説明

頭皮の保護剤および保護剤を用いての頭髪の脱色、染色方法

【課題】 頭髪の脱色、染色の際に脱色液や染色液による頭皮に対する悪影響や頭皮を通して体内に入る薬品により悪影響を防止するために用いられる保護剤を得ることおよび、この保護剤を用いて完全に脱色、染色を行ない得るようにする。
【解決手段】 本発明の保護剤は吸水性のポリマーよりなり、この保護剤を脱色、染色の際に頭皮に塗布する。
また、この保護剤を脱色、染色を行なう頭髪近傍の頭皮に塗布し、ドライヤー等の熱風により頭髪に付着した保護剤を乾燥、除去した上で脱色、染色を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪の脱色、染色の際に使用することを目的とした頭皮等への悪影響を除去するための保護剤および保護剤を用いての脱色、染色方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭髪の脱色、染色を行なう際に用いられる脱色液や染色液は、含まれる薬品により皮膚に対し害があるばかりでなく、頭皮に付着したこれら脱色液、染色液(薬品)は、頭皮より体内に吸収され、これが体にも有害な作用を及ぼす可能性のあることが知られている。
【0003】
しかしながら、上述の脱色、染色の際の悪影響等を防止するための有効な手段はほとんどとられていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、頭髪の脱色、染色の際に用いられる頭皮の保護剤を提供するものである。
【0005】
また、本発明は、前記の頭皮の保護剤を用いての安全な脱色、染色方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保護剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物等よりなる高い吸水性を有するポリマーよりなり、頭髪の脱色、染色の際に頭皮の保護等のために頭皮部分に塗布して用いるものである。
【0007】
本発明の保護剤を用いた脱色、染色方法は、前記の本発明の保護剤を脱色、染色する頭髪の付近の頭皮表面に塗布した上で、脱色、染色を行なう頭髪部分にドライヤー等により熱風を吹き付けることにより頭髪に付着した吸水性ポリマーよりなる保護剤を乾燥させ、飛散させた上で、脱色、染色を行なうものである。 本発明は、脱色、染色する際に頭皮に吸水性ポリマーを塗布することにより頭皮上に吸水性ポリマーによる保護膜を形成し、この膜によって脱色液、染色液が頭皮に付着することのないようにし、更に脱色液、染色液中の薬品が体内に侵入することのないようにした。
【0008】
このように保護剤を塗布した上で脱色、染色を行なう場合、塗布した頭皮付近の頭髪にも保護剤が付着する。そのため頭髪の脱色、染色が不完全になる。
【0009】
この点を解消するために、本発明の保護剤を頭皮に塗布した上で染色、脱色を行なう場合、塗布した部分にドライヤー等にて熱風を吹き付けることにより頭髪部分を乾燥させ、それに付着する保護剤も乾燥させることにより、保護剤である吸水性ポリマーに含まれる水分を除去する。これにより粉末状になった頭髪上のポリマーは、更に熱風により飛散するためほぼ完全に除去される。
【0010】
一方、上記のドライヤー等による熱風は、一部頭皮の保護剤を塗布した部分にも吹き付けられ、保護剤である吸水性ポリマーに含まれる水分もかなり除去されるが、頭皮上の水分とにより、保護膜を形成した状態にて保持される。
【0011】
以上の理由により、脱色、染色を行なう際に、その頭皮に本発明の保護剤を塗布した上で、ドライヤー等にて熱風を吹き付けた後に脱色、染色を行なえば、脱色、染色を行なうべき頭髪には保護剤は存在せず、他方頭皮上には保護剤が膜を形成したまま存在する。
【0012】
したがって、この状態にて脱色、染色を行なえば、脱色、染色は普通に行なわれ、しかも頭皮表面は薬品による悪影響を受けることがない。
【0013】
以上の原理を利用したのが前記の本発明の脱色、染色方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の保護剤は、脱色、染色する際に頭皮表面に塗布することにより頭皮表面に保護膜を形成し、脱色液、染色液から頭皮を保護し、更に体内への侵入を防止する効果を有する。
【0015】
又、本発明の脱色、染色方法によれば、上記のように保護剤により脱色液、染色液による頭皮表面等に対する悪影響を受けることなく、しかも頭皮に塗布する際に頭髪に付着した保護剤は除去されるため、脱色、染色は普通に行ない得るという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施例を述べる。
【実施例1】
【0017】
本発明の保護剤の実施例は、吸水性ポリマーであるアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物で、自重の500倍以上の水分を含んでいる。
【0018】
このような、本発明の保護剤は、頭髪の脱色、染色を行なう部分の頭皮表面に塗布するもので、塗布後に塗布した頭皮付近の頭髪に熱風を当てた結果、頭皮表面の保護剤が塗布された箇所にはポリマーの薄膜が形成されていることが観察された。
【0019】
これは、前述のように頭皮に塗布された多量の水分を含む吸水性ポリマーが熱風により乾燥されて水分の一部が除去されるがポリマーは、頭皮表面にもともと存在する水分により、頭皮より剥離することなく薄膜となって残っていることが観察されたものである。
【0020】
一方、頭皮への塗布の際に頭髪上に付着した吸水性ポリマーは、ドライヤーにて熱風を当てたあとは、頭髪上には存在しないことが確認された。
【0021】
これは、頭髪に付着した吸水性ポリマーである保護剤は熱風により脱水し、水分を含まない粉末状のポリマーとなり、しかも頭髪表面にはもともと水分が存在しないため熱風により飛散されるためと考えられる。
【0022】
以上のように、本発明の保護剤を用いることにより、頭皮への薬品の付着や頭皮よりの体内への薬品の侵入を防止し得ると共に、脱色、染色等の作業は普通に行ない得る。
【0023】
また、本発明の保護剤を用いての脱色、染色後は、水分を含んだタオル等にて頭皮に十分な水分を与えるか、頭皮に水を散布して十分な水分を与えることにより、吸水性ポリマーに十分水分を含ませた後に、頭部を洗浄することによって、ポリマーおよびポリマーの薄膜状の脱色液、染色液が除去されることも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の保護剤は、脱色、染色の際に頭皮に塗布するもので、これにより頭皮に脱色液、染色液中の薬品が頭皮に付着しまた体内に侵入するのを防止するものである。
【0025】
また、本発明の保護剤を用いた脱色、染色方法は、この保護剤を頭皮に塗布した上で熱風を吹き付けることにより、頭皮上の保護剤は膜として残るが、一方頭髪に付着した保護剤は粉末となり飛散し頭髪上から除去される。
【0026】
この状態にて脱色、染色が行なわれるため、頭皮は完全に保護される上、脱色、染色は保護剤に影響されることなく、普通に行なわれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪を脱色、染色する際に頭皮を保護するために使用する保護剤で、高吸水性ポリマーよりなる頭皮の保護剤。
【請求項2】
前記ポリマーが重量比で500倍以上の水分を含有することを特徴とする請求項1の頭皮の保護剤。
【請求項3】
前記ポリマーを脱色、染色すべき頭髪部分近傍の頭皮に塗布し、前記塗布部分に熱風を吹き付けて乾燥して、ポリマーに含まれる水分を除去した後に脱水、染色を行なう請求項1または2の頭皮の保護剤を用いての頭髪の脱水、染色方法。

【公開番号】特開2007−51074(P2007−51074A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235686(P2005−235686)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(505309028)株式会社 リセラ (1)
【Fターム(参考)】