説明

頭皮ケア装置

【課題】施療部による温熱施療を可能としながら、容易に防水性を確保することができる頭皮ケア装置を提供する。
【解決手段】頭皮ケア装置1は、モータ13の駆動により動作される施術部21の施術突起29にて頭皮へのマッサージを行いつつ、施術部21に内装した金属板25を本体ハウジング11内のコイル18による誘導加熱にて温め、これによる頭皮への温熱施療が可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば頭皮の活性化や育毛を図るための頭皮ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭皮ケア装置としては、例えば特許文献1に示すように、施術突起を有する施術部がヘルメット体の内側面に一体的に備えられるものがある。この頭皮ケア装置は、ヘルメット体を使用者の頭部に装着して使用者の頭部(頭皮)に施術突起を接触させ、該施術突起を小型バイブレーション(駆動源)の駆動により動作させることで、使用者の頭皮が刺激され血流促進等の頭皮に対するマッサージ効果が得られるものである。
【0003】
また、この頭皮ケア装置は、外部電源と接続されたヒータを施術部に内蔵し、ヒータを駆動して施術突起を温めながらマッサージを行う温熱施療が行われることで、頭皮へのマッサージ効果を高めることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−67640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような頭皮ケア装置では、施術突起を温めるヒータへの給電を行う電気配線等をヘルメット体から施術部の内部まで配設する必要がある。そのため、洗髪後の頭皮に温熱施療を行うような使用状態をも想定すると、施術部自体の防水性や、施術部とヘルメット体との間の防水性を十分に確保する必要が生じるため、容易ではなかった。特に、施術部を本体に対して回転等の動作を行わせる構成を考えた場合、相対移動する施術部と本体との間を含め装置全体の防水性を確立させることが困難だった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施療部による温熱施療を可能としながら、容易に防水性を確保することができる頭皮ケア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の頭皮ケア装置は、使用者の頭皮と接触される施術突起を有する施術部が本体ハウジングと別体で設けられ、前記本体ハウジングに収容される駆動源の駆動により前記施術部を動作させて前記施術突起により前記頭皮に刺激を付与するとともに、前記施術部による温熱施療を可能とした頭皮ケア装置であって、前記施術部に被加熱体が設けられるとともに、前記本体ハウジング内に前記被加熱体を誘導加熱するコイルが設けられることが好ましい。
【0008】
また上記構成において、前記被加熱体は、金属粒子を含むことが好ましい。
また上記構成において、前記金属粒子は、前記施術突起に含有され、前記施術突起は、基端部側よりも先端部側に前記金属粒子の含有量が多くなるように構成さることが好ましい。
【0009】
また上記構成において、前記被加熱体は、金属板を含むことが好ましい。
また上記構成において、前記コイルから前記被加熱体以外に向かって放射される電磁波を抑制する電磁波抑制部材が設けられることが好ましい。
【0010】
また上記構成において、前記電磁波抑制部材は、前記施術部と対向する部分を除く前記コイルの周囲に設けられることが好ましい。
また上記構成において、前記電磁波抑制部材は、前記被加熱体への電磁波の放射を阻害しない前記施術部内の部分に設けられることが好ましい。
【0011】
また上記構成において、前記施術部には、前記本体ハウジングから突出した出力軸の先端部分に固定され該出力軸と一体回転する板状の回転部材が設けられ、前記電磁波抑制部材は、前記回転部材の一面に前記被加熱体と前記コイルとが対向する部分を除いて設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、施療部による温熱施療を可能としながら、容易に防水性を確保することができる頭皮ケア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における頭皮ケア装置の断面図である。
【図2】頭皮ケア装置の別例を示すための部分断面図である。
【図3】頭皮ケア装置の別例を示すための部分断面図である。
【図4】頭皮ケア装置の別例を示すための部分断面図である。
【図5】(a)は、頭皮ケア装置の別例を示すための部分断面図、(b)は、フェライトコアの平面図である。
【図6】(a)は、頭皮ケア装置の別例を示すための部分断面図、(b)は、頭皮ケア装置の上面図、(c)は、回転体及び本体ハウジングの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の頭皮ケア装置1は、外観が略直方体状の本体ハウジング11と、該本体ハウジング11内に収容保持され、出力軸12を回転駆動するための駆動源としてのモータ13とを備える。また頭皮ケア装置1は、本体ハウジング11から突出した出力軸12の先端部分に連結され、出力軸12の回転に基づいて駆動される施術部21を備える。
【0015】
本体ハウジング11は、使用者が把持可能な大きさに形成されるとともに、防水構造にて構成されている。本体ハウジング11の側面11aには、使用者が頭皮ケア装置1をオンオフ操作するためのスイッチ14が設けられている。出力軸12は、本体ハウジング11の上面11bの開口部に設けられた軸受15にて回転可能に軸支されるとともに、開口部から本体ハウジング11の外部に突出している。また出力軸12は、本体ハウジング11内の基端側に出力軸ギヤ12aが設けられている。
【0016】
モータ13は、回転軸13aを回転駆動可能なものであって、該回転軸13aの先端部には回転軸ギヤ13bが設けられている。そして、モータ13は、回転軸ギヤ13bが前記出力軸ギヤ12aに噛合されるように本体ハウジング11内に収容保持されることで、出力軸12を回転駆動可能とされている。またモータ13は、本体ハウジング11内に収容保持された制御部16に電気的に接続されている。制御部16は、前記スイッチ14及び本体ハウジング11内に収容保持された電源部(バッテリー)17に電気的に接続されている。また、本体ハウジング11の内部には、前記施術部21と対向する上面11bの内側にコイル18が設けられており、該コイル18は制御部16と電気的に接続されている。
【0017】
施術部21は、円板状の回転体22と、略円柱状の施術部ケース23と、施術部ケース23に保持された施術部材24と、施術部ケース23に収容された金属板25とを有する。回転体22は、略円板状に形成され、その軸中心が出力軸12の中心である第1の軸X1からずれた第2の軸X2中心となるように前記出力軸12の先端部分に一体回転可能に固定されている。施術部ケース23は、下面23aの開口部に設けられた軸受26を介して前記回転体22の先端側の外周面に回転可能に支持されている。つまり、施術部ケース23は、第1の軸X1からずれた第2の軸X2中心で出力軸12に対して回転可能に設けられている。
【0018】
施術部材24は、エラストマー等の弾性部材よりなり、施術部ケース23内に保持された平板状のベース部28と、該ベース部28に複数形成された施術突起29とを備える。施術突起29は、略円錐形状に形成され、施術部ケース23の上方に(第2の軸X2と平行に)突出するように4つ形成されている。尚、施術突起29は、図1では、2つのみ図示する。施術部材24における4つの施術突起29は、それぞれ第2の軸X2を中心として均等な距離に等角度(90°)間隔に配置されている。金属板25は、施術部材24のベース部28の下面(施術突起29とは反対側面)に密着するように施術部ケース23内に収容されている。
【0019】
次に、このように構成された頭皮ケア装置1の動作(作用)について説明する。
スイッチ14が使用者によってオン操作されると、制御部16からの制御に基づいて、電源部17からモータ13に回転軸13aを回転駆動させるための駆動電流が供給される。
【0020】
モータ13の回転軸13aが回転駆動されると、出力軸12及び施術部21の回転体22が前記第1の軸X1を中心として回転する。また、このとき、施術部21の施術部材24及び施術部ケース23が前記第1の軸X1を周回するように前記第1の軸X1を中心として回転する。
【0021】
そして、施術部材24(施術突起29)の先端を頭皮に接触させると、施術突起29の先端の動きに合わせて使用者の頭皮が動かされることになり、頭皮のマッサージが行われることになる。尚、施術部材24は、施術部ケース23に保持されており、回転体22に対して(第2の軸X2中心で)回転可能に支持されている。よって、施術部材24は、負荷(施術突起29に接触される頭皮との摩擦等)に応じて、例えば、第1の軸X1方向から見て第2の軸X2に対する施術突起29の位置関係が変化しない状態を保ったまま(スライドするように)第1の軸X1中心に回転することが可能である。よって、負荷(頭皮や毛髪との摩擦等)によっては、各施術突起29が第1の軸X1を中心として(それぞれがそれぞれの半径で)単純に回転する運動に基づいて施術部材24に毛髪が絡まってしまうといった現象を回避することができる。
【0022】
また、制御部16の制御に基づいて電源部17からコイル18に高周波電流が供給されると、施術部21内の金属板25に渦電流が生じる誘導加熱にて、金属板25の温度が上昇する。温度が上昇した金属板25の熱がその金属板25に密着するベース部28に伝わり、施術突起29を含む施術部材24が温められる。そして、温められた施術突起29の先端を使用者の頭皮に接触させながら上記した頭皮ケアを行うことで、頭皮に熱を付与した温熱施療が可能となり、より高いマッサージ効果が得られるようになる。
【0023】
尚、コイル18は、例えば、出力軸12の中心である第1の軸X1に対して同心円状に施術部21(金属板25)の可動範囲(回転によってできる範囲)に応じて設けることが好ましい。また、金属板25の材料としては、例えば、電気抵抗が高く、誘導加熱により温度上昇し易い鉄やステンレスが好ましい。
【0024】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態の頭皮ケア装置1は、モータ13の駆動により動作される施術部21の施術突起29にて頭皮への刺激の付与(マッサージ)を行いつつ、施術部21に内装した金属板25を本体ハウジング11内のコイル18による誘導加熱にて温め、これによる頭皮への温熱施療が可能となっている。つまり、本実施形態では、施術部21内の金属板25に対して誘導加熱を行う構成としたことから、施術部21への電気配線が不要、即ち施術部21側の防水性を考慮する必要がなくなるため、頭皮ケア装置1としての防水性を容易に確保することができる。特に、本実施形態のような施術部21を本体ハウジング11に対して相対動作させるような場合に、施術部21への電気配線及びその防水構造を省略できる意義は大きい。
【0025】
(2)施術部21内に被加熱体として金属板25を配置するだけであるため、その金属板25の作製が容易であるとともに、施術部21の構成を大きく複雑化するものではない。
【0026】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、誘導加熱により温められる被加熱体として金属板25を施術部材24と別体で設けたが、これに限定されず、例えば金属板25を施術部材24のベース部28内に埋設して一体形成してもよい。
【0027】
また、例えば図2に示すように、施術部材24の施術突起29の内部に金属粒子31を含有させた構成としてもよい。施術突起29は、弾性部材(例えば、エラストマー)からなり金属粒子31が含有された内層部29aと、金属粒子31が含有されていない外層部29bとの2層構造にて構成されている。尚、金属粒子31は、施術突起29の全体に略均一に散在している。
【0028】
このように構成された頭皮ケア装置1は、コイル18による各金属粒子31の誘導加熱にて、施術突起29全体を効率的に温めることができる。また、金属粒子31が露出しないように2層構造にて構成されていることから、施術突起29が濡れることで生じ得る金属粒子31の錆びを防止できる。尚、内層部29aと外層部29bとを異なる弾性材料にて成形してもよく、また外層部29bを例えば耐食性を有する塗装や膜等にて構成してもよい。また、金属粒子31を含有する部材を施術部材24とは別に設けて、例えばベース部28に密着させた構成としてもよい。また、被加熱体として金属板25及び金属粒子31の両方を備えた構成としてもよい。
【0029】
また、例えば図3に示すように、内層部29aに含有される金属粒子31を、施術突起29の基端側(ベース部28側)から先端側に向かうに連れて含有量が多くなるように構成してもよい。このようにすれば、コイル18からの距離が離れて温まりにくい先端部分を積極的に加温させることができる。尚、金属粒子31の含有量は、コイル18からの距離の2乗に比例して先端部に向かって増やすように調整することが好ましい。
【0030】
・上記実施形態の本体ハウジング11内のコイル18において、例えば図4に示すように、コイル18の施術部21と対向する上面11b側を除いた周囲を囲む電磁波抑制部材32を設けてもよい。電磁波抑制部材32は、コイル18から生じる電磁波を抑制(吸収、反射等)する部材からなり、例えば磁性材であるフェライトコアを用いてもよい。電磁波抑制部材32は、環状のコイル18の内周側及び外周側を囲むとともに、コイル18に対して上面11bとは反対側の面を囲む略円環状に形成され、その中央部分に出力軸12を挿入するための貫通孔32aが形成されている。これにより、コイル18と施術部21内の被加熱体(この場合、施術突起29内の金属粒子31)との間の誘導を阻害しないで、無用な電磁波の放射が電磁波抑制部材32により抑制される。
【0031】
また、例えば図5(a)に示すように、コイル18側から見て施術部材24のベース部28の施術突起29が形成された部分を除く部分に、電磁波抑制部材33を設けてもよい。図5(b)に示すように、電磁波抑制部材33は、円板状に形成されるとともに、施術突起29の位置に応じて貫通孔33aが4つ形成されている。これにより、施術部21においても、施術突起29内の被加熱体(金属粒子31)との間の誘導を阻害しないで、無用な電磁波の放射がこの電磁波抑制部材33にて抑制される。
【0032】
また、例えば図6(a)に示すように、施術部21の回転体22に電磁波抑制部材34を設けてもよい。回転体22は、本体ハウジング11内のコイル18と外径が等しい円板状に形成されている。施術部21(施術部ケース23)は、回転体22の上面に設けた連結軸35にて上記実施形態と同様に支持される。また、この回転体22の上面(施術部21側)には、電磁波抑制部材34が設けられている。図6(b)及び図6(c)に示すように、電磁波抑制部材34は、板状をなし、施術部21と対向する部分にその外径程度の貫通孔34aを有している。尚、電磁波抑制部材34は、被加熱体(金属粒子31)を含有する各施術突起29に対応する部分にのみ貫通孔を形成した構成としてもよい。これにより、コイル18と施術部21内の被加熱体(この場合、施術突起29内の金属粒子31)との間の誘導を阻害しないで、無用な電磁波の放射がこの電磁波抑制部材34でも抑制される。
【0033】
・上記実施形態において、施術部21の形状、構成等は一例であり、適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、本体ハウジング11に対して1つの施術部21を設ける構成としたが、2以上の複数個設ける構成としてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、施術部ケース23は、第1の軸X1からずれた第2の軸X2中心で出力軸12に対して回転可能に設けられていたが、第1の軸X1を中心として出力軸12と同軸で回転可能な構成としてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、施術部21は、モータ13の駆動力によって回転される構成としたが、これに限定されず、例えば、振動を付与する構成を用いてもよく、またその両者を用いる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…頭皮ケア装置、11…本体ハウジング、12…出力軸、18…コイル、21…施術部、22…回転体(回転部材)、25…金属板(被加熱体)、29…施術突起、31…金属粒子(被加熱体)、32,33,34…電磁波抑制部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭皮と接触される施術突起を有する施術部が本体ハウジングと別体で設けられ、前記本体ハウジングに収容される駆動源の駆動により前記施術部を動作させて前記施術突起により前記頭皮に刺激を付与するとともに、前記施術部による温熱施療を可能とした頭皮ケア装置であって、
前記施術部に被加熱体が設けられるとともに、前記本体ハウジング内に前記被加熱体を誘導加熱するコイルが設けられたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項2】
請求項1に記載の頭皮ケア装置において、
前記被加熱体は、金属粒子を含むことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項3】
請求項2に記載の頭皮ケア装置において、
前記金属粒子は、前記施術突起に含有され、
前記施術突起は、基端部側よりも先端部側に前記金属粒子の含有量が多くなるように構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、
前記被加熱体は、金属板を含むことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、
前記コイルから前記被加熱体以外に向かって放射される電磁波を抑制する電磁波抑制部材が設けられたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項6】
請求項5項に記載の頭皮ケア装置において、
前記電磁波抑制部材は、前記施術部と対向する部分を除く前記コイルの周囲に設けられたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の頭皮ケア装置において、
前記電磁波抑制部材は、前記被加熱体への電磁波の放射を阻害しない前記施術部内の部分に設けられたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、
前記施術部には、前記本体ハウジングから突出した出力軸の先端部分に固定され該出力軸と一体回転する板状の回転部材が設けられ、
前記電磁波抑制部材は、前記回転部材の一面に前記被加熱体と前記コイルとが対向する部分を除いて設けられたことを特徴とする頭皮ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−130(P2013−130A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130534(P2011−130534)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】