説明

音響再生装置及び音響再生方法

【課題】パラメトリックスピーカー等の指向性が強い音響再生装置において位相制御を単純な構成で行う。
【解決手段】サンプル生成部90が、変調信号を用いて超音波信号が振幅変調された被変調信号のサンプルを順次生成する。順次生成された被変調信号のサンプルは記憶部20に記憶される。読出部30が、被変調信号のサンプルの内の予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを記憶部20から読み出す。複数の電気音響変換器71,…,7nが、複数のサンプルでそれぞれ駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波を用いて強い指向性を持つ可聴音を発生させるパラメトリックスピーカー等において、受聴者が知覚する音の到来方向を任意に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された音場制御装置は、電気音響変換器に装着された複数の超音波素子に、可聴周波数を持つ変調信号で振幅変調した超音波信号を印加し、各超音波素子から放射される超音波が空間復調作用により復調されて変調信号に対応する可聴音を生成する。その際、複数の位相制御器が、超音波信号を振幅変調する変調信号の位相を各超音波素子毎に制御して、受聴者が知覚する音の到来方向を任意の方向に設定していた。
【特許文献1】特開2003−143686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された音場制御装置は、複数の位相制御器を複数必要としており、位相制御に多量な演算が必要であるという問題があった。
【0004】
この発明は、上記問題に鑑み、より少ない演算量で受聴者が知覚する音の到来方向を任意に設定する音響生成装置及び音響再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の1つの観点によれば、サンプル生成部が、変調信号を用いて超音波信号が振幅変調された被変調信号のサンプルを順次生成する。順次生成された被変調信号のサンプルは記憶部に記憶される。読出部が、被変調信号のサンプルの内の予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを記憶部から読み出す。複数の電気音響変換器が、複数のサンプルでそれぞれ駆動される。
【発明の効果】
【0006】
読出部が、被変調信号のサンプルが記憶された記憶部から、予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを読み出すことにより、より少ない演算量で、位相を制御することができ、受聴者が知覚する音の到来方向を任意に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面を参照して、この発明の各実施例について説明する。同一の部分には、同じ符号を付けて重複説明を略する。
【実施例1】
【0008】
実施例1の音響再生装置は、図1に例示するように、サンプル生成部90、記憶部20、読出部30、電気音響変換器71,…,7n及びシフト部80を含む。また、実施例1の音響再生方法は、図2に例示する各処理を行う。
【0009】
電気音響変換器71,…,7nは図8に例示するように同一平面上に、互いに隣接する電気音響変換器の間の間隔がdとなるように配置されている。電気音響変換器71,…,7nが配置された平面の垂直方向(一般的に言うと、電気音響変換器71,…,7nから放射される超音波の波面に対して垂直方向)に対する受聴者Bが知覚する音の到来方向をθ(−90°≦θ≦90°)とする。
【0010】
到来方向θにある音源Xから発生した音は、電気音響変換器71,…,7nが配置された平面Q1及びその平面Q1に対して平行な面Q1の距離dだけ離れた2点P1,P2において、d×sinθ/cだけ位相がずれる。cは音速である。したがって、受聴者Bに、到来方向θにある音源Xから音が発生しているように知覚させるためには、電気音響変換器71,…,7nがそれぞれ出力する被変調信号の内の変調信号成分の位相を順次d×sinθ/cの時間間隔だけずらせば良い。
【0011】
まず、0°≦θ≦90°である場合について述べる。被変調信号がサンプル生成部90(図1参照)に入力される。被変調信号は、可聴周波数(約20Hzから約20kHZの周波数)の変調信号用いて、40kHzから120kHzの超音波信号の振幅変調をした信号である。このため、被変調信号は、可聴周波数の変調信号成分を有する。
【0012】
サンプル生成部90は、被変調信号のサンプルを順次生成する(ステップS11)。具体的にはこの例では、サンプル生成部90はAD変換器10であり、このAD変換器10は、予め定められたサンプリング周波数fsで、被変調信号をサンプリングして、被変調信号のサンプルを順次生成する(ステップS1a)。サンプリング周波数fsは例えば60kHzから350kHzの範囲の周波数とされる。以下、単にサンプルと言った場合には、原則として被変調信号のサンプルを意味する。
【0013】
生成された被変調信号のサンプルは、記憶部20に記憶される。この例では、nを電気音響変換器71,…,7nの数として、記憶部20は、(n−1)×L+1個の記憶領域1,…,(n−1)×L+1を有しており、生成された被変調信号のサンプルは、記憶部20の記憶領域1に記憶される。ここで、Lは、時間間隔d×sinθ/cに対応する、記憶領域の番号の間隔である。Lは具体的には、f(・)を・の小数点以下を四捨五入切り捨て又は切り上げをして整数を出力する関数として、L=f(fs・d・sinθ/c)である。Lの番号の間隔を有する記憶領域からそれぞれ読み出された被変調信号のサンプルは、約時間間隔d×sinθ/cを有する。
【0014】
シフト部80は、複数の記憶領域1,…,(n−1)×L+1にそれぞれ記憶されたサンプルを順次他の記憶領域に移す(ステップS2a)。この例では、シフト部80は、AD変換器10で被変調信号のサンプルが生成される毎に、iを1≦i≦(n−1)×Lの整数として、i番目の記憶領域iに記憶されたサンプルを、i+1番目の記憶領域i+1に移す。すなわち、各記憶領域iに記憶されたサンプルはそれぞれ、図1の矢印aの方向に移動する。最後の記憶領域(n−1)×L+1に記憶されたサンプルは、記憶領域(n−1)×Lに記憶されたサンプルによって上書きされることにより、記憶部20から消える。このようにして、記憶部20には、被変調信号のサンプルが新しい方から(n−1)×L+1個だけ常に記憶されることになる。なお、シフト部80によるサンプルのシフトは、AD変換器10で被変調信号のサンプルが生成される毎であって、新たに生成されるサンプルが記憶領域1に格納される前に行われる。
【0015】
読出部30は、被変調信号のサンプルの内の予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを記憶部20から読み出す(ステップS21)。サンプルはシフト部80により定期的にシフトされるため、予め定められた複数の記憶領域にそれぞれ記憶されている複数のサンプルを読み出すことにより(ステップS2b)、予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを読み出すことができるのである。読み出された複数のサンプルはそれぞれ電気音響変換器71,…,7nに送られる。
【0016】
具体的には例えば、読出部30は、jを1≦j≦nの整数として、(j−1)×L+1番目の記憶領域に記憶されているサンプルを読み出して、j番目の電気音響変換器7jに送る。すなわち、読出部30は、jを1≦j≦nの整数として、(j−1)×L+1番目の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出す。これにより、読出部30は、隣り合う電気音響変換器にそれぞれ送られるサンプルの時間間隔が約d・sinθ/cである複数のサンプルを読み出すのである。
【0017】
電気音響変換器71,…,7nはそれぞれ読出部30から受け取った複数の被変調信号により駆動され、超音波を放射する。放射された超音波は、空間復調作用により復調されて、受聴者に変調信号の成分を知覚させることができる。また、この場合、電気音響変換器71側の電気音響変換器から出力される超音波の内の変調信号の成分程位相が進むことになり、受聴者に0°≦θ≦90°である到来方向θを知覚させることができる。
【0018】
このように、読出部30が、被変調信号のサンプルが記憶された記憶部20から、予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを読み出すことにより、より少ない演算量で位相を制御することができ、受聴者が知覚する音の到来方向を任意に設定することができる。
【0019】
なお、一方の側にある電気音響変換器71(7n)から、他方の側にある電気音響変換器7n(71)に行くに従って、被変調信号内の変調信号成分の位相だけではなく、被変調信号内の超音波信号成分の位相もずれる。したがって、図8に例示するように、電気音響変換器71,…,7nから放射される超音波の波面は、電気音響変換器71,…,7nが配置された平面Q1の垂直方向ではなく、その垂直方向に対して斜めに交わる方向に進む。
【0020】
なお、−90°≦θ≦0°である場合には、読出部30は、jを1≦j≦nの整数として、電気音響変換器7jに、記憶領域(n−j)×L+1に記憶されているサンプルを読み出して送ればよい。
【0021】
また、−90°≦θ≦0°である場合には、生成されたサンプルを、記憶部20の記憶領域(n−1)×L+1に記憶して、シフト部80が、iを1≦i≦(n−1)×Lの整数として、i+1番目の記憶領域に記憶されたサンプルをi番目の記憶領域に移せばよい。この場合、読出部30は、上記と同様に、jを1≦j≦nの整数として、電気音響変換器7jに、記憶領域(j−1)×L+1に記憶されているサンプルを読み出して送ってもよい。
【0022】
これらにより、電気音響変換器7n側の電気音響変換器から出力される超音波の内の変調信号の成分程位相が進むことになり、受聴者に−90°≦θ≦0°である到来方向θを知覚させることができる。
【実施例2】
【0023】
実施例2は、生成された被変調信号が記憶される記憶部21の記憶領域、及び、読出部31がサンプルをそれぞれ読み出す記憶部21の記憶領域が、実施例1と異なる。以下では、異なる部分について重点的に説明して、共通する部分については実施例1と同様であるため重複説明を略する。
【0024】
実施例2の音響再生装置は、図3に例示するように、サンプル生成部90、記憶部21、読出部31及び電気音響変換器71,…,7nを含む。また、実施例1の音響再生方法は、図4に例示する各処理を行う。
【0025】
まず、0°≦θ≦90°である場合について述べる。記憶部21は、n×L個の記憶領域を有する。AD変換器10で被変調信号のサンプルが生成される毎に、その生成されたサンプルは記憶部21の記憶領域1,…,n×Lに予め定められた順番で記憶される(ステップS1b)。この例では、iを自然数として、AD変換器10でi番目のサンプルが生成される毎に、そのi番目のサンプルは、i mod n×L番目の記憶領域に記憶される。ここで、任意の整数x,xに対して、x mod xは、整数xのxを法とする剰余であり、非負、すなわち1≦x mod x≦xであるとする。例えば、生成されたL+1番目のサンプルは、記憶領域L+1に記憶される。このように、記憶部21はリングバッファである。なお、iが増加することにより生じる処理負担の増大を回避するために、iが所定の値よりも大きくなったときにiを小さな値に戻してもよい。例えば、i>n×Lとなった時にi=0としてもよい。
【0026】
読出部31は、互いに予め定められた順番だけ離れた複数の記憶領域にそれぞれ格納されている複数サンプルを読み出す(ステップS2c)。これにより、読出部31は、予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを読み出すことができるのである。読出部31の読み出しは、生成されたサンプルが記憶部21の記憶領域に格納される毎に行われる。読み出された複数のサンプルはそれぞれ電気音響変換器71,…,7nに送られる。
【0027】
この例では、Lだけ離れた複数の記憶領域にそれぞれ格納されているサンプルを読み出す。具体的には、読出部31は、jを1≦j≦nの整数として、i−(j−1)×L mod n×L番目の記憶領域に記憶されているサンプルを読み出して、電気音響変換器7jに送る。
【0028】
例えば、i=L+1の場合、すなわち、i=L+1番目のサンプルが、L+1 mod n×L番目の記憶領域に記憶された後においては、図3に示すように、電気音響変換器71には記憶領域L+1に記憶されたサンプルが送られ、電気音響変換器72には記憶領域1に記憶されたサンプルが送られ、電気音響変換器73には記憶領域(n−1)×L+1に記憶されたサンプルが送られ、電気音響変換器7nには記憶領域2×L+1に記憶されたサンプルが送られる。
【0029】
電気音響変換器71,…,7nはそれぞれ読出部31から受け取った複数の被変調信号により駆動され、超音波を放射する。放射された超音波は、空間復調作用により復調されて、受聴者に変調信号の成分を知覚させることができる。また、この場合、電気音響変換器71側の電気音響変換器から出力される超音波の内の変調信号の成分程位相が進むことになり、受聴者に0°≦θ≦90°である到来方向θを知覚させることができる。
【0030】
このように、読出部31が、被変調信号のサンプルが記憶された記憶部20から、予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを読み出すことにより、より少ない演算量で、位相を制御することができ、受聴者が知覚する音の到来方向を任意に設定することができる。
【0031】
なお、−90°≦θ≦0°である場合には、読出部31は、jを1≦j≦nの整数として、電気音響変換器7jに、記憶領域i−(n−j)×L mod n×Lに記憶されているサンプルを読み出して送ればよい。
【0032】
また、−90°≦θ≦0°である場合には、生成されたサンプルを、記憶部21の記憶領域n×L−i+1 mod n×Lに記憶してもよい。この場合、読出部31は、jを1≦j≦nの整数として、n×L−i+1+(j−1)×L mod n×L番目の記憶領域にそれぞれ記憶されている複数のサンプルを読み出す。そして、n×L−i+1+(j−1)×L mod n×L番目の記憶領域に記憶されているサンプルは、電気音響変換器7jに送られる。
【0033】
これらにより、電気音響変換器7n側の電気音響変換器から出力される被変調信号の変調信号の成分程位相が進むことになり、受聴者に−90°≦θ≦0°である到来方向θを知覚させることができる。
【0034】
[変形例等]
実施例1において、記憶領域が(n−1)×L+1個以上設けられていてもよい。この場合、(n−1)×L+1個以上の記憶領域の内の(n−1)×L+1個の記憶領域を上記のように用いればよい。同様に実施例2においても、記憶領域n×L個以上設けられていてもよい。
【0035】
電気音響変換器71,…,7nは、互いに隣接する電気音響変換器の間の間隔がdでなくてもよく、また同一平面に配置されていなくても良い。この場合、読出部30,31が読み出す複数のサンプル間の時間間隔は、音源Xから音が発生したと仮定した場合に、その音が電気音響変換器71,…,7nにそれぞれ到達する時間の間隔とすれば良い。例えば、音源Xから発生した音が電気音響変換器71,…,7nにそれぞれ到達した時刻をt,…,t(t<…<t)とする。この場合、jを1≦j≦n−1の整数として、電気音響変換器7jに送られるサンプルと、電気音響変換器7j+1に送られるサンプルの間の時間間隔が、約tj+1−tとなるように、読出部30,31はそれぞれ記憶部20,21からサンプルを読み出す。このようなサンプルを読み出すことができるように、読出部30,31が読み出す記憶領域が決定され、これらの決定された記憶領域からサンプルが読み出されるのである。
【0036】
電気音響変換器71,…,7nがそれぞれ複数の電気音響変換器から構成されていてもよい。すなわち、a1,…,anをそれぞれ2以上の整数として、図5に例示するように、電気音響変換器71が電気音響変換器711,…,71a1、電気音響変換器72が電気音響変換器721,…,72a2、電気音響変換器7jが電気音響変換器7j1,…,7jaj、電気音響変換器7nが電気音響変換器7n1,…,7nanからそれぞれ構成されていてもよい。
【0037】
サンプル生成部90の代わりに、図6に例示するサンプル生成部91を用いてもよい。サンプル生成部91は、AD変換器11,振幅変調器60及びAD変換器50を含む。サンプル生成部91のAD変換器11に、変調信号が入力される。サンプル生成部91は、ステップS1bからステップS1eの各処理を行い、被変調信号のサンプルを順次生成する(ステップS12)。
【0038】
AD変換器11は、変調信号を予め定められたサンプリング周波数fsでサンプリングして、変調信号のサンプルを順次生成する(ステップS1b)。生成されたサンプルは、振幅変調器60に送られる。
【0039】
超音波信号発振器40は、超音波信号を発振してAD変換器50に送る(ステップS1c)。超音波信号の周波数の範囲は、40kHzから120kHzである。
【0040】
AD変換器50は、発振された超音波信号を予め定められたサンプリング周波数fsでサンプリングして、デジタル化する(ステップS1d)。デジタル化された超音波信号は振幅変調器60に送られる。
【0041】
振幅変調器60は、AD変換器11から受け取った変調信号サンプルを用いて、超音波信号を振幅変調して複数の被変調信号のサンプルを順次生成する(ステップS1e)。生成された被変調信号のサンプルは記憶部20,21に格納される。その後の処理は、上記と同様である。
【0042】
上述の構成をコンピュータによって実現する場合、音響再生装置の各部が有する機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各部の機能がコンピュータ上で実現される。
【0043】
すなわち、CPUがプログラムを逐次読み込んで実行することにより、AD変換器10,11、読出部30,31、超音波信号発振器40、AD変換器50、振幅変調器60、シフト部80及びサンプル生成部90,91の機能がそれぞれ実現される。また、補助記憶装置又はメモリが、記憶部20,21として機能する。
【0044】
音響再生装置の各部として機能するCPUは、メモリ又は補助記憶装置から読み込み込んだデータに対して処理を行い、処理を行った後のデータをメモリ又は補助記憶装置に格納する。すなわち、メモリ又は補助記憶装置を介して、音響再生装置の各部間でデータがやり取りされる。
【0045】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよいが、具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD
−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0046】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態とは別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接このプログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を基底する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0048】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【0049】
また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。例えば、図2において、ステップS11からステップS2の処理と、ステップS3の処理とを並列に行ってもよい。また、図4において、ステップS12からステップS2の処理と、ステップS3の処理とを並列に行ってもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の音響再生装置の機能ブロック図。
【図2】実施例1の音響再生方法のフローチャート。
【図3】実施例2の音響再生装置の機能ブロック図。
【図4】実施例2の音響再生方法のフローチャート。
【図5】音響生成装置の変形例の機能ブロック図。
【図6】サンプル生成部の変形例の機能ブロック図。
【図7】サンプル生成部の変形例の処理を示すフローチャート。
【図8】到来方向θ及び時間間隔d×sinθ/cを説明するための図。
【符号の説明】
【0052】
1,…,n×L 記憶領域
1,…,(n−1)×L+1 記憶領域
10,11 AD変換器
20,21 記憶部
30,31 読出部
40 超音波信号発振器
50 AD変換器
60 振幅変調器
71,…,7n 電気音響変換器
80 シフト部
90,91 サンプル生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調信号を用いて超音波信号が振幅変調された被変調信号のサンプルを順次生成するサンプル生成部と、
上記順次生成された被変調信号のサンプルが記憶される記憶部と、
上記被変調信号のサンプルの内の予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを上記記憶部から読み出す読出部と、
上記複数のサンプルでそれぞれ駆動される複数の電気音響変換器と、
を含む音響再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響再生装置において、
上記記憶部は、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域を有し、
上記音響再生装置は、これらの複数の記憶領域にそれぞれ記憶された各サンプルを順次他の記憶領域に移すシフト部を更に有し、
上記読出部は、予め定められた複数の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出す、
ことを特徴とする音響再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音響再生装置において、
受聴者が知覚する音の到来方向をθ(−90°≦θ≦90°)、上記複数の電気音響変換器の中の互いに隣接する電気音響変換器の間の間隔をd、音速をc、上記サンプリング周波数をfs、f(・)を・の小数点以下を四捨五入切り捨て又は切り上げをして整数を出力する関数としてL=f(fs・d・sinθ/c)、上記複数の電気音響変換器の数をn、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域の数を(n−1)×L+1以上として、
上記サンプル生成部がサンプルを生成する毎に、上記シフト部はiを1≦i≦(n−1)×Lの整数としてi番目の記憶領域に記憶されたサンプルをi+1番目の記憶領域にそれぞれ移すと共に、その生成されたサンプルは上記記憶部の1番目の記憶領域に記憶され、
上記読出部は、jを1≦j≦nの整数として(j−1)×L+1番目の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出す、
ことを特徴とする音響再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の音響再生装置において、
上記記憶部は、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域を有し、
上記サンプル生成部でサンプルが生成される毎に、その生成されたサンプルは上記複数の記憶領域に所定の順番で記憶され、
上記読出部は、互いに予め定められた順番だけ離れた複数の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出す、
ことを特徴とする音響再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の音響再生装置において、
受聴者が知覚する音の到来方向をθ(−90°≦θ≦90°)、上記複数の電気音響変換器の中の互いに隣接する電気音響変換器の間の間隔をd、音速をc、上記サンプリング周波数をfs、f(・)を・の小数点以下を四捨五入切り捨て又は切り上げをして整数を出力する関数としてL=f(fs・d・sinθ/c)、上記複数の電気音響変換器の数をn、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域の数をn×L以上として、
iを自然数として、上記サンプル生成部でi番目のサンプルが生成される毎に、そのi番目のサンプルはi mod n×L番目の記憶領域に記憶され、
上記読出部は、jを1≦j≦nの整数としてi−(j−1)×L mod n×L番目の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出す、
ことを特徴とする音響再生装置。
【請求項6】
変調信号を用いて超音波信号が振幅変調された被変調信号のサンプルを順次生成して、記憶部に記憶するサンプル生成ステップと、
上記被変調信号のサンプルの内の予め定められた時間間隔を有する複数のサンプルを上記記憶部から読み出す読出ステップと、
上記複数のサンプルでそれぞれ複数の電気音響変換器を駆動する電気音響変換ステップと、
を含む音響再生方法。
【請求項7】
請求項6に記載の音響再生方法において、
上記記憶部は、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域を有し、
上記音響再生方法は、これらの複数の記憶領域にそれぞれ記憶された各サンプルを順次他の記憶領域に移すシフトステップを更に有し、
上記読出ステップは、予め定められた複数の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出すステップである、
ことを特徴とする音響再生方法。
【請求項8】
請求項7に記載の音響再生方法において、
受聴者が知覚する音の到来方向をθ(−90°≦θ≦90°)、上記複数の電気音響変換器の中の互いに隣接する電気音響変換器の間の間隔をd、音速をc、上記サンプリング周波数をfs、f(・)を・の小数点以下を四捨五入切り捨て又は切り上げをして整数を出力する関数としてL=f(fs・d・sinθ/c)、上記複数の電気音響変換器の数をn、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域の数を(n−1)×L+1以上として、
サンプルが生成される毎に、上記シフトステップでiを1≦i≦(n−1)×Lの整数としてi番目の記憶領域に記憶されたサンプルをi+1番目の記憶領域にそれぞれ移されると共に、上記サンプル生成ステップではその生成されたサンプルでは上記記憶部の1番目の記憶領域に記憶され、
上記読出ステップは、jを1≦j≦nの整数として(j−1)×L+1番目の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出すステップである、
ことを特徴とする音響再生方法。
【請求項9】
請求項6に記載の音響再生方法において、
上記記憶部は、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域を有し、
上記サンプル生成ステップは、サンプルを生成する毎に、その生成されたサンプルを所定の順序で上記複数の記憶領域に記憶するステップであり、
上記読出ステップは、互いに予め定められた順番だけ離れた複数の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出すステップである、
ことを特徴とする音響再生方法。
【請求項10】
請求項9に記載の音響再生方法において、
受聴者が知覚する音の到来方向をθ(−90°≦θ≦90°)、上記複数の電気音響変換器の中の互いに隣接する電気音響変換器の間の間隔をd、音速をc、上記サンプリング周波数をfs、f(・)を・の小数点以下を四捨五入切り捨て又は切り上げをして整数を出力する関数としてL=f(fs・d・sinθ/c)、上記複数の電気音響変換器の数をn、上記順次生成された被変調信号のサンプルがそれぞれ記憶される複数の記憶領域の数をn×L以上として、
上記サンプル生成ステップは、iを自然数として、i番目のサンプルを生成する毎に、そのi番目のサンプルをi mod n×L番目の記憶領域に記憶するステップであり、
上記読出ステップは、jを1≦j≦nの整数としてi−(j−1)×L mod n×L番目の記憶領域にそれぞれ格納されている複数のサンプルを読み出すステップである、
ことを特徴とする音響再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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