱くなり、各chに固有の成分が残る。このような成分は、残響成分が主であるケースが多いことが知られている。
【0022】
一方、フィルタ4〜7は、音像を特定の方向に定位させるためのものである。図2は、受聴者と音源間の距離は同一にし、受聴者から見た音源の提示角度を違えたときの受聴者の耳介部における音源から到達する信号の経路が異なることを示している。真横に音源がある場合は、音源のある側と正反対の耳には、人体を迂回した(人体に沿った)形で、音波が耳に到達することになる。尚、図2では、部屋(壁、床、天井)で発生する反射波を含めない形で描画している。
【0023】
図3、4は、図2のように種々の角度に音源を置いて、実際に受聴点での受聴者の耳介部(右耳)に到来する音波の伝達特性(周波数特性)を測定した測定結果の一例を示している。図3からわかるように、受聴者の体(特に頭部と耳介形状及びその位置)の影響により、音源の提示角度によって周波数特性が大きく変化することがわかる。
【0024】
図3に示すような音源の提示角度により周波数特性が異なることを活用して、音源にある角度の周波数特性を持つようにフィルタリング(本周波数特性をもとにインパルス応答を求めて、音源に畳み込み演算することでも実現することが可能)することで、音源の実提示位置とは異なる角度から、あたかも音源が存在するように音像が定位する。
【0025】
本実施の形態では、2chオーディオ信号から音場感を形成する成分を含む差信号を生成し、この差信号に対して、前方左右(2chステレオ信号を通常提示する角度:通常両chのスピーカの開き角である45度〜60度程度)よりも広がり感を強調する方向(例えば、横方向〜横後方方向:110度〜135度程度)に音像定位するための周波数特性を施す。
【0026】
具体的には、図5に示すように、定位方向を斜め後方とし、左右の音像定位位置を音源L及び音源Rとする。音源Lから右耳に到達する伝達特性をフィルタLR、音源Lから左耳に到達する伝達特性をフィルタLL、音源Rから右耳に到達する伝達特性をフィルタRR、音源Rから左耳に到達する伝達特性をフィルタRLとし、各音源から両耳までの行路差による到達時間差を制御するための遅延特性を遅延器LL、遅延器LR、遅延器RL、遅延器RRとし、各係数器の係数を係数1、係数2、係数3、係数4とすると、各chの出力は以下の様になる。
【0027】
Lch出力=Lch+(フィルタLL・遅延器LL・係数1−フィルタRL・遅延器RL・係数2)・(L−R)
Rch出力=Rch+(フィルタRR・遅延器RR・係数3−フィルタLR・遅延器LR・係数4)・(R−L)
このようにして、残響成分を含む両chの差信号を実際のスピーカとは異なる位置に定位させて、もとの信号に加算して再生することで、2ch信号に係らず、広がり感のある臨場感の高い再生音を提供できる。
【0028】
ところで、受聴点で再生された楽音を視聴するのは人間である。そのため、受聴点で固定された姿勢で長時間視聴することが基本的にはできない。更に実際のテレビ等の視聴スタイルを想定すると、受聴点付近から大きく外れて視聴することが一般的であると考えられる(例えば、最初は、椅子に腰掛けて視聴するという、ある意味受聴点に固定された状態から、姿勢を崩す、寝転ぶ等、大きく当初の受聴点からずれることを指す。)。
【0029】
もし、フィルタ4〜7が、固定された受聴点における伝達特性である場合は、このように、当初の受聴点から外れることは、広がり感を付加したときに与えた方向感からずれることになり、本来提供したかった広がり感が得られない、更に広がり感を与えるために付加した周波数特性による音質違和感が強調される等の副作用が強くなることが考えられる。また、フィルタ4〜7の特性は、人体の物理形状の影響を受けるため、個人差による影響がある。更に、再生空間は、その形状及び定在波や反射波他により音響特性は千差万別であるため、広がり感の効果にも影響がある。
【0030】
そこで、本実施の形態では、広がり感を生成する特定方向の音像定位処理に用いるフィルタ特性を一つに固定するのではなく、ある条件の下に、複数のフィルタ特性から切替え選択することで、個人差、再生空間の音響特性、受聴スタイルの違いにより発生する広がり感の効果減少を抑制している。音像定位方向制御手段20は、この切替えを制御する。
【0031】
具体的には、広がり感を増すための設計ターゲットの方向のフィルタ特性とその方向の周辺のフィルタ特性を用意する。即ち、設計ターゲットが例えば120度であれば、120度を中心に±20度程度の幅を持たせた方向から数点分(例えば5度刻み)に該当する方向に対応したフィルタ特性を準備する。
【0032】
そして、準備した複数のフィルタ特性から所定の条件に応じて選択切替する。その切替えの条件に関して説明する。
【0033】
実施の形態1では、所定の時間間隔(25〜70ms)毎に選択切替する。人間には、ハース効果(先行音効果)と言うものがあり、その効果が25〜35msほど持続すると言われている。そのため、本実施の形態では、ハース効果の持続時間を越える時間間隔(たとえば40ms)でフィルタ特性を選択切替することで、切り替えることによる違和感が無く、フィルタ特性を選択切替することで、一つのフィルタ特性と比較して、個人差、再生空間の音響特性、受聴スタイルの違いによる広がり感の効果減少が抑制できる。
【0034】
(ハース効果)
ハース効果は、先行音効果とも呼ばれ、異なるタイミングで両耳に届く音源の方向を正しく見分ける人間音響心理学的現象の一つである。人間は、頭部の幾何学的構造(二つの耳が間隔を隔ててあり、障壁によって分離されている)により、任意の音源からの音は、音源に近い方の耳に先に到達し、遠い方の耳はレベルが小さくなったり、到達時間が遅れる。そして、人間は、音源の提示位置を最初に耳に到達した音の方向で認識する。しかし、方向を認識した後の25〜35msec(個人差がある)以内に、異なる方向から音源を提示しても、その方向に音源(音量レベルが10dB大きくても)があることを認識しない現象がある。これがハース効果である。
【0035】
以上説明したように、本発明に係る実施の形態1によれば、入力された信号の差信号を生成し、各ch間の差信号に複数の角度に対応した伝達特性を、ハース効果の持続時間を少し越える時間間隔で選択して処理を施して、再生することで、2ch音声信号でありながら、更に、スピーカの間隔が狭くても、また、受聴者の動きや個人差があっても、広がり感のある再生音を提供できる効果を有している。
【0036】
尚、本発明の実施の形態1では、両chの差信号を実際のスピーカとは異なる位置に定位させて、もとの信号に加算して再生(スピーカにて)したが、別々に再生(スピーカにて)して、音響空間で合成(加算)しても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0037】
また、本発明の実施の形態1では、2ch信号に関して説明したが、2ch信号の差信号の代わりに、5.1chコンテンツのサラウンド信号を入力すれば、5.1chのコンテンツが、サラウンド用のスピーカを別途設けることなく、5.1chのサラウンド効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
更に、7.1chコンテンツの場合は、2組あるサラウンド信号(5.1chのサラウンド信号に加えて、より後方のサラウンドバック信号が付加されているのが通常である。)を夫々、2ch信号の差信号代わりに処理することで、サラウンド用のスピーカを別途設けることなく、7.1chのサラウンド効果が得られることは言うまでもない。
【0039】
(実施の形態2)
次に実施の形態2に関してその動作を説明する。実施の形態2は広がり感を形成するフィルタ特性をランダムな時間(25〜70msecの範囲で)で切り替えることが、実施の形態1との相違点である。
【0040】
実施の形態1と同じく、ハース効果の持続時間を少し越えたところでフィルタ特性を選択切替するのであるが、より切替の効果を有効にするため、フィルタ特性を選択切替するタイミングを、固定ではなく、ランダムにする。ランダムにすることで、ハース効果の個人差の吸収、再生信号のレベル変動によるハース効果持続時間の変化の吸収ができる効果が得られる。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、入力された信号の差信号を生成し、各ch間の差信号に複数の角度に対応した伝達特性をランダムな時間間隔で選択して処理を施して、再生することで、2ch音声信号でありながら、更に、スピーカの間隔が狭くても、また、受聴者の動きや個人差があっても、広がり感のある再生音を提供できる効果を有している。
【0042】
(実施の形態3)
次に実施の形態3に関してその動作を説明する。実施の形態3は、広がり感を形成するフィルタ特性を、差信号生成手段の出力信号のエンベロープのレベル変化に応じて選択して処理することが、実施の形態1との相違点である。
【0043】
図6に実施の形態1における音響装置の構成ブロック図を示す。図1と比較して、音像定位方向制御手段20が差信号生成器3の出力によって制御されるところが異なる。
【0044】
図7は、本実施の形態3の動作を説明する説明図である。フィルタの切替タイミングの動作は、フィルタの入力信号のエンベロープが所定レベル以上か以下かを判定し、所定レベル以下であれば、実施の形態1と同様に、例えば40msec毎のタイミングで、フィルタをA→B→C→B→A→B・・・というような順で切り替える。エンベロープが所定レベル以上の期間では、フィルタを切り替えない。
【0045】
上記のようにフィルタ特性を切り替えることで、再生信号のレベル変動によるハース効果持続時間の変化の吸収ができる効果が得られる。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る実施の形態3によれば、入力された信号の差信号を生成し、各ch間の差信号に複数の角度に対応した伝達特性を、差信号のレベルに応じて選択して処理を施して、再生することで、2ch音声信号でありながら、更に、スピーカの間隔が狭くても、また、受聴者の動きや個人差があっても、広がり感のある再生音を提供できる効果を有している。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかる音響装置は、2ch音声信号でありながら、更に、スピーカの間隔が狭くても、また、受聴者の動きや個人差があっても、広がり感のある再生音の提供として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における音響信号再生装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1の動作を説明するための、音源から受聴者への経路を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の動作を説明するための、音源の角度(45度〜180度)に対する音源から受聴者の耳介部への音圧周波数特性を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態1の動作を説明するための、音源の角度(180度〜315度)に対する音源から受聴者の耳介部への音圧周波数特性を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態1におけるフィルタの動作を説明する説明図
【図6】本発明の実施の形態3における音響信号再生装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態3における音響装置の動作の説明図
【図8】従来技術の音場信号再生装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0049】
1,2 入力端子
3 差信号生成器
4〜7 フィルタ
8〜11 遅延器
12〜15 係数器
16,17 加算器
18,19 出力端子
20 音像定位方向制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力音声信号に対して、前記入力音声信号の音像を所定の方向に定位させるための信号処理を施し、2チャンネルの出力音声信号として出力する信号処理手段と、
前記信号処理手段が前記音像を定位させる方向を制御する音像定位方向制御手段とを備え、
前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向を所定の時間間隔で変化させるように制御することを特徴とする音響信号再生装置。
【請求項2】
前記信号処理手段が前記入力音声信号の音像を定位可能な方向は複数存在し、
前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向を、前記複数の方向の中から前記所定の時間間隔で順次選択することにより変化させるように制御することを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項3】
前記所定の時間間隔が、ハース効果の持続時間を少し越える時間間隔であることを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項4】
前記所定の時間間隔が、25ms〜70msであることを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項5】
前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向をランダムな時間間隔で変化させるように制御することを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項6】
前記音像定位方向制御手段は、前記音像を定位させる方向を、前記入力音声信号のエンベロープが所定のレベル以下のときに変化させるように制御することを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項7】
前記入力音声信号は、2チャンネルの音声信号の差信号であり、
前記信号処理手段は、前記差信号を所定の伝達特性で処理して前記2チャンネルの音声信号の夫々に加算することにより、前記差信号の音像を所定の方向に定位させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項8】
前記入力音声信号は、5.1チャンネルコンテンツのサラウンド信号、もしくは7.1チャンネルコンテンツのサラウンド信号であることを特徴とする請求項1記載の音響信号再生装置。
【請求項9】
入力音声信号に対して、前記入力音声信号の音像を所定の方向に定位させるための信号処理を施し、2チャンネルの出力音声信号として出力する信号処理ステップと、
前記信号処理ステップにおける前記音像を定位させる方向を制御する音像定位方向制御ステップとを備え、
前記音像定位方向制御ステップにおいて、前記音像を定位させる方向を所定の時間間隔で変化させるように制御することを特徴とする音響信号再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−4430(P2010−4430A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162905(P2008−162905)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】