説明

顕微鏡の機能を片手でコントロールするための装置

片手で操作できる顕微鏡をコントロールする装置は、ユーザが片手で操作して、顕微鏡のステージ位置調整できるように構成した第1のロータリーコントローラ(510)を具える。第2のロータリーコントローラ(520)は、ユーザの第1の手が第1のロータリーコントローラに触れたままであるか、触れていない状態で、その手の指を伸ばして操作して生物試料中の予め特定された部位をスクロールするなどの検証作業を行うように構成され、第1のロータリーコントローラに相対配置されている。この2つのコントローラ(510、520)は、顕微鏡のステージに取付けられている。このようにしてユーザは、顕微鏡から目を離すことなく、試料の予め特定された部位を検証し続けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顕微鏡をコントロールする装置に関するものであり、とりわけ、顕微鏡を片手でコントロールする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療業界においては、例えば細胞検査技師のようなに検査技師は、特殊な細胞型の存在を調べるために細胞学的試料を検証する必要がしばしば有る。典型的な細胞学的技術は子宮頚部細胞診(Pap smear)検査であり、これは女性の子宮頚部から細胞を剥ぎ取り、当該細胞を分析して癌発症につながる先駆体である異常細胞の存在を検出する。細胞学的技術は、人体の他の部位の異常細胞や病変を検査するためにも用いられる。得られた細胞学的サンプルは通常、溶液中に入れて集め、拡大して観察するためにスライドグラスに移す。判定を容易にし、標本を保存し記録保管するために、通常細胞塗抹標本と呼ばれる、定着して発色する溶液をスライドグラス上の細胞に塗布する。
【0003】
準備した試料は、図1A−Bに示す顕微鏡100などの顕微鏡を使って検査される。この顕微鏡は、通常、ボディ又はフレーム101に取付けたステージ110を具えており、このステージは生物試料202を載せた試料スライド200を支持する上面112を有する(例えば、図2に示す)。ユーザがステージ110を動かすことができるように、一又はそれ以上のコントロール・ノブが設けられている。図1A−Bに示すとおり、顕微鏡100は、ステージ110を一の方向(例えばx軸方向)に動かす第1ノブ121と、第1ノブ121と同軸でステージ110を異なる方向(例えばy軸方向)に動かす第2ノブ122を具える同軸コントロール・ノブ120を有する。タングステン・ハロゲン光源などの光源130が、ステージ110の下に設置されており、試料202を照射する。対物レンズ140は、試料202の拡大画像を作り、細胞検査技師は接眼レンズ150を通してこの拡大画像を観察できる。焦点調整は、例えばz軸方向にステージ110を動かす焦点調節用の別の同軸コントロール・ノブ160を用いて行うことができる。典型的なコントロール・ノブ160は、z軸方向において微動焦点調整あるいは微動ステージ110調整用に用いられる第1ノブ161と、粗焦点調整用の第2ノブ162を具える。顕微鏡の構成要素に関するその他の特徴は、米国公開公報第2007/0139638A1に詳述されている。
【0004】
マシンビジョン装置や自動化システムも、生物試料画像を取得して分析するのに用いられてきた。図3に示す公知の自動化されたシステム300は、自動化された画像化顕微鏡もしくは画像化ステーション310、処理サーバ320、及び自動検証ステーション330を具えている。
【0005】
公知の画像化ステーション310は、モータで駆動するステージ314に支持され、画像化顕微鏡もしくは「画像化スコープ」316を介して観察されるスライド200上にある試料202の画像を取得するカメラ312を具える。カメラ312で生成した画像データ318は、一又はそれ以上のプロセッサ321乃至323(以下においてはこれら全体をプロセッサ321と総称する)と、画像データ318を処理し処理結果を保存するメモリ324を具えるサーバ320に提供される。この処理結果は、検証ステーション330に提供される。幾つかの自動スクリーニング・システムでは、プロセッサ321は、各試料202内の生物材料の正常なものと、異常あるいは疑わしいものとの間を線引きする。すなわち、プロセッサ321は、診断情報を用いて最も関連性が高い生物学的対象物体と、スライド200上のその位置(すなわちx、y座標)を決定する。あるシステムにおいては、例えば、サーバ320が画像データ318を処理して、画像データ318中の「興味のある対象」(OOI)を特定する。OOIは、試料202の個々の細胞や、細胞クラスタの形をしていることがある。一又はそれ以上のOOI 710は、「興味のある領域」(FOI)の規定された境界または視野の中で組織化することができる。このFOIは、様々な数のOOI 710を含むように様々なジオメトリによって規定され、x、y座標に基づいて特定することができる。ある公知の自動システムは、22個のFOIを特定している。OOIとFOIの更なる特徴は、米国特許第7,083,106号および第2004/0254738号に詳述されている。
【0006】
プロセッサ321は、特定の細胞あるいは対象物体が悪性腫瘍又は前悪性腫瘍などの異常な状態であるリスクの度合いに基づいて、特定されたOOIをランク付けするように構成されている。プロセッサ321は結合した核あるいは平均光学密度によってOOIを評価し、光学密度の値によってこのOOIをランク付けする。OOI/FOI情報は、検証ステーション330を用いたその後の処理や検証あるいは分析用に保存することができる。ある公知の検証用顕微鏡336は、22個のFOI位置を処理して、細胞検査技師が各FOI中のOOIを検証できるようにしている。ある自動化システムにおいては、検証ステーション330はマウスに似たジョイスティックを具えており、これを用いてスライド200を誘導する。例えばあるシステムは、“NEXT”ボタンと“PREVIOUS”ボタンを具えており、これを用いて次のFOIと前のFOIを誘導する。検証中に、細胞検査技師は、病理学者による更なる検証に備えて、悪性細胞あるいは前悪性細胞と一致する属性を持つOOIを、“MARK”ボタンを押すことによって電子的にマーキングして、特定のOOIを、例えばx、y座標によって、同定することができる。“OBJECTIVE”ボタンを用いて、対象物の倍率を変更することができる。
【0007】
他の幾つかのシステムにおいては、例えば図1A−Bに示すとおり、モータ駆動ステージが既存の顕微鏡に組み込まれており、図1A−Bに示すコントロール・ノブ121、122と同一または同様の同軸型コントロール・ノブを用いてステージ110を位置決めすることができる。公知の幾つかのシステムにおいては、デスクトップマウス/グラフィック・ユーザインターフェース、及び、細胞検査技師が操作して様々な視野あるいは興味のある領域に進めるフットスイッチを用いて自動検証機能を制御する。
【0008】
図4は、ベース410、ベース410から延在する垂直サポート420、水平サポート430、及び、一又はそれ以上のサポート420、430に取り付けた複数のロータリーの部441a−cを具える自動顕微鏡用の別のコントロール・メカニズム400を示す。2つのロータリーノブ441a、441bを用いてx軸およびy軸方向におけるステージの動きを制御し、第3のロータリーノブ441cを用いて、z軸方向におけるステージの動きを制御する。その他の顕微鏡のパラメータとセッティング(例えば輝度など)は、ベース410に設けた一又はそれ以上の押しボタン444a−dを用いて設定する。
【0009】
公知の自動スクリーニング・システムや顕微鏡をコントロールする構成部品は一般的に効果的ではあるが、まだ改善の余地がある。典型的な検証用顕微鏡は、接眼レンズを通して試料を検証する間快適な着座姿勢が取れるような位置に、細胞検査技師の身体がくるように構成されている。この位置においては、細胞検査技師の腕が伸びてサポートと適切な姿勢を提供するのが普通で、これは検証セッションが継続されている間はとりわけ重要である。
【0010】
しかしながら、公知のコントロール・メカニズムは、通常、様々な場所に設置された様々な制御用部品を使用することを細胞検査技師に強いている。そのようなシステム構成では、細胞検査技師は、接眼レンズを通して見ながら試料を検証する間に、コントローラを手探りでいじって配置するか、あるいは、コントローラを探るために接眼レンズと試料から目を離し、コントローラを操作して必要な調整を行い、次いで接眼レンズに目を戻して試料の検証を続けることになる。例えば、セパレート型ステージコントローラと、ジョイスティック/検証用コントロール装置を具える公知のシステムでは、細胞検査技師は試料から目を離してからセパレート型ステージコントローラとジョイスティック状装置を探してジョイスティックを操作し、それから接眼レンズに目を戻して試料の検証を続けることになる。
【0011】
更に、幾人かの細胞検査技師は、自動システムによって提供される検証システムのコントローラでは快適に感じないことがある。このような場合は、疑わしく、更なる検証が必要な細胞を細胞検査技師が観察すると、当人はスライドを検査鏡から取り外し、例えば図1A−Bに示す独立型の手動式顕微鏡にスライドをセットして、図1に示すように同軸(x、y)ステージコントロールと焦点コントロールを具えるこの独立型顕微鏡を用いて試料を再検証することになる。細胞検査技師は、この技術で不慣れな検証コントロールを使用することを避けることができるが、これは、追加の機器類が必要となり、自動検査鏡から細胞検査技師が目を離して別な顕微鏡に移る必要があり、試料の検証完了に必要な時間が増えてしまい、不便である。
【発明の概要】
【0012】
一実施例によれば、片手で顕微鏡をコントロールする装置が、2台のロータリー式コントローラを具えている。第1のロータリーコントローラは、オペレータが片手で操作して、顕微鏡ステージの位置を調節できるように構成されている。第2のロータリーコントローラは、生物試料中の事前に特定された部位を、片手を第1のロータリーコントローラに触れたまま、その片手の指を開いて操作するように第1のロータリーコントローラに相対して構成配置されている。
【0013】
別の実施例によれば、顕微鏡を片手でコントロールする装置は、顕微鏡本体に取付けられ、ステージ近傍に配置した2台のロータリー式コントローラを具える。第1のロータリーコントローラは、2つのロータリーコントロール・エレメントを具えている。第1ロータリーコントロール・エレメントは、オペレータが片手の親指で操作して顕微鏡ステージを第1の方向に移動させるように構成されている。第2ロータリーコントロール・エレメントは、第1ロータリーコントロール・エレメントと同軸であり、片手の人差指で操作して顕微鏡ステージを別の第2の方向に移動させるように構成配置されている。第2のロータリーコントローラは、第1のロータリーコントローラに相対して配置されており、操作する片方の手が第1のロータリーコントローラに触れたままで、その片手の中指を伸ばして操作して、生物試料中の予め特定された部位をコントロール可能に検証できるように構成されている。
【0014】
別の実施例による片手で顕微鏡をコントロールする装置は、オペレータが片手で操作して顕微鏡のステージの位置を調整できるように構成された第1コントローラと、片手を第1コントローラに接触させたままで、その片手の指を伸ばしてあらかじめ特定された生物試料中の部位をコントロール可能に検証できるように構成された第2コントローラと、を具えている。
【0015】
更なる代替の実施例は、片手で顕微鏡をコントロールする方法に関する。この方法は、片手で第1コントローラを回転させて顕微鏡ステージの位置を調整をするステップと、片手を第1コントローラに接触させたままで、その片手の指を伸ばして第2コントローラを回転させて、あらかじめ特定された生物試料中の部位を検証するステップと、を具える。
【0016】
更なる実施例は、片手で顕微鏡をコントロールする方法に関し、この方法は片手の親指を使って第1コントローラの第1ロータリーコントロール・エレメントを回転させることで顕微鏡のステージを第1の方向に移動させるステップと、その片手の人差指を使って第1コントローラの第2ロータリーコントロール・エレメントを回転させて、顕微鏡ステージを第1の方向とは別の第2の方向に移動させるステップと、を具える。この方法は更に、片手を第1コントローラに接触させたままで、その片手の中指を伸ばして第2コントローラを回転させて、あらかじめ特定された生物試料中の部位をコントロール可能に検証するステップと、を具える。
【0017】
別の実施例は、片手で顕微鏡をコントロールする方法に関し、この方法は、片手で第1コントローラを操作することによって顕微鏡のステージ位置を調整するステップと、片手を第1コントローラに接触させたまま、その片手の指を伸ばして、生物試料中の予め特定された部位を検証するステップと、を具える。
【0018】
別の代替の実施例によれば、自動試料検証システムは、顕微鏡と、当該顕微鏡と操作可能に接続されており、付属ディスプレイ付きで、当該ディスプレイ上で複数のアイコンをユーザに対して提示するように構成された処理装置と,片手で操作する制御装置と、を具えている。この片手で操作する制御装置は、2台のロータリー式コントローラを具えている。第1のロータリーコントローラは、オペレータが片手で操作して顕微鏡のステージ位置を調整をするように構成されており、第2のロータリーコントローラは、その片手の指を伸ばして、処理装置のディスプレイ上に表示されたアイコンを選択する操作が行えるように構成され、第1のロータリーコントローラに相対して配置されている。
【0019】
追加の実施例は、第1コントローラに片手を置いて、片手で顕微鏡をコントロールする方法に関し、この片手で第1コントローラを回転させて顕微鏡のステージ位置の調整を行うステップと、その片手を第2コントローラに置いて、その片手で第2コントローラを回転させることで生物試料中の予め特定された部位を検証するステップを具える。
【0020】
一又はそれ以上の実施例において、第1及び第2のロータリーコントローラは、顕微鏡からほぼ垂直に延在しており、実質的に平行な回転軸を中心に回転する。第1のロータリーコントローラは、2台のロータリーコントロール・エレメントを具える同軸コンポーネントであってもよい。第1のロータリーコントロール・エレメントは、例えば、オペレータの手の親指で第1のロータリーコントロール・エレメントを操作することによって、顕微鏡のステージを第1の方向に移動させるように構成されている。第2のロータリーコントロール・エレメントは、第1ロータリーコントロール・エレメントと同軸であり、例えば、少なくとも1本の指で第2のロータリーコントロール・エレメントを操作することによって、顕微鏡のステージを第1の方向とは異なる第2の方向に移動させるように構成することができる。
【0021】
一又はそれ以上の実施例おいて、第2のロータリーコントローラは、片手の人差指を伸ばして操作するように構成され、第1のロータリーコントローラに相対して配置されており、第1のロータリーコントローラは、オペレータの片手の人差指を伸ばさないままで、この人差指で操作できるように構成されている。更に、一又はそれ以上の実施例において、第2のロータリーコントローラは、少なくとも第1のロータリーコントローラの操作に用いた指と異なる別の指を伸ばして操作するように構成されている。
【0022】
一又はそれ以上の実施例において、指を伸ばして操作するように構成され、配置された第2のロータリーコントローラは、スクロールホイールもしくはロータリーエンコーダである。この構成によれば、スクロールホイールの位置が、試料中のあらかじめ特定されたどの部位オペレータに提示されるかを決定する。オペレータは、スクロールを回転させて、別の部位あるいは興味のある部位をスクロールすることができる。更に、一又はそれ以上の実施例において、片手でコントロールする装置は、第2のロータリーコントローラに付随した、スクロールホイールなどのスイッチを具える。このスイッチは、力を加え、オペレータの伸ばした指で第2のロータリーコントローラを変位させて起動し、生物試料中の予め特定された部位を電子的にマーキングするように構成されている。例えば、第2のロータリーコントローラとスイッチは、第2のロータリーコントローラを横方向もしくは垂直方向に変位させることによって、起動するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面を参照すると、全体を通して対応する部材には同様の符号が付されている。
【図1A】図1Aは、公知の顕微鏡の正面図である。
【図1B】図1Bは、公知の顕微鏡の側面図である。
【図2】図2は、公知の生物試料プレパラートの斜視図である。
【図3】図3は、公知の生物試料画像化および検証システムを示す図である。
【図4】図4は、公知の顕微鏡コントロール・メカニズムを示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例によって構成された片手で操作する顕微鏡コントロール装置を示す図である。
【図6】図6は、図5に示す実施例を用いて、顕微鏡のステージをどのように移動させるかを示す図である。
【図7】図7は、図5に示す実施例のコントロール・エレメントを操作するために、指を伸ばして、検査鏡の検証機能がどのようにコントロールできるかを示す図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施例によって構成した、片手で操作する顕微鏡コントロール装置を示す図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施例による顕微鏡のコントロール方法を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図8に示す実施例を用いて顕微鏡のステージがどのように移動するのかを示す図である。
【図11】図11は、図8に示す実施例のコントロール・エレメントを操作するために、指を伸ばして、検査鏡の検証機能がどのようにコントロールできるかを示す図である。
【図12】図12は、本発明の更なる実施例によって、ユーザが試料中の部位にどのように電子マーキングを行うことができるかを示す図である。
【図13】図13は、生物試料の興味のある対象物の例を示す図である。
【図14】図14は、興味のあるフィールドをスクロールして、図13に示す興味のある対象物を観察するのに、本発明の実施例をどのように用いるかを示す図である。
【図15】図15は、図13に示す生物試料中の部位をマーキングするのに、本発明の実施例がどのように用いられるかを示す図である。
【図16】図16は、本発明の一実施例によって構成した顕微鏡システムを示す図であり、この例では焦点コントロールが片手で操作され、ステージ及び検証コントロールがもう片方の手で行われている。
【図17】図17は、統合画像化および検証システムを示す図であり、ここでは本発明の顕微鏡コントロールの実施例が適用されている。
【図18】図18は、本発明の別の実施例によって構成した片手で操作する顕微鏡コントロール装置が示されており、この装置では、ユーザの片手の親指と1本の指でコントロール・エレメントを操作して検証機能をコントロールすることができる。
【図19】図19は、本発明の別の実施例によって構成した片手で操作する顕微鏡コントロール装置を示す図であり、この装置では、検証機能をコントロールする第2コントローラが、ハウジングを用いることなく、少なくとも部分的に囲まれている。
【図20A】図20Aは、本発明の更なる実施例によって構成され、コンピュータに操作可能に接続された顕微鏡コントロール装置を具える顕微鏡システムを示す図である。
【図20B】図20Bは、図20Aに示すコンピュータに表示されたアイコンをスクロールさせるのに、本発明の実施例がどのように用いられるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図5を参照すると、図3に示す自動検証用顕微鏡336あるいは他の同様な検査鏡といった、顕微鏡をコントロールする実施例によって構成された装置500は、ステージコントローラやレビュー・コントローラのような独立した複数のコントローラ510、520を具えており、これらは互いに近接して配置されて、細胞検査技師あるいはユーザ(以下、総称して「ユーザ」という)の同じ手で操作して別の検証用顕微鏡336の機能をコントロールできるように構成されている。コントロール装置500の実施例は、図3に全体的に図示されている自動検証用顕微鏡336や他の自動検査鏡を含めて、様々な自動検査鏡で活用できると理解するべきである。説明を容易にするために、検証用顕微鏡336を参照して、図1A−Bに示す顕微鏡100の構成部材と同一もしくは類似の構成部材コンポーネントは、装置の実施例を説明するうえで、これを利用して、検証用顕微鏡336の複数の様々な機能を片手でコントロールすることができる。
【0025】
図5に示す実施例では、コントローラ510、520がコントロール・インターフェース530を介して顕微鏡のステージ110に取付けられている。各コントローラ510、520は、自体に付帯するコントロール・インターフェースを持っているが、ここでは説明と図解を容易にするために、一のコントロール・インターフェース530について述べる。第1コントローラ510は、コントロール・インターフェース530を介してモータ540a−bあるいは他のコントローラと動作可能に接続されており、ステージ334を動かすことができる。第2コントローラ520は、コントロール・インターフェース530を介して検証用顕微鏡336(例えば、プロセッサ、メモリーあるいは他の構成要素)と動作可能に接続されて、ユーザは試料202を観察しながら検証用顕微鏡336の検証機能をコントロールすることができる。コントロール・インターフェース530は、これらの機能を組込むための、一又はそれ以上のモータ、プロセッサ、スイッチ、及び/又はその他の適宜の構成部品と回路(説明を容易にするために図示せず)を具えている。幾つかのコントロール部品はコントロール・インターフェース530の内部あるいは外部に設置することができる。例えば、図5に示すように、ステージ336を移動させるためのモータ540a−bは、別々の外部部品として示されているが、コントロール・インターフェース530内に含めるようにしてもよい。
【0026】
次いで図6および図7を参照すると、コントロール装置500は、独立したコントローラ510、520が互いに分離独立しているが、互いに充分に近接しており、ユーザの片方の手600が第1コントローラ510を操作してステージ334を移動させ、第2コントローラ520も同様に操作して検証用顕微鏡336の検証機能をコントロールできるように構成されている。この目的のために、図6に示すように、2台のコントローラ510、520は、握った、又は部分的に握った手600の例えば、親指610及び/又は指620a−dの一またはそれ以上を用いて、第1コントローラ510を操作できるように構成配置されている。第2コントローラ520は、ユーザが人差指620aを伸ばして第2コントローラ520を操作できるように、第1コントローラ510に相対して構成配置されている。これは、ユーザの手600の「ホームポジション」あるいは「レストポジション」である、ユーザの手600が第1コントローラ510上にあるかこれに接触したままの状態で行われる。
【0027】
別の実施例では、第1コントローラ510と第2コントローラ520が、中指620bなどの別の指を伸ばして第2コントローラ520を操作するように配置されている。別の代替実施例においては、指620a、620bなどの複数の指を伸ばして第2コントローラ520を操作することができる。説明を容易にするために、人差指620aを伸ばして第2コントローラ520を操作することについて述べる。
【0028】
図6および図7に示すように、ユーザは、片方の手600と選択的にその手600の人差指620aを伸ばして使うことで、都合よく検証用顕微鏡336の様々な機能を別々のコントローラ510、520によってコントロールすることができる。これによって、ユーザは例えば1本の指620aを用いて片方の手600で、ステージコントローラと検証コントローラの間を素早く且つ容易に前後に切り替えることができ、便利である。これらの利点は、ユーザが試料202に焦点を合わせるために接眼レンズ150を見続けながら、実現される。一の実施例においては、図7および図8で示すとおり、ユーザの手600の一般的な位置は、第2コントローラ520の操作のために人差指620aを伸ばすとき以外は、別のコントローラ510、520を利用している間も変わることがなく、第2コントローラ520を操作する必要が無いときには、手は握られ指は曲げられたままである。
【0029】
図8を参照すると、一実施例によって構成されており、図5に示すような片手で操作できる顕微鏡コントロール装置800は、ロータリーコントローラ810、820の形をとる第1コントローラ510と第2コントローラ520とを具える。一実施例において、ステージ334のx、y座標位置は、第1のロータリーコントローラ810を回転させてコントロールされ、検証用顕微鏡336の検証機能は第2のロータリーコントローラ820を回転させてコントロールする。
【0030】
図に示す実施例では、第1のロータリーコントローラ810は、同軸型のロータリーコントローラであり、第1のロータリーコントローラ・エレメント811と第2のロータリーコントローラ・エレメント812を具える。第1のロータリーコントローラ・エレメント811が回転させて、顕微鏡ステージ334を第1の方向(すなわちx軸方向)に移動させ、第2のロータリーコントローラ・エレメント812は、第1のロータリーコントローラ・エレメント811と同軸であり、これを回転させて顕微鏡のステージ334をもう一つの方向(すなわちy軸方向)に移動させる。図に示す実施例において、第2のロータリーコントローラ820は、単体の回転エレメント822を具えている。このエレメントは、一実施例ではスクロールホイールである。図に示す実施例において、第1のロータリーコントローラ810と第2のロータリーコントローラ820は、コントロール・インターフェース530からほぼ垂直に延在しており、互いに対してほぼ平行である。しかしながら、実施例はその他の態様で構成して、特定のシステム構成や手の大きさ、位置に適合させるようにしてもよい。
【0031】
更に図9および図10を参照すると、例えば図8に示すコントロール装置800を用いた一実施例による自動検証用顕微鏡336をコントロールする方法900は、ステップ905において(必要に応じて)片手で第1コントローラ810の第1のロータリーコントローラ・エレメント811を回転させて顕微鏡のステージ334を第1の方向(すなわちx軸方向)に移動させるステップと、ステップ910において(必要に応じて)同じ片手で第1のロータリーコントローラ810の第2のロータリーコントローラ・エレメント812を回転させて顕微鏡のステージ334を異なる第2の方向(すなわちy軸方向)に移動させるステップを具える。図10に示すとおり、ステップ905とステップ910は、握ったあるいは部分的に握った手600、すなわち親指610及び/又は握った人差指620aを使って、ステージ334を所望の方向に配置するよう実行する。
【0032】
図9を再度、また更に図11を参照すると、一実施例によれば、ステップ915を実行する間、ユーザの手600の人差指620aを伸ばして(例えば、ほぼ伸ばすあるいは完全に伸ばす)、第2のロータリーコントローラ820に指を掛けて操作する。ステップ915を実行する間、及び/又は、実行後、ユーザの手600は、例えば「レスト」または「ホーム」位置として、第1のロータリーコントローラ810の上に乗せる、あるいは接触させてもよい。
【0033】
ステップ920を実行する間は、ユーザは第2のロータリーコントローラ820を回転させて、検証用顕微鏡336の検証機能を制御する。一実施例においては、第2のロータリーコントローラ820を回転させて、座標がプロセッサ321によって判っている、予め特定されたFOIを順次スクロールする。この検証を行う間に、ユーザは、病理学者によって更に詳しく分析するべき一又はそれ以上のOOIを特定することができる。この場合、ステップ925を実行する間、図12を更に参照すると、ユーザは第2のロータリーコントローラ820に力を加えることができ、これによって、ステップ930で付属のスイッチ830を動作させ、スイッチ830の出力を適宜のコントローラあるいは他のシステム構成要素に提供して、ステップ935において病理学者によって更に検証するために関心の対象であるOOIに電子マーキングを行う。この目的のために使用できる好適なスイッチ830は、マイクロメカニカルスイッチである。
【0034】
図12に示すように、試料202のOOIあるいは他の部分を電子マーキングすることができる一の方法は、人差指620aを伸ばして第2のロータリーコントローラ820を押して付属スイッチ830を動作させることである。この実施例では、検証機能が旋回動作あるいは非旋回動作によって部分的に制御される、すなわち、第2のロータリーコントローラ820を回転させて様々なFOIを表示あるいはスクロールし、そして横方向の力を加えて生じる僅かな動きによってスイッチ830を動作させ、更なる検証用にOOIをマーキングする。
【0035】
図12は、第2のロータリーコントローラ820の目で見える動きを示しているが、実際は、第2のロータリーコントローラ820の実際の移動量は非常に小さいことを理解するべきである。図12は、人差指620aによって第2のロータリーコントローラ820に加わる、横方向の力といった、力がOOIをマーキングする目的でスイッチ830を動作させることを、一般的に図に示している。代替の実施例においては、第2のロータリーコントローラ820とスイッチ830は、第2のロータリーコントローラ820に縦方向の力(例えば、上向あるいは下向の力)を加えてスイッチ830を動作させOOIをマーキングするように、選択されたOOIの電子マーキングを実行するように構成されている。図13乃至図15は、検証機能をコントロールしてOOIをマーキングする実施例をさらに詳細に示している。
【0036】
図13は、スライド200に固定した生物試料202と、試料202の部位あるいはOOI 1302を示す図であり、これらは試料202の関連する画像データ318に基づいてプロセッサ321で特定したものである。選択されたOOI 1302は、一又はそれ以上のFOI 1304で構成されている。サーバ320は、例えば、22個のFOI 1304といった、FOIで構成される、特定の細胞あるいはOOI 1302が悪性腫瘍やその前症状のような異常な状態を持っているリスクの度合いに基づいて、OOI 1302を特定するように構成されている。図13は、2つのFOI 1304を示すが、実際は、22個のFOI 1304であり、あるいは、必要に応じてそれ以外の数のFOI 1304である。各FOI 1304は、一又はそれ以上のOOI 1302を含む。図に示す例では、一のFOI 1304が、5番から8番のOOI 1302を包含していて、別のFOI 1304は16番から18番のOOI 1302を包含している。
【0037】
FOI 1304の座標は、サーバ320から検証用顕微鏡336に提供され、公知の自動検証システムにあるようなジョイスティックデバイスというよりは、第2のロータリーコントローラ820の回転位置に基づいて、特定のFOI 1304の座標へ進む。より具体的には、図14を参照すると、ユーザは第2のロータリーコントローラ820を時計回り方向(CW)あるいは反時計回り方向(CCW)に回転させて、22個のFOI 1304をスクロールする。第2のロータリーコントローラ820が目下15番のFOI 1304を検証する位置にある、図に示す例では、第2のロータリーコントローラ820を時計回り方向に回転させて、ユーザをそれまでの14番、13番、12番等の(PREV)FOI 1304へ戻し、一方で、反時計回り方向へ回転させて、例えば、次の16番、17番、18番等の(NEXT)FOI 1304へ進ませる。別の実施例においては、第2のロータリーコントローラ820を反時計回り方向に回転させて、それまでの(PREV)FOI 1304に戻し、一方で、コントローラ820を時計回り方向に回転させて、次の(NEXT)FOI 1304に進める。
【0038】
図14および図15を参照すると、22個のFOI 1304を検証する間に、ユーザは、より詳細に分析するべき一又はそれ以上のFOI中のOOI 1302を特定することができる。図に示す例では、3番と16番のFOI 1304がそのようなOOI 1302を含んでいるが、もちろん、実際は様々な数のOOI 1302が別のFOI 1304中で特定されてもよい。この特別な例では、第2のロータリーコントローラ820を回転させて、3番のFOI 1304を観察するように配置したとき(すなわち、図14に示す現在位置から時計回りに12デタント分あるいは12クリック回す)、ユーザは人差指620aを伸ばしてスイッチ830を動作させることで、上記図12を参照して述べたとおり、FOI 1304 のOOI 1302を電子マーキング(M)1402することができる。図13および図14で示す例では、3番のFOI 1304の5番のOOI 1302が電子マーキング(M)1402されている。同様に、第2のロータリーコントローラ820を回転させて16番のFOI 1304を観察するように配置したとき(すなわち、図14に示す現在位置から反時計回りに1デタント分あるいは1クリック回す)、ユーザは同様に、16番のFOI 1304の17番のOOI 1302を電子マーキング(M)1402することができる。
【0039】
一実施例によれば、第2のロータリーコントローラ820は、スクロールホイール、又は、機械式あるいは光学式ロータリーエンコーダのようなロータリーエンコーダであり、図14に示すように、第2のロータリーコントローラ820の回転位置に基づいて22個のFOI 1304のうちの1つを表わす、方向を表す直角位相を出力する。様々なFOI 1304をスクロールするステップは、第2のロータリーコントローラ820を360度未満(すなわち図14に示すように)、ほぼ360度、または360度以上、回転させるステップを含む。FOI 1304 毎の第2のロータリーコントローラ820の表示されている回転角度は、例えば、FOI 1304の数や、第2のロータリーコントローラ820の直径、その他システム構成に依存する。
【0040】
第1のロータリーコントローラ810と第2のロータリーコントローラ820間の距離は、スクロールホイール・コントローラ820が第1のロータリーコントローラ810に干渉しないよう充分な距離であるが、伸ばした人差指620aがスクロールホイール・コントローラ820を操作してコントローラ810、820の間を移動できるように充分に接近しているものとする。一実施例によれば、第2のロータリーコントローラ820は、直径約1インチで高さ約0.25インチのスクロールホイール形状である。このスクロールホイール・コントローラ820は、第1のロータリーコントローラ810から約1.5乃至2.0インチ離れている。これらの構成要素のサイズと配置により、ユーザは手600を第1のロータリーコントローラ810と接触させたままでコントローラ810、820を容易に操作することができ、人差指620aが実質的に伸びているあるいは完全に伸びているときでもユーザに快適な指レストを提供する。システム構成要素のサイズと配置は、様々な手のサイズを考慮するなど、必要に応じて調整される。
【0041】
スクロールホイール・コントローラ820は、時計回りおよび反時計回り方向にデタントを具え、スクロールホイール・コントローラ820を前又は後の位置に回転させて、前又は後のFOI 1304を観察するときに、ユーザに感触のよいフィードバックを提供するように構成することができる。一実施例においては、スクロールホイール・コントローラ820は、一回転当たり16個から32個のデタントを備えるように構成されている。スクロールホイール・コントローラ820を回すあるいは回転させるのに必要な力は、1クリックあるいは1デタント当たり約50−200gである。マーキング1402機能(例えば、スイッチ830を動作させるための横方向あるいは縦方向に力を加えること)は、感触の良いフィードバックとなるスナップ動作を提供するマイクロスイッチを用いて実現できる。例えば、スイッチ830を動作させるためにスクロールホイール・コントローラ820に加えられる力は、スイッチ830のアクチュエータ動作あるいは移動量が約1−3mmであることに基づいて、約50−200gである。もちろん実施例は、その他の構成のスクロールホイール・コントローラ820を実装してもよく、そして上記の配置や寸法、及び力は、実施例がどのように実装できるかの例示として提供されている。
【0042】
特定の実施例を例示し解説したが、上記の記載は、これらの実施例の範囲に限定することを意図していないことを理解すべきである。様々な変更や改良は、以下に述べる特許請求の範囲の趣旨から外れることなく行うことができる。
【0043】
例えば、図16を参照すると、実施例は図3に示す検証ステーション330と検証用顕微鏡336の一例を、顕微鏡336の焦点調整についての考察は抜きにして説明しているが、これらの実施例は顕微鏡と統合して、ユーザの片手(すなわち左手(L))を焦点コントロール160(すなわちステージ334のz軸方向の位置)の操作用に配置し、ユーザのもう一方の手(すなわち右手(R))を、上述した通り、ステージ334を(x軸およびy軸方向に)移動させて、実施例のコントロール装置(例えば、500、800)を操作して、検証機能のコントロール用とすることができる。このように、実施例によれば、細胞検査技師は、両手で三つの異なる機能(焦点、ステージの横方向動作、検証機能)をコントロールして、接眼レンズ150から目を離すことなく試料202の焦点を維持することが可能である。
【0044】
更に図17を参照すると、実施例は様々なタイプの画像処理システムおよび検証システムを実装しており、その一例は、試料の画像処理を行い、試料の画像処理の結果として特定されたFOI 1304をユーザが検証できるように構成した統合型画像処理/検証用顕微鏡システム1700である。図17に示すシステム1700によれば、コンピュータ1710、モニタあるいはディスプレイ1720、及び付属のコントロール部品1730を用いて、同一の顕微鏡で個別の生物試料を1枚のスライド200で一度に画像処理を行い、検証することができる。
【0045】
更に、所定の実施例は、ユーザの人差指620aをステージコントローラ510、810に接触させたままで、ほぼあるいは完全に伸ばすことによって、第2コントローラ520、820を操作することについて述べているが、代替の実施例では、検証機能をコントロールするための第2コントローラ520又は820が、第1コントローラ510、810から十分に広い距離をとって分離されて、第2コントローラ520、820をユーザが個々に操作できるように、システムを構成することができる。この目的のために、第1及び第2のロータリーコントローラ810、820間の距離Dは、約3インチ乃至4インチである。例えば、使用中に、ユーザは第1のロータリーコントローラ810を操作することができ(例えば、図10に示すように)、次いで、それから図10に示すように、手600を第2のロータリーコントローラ820へ動かすことができる。この構成によれば、ユーザの手600を第1のロータリーコントローラ810に接触させている、あるいはいない間に、ユーザは、例えば親指610と人差指620aを使って第2のロータリーコントローラ820を操作することができる。
【0046】
更に上記の実施例は、例えば、むき出しの第2コントローラ520、820など、ユーザによって全部がアクセス可能な第2コントローラ520ならびに第2のロータリーコントローラ820を示す図面を参照して記載されているが、実際は、第2コントローラ520、第2のロータリーコントローラ820は図19で示すように、カバー又はハウジング1900で囲まれている。スクロールホイール又はその他の好適な第2のコントロール構成要素520、820は、ハウジング1900の開口又は窓を通って延在するか、アクセス可能であり、ユーザの手600で操作できる。
【0047】
これらの実施例は、上述の例以外の別の様々な方法で実装することができると解すべきである。例えば、実施例では第2コントローラを第2のロータリーコントローラ820として説明しているが、その他のコントローラの構成も利用できる。例えば、様々なFOI 1304を切り替えるには第2のロータリーコントローラ820を回転させるばかりでなく、第2コントローラは、ユーザが人差指620で押したり、スイッチやその他のアクチュエータ機器を動作させるように構成して、コントローラ820が起動するごとに、検証用顕微鏡336が次のFOI 1304を提示する、あるいはコントローラ820が解除されるか、切られるまで、コントローラ820を押している、あるいは動作させている間、FOI 1304をスクロールし続けるようにしてもよい。
【0048】
更に、構成部品の特定の寸法は、実施例がどのように実装できるかの例示として提供されており、実際は、この寸法や、構成部品を移動させ、あるいは動作させるのに要する力は変わることを理解すべきである。更に、人差指620aを伸ばして第2のロータリーコントローラ820を操作する実施例が記載されているが、この目的のためにその他の指を伸ばしたり、異なる本数の指を伸ばすようにしても良く、ユーザの手は、第2コントローラ520、820を操作する間に、第1コントローラ510、810に接触させても、させなくてもよい。
【0049】
実施例は、様々な数のFOI 1304あるいはFOI群を用いることができる、あるいはその他の方法で試料の部位やOOI 1302を特定できる、様々な試料処理システムに実装することができる。
【0050】
更に、実施例はその他の顕微鏡環境やアプリケーションにも実装できる。例えば、図20A−Bを参照すると、所定のシステム2000は、ディスプレイ、スクリーン、またはモニタ2011や、その他の公知の構成要素を含む処理コンポーネント又はコンピュータ2010に操作可能に接続された検証ステーション330(例えば、上述したような)を具えていても良い。モニタ2011はコンピュータ2010と一体化した機器として示されているが、モニタ2011は、別体のコンポーネントであってもよく、あるいは何らかの方法でコンピュータ2010に取り付けたものであっても良い。複数のアイコン2012がモニタ2011上に表示され、ユーザが選択すると、検証用顕微鏡336を用いて試料を検証することに関連している、あるいはいない、様々な機能を実行することができる。
【0051】
使用中に、ユーザは、人差指620aを伸ばして、第2のロータリーコントローラ820を操作し、モニタ2011に表示される各種アイコン2012をスクロールあるいは反転表示できる。所望のアイコン2012が反転した後、ユーザはアイコン2012を選択して、対応する機能を実行することができる。一の実施例では、アイコン2012は試料202の一部を表示するものであり、ユーザは第2コントローラ520を用いて相当するアイコン2012を反転させるか、あるいは選択することによってマーキングすることができる。この目的のために、ユーザは独立した押しボタン(図示せず)、マウス1813あるいは他の適当な機器を使用することができる。第2コントローラ520、820を用いたアイコン2012の選択は、その他の機能をコントロールし、その他の目的に役立つようにしてもよい。このように、検証用顕微鏡336と一緒に使用するように構成されたコントロール装置800は、第2コントローラ520、820を用いて、アイコン2012を選択して様々な他の機能を選択して起動することが可能であり、よってもたらされる機能は、試料202の検証に関係していても、していなくてもよい。
【0052】
このように、これらの実施例は、代替となるものや変更されたもの、そして特許請求の範囲内における均等な技術をカバーするためになされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で操作できる顕微鏡をコントロールする装置において、
オペレータが片手で操作して顕微鏡のステージ位置を調整するように構成されている第1のロータリーコントローラと、
前記第1のロータリーコントローラに前記片手が接触したままで、当該片手の指を伸ばして操作して、生物試料の予め特定されている部位を検証するように構成され、前記第1のロータリーコントローラに相対配置された第2のロータリーコントローラと、
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のロータリーコントローラと前記第2のロータリーコントローラが、前記顕微鏡からほぼ垂直に延在していることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のロータリーコントローラと前記第2のロータリーコントローラが、ほぼ平行な回転軸を中心に回転可能であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のロータリーコントローラが、
顕微鏡のステージを第1の方向に移動させるように構成した第1のロータリーコントローラ・エレメントと、
前記第1のロータリーコントローラ・エレメントと同軸であり、前記第1の方向と異なる第2の方向に顕微鏡のステージを移動させるように構成した第2のロータリーコントローラ・エレメントと、
を具える同軸のロータリーコントローラであることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
第1のロータリーコントローラ・エレメントが片手の親指で操作するように構成されており、前記第2のロータリーコントローラ・エレメントが前記手の少なくとも1本の指で操作できるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記第2のロータリーコントローラが、前記第1のロータリーコントローラの操作に用いる少なくとも1本の指とは別の指を伸ばして操作できるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記第2のロータリーコントローラは、前記片手の人差指を伸ばして操作できるように構成配置されており、
前記第1のロータリーコントローラは、更に、オペレータがその手の人差指を伸ばしていないときでも、当該人差指で操作できるように構成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置において、
前記第2のロータリーコントローラがスクロールホイールであることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の装置が更に、
前記第2のロータリーコントローラに付属しており、前記オペレータの指を伸ばして前記第2のロータリーコントローラが変位して動作し、生物試料の予め特定された部位を電子マーキングするように構成されたスイッチを具えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記第2のロータリーコントローラ及び前記スイッチが、前記第2のロータリーコントローラの横方向の変位あるいは縦方向の変位のいずれか一方あるいはその双方によって前記スイッチが動作するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置において、
前記第2のロータリーコントローラがロータリーエンコーダであることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のロータリーコントローラが前記顕微鏡に取り付けられており、当該顕微鏡のステージ近傍に配置され、前記第1のロータリーコントローラがオペレータの片手の親指で操作して前記顕微鏡のステージを第1の方向に移動させるように構成されており、
前記第2のロータリーコントローラが前記顕微鏡に取り付けられており、当該顕微鏡のステージ近傍に配置され、前記片手の中指を伸ばして操作して、前記片手が前記第1のロータリーコントローラに接触したままで、生物試料の予め特定された部位をコントロール可能に検証するように構成され、前記第1のロータリーコントローラに相対配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
前記第2のロータリーコントローラが、前記片手の人差指を伸ばして操作できるように構成配置されたスクロールホイールであることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置が更に、
前記第2のロータリーコントローラに取り付けたスイッチを具え、当該スイッチが、前記生物試料の予め特定された部位をマーキングするために、前記オペレータの中指を伸ばした操作による、前記第2のロータリーコントローラの変位によって動作するよう構成されたスイッチである、ことを特徴とする装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2011−508282(P2011−508282A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540775(P2010−540775)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086878
【国際公開番号】WO2009/085707
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507130015)サイテック コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】