説明

頚椎矯正具

【課題】日常生活での活動性の低下及び前傾姿勢を伴う不良姿勢から増加傾向にある頚椎の平坦化及び彎曲の減少を予防し、自宅で自由な時間及び就寝時に頚椎矯正具で頚椎の生理的彎曲を形成することができる。
【解決手段】弾性体10上面2の前面側10aから後面側10bに向けて下向きの曲面1を形成し、弾性体の前面側10aには中心線に沿って、長手方向に空洞1aの縦溝1b及び、その縦溝の両端に頚椎横突起受部1cを設けると共に、後面側の平坦部中央には後頭部凸部を納める半球状の後頭部凹部1eを設けた。また、弾性体の上面2に設けた下向きの曲面1をS字状カーブに形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頚椎の矯正や姿勢の矯正に用いる頚椎矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の頚椎矯正具(特許公開公報2001−178755)は弾性を有する直方体で中央長手方向に貫かれた溝に形成された後頭部落込み部に後頭部を載せ、頚部受部に頚部を載せる事により頭部の重量で乳様突起置部7を支点に、顎が上がり頭部が回転し頚部が降下することで、頚椎を伸ばしていたが実用上十分であった。
【0003】
しかし、頚椎は重い頭部を後方で支えるために前彎(生理的彎曲)を形成しているが、日常生活での活動性の低下及び前傾を伴う不良姿勢から上位頚椎に歪みを招き、頚椎の彎曲が低下し、理想的な頚椎の前彎(生理的彎曲)が失われ上位頚椎から下の背骨にそれに見合った代償作用が起こる。頚椎の前彎が低下すると頚椎の平坦化(ストレートネック)が進みその結果、頭部の重心軸の前方移動、関節の支持性低下等を誘発し、頚部痛、肩こりを誘発しているのが現状である。
【0004】
頭部の安定保持には後頭骨と上位頚椎(第1頚椎・第2頚椎歯突起)の重心軸の改善、及び、頚椎の前彎(生理的彎曲)の維持が必要であり、仰向位で後頭部を下げることで頚椎を反らして伸ばす従来の技術では頚椎の矯正には不十分であった。
【特許文献1】特許公開公報2001−178755号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人体は背骨がゆるやかなS字を描くような正しい姿勢(生理的彎曲)を維持し続けることは非常に困難であるが、頚椎彎曲の減少傾向を防ぐには、頚椎矯正具を使用し就寝時に上位頚椎の生理的彎曲を保つ姿勢で、酷使し緊張した関節、筋肉を休めてやる必要がある。
【0006】
従来の頚椎矯正具は、弾性を有する直方体で中央長手方向に貫かれた溝に設けた傾斜部に後頭部を平坦部に頚部を載せ、後頭部を下げることで頚椎を反らして伸ばしていたが、頚椎矯正には、頭部と上位頚椎『(第1頚椎・第2頚椎歯突起)』の重心軸の改善、及び、頚椎の前彎(生理的彎曲)の彎曲を本来の元の状態に戻すことが必要である。
【0007】
本発明は、これらの課題を解決することを目的とするもので、簡単な設計で、且つ、頚椎の彎曲の矯正により安全に頚部痛・肩こりやストレスの改善に自宅で簡単に使用できる
頚椎矯正具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、本発明1では、弾性体上面の前面側から後面側に向けて下向きの曲面を形成し、弾性体の前面側には中心線に沿って、長手方向に空洞の縦溝及び、その縦溝の両端に頚椎横突起受部を設けると共に、後面側の平坦部中央には後頭部凸部を納める半球状の後頭部凹部を設けた。
更に、発明2では、弾性体の上面に、設けた下向きの曲面をS字状カーブに形成した。
加えて、発明3では、弾性体の上面部は、弾性体芯部よりも軟らかい弾力体で覆われた頚椎矯正具とした。以下詳細に説明する。
【0009】
この頚椎矯正具は頚部及び後頭部の違和感無く保持するため、弾性体上面の前面側から後面側に向けて下向きの曲面から、弾性体の後面の平坦部中央に設けた後頭部凸部を納める半球状の後頭部凹部間に高低差を有する曲面のS字状カーブを形成したので、頚部及び後頭部の形状に適合し頚部がフィットして頭部が逃げず頚椎の据わりも良い。
【0010】
長手方向の空洞の縦溝は頚椎の棘突起を収めソフトに頚部を違和感なく保持し、縦溝の両端に頚椎横突起を載せ前記下向きの曲面で頚部の前彎(生理的彎曲)の矯正を行った。
【0011】
この頚椎矯正具は、頚部及び後頭部を面で支え違和感無く保持するため、上面側は適度な柔らかさを持ち体圧分散が可能な衝撃吸収材で形成されていて、芯部はやや固めの弾力材等で覆われている。また弾性体の本体は、吸湿性が少なく摩耗に強いレザー等の表皮で覆われている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上説明したように、使用者がベッドなどの平面上で通常の仰向けに寝た状態で使用する場合は、後頭部を半球状の後頭部凹部に載せ、頚部を前述の長手方向の空洞の縦溝に載せると、頭部の重みで頚椎を支点にして顎が上がり頚椎を上に押し上げ頚椎をアーチ状に牽引する力が作用し、自然な反りかえりが生じ生理的前彎が形成され頚部の彎曲を本来の状態に戻すことができた。
【0013】
この頚椎矯正具は頚部及び後頭部の違和感無く保持するため、弾性体上面の前面側から後面側に向けて下向きの曲面を形成し、弾性体の前面側には中心線に沿って、長手方向に空洞の縦溝を設け、後面側の平坦部中央には後頭部凸部を納める半球状の後頭部凹部に高低差を有する曲面のS字状カーブを設け、頚部及び後頭部の形状に適合するように形成したので、後頭部がフィットして頭部が逃げず頚椎の座りも良い。
【0014】
また、後頭部を半球状の後頭部凹部に載せ、前述弾性体の下向きの曲面に中心線に沿って長手方向に設けた空洞の縦溝に頚椎の棘突起を収め使用時にクッションとして機能し、その縦溝の両端に頚椎横突起を載せるので、頚部を違和感なく保持し頚部の前彎(生理的彎曲)の矯正を行い、また、同時に頭部と上位頚椎『(第1頚椎・第2頚椎歯突起)』の重心軸を改善させる効果も合わせ持っている。
【0015】
また、後頭部凸部及び外後頭隆起を納める半球状の後頭部凹部を設けたことで後頭部が安定するので頭部の座りも良く、頚椎の彎曲矯正も安心して楽にできた。
【0016】
上記弾性体上面部は、前記弾性体芯部よりも軟らかい低弾力体で覆われていることを特徴とすることにより頚椎の彎曲が無理なく形成できる。
【0017】
医学的に関節リウマチ疾患で環軸関節の横靭帯の弛緩による環軸椎不安定症(頚部屈曲位で環椎前弓は歯突起に対して前方へ移動)があるが、本頚椎矯正具を使用することでリウマチの方の症状改善に効果が期待される。
【0018】
また、骨格の構造上頭部は前部に頚椎は後部に位置するので、前傾姿勢を習慣づけて生活すると回転モーメントにより頭部(後頭骨の後頭顆は後方)は前方に、頚椎(環軸関節)は前下方にうなずきストレートネックを誘発して頚部痛、肩こり、イライラの一因になっていたが本発明の頚椎矯正具を使用することで、生理的前彎が回復し関節の健康に貢献しQOL(生活の質)が向上した。
【0019】
更に、本頚椎矯正具の別な使用方法として、横向きで使用する場合、後頭部を支点に頭が回転するので、側頭部を他端の平坦部に載せることで就寝用の枕としての使用が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明の実施の形態について、実施例の図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は本発明に係る一実施例を示す上面図であり、弾性体10上面の前面側10aから後面側10bに向けて下向きの曲面1を形成し、弾性体10の前面側10aには中心線に沿って、長手方向に空洞1aの縦溝1b及び、その縦溝1bの両端に頚椎横突起受部1cを設けると共に、後面側10bの平坦部1d中央には後頭部凸部を納める半球状の後頭部凹部1eを設けた。
【0022】
図2は図1のA―A線矢視の断面図で、弾性体10の上面2に、設けた高低差を有する下向きの曲面をS字状カーブ1fに形成した。
【0023】
図3は図1のB―B線矢視の断面図で、弾性体10上面2の前面側10aから後面側10bに向けて下向きの曲面1を形成し、後面側10bに平坦部1dを設けた。
【0024】
図4は図1の側面図で、弾性体の前面側10aには中心線に沿って空洞1aの縦溝1b及び、その縦溝1bの両端に頚椎横突起受部1cを設けた。
また、この頚椎矯正具は頚部及び後頭部の使用感を保持し、且つ頭部及び頚部の重量によって大きな変形を来さないようにするため、本体の弾性を有する縦溝を含めた上面部2は、芯部3の弾性よりやや弱い弾力体で形成した。
更に、頚椎矯正具の本体全体は、人体に接触してべとつかず、且つ、吸湿性が少なく摩耗に強いレザー等の表皮4で覆った。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、頚椎の矯正や姿勢の矯正に用いる頚椎矯正具に関するが、本頚椎矯正具の別な使用方法として、横向きで使用する場合、後頭部を支点に頭が回転するので、側頭部を他端の平坦部に載せることで就寝用の枕としての使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る一実施例を示す上面図
【図2】図1のA―A線矢視断面図
【図3】図1のB―B線矢視断面図
【図4】図1の正面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 弾性体
10a 弾性体の前面側
10b 弾性体の後面側
1 弾性体の上面部に形成した下向きの曲面
1a 空洞
1b 縦溝
1c 頚椎横突起受部
1d 平坦部
1e 半球状の後頭部凹部
1f 高低差を有する曲面のS字状カーブ
2 上面
3 芯部
4 表皮

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体上面の前面側から後面側に向けて下向きの曲面を形成し、前記弾性体の前面側には中心線に沿って、長手方向に空洞の縦溝及び同縦溝の両端に頚椎横突起受部を設けると共に、後面側の平坦部中央には後頭部凸部を納める半球状の後頭部凹部を設けたことを特徴とする頚椎矯正具。
【請求項2】
上記弾性体の上面に設けた前記下向きの曲面をS字状カーブとしたことを特徴とする請求項1に記載の頚椎矯正具。
【請求項3】
上記弾性体上面部は、前記弾性体芯部よりも軟らかい低弾力体で覆われていることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の頚椎矯正具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−131050(P2010−131050A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307253(P2008−307253)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(308040823)有限会社フットケア (2)
【Fターム(参考)】