顔面密封体及び顔面密封体を使用する呼吸用マスク
顔面密封体支持部への連結に適する第1の端部(28)と、使用者の顔面への密封接触に適する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)と備える顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)及びその顔面密封体を使用するマスク(10)。第1の端部、第2の端部、側壁又はこれらの何れかの組み合わせは、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料から形成される。弾性材料の一体部品から顔面密封体を形成するのが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定に基づき、2004年11月5日に出願された米国仮出願番号第60/625,469号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、患者の顔面に密着する可撓性及び弾力性を有しかつ患者の気道を外部に対して密封する界面材を形成する顔面密封体及び顔面密封体を使用する呼吸用マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性を有する顔面密封体(シール)を備えかつ人間の患者(被験者、使用者)の鼻、口又はその両方を被覆する種々の呼吸用マスクは、公知である。一般に緩衝体とも称する呼吸用マスクの顔面密封体は、患者の顔面に対する密封構造を形成することを意味する。密封構造により生じる密封効果により、陽圧により気体を呼吸用マスク内に供給して患者の気道に気体を送出することができる。
【0004】
呼吸用マスクの用途は、例えば、航空機内等の高標高地、採掘現場、消火活動及び種々の医療診断及び治療での呼吸への利用範囲に及ぶ。例えば、患者の気道に持続気道陽圧(CPAP)又は可変気道圧を供給するのに呼吸用マスクが使用される。可変気道陽圧装置の例に、非侵襲性換気を提供する従来の人工呼吸器と、患者の呼吸周期に応じて患者に供給する圧力を変更する二段階(バイレベル)圧力支援装置と、患者の監視状態に応じて患者に供給する圧力を変更する自動滴定圧力支援装置と、患者動作に応じて供給する圧力を変更する比例気道陽圧(PPAP)支援装置とを含む。睡眠時無呼吸症候群、特に、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)、チェーンストークス呼吸症及び鬱血性心不全等の医療疾患の治療に通常の圧力支援治療が処方される。
【0005】
呼吸用マスクの条件は、患者の顔面に有効な密封構造を形成して、供給される気体の漏洩を防止することである。従来の呼吸用マスク構造では、通常患者に多少不快感を与えなければ、呼吸用マスク対顔面の良好な密封構造を形成できない場合が多い。呼吸用マスクを通常長時間装着する患者には、この問題が最も重要である。この状況では、患者が不快な呼吸用マスクの着用を敬遠して、処方される圧力支援治療を達成できない問題がある。
【0006】
気体漏洩を最小化してしかも患者に快適で有効な密封構造を患者の顔面に形成する数多くの開発が試みられてきた。下記特許文献1は、例えば、使用者に接触する突面を顔面密封体に設けた気泡型患者界面体を開示する。特許文献1は、弾塑性材料により型成形された膨張可能な薄膜から成る顔面密封体を開示する。使用者が自己の顔面に顔面密封体を当てたときに、顔面密封体の突面自体は、内側に変形する。顔面密封体の変形により、陽圧治療の処方に適する呼吸用マスク対顔面との密封構造が形成されよう。従って、圧力支援装置から顔面密封体の内部に印加される圧力により初期突状形状から内側に変形する性能と顔面密封体の形状とを密封構造に与えて、患者の顔面に対する必要な密封性を確保し、多種多様な患者、即ち、異なる顔の大きさ及び形状を有する患者に顔面密封体を適合できることは、理解されよう。
【特許文献1】米国特許第5,243,971号公報
【特許文献2】米国特許第5,647,357号公報
【特許文献3】米国特許第4,971,051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
他の顔面密封体では、変形して良好な密封構造を形成する顔面密封体の形成材料の性能に依存するより、マスク対患者の有効な密封構造を形成する顔面密封体を形成する材料の種類に依存する。例えば、上記特許文献2は、ショア000スケールでジュロメータ硬度20〜45のゲル材料から形成される顔面密封体を開示する。この種のゲル材料は、非常に柔らかい手触りで、患者と呼吸用マスクとの間に快適な界面を形成する。ゲル材料の弾力性により、顔面密封体と患者との界面での漏洩が確実に最小化される。しかしながら、前記ゲル緩衝体は、寸法が嵩張る又は重量が重過ぎると認められる場合もある。
【0008】
更に、顔面密封体の患者密着部に多数の鰓蓋(フラップ)を使用して、マスクと患者との良好な密封構造を形成する他の開発が試みられてきた。例えば、上記特許文献3を参照されたい。異なる種類の前記マスク顔面密封体の各々は、有効に着用できる患者もいるが、1)長時間快適に装着でき、2)マスク対患者の界面での気体漏洩を最小化する密封構造を形成しかつ3)多種多様な顔の構造及び大きさに適合して、異なる多くの患者に共通の寸法と様式とを使用できる呼吸用マスクの改良型顔面密封体を必要とする需要が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、従来の顔面密封体の欠点を解決する呼吸用マスクの顔面密封体を提供することにある。顔面密封体の支持部に連結する第1の端部(一方の主面)と、患者の顔面に密封接触する第2の端部(他方の主面)と、第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(側面)とを備える顔面密封体を提供する本発明の一実施の形態により、前記目的が、達成される。第1の端部、第2の端部、側壁又はこれらの何れかの組み合わせは、1000%以上の範囲の伸び率を有する弾性材料(エラストマ材料)により形成される。弾性材料の一体片により顔面密封体を形成するのが好ましい。
【0010】
本発明の別の目的は、前記顔面密封体を備える呼吸用マスクを提供することにある。顔面密封体に加えて、呼吸用マスクは、顔面密封体の支持部及びマスク本体を備える。本発明の更なる実施の形態では、保持部材及び導管連結部材が呼吸用マスクに追加される。全体的に剛性を有する構造の殻であるマスク本体が好ましい。顔面密封体は、比較的剛性のある顔面密封体の支持部を備える。顔面密封体の支持部は、マスク本体に固着される環状面とほぼ同様に形成される環状基礎部又は内端部を有する周辺壁部を備える。
【0011】
顔面密封体は、第2の端部に形成される開口部を備える。超弾性材料(スーパーエラストマ材料)の超弾力特性により、開口部を最小に縮小することができる。これにより、顔面密封体の第2の端部が鼻の特徴部の周囲を覆い、患者対顔面密封体界面からの気体の漏洩を、零にはできなくても、減少することができる。顔面密封体の第2の端部の開口部は、補強又は高剛性化されて僅かに厚い壁部を有しかつ/又は一対の鼻孔を隔てるウェブ部材(梁部材)を設けて、顔面密封体の縁部に振動音が発生する不具合を低減してもよい。また、所望により、マスクの側面のみに顔面密封体の支持部を形成すれば、従来の顔面密封体に取り付けられる鰓蓋構造を必要としない。顔面密封体と同一の材料により形成される厚壁片等の比較的剛性のある別部品を顔面密封体の支持部に設けるか又はマスク本体に一体に形成して顔面密封体を高剛性化又は補強することができる。
【0012】
適切な顔面密封体の弾性材料として熱可塑性ゲル材料が好ましい。射出成形工程により熱可塑性ゲル材料を顔面密封体に形成することができる。初期のゲル技術とは異なり、ポリウレタンカプセル内にゲル材料を封入する必要がない。ポリウレタンカプセルの形成工程により、緩衝体の形状が制限される。本発明は、緩衝体の形状への制限を除去することができる。好適な実施の形態では、顔面密封体は、粘着性もべたつきもなく、滑らかで絹のような手触りである。
【0013】
熱可塑性ゲル材料は、多様な形態で市販されるスチレンブロック共重合体熱可塑性弾性体系である。本発明の例示的な実施の形態では、、顔面密封体が、特定の形状とマスク用途での所望の性能と手触りを生ずる以下の付加的物理的性質が下記顔面密封体に付与される。
ASTM-D2240基準硬度:20〜30ショア00スケール
ASTM-D412基準300%引張応力:69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)
ASTM-D624基準引裂強度:7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)
【0014】
弾性係数の低い熱可塑性ゲル材料は、側壁の周辺部に支持体を強化する追加支持体を顔面密封体に設けなければならない。追加支持体は、突出する厚い側部又は外側に被覆成形される支持リングでよい。二段成型及び外面被覆成形等の先進加工技術を熱可塑性ゲル材料に使用できる。
【0015】
弾性係数の低い熱可塑性ゲル材料を使用すると、なんらかの圧力差に応答して、肉薄部に共鳴作用の弊害が生ずることがある。本発明は、共鳴作用を低減又は減衰させる特定のパターンの変形壁厚を顔面密封体の複数部分に形成して、共鳴作用を防止することを企図する。
【0016】
熱可塑性ゲル材料を使用すれば、ゲル材料と患者との間に障壁となるポリウレタンカプセルを省略できる。障壁を除去すれば、患者の顔面特性に応じて熱可塑性ゲルを直接変形することができる。ポリウレタンカプセルの製造工程は、複雑でありかつ緩衝体の形状が制限される。熱可塑性ゲル材料を使用すれば、複雑な外形の緩衝体構造を製造できる。材料の障壁は、不要である。
【0017】
熱可塑性ゲル材料は、事前のインサート成形技術及び外面被覆技術に適合する単純な射出成形工程を使用して経済的に成形できる性質があり、実施可能な多くの構造改善を利用することができる。
【0018】
また、気体流を発生する気体流発生装置と、気体流発生装置に動作連結される第1の端部及び第2の端部を有する導管とを備える患者に気体流を供給する気体流供給装置が提供される。導管は、気体流発生装置からの気体流を搬送する。気体流供給装置は、導管の第2の端部に動作連結される呼吸用マスクを備える。
【0019】
参照符号により各図の対応する部分を示す添付図面に関する以下の説明、特許請求の範囲及び本明細書の全構成部分により、本発明の前記目的及び他の目的、特徴及び特性、構造の関連要素の操作法及び機能、部品の組み合わせ並びに製造経済性は、明らかとなろう。しかしながら、図面は、図示及び説明の目的に過ぎず、発明の範囲を制限しないものであることは、明確に理解できよう。別途明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」の単数形は、複数の対象を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図4は、本発明の原理による呼吸用マスク10の例示的な実施の形態を示す。呼吸用マスク10は、人工呼吸器、持続気道陽圧(CPAP)装置又は可変圧力装置等の圧力/流量発生装置12と患者の気道との間で呼吸用気体流を搬送する患者界面装置として機能する。可変圧力を発生する圧力支援装置の例は、自動滴定装置、比例補助換気(PAV)装置、比例気道陽圧(PPAP)装置、C-Flex装置、Bi-Flex装置若しくはBiPAP(登録商標)装置又は他の圧力支援装置を含み、前記圧力支援装置は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州マリーズビルに所在のレスピロニクス社が製造し販売しており、前記圧力支援装置は、患者の呼吸周期に応じて患者に供給する圧力を変更して吸気間に呼気間より高い圧力を患者に供給する機能を有する。圧力発生装置の概略形状を図2に示す。本発明の呼吸用マスクが全ての非侵襲性圧力支援装置又は換気装置への使用に適することは、理解されよう。呼吸用マスク10は、単一アーム患者回路又は多数アーム患者回路を備える。
【0021】
患者の気道と圧力発生装置との間で呼吸用気体流を連絡する過程は、患者回路を通じて圧力/流量発生装置から患者に呼吸用気体流を供給する過程と、患者から周囲大気に気体流を排出する過程とを含む。患者界面装置又は患者界面装置に隣接して単一アーム患者回路の排気口が設けられる。単一アーム患者回路の排気口は、通常、患者界面装置又は患者界面装置に隣接して設けられかつ圧力支援装置から排気流の流速を何ら積極的に制御せずに、患者界面装置から気体を排出できる開口部又は多数の開口部である。二対アーム患者回路の排気口は、患者回路の呼気区間で患者から遠位の端部に通常設けられる。二対アーム患者回路の排気口は、人工呼吸器又は圧力支援装置に通常設けられ、積極的に制御される。
【0022】
本発明の呼吸用マスク10は、患者の顔面に密着する顔面密封体14と、顔面密封体14の支持部16と、マスク本体18と、保持部材20と、導管連結部材22とを備える。導管連結部材22は、自由に回転可能にマスク本体18に取り付けられると共に、圧力/流量発生装置12に接続可能な導管24に接続可能である。導管24は、従来から患者回路とも称される。導管連結部材22は、エルボ形状若しくは直線状に形成され又はマスク10と患者回路とを接続するのに適切な何らかの形態を有する。マスク本体18は、環状外周面40を有する全体に剛性のある殻を形成することが好ましい。
【0023】
呼吸用マスク10を鼻マスクとして示すが、本発明は、鼻及び口を被覆する口/鼻マスク又は使用者のより広い範囲、特に使用者の顔面を被覆する全顔面被覆型面体も企図することは、理解されよう。従来と同様に、マスク本体18は、患者の顔面の上にマスク10を保持するヘッドギア紐(図示せず)を接続するタブ(突起)、スナップ(係止部)又は類似部材等から成る固定手段26も備える。本発明は、使用者にマスク10を取り付けて、本発明の原理から逸脱せずに本発明の実施に使用できる機能、何らかの構造、形状、大きさ、材質、その他を有する如何なるヘッドギアでもよいことを企図する。
【0024】
顔面密封体14は、第1の端部28と、第1の端部のほぼ反対側に形成される第2の端部30と、第1の端部28と第2の端部30との間に形成される鼻収容領域32とを有する。顔面密封体14は、マスク10を患者の顔面に装着するときに、少なくとも患者の鼻の末端部を鼻収容領域32内に配置できる大きさに形成される。顔面密封体14を貫通して形成される鼻収容領域32は、患者にマスク10を適切に装着するときに患者の鼻孔に連絡する少なくとも1つの孔部34を備える。
【0025】
顔面密封体支持部16は、半剛性材料、例えば、プラスチック、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVAコポリマ)、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン等の高ジュロメータ硬度の弾性体等が好ましい。顔面密封体支持部16は、取り付けるマスク本体18の環状面40とほぼ同様の形状に形成される環状基礎部38(又は内端部)を有する周辺壁部36を備える。周辺壁部36は、環状基礎部38のほぼ反対側に外端部42を更に有する。外端部42は、患者の顔の鼻梁(鼻柱)、鼻に隣接する頬、鼻と上唇との間の空間及びこれらに隣接する介在領域の表面形状に近似するほぼ環状の外面を有する。全面型面体の密封接触面は、鼻と上唇との間の中間領域よりも患者の顎(顎先、おとがい)を収容する形状を有することは、理解すべきである。
【0026】
顔面密封体14の断面を異なる壁厚で形成するのが好ましい。例えば、顔面密封体14の鼻収容空洞領域32より厚く側壁44を形成するのが好ましい。図1〜図4に示す実施の形態では、側壁44は、顔面密封体支持部16を収容する環状ポケット46を備える。例示的な図示の実施の形態では、顔面密封体14及び顔面密封体支持部16は、保持部材20によりマスク本体18に取り付けられる。顔面密封体14は、保持部材20を収容する外側溝50を有する環状基礎部48を更に備える。
【0027】
保持部材20は、樹脂等の比較的剛性を有する材料により一体部材で形成するのが好ましい。保持部材20は、環状保持部52及び側壁部54を備える。保持部材20の側壁部54は、前記顔面密封体支持部16と同様の形状を有する。本発明は、側壁44を省略できることを企図する。顔面密封体支持部16は、顔面密封体14内に挿入され、顔面密封体支持部16の環状保持部52の内側環状部56は、顔面密封体20の外側溝50内に挿入される。顔面密封体14上に環状保持部52の外側環状部58を取り付けて、マスク本体18に顔面密封体14が取り付けられる。
【0028】
弾性材料、具体的には熱可塑性弾性体ゲル又はTPEゲルとも称される熱可塑性ゲル材料等の超弾性材料の一体片により顔面密封体14を形成するのが好ましい。以下の性質を有する熱可塑性ゲル材料が好ましい。
ASTM-D2240基準硬度:10〜50ショア00スケール範囲
ASTM-D412基準伸び率:1000〜1800%範囲
ASTM-D412基準300%の弾性係数:69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)
ASTM-D624基準引裂強度:7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)の範囲
前記各性質を以下に簡単に説明する。好適な実施の形態では、顔面密封体14は、粘着性もべたつきもなく、滑らかで絹のような手触りである。
【0029】
1.硬度
硬度は、永久変形に対する抵抗力を示す固体物質の特性である。硬度は、主として永久歪、特に塑性歪に対する材料の抵抗力を特徴付ける押痕硬度として工学上及び冶金学上表わされる。特定形状の圧子を材料表面に押込み得られる窪みの寸法を計測することにより、硬度が通常測定される。多くの方法で硬度を測定することができる。弾性体の硬度を測定する最も通常の方法は、ショア硬度試験法である。
【0030】
ショア硬さは、ばね付勢されて材料の表面に押圧した圧子の圧入に対する材料の抵抗力の測定値である。数値が高い程、抵抗力が大きい。ジュロメータとして公知の器具により測定されるショア硬さは、「ジュロメータ硬さ」としても知られる。サンプル内へのジュロメータ圧子の先端の侵入率により硬度値が決定される。米国材料試験協会(ASTM)の試験番号は、ASTM-D2240であるが、類似の国際標準化機構(ISO)の試験方法では、ISO-868である。
【0031】
樹脂の硬さ試験は、ショア(ジュロメータ)硬さ試験により最も一般的に測定される。窪みに対する樹脂の抵抗力を測定して、他の性質又は基本特性に相関しない実験硬度値が得られる。ショアD、ショアA又はショア00等の異なるスケール(測定尺度)で測定するショア硬さは、ゴム/弾性体に好ましい硬さ試験法であり、「軟性」樹脂にも共通に使用される。ショアDスケールは、「硬性」ゴムに使用され、ショア00スケールは、「軟性」ゴムに使用される。ショア00硬さは、ゴム又は軟性樹脂等の弾性体の相対的硬度であり、ショア00ジュロメータと呼ばれる計器により測定される。圧子がサンプルを完全に貫通すると、測定値が0となり、圧子がサンプルに侵入しない場合、測定値が100となる。測定値単位は、無次元である。本発明では、ASTM-D2240基準を使用して測定される顔面密封体14は、ショア00スケールで10〜50の範囲の硬度を有する。
【0032】
2.伸び率
伸び率は、破壊点(限界点)長さを初期長さ、即ち、静止長さの百分率で表される。例えば、破断前にゴムが2倍の長さに達するときのゴムの伸び率は、100%である。ASTM-D412基準を使用して測定する本発明の顔面密封体は、少なくとも1000%の伸び率を有するのが好ましい。例示的かつ現在好適な実施の形態では、顔面密封体14は、1000%〜1800%範囲の伸び率を有する。即ち、本発明の顔面密封体の材料は、破断前に初期長さの10倍〜18倍に拡張される。
【0033】
3.弾性係数
材料科学では、弾性係数(又は弾性率)は、材料の剛性の測定値である。測定値は、ヤング率としても知られる。固体力学では、弾性係数、ヤング率又は弾性率は、特定材料の剛性の測定値である。この測定値は、歪に対して応力が変化する比率のうち微小歪範囲に限定される。試料に実施する引張試験間に作成される応力−歪曲線の傾きから実験的に測定値を決定することができる。
【0034】
ヤング率により、荷重を掛けた材料の挙動を算出することができる。例えば、ヤング率を使用して、引張力を受けるワイヤの延伸量を予測し又は圧縮力を受ける細い柱が座屈を生ずる負荷を予測することができる。剪断弾性率、密度又はポアソン比等他の材料特性を使用することが必要な計算もある。
【0035】
多くの材料のヤング率は、ある範囲の歪に対して一定である。前記材料の荷重に対する特性は、フックの法則に従い線形であると言われる。線形材料の例は、鋼、炭素繊維及びガラスを含む。ゴムは、非線形材料である。初期長さの所定の百分率、例えば、100%、200%又は300%等にゴムを延伸するのに必要な単位面積当たりの引張力として弾性係数が測定される(ゴムの弾性係数は、非線形である)。重量ポンド毎平方インチ(PSI)で表される100%の弾性係数として弾性係数を表わすこともある。ASTM-D412規格で69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)の範囲に測定される300%の弾性係数を有する材料が本発明の顔面密封体に好ましい。
【0036】
4.引裂強度
引裂強度は、標準試験片を引き裂くのに必要な力として測定される。標準試験片は、裂け目の基点となる脆弱点を発生するように設計される。長さ1インチ当たりの重量ポンド(PLI)に換算して引裂強度値を記録する場合が多い。本発明の顔面密封体は、ASTM-D624規格で7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)の範囲に測定される引裂強度を有する材料が好ましい。
【0037】
本発明の原理による顔面密封体組立体の更なる例示的な他の実施の形態を図5〜図9に示す。詳細には、図5及び図6は、一体成形により形成される一体型顔面密封体支持/保持部材60を示す。一体型顔面密封体支持/保持部材60は、既存のマスク本体18を使用して、既存のマスク殻に取り付けられるが、顔面密封体の支持部材と保持部材との両方の機能を実施することができる。顔面密封体支持部16の前記実施の形態と同様に、顔面密封体支持/保持部材60は、患者にマスク10を装着するとき、顔面密封体14の下に配置される人間の顔の特徴にほぼ対応する形状の末端部(縁部)を有する周辺壁62を備える。保持部64の周辺部をマスク本体18の周辺にスナップ嵌合することにより、保持部64は、マスク本体18に取り付けられる。
【0038】
本実施の形態では、顔面密封体14は、顔面密封体支持/保持部材60上に直接型で一体に成形され、顔面密封体14と顔面密封体支持/保持部材60は、単一の構成要素となる。これにより、顔面密封体14と顔面密封体支持/保持部材60とが強固に結合される。また、これにより、顔面密封体取付手段である顔面密封体支持/保持部材60と顔面密封体14とを備える顔面密封体組立体全体をマスク本体18に対し容易に取り付け又はこれから容易に取り外すことができる。本発明は、顔面密封体支持/保持部材60の顔面密封体支持部分の省略を企図することに留意すべきである。
【0039】
図7〜図9は、マスク本体18に顔面密封体14を取り付けかつマスク本体18に近い顔面密封体14の部分に構造上の支持力を与える更に他の構造を示す。図7に示す実施の形態では、顔面密封体14は、保持部材20'によりマスク本体18'に取り付けられる。本実施の形態では、上記のように、マスク本体18'の周辺に顔面密封体14を取り付ける保持部材20'は、顔面密封体14から独立する構成部材である。顔面密封体14は、マスク本体18'から延伸する支持突起66により構造上支持される。顔面密封体14は、支持突起66を収容する溝68を備える。図8に示す実施の形態は、独立する構成部材としてではなく、保持部材20''上に顔面密封体14をモールド成型する点を除き、図1〜図4と同様である。図9は、顔面密封体14に形成される溝に顔面密封体支持部16'を嵌合しない実施の形態である。その代わり、保持部材20の反対側で顔面密封体14''の内部、即ち内側にシール支持体16'が取り付けられる。
【0040】
マスク本体18'に顔面密封体14'を取り付ける技術及び図1〜図9に示す構造上の支持力を顔面密封体14'に与える技術が、2つの技術の機能を達成できる全ての方法を示すわけではないことを理解すべきである。従って、本発明は、図示の実施の形態に限定されない。更に、前記図に示す顔面密封体取付機能及び顔面密封体支持機能をあらゆる方法により組み合わせることができる。
【0041】
図10〜図32は、本発明の顔面密封体の種々の構造及び実施の形態を示す。本発明は、全ての他の技術と同様に、全ての前記技術を使用して、これらの実施の形態に示す顔面密封体14をマスク本体18'に取り付けることを企図することに留意すべきである。図面に明示しかつ本明細書に詳記する顔面密封体14の全実施の形態は、顔面密封体14の特性、即ち、硬度、伸び率、弾性係数及び引裂強度の1つ又は2つ以上を備えるのが好ましい。本発明は、図10〜図32に示す顔面密封体14,14',100,120,130,170,190,210,240の種々の構造及び実施の形態を鼻顔面密封体、鼻/口顔面密封体又は全面面体型顔面密封体に適用することも企図する。
【0042】
図10〜図12は、図1〜図4の顔面密封体14とほぼ同様の顔面密封体100を示す。ほぼ三角形状を有する顔面密封体100は、一体部品により形成される。顔面密封体100は、マスク本体18との連結に適する第1の端部102、保持部材、顔面密封体支持部又はそれらの全ての組み合わせを備える。顔面密封体100は、患者の顔面との密封接触に適する第2の端部104も有する。第2の端部104に単一の開口部106が形成される。第1の端部102と第2の端部104との間に側壁108が延伸する。開口部106は、顔面密封体100により形成される空洞部110と患者の鼻孔等の気道とを連絡する。
【0043】
顔面密封体100の第2の端部104は、使用者の鼻の大部分を覆う鰓蓋(フラップ)112を備える。鰓蓋112により、顔面密封体100の第2の端部104に鼻収容凹部114が形成される。顔面密封体100、特に、鰓蓋112の超弾性特性により、種々の異なる大きさ及び形状の鼻に鰓蓋112を迅速かつ容易に適合させることができる。顔面密封体100の超弾性特性により、使用者に密着する顔面密封体100の第2の端部104が大きな面積のままで、開口部106を比較的小さく形成することができ、患者と顔面密封体100との界面での気体の漏出量を最小化することができる。また、顔面密封体100の低弾性硬度(ジュロメータ)により、非常に柔軟かつ滑らかで使用者の皮膚に快適な界面が形成され、これらの特性は、密封接触する組織の感度及び患者に装着される一部のマスク10の期間に対して特に重要である。本発明の前記実施の形態は、処方される圧力支援治療への患者の適応性を改善し、様々な患者に装着できる共通の顔面密封体100を提供するものである。
【0044】
図13及び図14は、図10〜図12の顔面密封体100とほぼ同様の顔面密封体120を示す。顔面密封体120と100とは、顔面密封体120の第2の端部126に形成される鰓蓋124に2つの開口部122を設ける点で主に相違する。顔面密封体120を患者に装着するとき、各開口部122は、使用者の鼻孔に整合する。2つの開口部122は、小さな連結材128により分離される。
【0045】
図15〜図19は、本発明の別の実施の形態による顔面密封体130を示す。前記顔面密封体120と同様に、顔面密封体130は、マスク本体18に取り付けられる第1の端部132と、使用者の表面に密着する第2の端部134とを備える。顔面密封体130の第2の端部134に鰓蓋136と開口部138とが形成される。開口部138は、顔面密封体130により形成される空洞部140と使用者の気道とを連絡する。
【0046】
本実施の形態では、顔面密封体130の第2の端部134は、ほぼ平坦な鰓蓋136を備える。即ち、第2の端部134は、前記実施の形態の鰓蓋112のように、患者の顔面又は鼻に完全に適合する形態を備えるものではない。鰓蓋136は、顔面密封体130の第2の端部134で2つの側面142aと142bとを接続し、開口部138の少なくとも一部を鰓蓋136の端部に形成し、顔面密封体130の前記特徴部と頂部144との間に形成される平面上に配置される。図1〜図14に示す顔面密封体14,14',100,120のように、鼻に対応する形状に予め形成しなくても、鰓蓋136の超弾性特性に抗して小さな抵抗力で拡張して使用者の顔面及び鼻に適合させることができる。その結果、形状が自由でかつ広範囲の患者に十分に適合する顔面密封体130が得られる。
【0047】
使用者が第2の端部134に圧縮力を加えたとき、顔面密封体130の側壁129を補強して顔面密封体130の圧壊が防止される。図示の実施の形態では、壁厚148に厚い領域を設けることにより、側壁129が補強される。側壁129に補強材を連結又は配設する等により側壁129を補強する他の技術を適用することも本発明が企図することは、理解されよう。機械的な取り付け部材若しくは接着剤を使用し又は例えば、二段成型又は外面被覆成形を使用して側壁に補強部材を型成形する等のあらゆる従来の技術を使用して補強部材を取り付けることができる。単独で又は顔面密封体130の厚さを増大させた領域148と組み合わせて別の補強部材を使用することができる。前記実施の形態の顔面密封体支持部16は、そのような補強部材の一例である。本発明は、例えば、1000%未満の伸び率を有するより高い剛性で側壁を作成して、側壁での顔面密封体130に異なる特性を与えて側壁を補強することも企図する。
【0048】
顔面密封体130の厚さが減少して特定部分で湾曲できる薄肉領域が顔面密封体130に設けられる。例えば、本発明は、鼻筋(鼻の頂上部)を被覆する顔面密封体130の頂部144に薄肉領域152を形成することを企図する。鼻筋領域は、外圧に特に敏感である。従って、顔面密封体130が鼻筋部分に加える圧縮力を最小化するのが好ましい。薄肉領域152を形成して、これを達成できる。また、側壁129の末端部に沿って形成される薄肉領域152は、患者と顔面密封体130との間に可撓性界面を形成する。更に、使用者の上唇と鼻の底面との間の領域を被覆する薄肉領域156が顔面密封体130の一部に形成される。
【0049】
顔面密封体130は、開口部138の少なくとも一部の周辺部に形成される縁部160を備える。第2の端部134の患者との密着面となる端部に圧縮力を加えるとき、縁部160は、内側に湾曲する。これにより、使用者が顔面密封体130を快適に取り付けられと同時に、顔面密封体130と患者との界面での気体漏出量を最小化することができる。
【0050】
図示の実施の形態では、顔面密封体130の第1の端部132に形成される溝162により、顔面密封体130をマスク本体18に容易に取り付けることができる。顔面密封体130の入口周辺にまで延伸させずに、種々の形状を溝162に与え、顔面密封体130の外面に溝162を形成してもよく、マスク本体18に顔面密封体130を取り付ける他の技術を使用すれば、完全に溝162を省略してもよいことを本発明が企図することは、理解されよう。
【0051】
図20〜図23は、本発明の更に別の実施の形態による顔面密封体170を示す。顔面密封体170は、多くの点で顔面密封体130に類似する。2つの顔面密封体130,170は、開口部138'の周囲に形成される縁部160'の形状が異なる点で相違する。縁部160'は、縁部160より僅かに長く形成される。他の相違点は、鰓蓋136'にある。鰓蓋136'は、鰓蓋136'の中心部でかつ開口部138'に近接して僅かに厚く形成される肉厚部172を備える。気体が顔面密封体170を通じて通過するときに、開口部138'を形成する顔面密封体170の縁部160'の振動を防止するため、肉厚部172が形成される。図20〜図23は、僅かに異なる側壁の形状を示すと共に、顔面密封体170の特徴を示す。
【0052】
図24〜図26は、本発明の更に別の実施の形態による顔面密封体190を示す。顔面密封体190は、マスク本体18に取り付けられる第1の端部192と、患者密着面を形成する第2の端部194と、第1の端部192と第2の端部194との間に延伸する側壁196とを備える。顔面密封体190により形成される空洞部と患者の気道とを連絡する開口部198が第2の端部194に形成される。
【0053】
顔面密封体190と本明細書に記載する他の顔面密封体14,14',100,120,130,170,210,240とは、顔面密封体190の患者に密着する顔面密封体190の第2の端部194の形状が異なる点に重要な相違がある。図示の実施の形態では、第2の端部194は、ほぼ患者の顔の特徴に適合する輪郭を有する。例えば、側部198a及び198bは、顔面密封体190の三角形の頂部200と下部202から上方に盛り上がる末端部を有する。換言すれば、側壁196は、頂部200及び下部202より側部198a,198bで長く、顔面密封体190は、鞍状に形成される。側壁196と縁部204の厚さは、前記実施の形態よりも均一に形成されることに留意すべきである。
【0054】
図27〜図29は、本発明の更に別の実施の形態による顔面密封体210を示す。本実施の形態では、顔面密封体210は、顔面密封体210の構造を維持する機械的な支持特性を生ずる部分と、使用者に対して特に好ましい柔軟で快適な感触を顔面密封体210に与える他の部分とを有する2つ以上の材料から形成される。本実施の形態では、顔面密封体210は、密封部212と、第1の補強部214と、第2の補強部216とを備える。前記特性を有する熱可塑性材料から密封部210を形成するのが好ましい。1000%未満、好ましくは300〜400%の範囲の伸び率を有する熱可塑性材料より弾力性のない補強材により第1の補強部214及び第2の補強部216を形成するのが好ましい。
【0055】
本発明は、あらゆる適切な方法で第1の補強部214と第2の補強部216とを密封部212に連結して、均質な一体化顔面密封体210を形成することを企図する。しかしながら、現在好適かつ例示的な実施の形態では、第1の補強部214及び第2の補強部216は、二段成型を使用して密封部212に接合される。勿論、複数部材の加熱封着、接着剤による複数部材の接合又は加熱封着と接着剤の組合せ利用等他の技術を使用して、密封部212を第1の補強部214と第2の補強部216とに取り付けることもできる。
【0056】
側壁の補強材214,216の形成に加えて、他の用途にも二段成型を実施できることに留意すべきである。これにより、弾性特性を有する2つの材料等の2つの類似の材料を単一の壁部に接着し結合して、特定部位で部分的にマスク10の特性を変更することができる。二段成型は、内側か外側かを問わず、顔面密封体210に剛性のある支持体を使用しかつ/又は厚い壁部を形成する等の他の従来の側壁補強技術とは異なる。二段成型は、重量を増加させずに、顔面密封体210に連続する形状を与える。剛性のある基板又は剛性のある基板上に設けられる単一の弾性材料と共に、熱可塑性成形では慣用される二段成型及び外面被覆を行うことも多くの場合可能である。
【0057】
図28に明示するように、第1の補強部214は、顔面密封体210のほぼ第2の端部218側で顔面密封体210に取り付けられる。詳細には、第1の補強部214は、第2の端部218の開口部220の周辺に配置されるほぼ環状部品である。前記実施の形態と同様に、開口部200は、顔面密封体210の内部に使用者の気道を連絡する。開口部220周辺に第1の補強部214を設けることにより、開口部220周辺で顔面密封体210の構造完全性を向上し、顔面密封体210を通じて気体が通過するときに、開口部200を形成する顔面密封体210の縁部222の振動を防止することができる。図示の実施の形態では、第1の補強部214は、開口部200周辺で顔面密封体210の形状に対応する形状に形成され、第1の補強部214は、第1の部分223に沿って湾曲するように縁部222の円弧状又は半円形形状にほぼ整合する湾曲形状と、第2の部分225で鰓蓋224の扁平形状に整合する平坦形状とを備える。
【0058】
第2の補強部216は、顔面密封体210のほぼ第1の端部230に設けられる。図示の実施の形態では、第2の補強部216は、比較的薄い壁構造の環状形状を有する。第2の補強部216は、第1の端部230の対応する縁部に整合する第1の縁部232と、第2の縁部234とを備える。顔面密封体210の周辺部の選択された位置で強固な支持体となる形状に第2の縁部234を形成するのが好ましい。即ち、第2の補強部216の高さは、顔面密封体210の側面等の大きな支持力が必要な場所では高く選択され、使用者の上唇の上方に配置される顔面密封体210の領域等小さい支持力が必要な場所では低く選択される。
【0059】
第1の補強部214及び第2の補強部216に他の種々の寸法及び形状を付与してもよいことは、理解されよう。本発明は、顔面密封体210に必要な支持体の構造に依存して、顔面密封体210に他の補強部を設け又は第1の補強部214若しくは第2の補強部216を省略することも企図する。また、どのような部材により補強部を形成すべきかが必要ではなく、顔面密封体210に所望の支持機能を付与する如何なる形状でもよい。
【0060】
図30〜図32は、本発明の原理による顔面密封体240の更に別の実施の形態を示す。顔面密封体240は、互いに連結される多数の構成部材から構成される点で顔面密封体210とほぼ同様である。詳細には、顔面密封体240は、密封部242と、第1の補強部244と、第2の補強部246とを備える。前記実施の形態と同様に、第1の補強部244は、開口部248を包囲する領域で密封部242に連結され、開口部248は、顔面密封体240の第2の端部250に形成され、第2の端部250は、開口部248の周辺を構造上支持する。顔面密封体240がマスク本体18に連結するほぼ第1の端部252で顔面密封体240の他の端部に第2の補強部246が設けられる。図30〜図32は、本発明の原理の範囲内で顔面密封体240の構成部材が無数の形状、寸法及び構造を有することを本発明が企図することを示す。
【0061】
図32に明示するように、また、本発明は、密封部242の内面に形成される溝254に少なくとも部分的に第2の補強部246を収容することも企図する。第1の補強部244を収容する同様の溝を顔面密封体240に設けられることにも留意すべきである。
【0062】
現在最も実用的で及び好適と思われる実施の形態を図示して詳述したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の原理による呼吸用マスク組立体の分解斜視図
【図2】図1のマスク組立体の正面図
【図3】図2の3−3線に沿うマスク組立体の断面図
【図4】図2の4−4線に沿うマスク組立体の断面図
【図5】本発明の他の実施の形態による一体型顔面密封体支持/保持部材の斜視図
【図6】図5の一体型顔面密封体支持/保持部材の部分断面図
【図7】本発明の別の実施の形態による一体型顔面密封体支持部/マスク本体の断面図
【図8】本発明の他の実施の形態による保持部材、埋設型顔面密封体支持部及びマスク本体の断面図
【図9】本発明の原理によるマスク組立体の更に別の実施の形態の断面図
【図10】本発明の原理による顔面密封体の一実施の形態の正面斜視図
【図11】図10の顔面密封体の背面斜視図
【図12】図10の12−12線に沿う顔面密封体の断面図
【図13】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図14】図13の顔面密封体の背面斜視図
【図15】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の側面斜視図
【図16】図15の顔面密封体の背面斜視図
【図17】図15の17−17線に沿う顔面密封体の断面図
【図18】図16の18−18線に沿う顔面密封体の断面図
【図19】図17の19−19線に沿う顔面密封体の断面図
【図20】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図21】図20の21−21線に沿う図20の顔面密封体の断面図
【図22】図20の22−22線に沿う図20の顔面密封体の断面図
【図23】図20の23−23線に沿う図20の顔面密封体の断面図
【図24】本発明の原理による顔面密封体の他の実施の形態の正面斜視図
【図25】図24の25−25線に沿う図24の顔面密封体の断面図
【図26】図24の26−26線に沿う図24の顔面密封体の断面図
【図27】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図28】図27の28−28線に沿う部分断面が示される顔面密封体の側面斜視図
【図29】図27の顔面密封体の分解斜視図
【図30】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図31】図30の31−31線に沿う部分断面が示される顔面密封体の側面斜視図
【図32】図30の顔面密封体の分解斜視図
【符号の説明】
【0064】
(10)・・呼吸用マスク、 (14,100,120,130,170,190,210,240)・・顔面密封体(密封手段)、 (16,16',62,66,246)・・補強部材(補強手段)、 (18)・・マスク本体、 (20,20',20'',60)・・保持部材(取付手段)、 (26)・・ヘッドギア取付手段、 (28)・・第1の端部、 (30,104,126,134,194,218)・・第2の端部、 (34,106,122,138,138',198,220,248)・・開口部、 (44,108,129,129',196)・・側壁、 (148)・・厚さ、 (160,160',204)・・縁部、
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定に基づき、2004年11月5日に出願された米国仮出願番号第60/625,469号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、患者の顔面に密着する可撓性及び弾力性を有しかつ患者の気道を外部に対して密封する界面材を形成する顔面密封体及び顔面密封体を使用する呼吸用マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性を有する顔面密封体(シール)を備えかつ人間の患者(被験者、使用者)の鼻、口又はその両方を被覆する種々の呼吸用マスクは、公知である。一般に緩衝体とも称する呼吸用マスクの顔面密封体は、患者の顔面に対する密封構造を形成することを意味する。密封構造により生じる密封効果により、陽圧により気体を呼吸用マスク内に供給して患者の気道に気体を送出することができる。
【0004】
呼吸用マスクの用途は、例えば、航空機内等の高標高地、採掘現場、消火活動及び種々の医療診断及び治療での呼吸への利用範囲に及ぶ。例えば、患者の気道に持続気道陽圧(CPAP)又は可変気道圧を供給するのに呼吸用マスクが使用される。可変気道陽圧装置の例に、非侵襲性換気を提供する従来の人工呼吸器と、患者の呼吸周期に応じて患者に供給する圧力を変更する二段階(バイレベル)圧力支援装置と、患者の監視状態に応じて患者に供給する圧力を変更する自動滴定圧力支援装置と、患者動作に応じて供給する圧力を変更する比例気道陽圧(PPAP)支援装置とを含む。睡眠時無呼吸症候群、特に、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)、チェーンストークス呼吸症及び鬱血性心不全等の医療疾患の治療に通常の圧力支援治療が処方される。
【0005】
呼吸用マスクの条件は、患者の顔面に有効な密封構造を形成して、供給される気体の漏洩を防止することである。従来の呼吸用マスク構造では、通常患者に多少不快感を与えなければ、呼吸用マスク対顔面の良好な密封構造を形成できない場合が多い。呼吸用マスクを通常長時間装着する患者には、この問題が最も重要である。この状況では、患者が不快な呼吸用マスクの着用を敬遠して、処方される圧力支援治療を達成できない問題がある。
【0006】
気体漏洩を最小化してしかも患者に快適で有効な密封構造を患者の顔面に形成する数多くの開発が試みられてきた。下記特許文献1は、例えば、使用者に接触する突面を顔面密封体に設けた気泡型患者界面体を開示する。特許文献1は、弾塑性材料により型成形された膨張可能な薄膜から成る顔面密封体を開示する。使用者が自己の顔面に顔面密封体を当てたときに、顔面密封体の突面自体は、内側に変形する。顔面密封体の変形により、陽圧治療の処方に適する呼吸用マスク対顔面との密封構造が形成されよう。従って、圧力支援装置から顔面密封体の内部に印加される圧力により初期突状形状から内側に変形する性能と顔面密封体の形状とを密封構造に与えて、患者の顔面に対する必要な密封性を確保し、多種多様な患者、即ち、異なる顔の大きさ及び形状を有する患者に顔面密封体を適合できることは、理解されよう。
【特許文献1】米国特許第5,243,971号公報
【特許文献2】米国特許第5,647,357号公報
【特許文献3】米国特許第4,971,051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
他の顔面密封体では、変形して良好な密封構造を形成する顔面密封体の形成材料の性能に依存するより、マスク対患者の有効な密封構造を形成する顔面密封体を形成する材料の種類に依存する。例えば、上記特許文献2は、ショア000スケールでジュロメータ硬度20〜45のゲル材料から形成される顔面密封体を開示する。この種のゲル材料は、非常に柔らかい手触りで、患者と呼吸用マスクとの間に快適な界面を形成する。ゲル材料の弾力性により、顔面密封体と患者との界面での漏洩が確実に最小化される。しかしながら、前記ゲル緩衝体は、寸法が嵩張る又は重量が重過ぎると認められる場合もある。
【0008】
更に、顔面密封体の患者密着部に多数の鰓蓋(フラップ)を使用して、マスクと患者との良好な密封構造を形成する他の開発が試みられてきた。例えば、上記特許文献3を参照されたい。異なる種類の前記マスク顔面密封体の各々は、有効に着用できる患者もいるが、1)長時間快適に装着でき、2)マスク対患者の界面での気体漏洩を最小化する密封構造を形成しかつ3)多種多様な顔の構造及び大きさに適合して、異なる多くの患者に共通の寸法と様式とを使用できる呼吸用マスクの改良型顔面密封体を必要とする需要が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の目的は、従来の顔面密封体の欠点を解決する呼吸用マスクの顔面密封体を提供することにある。顔面密封体の支持部に連結する第1の端部(一方の主面)と、患者の顔面に密封接触する第2の端部(他方の主面)と、第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(側面)とを備える顔面密封体を提供する本発明の一実施の形態により、前記目的が、達成される。第1の端部、第2の端部、側壁又はこれらの何れかの組み合わせは、1000%以上の範囲の伸び率を有する弾性材料(エラストマ材料)により形成される。弾性材料の一体片により顔面密封体を形成するのが好ましい。
【0010】
本発明の別の目的は、前記顔面密封体を備える呼吸用マスクを提供することにある。顔面密封体に加えて、呼吸用マスクは、顔面密封体の支持部及びマスク本体を備える。本発明の更なる実施の形態では、保持部材及び導管連結部材が呼吸用マスクに追加される。全体的に剛性を有する構造の殻であるマスク本体が好ましい。顔面密封体は、比較的剛性のある顔面密封体の支持部を備える。顔面密封体の支持部は、マスク本体に固着される環状面とほぼ同様に形成される環状基礎部又は内端部を有する周辺壁部を備える。
【0011】
顔面密封体は、第2の端部に形成される開口部を備える。超弾性材料(スーパーエラストマ材料)の超弾力特性により、開口部を最小に縮小することができる。これにより、顔面密封体の第2の端部が鼻の特徴部の周囲を覆い、患者対顔面密封体界面からの気体の漏洩を、零にはできなくても、減少することができる。顔面密封体の第2の端部の開口部は、補強又は高剛性化されて僅かに厚い壁部を有しかつ/又は一対の鼻孔を隔てるウェブ部材(梁部材)を設けて、顔面密封体の縁部に振動音が発生する不具合を低減してもよい。また、所望により、マスクの側面のみに顔面密封体の支持部を形成すれば、従来の顔面密封体に取り付けられる鰓蓋構造を必要としない。顔面密封体と同一の材料により形成される厚壁片等の比較的剛性のある別部品を顔面密封体の支持部に設けるか又はマスク本体に一体に形成して顔面密封体を高剛性化又は補強することができる。
【0012】
適切な顔面密封体の弾性材料として熱可塑性ゲル材料が好ましい。射出成形工程により熱可塑性ゲル材料を顔面密封体に形成することができる。初期のゲル技術とは異なり、ポリウレタンカプセル内にゲル材料を封入する必要がない。ポリウレタンカプセルの形成工程により、緩衝体の形状が制限される。本発明は、緩衝体の形状への制限を除去することができる。好適な実施の形態では、顔面密封体は、粘着性もべたつきもなく、滑らかで絹のような手触りである。
【0013】
熱可塑性ゲル材料は、多様な形態で市販されるスチレンブロック共重合体熱可塑性弾性体系である。本発明の例示的な実施の形態では、、顔面密封体が、特定の形状とマスク用途での所望の性能と手触りを生ずる以下の付加的物理的性質が下記顔面密封体に付与される。
ASTM-D2240基準硬度:20〜30ショア00スケール
ASTM-D412基準300%引張応力:69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)
ASTM-D624基準引裂強度:7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)
【0014】
弾性係数の低い熱可塑性ゲル材料は、側壁の周辺部に支持体を強化する追加支持体を顔面密封体に設けなければならない。追加支持体は、突出する厚い側部又は外側に被覆成形される支持リングでよい。二段成型及び外面被覆成形等の先進加工技術を熱可塑性ゲル材料に使用できる。
【0015】
弾性係数の低い熱可塑性ゲル材料を使用すると、なんらかの圧力差に応答して、肉薄部に共鳴作用の弊害が生ずることがある。本発明は、共鳴作用を低減又は減衰させる特定のパターンの変形壁厚を顔面密封体の複数部分に形成して、共鳴作用を防止することを企図する。
【0016】
熱可塑性ゲル材料を使用すれば、ゲル材料と患者との間に障壁となるポリウレタンカプセルを省略できる。障壁を除去すれば、患者の顔面特性に応じて熱可塑性ゲルを直接変形することができる。ポリウレタンカプセルの製造工程は、複雑でありかつ緩衝体の形状が制限される。熱可塑性ゲル材料を使用すれば、複雑な外形の緩衝体構造を製造できる。材料の障壁は、不要である。
【0017】
熱可塑性ゲル材料は、事前のインサート成形技術及び外面被覆技術に適合する単純な射出成形工程を使用して経済的に成形できる性質があり、実施可能な多くの構造改善を利用することができる。
【0018】
また、気体流を発生する気体流発生装置と、気体流発生装置に動作連結される第1の端部及び第2の端部を有する導管とを備える患者に気体流を供給する気体流供給装置が提供される。導管は、気体流発生装置からの気体流を搬送する。気体流供給装置は、導管の第2の端部に動作連結される呼吸用マスクを備える。
【0019】
参照符号により各図の対応する部分を示す添付図面に関する以下の説明、特許請求の範囲及び本明細書の全構成部分により、本発明の前記目的及び他の目的、特徴及び特性、構造の関連要素の操作法及び機能、部品の組み合わせ並びに製造経済性は、明らかとなろう。しかしながら、図面は、図示及び説明の目的に過ぎず、発明の範囲を制限しないものであることは、明確に理解できよう。別途明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」の単数形は、複数の対象を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図4は、本発明の原理による呼吸用マスク10の例示的な実施の形態を示す。呼吸用マスク10は、人工呼吸器、持続気道陽圧(CPAP)装置又は可変圧力装置等の圧力/流量発生装置12と患者の気道との間で呼吸用気体流を搬送する患者界面装置として機能する。可変圧力を発生する圧力支援装置の例は、自動滴定装置、比例補助換気(PAV)装置、比例気道陽圧(PPAP)装置、C-Flex装置、Bi-Flex装置若しくはBiPAP(登録商標)装置又は他の圧力支援装置を含み、前記圧力支援装置は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州マリーズビルに所在のレスピロニクス社が製造し販売しており、前記圧力支援装置は、患者の呼吸周期に応じて患者に供給する圧力を変更して吸気間に呼気間より高い圧力を患者に供給する機能を有する。圧力発生装置の概略形状を図2に示す。本発明の呼吸用マスクが全ての非侵襲性圧力支援装置又は換気装置への使用に適することは、理解されよう。呼吸用マスク10は、単一アーム患者回路又は多数アーム患者回路を備える。
【0021】
患者の気道と圧力発生装置との間で呼吸用気体流を連絡する過程は、患者回路を通じて圧力/流量発生装置から患者に呼吸用気体流を供給する過程と、患者から周囲大気に気体流を排出する過程とを含む。患者界面装置又は患者界面装置に隣接して単一アーム患者回路の排気口が設けられる。単一アーム患者回路の排気口は、通常、患者界面装置又は患者界面装置に隣接して設けられかつ圧力支援装置から排気流の流速を何ら積極的に制御せずに、患者界面装置から気体を排出できる開口部又は多数の開口部である。二対アーム患者回路の排気口は、患者回路の呼気区間で患者から遠位の端部に通常設けられる。二対アーム患者回路の排気口は、人工呼吸器又は圧力支援装置に通常設けられ、積極的に制御される。
【0022】
本発明の呼吸用マスク10は、患者の顔面に密着する顔面密封体14と、顔面密封体14の支持部16と、マスク本体18と、保持部材20と、導管連結部材22とを備える。導管連結部材22は、自由に回転可能にマスク本体18に取り付けられると共に、圧力/流量発生装置12に接続可能な導管24に接続可能である。導管24は、従来から患者回路とも称される。導管連結部材22は、エルボ形状若しくは直線状に形成され又はマスク10と患者回路とを接続するのに適切な何らかの形態を有する。マスク本体18は、環状外周面40を有する全体に剛性のある殻を形成することが好ましい。
【0023】
呼吸用マスク10を鼻マスクとして示すが、本発明は、鼻及び口を被覆する口/鼻マスク又は使用者のより広い範囲、特に使用者の顔面を被覆する全顔面被覆型面体も企図することは、理解されよう。従来と同様に、マスク本体18は、患者の顔面の上にマスク10を保持するヘッドギア紐(図示せず)を接続するタブ(突起)、スナップ(係止部)又は類似部材等から成る固定手段26も備える。本発明は、使用者にマスク10を取り付けて、本発明の原理から逸脱せずに本発明の実施に使用できる機能、何らかの構造、形状、大きさ、材質、その他を有する如何なるヘッドギアでもよいことを企図する。
【0024】
顔面密封体14は、第1の端部28と、第1の端部のほぼ反対側に形成される第2の端部30と、第1の端部28と第2の端部30との間に形成される鼻収容領域32とを有する。顔面密封体14は、マスク10を患者の顔面に装着するときに、少なくとも患者の鼻の末端部を鼻収容領域32内に配置できる大きさに形成される。顔面密封体14を貫通して形成される鼻収容領域32は、患者にマスク10を適切に装着するときに患者の鼻孔に連絡する少なくとも1つの孔部34を備える。
【0025】
顔面密封体支持部16は、半剛性材料、例えば、プラスチック、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVAコポリマ)、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタン等の高ジュロメータ硬度の弾性体等が好ましい。顔面密封体支持部16は、取り付けるマスク本体18の環状面40とほぼ同様の形状に形成される環状基礎部38(又は内端部)を有する周辺壁部36を備える。周辺壁部36は、環状基礎部38のほぼ反対側に外端部42を更に有する。外端部42は、患者の顔の鼻梁(鼻柱)、鼻に隣接する頬、鼻と上唇との間の空間及びこれらに隣接する介在領域の表面形状に近似するほぼ環状の外面を有する。全面型面体の密封接触面は、鼻と上唇との間の中間領域よりも患者の顎(顎先、おとがい)を収容する形状を有することは、理解すべきである。
【0026】
顔面密封体14の断面を異なる壁厚で形成するのが好ましい。例えば、顔面密封体14の鼻収容空洞領域32より厚く側壁44を形成するのが好ましい。図1〜図4に示す実施の形態では、側壁44は、顔面密封体支持部16を収容する環状ポケット46を備える。例示的な図示の実施の形態では、顔面密封体14及び顔面密封体支持部16は、保持部材20によりマスク本体18に取り付けられる。顔面密封体14は、保持部材20を収容する外側溝50を有する環状基礎部48を更に備える。
【0027】
保持部材20は、樹脂等の比較的剛性を有する材料により一体部材で形成するのが好ましい。保持部材20は、環状保持部52及び側壁部54を備える。保持部材20の側壁部54は、前記顔面密封体支持部16と同様の形状を有する。本発明は、側壁44を省略できることを企図する。顔面密封体支持部16は、顔面密封体14内に挿入され、顔面密封体支持部16の環状保持部52の内側環状部56は、顔面密封体20の外側溝50内に挿入される。顔面密封体14上に環状保持部52の外側環状部58を取り付けて、マスク本体18に顔面密封体14が取り付けられる。
【0028】
弾性材料、具体的には熱可塑性弾性体ゲル又はTPEゲルとも称される熱可塑性ゲル材料等の超弾性材料の一体片により顔面密封体14を形成するのが好ましい。以下の性質を有する熱可塑性ゲル材料が好ましい。
ASTM-D2240基準硬度:10〜50ショア00スケール範囲
ASTM-D412基準伸び率:1000〜1800%範囲
ASTM-D412基準300%の弾性係数:69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)
ASTM-D624基準引裂強度:7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)の範囲
前記各性質を以下に簡単に説明する。好適な実施の形態では、顔面密封体14は、粘着性もべたつきもなく、滑らかで絹のような手触りである。
【0029】
1.硬度
硬度は、永久変形に対する抵抗力を示す固体物質の特性である。硬度は、主として永久歪、特に塑性歪に対する材料の抵抗力を特徴付ける押痕硬度として工学上及び冶金学上表わされる。特定形状の圧子を材料表面に押込み得られる窪みの寸法を計測することにより、硬度が通常測定される。多くの方法で硬度を測定することができる。弾性体の硬度を測定する最も通常の方法は、ショア硬度試験法である。
【0030】
ショア硬さは、ばね付勢されて材料の表面に押圧した圧子の圧入に対する材料の抵抗力の測定値である。数値が高い程、抵抗力が大きい。ジュロメータとして公知の器具により測定されるショア硬さは、「ジュロメータ硬さ」としても知られる。サンプル内へのジュロメータ圧子の先端の侵入率により硬度値が決定される。米国材料試験協会(ASTM)の試験番号は、ASTM-D2240であるが、類似の国際標準化機構(ISO)の試験方法では、ISO-868である。
【0031】
樹脂の硬さ試験は、ショア(ジュロメータ)硬さ試験により最も一般的に測定される。窪みに対する樹脂の抵抗力を測定して、他の性質又は基本特性に相関しない実験硬度値が得られる。ショアD、ショアA又はショア00等の異なるスケール(測定尺度)で測定するショア硬さは、ゴム/弾性体に好ましい硬さ試験法であり、「軟性」樹脂にも共通に使用される。ショアDスケールは、「硬性」ゴムに使用され、ショア00スケールは、「軟性」ゴムに使用される。ショア00硬さは、ゴム又は軟性樹脂等の弾性体の相対的硬度であり、ショア00ジュロメータと呼ばれる計器により測定される。圧子がサンプルを完全に貫通すると、測定値が0となり、圧子がサンプルに侵入しない場合、測定値が100となる。測定値単位は、無次元である。本発明では、ASTM-D2240基準を使用して測定される顔面密封体14は、ショア00スケールで10〜50の範囲の硬度を有する。
【0032】
2.伸び率
伸び率は、破壊点(限界点)長さを初期長さ、即ち、静止長さの百分率で表される。例えば、破断前にゴムが2倍の長さに達するときのゴムの伸び率は、100%である。ASTM-D412基準を使用して測定する本発明の顔面密封体は、少なくとも1000%の伸び率を有するのが好ましい。例示的かつ現在好適な実施の形態では、顔面密封体14は、1000%〜1800%範囲の伸び率を有する。即ち、本発明の顔面密封体の材料は、破断前に初期長さの10倍〜18倍に拡張される。
【0033】
3.弾性係数
材料科学では、弾性係数(又は弾性率)は、材料の剛性の測定値である。測定値は、ヤング率としても知られる。固体力学では、弾性係数、ヤング率又は弾性率は、特定材料の剛性の測定値である。この測定値は、歪に対して応力が変化する比率のうち微小歪範囲に限定される。試料に実施する引張試験間に作成される応力−歪曲線の傾きから実験的に測定値を決定することができる。
【0034】
ヤング率により、荷重を掛けた材料の挙動を算出することができる。例えば、ヤング率を使用して、引張力を受けるワイヤの延伸量を予測し又は圧縮力を受ける細い柱が座屈を生ずる負荷を予測することができる。剪断弾性率、密度又はポアソン比等他の材料特性を使用することが必要な計算もある。
【0035】
多くの材料のヤング率は、ある範囲の歪に対して一定である。前記材料の荷重に対する特性は、フックの法則に従い線形であると言われる。線形材料の例は、鋼、炭素繊維及びガラスを含む。ゴムは、非線形材料である。初期長さの所定の百分率、例えば、100%、200%又は300%等にゴムを延伸するのに必要な単位面積当たりの引張力として弾性係数が測定される(ゴムの弾性係数は、非線形である)。重量ポンド毎平方インチ(PSI)で表される100%の弾性係数として弾性係数を表わすこともある。ASTM-D412規格で69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)の範囲に測定される300%の弾性係数を有する材料が本発明の顔面密封体に好ましい。
【0036】
4.引裂強度
引裂強度は、標準試験片を引き裂くのに必要な力として測定される。標準試験片は、裂け目の基点となる脆弱点を発生するように設計される。長さ1インチ当たりの重量ポンド(PLI)に換算して引裂強度値を記録する場合が多い。本発明の顔面密封体は、ASTM-D624規格で7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)の範囲に測定される引裂強度を有する材料が好ましい。
【0037】
本発明の原理による顔面密封体組立体の更なる例示的な他の実施の形態を図5〜図9に示す。詳細には、図5及び図6は、一体成形により形成される一体型顔面密封体支持/保持部材60を示す。一体型顔面密封体支持/保持部材60は、既存のマスク本体18を使用して、既存のマスク殻に取り付けられるが、顔面密封体の支持部材と保持部材との両方の機能を実施することができる。顔面密封体支持部16の前記実施の形態と同様に、顔面密封体支持/保持部材60は、患者にマスク10を装着するとき、顔面密封体14の下に配置される人間の顔の特徴にほぼ対応する形状の末端部(縁部)を有する周辺壁62を備える。保持部64の周辺部をマスク本体18の周辺にスナップ嵌合することにより、保持部64は、マスク本体18に取り付けられる。
【0038】
本実施の形態では、顔面密封体14は、顔面密封体支持/保持部材60上に直接型で一体に成形され、顔面密封体14と顔面密封体支持/保持部材60は、単一の構成要素となる。これにより、顔面密封体14と顔面密封体支持/保持部材60とが強固に結合される。また、これにより、顔面密封体取付手段である顔面密封体支持/保持部材60と顔面密封体14とを備える顔面密封体組立体全体をマスク本体18に対し容易に取り付け又はこれから容易に取り外すことができる。本発明は、顔面密封体支持/保持部材60の顔面密封体支持部分の省略を企図することに留意すべきである。
【0039】
図7〜図9は、マスク本体18に顔面密封体14を取り付けかつマスク本体18に近い顔面密封体14の部分に構造上の支持力を与える更に他の構造を示す。図7に示す実施の形態では、顔面密封体14は、保持部材20'によりマスク本体18'に取り付けられる。本実施の形態では、上記のように、マスク本体18'の周辺に顔面密封体14を取り付ける保持部材20'は、顔面密封体14から独立する構成部材である。顔面密封体14は、マスク本体18'から延伸する支持突起66により構造上支持される。顔面密封体14は、支持突起66を収容する溝68を備える。図8に示す実施の形態は、独立する構成部材としてではなく、保持部材20''上に顔面密封体14をモールド成型する点を除き、図1〜図4と同様である。図9は、顔面密封体14に形成される溝に顔面密封体支持部16'を嵌合しない実施の形態である。その代わり、保持部材20の反対側で顔面密封体14''の内部、即ち内側にシール支持体16'が取り付けられる。
【0040】
マスク本体18'に顔面密封体14'を取り付ける技術及び図1〜図9に示す構造上の支持力を顔面密封体14'に与える技術が、2つの技術の機能を達成できる全ての方法を示すわけではないことを理解すべきである。従って、本発明は、図示の実施の形態に限定されない。更に、前記図に示す顔面密封体取付機能及び顔面密封体支持機能をあらゆる方法により組み合わせることができる。
【0041】
図10〜図32は、本発明の顔面密封体の種々の構造及び実施の形態を示す。本発明は、全ての他の技術と同様に、全ての前記技術を使用して、これらの実施の形態に示す顔面密封体14をマスク本体18'に取り付けることを企図することに留意すべきである。図面に明示しかつ本明細書に詳記する顔面密封体14の全実施の形態は、顔面密封体14の特性、即ち、硬度、伸び率、弾性係数及び引裂強度の1つ又は2つ以上を備えるのが好ましい。本発明は、図10〜図32に示す顔面密封体14,14',100,120,130,170,190,210,240の種々の構造及び実施の形態を鼻顔面密封体、鼻/口顔面密封体又は全面面体型顔面密封体に適用することも企図する。
【0042】
図10〜図12は、図1〜図4の顔面密封体14とほぼ同様の顔面密封体100を示す。ほぼ三角形状を有する顔面密封体100は、一体部品により形成される。顔面密封体100は、マスク本体18との連結に適する第1の端部102、保持部材、顔面密封体支持部又はそれらの全ての組み合わせを備える。顔面密封体100は、患者の顔面との密封接触に適する第2の端部104も有する。第2の端部104に単一の開口部106が形成される。第1の端部102と第2の端部104との間に側壁108が延伸する。開口部106は、顔面密封体100により形成される空洞部110と患者の鼻孔等の気道とを連絡する。
【0043】
顔面密封体100の第2の端部104は、使用者の鼻の大部分を覆う鰓蓋(フラップ)112を備える。鰓蓋112により、顔面密封体100の第2の端部104に鼻収容凹部114が形成される。顔面密封体100、特に、鰓蓋112の超弾性特性により、種々の異なる大きさ及び形状の鼻に鰓蓋112を迅速かつ容易に適合させることができる。顔面密封体100の超弾性特性により、使用者に密着する顔面密封体100の第2の端部104が大きな面積のままで、開口部106を比較的小さく形成することができ、患者と顔面密封体100との界面での気体の漏出量を最小化することができる。また、顔面密封体100の低弾性硬度(ジュロメータ)により、非常に柔軟かつ滑らかで使用者の皮膚に快適な界面が形成され、これらの特性は、密封接触する組織の感度及び患者に装着される一部のマスク10の期間に対して特に重要である。本発明の前記実施の形態は、処方される圧力支援治療への患者の適応性を改善し、様々な患者に装着できる共通の顔面密封体100を提供するものである。
【0044】
図13及び図14は、図10〜図12の顔面密封体100とほぼ同様の顔面密封体120を示す。顔面密封体120と100とは、顔面密封体120の第2の端部126に形成される鰓蓋124に2つの開口部122を設ける点で主に相違する。顔面密封体120を患者に装着するとき、各開口部122は、使用者の鼻孔に整合する。2つの開口部122は、小さな連結材128により分離される。
【0045】
図15〜図19は、本発明の別の実施の形態による顔面密封体130を示す。前記顔面密封体120と同様に、顔面密封体130は、マスク本体18に取り付けられる第1の端部132と、使用者の表面に密着する第2の端部134とを備える。顔面密封体130の第2の端部134に鰓蓋136と開口部138とが形成される。開口部138は、顔面密封体130により形成される空洞部140と使用者の気道とを連絡する。
【0046】
本実施の形態では、顔面密封体130の第2の端部134は、ほぼ平坦な鰓蓋136を備える。即ち、第2の端部134は、前記実施の形態の鰓蓋112のように、患者の顔面又は鼻に完全に適合する形態を備えるものではない。鰓蓋136は、顔面密封体130の第2の端部134で2つの側面142aと142bとを接続し、開口部138の少なくとも一部を鰓蓋136の端部に形成し、顔面密封体130の前記特徴部と頂部144との間に形成される平面上に配置される。図1〜図14に示す顔面密封体14,14',100,120のように、鼻に対応する形状に予め形成しなくても、鰓蓋136の超弾性特性に抗して小さな抵抗力で拡張して使用者の顔面及び鼻に適合させることができる。その結果、形状が自由でかつ広範囲の患者に十分に適合する顔面密封体130が得られる。
【0047】
使用者が第2の端部134に圧縮力を加えたとき、顔面密封体130の側壁129を補強して顔面密封体130の圧壊が防止される。図示の実施の形態では、壁厚148に厚い領域を設けることにより、側壁129が補強される。側壁129に補強材を連結又は配設する等により側壁129を補強する他の技術を適用することも本発明が企図することは、理解されよう。機械的な取り付け部材若しくは接着剤を使用し又は例えば、二段成型又は外面被覆成形を使用して側壁に補強部材を型成形する等のあらゆる従来の技術を使用して補強部材を取り付けることができる。単独で又は顔面密封体130の厚さを増大させた領域148と組み合わせて別の補強部材を使用することができる。前記実施の形態の顔面密封体支持部16は、そのような補強部材の一例である。本発明は、例えば、1000%未満の伸び率を有するより高い剛性で側壁を作成して、側壁での顔面密封体130に異なる特性を与えて側壁を補強することも企図する。
【0048】
顔面密封体130の厚さが減少して特定部分で湾曲できる薄肉領域が顔面密封体130に設けられる。例えば、本発明は、鼻筋(鼻の頂上部)を被覆する顔面密封体130の頂部144に薄肉領域152を形成することを企図する。鼻筋領域は、外圧に特に敏感である。従って、顔面密封体130が鼻筋部分に加える圧縮力を最小化するのが好ましい。薄肉領域152を形成して、これを達成できる。また、側壁129の末端部に沿って形成される薄肉領域152は、患者と顔面密封体130との間に可撓性界面を形成する。更に、使用者の上唇と鼻の底面との間の領域を被覆する薄肉領域156が顔面密封体130の一部に形成される。
【0049】
顔面密封体130は、開口部138の少なくとも一部の周辺部に形成される縁部160を備える。第2の端部134の患者との密着面となる端部に圧縮力を加えるとき、縁部160は、内側に湾曲する。これにより、使用者が顔面密封体130を快適に取り付けられと同時に、顔面密封体130と患者との界面での気体漏出量を最小化することができる。
【0050】
図示の実施の形態では、顔面密封体130の第1の端部132に形成される溝162により、顔面密封体130をマスク本体18に容易に取り付けることができる。顔面密封体130の入口周辺にまで延伸させずに、種々の形状を溝162に与え、顔面密封体130の外面に溝162を形成してもよく、マスク本体18に顔面密封体130を取り付ける他の技術を使用すれば、完全に溝162を省略してもよいことを本発明が企図することは、理解されよう。
【0051】
図20〜図23は、本発明の更に別の実施の形態による顔面密封体170を示す。顔面密封体170は、多くの点で顔面密封体130に類似する。2つの顔面密封体130,170は、開口部138'の周囲に形成される縁部160'の形状が異なる点で相違する。縁部160'は、縁部160より僅かに長く形成される。他の相違点は、鰓蓋136'にある。鰓蓋136'は、鰓蓋136'の中心部でかつ開口部138'に近接して僅かに厚く形成される肉厚部172を備える。気体が顔面密封体170を通じて通過するときに、開口部138'を形成する顔面密封体170の縁部160'の振動を防止するため、肉厚部172が形成される。図20〜図23は、僅かに異なる側壁の形状を示すと共に、顔面密封体170の特徴を示す。
【0052】
図24〜図26は、本発明の更に別の実施の形態による顔面密封体190を示す。顔面密封体190は、マスク本体18に取り付けられる第1の端部192と、患者密着面を形成する第2の端部194と、第1の端部192と第2の端部194との間に延伸する側壁196とを備える。顔面密封体190により形成される空洞部と患者の気道とを連絡する開口部198が第2の端部194に形成される。
【0053】
顔面密封体190と本明細書に記載する他の顔面密封体14,14',100,120,130,170,210,240とは、顔面密封体190の患者に密着する顔面密封体190の第2の端部194の形状が異なる点に重要な相違がある。図示の実施の形態では、第2の端部194は、ほぼ患者の顔の特徴に適合する輪郭を有する。例えば、側部198a及び198bは、顔面密封体190の三角形の頂部200と下部202から上方に盛り上がる末端部を有する。換言すれば、側壁196は、頂部200及び下部202より側部198a,198bで長く、顔面密封体190は、鞍状に形成される。側壁196と縁部204の厚さは、前記実施の形態よりも均一に形成されることに留意すべきである。
【0054】
図27〜図29は、本発明の更に別の実施の形態による顔面密封体210を示す。本実施の形態では、顔面密封体210は、顔面密封体210の構造を維持する機械的な支持特性を生ずる部分と、使用者に対して特に好ましい柔軟で快適な感触を顔面密封体210に与える他の部分とを有する2つ以上の材料から形成される。本実施の形態では、顔面密封体210は、密封部212と、第1の補強部214と、第2の補強部216とを備える。前記特性を有する熱可塑性材料から密封部210を形成するのが好ましい。1000%未満、好ましくは300〜400%の範囲の伸び率を有する熱可塑性材料より弾力性のない補強材により第1の補強部214及び第2の補強部216を形成するのが好ましい。
【0055】
本発明は、あらゆる適切な方法で第1の補強部214と第2の補強部216とを密封部212に連結して、均質な一体化顔面密封体210を形成することを企図する。しかしながら、現在好適かつ例示的な実施の形態では、第1の補強部214及び第2の補強部216は、二段成型を使用して密封部212に接合される。勿論、複数部材の加熱封着、接着剤による複数部材の接合又は加熱封着と接着剤の組合せ利用等他の技術を使用して、密封部212を第1の補強部214と第2の補強部216とに取り付けることもできる。
【0056】
側壁の補強材214,216の形成に加えて、他の用途にも二段成型を実施できることに留意すべきである。これにより、弾性特性を有する2つの材料等の2つの類似の材料を単一の壁部に接着し結合して、特定部位で部分的にマスク10の特性を変更することができる。二段成型は、内側か外側かを問わず、顔面密封体210に剛性のある支持体を使用しかつ/又は厚い壁部を形成する等の他の従来の側壁補強技術とは異なる。二段成型は、重量を増加させずに、顔面密封体210に連続する形状を与える。剛性のある基板又は剛性のある基板上に設けられる単一の弾性材料と共に、熱可塑性成形では慣用される二段成型及び外面被覆を行うことも多くの場合可能である。
【0057】
図28に明示するように、第1の補強部214は、顔面密封体210のほぼ第2の端部218側で顔面密封体210に取り付けられる。詳細には、第1の補強部214は、第2の端部218の開口部220の周辺に配置されるほぼ環状部品である。前記実施の形態と同様に、開口部200は、顔面密封体210の内部に使用者の気道を連絡する。開口部220周辺に第1の補強部214を設けることにより、開口部220周辺で顔面密封体210の構造完全性を向上し、顔面密封体210を通じて気体が通過するときに、開口部200を形成する顔面密封体210の縁部222の振動を防止することができる。図示の実施の形態では、第1の補強部214は、開口部200周辺で顔面密封体210の形状に対応する形状に形成され、第1の補強部214は、第1の部分223に沿って湾曲するように縁部222の円弧状又は半円形形状にほぼ整合する湾曲形状と、第2の部分225で鰓蓋224の扁平形状に整合する平坦形状とを備える。
【0058】
第2の補強部216は、顔面密封体210のほぼ第1の端部230に設けられる。図示の実施の形態では、第2の補強部216は、比較的薄い壁構造の環状形状を有する。第2の補強部216は、第1の端部230の対応する縁部に整合する第1の縁部232と、第2の縁部234とを備える。顔面密封体210の周辺部の選択された位置で強固な支持体となる形状に第2の縁部234を形成するのが好ましい。即ち、第2の補強部216の高さは、顔面密封体210の側面等の大きな支持力が必要な場所では高く選択され、使用者の上唇の上方に配置される顔面密封体210の領域等小さい支持力が必要な場所では低く選択される。
【0059】
第1の補強部214及び第2の補強部216に他の種々の寸法及び形状を付与してもよいことは、理解されよう。本発明は、顔面密封体210に必要な支持体の構造に依存して、顔面密封体210に他の補強部を設け又は第1の補強部214若しくは第2の補強部216を省略することも企図する。また、どのような部材により補強部を形成すべきかが必要ではなく、顔面密封体210に所望の支持機能を付与する如何なる形状でもよい。
【0060】
図30〜図32は、本発明の原理による顔面密封体240の更に別の実施の形態を示す。顔面密封体240は、互いに連結される多数の構成部材から構成される点で顔面密封体210とほぼ同様である。詳細には、顔面密封体240は、密封部242と、第1の補強部244と、第2の補強部246とを備える。前記実施の形態と同様に、第1の補強部244は、開口部248を包囲する領域で密封部242に連結され、開口部248は、顔面密封体240の第2の端部250に形成され、第2の端部250は、開口部248の周辺を構造上支持する。顔面密封体240がマスク本体18に連結するほぼ第1の端部252で顔面密封体240の他の端部に第2の補強部246が設けられる。図30〜図32は、本発明の原理の範囲内で顔面密封体240の構成部材が無数の形状、寸法及び構造を有することを本発明が企図することを示す。
【0061】
図32に明示するように、また、本発明は、密封部242の内面に形成される溝254に少なくとも部分的に第2の補強部246を収容することも企図する。第1の補強部244を収容する同様の溝を顔面密封体240に設けられることにも留意すべきである。
【0062】
現在最も実用的で及び好適と思われる実施の形態を図示して詳述したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の原理による呼吸用マスク組立体の分解斜視図
【図2】図1のマスク組立体の正面図
【図3】図2の3−3線に沿うマスク組立体の断面図
【図4】図2の4−4線に沿うマスク組立体の断面図
【図5】本発明の他の実施の形態による一体型顔面密封体支持/保持部材の斜視図
【図6】図5の一体型顔面密封体支持/保持部材の部分断面図
【図7】本発明の別の実施の形態による一体型顔面密封体支持部/マスク本体の断面図
【図8】本発明の他の実施の形態による保持部材、埋設型顔面密封体支持部及びマスク本体の断面図
【図9】本発明の原理によるマスク組立体の更に別の実施の形態の断面図
【図10】本発明の原理による顔面密封体の一実施の形態の正面斜視図
【図11】図10の顔面密封体の背面斜視図
【図12】図10の12−12線に沿う顔面密封体の断面図
【図13】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図14】図13の顔面密封体の背面斜視図
【図15】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の側面斜視図
【図16】図15の顔面密封体の背面斜視図
【図17】図15の17−17線に沿う顔面密封体の断面図
【図18】図16の18−18線に沿う顔面密封体の断面図
【図19】図17の19−19線に沿う顔面密封体の断面図
【図20】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図21】図20の21−21線に沿う図20の顔面密封体の断面図
【図22】図20の22−22線に沿う図20の顔面密封体の断面図
【図23】図20の23−23線に沿う図20の顔面密封体の断面図
【図24】本発明の原理による顔面密封体の他の実施の形態の正面斜視図
【図25】図24の25−25線に沿う図24の顔面密封体の断面図
【図26】図24の26−26線に沿う図24の顔面密封体の断面図
【図27】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図28】図27の28−28線に沿う部分断面が示される顔面密封体の側面斜視図
【図29】図27の顔面密封体の分解斜視図
【図30】本発明の原理による顔面密封体の更に別の実施の形態の正面斜視図
【図31】図30の31−31線に沿う部分断面が示される顔面密封体の側面斜視図
【図32】図30の顔面密封体の分解斜視図
【符号の説明】
【0064】
(10)・・呼吸用マスク、 (14,100,120,130,170,190,210,240)・・顔面密封体(密封手段)、 (16,16',62,66,246)・・補強部材(補強手段)、 (18)・・マスク本体、 (20,20',20'',60)・・保持部材(取付手段)、 (26)・・ヘッドギア取付手段、 (28)・・第1の端部、 (30,104,126,134,194,218)・・第2の端部、 (34,106,122,138,138',198,220,248)・・開口部、 (44,108,129,129',196)・・側壁、 (148)・・厚さ、 (160,160',204)・・縁部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(28)と、
使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、
第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを備え、
第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つは、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料から形成されることを特徴とする顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)。
【請求項2】
伸び率は、1000%〜1800%の範囲である請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項3】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項4】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項5】
第1の端部、第2の端部及び側壁は、全て弾性材料から形成される請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項6】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項5に記載の顔面密封体。
【請求項7】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項5に記載の顔面密封体。
【請求項8】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項9】
開口部を形成する周辺部の少なくとも一部に形成される縁部(160,160',204)を更に備え、
縁部の少なくとも一部は、開口部の内側に湾曲する請求項8に記載の顔面密封体。
【請求項10】
第2の端部に形成される鼻収容凹部と、
鼻収容凹部に形成される少なくとも1つの開口部とを更に備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項11】
第2の端部をほぼ平坦に形成した請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項12】
側壁を補強した請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項13】
補強した側壁は、増大された厚さ(148)若しくは側壁に動作連結される補強部材(16,16',62,66,246)又はその両方を備える請求項12に記載の顔面密封体。
【請求項14】
顔面密封体の第2の部分は、弾性材料に動作連結されかつ1000%未満の伸び率を有する補強材を備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項15】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備え、
第2の部分は、開口部の周辺領域若しくは側壁の一部又はその両方を含む請求項14に記載の顔面密封体。
【請求項16】
(a)マスク本体(18)と、
(b)マスク本体に動作連結される顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)とを備え、
顔面密封体は、
(1)顔面密封体支持部に連結される第1の端部(28)と、
(2)使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、
(3)第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを有し、
第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つは、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料から形成されることを特徴とする呼吸用マスク(10)。
【請求項17】
伸び率は、1000%〜1800%の範囲である請求項1に記載の呼吸用マスク。
【請求項18】
マスク本体に顔面密封体を連結する保持部材(20,20',20'',60)を更に備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項19】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項20】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項21】
第1の端部、第2の端部及び側壁は、全て弾性材料から形成される請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項22】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項21に記載の呼吸用マスク。
【請求項23】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項21に記載の呼吸用マスク。
【請求項24】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項25】
開口部を形成する周辺部の少なくとも一部に形成される縁部(160,160',204)を更に備え、
縁部の少なくとも一部は、開口部の内側に湾曲する請求項24に記載の呼吸用マスク。
【請求項26】
第2の端部に形成される鼻収容凹部と、
鼻収容凹部に形成される少なくとも1つの開口部とを更に備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項27】
第2の端部をほぼ平坦に形成した請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項28】
側壁を補強した請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項29】
補強した側壁は、増大された厚さ(148)若しくは側壁に動作連結される補強部材(16,16',62,66,246)又はその両方を備える請求項28に記載の呼吸用マスク。
【請求項30】
顔面密封体の第2の部分は、弾性材料に動作連結されかつ1000%未満の伸び率を有する補強材を備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項31】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備え、
第2の部分は、開口部の周辺領域若しくは側壁の一部又はその両方を含む請求項30に記載の呼吸用マスク。
【請求項32】
マスク本体(18)と、
マスク本体に動作連結されて使用者を密封する密封手段(14,100,120,130,170,190,210,240)とを備え、
使用者に密着する密封手段の一部は、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料により形成されることを特徴とする呼吸用マスク(10)。
【請求項33】
マスク本体に密封手段を固定する取付手段(20,20',20'',60)を更に備える請求項32に記載の呼吸用マスク。
【請求項34】
密封手段の少なくとも一部に構造上の支持を与える補強手段(16,16',62,66,148,246)を更に備える請求項32に記載の呼吸用マスク。
【請求項35】
マスク本体にヘッドギアを取り付けるヘッドギア取付手段(26)を更に備える請求項35に記載の呼吸用マスク。
【請求項36】
第1の端部(28)と、
使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、
第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを備え、
第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つは、第1の弾性材料から形成され、
第1の端部、第2の端部又は側壁に連結されかつ第2の弾性部材から形成される補強部材(16,16',62,66,246)を備え、
二段階射出成形工程又は外面被覆工程により、第1の端部、第2の端部又は側壁に補強部材を動作連結したことを特徴とする顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)。
【請求項37】
第1の端部(28)と、使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを有し、第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つが第1の弾性材料から形成される顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)を準備する工程と、
第2の弾性材料から形成される補強部材(16,16',62,66,246)を準備する工程と、
二段階射出成形工程又は外面被覆工程により、顔面密封体の第1の端部、第2の端部又は側壁に補強部材を接合する工程とを含むことを特徴とする顔面密封体の形成方法。
【請求項1】
第1の端部(28)と、
使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、
第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを備え、
第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つは、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料から形成されることを特徴とする顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)。
【請求項2】
伸び率は、1000%〜1800%の範囲である請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項3】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項4】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項5】
第1の端部、第2の端部及び側壁は、全て弾性材料から形成される請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項6】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項5に記載の顔面密封体。
【請求項7】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項5に記載の顔面密封体。
【請求項8】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項9】
開口部を形成する周辺部の少なくとも一部に形成される縁部(160,160',204)を更に備え、
縁部の少なくとも一部は、開口部の内側に湾曲する請求項8に記載の顔面密封体。
【請求項10】
第2の端部に形成される鼻収容凹部と、
鼻収容凹部に形成される少なくとも1つの開口部とを更に備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項11】
第2の端部をほぼ平坦に形成した請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項12】
側壁を補強した請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項13】
補強した側壁は、増大された厚さ(148)若しくは側壁に動作連結される補強部材(16,16',62,66,246)又はその両方を備える請求項12に記載の顔面密封体。
【請求項14】
顔面密封体の第2の部分は、弾性材料に動作連結されかつ1000%未満の伸び率を有する補強材を備える請求項1に記載の顔面密封体。
【請求項15】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備え、
第2の部分は、開口部の周辺領域若しくは側壁の一部又はその両方を含む請求項14に記載の顔面密封体。
【請求項16】
(a)マスク本体(18)と、
(b)マスク本体に動作連結される顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)とを備え、
顔面密封体は、
(1)顔面密封体支持部に連結される第1の端部(28)と、
(2)使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、
(3)第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを有し、
第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つは、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料から形成されることを特徴とする呼吸用マスク(10)。
【請求項17】
伸び率は、1000%〜1800%の範囲である請求項1に記載の呼吸用マスク。
【請求項18】
マスク本体に顔面密封体を連結する保持部材(20,20',20'',60)を更に備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項19】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項20】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項21】
第1の端部、第2の端部及び側壁は、全て弾性材料から形成される請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項22】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の少なくとも1つの特性を備える請求項21に記載の呼吸用マスク。
【請求項23】
弾性材料は、
ショア00スケールでジュロメータ硬度範囲10〜50、
300%の弾性係数範囲69.23〜103.85kPa(10〜15PSI)、及び
引裂強度範囲7.00〜8.75kN/m(40〜50PLI)、
の特性を備える請求項21に記載の呼吸用マスク。
【請求項24】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項25】
開口部を形成する周辺部の少なくとも一部に形成される縁部(160,160',204)を更に備え、
縁部の少なくとも一部は、開口部の内側に湾曲する請求項24に記載の呼吸用マスク。
【請求項26】
第2の端部に形成される鼻収容凹部と、
鼻収容凹部に形成される少なくとも1つの開口部とを更に備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項27】
第2の端部をほぼ平坦に形成した請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項28】
側壁を補強した請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項29】
補強した側壁は、増大された厚さ(148)若しくは側壁に動作連結される補強部材(16,16',62,66,246)又はその両方を備える請求項28に記載の呼吸用マスク。
【請求項30】
顔面密封体の第2の部分は、弾性材料に動作連結されかつ1000%未満の伸び率を有する補強材を備える請求項16に記載の呼吸用マスク。
【請求項31】
第2の端部に形成される少なくとも1つの開口部(34,106,122,138,138',198,220,248)を更に備え、
第2の部分は、開口部の周辺領域若しくは側壁の一部又はその両方を含む請求項30に記載の呼吸用マスク。
【請求項32】
マスク本体(18)と、
マスク本体に動作連結されて使用者を密封する密封手段(14,100,120,130,170,190,210,240)とを備え、
使用者に密着する密封手段の一部は、少なくとも1000%の伸び率を有する弾性材料により形成されることを特徴とする呼吸用マスク(10)。
【請求項33】
マスク本体に密封手段を固定する取付手段(20,20',20'',60)を更に備える請求項32に記載の呼吸用マスク。
【請求項34】
密封手段の少なくとも一部に構造上の支持を与える補強手段(16,16',62,66,148,246)を更に備える請求項32に記載の呼吸用マスク。
【請求項35】
マスク本体にヘッドギアを取り付けるヘッドギア取付手段(26)を更に備える請求項35に記載の呼吸用マスク。
【請求項36】
第1の端部(28)と、
使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、
第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを備え、
第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つは、第1の弾性材料から形成され、
第1の端部、第2の端部又は側壁に連結されかつ第2の弾性部材から形成される補強部材(16,16',62,66,246)を備え、
二段階射出成形工程又は外面被覆工程により、第1の端部、第2の端部又は側壁に補強部材を動作連結したことを特徴とする顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)。
【請求項37】
第1の端部(28)と、使用者の顔面に密封接触する第2の端部(30,104,126,134,194,218)と、第1の端部と第2の端部との間に延伸する側壁(44,108,129,129',196)とを有し、第1の端部、第2の端部及び側壁の少なくとも1つが第1の弾性材料から形成される顔面密封体(14,100,120,130,170,190,210,240)を準備する工程と、
第2の弾性材料から形成される補強部材(16,16',62,66,246)を準備する工程と、
二段階射出成形工程又は外面被覆工程により、顔面密封体の第1の端部、第2の端部又は側壁に補強部材を接合する工程とを含むことを特徴とする顔面密封体の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公表番号】特表2008−518718(P2008−518718A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540024(P2007−540024)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/039788
【国際公開番号】WO2006/052653
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/039788
【国際公開番号】WO2006/052653
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]