説明

音響再生装置

【課題】 最低限のスピーカを利用し、かつ、装置内の資源を有効利用し、極力多くのチャネル数のマルチチャネルオーディオ再生を可能にする。
【解決手段】 スイッチSW1は、信号処理部12から出力されるマルチチャネルのオーディオ信号のうちセンタチャネルCのオーディオ信号をプリアウト端子TM2に出力するか否かを切り換える。パワーアンプ部13およびリレー部14は、5チャネル分のオーディオ出力系統を有する。スイッチSW2は、そのうちの1チャネル分のオーディオ出力系統に供給するオーディオ信号の選択を行う。その選択肢には、センタチャネルCおよびサラウンドバックチャネルSBが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャネルオーディオ信号の再生に好適な音響再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチチャネルフォーマットのオーディオ信号を再生して視聴するには、AVアンプの他に、多数のスピーカが必要になる。例えば5.1チャネルフォーマットのオーディオ信号を忠実に再生するには、フロントL、フロントR、センタ、サラウンドL、サラウンドRといった5本のスピーカと、サブウーハと呼ばれる超低域音声成分(LFE)の再生のための専用スピーカが必要になる。しかしながら、ユーザの居住環境によっては、このような多くのスピーカを配置することが困難な場合も多い。そのような場合、AVアンプに設けられたプリアウト端子にテレビジョン受像機のモニタ音声入力端子を接続し、5.1チャネルのうちの例えばセンタチャネルのオーディオ信号を、プリアウト端子を介してテレビジョン受像機に送り、同テレビジョン受像機によりセンタチャネルのオーディオ再生を行うといった方法が用いられることがある。この方法によれば、センタチャネルに対応したスピーカを配置することなく、5.1チャネルのオーディオ再生を行うことができる。なお、マルチチャネルオーディオ再生に関する技術文献として、例えば特許文献1がある。
【特許文献1】特開2004−112762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般にAVアンプは、想定しているチャネルフォーマットのオーディオ信号の全てをスピーカにより再生することができるように、サブウーハを除く全チャネルのオーディオ信号を増幅することが可能な数のパワーアンプが設けられている。例えばテレビジョン受像機を利用しないで5.1チャネル対応のAVアンプにより5.1チャネルのオーディオ再生を行う場合には、5本のスピーカがAVアンプに接続され得るので、これらのスピーカを駆動するための5個のパワーアンプがAVアンプに設けられるのである。上述したように、プリアウト端子に接続されたテレビジョン受像機を利用すれば、本来ならば5本のスピーカが必要なところ、4本のスピーカにより5.1チャネルのオーディオ再生を行うことができる。しかし、この場合、AVアンプ内の1個のパワーアンプは有効利用されず、テレビジョン受像機を利用するユーザにとっては無駄なものとなる。
【0004】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、装置内の資源を極力無駄なく利用し、少ない資源により極力多数のチャネルのオーディオ再生を行うことが可能な音響再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、複数チャネルのオーディオ信号を取得して出力するオーディオ信号取得手段と、他の音響再生装置の接続が可能な少なくとも1個のプリアウト端子と、前記オーディオ信号取得手段における1つのチャネルのオーディオ信号を前記プリアウト端子に出力するか否かを切り換える少なくとも1個の第1のスイッチと、前記第1のスイッチを介して前記プリアウト端子に出力され得る1つのチャネルのオーディオ信号と前記オーディオ信号取得手段から出力される他の1つのチャネルのオーディオ信号とを選択可能な少なくとも1個の第2のスイッチと、前記オーディオ信号取得手段から出力されるオーディオ信号に基づきスピーカを駆動するオーディオ出力系統および前記第2のスイッチを介して出力されるオーディオ信号に基づきスピーカを駆動するオーディオ出力系統を含むオーディオ出力回路とを具備することを特徴とする音響再生装置を提供する。
また、この発明は、他の音響再生装置の接続が可能な少なくとも1個のプリアウト端子と、オーディオ信号に基づきスピーカを駆動する複数のオーディオ出力系統を含むオーディオ出力回路と、複数チャネルのオーディオ信号を取得し、各オーディオ信号を前記プリアウト端子またはオーディオ出力回路の1つのオーディオ出力系統に振り分けるオーディオ信号取得手段とを具備することを特徴とする音響再生装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるAVアンプ100の構成を示すブロック図である。このAVアンプ100は、DVD再生装置などのソースから信号を受け取り、音声と映像とを再生する装置である。しかし、本発明の特徴は、音声再生系にあるので、図1ではAVアンプ100における映像再生系の構成は図示が省略されている。
【0007】
図1において、操作部1と表示部2は、AVアンプ100におけるユーザインタフェースとしての役割を果たす。CPU3は、操作部1を介して与えられる指示に従い、AVアンプ100の各部を制御する制御中枢である。入力部11および信号処理部12は、マルチチャネルのオーディオ信号を取得するための手段である。ここで、入力部11は、複数の外部機器接続端子を有しており、個々の外部機器接続端子にはDVD再生装置などの各種の外部機器が接続される。ユーザは、これらの外部機器のうち所望のものを選択する操作を操作部1に対して行うことができる。CPU3は、この操作部1の操作に従い、外部機器の選択指令を入力部11に送る。入力部11は、この選択指令に従って外部機器を選択し、選択した外部機器よって再生される信号を受信する。
【0008】
信号処理部12は、入力部11を介して入力される信号に対して、必要な信号処理を施し、マルチチャネルのオーディオ信号を出力する。DVDなどから再生される信号は、エンコードされている。この種の信号が入力部11を介して入力される場合、信号処理部12は、入力信号にデコード処理を施し、入力信号をマルチチャネルの各信号に分解する。また、信号処理部12は、操作部1を介して与えられる指示に従い、マルチチャネルの各信号にサラウンド処理(音場処理)を施したり、各チャネルの信号のレベルの制御、各チャネル間の信号レベルのバランスの制御を行う。
【0009】
本実施形態における信号処理部12は、2チャネルから6.1チャネルまでの各種チャネルフォーマットのオーディオ信号の出力が可能である。図1に示す例では、フロントLチャネルFL、フロントRチャネルFR、サラウンドLチャネルSL、サラウンドRチャネルSR、センタチャネルC、サラウンドバックチャネルSBチャネルおよびサブウーハチャネルSWの各チャネルからなる6.1チャネルフォーマットのオーディオ信号が信号処理部12から出力されている。これらの各チャネルのうちサブウーハチャネルSWのオーディオ信号は、低域音声成分出力端子TM1に出力される。この低域音声成分出力端子TM1には、アンプを内蔵したサブウーハと呼ばれる低音再生専用スピーカが接続される。
【0010】
AVアンプ100には、スイッチSW1とプリアウト端子TM2が設けられている。スイッチSW1は、信号処理部12から出力されるセンタチャネルのオーディオ信号をプリアウト端子TM2に出力するか否かを切り換えるスイッチである。CPU3は、操作部1の操作により与えられる指示に従い、このスイッチSW1の切り換え制御を行う。センタチャネルのオーディオ信号がプリアウト端子TM2に出力されるようにスイッチSW1が設定された状態において、ユーザは、プリアウト端子TM2にテレビジョン受像機のモニタ音声入力端子を接続し、センタチャネルのオーディオ信号をテレビジョン受像機の音声回路およびスピーカにより再生することができる。
【0011】
パワーアンプ部13およびリレー部14は、オーディオ信号に基づきスピーカを駆動するオーディオ出力回路を構成している。パワーアンプ部13は、入力されるオーディオ信号を増幅する複数のパワーアンプにより構成されている。リレー部14は、パワーアンプからスピーカに過剰な電流が流れないように保護する機能と、AVアンプ100のパワーオン直後の動作が不安定な期間にスピーカに駆動電流が供給されないように制限する機能とを備えている。
【0012】
本実施形態において、AVアンプ100には、5個のスピーカ接続端子T1〜T5が設けられており、パワーアンプ部13およびリレー部14は、これらのスピーカ接続端子に接続されたスピーカをオーディオ信に基づき駆動する5チャネル分のオーディオ出力系統を有している。これらのうち4チャネル分のオーディオ出力系統は、図示の例では、信号処理部12から出力されるFL、FR、SL、SRの4チャネルのオーディオ信号の処理に固定的に割り当てられている。スイッチSW2は、残った1チャネル分のオーディオ出力系統に対して、オーディオ信号を供給するか否か、また、供給する場合には信号処理部12から出力されるセンタチャネルCまたはサラウントバックチャネルSBのいずれのオーディオ信号を供給するかを選択するスイッチである。スイッチSW2および前述したスイッチSW1は例えばアナログスイッチである。CPU3は、操作部1の操作により与えられる指示に従い、このスイッチSW2の切り換え制御を行う。
【0013】
次に、具体例を挙げ、本実施形態の動作を説明する。
<<6.1チャネルのオーディオ再生>>
現在、マルチチャネルオーディオ再生では、5.1チャネルのオーディオフォーマットが主流であるが、最近では6.1チャネルフォーマットのものも用いられるようになってきている。この6.1チャネルフォーマットのオーディオ再生を忠実に行うためには、さらに1個のスピーカとこのスピーカを駆動するためのオーディオ出力系統が余分に必要になる。このような状況に対応した技術として、前掲特許文献1は、少ない本数のスピーカおよびオーディオ出力系統でマルチチャネルフォーマットのオーディオ再生が可能なAVアンプを開示している。このAVアンプは、DVDなどから再生される5.1チャネルのオーディオ信号から1チャネル分のオーディオ信号を仮想的に生成し、これを他のチャネルのオーディオ信号と混ぜ合わせて5.1チャネルのスピーカ接続端子から出力する、という方法により擬似的に6.1チャネルフォーマットのオーディオ再生を行うものである。
【0014】
しかし、本実施形態によれば、スピーカ5本分のオーディオ出力系統しか有しないにも拘わらず、忠実な6.1チャネルのオーディオ再生を完全に行うことができる。具体的には次の通りである。まず、ユーザは、図2に示すように、テレビジョン受像機と各チャネルのスピーカを部屋内の各位置に配置し、サブウーハを低域音声成分出力端子TM1に、FL、FR、SL、SR、SB用の5本のスピーカを5個のスピーカ接続端子T1〜T5に接続する。次にユーザは、操作部1の操作によりCPU3に指示を与え、スイッチSW1を介してセンタチャネルCのオーディオ信号がプリアウト端子に出力され、スイッチSW2を介してサラウンドバックチャネルSBのオーディオ信号がパワーアンプ部13に出力されるように、スイッチSW1およびSW2の設定を行う。
【0015】
この状態において、信号処理部12により6.1チャネルフォーマットのオーディオ信号が出力されると、サブウーハチャネルSBのオーディオ信号は低域音声成分出力端子TM1に接続されたサブウーハに供給され、サブウーハを除く6チャネルのうちFL、FR、SL、SR、SBの5チャネルのオーディオ信号は、パワーアンプ部13およびリレー部14が有する5チャネル分のオーディオ出力系統により処理され、各チャネルに対応したスピーカの駆動が行われる。また、6チャネルのうちセンタチャネルCのオーディオ信号は、プリアウト端子TM2からテレビジョン受像機に供給され、同テレビジョン受像機の音声回路およびスピーカにより再生される。よって、6.1チャネルのオーディオ再生が完全に行われることとなる。
【0016】
<<5.1チャネルのオーディオ再生>>
5.1チャネルのオーディオ再生を行おうとする場合において、視聴環境の制約により、センタチャネルのスピーカを配置することが困難である、という状況があり得る。本実施形態では、このような状況においても、次のようにして、5.1チャネルのオーディオ再生を行うことが可能になる。まず、ユーザは、サブウーハを低域音声成分出力端子TM1に、FL、FR、SL、SRの各チャネルのスピーカをスピーカ接続端子T1〜T4に接続し、プリアウト端子TM2にテレビジョン受像機のモニタ音声入力端子を接続する。そして、プリアウト端子TM2にセンタチャネルCのオーディオ信号が出力され、スイッチSW2はOFF、すなわち、スピーカ接続端子T5に対応したオーディオ出力系統には何もオーディオ信号が供給されないように、スイッチSW1およびSW2の設定を行うのである。このようにすることで、テレビジョン受像機をセンタチャネル再生用として利用し、センタチャネル用スピーカを配置することなく、5.1チャネルのオーディオ再生を行うことができる。
【0017】
<第2実施形態>
図3はこの発明の第2実施形態であるAVアンプ100Aの構成を示すブロック図である。なお、この図において、前掲図1に示されたものと対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
本実施形態と、上記第1実施形態との相違点は次の通りである。
a.上記第1実施形態では、プリアウト端子が1個のみであった。これに対し、本実施形態では、2チャネル分のプリアウト端子TM2LおよびTM2Rが設けられている。テレビジョン受像機がL、R2チャネル分のモニタ音声入力端子を有する場合には、それらをプリアウト端子TM2LおよびTM2Rに接続することが可能である。
b.上記第1実施形態ではセンタチャネルCのオーディオ信号をプリアウト端子に出力するか否かを切り換えるスイッチSW1が設けられていた。これに対し、本実施形態では、FL、FRの各チャネルのオーディオ信号をプリアウト端子TM2L、TM2Rに出力するか否かを切り換えるスイッチSW1LおよびSW1Rが設けられている。
c.上記第1実施形態では、1チャネル分のオーディオ出力系統に供給するオーディオ信号を選択するスイッチSW2が設けられていた。これに対し、本実施形態では、2チャネル分のオーディオ出力系統に供給するオーディオ信号を選択する2個のスイッチSW2LおよびSW2Rが設けられている。
【0019】
本実施形態によれば、次のようなオーディオ再生を行うことができる。
まず、サブウーハを低域音声成分出力端子TM1に、5本のスピーカをスピーカ接続端子T1〜T5に、テレビジョン受像機のL、R2チャネル分のモニタ音声入力端子をプリアウト端子TM2LおよびTM2Rに接続する。そして、操作部1の操作により、スイッチSW2LおよびSW2RによりSBL、SBRの2チャネルのオーディオ信号を選択してオーディオ出力系統に送り、スイッチSW1LおよびSW1RによりFL、FRの2チャネルのオーディオ信号を選択し、プリアウト端子TM2L、TM2Rからテレビジョン受像機に送る。これにより7.1チャネルのオーディオ再生を行うことが可能となる。
5本のスピーカを使用して5.1チャネルのオーディオ再生を行う場合には、スイッチSW1LおよびSW1RはOFF状態とし、スイッチSW2LおよびSW2RによりFL、FRの2チャネルを選択すればよい。
【0020】
3本のスピーカを使用して5.1チャネルのオーディオ再生を行うことも可能である。この場合、スイッチSW2LおよびSW2RはOFF状態とし、スイッチSW1LおよびSW1RによりFL、FRの各チャネルのオーディオ信号をプリアウト端子TM2LおよびTM2Rからテレビジョン受像機に送るようにすればよい。
【0021】
<第3実施形態>
図4はこの発明の第3実施形態であるAVアンプ100Bの構成を示すブロック図である。なお、AVアンプ100Bは、上記第1実施形態、第2実施形態と同様な操作部1、表示部2およびCPU3を有しているが、図面が煩雑になるのを避けるため、図4では図示が省略されている。
【0022】
本実施形態の特徴は、生成された各オーディオ信号をプリアウト端子またはオーディオ出力系統に振り分ける手段を信号処理部12A内に設けた点にある。本実施形態においては、上記第1実施形態におけるスイッチSW1およびSW2、上記第2実施形態におけるスイッチSW1L、SW1R、SW2LおよびSW2Rにより行われる処理に相当するものが、信号処理部12A内の信号処理により行われる。図4に示すように、信号処理部12A内には、信号処理の結果である各チャネルのオーディオ信号(デジタル信号)を順次格納するためのレジスタ21〜28と、これらのレジスタに順次格納されるオーディオ信号をアナログ形式に変換して出力するD/A変換器31〜38と、D/A変換器31〜38の出力信号をパワーアンプ部13、低域音声成分出力端子TM1またはプリアウト端子TM2a、TM2bに出力するか否かを切り換えるためのスイッチ41〜48を有する。本実施形態では、信号処理部12A内において、信号処理により生成された各チャネルのオーディオ信号をレジスタ21〜28のいずれに格納するかが操作部1(図1参照)の操作により切り換えられ、上記第1実施形態および第2実施形態と同様な効果が得られる。
【0023】
図5(a)〜(d)は、本実施形態の動作例を示している。まず、図5(a)に示す例では、レジスタ26にサブウーハチャネルSWのオーディオ信号が格納され、レジスタ21〜25にはFL、FR、SL、SR、Cの各チャネルのオーディオ信号が格納される。レジスタ27および28は使用されない。また、スイッチ41〜46はON、スイッチ47および48はOFFである。このような設定とすることにより、スピーカ接続端子T1〜T5に接続された5本のスピーカと低域音声成分出力端子TM1に接続されたサブウーハにより5.1チャネルのオーディオ再生をすることができる。
【0024】
図5(b)〜(d)に示す動作例も、図5(a)と同様な表記法により各チャネルのオーディオ信号の格納先のレジスタとスイッチ41〜48のON/OFFが示されている。図5(b)に示す例では、スピーカ接続端子T1〜T4に接続された4本のスピーカ、プリアウト端子TM2aに接続されたテレビジョン受像機、低域音声成分出力端子TM1に接続されたサブウーハにより5.1チャネルのオーディオ再生をすることができる。図5(c)に示す例では、スピーカ接続端子T1〜T5に接続された5本のスピーカ、プリアウト端子TM2aに接続されたテレビジョン受像機、低域音声成分出力端子TM1に接続されたサブウーハにより6.1チャネルのオーディオ再生をすることができる。図5(d)に示す例では、スピーカ接続端子T1〜T5に接続された5本のスピーカ、プリアウト端子TM2a、TM2bに接続されたL、R2チャネルのモニタ音声入力端子を有するテレビジョン受像機、低域音声成分出力端子TM1に接続されたサブウーハにより7.1チャネルのオーディオ再生をすることができる。
【0025】
以上説明した各実施形態によれば、ユーザは、最小限のスピーカおよびサブウーハを用意することで、最大限のマルチチャネルオーディオフォーマットを忠実に再生することが可能になる。
【0026】
本発明には、以上説明した実施形態の他にも各種の実施形態があり得る。例えば上記第1実施形態において、スイッチSW1およびSW2は独立に切り換え操作が可能であるが、これらのスイッチ操作をユーザに完全に委ねると、スイッチSW1およびSW2の両方がOFF状態とされることもあり得る。この場合、センタチャネルCのオーディオ信号が再生されないので、マルチチャネルオーディオ再生として不適切なものとなる。そこで、このような不適切なスイッチSW1およびSW2の切り換え操作が行われた場合には、CPU3がその旨を示すメッセージを表示部2に表示するようにすると、ユーザにとって使いやすいAVアンプとなる。他の実施形態についても同様である。また、上記第1実施形態において、スピーカ接続端子T1〜T5およびプリアウト端子TM2におけるスピーカまたはテレビジョン受像機の接続の有無を検出するセンサを設け、CPU3がこのセンサの検出結果に基づき適切なスイッチSW1およびSW2の設定に関する案内メッセージを表示部2に表示するようにしてもよい。例えば次の通りである。
a.5本のスピーカがスピーカ接続端子T1〜T5に接続されており、かつ、プリアウト端子TM2にテレビジョン受像機が接続されている場合には、「スイッチSW1によりセンタチャネルを選択し、スイッチSW2によりサラウンドバックチャネルを選択すると、6.1チャネルオーディオ再生が楽しめます。」というメッセージを表示する。
b.スピーカ接続端子T5にスピーカが接続されておらず、かつ、プリアウト端子TM2にテレビジョン受像機が接続されていない場合には、「このままではセンタチャネルが再生されません。プリアウト端子TM2にテレビジョン受像機を接続して、スイッチSW1によりセンタチャネルを選択するか、あるいはスピーカ接続端子T5にスピーカを接続して、スイッチS2によりセンタチャネルを選択して下さい。」といったメッセージを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1実施形態であるAVアンプの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態におけるスピーカおよびテレビジョン受像機の配置例を示す図である。
【図3】この発明の第2実施形態であるAVアンプの構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の第3実施形態であるAVアンプの構成を示すブロック図である。
【図5】同実施形態の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
11……入力部、13……パワーアンプ部、14……リレー部、TM2,TM2L,TM2R……プリアウト端子、SW1,SW1L,SW1R……第1のスイッチ、SW2,SW2L,SW2R……第2のスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数チャネルのオーディオ信号を取得して出力するオーディオ信号取得手段と、
他の音響再生装置の接続が可能な少なくとも1個のプリアウト端子と、
前記オーディオ信号取得手段における1つのチャネルのオーディオ信号を前記プリアウト端子に出力するか否かを切り換える少なくとも1個の第1のスイッチと、
前記第1のスイッチを介して前記プリアウト端子に出力され得る1つのチャネルのオーディオ信号と前記オーディオ信号取得手段から出力される他の1つのチャネルのオーディオ信号とを選択可能な少なくとも1個の第2のスイッチと、
前記オーディオ信号取得手段から出力されるオーディオ信号に基づきスピーカを駆動するオーディオ出力系統および前記第2のスイッチを介して出力されるオーディオ信号に基づきスピーカを駆動するオーディオ出力系統を含むオーディオ出力回路と
を具備することを特徴とする音響再生装置。
【請求項2】
他の音響再生装置の接続が可能な少なくとも1個のプリアウト端子と、
オーディオ信号に基づきスピーカを駆動する複数のオーディオ出力系統を含むオーディオ出力回路と、
複数チャネルのオーディオ信号を取得し、各オーディオ信号を前記プリアウト端子またはオーディオ出力回路の1つのオーディオ出力系統に振り分けるオーディオ信号取得手段と
を具備することを特徴とする音響再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−222765(P2006−222765A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34635(P2005−34635)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】