説明

顔撮影装置

【課題】異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一撮影位置で顔画像を撮影可能な顔撮影装置を提供する。
【解決手段】顔を所定位置に保持させる顔保持手段と、保持されている顔を撮影する撮影カメラ4と、撮影された顔画像のデータを記憶する顔画像データ保存部と、撮影カメラ4で撮影された顔画像を表示する表示手段とを備え、同じ顔を再度撮影する際に、前回撮影された第1顔画像を表示するとともに、当該第1顔画像と今回撮影の第2顔画像を重ねて表示できるように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の状態を診断する場合などに使用される顔撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる顔撮影装置は、美容皮膚科、美容外科、形成外科などにおいて使用されており、定期的に人の顔を撮影することで肌の状態の経時的な変化を観察し、化粧品や肌治療の効果を確認する目的で使用されている(例えば、下記特許文献1)。具体的には、得られた顔画像からシミ・シワ・毛穴・色ムラなどの評価を行なうものであり、さらには、紫外線を使用したポルフィリン・かくれジミなどの評価も行なわれている。このような肌状態の評価を行なうために、以前に撮影した顔画像と今回撮影した顔画像とを画像処理技術(ソフトウェア)を用いて比較することが行なわれている。従って、以前の顔画像と現在の顔画像が同じ条件で撮影されている必要がある。
【0003】
ところで、証明写真等の人物を撮影する撮影装置であって、撮影用ガイド(鼻梁、目範囲)を表示し、被験者自身が撮影用ガイドを用いて撮影位置を位置決めすることができる撮影装置が公知である(下記特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−148540号公報
【特許文献2】特開2003−21859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の場合、顔を保持する顔保持手段は、通常はあごの部分と額の部分を保持するのみであり、日を開けて顔を保持させた場合、同じ状態で顔を保持できているとは限らない。また、あご載せ台の高さと、額押さえの高さ及び前後位置をスケールで読み取ることが開示されているが、あご載せ台の高さと、額押さえの高さ及び前後位置が同じ状態にセットされていたとしても、保持されている顔の角度が前回撮影時とは変わっている可能性もあり、再現性という点では不十分な面があった。従って、対応させるべきシミ・シワなどの位置が異なってしまい、正しい評価を行なうことができなくなる可能性があった。
【0006】
また、上記特許文献2のように、撮影ガイドを表示するようにして、被験者自身が撮影位置を位置決めして再度撮影時に顔画像を撮影しても、撮影ガイド自体が万人に適用できるように設定された撮影ガイドであり、前回の顔画像の撮影位置と同じ撮影位置で今回の顔画像を撮影することは困難である。
【0007】
また、顔画像撮影において、装置のオペレータが、前回撮影の顔画像と今回撮影の顔画像をモニターで視認しながら、オペレータが撮影位置を被験者に指示するように構成されている場合がある。かかる場合、オペレータの指示が的確であっても、被験者はその指示のみで顔の姿勢を微調整する必要があり、大変煩わしく、簡単に位置決めできるものではなく、改善が望まれていた。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一撮影位置で顔画像を撮影可能な顔撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る顔撮影装置は、
顔を所定位置に保持させる顔保持手段と、
この顔保持手段に保持されている顔を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された顔画像のデータを記憶する顔画像データ記憶手段と、
前記撮影手段で撮影された顔画像を表示する表示手段と、を備え、
同じ顔を再度撮影する際に、前回撮影された第1顔画像を表示するとともに、当該第1顔画像と今回撮影の第2顔画像を重ねて表示できるように構成したことを特徴とする。
【0010】
かかる構成による顔撮影装置の作用・効果について説明する。顔保持手段(例えば、額押さえ部とあご載せ台)により顔を所定位置に保持し、撮影手段により顔の撮影を行う。撮影された顔画像を特定するために、識別ID、氏名、撮影日、顔画像ID等の情報を関連付けて記憶しておくことが好ましい。そして、後日の、同一人物の顔画像を撮影する場合において、顔画像データ記憶手段に記憶されている顔画像をモニター等に読み出す際に、識別ID、氏名、撮影日、顔画像ID等の情報から同一人物の顔画像を特定することが容易となる。しかし、同一人物の顔画像を特定できたとしても、前回と今回とで、撮影位置(アングル撮影)が微妙に異なる場合があり、撮影位置を微調整して、前回と今回の顔画像が一致するように構成することが要望されている。
【0011】
本発明では、同じ顔を再度撮影する際に、前回撮影された第1顔画像を顔画像データ記憶手段から読み出し、これを表示手段(モニター等)に表示させるとともに、今回撮影の第2顔画像をリアルタイムで撮影して、前回撮影の第1顔画像と今回撮影の第2顔画像との撮影位置が一致するように、被験者自身が顔を移動させることで撮影位置を微調整して再度撮影が行なえるように構成されている。これによって、異なる時期に同じ人物の顔撮影を行う場合に、同一撮影位置で顔画像を撮影可能な顔撮影装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明の他の好適な一実施形態として、表示手段を顔撮影装置の筐体内の顔の正面側であって、撮影手段の下側に設けていることが好ましい。
【0013】
この構成によって、被験者は、筐体内の顔の正面側であって、撮影手段の下側に設置された表示手段(例えば、モニター)を視認しながら、撮影位置を簡単に位置決めすることができる。また、表示手段が撮影手段の下側に設置されているため、被験者は、目線を下向きにしながら表示手段を視認でき、撮影手段、証明装置等が視界に入らないので、素早く簡単に位置決めを行なえる。また、表示手段が撮影手段の下側に設置されていることで、被験者の目線が下向きになり、目に力をいれることなく自然な状態になるため撮影を適切に行なえる。すなわち、顔表面の筋肉の緊張が和らぐことで、顔表面に皺がよることなくシミ等を正確に撮影することができる。
【0014】
また、本発明の他の好適な一実施形態として、表示手段によって表示される第1顔画像が半透明表示であることが好ましい。
【0015】
この構成によって、前回撮影の第1顔画像が半透明に表示されるので、今回撮影の第2顔画像を半透明の第1顔画像に重ねて表示しても、撮影位置の微調整を簡単に行なえる。
【0016】
また、本発明の他の好適な一実施形態として、表示手段によって表示される第1顔画像が輪郭表示であることが好ましい。
【0017】
この構成によって、前回撮影の第1顔画像が輪郭(例えば、全体輪郭、特定部位輪郭)表示されるので、今回撮影の第2顔画像と輪郭表示の第1顔画像とが一致するように撮影位置の微調整を簡単に行なえる。
【0018】
また、本発明の他の好適な一実施形態として、筐体外に、第2の表示手段を設けることが好ましい。
【0019】
この構成によって、筐体外に第2の表示手段が設けられ、この第2の表示手段を装置オペレータが視認できることで、被験者とオペレータが同時に、前回の第1顔画像の撮影位置と今回の第2顔画像の撮影位置が一致するように撮影位置の微調整を行なえ、例えば、オペレータが撮影位置を指示する場合に、被験者がその指示とともに筐体内の表示手段で撮影位置を確認できるので簡単に位置決めすることができるので好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施形態1)
本発明に係る顔撮影装置の好適な実施形態1を図面を用いて説明する。図1は、顔撮影装置の内部構成を示す横断面図を示し、図2は、図1に示す顔撮影装置の縦断面図である。図3、4は、撮影カメラの回転移動機構の詳細を示す図である。
【0021】
この顔撮影装置Aは、美容皮膚科、美容外科、形成外科などにおいて使用されている。定期的あるいは適度な期間を空けて人の顔を撮影することで肌の状態の経時的な変化を観察し、化粧品や肌治療の効果を確認する目的で使用される。この装置は、得られた顔画像からシミ・シワ・毛穴・色ムラなどの評価を行なう機能を有し、さらには、紫外線を使用したポルフィリン・かくれジミなどの評価を行なうこともできる。
【0022】
<顔撮影装置の構成>
図1において、顔撮影装置Aは、略立方体形状の筐体1を備えており、顔の撮影を行う時は筐体1内の所定箇所に顔を保持させた状態で行い、室内光などが筐体1内部に侵入しにくいような構造が採用されている。筐体1の正面には開口部1aが形成されており、ここから顔を挿入させる。人の顔を所定位置に保持するための顔保持手段として、あご載せ台2と額押さえ3が設けられている。あご載せ台2と額押さえ3は、人の顔の大きさや形状などに対応できるように手動で位置調整ができるように構成されている。また、あご載せ台2と額押さえ3の高さも微調整できるように構成されている。開口部1aからの外光進入を防止するためにカーテン1bが設けられる。
【0023】
顔を撮影するための撮影手段として撮影カメラ4が設けられており、カメラ支持体5に保持されている。図1に示すように、撮影カメラ4による顔の撮影位置は、正面位置P0と左右の側面位置P1、P2の3箇所が設定されている。正面位置P0は、ちょうど撮影カメラ4が顔と向かい合う位置であり、側面位置P1,P2は正面位置P0に対して45゜に設定された位置である。ただし、この45゜という角度については、この数値に限定されるものではなく、他の角度に設定してもよく、また、側面位置P1,P2も2箇所だけでなく、更に多くの側面位置が設定されていてもよい。例えば、30゜,45゜,60゜,75゜に設定されていてもよい。撮影カメラ4の高さは、カメラ支持体5によって自動または手動で微調整可能に構成されている。
【0024】
撮影カメラ4は、デジタルカメラが使用されるが、どのようなタイプのものを使用してもよい。必要に応じてビデオ機能を有するものを使用してもよく、静止画像を撮影可能なビデオカメラを使用してもよい。
【0025】
このように、複数個所での顔画像を撮影するために、撮影カメラ4は顔位置を中心として回転移動できるように構成されている。撮影カメラ4の回転中心Bは、あご載せ台2の位置に設定されている。
【0026】
顔を照明するための光源8が筐体1内の複数個所に配置されている。光源8は、顔の位置を中心として円周方向に沿って顔に面するように配置されていると共に、図2に示すように、上方にも複数個所に配置される。光源8には、可視光を照射する光源と紫外線を照射するブラックライトがあり、目的に応じて使い分けもしくは両方が使用される。可視光を照射する光源8は、ハロゲンランプ、蛍光灯、LEDなど適宜のものを使用することができる。光源8として、フラッシュ光源を使用してもよい。
【0027】
光源8から照射される光を均一に拡散するための拡散板9が光源8と顔の間に配置される。拡散板9は、図1に示す横断面形状において円弧形状(半円形状)に形成されている。図2に示すように、拡散板9は、顔の正面だけでなく天井部と底面部にも配置されており、従って、この拡散板9により顔が包囲されるような形態となる。なお、拡散板9は、半円形でなくてもよく、多角形、楕円形状を呈していてもよい。撮影カメラ4は、拡散板9の背後側に移動することになるため、正面位置P0と側面位置P1,P2において撮影を可能にするため矩形の開口部9aが形成される。
【0028】
図2に示すように、被験者モニター211(表示手段に相当する)が筐体1内であって撮影カメラ4の下側に設置されている。この被験者モニター211には、撮影カメラ4で撮影された顔画像をリアルタイムに表示できる。後述する第1表示制御部30bによって、前回撮影の第1顔画像と今回撮影の第2顔画像とを重ね合成して表示することができる。被験者は、この被験者モニター211に表示された前回の第1顔画像と今回の第2顔画像の合成画像を視認しながら、自ら顔位置を動かし、撮影位置を微調整することができる。
【0029】
<カメラ移動機構>
次に、撮影カメラ4の移動機構の詳細を図3、4により説明する。回転中心Bには駆動モータ10と駆動軸11が設けられており、この駆動軸11にアーム12が連結される。アーム12の先端部12aに2本の連結軸13が垂直方向に植設され、この連結軸13の上部先端にカメラ支持体5が結合される。カメラ支持体5は、側面視で略コの字形状を有しており、コの字形状の内側に撮影カメラ4が配置されている。
【0030】
アーム12の先端側の裏面には、ローラ支持体14がアーム先端部12aに対して垂直方向を軸として回転自在に取り付けられており、ローラ支持体14にローラ15が回転自在に保持されている。このローラ15により、回転中心Bに対して撮影カメラ4をスムーズに回転移動させることができる。図1のP3は、撮影カメラ4の回転移動の軌跡を示している。撮影カメラ4と顔保持手段との相対位置は、カメラ位置センサー33によって検出され、この検出信号が相対位置制御部32に送信されて、駆動モータ10を制御するように構成されている。相対位置は、回転中心Bを基点とした撮影カメラ4の相対的3次元座標である。すなわち、顔保持手段(あご載せ台2と額押さえ3)を回転中心として撮影カメラ4を回転移動するように構成されている。相対位置は、撮影位置データを構成している。なお、撮影カメラ4の回転移動機構については、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。
【0031】
図1に戻り、制御装置20は、顔撮影装置Aの動作を制御する機能と、撮影カメラ4により撮影された顔画像に関する画像処理を行う機能を有する。オペレータ用のOPモニター21(第2の表示手段に相当する)には、撮影された顔画像が表示される。また、被験者モニター211と同様に、OPモニター21には、後述する第2表示制御部30cによって、前回の第1顔画像と今回の第2顔画像が重ね合成されて表示可能になっている。オペレータは、このOPモニター21に表示された前回の第1顔画像と今回の第2顔画像の合成画像を視認しながら、撮影位置を微調整するために、被験者に対し、顔位置を微調整するように指示することができる。
【0032】
キーボード22は、顔撮影装置Aに対する種々の動作指令入力や画像処理を行なうための種々の動作指令やデータ入力などを行なう。制御装置20、OPモニター21、キーボード22は、汎用のコンピュータ(パソコン)により構成してもよい。
【0033】
<制御関係>
次に、顔撮影装置Aの主要な制御機能について図5の制御ブロック図により説明する。コントローラ30は、顔撮影装置Aを統括的に制御する機能を提供するものであり、CPU、メモリ、その他の必要なプログラム等により構成される。照明制御部31は、光源8の点灯・消灯制御を行なう。光源8は、顔画像の撮影を行う時に点灯される。可視光と紫外線を使い分ける場合に、そのいずれを点灯させるのか、あるいは両方を点灯させるのかについての制御も行われる。
【0034】
相対位置制御部32は、撮影カメラ4を正面位置P0,側面位置P1,P2の各位置に停止させるための移動制御を行うものであり、駆動モータ10に対する動作指令を行なう。撮影カメラ4を所定の位置に停止させるために、カメラ位置センサー33が設けられている。カメラ位置センサー33としては、上記3つの撮影位置を検出するためのセンサーが設けられており、例えば、アーム12の位置を光センサーやマイクロスイッチなどにより検出するように構成できる。
【0035】
また、上記3つの撮影位置だけではなく、それらの中間的な位置も検出することができるようにしている。例えば、駆動モータ10に連動して回転するエンコーダからの信号や、駆動モータ10(パルスモータ)へ供給する駆動パルスのカウント値などに基づいて、細かいステップで撮影カメラ4の位置を検出することができる。従って、撮影カメラ4が移動可能な全範囲について位置検出を行なうことができる。
【0036】
基本的には、相対位置制御部32による撮影カメラ4の位置制御は正面位置P0,側面位置P1,P2の3箇所で停止させるように行なわれ、撮影姿勢(顔の角度等)の微調整は、被験者自身が、被験者モニター211を視認しながら行なうことになる。
【0037】
カメラ制御部34は、撮影カメラ4の動作を制御するものであり、具体的にはシャッターを切ることで顔画像の撮影を行う。顔画像の撮影は、正面位置P0,側面位置P1,P2の3箇所において夫々行なわれる。
【0038】
顔画像データ保存部36(顔画像データ記憶手段に相当する)は、撮影カメラ4により撮影された顔画像データが保存される。顔画像データは、デジタルのカラー画像データであり、JPEG等の適宜のファイル形式で保存される。顔画像データは、正面画像・左右側面画像(顔画像IDで特定できる)ごとに保存され、人物を特定する人物ID(識別情報)・撮影年月日、及び撮影位置と共に保存される。
【0039】
コントローラ30は、撮影位置設定手段30a、第1表示制御部30c、第1表示制御部30i、表示用画像処理部30d、微調整指示部30eの機能を有する。撮影位置設定手段30aは、顔画像データ保存部36に記憶されている前回撮影の撮影位置(相対位置、例えば正面、側面位置)に基づいて、相対位置制御部32に指令を出し、撮影カメラ4を前回と同じ撮影条件となるように正面位置P0、または側面位置P1、P2へ移動させるように構成されている。
【0040】
また、第1表示制御部30bは、被験者モニター211に撮影カメラ4で撮影された顔画像を表示するように制御する。例えば、第1表示制御部30bは、初回撮影時に、撮影カメラ4で撮影された顔画像を表示し、再度の撮影の際に、前回撮影の第1顔画像を位置固定して表示し、それに重ねるように、撮影カメラ4でリアルタイムに撮影されている状態の顔画像を表示する。表示用画像処理部30dは、再度の撮影の際における前回撮影の第1顔画像を画像処理し、半透明画像または特定部位の輪郭画像(顔の全体輪郭、鼻、口、目、眉、ほくろ等)を作成する。この作成された第1顔画像の半透明画像または輪郭画像は、被験者モニター211に表示される。第1表示制御部30bは、半透明画像または輪郭画像と、撮影カメラ4でリアルタイムに撮影されている顔画像を合成する処理を行う。これによって、被験者は、被験者モニター211でリアルタイムに撮影されている顔画像と、位置固定された第1顔画像とが一致するように被験者自身が顔位置を動かして微調整できる。
【0041】
また、第2表示制御部30cは、OPモニター21に撮影カメラ4で撮影された顔画像を表示するように制御する。例えば、第2表示制御部30cは、初回撮影時に、撮影カメラ4で撮影された顔画像を表示し、再度の撮影の際に、前回撮影の第1顔画像を位置固定して表示し、それに重ねるように、撮影カメラ4でリアルタイムに撮影されている状態の顔画像を表示する。表示用画像処理部30dによって作成された第1顔画像の半透明画像または輪郭画像は、OPモニター21に表示される。第2表示制御部30cは、半透明画像または輪郭画像と、撮影カメラ4でリアルタイムに撮影されている顔画像を合成する処理を行う。
【0042】
なお、第1表示制御部30bと第2表示制御部30cは、表示制御対象のモニターが別体であることを除き、その機能は同じであるので、いずれか一方のみで、被験者モニター211とOPモニター21の表示制御を行うように構成してもよい。
【0043】
微調整指示部30eは、固定表示された第1顔画像と第2顔画像の撮影位置が一致するように、微調整指示を行う。微調整指示の内容は、OPモニター21に表示される。微調整指示の内容は、例えば、顔を右または左方向に傾ける指示(X軸周りの回転)、あごを引くまたは上げる指示(Y軸周りの回転)、目線を右横または左横に移動する支持(Z軸回りの回転)、顔の高さを上げるまたは下げる指示(Z軸方向の移動)、顔を左右に移動する支持(Y軸方向の移動)等が挙げられる。オペレータは、この微調整指示内容をOPモニター21から得て、被験者に指示を的確に行うことができる。被験者は、この指示を聞きながら、被験者モニター211を視認しながら、リアルタイムで撮影される顔画像と、位置固定された第1顔画像とが一致するように被験者自身が顔位置を微調整できる。微調整の内容は、例えば、第1顔画像の輪郭と第2顔画像の輪郭とを照合しその差を算出することで設定できる。
【0044】
画像処理部38は、顔画像データに基づいて、肌治療などの効果を確認するために必要なソフトウェアにより構成される。具体的には、前回撮影した顔画像と今回撮影した顔画像との比較を画像処理技術を用いて行い、例えば、顔の特定部位におけるシミやシワなどの大きさ形状の比較、面積の算出、変色の度合いの解析などを行なう機能を有する。これらの解析結果についてはデータ化されて記憶部(不図示)に記憶される。
<作動フローチャート>
【0045】
次に、実施形態1の顔画像の撮影を行う時の手順を図6、7のフローチャートにより説明する。まず、初めての撮影か否かが判断される(S1)。例えば、顔撮影装置を起動し、操作画面上で、初回撮影モードか、再度撮影モードかを選択する。次いで、初回撮影の場合、ステップS2に移行し、被験者の顔をあご載せ台2と額押さえ3により保持させる(S2)。次に、撮影カメラ4を撮影位置に移動すべく、駆動モータ10により駆動させる(S3)。初期の撮影位置は、正面位置P0になるように設定されている。撮影カメラ4が撮影位置にセットされると、撮影状態にはいり、被験者モニター211、OPモニター21に、リアルタイムに顔画像が表示される(S4)。
【0046】
被験者は、被験者モニター211を視認しながら、シミ等が的確に撮影されるように顔位置、角度を適宜動かして微調整を行なう(S5)。撮影位置が定まったら診断に供される顔画像を撮影する(S6)。そして、ステップS6で撮影された顔画像と撮影位置(正面位置P0)とを関連づけて顔画像データ保存部36に保存する(S7)。なお、人物ID、撮影位置ID、撮影日時等の情報も関連づけられて保存される。
【0047】
次いで、他の撮影位置へ移動するか否かの判断がなされる(S8)。正面以外に、側面P1,P2でも撮影を行なう場合に、ステップS3に処理が戻り、撮影位置を変えて撮影が行なわれる。
【0048】
初めての撮影ではなく、再度の撮影である場合、再度の撮影処理に移行する。被験者の人物IDおよび撮影位置IDを選択して、同じ被験者の前回の顔画像(第1顔画像と称する)を顔画像データ保存部36から読み出す(S11)。読み出された第1顔画像は、半透明画像に処理され(S12)、被験者モニター211、OPモニター21に位置固定されて表示される(S13)。図8に示すように、第1顔画像は半透明画像81として一点鎖線で表示されている。
【0049】
次いで、被験者の顔をあご載せ台2と額押さえ3により保持させる(S14)。次に、撮影カメラ4を撮影位置IDに対応する撮影位置に移動すべく、駆動モータ10により駆動させる(S15)。撮影カメラ4が撮影位置にセットされると、リアルタイムの撮影状態にはいる(S16)。ここで撮影された画像は、位置固定された半透明の第1顔画像と重ね合わせ処理(重ね合成処理またはスパーインポーズ処理)され(S17)、被験者モニター211、OPモニター21に表示される(S18)。図8(a)に示すように、第1顔画像の半透明画像81と、リアルタイム撮影の顔画像(実線)82とが、重ね合わされて表示される。なお、図8(b)は、側面位置(P1またはP2)での表示例である。
【0050】
被験者は、被験者モニター211を視認しながら、半透明の第1顔画像と、リアルタイムに表示されている顔画像の撮影位置が一致するように顔位置、角度を適宜動かして微調整を行なう(S19)。撮影位置が定まったら、顔を固定して今回の顔画像(第2顔画像)を撮影する(S20)。そして、ステップS20で撮影された顔画像と撮影位置とを、前回の第1顔画像と関連づけて顔画像データ保存部36に保存する(S21)。なお、人物ID、撮影位置ID、撮影日時等の情報も関連づけられて保存される。
【0051】
次いで、他の撮影位置へ移動するか否かの判断がなされる(S22)。正面以外に、側面P1,P2でも撮影を行なう場合に、ステップS11に処理が戻り、撮影位置を変えて撮影が行なわれる。なお、ステップS14で顔保持動作が行なわれる、既に顔が保持されている場合、このステップは省略される。
【0052】
以上の実施形態1において、再度撮影の際に、前回の第1顔画像を半透明画像にし、位置固定して表示し、これに重ねるようにして、リアルタイム撮影の顔画像を表示させるように構成することで、この重ね合わせの顔画像表示を視認しながら、顔位置、角度を簡単に素早く微調整することができる。
【0053】
また、以上の実施形態1において、再度撮影の際に、前回の第1顔画像を半透明画像に画像処理して、モニターに位置固定して表示できるように構成したが、これに制限されず、前回の第1顔画像を特定部位の輪郭画像に画像処理して、モニターに位置固定して表示するように構成できる。
【0054】
また、以上の実施形態1において、顔位置と角度を被験者自身が微調整するように構成したが、これに制限されず、例えば、顔位置と角度を、オペレータが被験者の顔を動かすことで微調整することもでき、顔保持手段を動かして微調整するように構成することもできる。
【0055】
また、以上の実施形態1において、被験者自身が被験者モニター211を視認し、顔の位置、角度を微調整する構成であったが、これに制限されない。例えば、オペレータがOPモニター21に表示された、第1顔画像と第2顔画像の合成表示を視認して、顔位置、角度の微調整を被験者に指示するように構成してもよい。かかる場合に、OPモニター21に、微調整指示の内容が表示され、この微調整指示の内容に応じて、被験者に微調整の指示を行うことが好ましい。
【0056】
<別実施形態>
本実施形態においては、被験者の顔正面を固定し、撮影カメラ4が顔正面を中心に左右に回転移動する構成であったが、これに制限されない。例えば、撮影カメラ4を固定し、あご載せ台2と額押さえ3を、それら各々の中心軸周りに回転できるように構成し、撮影カメラ4で被験者の顔の正面、側面等を適宜撮影できるように構成できる。かかる場合において、被験者モニター211を、顔正面と対向するように(被験者が見える位置となるように)、顔中心周りに回転移動できるように構成できる。この回転移動機構として公知の機構を利用でき、また、上記に記載した撮影カメラ4の回転移動機構を利用できる。また、複数個所の顔撮影位置に対応して、被験者モニター211を複数個設置(顔正面位置に配置されるように設置)するように構成できる。
【0057】
また、本実施形態においては、撮影カメラ4の撮影位置への設定は自動的に行なっているが、これらを手動で行うようにしてもよい。この場合、正しい位置に撮影カメラ4が設定されたか否かを確認するために外部表示させることが好ましい。例えば、最後の微調整をするに際して撮影カメラ4を移動させた時に、正しい位置に来たときに外部表示をさせるようにする。表示のさせ方としては、LEDなどのランプで表示させたり、ブザーで警告音を発生させるなどの方法がある。また、モニター21に表示させるようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、撮影カメラ4はカメラ支持体5に固定されているが、カメラ支持体5に対して相対移動できるように撮影カメラ4を取り付けてもよい。これにより、撮影カメラ4の微調整を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】顔撮影装置の内部構成を示す横断面図
【図2】顔撮影装置の内部構成を示す縦断面図
【図3】撮影カメラの回転移動機構の詳細構成を示す斜視図
【図4】撮影カメラの回転移動機構の詳細構成を示す側面図
【図5】顔撮影装置の制御機能を示すブロック図
【図6】作動フローチャート
【図7】作動フローチャート
【図8】重ね合わせ処理された顔画像について説明するための図
【符号の説明】
【0060】
2 あご載せ台
3 額押さえ
4 撮影カメラ
5 カメラ支持体
20 制御装置
30 コントローラ
30a 撮影位置設定手段
30b 第1表示制御部
30c 第2表示制御部
30d 表示用画像処理部
30e 微調整指示部
32 相対位置制御部
33 カメラ位置センサー
34 カメラ制御部
36 顔画像データ保存部
38 画像処理部
A 顔撮影装置
P0 正面位置
P1,P2 側面位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を所定位置に保持させる顔保持手段と、
この顔保持手段に保持されている顔を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された顔画像のデータを記憶する顔画像データ記憶手段と、
前記撮影手段で撮影された顔画像を表示する表示手段と、を備え、
同じ顔を再度撮影する際に、前回撮影された第1顔画像を表示するとともに、当該第1顔画像と今回撮影の第2顔画像を重ねて表示できるように構成したことを特徴とする顔撮影装置。
【請求項2】
前記表示手段を顔撮影装置の筐体内の顔の正面側であって、前記撮影手段の下側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の顔撮影装置。
【請求項3】
前記表示手段によって表示される第1顔画像が半透明表示であることを特徴とする請求項1または2に記載の顔撮影装置。
【請求項4】
前記表示手段によって表示される第1顔画像が輪郭表示であることを特徴とする請求項1または2に記載の顔撮影装置。
【請求項5】
前記筐体外に、第2の表示手段を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の顔撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−171137(P2008−171137A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2647(P2007−2647)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】