説明

音響光学素子駆動装置

【課題】 高速偏向動作可能で安定動作可能な音響光学素子駆動装置を提供する。
【解決手段】 音響光学素子の駆動信号を生成するVCO回路部と、偏向信号をVCO回路に供給するためのVCO回路部の入力側に設けられたインピーダンス変換回路部と、VCO回路部からの出力信号を増幅する電力増幅部とを備え、インピーダンス変換回路部により低インピーダンス駆動でタンク回路を駆動することを特徴とする音響光学素子駆動装置を提供し、音響光学素子を高速にかつ安定に駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原盤露光装置に用いられる音響光学素子の駆動装置に関し、より詳細には、音響光学素子をより高速で駆動し且つ安定して動作させる音響光学素子の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光ディスクの高密度化に伴い、光ディスクのトラックフォーマットの構造がより複雑になっている。例えば、プリピットマークによる情報記録の他、案内溝を蛇行させることにより情報記録する方法が提案されている。このトラックフォーマットの複雑化に伴い、光ディスクの製造時に案内溝や情報信号を高精度に形成するための原盤露光装置(以下、マスタリング装置ともいう)の分野においても、様々な情報記録のための変調方法が提案されている。
【0003】
案内溝を蛇行させる、すなわち、ウォブル溝を形成するためには露光ビームをその進路方向に対して直行する方向にビーム位置を移動させる必要がある。このような露光ビームの移動は、一般に電界効果型偏向素子(EO素子)や音響光学素子(AO素子)を用いて露光ビームの進路角度を変化させることにより行われる。EO素子では駆動電圧に対する偏向量が小さいので、大きな偏向量を有するウォブル溝を形成する場合には高電圧を必要とするが、高速動作が可能であるという利点がある。一方、AO素子は音波による回折格子を利用して露光ビームを偏向する素子であるので、駆動電圧は大きくないが音波の回折格子形成速度よりも速い偏向速度で露光ビームを偏向することができないという欠点がある。しかしながら、AO素子では回折効率が高いため光学系を小型化できるという利点があり、現在光ディスクのマスタリング装置として広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の課題は次の通りである。ウォブル溝で情報記録を行うトラックフォーマットでは、情報の高密度記録化を図るために、情報記録変調の高速化が要求されている。ウォブル溝を高速に情報記録変調するということは、マスタリング装置内のAO素子の駆動信号を高速変調することである。AO素子の駆動信号を高速に変調するためには、音速の速い領域、すなわちより高周波での変調が必要になる。すなわち、AO素子の回折速度を上げることであり、駆動信号を高速に周波数移動させる必要がある。
【0005】
AO素子で露光ビームを偏向させるためには、AO素子内に形成された音波による回折格子の間隔を変化させる必要がある。この回折格子の間隔は音波の周波数と速度で決定されるが、音波の速度はAO素子に固有のものであるので、AO素子内の回折格子の間隔は音波の周波数に依存することになる。従って、露光ビームをAO素子で偏向させるためには、音波の特定周波数(中心周波数)に対して露光ビームの偏向量に相当する量の周波数を変化(周波数変調)させる必要がある。なお、AO素子内に回折格子を発生するために必要な駆動電圧は、AO素子を形成する材料により異なる。
【0006】
露光ビームの周波数変調は、一般にVCO(Voltage Controlled Oscillator)回路により行われる。VCO回路はその変調入力端子に外部から入力される制御電圧により制御される。この制御電圧でVCO回路内のバラクタダイオード(容量可変ダイオード)のバイアス電圧を変化させることにより、VCO回路の発振周波数を変化させ露光ビームを偏向する。それゆえ、バラクタダイオードに供給される特定周波数のバイアス電圧を高速に可変することができれば、高速に露光ビームを偏向することができ、その結果、ウォブル溝を高速に情報記録変調することができる。
【0007】
しかしながら、VCO回路内のバラクタダイオードは発振回路のタンク回路として構成されるが、容量性負荷であるので、バイアス電圧を高速に可変するためには何らかの工夫が必要となる。現在一般に用いられているAO素子駆動装置では、VCO回路内のバラクタダイオードを高速駆動させることが困難であり、このバラクタダイオードの容量可変駆動回路の駆動時定数をより小さくする必要がある。
【0008】
また、本発明の第2の課題は次の通りである。一般に、マスタリング装置に組み込まれるAO素子駆動装置はAO素子の駆動信号を増幅するための電力増幅部にパワーアンプを有しており、動作時に発熱するので、熱的に安定動作させたい回路や光学系の近くにパワーアンプを配置することは避ける必要がある。それゆえ、一般にマスタリング装置内では、AO素子とAO素子駆動装置とは隔離して配置され、AO素子とAO素子駆動装置とは所定長さの同軸ケーブルで配線される。AO素子の電極への駆動信号を入力する際、AO素子駆動装置からAO素子への信号入力は整合して行われる。しかしながら、AO素子駆動装置側からみたAO素子のインピーダンス特性は周波数依存性を持っているので、中心周波数では整合をとることができても、露光ビームを偏向させるために中心周波数からずれた周波数でAO素子を駆動した場合には、整合が十分でなくなり、AO素子から反射波が発生する。反射波が存在すると、AO素子駆動装置とAO素子との間のケーブルで定在波が発生する。
【0009】
AO素子とAO素子駆動装置間の定在波は、駆動信号の送信側であるAO素子駆動装置と受信側であるAO素子との間を接続する同軸ケーブルの長さに依存して発生する。この同軸ケーブルの長さに依存した定在波により、AO素子を駆動するための駆動信号の変調波形が歪む。駆動偏向信号としてはサイン波やパルス波等様々な波形が考えられるが、この駆動信号への反射波の影響は回折格子の歪みとして還元される。上記課題は、AO素子とAO素子駆動装置を近づけて配置することにより解決することも可能であるが、上述のようにAO素子駆動装置は発熱するので、一般に駆動装置をAO素子の近くに配置することは困難である。
【0010】
さらに、本発明の第3の課題は次の通りである。AO素子駆動装置の発熱は、光学系のみならず回路系にも影響を与えるおそれがある。例えば、数ワットの出力パワーでAO素子駆動装置を駆動した場合、駆動信号の変調波形の歪みを生じないようにするためには、飽和パワーから下まわる状態にして電力増幅部の出力パワーアンプを動作させることが望ましい。しかしながら、一般にパワーアンプとしては、出力波形の歪を小さくするためにA級またはAB級のようなリニア動作アンプが用いられるが、これらのパワーアンプは消費電力も大きいので発熱量も大きくなる。それゆえ、発熱による温度上昇が安定動作に影響を与えるという問題がある。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、より高速駆動が可能であり且つより安定した駆動動作が可能な音響光学素子駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の態様に従えば、原盤露光装置に用いられる音響光学素子駆動装置であって、音響光学素子の駆動信号を生成するVCO回路部と、該VCO回路部の入力側に設けられたインピーダンス変換回路部と、該VCO回路部からの出力信号を増幅する電力増幅部とを備え、該インピーダンス変換回路部が、オペアンプの負帰還回路を含むことを特徴とする音響光学素子駆動装置が提供される。
【0013】
本発明の音響光学素子駆動装置(以下では、AO素子駆動装置ともいう)では、マスタリング装置における露光ビームの偏向動作を高速化するために、VCO回路部内のバラクタダイオードの駆動時定数を小さくして高速駆動する。VCO回路部内のバラクタダイオードは上述のようにキャパシタンスとして動作するので、本発明のAO素子駆動装置では、バラクタダイオードの充放電の駆動時定数を小さくすること、すなわち、バラクタダイオードの駆動インピーダンスを低下させることにより駆動時定数を小さくしてバラクタダイオード(VCO回路部)を高速駆動し、露光ビームの偏向速度を高速化する。
【0014】
本発明のAO素子駆動装置の一例を図1及び2に示す。図1は本発明のAO素子駆動装置の概略構成図である。本発明のAO素子駆動装置は、主に、AO素子の駆動信号を発生させるVCO回路部1と、VCO回路部1の前段(入力側)に設けられ、VCO回路部1の駆動速度を高速化するためのインピーダンス変換回路部2と、VCO回路部1から生成されたAO素子の駆動信号の出力レベルを増幅するための電力増幅部3とから構成される。
【0015】
図1中のVCO回路部1及びインピーダンス変換回路部2の具体的な構成を図2に示す。なお、図2では、説明を簡略化するために、VCO回路部1内には、バラクタダイオード11及びタンク回路(RF共振回路)のみ記載した。インピーダンス変換回路部2は、図2に示すように、主に、高速オペアンプ20の負帰還回路で構成され、高速オペアンプ20の出力端子が、VCO回路部1内のバラクタダイオード11に接続されている。
【0016】
図1及び2のAO素子駆動装置の例では、インピーダンス変換回路部2内の高速オペアンプ20の高利得帰還を利用することにより、インピーダンス変換回路部2の出力インピーダンスを実効的に低下させることができる。インピーダンス変換回路部2の出力インピーダンスを低下させることにより、VCO回路部1内のバラクタダイオード11の容量変化を高速化し、周波数変調の高速化を図ることができる。
【0017】
なお、本発明のAO素子駆動装置におけるインピーダンス変換回路部としては、図2に示すように、VCO回路部1の駆動インピーダンスを低下させる機能(図2中の高速オペアンプ20の負帰還回路)だけでなく、中心動作周波数の設定機能(図2中の可変抵抗器21)や利得可変機能(図2中の可変抵抗器22)を備えていても良い。
【0018】
また、本発明の音響光学素子駆動装置では、上記VCO回路部が、一方を接地した片電源により駆動されることが好ましい。VCO回路部を片電源で駆動することにより、VCO回路部の構成を簡単化することができる。さらに、図1のAO素子駆動装置のように、VCO回路部1、インピーダンス変換回路部2及び電力増幅部3を共通の片電源で駆動した場合には一層回路構成を簡単化することができる。
【0019】
本発明の音響光学素子駆動装置では、さらに、インターフェイス回路部を備え、該インターフェイス回路部が上記インピーダンス変換回路の入力側に設けられ、該インターフェイス回路部が、上記VCO回路部の出力信号の中心周波数を調整するオフセット付加回路と、入力電圧に対する出力信号の利得を調整する利得調整回路とを有することが好ましい。
【0020】
通常、露光ビームの偏向信号は中心に対して対称方向に偏向するので、VCO回路部は両電源回路で駆動される。これに対して、図1及び2に示すような本発明のAO素子駆動装置では、回路構成を簡単化できること及び雑音対策が容易であることから、VCO回路部の電源としては一方を接地した片電源を用いている。しかしながら、片電源で駆動されるVCO回路部に、所定の中心動作電圧に対して正負両極性を有する信号がフォーマッタから入力された場合には、VCO回路部の性能(利得の直線性等)を十分発揮できないおそれがある。例えば、中心動作電圧に対して、極性が異なると動作範囲が異なる等の問題が生じるおそれがある。本発明の音響光学素子駆動装置では、この課題を解決するために、正負両極性を有する入力信号に対してVCO回路部を高性能に動作させるためのインターフェイス回路部を設けている。インターフェイス回路部の一例を図1に示す。図1中の回路部102がインターフェイス回路部である。なお、インターフェイス回路部は、図1に示すように、インピーダンス変換回路部2とフォーマッタとの間に配置され、例えば、光ディスクのフォーマット信号がインターフェイス回路部102に入力される。
【0021】
図1のインターフェイス回路部102は、主に、正相アンプ6と、VCO回路部1において発振する出力信号の中心周波数を調整するオフセット付加回路7と、入力電圧に対する出力信号の変換利得を調整する利得調整回路8とから構成される。利得調整回路8では入力電圧に対する出力信号の利得の直線性が保たれるようにバイアス電圧が調整される。なお、インターフェイス回路部102の入力部は整合するように、入力インピーダンスを50Ωまたは75Ωにすることが好ましい。
【0022】
インターフェイス回路部102内のオフセット付加回路7では、上記バイアス電圧を付加することにより、VCO回路部1の動作点(発振中心周波数)を任意に調整することが可能である。その一例を図3に示す。図3中の破線の特性がオフセット電圧を付加する前(VCO回路部を片電源で駆動した場合)のVCO回路部のコントロール電圧Vinと出力周波数foutとの関係であり、図3中の実線の特性がオフセット電圧を付加した後のVCO回路部のコントロール電圧Vinと出力周波数foutとの関係である。図3に示すように、オフセット前は所望の出力周波数(発振中心周波数)f0に対して片側帯域に偏った特性となるが、オフセット後は所望の発振中心周波数f0に対して両帯域に対称的な特性となり、正負両極性を有する信号がVCO回路部入力された場合にも、VCO回路部の性能(利得の直線性等)を十分発揮することができる。
【0023】
また、上述のように、インターフェイス回路部内にオフセット付加回路を設けてVCO回路部の動作点を任意に調整することにより、AO素子内の回折格子の間隔を任意に調整することもできる。それゆえ、2束ビームで露光する場合には、AO素子により偏向される一方の露光ビームの光軸の位置をインターフェイス回路部内のオフセット付加回路により調整することができ、2束ビーム間の距離を調整することが可能になる。
【0024】
本発明の音響光学素子駆動装置では、さらに、上記音響光学素子駆動装置が上記VCO回路部及び上記インピーダンス変換回路部の動作電圧の変動を抑制する第1電源安定回路を備え、且つ、上記VCO回路部が動作電圧の変動を抑制するための第2電源安定回路を有することが好ましい。VCO回路部の動作電圧が変動すると、出力信号の発振周波数が変動し高S/N比の信号が得られない。それゆえ、本発明のAO素子駆動装置では、図2に示すように、電源とVCO回路部との間に電源安定化回路を2段設けて、VCO回路部に対する外部環境及び電源からの雑音、干渉等を抑制する。
【0025】
本発明のAO素子駆動装置におけるVCO回路部及びインピーダンス変換回路部には、より低雑音の電源供給が必要である。それゆえ、例えば、図1に示すような本発明のAO素子駆動装置では、VCO回路部1及びインピーダンス変換回路部2を電源に直接接続するのではなく、第1電源安定回路5を介してVCO回路部1及びインピーダンス変換回路部2を電源に接続する。電源とVCO回路部1及びインピーダンス変換回路部2との間に第1電源安定回路5を設けることにより、外部環境からの雑音を遮断できる効果だけでなく、電源からの干渉も低減できるので、VCO回路部1及びインピーダンス変換回路部2を安定して駆動することができる。さらに、図2のAO素子駆動装置のように、VCO回路部1に対して電源安定化回路を2段設けると、VCO回路部1に対する外部環境及び電源からの雑音、干渉等を一層抑制することができるので、VCO回路部1を一層安定して駆動させることができる。
【0026】
本発明の音響光学素子駆動装置では、さらに、上記VCO回路部の出力信号レベルを単位ステップ毎に変化させる可変減衰装置を備え、該可変減衰装置が上記電力増幅部の入力側に設けられていることが好ましい。
【0027】
可変減衰装置を電力増幅部の前段(入力側)に設けることにより、電力増幅部内のパワーアンプの過出力による波形歪を避けることができるので、パワーアンプに負担がかからず、電力増幅部の不要な発熱を抑制することができる。その結果、上述したAO素子駆動信号の高次歪みを抑圧することができるとともに、必要以上のノイズ干渉も起こらない。また、可変減衰装置は出力パワー調整時の便宜を図るために、単位ステップ量(例えば、1dB単位)で可変できる構成にすることが好ましい。これにより、AO素子への供給電力値の設定の再現性が向上する。また、可変減衰装置を、例えば操作パネル上に設けた場合には、操作上非常に便利になるとともに、AO素子を通過した露光ビームの光量が最適になるよう調整することもできる。
【0028】
本発明の音響光学素子駆動装置では、さらに、上記電力増幅部の出力側に上記音響光学素子からの反射波を吸収するアイソレータまたはサーキュレータを備え、上記音響光学素子と該アイソレータまたはサーキュレータとの間の距離が上記音響光学素子の駆動信号周波数波長λの1/4以下であることが好ましい。
【0029】
上述の課題で説明したように、AO素子駆動装置は発熱するので、一般にマスタリング装置内では、AO素子とAO素子駆動装置とは隔離して配置され、AO素子とAO素子駆動装置とは所定長さの同軸ケーブルで配線される。しかしながら、AO素子駆動装置側からみたAO素子のインピーダンス特性は周波数依存性を持っているので、中心周波数では整合をとることができても、露光ビームを偏向させるために中心周波数からずれた周波数でAO素子を駆動した場合には、整合が十分とれなくなり、AO素子から反射波が発生するおそれがある。反射波が存在すると、AO素子駆動装置とAO素子との間で同軸ケーブルの長さに対応して定在波が発生する。このような定在波が発生すると、駆動信号の出力パワーが変動するとともにAO素子を駆動するための駆動信号の変調波形が歪む。この駆動信号への反射波の影響は回折格子の歪みとして還元される。
【0030】
本発明のAO素子駆動装置では、上記課題を解決するために、AO素子への駆動信号が出力される電力増幅部とAO素子との間にアイソレータまたはサーキュレータを設ける。電力増幅部とAO素子との間にアイソレータまたはサーキュレータを設ける際、受動素子であるアイソレータまたはサーキュレータはAO素子に近づけて配置することが好ましく、具体的には、AO素子とアイソレータまたはサーキュレータとの間の距離を、駆動信号の中心周波数の波長λの1/4程度以下にすることが好ましい。このような距離でアイソレータまたはサーキュレータをAO素子側に近づけて配置することにより、AO素子からの反射波がアイソレータまたはサーキュレータで吸収されるので、電力増幅部側には反射波が伝搬せず波形歪を起こす定在波の発生は少ない。なお、AO素子とアイソレータまたはサーキュレータとの間の距離をλ/4より大きくすると、AO素子とアイソレータまたはサーキュレータとの間の反射波の発生により、伝搬波形に歪を起こすことになる。それゆえ、周波数に依存した波形歪を有する駆動波形でAO素子を駆動することになる。
【0031】
また、上述のように、アイソレータまたはサーキュレータをAO素子側に近づけて配置することにより、アイソレータまたはサーキュレータと電力増幅部との間の距離はAO素子からの反射波を考慮することなく任意に設定することができる。また、電力増幅部とAO素子との間にアイソレータまたはサーキュレータを設けることにより、電力増幅部から見たAO素子側のインピーダンスとAO素子のインピーダンスとの間で整合がとれない場合であっても、AO素子からの反射波はアイソレータまたはサーキュレータで吸収されるので、反射波は電力増幅部には到達しない。それゆえ、電力増幅部の出力信号に歪は発生せず、電力増幅部としては安定した動作状態になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の音響光学素子駆動装置では、VCO回路部の入力側にインピーダンス変換回路部を設け、インピーダンス変換回路部の出力インピーダンスを低下させることにより、VCO回路部内のバラクタダイオードの駆動時定数を小さくしてVCO回路部を高速駆動させた。それゆえ、本発明の音響光学素子駆動装置では、露光ビームを高速偏向させることが可能になり、ウォブル溝により高密度に情報記録を行うことが可能となる。
【0033】
本発明の音響光学素子駆動装置では、VCO回路部を片電源で駆動することにより、VCO回路部の構成を簡単にすることができる。特に、図1のAO素子駆動装置のように、VCO回路部、インピーダンス変換回路部及び電力増幅部を共通の片電源で駆動した場合には一層回路構成を簡単にすることができる。
【0034】
本発明の音響光学素子駆動装置では、AO素子の駆動信号の中心周波数を調整するオフセット付加回路及び入力電力に対する出力信号の利得を調整する利得調整回路を有するインターフェイス回路部をインピーダンス変換回路部の前段に設けることにより、VCO回路部を片電源で動作させた場合でも、フォーマッタからの正負両極性を有する入力信号に対してVCO回路部の性能(利得の直線性等)を十分発揮することができる。
【0035】
また、本発明の音響光学素子駆動装置では、VCO回路部及びインピーダンス変換回路部と電源との間に第1電源安定回路を設け、さらに、VCO回路部内に第2電源安定回路を設けることにより、一方を接地した片電源で動作するパワーアンプと電源を共有しながらも、熱・雑音の干渉を避けつつVCO回路部を安定動作させることができる。
【0036】
本発明の音響光学素子駆動装置では、可変減衰装置を電力増幅部の入力側に設けることにより、電力増幅部内のパワーアンプの過度入出力による負担を避けることができるので、AO素子駆動信号の高調波歪みを抑圧することができるとともに、必要以上のノイズ干渉も抑制することができる。また、可変減衰装置を単位ステップ量で可変できる構成にすることにより、AO素子への供給電力値の設定の再現性が向上する。
【0037】
さらに、本発明の音響光学素子駆動装置では、アイソレータまたはサーキュレータをAO素子に近づけて配置することにより、アイソレータまたはサーキュレータでAO素子からの反射波を吸収し、歪みの少ない変調波形の駆動信号で露光ビームを偏向させることができる。また、アイソレータまたはサーキュレータをAO素子に近づけて配置することにより、マスタリング装置内の各構成装置の配置上の制約を取除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明の音響光学素子駆動装置について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0039】
[原盤露光装置]
本実施例のAO素子駆動装置を用いた原盤露光装置の概略構成図を図4に示した。図4の原盤露光装置は2束ビームを用いて露光する装置であり、一方の露光ビームでウォブル溝を露光し、他方の露光ビームでピットを露光する。
【0040】
この例の原盤露光装置200は、図4に示すように、主に、露光用のレーザ光を射出するレーザ光源201と、原盤219への照射タイミング及び照射位置を調整する音響光学変調器207(以下、AO変調器という)、音響光学偏向器209(以下、AO素子ともいう)及び電界効果型変調器212(以下、EO変調器という)と、AO偏向器209を駆動するためのAO素子駆動装置100と、露光用光ヘッド227と、原盤219を回転させるターンテーブル221と、照射されたスポットを観測するための撮像管224及びディスプレイ226と、光路を調整するためのビームスプリッタ203、ミラー211、ハーフミラー213、レンズ206等の種々の光学素子からなる光学系とから構成される。
【0041】
ここで、この例で用いた原盤露光装置の動作について、図4を用いて簡単に説明する。レーザ光源201から射出されたレーザ光束202はビームスプリッタ203により第1の光束204(実線の光束)と第2の光束205(一点鎖線の光束)に分けられる。第1の光束204は、一対のレンズ206で挟まれたAO変調器207に入射して、記録すべき信号のタイミングに応じたパルス光に変調される。なお、AO変調器207の代わりにEO変調器により照射タイミング及び露光量を変調しても良い。AO変調器207で変調された露光ビームはミラー208で反射された後、AO偏向器209に入射する。AO偏向器209に入射した露光ビームは、原盤219の径方向に所定の偏向周波数及び偏向量で照射されるように偏向される。この際、露光ビームの偏向周波数及び偏向量は、AO素子駆動装置100により制御される。偏向された露光ビームは、偏向ミラー210及びミラー211を経て光ヘッド227に入射する。光ヘッド227には集光レンズ215が装着されており、この集光レンズ215により露光ビームは原盤219上に塗布されたフォトレジスト膜220の表面の所定位置に集光される。
【0042】
一方、第2の光束205はEO変調器212に入射する。EO変調器212を透過した光は、ハーフミラー213で反射されてλ/2位相板214を透過した後、偏向ミラー210及びミラー211を経て光ヘッド227に到達し、原盤219上のフォトレジスト膜220を照射する。
【0043】
原盤219上のフォトレジスト膜220から反射された光は、集光レンズ215を透過して平行光となり、ミラー211、偏向ミラー210、ハーフミラー213を経てレンズ222により撮像管224上に集光される。撮像管224のディスプレイ226に表示されたスポット像226a、226bを観察することによって、集光レンズ215により形成されるスポット形状を確認することができる。なお、レーザ光源201、AO変調器207、EO変調器212、ターンテーブル221などの動作は、図示しない制御部により一括して管理される。制御部にはプリフォーマット信号が入力され、それに応じてAO変調器207などの発光周期などが調整される。
【0044】
[音響光学素子駆動装置]
AO素子駆動装置100は、図4に示すように、電圧制御により周波数変調を行いAO素子209の駆動信号を生成するRF発振回路部101と、RF発振回路部101から生成される駆動信号の中心周波数をオフセットする機能及び入力電力に対する出力信号の変換利得を調整する機能を有するインターフェイス回路部102と、AO素子209からの反射波を吸収するためのアイソレータ103とから構成される。アイソレータ103及びRF発振回路部101の間、並びに、アイソレータ103及びAO素子209の間は同軸ケーブル104で接続されている。また、この例では、AO素子209とアイソレータ103との間の距離を、駆動信号の中心周波数の波長λの1/4程度以下になるようにAO素子209及びアイソレータ103を配置した。なお、この例ではAO素子209からの反射波を吸収するためにアイソレータ103を用いたが、本発明はこれに限定されず、アイソレータの代わりにサーキュレータを用いても良い。
【0045】
この例のAO素子駆動装置100におけるRF発振回路部101及びインターフェイス回路部102の具体的な構成を図1に示した。まず、RF発振回路部101について説明する。
【0046】
RF発振回路部101は、図1に示すように、AO素子209の駆動信号を生成するVCO回路1と、VCO回路1の駆動速度を制御するためのVCOコントロール回路2(インピーダンス変換回路部)と、VCO回路1から出力される駆動信号を増幅するためのパワーアンプ3(電力増幅部)と、VCO回路1から出力される駆動信号を所定のレベルに調整するための可変アッテネータ4(可変減衰装置)と、外部のDC電源からの雑音を抑制するためのDCレギュレータ5(第1電源安定回路)とから構成される。また、この例のAO素子駆動装置では、図1に示すように、VCO回路1、VCOコントロール回路2及びパワーアンプ3の電源として、一方を接地した片電源を共通で用いた。
【0047】
この例では、図1に示すように、VCO回路1及びVCOコントロール回路2と電源との間にDCレギュレータ5を設けることにより、電源からの雑音がVCO回路1及びVCOコントロール回路2に混入することを防止し、VCO回路1から出力されるAO素子209の駆動信号の品質劣化を抑制することができる。
【0048】
また、この例のAO素子駆動装置100では、出力信号(図1中のRF OUT信号)は10Wまでの出力がリニアに得られるように設計されている。しかしながら、実際に使用する出力電力は2〜4Wであり、この例のAO素子駆動装置100における出力電力のレベル調整は可変アッテネータ4で行った。この例では、単位ステップ量、例えば1dB単位で出力レベルを可変できる可変アッテネータ4を用いた。それゆえ、この例のAO素子駆動装置では、出力信号を1dB単位で段階的に調整して出力することができる。また、この例のAO素子駆動装置には、外部から出力レベルが調整できるように、可変アッテネータと同軸ケーブルで接続されパネル(不図示)を設けた。
【0049】
VCO回路1及びVCOコントロール回路2の具体的な構成を図2に示した。VCO回路1は、図2に示すように、駆動信号生成部10と、駆動信号生成部10の前段に設けられたDCレギュレータ13(第2電源安定回路)とから構成される。駆動信号生成部10には、図2に示すように、バラクタダイオード11(容量可変ダイオード)を有する。なお、図2中の駆動信号生成部10では、説明を簡略化するために、バラクタダイオード11及びタンク回路(RF共振回路)のみを記載した。それ以外の構成は従来用いられているVCO回路と同様とした。
【0050】
VCO回路1には、図2に示すように、発振周波数を決定するタンク回路と直結したバラクタダイオード11を備え、このバラクタダイオード11のバイアス電圧を変化させることにより、VCO回路1の発振周波数を変化させ露光ビームを偏向させる。バラクタダイオード11のバイアス電圧はVCOコントロール回路2で制御する。VCO回路1内のバラクタダイオード11はコンデンサとして動作しているので、このコンデンサをチャージ・ディスチャージするための時間、すなわちコンデンサの時定数がVCO回路1の応答性に関係し、時定数が小さいほど応答性が速くなる。そえゆえ、VCO回路1を高速に動作させるためには、バラクタダイオード11の駆動時定数を小さくする必要がある。この例では、VCOコントロール回路2の出力インピーダンスを低下させることにより、バラクタダイオード11の動作速度を高速化した。なお、実際の回路ではバラクタダイオード11をVCOコントロール回路2で直結するのではなく、必要に応じて、抵抗器とコンデンサにより構成される付加回路を設けるが、ここでは省略する。
【0051】
VCOコントロール回路2は、図2に示すように、主に、高速オペアンプ20の負帰還回路により構成され、高速オペアンプ20の出力端子がVCO回路1内のバラクタダイオード11に接続されている。この例の高速オペアンプ20は高利得を有しており、図2に示すように、負帰還を掛けることにより実効的な出力インピーダンスを下げることができる。この例ではVCOコントロール回路2内の高速オペアンプ20に負帰還を掛けることで実効的な出力インピーダンスを下げることにより、バラクタダイオード11の駆動時定数を小さくし、VCO回路1の応答性を高速化した。これは、バラクタダイオード11の容量可変駆動回路の時定数を小さくすることに相当する。それゆえ、この例のVCOコントロール回路2のように高速オペアンプを使用することにより、高速応答可能なVCO回路を実現することができる。
【0052】
なお、この例のVCOコントロール回路2はまた、図2に示すように、VCO回路部の発振中心周波数を決めるためのオフセット付加回路部21と、入力電力に対する出力信号の変換利得の直線性を確保するための利得調整回路22とを備えている。基本的な駆動信号の発生機能及び変調機能の制御はVCOコントロール回路2で行った。また、VCOコントロール回路2は駆動信号の基本的な特性調整を行うための回路であるので、AO素子駆動装置内の所定のケースに閉じ込められている。
【0053】
この例のAO素子駆動装置では、図2に示すように、+12VのDC電圧を供給した。VCO回路1及びVCOコントロール回路2は、図2に示すように、DCレギュレータ5を介して電源に接続されているので、VCO回路1及びVCOコントロール回路2には、DCレギュレータ5により+12Vから+5.0Vに変換された電圧が供給される。この例で用いたDCレギュレータ5には、数10dBの雑音抑圧効果があるので、雑音の少ない+5.0Vの電圧でVCOコントロール回路2内の高速オペアンプ20を動作させた。
【0054】
また、駆動信号の品質が最も重要となるVCO回路1では、図2に示すように、駆動信号生成部10の前段にさらにDCレギュレータ13を設けて+3.3Vで動作させた。このDCレギュレータ13も上述のDCレギュレータ5と同様の性能を有するので、駆動信号生成部10の前段にさらにDCレギュレータ13を設けることにより、一層雑音を抑制することができ、VCO回路1を一層安定して動作させることができる。
【0055】
次に、本実施例のAO素子駆動装置におけるインターフェイス回路部102について説明する。インターフェイス回路部102は、図1に示すように、RF発振回路部101の前段(入力側)に設けられ、正相アンプ6と、RF発振回路部101において発振する出力信号の中心周波数をオフセットするオフセット付加回路部7と、入力電力に対する出力信号の変換利得を調整する利得調整回路部8とから構成される。インターフェイス回路部102は、図2に示すように、フォーマットデータのソース源であるフォーマッタとRF発振回路部101とのインターフェイスとして設けられている。
【0056】
この例では、図1に示すように、VCO回路部に用いる電源は一方を接地した片電源を用いた。しかしながら、フォーマッタからの出力信号は正負両極性に変動した偏向信号である。それゆえ、片電源により動作するVCO回路部では、フォーマッタからの信号入力に対して利得の直線性を確保することは困難であり、精度良い露光ビームの偏向ができなくなるおそれがある。この例のAO素子駆動装置では、この課題を解決するために、フォーマッタから入力される正負両極性に変動した偏向信号に対してより精度良く露光ビームを偏向するために、VCO回路部を正負両極性を有する入力信号に対して高性能で動作させるための入力回路としてインターフェイス回路部102を設けた。
【0057】
インターフェイス回路部102内のオフセット付加回路部7によりVCO回路部の動作点(発振中心周波数)をオフセットした場合のVCO回路部のコントロール電圧Vinと出力周波数foutとの関係を図3に示した。図3中の横軸はVCOのコントロール電圧Vinであり、縦軸はVCOの出力周波数foutである。インターフェイス回路102を設けない場合、すなわち、片電源でVCO回路を動作させた場合には、VCO回路のコントロール電圧Vinと出力周波数foutとの関係は図3中の破線で示された特性となり、所望の出力周波数(発振中心周波数)f0に対して片側帯域に偏った特性となる。また、片電源でVCO回路を動作させた場合には、VCO回路部の動作電圧V0における発振中心周波数f0’と所望の発振中心周波数f0が異なる。一方、この例のAO素子駆動装置のように、インターフェイス回路部102内のオフセット付加回路部7により、図3に示すように、適度のオフセット電圧を付加することにより、VCO回路のコントロール電圧Vinと出力周波数foutとの関係を図3中の実線で示された特性に補正することができる。この場合、図3に示すように、所望の発振中心周波数f0に対して両帯域に対称的な特性となり、所望の発振中心周波数f0と動作電圧V0における発振中心周波数とを一致させることができる。
【0058】
上述のように、この例のAO素子駆動装置において、インターフェイス回路部102にオフセット付加回路部7を設けるにより、VCO回路部1の動作点を任意に調整することができる。これにより次のような利点もある。この例で用いた原盤露光装置のように2束ビームで露光を行う装置では、AO素子駆動装置内のインターフェイス回路部102によりVCO回路部1の動作点を調整することにより、偏向機能によりビーム間間隔を調整することを目的として、AO素子により偏向される一方の露光ビームの光軸の位置をインターフェイス回路部102により調整することもできる。すなわち、この例のAO素子駆動装置では、インターフェイス回路部102により2束ビーム間の距離を調整することができる。これは、2束ビームを用いるマスタリング装置において使用上非常に便利な機能となる。
【0059】
また、この例のAO素子駆動装置では、インターフェイス回路部102はパネル等に接続されており、オペレータが操作し易くなっている。
【0060】
上述した本実施例のAO素子駆動装置を用いて、変調周波数応答性を評価したところ、50MHzのパルス偏向周期においても駆動可能であることを確認できた。また、AO素子の駆動周波数は200MHz帯及び400MHz帯等を使用するが、いずれの場合においても高速に変調できることが確認できた。なお、AO素子の動作は、回折格子を使用して偏向させるため、音速と回折格子上に形成される光ビーム径の大きさに依存する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の音響光学素子駆動装置によれば、VCO回路を高速駆動するインピーダンス変換回路を備えているので、露光ビームをより高速偏向可能な音響光学素子駆動装置を提供することができる。
【0062】
本発明の音響光学素子駆動装置によれば、VCO回路と電源との間にDCレギュレータを2段配置し、可変減衰装置を電力増幅部の入力側に設け、さらに、音響光学素子と音響光学素子駆動装置との間にアイソレータまたはサーキュレータを音響光学素子に近づけて設けることにより、熱、雑音の干渉及び反射波の影響を避けつつ一層安定した動作が可能な音響光学素子駆動装置を提供することができる。
【0063】
本発明の音響光学素子駆動装置によれば、VCO回路部を片電源で駆動することにより、VCO回路部の構成を簡単化することができるので、よりシンプルな構成の音響光学素子駆動装置を提供することができる。
【0064】
さらに、本発明の音響光学素子駆動装置よれば、AO素子の駆動信号の中心周波数を調整するオフセット付加回路及び入力電力に対する出力信号の利得を調整する利得調整回路を有するインターフェイス回路部をインピーダンス変換回路部の入力側に設けることにより、VCO回路部を片電源で動作させた場合でも、フォーマッタからの正負両極性を有する入力信号に対してVCO回路部の性能(利得の直線性等)を十分発揮することのできる音響光学素子駆動装置を提供することができる。
【0065】
以上のことから、本発明の音響光学素子駆動装置は、高記録密度化が要求される光ディスクのマスタリング装置及び光記録マスタリングシステムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、実施例のAO素子駆動装置中のRF発振部及びインターフェイス回路部の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例のAO素子駆動装置中のVCO回路及びVCOコントロール回路の概略構成図である。
【図3】図3は、実施例でVCO回路の動作点をオフセットした場合のVCOのコントロール電圧Vinと出力周波数foutとの関係を示した図である。
【図4】図4は、実施例で用いた原盤露光装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0067】
1 VCO回路部
2 VCOコントロール回路部
3 パワーアンプ
4 可変アッテネータ
5,13 DCレギュレータ
6,20 オペアンプ
7,21 オフセット回路部
8,22 利得調整回路部
11 バラクタダイオード
100 AO素子駆動装置
101 RF発振回路部
102 インターフェイス回路部
103 アイソレータ
104 同軸ケーブル
200 原案露光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原盤露光装置に用いられる音響光学素子駆動装置であって、
音響光学素子の駆動信号を生成するVCO回路部と、
該VCO回路部の入力側に設けられたインピーダンス変換回路部と、
該VCO回路部からの出力信号を増幅する電力増幅部とを備え、
該インピーダンス変換回路部が、オペアンプの負帰還回路を含むことを特徴とする音響光学素子駆動装置。
【請求項2】
上記VCO回路部が、一方を接地した片電源により駆動されることを特徴とする請求項1に記載の音響光学素子駆動装置。
【請求項3】
さらに、インターフェイス回路部を備え、該インターフェイス回路部が上記インピーダンス変換回路の入力側に設けられ、該インターフェイス回路部が、上記VCO回路部の出力信号の中心周波数を調整するオフセット付加回路と、入力電圧に対する出力信号の利得を調整する利得調整回路とを有することを特徴とする請求項2に記載の音響光学素子駆動装置。
【請求項4】
さらに、上記音響光学素子駆動装置が上記VCO回路部及び上記インピーダンス変換回路部の動作電圧の変動を抑制する第1電源安定回路を備え、且つ、上記VCO回路部が動作電圧の変動を抑制するための第2電源安定回路を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の音響光学素子駆動装置。
【請求項5】
さらに、上記VCO回路部の出力信号レベルを単位ステップ毎に変化させる可変減衰装置を備え、該可変減衰装置が上記電力増幅部の入力側に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の音響光学素子駆動装置。
【請求項6】
さらに、上記電力増幅部の出力側に上記音響光学素子からの反射波を吸収するアイソレータまたはサーキュレータを備え、上記音響光学素子と該アイソレータまたはサーキュレータとの間の距離が上記音響光学素子の駆動信号周波数波長λの1/4以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の音響光学素子駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の音響光学素子駆動装置を備える原盤露光装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−18916(P2006−18916A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195209(P2004−195209)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】