説明

顆粒球マクロファージコロニー刺激因子増加剤

南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラからなる組成物であるGM−CSF増加剤、または、TNF−α調整剤、若しくは、南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラからなるGM−CSF増加用、クローン病等の予防あるいは予後用健康食品または栄養補助食品等の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラの4種の生薬を含有することを特徴とする顆粒球マクロファージコロニー刺激因子増加剤に関する。
【背景技術】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF:Granulocyte/macrophage colony stimulation factor)は、顆粒球系前駆細胞の増殖分化刺激作用があり、生体内で好中球、好酸球及び単球を産生する分子量22,000の糖タンパクである。
血中におけるGM−CSF量の低い状態に関与する疾患として、好中球減少症、再生不良性貧血症、及び骨髄異型性症候群等が挙げられ、これらの治療にGM−CSFが用いられている(例えば溝口秀昭、GM−CSF、p.39−45、サイトカイン療法 基礎・病態からのアプローチ、株式会社南江堂、東京、1993)。また、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)とGM−CSFの両サイトカインは、顆粒球前駆細胞区画の増殖を刺激して好中球減少の期間を短縮することが示されており、白血球減少症および顆粒球減少症の選択薬になっている(例えばメルク マニュアル 第16版、p.1240、1994)。
腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)は、in vitroで腫瘍細胞を傷害させうる因子としてはじめて報告され、その後、同様の生物活性を有する因子としてリンホトキシン[Lymphotoxin]−α(LT−α)、−β(LT−β)が同定された。TNFは腫瘍細胞殺傷効果を示す分子の総称で、TNF−α、TNF−β(LT−α)、LT−βの3種類が知られている。TNFは生体内のほぼ全ての細胞に存在するレセプターと結合する事により、広範な作用を発揮する(例えば竹内 勤、別冊・医学の歩み、免疫疾患、医歯薬出版株式会社、TNF阻害療法、p.538−542、2002)。
TNFは、in vitroの試験では様々の細胞の種類により違った活性を発現する多能性のサイトカインである。TNF−αが高値になる疾病には、慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)クローン病あるいは炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)が知られている。例えば、慢性関節リウマチの患者では、TNF−αは15.0±9.2pg/ml(例えば山村昌弘、慢性関節リウマチ患者における貧血の臨床的解析と治療、第6回(1998年)認定内科専門医会研究奨励賞に対する報告書)、クローン病では、TNF−αが非活動期(inactive)にある症例4例の平均値は11.98pg/mlで、活動期(active)にある症例4例の平均値は、404.76pg/ml(例えば渡辺直樹、生体内微量物質の高感度検出法の開発と臨床応用、Lab.Clin.Pract.20(2)、p.110−114、2002)となることなどが報告されている。
RAは関節滑膜を病変の主座とする原因不明の慢性炎症性疾患である。その関節腔内ではTNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカインが過剰に産生され、リンパ球浸潤、滑膜増殖、破骨細胞による軟骨組織破壊といった関節病変形成に関与していることが明らかにされた。TNF−αを過剰発現させたモデル動物では関節炎が惹起され、抗TNF−αモノクローナル抗体によってこれを中和したところ、関節炎の劇的な改善が認められた。それに伴ってIL−1、IL−6濃度が低下したことから、これら炎症性サイトカインの過剰産生にTNF−αが深くかかわり、しかもサイトカインカスケードの上流でRAの病態形成に中心的な役割を演じていると考えられるようになった(例えば竹内 勤、別冊・医学の歩み 免疫疾患、医歯薬出版株式会社、TNF阻害療法、p.538−542、2002)。アメリカではすでに1999年に抗TNF−αモノクローナル抗体はリウマチ治療薬として承認されている。
クローン病(Crohn’s disease)は、小腸及び大腸を中心に原因不明の炎症が持続し、腸管の潰瘍から始まり、狭窄・膿瘍、瘻孔をきたす疾患である。潰瘍性大腸炎との鑑別がしばしば困難となり、潰瘍性大腸炎とともに炎症性腸疾患(IBD)と総称される。治療上は持続する腸管の炎症を効果的に制御することが重要とされている。炎症に関係する物質には数十種類があり、その中で、TNF−αは、中心的な役割を担うことが解明されてきた。さらに、クローン病の患者の炎症の腸管を調べると、TNF−αが大量に産生・存在する。大量のTNF−αはさらなる炎症を惹き起こしてゆくことから、炎症の悪循環を断ち切るべく、TNF−αの作用を中和する薬が開発されてきた。難治性クローン病に対するサリドマイド治療も実施され、症例の一部にサリドマイドが有効であることが示された(例えばEhrenpreis ED,Thalidomide therapy for patients with refractory Crohn’s disease:An open−label trial.Gastroenterology 1999;117:1271−1277)。また、キメラ型抗TNFモノクローナル抗体(Infliximab:インフリキシマブ、米国セントコア社)は、消化器病領域での始めてのバイオテクノロジーによる治療薬として1999年に米国で承認された。これによる治療はクローン病腸炎の炎症を著しく抑制することが報告されている(例えばBaert FL.Tumornecrosis factor α−antibody(Infliximab)therapy profoundly down−regulates the inflammation in Crohn’s ileocolitis.Gastroenterology 1999;116:22−28.)。日本でも当該抗体は2002年1月にクローン病治療薬として承認されている。
一方、南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラについては、それぞれ以下のような効果が報告されている。例えば、南瓜子、オオバコ、スイカズラの1種以上(とりわけ3種の生薬)を飼料に添加することにより、寄生虫、細菌及びウイルス病の特に自然感染を防ぎ、生体防御力の強化と共に肉質、卵質を改善する旨が開示されている。更には、南瓜子、オオバコ、スイカズラ、紅花の4種の生薬を配合した飼料について採卵鶏の健康状態、生存率、卵質の向上、抗ロイコチトゾーン病効果、ウズラの抗ニューカッスル病効果、腸内コクシジウム、ブドウ球菌数抑制効果が開示されている(例えば、米国特許第5,882,672号明細書参照。)。
ニホンカボチャ等のウリ科植物からインターフェロン誘起剤の製造方法が開示されている(例えば、米国特許第4,421,746号明細書参照)。紅花から抽出したインターフェロン誘起剤の抗ウイルス活性及び抗腫瘍活性が開示されている(例えば、米国特許第4,456,597号明細書参照)。
また、金銀花、或いは車前子等からインターフェロン誘起剤が抽出され、ヒト及び動物のウイルス感染症の予防及び治療に有用であることが開示されている(例えば、米国特許第4,469,685号明細書参照)。南瓜子と紅花の2種の生薬を配合することからなるマクロファージ活性化(貪食能向上)剤が開示されている(例えば、特開平11−116498号公報参照)。南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラの4種の生薬を配合することからなる好球活性化剤が開示されている(例えば、特開2000−281584号公報参照)。
しかしながら、これらの先行技術には、本発明の有効成分である各生薬についてインターフェロン誘起作用、マクロファージ活性化作用、好中球活性化作用、或いはIgE抗体産生抑制作用などが開示されているが、血液中GM−CSF濃度の上昇作用(増加)や顆粒球若しくはマクロファージを増殖させる作用について何ら開示も示唆もない。
本発明の課題は、生薬を利用した、特に南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラを有効成分とするGM−CSF増加剤を提供することである。
【発明の開示】
本発明者等は、植物性生薬につき鋭意検討した結果、南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラからなる組成物を投与した結果、血液中GM−CSF量が投与6ヵ月後には有意な増加をしていたことを見出した。
即ち、本発明は、1)南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラを有効成分とするGM−CSF増加剤、2)好中球減少症の鼻又は症状改善若しくは軽減用健康食品又は機能性食品である前記第1項記載のGM−CSF増加剤、3)再生不良性貧血症の鼻又は症状改善若しくは軽減用健康食品又は機能性食品である前記第1項記載のGM−CSF増加剤、及び、4)骨髄異型性症候群の鼻又は症状改善若しくは軽減用健康食品又は機能性食品である前記第1項記載のGM−CSF増加剤に関する。
更に本発明は、上記の様な各種疾病などの従来の治療薬との併用可能な組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明において使用される生薬について説明する。
南瓜子はウリ科の植物南瓜(和名:ニホンカボチャCucurbita moschata Duch.)の種子であるが、本発明においては、本発明の目的を達成することができるその類縁植物の種子も含む。南瓜子は、生のまま使用してもよいが、乾燥品の方が医薬、健康食品として保存上好ましく、また、種皮のみを用いてもよい。成分としてククルビチン、タンパク質、ビタミンA、B1、B2、Cを含み、またカロチン等も含まれている。
紅花(Carthamus tinctorius L.)はキク科植物の管状花を乾燥したものである。成分としてはカルサミン、サフラーイエロー、リグナン、ステロールを含む。オオバコ(Plantago asiatica L.)はオオバコ科の植物で成熟した種子(車前子)または全草(車前)が用いられる。成分としては多糖類、Plantenolic acid、コハク酸、アデニン、Aucubin、PlantagininやビタミンA、B等を含む。
スイカズラ(Lonicera japonica Thumb.)はスイカズラ科の花若しくは蕾(金銀花)、葉、茎或いは全草(忍冬)が用いられる。成分としては蝋様物質、イノシトール、タンニン、サポニン、ロニセリン等を含む。
本発明ではこれらの生薬を原末或いは水又は有機溶媒抽出エキスとして用いることができる。即ち、原末、溶媒製剤、粉剤、成型剤、浸出剤等として用いる。有機溶媒としてはエタノール、アセトン等が用いられ、これらは水或いは2種以上の有機溶媒と混合して用いてもよい。抽出は生薬に対し数倍量の溶媒を加え常温又は加温下に抽出或いは浸出を行う。各生薬単独で抽出したエキスを配合してもよく、或いは、予め複数の生薬の原末を配合したものを抽出してエキスを得ても良い。また、生薬を原末として使用するときは、その生鮮、陰干し、或いは乾燥したものを用い細断或いは粉末として用いることができる。
上記生薬の原末或いは水又は有機溶媒抽出エキスは、そのまま又は自体公知の方法で各種の形態にして医薬組成物、健康食品、或いは機能性食品(サプリメント)として利用できる。
例えば、医薬組成物或いは機能性食品(サプリメント)は通常の製剤化方法により経口用の錠剤、散剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤として提供される。製剤化の為に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、緩衝剤、矯味剤、安定剤等を必要に応じて添加することもできる。少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム、スターチ、タルクのような潤滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、寒天、ペクチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
また、本発明の有効成分である生薬に影響を与えない程度での水溶性ビタミン(カフェイン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビオチン、カルニチン、パントテン酸、ニコチン酸又はその誘導体など)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE又はその誘導体など)、アミノ酸(タウリン、アルギニンなど)、東洋ハーブ(紫蘇、甘草、イチョウ、蒲公英、菊花、人参、桂皮など)、あるいは西洋ハーブ(ノコギリヤシ、セイヨウオトギリソウ、エキナシア、アニシード、アニュアルカモミル(カミツレ)、ローズマリー、ミント、ユーカリプタス、ラベンダー、ローズ(バラ)、ハイビスカス、アロエなど)を配合することもできる。
その他の有効成分として、ラクツロースなどのオリゴ糖等または乳酸菌(ビフィズス菌)等を配合することもできる。
経口投与の為の液体組成物は、製薬学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
また、健康食品としては、飲料、或いはゼリー、ビスケット、クッキー、キャンディー等菓子の形態で提供することができる。
本発明に係る組成物は、南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラの生薬を有効成分として含有するが、特に南瓜子は20〜60%、紅花は10〜40%、その他の生薬については各々5〜70%の範囲で含むのが好ましい。
本発明に用いられる有効成分の投与法として、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、成人60kg体重1日当たり生薬総量として0.5〜5g、好ましくは1〜3gを経口投与でする。
また、本発明は、ヒトだけでなく、家畜、家禽、犬或いは猫等のコンパニオン動物の治療薬、症状改善若しくは軽減用健康食品又は機能性食品としても応用できる。
【実施例】
以下に製造例及び実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1
以下の配合成分の生薬の原末を配合し、10倍量の水で95±5℃で30分間抽出し、熱水抽出エキスを調製した。抽出液をろ過後濃縮し、還元麦芽糖、乳糖、デンプンなどの賦形剤・香料などを添加し、造粒工程にかけて細粒とした。細粒中の各成分(配合比)は以下の通りである。
南瓜子(50%)、紅花(20%)、オオバコ(15%)、及びスイカズラ(15%)
製造例2
南瓜子5.0g、紅花3.0g、オオバコ1.0g、スイカズラ3.0gと乳糖67g及びデンプン16gを均一に混合し、先にハイドロキシプロピルセルロース2g、カプリン酸トリグリセライド5gを85%エタノール40gに溶解したもの練合溶媒とし、練合したのちバスケット型製粒機(スクリーン径1mm)にて造粒後、14メッシュ篩を通過させ乾燥後円柱状顆粒とする。上記成分とマンニット、ヒドロキシプロピルセルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アスパルテーム及び香料を均一に混合し、顆粒剤12包を得た(特開2000−231584参照)。
以下、製造例2と同様に各種配合比(重量%)の組成物を調製することができる。

製造例3
南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラの生薬原末を配合し、10倍量の水で95±5℃で30分間抽出し、抽出液をろ過後濃縮し、還元麦芽糖、乳糖、デンプンなどの賦形剤・香料を添加し、造粒工程にかけて細粒とした[商品インターパンチ(登録商標;(株)サンウエル製)]。その組成は表2の通りである。

【実施例1】
臨床試験(GM−CSF量測定試験)
32名に製造例3で得られた組成物を6ヶ月(6g/日)投与し、GM−CSFの血中濃度を測定(酵素免疫測定法)し評価した。
試験結果:
血液中GM−CSF濃度を摂取前と摂取6ヵ月後に比較したところ、GM−CSF濃度は投与前値及び投与6ヵ月後の値に基づき有意差検定(Mann−Whitney U−test)を行った結果、有意な増加が認められた(P<0.05)。
従って、本発明組成物(製造例3)はGM−CSF増加剤であることが証明された。
また、摂食による試験実施期間中、自覚症状並びに医師による他覚所見において、有害事象は認められず、安全性に問題のないことが確認された。
【実施例2】
臨床試験(血中TNF−α濃度測定試験)
25名(48−66歳)に製造例3の組成物を3ヶ月(6g/日)投与し、TNF−αの血中濃度を測定(酵素免疫測定法)し評価した。
試験結果:
製造例3の組成物の3ヶ月服用により、投与前に1.5〜9.5pg/mlの範囲であった10名のTNF−α値4.0±2.9pg/mlが、本試験では、3ヶ月投与後に2.4±2.0pg/mlと減少し、投与前値及び投与3ヵ月後の値に基づき有意差検定(t−検定)を行った結果、有意な減少が認められた(P<0.05)。
一方、投与前に0.3〜1.4pg/mlの範囲にあった15名のTNF−α値は、投与前の平均値1.1±0.3pg/mlに対して、3ヶ月投与後にでも、平均1.0±0.3pg/mlと変動はなかった。
通常の免疫刺激剤あるいは免疫抑制剤ではTNF−α量が増加或いは減少のどちらの作用しか有しないが、製造例3の組成物は患者の病態に応じて高値は低下させ、低値は変動しないという極めて特異な反応を示す事が判明した。
従って、製造例3の組成物は望ましくない高TNF−α量を示す場合には、適正な数値まで減少させる可能性がある。
また、摂食による試験実施期間中、自覚症状並びに医師による他覚所見において、有害事象は認められず、安全性に問題のないことが確認された。
【実施例3】
南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラ単独の生薬原末、それらの4種類の植物を配合(製造例1の配合比)した原末、並びに甘草(甘草のグリチルリチンなどの成分は免疫系に作用する事が知られている)を、10倍量の水で95±5℃で30分間抽出し、抽出液をろ過後濃縮し、造粒工程にかけて各々細粒とした熱水抽出エキスを作製した。これらのエキスを用いてヒトMonocyte/Macrophage系細胞THP−1で、ヒトTNF活性をELISAで測定した。これら熱水抽出エキスを水に溶解したもの(300μg/ml)を1乃至6群(1群:製造例1のエキス、2群:南瓜子エキス、3群:紅花エキス、4群:車前子エキス、5群:金銀花エキス、6群:甘草)として試験した。しかし、1乃至6群のエキスは脱リポ多糖工程を経ていないため、陽性対象としてLPS(LPS:lipopolysaccharide)(SIGMA−ALDRICH:LIPOPOLYSACCHARIDE L−2880)を用い、LPS100、10、1及び0.1μg/mlを7〜10群として試験した。
結果は、LPS群である7〜10群はそれぞれ22.4、8.5、1.7、及び0.0pg/mlと用量依存性のTNF−α産生を示した。2〜6群の植物単独エキスでは、それぞれTNF−α量は、2.1、6.1、2.2、0.6及び0.0pg/mlであった。
一方、本発明品エキスは34.2pg/mlと高値を示した。甘草ではまったくTNF−αの産生は認められなかった。
本発明組成物を構成する4種類の植物は、単独で全てに活性があり、紅花が4種のうち最大のTNF−α量6.1pg/mlを示していた。各植物エキスのTNF−α産生がそれらエキスに含有するLPSのみで起こったとすると、紅花では、TNF−α量約7.2μg/ml相当のLPSを含んでいることになる。しかし、本発明組成物は、4種の植物エキスが混合されいるが、紅花単独の5.6倍のTNF−α量を産生していたことから、配合による相乗効果によりTNF−α量を上昇させていることが判明した。即ち、本発明組成物の300μg/mlエキスで、LPS約150μg/mlに匹敵するTNF−αの増加効果が確認された。
【実施例4】
GM−CSF増加作用に関する試験
被験物質として、MACHエキスを用い、これを実験用ラット(SD系雄、SPFグレード゛)10匹に1000mg/60kgの割合で強制投与した。投与後所定時間経過後当該動物の血液を採取し、採取した血液からマクロファージを分離・培養し、培養したマクロファージをMACHエキスで感作した。感作したのち、所定時間経過後、GM−CSF濃度を測定した。その結果、ごく僅かではあるが、対照に比較して、GM−CSF濃度の上昇傾向が認められた。この結果は、ヒトでの長期投与後にGM−CSFが増加した結果を補足すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、血液中GM−CSF量を増加する作用を有するため、低GM−CSF量に基づく疾患、例えば、好中球減少症や再生不良性貧血症の治療に期待できる。
また、本発明は、GM−CSF投与による望まない症状[発熱(例えば浦部晶夫、血液疾患とサイトカイン療法、p.184−194、サイトカイン療法 基礎・病態からのアプローチ、株式会社南江堂、東京、1993)、軽度のインフルエンザ様症候群(筋肉痛、寒気、骨の痛み、下痢、悪心、倦怠、および頭痛)、GM−CSFを皮下注射による紅斑性発疹、GM−CSFの初回投与時には時々みられる低血圧および低酸素症による呼吸困難(例えば、Cytokine Reference A compendium of cytokines and other mediators of host defense,GM−CSF,p.899−910,Academic Press,2001)]を回避するようなGM−CSF増加用栄養補助食品あるいは健康食品等となる可能性がある。
また、本発明組成物は、TNF−αの高値の場合TNF−α量を低下させること、及び培養細胞では4種の植物の配合によりTNF−αの増加作用が確認されたことから、免疫機構を刺激して活性化する免疫刺激剤あるいは免疫機構を抑制する免疫抑制剤というよりも、免疫調整(修飾)剤として期待できると考えられる。例えば炎症性腸疾患(IBD)、例えばクローン病等の予防又は予後における栄養補助食品あるいは健康食品等に期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラを有効成分とする顆粒球マクロファージコロニー刺激因子増加剤。

【国際公開番号】WO2004/091643
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505460(P2005−505460)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005444
【国際出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【出願人】(504335116)オリジナル・イメージ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】