説明

音響再生装置

【目的】 歌詞カードを見なくても、原曲に合わせたカラオケ練習が可能になる。
【構成】 ディスクDのデータエリアには、原曲と、その原曲の伴奏曲が記録されている。光ヘッドHにより原曲を1曲通して再生し、曲を聞きながら切換えたい箇所を入力部6から入力すると、切換箇所に関する情報がRAM5cなどに記録される。再生時には前記切換箇所に関する情報が参照されて、原曲と伴奏曲とが同じ曲の部分にて交互に再生される。聴取者は原曲の一部を聞き、その曲と同じ部分の伴奏曲に合せて歌うことができ、歌詞カードを見なくてもカラオケ練習ができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同じ記録媒体または異なる記録媒体に記録された原曲と、この原曲の伴奏曲とを交互に再生できるようにして、いわゆるカラオケ練習を可能とした音響再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のカラオケ用の音響再生装置では、CD(コンパクトディスク)やLD(レーザディスク)から伴奏曲のみが再生されるようになっている。また最近ではシングルCDなどの同じディスク内に、伴奏曲および歌声から成る原曲と、この原曲の伴奏曲とが共に記録されたものも普及している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記伴奏曲のみが再生されるカラオケ用の音響装置の場合には、歌声を含む原曲が再生されないため、十分に練習をしていない曲の場合には、伴奏曲の抑揚に歌声を合せることができない。また原曲と伴奏曲とが共に記録されたシングルCDなどを再生する場合、原曲を全て聞いてから伴奏曲を再生することになるため、原曲を繰返して十分に聞いてからでないと、伴奏にうまく合せて歌うことができない。また上記シングルCDを自動車に搭載された音響再生装置にて再生する場合、運転中に歌詞カードを見るわけにはいかないため、伴奏曲に合せて正確な歌詞にて歌うことができない。
【0004】本発明は上記従来の課題を解決するものであり、原曲と伴奏曲とを交互に聞くことができるようにして、例えば歌詞カードを見なくても歌の練習をすることができるようにした音響再生装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による音響再生装置は、原曲が記録される第1の記録部とこの原曲の伴奏曲のみが記録される第2の記録部とが同じ記録媒体または異なる記録媒体に設けられ、前記第1の記録部と第2の記録部とから曲を再生する読取り手段と、前記原曲と伴奏曲の同じ曲部分を交互に再生するように前記読取り手段を制御する制御手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0006】上記において、原曲と伴奏曲との切換箇所を指示する入力部と、この切換箇所を時間またはデータ長にて記憶する記憶部とが設けられ、制御手段にてこの記憶内容に基づいて原曲と伴奏曲の再生が交互に切換えられるものとすることが可能である。
【0007】さらに本発明による音響再生装置は、原曲が記録される第1の記録部とこの原曲の伴奏曲のみが記録される第2の記録部とが同じ記録媒体または異なる記録媒体に設けられ、前記第1の記録部と第2の記録部とから曲を再生する読取り手段と、第1の記録部に原曲の録音と同時にまたは録音とは別に切換箇所の情報を書込む書込み手段と、前記読取手段にて読取られた前記切換箇所の情報に基づき前記原曲と伴奏曲の同じ曲部分を交互に再生するように前記読取り手段を制御する制御手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】上記において、記録媒体はコンパクトディスク(CD)、シングルCD、再生専用のミニディスク(MD)などであり、これらのディスク1枚の中に原曲が記録された第1の記録部と伴奏曲のみが記録された第2の記録部とが設けられているものが使用される。あるいは、同じ種類のディスクが2枚使用され、またはコンパクトディスクとミニディスクなどの組み合せにて異なる種類のディスクが2枚使用され、一方のディスクに原曲が記録された第1の記録部が設けられ、他方のディスクに伴奏曲のみが記録された第2の記録部が設けられたものとすることができる。あるいは第1の記録部と第2の記録部とを共にICカードや、内蔵メモリに設け、または第1と第2の記録部の一方を前記いずれかの種類のディスクに設け、他方をICカードや内蔵メモリに設けてもよい。
【0009】また、前記第3の手段において、いずれかの記録部に書込み手段による書込みを行う場合には、第1と第2の記録部の双方、またはいずれか一方の記録部が、書込みと読取り兼用のミニディスク、あるいはICカードや内蔵メモリに設けられる。
【0010】また読取り手段と書込み手段は、使用される記録媒体がディスクの場合には、再生専用または記録・再生兼用の光ヘッドであり、使用される記録媒体がICメモリや他のメモリの場合にはメモリコントローラなどである。
【0011】
【作用】上記第1の手段では、同じ記録媒体または異なる記録媒体に第1の記録部と第2の記録部とが設けられたものが使用される。記録媒体がディスクの場合には、このディスクから読み取られたTOC(Table of Contents)データが参照され、記録媒体がICカードや内蔵メモリなどである場合には、これらに記憶されたインデックスデータが参照されて再生動作が行われる。この再生動作では、まず第1の記録部に記録された原曲(伴奏曲と歌声を含む曲)の一部分が再生され、次に第2の記録部に記録された伴奏曲のうち原曲の再生箇所と同じ部分が再生される。次に第1の記録部に記録された原曲の残りの一部が再生され、次に第2の記録部に記録された同じ曲部分の伴奏曲が再生され、以後これが繰返される。
【0012】このときの曲の切換箇所であるが、一定の時間間隔(例えば5秒〜10秒ごと)にて原曲と伴奏曲とが切換えられるようにしてもよい。ただしこの場合に区切りの悪い箇所にて曲が切換えられることになるため、例えば予め曲の区切りの良い切換箇所をTOCデータまたはインデックスデータに記録しておき、再生に先だってTOCデータまたはインデックスデータを読取りメモリに記憶しておき、このTOCデータまたはインデックスデータの切換箇所を参照して、原曲と伴奏曲とを切換えるようにしてもよい。
【0013】また、第2の手段では、TOCデータやインデックスデータに曲の切換箇所の情報を含ませることなく、この曲の切換箇所の情報を制御手段内のメモリなどに記憶させるようにする。例えば、最初に第1の記録部を再生して原曲を全て聞き、聴取者が原曲を聞いているときに、自分で区切りたいと思った箇所にて入力部に設けられたいずれかの操作釦を押す。記録媒体が例えばコンパクトディスク(CD)などである場合には、再生される音響データと共にサブコードデータが読出され、メモリまたはレジスタなどに記憶される。このサブコードデータには再生中の曲の時間や累計の再生時間を示すタイムコードや曲番などのデータが含まれ、あるいはデータの再生絶対位置を示すデータなどが含まれる。前述のように聴取者が原曲を再生しているときに操作釦が押されると、制御部では、前記サブコードデータに基づき、操作釦が押されたときのその原曲の再生位置が時間情報または再生されたデータ長として認識され、その時間またはデータ位置が主制御部内のメモリなどに記憶される。
【0014】原曲を全て再生し、操作釦により全ての切換箇所が入力され、例えば次に再生釦が押されると、原曲と伴奏曲とが交互に再生される。このとき、前記メモリなどに記憶された時間情報やデータ長の情報に基づき、制御部ではまず第1の記録部から原曲が再生され、最初の切換箇所に至った後に、第2の記録部からの再生動作となり、伴奏曲が前記原曲と同じ時間長またはデータ長だけ再生される。さらに第1の記録部から原曲が再生され、次の切換箇所の時間またはデータ長となったときに第2の記録部から伴奏曲が同じ時間またはデータ長だけ再生される。そしてこれを繰返すことになる。
【0015】前記第3の手段では、記録媒体として書込みと読取り兼用のミニディスクやその他の書込みと読取りが可能なICカードや内蔵メモリなどが使用される。まずミニディスクレコーダなどを使用して第1の記録部に原曲を録音する際に、この録音と同時に、聴取者が原曲の切換箇所をレコーダの操作釦により任意に入力する。記録媒体には、原曲の録音と同時に切換箇所の情報が記録される。あるいは第1の記録部に原曲を録音した後に新ためて第1の記録部に切換箇所の情報を入力することも可能である。
【0016】次に上記記録媒体を用いて録音と同じ機器にて、あるいは異なるプレーヤにて再生動作を行うと、第1の記録部から原曲が再生され、またその記録部から最初の切換箇所の情報が読出され、次に第2の記録部からの読取りに切換えられ、第2の記録部から伴奏曲が同じ時間またはデータ長だけ再生される。そしてこれが繰返される。上記のように、原曲と伴奏曲とが一部分ずつ繰返して再生されるため、原曲を部分的に聞いた後にすぐその部分の伴奏曲を聞くことができ、歌詞カードを見ることなくカラオケの練習ができることになる。特に自動車を運転しているときに、歌詞カードを見る必要がないため、運転の安全性を保つことができる。
【0017】前記第2の手段および第3の手段のように、原曲と伴奏曲の切換箇所を操作釦により任意に入力できるようにすることにより、曲の特徴や聴取者の歌の好みに応じた切換箇所を設定することが可能になる。また、原曲と伴奏曲との切換え時に、「ピー」などの音の発信音を出すようにしてもよい。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明する。図1は本発明の第1実施例の音響再生装置を示す回路ブロック図、図2は切換箇所の情報の入力動作を示す説明図、図3は原曲と伴奏曲が交互に再生される状態を示す説明図、図4は再生動作を示すフローチャートである。図1は、車載用の音響再生装置を示している。この音響再生装置に装填される記録媒体としてのディスクDは、いわゆるシングルCDである。ディスクDには、リードイン側にTOCエリアが設けられ、それよりも外周の部分にデータエリアが設けられている。データエリアには、例えば2曲の原曲(伴奏曲と歌声が録音されたもの)が記録され、その後に前記2曲の原曲と同じ曲の伴奏曲(カラオケ曲)が記録されている。この場合2曲の原曲が記録されている部分が第1の記録部で、2曲の伴奏曲が記録されている部分が第2の記録部となる。
【0019】データエリアに記録されているデータは、前記各曲が符号化された音響データとフレームごとに設けられたサブコードデータとから成る。サブコードデータには、曲番号(曲の識別データ)と、それぞれの曲の先頭からの再生時間および全曲の累計の再生時間を示すタイムコードなどが記録されている。またTOCエリアにはTOCデータが記録されている。このTOCデータは、それぞれの曲の曲番号や、それぞれの曲の開始時間(開始位置)と終了時間(終了位置)などを示すデータである。音響再生装置に上記ディスクDが挿入されると、搬入ローラなどにより引き込まれ、ターンテーブル11上にクランプされる。ターンテーブル11はスピンドルモータMにより回転駆動される。ターンテーブル11およびスピンドルモータMが、ディスクの回転駆動機構を構成している。
【0020】ディスクDには読取り手段として光ヘッドHが対向する。光ヘッドH内の半導体レーザから発せられたレーザ光は対物レンズLによりディスクDの記録面に集束される。ディスクの記録面のピットにて変調された戻り光は光ヘッドH内の受光素子により検出されるが、光ヘッドHでの検出出力(再生出力または読取り出力)のうちのRF出力はRFアンプ1に送られ、増幅され且つ波形整形されてデコーダ2に送られる。デコーダ2では、波形整形されたRF信号から音響データ、TOCデータ、サブコードデータとパリティなどが得られる。音響データに対してはパリティにより誤り訂正がなされ、音響データが復調される。そして音響データはD/A変換器(ディジタル−アナログ変換器)3によりアナログ信号に変換され、オーディオ出力(音響出力)となる。主制御部(システムコントローラ)4は、制御プログラムが格納されるROM5b、および制御プログラムに基づく処理動作を実行するCPU5aと、各種データが記憶されるメモリ(記憶部:RAM)5c、さらにはレジスタなどから構成されている。デコーダ2にて得られたTOCデータとサブコードデータは経路(イ)により主制御部4に与えられる。TOCデータはメモリ(RAM)5cに保持される。またサブコードデータもメモリ5cに保持されあるいは主制御部4内のレジスタに保持される。また入力部6は各種操作釦を有し、主制御部4に再生動作などの指示を行うものである。
【0021】駆動制御部(サーボコントローラ)8は、主制御部4により制御される。光ヘッドH内の4分割受光部などにより得られたトラッキングエラー信号とフォーカスエラー信号は経路(ロ)により駆動制御部8に与えられる。駆動制御部8から与えられるトラッキングサーボ信号とフォーカスサーボ信号とにより、光ヘッドH内にてトラッキング補正動作およびフォーカス補正動作が行われる。また光ヘッドHは、光ヘッド駆動手段9によりディスクDの半径方向へ送られる。この光ヘッド駆動手段9は、例えばモータドライバ、モータ、およびこのモータにより駆動されるスクリュー軸を有し、光ヘッドHがこのスクリュー軸に螺合され、スクリュー軸の回転に伴ってディスクDの半径方向へ駆動される。前記スピンドルモータMはモータ駆動手段(モータドライバ)10により定速駆動される。なお、光ヘッド駆動手段9とモータ駆動手段10は、駆動制御部8にて制御される。
【0022】つぎに、上記構成の音響再生装置の動作について説明する。図1に示す音響再生装置では、同じディスクDのデータエリアの、第1の記録部に記録されている原曲と、第2の記録部に記録されている前記原曲と同じ曲の伴奏曲とが一部分ずつ交互に再生される。原曲と伴奏曲との切換えのタイミング(切換箇所)の設定としては種々の方法があるが、最も基本的なのは一定時間ずつ原曲と伴奏曲とを切換える方法である。この場合には、主制御部4内のROM5bに格納したプログラムにて、例えば10秒ごとに原曲と伴奏曲とを切換える動作をカラオケ練習モードとして設定しておく。また入力部6の操作釦の入力により、原曲と伴奏曲とを切換える時間を任意に設定できるようにしてもよい。
【0023】再生動作としては、まずディスクDがターンテーブル11に装填されると、スピンドルモータMによりディスクDが回転駆動され、光ヘッド駆動手段9により光ヘッドHがディスクDのリードイン位置へ移動させられて、光ヘッドHによりリードイン位置のTOCデータが読出される。このTOCデータはデコーダ2から主制御部4へ送られ、メモリ(RAM)5cに記憶される。入力部6の操作釦により「カラオケ練習モード」の設定入力を行い、さらに操作釦により希望する原曲(例えば2曲目)の選択指示が入力されると(図4のST1参照)、主制御部4では、まずメモリ5cに記憶されたTOCデータを参照して選択された曲の曲番(例えば2曲目)の位置が算出され、駆動制御部8にサーチ動作の指令が出される。これに基づき光ヘッド駆動手段9により光ヘッドHが希望する原曲の開始位置へ移動し、曲の開始位置がサーチされる。そして原曲の再生が行われ、デコーダ2およびD/A変換器3を経て原曲がスピーカから流れる(ST2)。この間、ディスクから音響データと共に読出されたサブコードデータが主制御部4内のメモリ5cまたはレジスタに順次読み込まれ、その曲の先頭からの再生時間が常に認識できるようになっている。
【0024】前記サブコードデータ内のタイムコードを参照して、前記のように予め設定されていた時間(例えば10秒間)に至ったと判断されると(ST3)、主制御部4から駆動制御部8に再生切換えのための指令が出される。このときにはTOCデータが参照され、ディスクの第2の記録部に記録されている伴奏曲のうちの前記原曲と同じ曲の伴奏曲の開始位置がサーチされる。駆動制御部8により制御された光ヘッド駆動手段9により光ヘッドHが前記伴奏曲の開始位置へ移動させられ、伴奏曲が再生される(ST4)。このときも伴奏曲の音響データと共にサブコードデータがデコーダ2にて復調され、主制御部4のRAM5cまたはレジスタに送られる。CPU5aでは、このサブコードデータ内のタイムコードを参照し、原曲が再生された部分と同じ部分(同じ時間)だけ伴奏曲が再生されたか否か監視する(ST5)。伴奏曲が同じ時間だけ再生されると、原曲の再生に切換えられる。このときに前回の原曲の再生の終了時点でRAM5cに記憶されていたサブコードデータが参照され、光ヘッドHにより前回再生した原曲の続きの部分がサーチされ、その位置から原曲が再度再生される(ST2)。これを繰返すことにより、原曲と伴奏曲が同じ時間(例えば10秒毎)繰返して再生される。そして伴奏曲が1曲分全て再生されたと判断されたときに(ST6)、再生を終了する(ST7)。
【0025】このように、原曲と伴奏曲の同じ曲の部分が一部ずつ交互に再生されるので、聴取者は、原曲を聞いてリズムや歌詞を覚え、その直後に同じ部分の伴奏曲の再生に合せて歌うことができる。ただし、上記のようにROM5bに格納されたプログラムなどにより、原曲と伴奏曲との切換間隔を、例えば10秒間のように一定時間に決めた場合、原曲と伴奏曲との切換が歌詞の言葉の途中となったり、あるいは曲の抑揚の途中となったりして現実的でない。
【0026】そこで、ディスクDに記録された原曲の特徴に合わせた切換箇所の情報をTOCデータに記録しておくことにより、より現実的なカラオケ練習が可能になる。前述のようにディスクDがターンテーブル11に装填された直後に、光ヘッドHによりTOCデータが読出され、これが主制御部4のRAM5c内に記憶される。したがって、ディスクDにデータを記録する際に、TOCデータ内に切換え箇所を示すデータを付加しておけば、ディスクDが装填されたときにTOCデータ内の切換箇所のデータも一緒にメモリ(RAM)5cに記憶されることになる。この切換箇所を示すデータは、原曲と伴奏曲との切換箇所をタイムコードデータとしたもの、またはデータ長の情報にしたものである。
【0027】入力部6の操作釦により「カラオケ練習モード」を設定し、且つ再生釦を押すと、図4に示したのと同様に、最初に原曲の開始位置がサーチされ、原曲の一定長さの部分が光ヘッドHにより読出されオーディオ出力となる。このときCPUでは、RAM5cに記憶されたTOCデータ内の切換箇所に関するデータと、順次読出されるサブコードデータのタイムコードとが比較され、切換箇所に至ったら(図4のST3)、伴奏曲の再生に切換えられる。そして、伴奏曲の再生長(再生時間)が原曲と同じ長さに至ったときに(ST5)、再生が原曲に切換えられる。そしてその曲の伴奏曲の終了まで切換えが繰返される。このように、TOCデータに切換箇所のデータを含ませておくと、その曲の特徴に合わせて、原曲と伴奏曲とが切換えられるようになる。
【0028】また、TOCデータに切換箇所のデータを含ませなくても、聴取者の入力操作により原曲と伴奏曲との切換箇所を任意に設定することも可能である。その動作としては、まず入力部6の操作釦により、ディスクDの第1の記録部に記録されたいずれかの原曲を指定して、その原曲を1曲通して再生する。聴取者は再生されている原曲を聞きながら、入力部6の所定の操作釦を押す。例えば図2(A)に示すように、原曲12aを聞いている途中で、その抑揚や歌詞の区切りに合せて、伴奏曲へ切換えたいと思う位置(時刻)(I,II,III,…)を操作釦にて入力する。この操作入力は主制御部4のCPUにて判読され、メモリ(RAM)5cにてサブコードデータのタイムコードデータと共に記憶される。あるいは、原曲の再生の際に順次読み取られてくるサブコードデータのタイムコードデータと、入力部6の操作入力に基づき、CPU5aでは、曲のそれぞれの部分(A,B,C,…)の開始位置(開始時刻)と時間長(データ長)またはA,B,C,…の終了位置(終了時刻、切換時刻)が、時間長またはデータ長として演算され、その結果が切換情報データとしてRAM5cに記憶される。
【0029】原曲の再生が完了した後に、入力部6の操作釦により「カラオケ練習モード」が設定され、さらに再生釦が押されると、前記原曲12aの開始位置がサーチされ、原曲12aが操作釦が最初に押されたIの位置まで再生される(A部分)。主制御部4にて、読取られた原曲のサーブコードデータのタイムコードと前記切換情報データとが比較され、A部分の再生が完了したと判断されると、光ヘッドHが第2の記録部へ移動し、原曲12aと同じ伴奏曲12bの開始位置がサーチされ、伴奏曲12bが再生される。伴奏曲の再生の際に読出されるサブコードデータのタイムコードにより原曲のAの部分と同じ長さのaの部分が再生されたと判断されると、再度原曲12aがIの位置からBの長さだけ再生される。次に伴奏曲12bのbの部分(Bと同じ曲部分)が再生される。その結果、図3に示すように原曲と伴奏曲の同じ曲部分がA−a−B−b−C−c…の順に切換えられて再生されることになる。
【0030】なお、I,II,III,…の時点で入力部6から入力され、RAM5cに記憶された切換情報データは、「カラオケ練習モード」が解除されるまでRAM5cに保持され続ける。この例では、実際に曲を聞きながら、原曲と伴奏曲とを切換えたいと思う箇所を聴取者自ら入力できるので、自分の好みに合わせた曲の切換えが可能である。またTOCデータなどに特別のデータを含ませる必要がないので、伴奏曲が含まれた市販のシングルCDなどをそのまま使用できる。また音響再生装置の構造としては従来のCDプレーヤと同じでよく、ROM5bに格納するプログラムにカラオケ練習モードに関する制御動作フローを含ませるだけでよいため、車載用や家庭用のCDプレーヤにオプションとして簡単に付加できる。
【0031】図5は、記録媒体のディスクDとしてミニディスク(MD)が使用されるものであり、録音と再生が可能な音響再生装置を示している。ミニディスクを使用する音響再生装置では、記録しようとうするアナログ音響情報がA/Dコンバータ21によりディジタル化され、圧縮エンコーダ22により可聴域の情報を主体としたデータとして圧縮されて符号化される。前記圧縮エンコーダ22により圧縮符号化されたデータはメモリ(バッファメモリ)24に記憶され、記憶された情報はメモリコントローラ23の制御によりミニディスクへの記録タイミングに合わせてエンコーダ25に送られる。記録データは、エンコーダ25によりフォーマット化されヘッド駆動部26に出力される。ヘッド駆動部26では、前記フォーマット化されたデータに基づいて変調された変調電流が形成され、この変調電流が磁気ヘッド27に送られる。同時に光ヘッド28からのレーザ光束によりディスクDが加熱され、磁界変調によりディスクに記録が行われる。
【0032】再生時にはディスクDから読出され波形整形部32にて波形整形されたデータが、デコーダ33によりデフォーマット化され、メモリコントローラ23によりメモリ24に所定量記憶される。記憶されたデータは、メモリコントローラ23の制御により、所定量読出され伸長デコーダ34に出力される。メモリ24はショックプルーフとして機能する。伸長デコーダ34では、前記メモリ24から読み出された圧縮データが伸長されてディジタル情報として復元され、このディジタル情報がD/Aコンバータ35によりアナログ信号に変換されてオーディオ出力となる。光ヘッド28と磁気ヘッド27とで書込み手段が構成され、また光ヘッド28により読取り手段が構成される。光ヘッド28は、前述のように記録時にはレーザ光によりディスクDの記録面を加熱し、再生時にはディスクDからのレーザ戻り光が検出される。光ヘッド28は光ヘッド駆動手段29によりディスクDの半径方向へ移動制御され、またレーザ光の照射強度が制御される。
【0033】符号30はスピンドルモータを含むモータ駆動手段であり、このモータ駆動手段30は、駆動制御部31からの制御により、対物レンズLにより照射されるレーザ光のスポットとディスクDの記録面の線方向の相対速度が常に一定になるように回転力を出力する。光ヘッド駆動手段29およびモータ駆動手段30は、駆動制御部31により制御される。主制御部4は図1に示したのと同様にCPU5a、ROM5b、メモリ(RAM)5cおよびレジスタなどを備えたものである。入力部6は各種操作釦が配列されたものである。ミニディスク(MD)では、TOCエリアに、記録された曲の曲番や記録位置に関するデータが記録されている。1枚のミニディスクが使用される音響再生装置では、同じディスクのデータエリアに、複数の原曲と、その原曲と同じ曲の複数の伴奏曲とが記録される。データエリアのうち原曲が記録されている部分が本発明での第1の記録部となり、伴奏曲が記録されている部分が第2の記録部となる。
【0034】図5に示したミニディスクを使用する音響再生装置では、原曲と伴奏曲とを繰返す際の切換えを、図1の実施例にて説明したのと同じに行うことができる。例えばROM5bに格納されたプログラムにより、第1の記録部の原曲と第2の記録部の伴奏曲とを、例えば10秒などの同じ時間間隔にて繰返して再生してもよいし、あるいは特殊な記録プログラムを用いてTOCエリアのTOCデータに、原曲と伴奏曲との切換え箇所のデータを含ませてもよい。または図2と図3に示したように、最初に原曲を1曲通して聞きながら、入力部6の操作によりI,II,IIIのように切換え箇所を入力し、入力された切換箇所に関するデータをRAM5cなどに記憶するようにしてもよい。
【0035】ただし、図5に示すような記録可能な音響再生装置を使用する場合には、ミニディスクに原曲を録音する際に切換箇所に関するデータを一緒にディスクに書き込むことができる。例えば、録音中の原曲を聞きながら伴奏曲との切換箇所にて入力部6の操作釦を押す。操作釦が押されたときに、予め決められた切換箇所を示すコードをメモリ(RAM)5cなどからエンコーダ25に送り、音響データと共に記録されるサブコードデータ内に切換箇所を意味するコードを付加してディスクDのデータエリアに記録する。
【0036】再生の際には、デコーダから送られるサブコードデータから、主制御部4にて切換箇所を意味するコードを読取り、このとき原曲から伴奏曲へ再生を切換えるようにする。これにより、原曲を録音する際に聴取者が希望する位置に伴奏曲との切換箇所に関するデータを加えることができるようになる。また、ミニディスクのようにデータを圧縮して記録し、また伸長して復調する音響再生装置では、原曲と伴奏曲との切換えの際の無音時間を短くできる。図1に示すCDを用いた音響再生装置では、ディスクDの原曲の一部分の再生が終了した後に伴奏曲Cの再生開始位置をサーチし、それから再生を開始し、次に原曲の再生開始位置をサーチして再生を再開するため、原曲と伴奏曲との切換時に図3にて符号13で示す無音時間が長く発生する。
【0037】しかし、図5に示すミニディスクなどを使用する音響再生装置では、再生動作時に光ヘッド28により読み取られ、デコーダにて復調された圧縮データがメモリ24に一時的に保存され、その後に伸長デコーダ34によりデータ伸長されてオーディオ出力となる。したがって、実際に光ヘッド28によりディスクからデータを読出している時間は、曲の時間よりも短くなっており、通常はこの時間差分だけ、光ヘッド28がディスクの記録トラックの同じ部分をスキップ走査するようになっている。したがって、例えば原曲のある部分のデータを光ヘッド28が読取り終わった直後に、伸長デコーダ34にてデータが伸長されている時間を利用して、光ヘッド28により伴奏曲の開始位置のサーチを開始することができる。このような制御を行うことにより、原曲と伴奏曲との切換えの際の無音時間を短くできる。また図1R>1と図5の実施例において、再生動作時に原曲と伴奏曲との切換えの際に、スピーカから発信音やチャイム音が流れるようにすることも可能である。さらに、例えば図3R>3においてBとbで示すように同じ部分の原曲と伴奏曲とをリピート再生できるようにし、同じ部分のカラオケ練習が繰返しできるようにし、リピート動作を操作釦により解除したときに、原曲の次のCの部分に移行させるようにしてもよい。
【0038】なお、図1と図5に基づいて説明した実施例では、CDやMDなどの1枚のディスクに、原曲を記録した第1の記録部と伴奏曲を記録した第2の記録部とが設けられたものとなっているが、例えば2枚のCDあるいは2枚のMDまたはCDとMDが同時に再生できるようになっている音響再生装置、あるいはCDまたはMDとカセットテープとが同時に再生できるようになっている音響再生装置の場合には、一方の記録媒体に原曲を記録し他方の記録媒体に伴奏曲を記録し、両記録媒体を交互に再生動作させるようにすることもできる。また、記録媒体として音響データを圧縮して記録できるICカードや大容量の内蔵メモリを使用することができる。この場合、CDやMDなどを再生し原曲または伴奏曲をICカードやメモリに記録し、同時に曲の切換箇所に関する情報も一緒にICカードやメモリに記録しておく。そしてCDまたはMDなどとICカードやメモリなどから交互に原曲と伴奏曲を読出すようにしてもよい、ICカードやメモリを使用する場合、読取り手段と書込み手段はメモリコントローラとなる。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明では、原曲と伴奏曲とが一部分ずつ交互に再生されるため、原曲を部分的に聞き、その直後に同じ部分の伴奏曲を聞いて歌うことができるので、カラオケ練習としては最適なものとなる。また車載用の場合には、運転中などに歌詞カードを見ることなくカラオケ練習が可能になる。
【0040】また原曲と伴奏曲との切換箇所を、その曲の特徴や好みに合せて設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の音響再生装置を示す回路構成ブロック図、
【図2】原曲と伴奏曲の切換箇所の入力指示を説明する説明図、
【図3】原曲と伴奏曲との交互の再生動作を説明する説明図、
【図4】本発明の第1実施例の音響再生装置の動作を説明するフローチャート、
【図5】本発明の第2実施例の音響再生装置を示す回路構成ブロック図、
【符号の説明】
1 RFアンプ
2 デコーダ
3 ディジタル/アナログ変換器
4 制御部
5a CPU
5b ROM
5c RAM
6 入力部
8 駆動制御部
9 光ヘッド駆動手段
10 モータ駆動手段
12a 原曲
12b 伴奏曲
A〜C 原曲の再生部分
a〜c 伴奏曲の再生部分
D ディスク
H 光ヘッド
M スピンドルモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 原曲が記録される第1の記録部とこの原曲の伴奏曲のみが記録される第2の記録部とが同じ記録媒体または異なる記録媒体に設けられ、前記第1の記録部と第2の記録部とから曲を再生する読取り手段と、前記原曲と伴奏曲の同じ曲部分を交互に再生するように前記読取り手段を制御する制御手段とが設けられていることを特徴とする音響再生装置。
【請求項2】 原曲と伴奏曲との切換箇所を指示する入力部と、この切換箇所を時間またはデータ長にて記憶する記憶部とが設けられ、制御手段にてこの記憶内容に基づいて原曲と伴奏曲の再生が交互に切換えられる請求項1記載の音響再生装置。
【請求項3】 原曲が記録される第1の記録部とこの原曲の伴奏曲のみが記録される第2の記録部とが同じ記録媒体または異なる記録媒体に設けられ、前記第1の記録部と第2の記録部とから曲を再生する読取り手段と、第1の記録部に原曲の録音と同時にまたは録音とは別に切換箇所の情報を書込む書込み手段と、前記読取手段にて読取られた前記切換箇所の情報に基づき前記原曲と伴奏曲の同じ曲部分を交互に再生するように前記読取り手段を制御する制御手段とが設けられていることを特徴とする音響再生装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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