説明

顕微鏡装置、及び、顕微鏡装置の合焦方法

【課題】偽合焦を防止することができる合焦技術を提供することを課題とする。
【解決手段】顕微鏡装置1は、Z軸駆動部14により標本6とCCDカメラ13との間隔を所定の探索範囲内で変化させて、コントラスト算出部3aによりCCDカメラ13で撮像された標本6の画像データから各Z位置における画像のコントラストを算出する。顕微鏡装置1は、探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が所定値以下である場合に、探索範囲内に合焦位置が存在すると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合焦機能を備えた顕微鏡装置及び顕微鏡装置の合焦方法に関し、特に、合焦位置とは異なる位置を合焦位置と誤認する偽合焦を防止する顕微鏡装置及び顕微鏡装置の合焦方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡の分野では、焦準部により標本に対して焦点位置をZ方向に比較的広い間隔で動かす低精度探索と比較的狭い間隔で動かす高精度探索とを組み合わせて、短時間で且つ高精度に標本に合焦する技術が知られている。このような技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、まず、焦準部をある一定の向きに動作させる低精度探索の各Z位置において標本像のコントラストを算出し、前回のZ位置で算出したコントラストよりも小さいか否かを判定する。そして、コントラストが前回のZ位置のコントラストよりも小さい場合には、合焦位置を通り過ぎたと判断し、その位置から逆向きに高精度探索を行い、コントラストのピーク位置である合焦位置を検出して、標本に合焦する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4563643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示される技術は、各Z位置におけるコントラストを示すカーブ(以降、コントラストカーブと記す。)が、図12(a)に例示されるような、合焦位置までは単調に増加し合焦位置を通過後は単調に減少する形状を有することを前提としている。
【0006】
しかしながら、顕微鏡の観察では、必ずしもこのようなコントラストカーブが得られるとは限らない。例えば、産業用途で使用される顕微鏡の観察対象には、半導体表面などコントラストがほとんど生じない標本や、電子部品等が半田付けされた実装基板など強いハレーションが生じる標本が含まれる。これらの標本から得られるコントラストカーブは、上述した前提に合致しない。
【0007】
コントラストがほとんど生じない標本から得られるコントラストカーブは、図12(b)に例示されるように、Z方向に対してコントラストの変化がほとんどないため、通常はコントラストカーブからは合焦位置を特定することはできない。しかしながら、特許文献1に開示される技術を用いると、ノイズ等に起因するコントラストの微小な増減によって形成されるコントラストのピーク位置を合焦位置として誤認してしまう。つまり、正しい位置に合焦できないばかりではなく、誤った位置を合焦位置と誤認するいわゆる偽合焦が生じてしまう。
【0008】
また、強いハレーションが生じる標本は、ハレーションを除去することを目的として、フレームレートが長い設定またはISO感度が高い設定で偏光観察により観察されるため、コントラストカーブは、図12(c)に例示されるように、ノイズの影響を強く受けてしまう。具体的には、白点ノイズの影響によりコントラストがオフセットされ、また、暗点ノイズの影響によりコントラストが増減する。このため、特許文献1に開示される技術を用いると、ノイズ等に起因するコントラストの増減によって形成されるコントラストのピーク位置を合焦位置として誤認してしまう。つまり、コントラストがない標本の場合と同様に、いわゆる偽合焦が生じてしまう。
以上のような実情を踏まえ、本発明では、偽合焦を防止することができる合焦機能を備えた顕微鏡装置、及び、合焦方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、標本を撮像する撮像手段と、前記標本と前記撮像手段との間隔を所定の探索範囲内で変化させる焦準部と、前記撮像手段で撮像された前記標本の画像データから画像のコントラストを算出するコントラスト算出部と、前記コントラスト算出部により前記探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が第1の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定する合焦位置判定部と、を含む顕微鏡装置を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡装置において、前記割合が前記第1の所定値を上回る場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する顕微鏡装置を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡装置において、前記合焦位置判定部は、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する顕微鏡装置を提供する。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡装置において、前記合焦位置判定部は、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きく、前記コントラスト算出部により前記探索範囲の一端の探索開始位置で算出されたコントラストである開始コントラストから前記コントラスト算出部により前記探索範囲の他端の探索終了位置で算出されたコントラストである終了コントラストを引いた値が第3の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値より大きく、前記開始コントラストから前記終了コントラストを引いた値が前記第3の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する顕微鏡装置を提供する。
【0013】
本発明の第5の態様は、第2の態様乃至第4の態様のいずれか1つに記載の顕微鏡装置において、さらに、合焦位置判定部による判定結果を外部に通知する通知部を含み、前記通知部は、前記合焦位置判定部が前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判断した場合に、合焦の失敗を通知する顕微鏡装置を提供する。
【0014】
本発明の第6の態様は、標本と前記標本を撮像する撮像手段との間隔を所定の探索範囲内で変化させながら、前記撮像手段で撮像された前記標本の画像データから画像のコントラストを算出するコントラスト算出工程と、前記コントラスト算出工程で算出されたコントラストに基づいて、前記探索範囲内に合焦位置が存在するか否かを判定する合焦位置判定工程と、前記合焦位置判定工程で前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定された場合に、標本を合焦する合焦工程と、を含み、前記合焦位置判定工程は、前記コントラスト算出部により前記探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が第1の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定する顕微鏡装置の合焦方法を提供する。
【0015】
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、前記合焦位置判定工程は、前記割合が前記第1の所定値を上回る場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する顕微鏡装置の合焦方法を提供する。
【0016】
本発明の第8の態様は、第6の態様に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、前記合焦位置判定工程は、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
顕微鏡装置の合焦方法を提供する。
【0017】
本発明の第9の態様は、第6の態様に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、前記合焦位置判定工程は、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きく、前記探索範囲の一端の探索開始位置で算出されたコントラストである開始コントラストから前記探索範囲の他端の探索終了位置で算出されたコントラストである終了コントラストを引いた値が第3の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値より大きく、前記開始コントラストから前記終了コントラストを引いた値が前記第3の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する顕微鏡装置の合焦方法を提供する。
【0018】
本発明の第10の態様は、第7の態様乃至第9の態様のいずれか1項に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、さらに、前記合焦位置判定工程後に、判定結果を外部に通知する通知工程を含み、前記通知工程は、前記合焦位置判定工程が前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判断した場合に、合焦の失敗を通知する顕微鏡装置の合焦方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、偽合焦を防止することができる合焦機能を備えた顕微鏡装置、及び、合焦方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置の構成を例示した図である。
【図2】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置の一部分についてのより詳細な構成を例示した図である。
【図3】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置の探索範囲指示部の構成を例示した図である。
【図4】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置のROMに記憶された探索範囲情報を例示した図である。
【図5】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置により実行される合焦処理のフローを例示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置が合焦の成功を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
【図7】本発明の実施例1に係る顕微鏡装置が合焦の失敗を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
【図8】本発明の実施例2に係る顕微鏡装置により実行される合焦処理のフローを例示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係る顕微鏡装置が合焦の成功を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
【図10】本発明の実施例3に係る顕微鏡装置により実行される合焦処理のフローを例示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施例3に係る顕微鏡装置が合焦の成功を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
【図12】標本によってコントラストカーブが異なることについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本実施例に係る顕微鏡装置の構成を例示した図である。図2は、本実施例に係る顕微鏡装置の一部分についてのより詳細な構成を例示した図である。図3は、本実施例に係る顕微鏡装置の探索範囲指示部の構成を例示した図である。図4は、本実施例に係る顕微鏡装置のROMに記憶された探索範囲情報を例示した図である。
図1から図4を参照しながら、本実施例に係る顕微鏡装置の構成について説明する。
【0023】
図1に例示される顕微鏡装置1は、自動で標本6に合焦する自動合焦機能を備えた顕微鏡装置であって、標本6の光学像を電気信号に変換して出力する顕微鏡本体2と、顕微鏡本体2から出力される電気信号から標本6の画像データを生成するPC3と、PC3から画像データを受信して標本6の画像を表示するモニタ4と、を備えている。
【0024】
顕微鏡本体2は、図1に例示されるように、照明光を射出する光源7と、不図示の照明光学系を介して入射する照明光を標本6に向けて反射するハーフミラー8と、光軸上に配置する対物レンズを切替えるレボルバ9と、照明光を標本に照射する対物レンズ10と、内部に標本6からの光の光路を切替えるミラー11aを備えた鏡筒11と、ミラー11aの反射光路に配置された接眼レンズ12と、標本6からの光を受光するCCDカメラ13と、標本6に合焦するために対物レンズ10の焦点位置を標本6に対してZ方向に移動させるZ軸駆動部14と、光源7やZ軸駆動部14の動作を制御する制御部15と、制御部15に電力を供給する電源部16と、を含んでいる。
CCDカメラ13は、標本6からの光を電気信号に変換してPC3に出力することで、標本6を撮像する撮像手段である。
【0025】
Z軸駆動部14は、レボルバ9をZ方向に移動させることで標本6とCCDカメラ13との間隔を連続的に変化させる焦準部であり、図2に例示されるように、レボルバ9をZ方向に移動させるための駆動源であるステッピングモータ14aと、レボルバ9のZ方向への移動が制限されるリミット位置を検出するリミットセンサ14bとを含んでいる。リミットセンサ14bは、例えば、不図示の遮光板とフォトインタラプタを利用したセンサであり、遮光板とフォトインタラプタのうちの一方がレボルバ9とともに移動することで、レボルバ9がリミット位置に達した際に生じるフォトインタラプタからの信号の変化に基づいて、リミット位置を検出するものである。
【0026】
なお、図1では、Z軸駆動部14がレボルバ9を駆動する例を示したが、Z軸駆動部14により動作される対象は、レボルバ9に限られず、例えば、ステージ5であってもよい。
【0027】
制御部15は、図2に例示されるように、自動合焦処理などのための制御プログラムを実行するCPU17と、制御プログラムが記憶されたROM18と、制御プログラムの実行により生じる一時記憶データを記憶するRAM19と、CPU17、ROM18、RAM19を相互に接続するバス20と、Z軸駆動部14が標本6とCCDカメラ13との間の間隔を変化させる範囲(以降、探索範囲と記す。)を指示する探索範囲指示部21と、ステッピングモータ14aを駆動させるモータドライバ22と、光源7の発光を制御する照明部23と、を含んでいる。
【0028】
CPU17は、偽合焦を防止するために自動合焦処理の過程で探索範囲内に合焦位置が存在するか否かを判断する。即ち、CPU17は、合焦位置判定部として機能する。なお、CPU17の合焦位置判定部としての機能については、後に詳述する。
【0029】
探索範囲指示部21は、図3に例示されるように、レボルバ9に設けられた対物レンズを装着するための穴(以降、固定穴と記す。)と同数のロータリースイッチを含んでいる。探索範囲指示部21は、ロータリースイッチのクリック位置により、各ロータリースイッチに対応する固定穴に装着された対物レンズの種類を指定するものである。ロータリースイッチは、それぞれ16箇所(1−10、A−F)のクリック位置を有している。各クリック位置が示している対物レンズに関する情報(以降、探索範囲情報と記す。)は、クリック位置の番号と関連付けて予めROM18などに格納されており、例えば、図4に例示されるように、対物レンズの名称、探索範囲の幅(焦点深度の33倍の値)、対物レンズの倍率、開口数(NA)、焦点深度などが含まれる。
【0030】
自動合焦処理において、CPU17は、探索範囲指示部21の設定に基づいて探索範囲を決定して、標本6とCCDカメラ13との間の間隔がその探索範囲内で連続的に変化するようにZ軸駆動部14を制御する。具体的には、CPU17は、まず、光軸上に配置されている固定穴を特定する。次に、探索範囲指示部21の対応するロータリースイッチで選択されているクリック位置をキーに図4に例示される探索範囲情報を検索して探索範囲の幅を決定する。そして、その探索範囲の幅と予め設定された初期間隔により探索範囲を決定して、その探索範囲内でZ軸駆動部14を制御する。
【0031】
なお、ここでは、探索範囲指示部21が制御部15(顕微鏡本体2)に設けられた図3に例示されるようなロータリースイッチである場合について説明したが、探索範囲指示部21は制御部15に接続されたPC3であってもよい。PC3で動作するアプリケーションによりモニタ4に表示されるGUIを介して、探索範囲を設定してもよい。
【0032】
モータドライバ22は、CPU17からの指示に応じて、Z軸駆動部14のステッピングモータ14aを駆動する。具体的には、モータドライバ22は、CPU17からの指示により、探索範囲指示部21の設定に基づいて決定された探索範囲内で上記間隔が変化するように、ステッピングモータ14aにパルス信号を送信する。なお、探索範囲内であってもレボルバ9がリミット位置に達すると、リミットセンサ14bがリミット位置を検出してCPU17に通知するため、モータドライバ22は、CPU17からの指示に従ってステッピングモータ14aの駆動を停止してレボルバ9の移動を中止する。
【0033】
照明部23は、例えば、定電流回路で構成されている。照明部23は、CPU17からの指示に応じて定電流回路に流す電流値の基準電圧を決定し、光源7に適切な駆動電流を供給する。
【0034】
PC3は、CCDカメラ13からの電気信号に基づいて標本6の画像データを生成する。また、PC3は、生成された画像データからコントラストを算出するコントラスト算出部3aを含む。コントラスト算出部3aは、Z位置の異なる画像データから周期的にコントラストを算出し、算出したコントラストをCPU17から受信したそのコントラストの画像データが取得されたときのレボルバ9のZ位置の情報と関連付けて蓄積する。コントラスト算出部3aは、CPU17からの指示があったタイミングでコントラストとZ位置の情報をCPU17へ出力する。
【0035】
モニタ4は、CPU17による合焦位置が探索範囲内に存在するか否かの判定結果を利用者に通知する通知部であり、CPU17が探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定した場合には、自動合焦処理による合焦が失敗したことを表示して利用者に通知する。これにより、利用者が合焦位置とは異なる位置を合焦位置と誤認すること、即ち、偽合焦を防止することができる。
【0036】
なお、CPU17による判定結果は、モニタ4に表示することにより通知する方法に限られず、他の種々の方法によって外部に通知されてもよい。例えば、スピーカーからの発する音声によって外部に通知されてもよく、また、顕微鏡本体2に設けられた発光部の点灯によって外部に通知されてもよい。その他、周辺機器等に判定結果をデータとして送信することにより外部へ通知してもよい。
【0037】
図5は、顕微鏡装置1により実行される合焦処理のフローを例示したフローチャートである。図6は、顕微鏡装置1が合焦の成功を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。図7は、顕微鏡装置1が合焦の失敗を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
図5から図7を参照しながら、顕微鏡装置1によって実行される自動合焦処理について説明する。
【0038】
自動合焦処理が開始されると、まず、探索範囲を決定する(ステップS1)。具体的には、CPU17が光軸上に配置されている固定穴を特定して、探索範囲指示部21の対応するロータリースイッチで選択されているクリック位置をキーにROM18に格納されている探索範囲情報を検索して探索範囲の幅を決定する。その探索範囲の幅と予め設定された初期間隔により探索範囲を決定する。
【0039】
ステップS2では、探索範囲内のコントラストカーブを取得する。具体的には、CPU17からの指示を受けて、Z軸駆動部14がレボルバ9を標本6に近づく方向に移動させることにより標本6とCCDカメラ13との間隔を探索範囲内で連続的に変化させて、CCDカメラ13が探索範囲内の各Z位置における標本像から変換した電気信号をPC3に出力する。PC3はCCDカメラ13からの電気信号に基づいて標本6の画像データを生成する。コントラスト算出部3aは生成された標本6の画像データから周期的に画像のコントラストを算出し、算出した画像のコントラストをその画像が取得されたときのZ位置の情報とともに記憶することでコントラストカーブを作成する。
【0040】
なお、ステップS2の処理は、いわゆる低精度探索であり、Z軸駆動部14によりレボルバ9は、後述するステップS5の処理の場合に比べて、比較的高速に移動する。
【0041】
ステップS3では、CPU17は、コントラスト算出部3aから最新のコントラストとZ位置の情報を随時受信して、探索範囲内に合焦位置が存在するか否かを判定する。具体的には、CPU17は、探索開始後に受信したコントラストの最大値と最小値、さらに、探索開始位置でのコントラスト(以降、開始コントラストと記す。)と現在位置でのコントラストをそのZ位置の情報と関連付けて、RAM19に記憶させる。そして、RAM19に記憶されたコントラストの最大値がコントラストの最小値の2倍以上であるかどうかを判定する。換言すると、コントラスト算出部3aにより探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が1/2以下であるかどうかを判定する。CPU17は、最大値に対する最小値の割合が1/2以下ある場合、探索範囲内に合焦位置が存在すると判定して、低精度探索を終了してステップS4の処理を実行する。一方、探索範囲全域の探索が終了してもなお、最大値に対する最小値の割合が1/2を上回っている場合には、CPU17は、探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定して、ステップS9の処理を実行する。
【0042】
ステップS4では、CPU17はレボルバ9を高精度探索開始位置に移動させる。具体的には、CPU17は、RAM19からコントラストの最大値が得られたZ位置を読み出し、Z軸駆動部14にレボルバ9を読み出したZ位置まで移動させる。さらに、CPU17は、低精度探索でのレボルバ9の移動速度から算出される画像取得間隔(以降、ピッチと記す。)だけ標本6から離れる方向にレボルバ9を移動させる。つまり、探索終了位置から最大値が得られたZ位置までの距離に1ピッチ加えた距離(以降、マージン量と記す。)だけ、レボルバ9の位置をステップS2での動作方向と反対向きに移動させる。
【0043】
ステップS5では、高精度探索開始位置から再びコントラストカーブを取得する。具体的には、CPU17がレボルバ9をステップS2での移動速度よりも低速に動作させる。これにより、コントラスト算出部3aが、より短いピッチで画像のコントラストを算出し、算出した画像のコントラストをその画像が取得されたときのZ位置の情報とともに記憶することで、コントラストカーブを作成する。
【0044】
ステップS6では、CPU17は、コントラスト算出部3aから受信した最新のコントラストを前回受信したコントラストと比較する。CPU17は、最新のコントラストが前回受信したコントラスト以上である場合には、合焦位置を未だ通過していないと判定し、RAM19に最新のコントラストを記憶させて同様の処理を繰り返す。一方、最新のコントラストが前回受信したコントラストよりも小さい場合には、前回受信したコントラストの画像が取得されたZ位置が合焦位置であると判定し、高精度探索を終了してステップS7の処理を実行する。
ステップS7では、CPU17は、レボルバ9を高精度探索の探索方向と反対向きに1ピッチ分だけ移動させて、標本6に合焦する。
ステップS8では、CPU17は、標本6に合焦した旨をモニタ4に表示させて、自動合焦処理を終了する。
【0045】
ステップS3で探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定された場合は、ステップS9で、CPU17は、探索開始位置でのコントラストである開始コントラストと探索終了位置でのコントラストである終了コントラストをRAM19から読み出す。そして、終了コントラストから開始コントラストを引いた値が予め設定されている所定の閾値TH1を上回るか否かを判定する。なお、終了コントラストは、RAM19に現在位置でのコントラストとして記憶されている。また、閾値TH1は、コントラストが変動する一要因であるノイズレベルよりも大きな固定値であり、標本の種類や装置の特性や使用環境などを考慮して決定される。
【0046】
終了コントラストから開始コントラストを引いた値が閾値TH1よりも大きい場合には、探索開始位置から探索終了位置に向かってコントラストが増加しているものと考えられることから、探索終了位置側の探索範囲外に合焦位置が存在する可能性がある。このため、CPU17は、レボルバ9を探索終了位置に移動させる(ステップS10)。その後、合焦が失敗した旨をモニタ4に表示させて(ステップS11)から自動合焦処理を終了する。
【0047】
一方、終了コントラストから開始コントラストを引いた値が閾値TH1以下である場合には、合焦位置はコントラストカーブからは特定することができないと考えられる。このため、CPU17は、レボルバ9を探索開始位置に移動させる(ステップS12)。その後、合焦が失敗した旨をモニタ4に表示させて(ステップS13)から自動合焦処理を終了する。なお、ステップS9とステップS11でモニタ4に表示される合焦が失敗した旨の表示は、異ならせてもよい。
【0048】
本実施例に係る顕微鏡装置1によれば、低精度探索で取得されたコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合が1/2以下であるかを判定することで、偽合焦を防止することができる。
【0049】
具体的には、顕微鏡装置1では、例えば、図6(a)に例示されるような理想的なコントラストカーブが得られる標本だけではなく、図6(b)に例示されるような、白点ノイズの影響によりコントラストがオフセットされ、また、暗点ノイズの影響によりコントラストが増減したコントラストカーブが得られる強いハレーションが生じる標本に対しても、適切に合焦することができる。
【0050】
また、例えば、図7(a)に例示されるようなコントラストの変化がほとんどないコントラストカーブが得られる標本の場合には、誤った位置を合焦位置と誤認することなく、合焦の失敗を通知することができる。このため、顕微鏡観察に不慣れな観察者が顕微鏡を使用する場合であっても、誤った位置を合焦位置と誤認することが防止することができる。
【0051】
また、例えば、図7(b)に例示されるように、探索範囲が適切でない場合も、誤った位置を合焦位置と誤認することなく、合焦の失敗を通知することができる。また、観察者が合焦作業を継続するのに適した位置までレボルバが移動するため、作業を継続する観察者の作業効率を改善することができる。
【0052】
なお、本実施例では、探索範囲内における合焦位置の有無の判定に使用するコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合として1/2を用いたが、判定の基準とする割合は1/2に限られない。産業用標本では、通常1/2程度の割合を設定することが適切に機能するが、使用する標本や環境など種々の条件を考慮して他の所定値に設定してもよい。例えば、ノイズが乗り易く全体にコントラストが高くなる場合には、より小さな割合としてもよい。
【実施例2】
【0053】
本実施例に係る顕微鏡装置は、自動で標本に合焦する自動合焦機能を備えた顕微鏡装置であって、その構成は、図1に例示される実施例1に係る顕微鏡装置の構成と同様である。このため、顕微鏡装置の構成についての説明は省略する。
【0054】
図8は、本実施例に係る顕微鏡装置により実行される合焦処理のフローを例示したフローチャートである。図9は、本実施例に係る顕微鏡装置が合焦の成功を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
図8及び図9を参照しながら、本実施例に係る顕微鏡装置によって実行される自動合焦処理について説明する。
図8に例示される合焦処理のフローは、ステップS3aが追加されている点のみが、図5に例示される合焦処理のフローと異なっている。
【0055】
ステップS3aの処理は、ステップS3で探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定された場合に実行される。ステップS3aでは、CPU17は、RAM19に記憶されている探索範囲内でのコントラストの最大値とコントラストの最小値を読み出して、その差分をとる。そして、その差分、つまり、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が予め設定されている所定の閾値TH2を上回るか否かを判定する。なお、閾値TH2は、コントラストが変動する一要因であるノイズレベルよりも大きな固定値であり、標本の種類や装置の特性や使用環境などを考慮して決定される。
【0056】
コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が閾値TH2よりも大きい場合には、探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、ステップS4に遷移して、高精度探索を実行する。一方 コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が閾値TH2以下である場合には、探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、ステップS9に遷移して、合焦の失敗を通知する。
【0057】
本実施例に係る顕微鏡装置でも、実施例1に係る顕微鏡装置1と同様に、低精度探索で取得されたコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合が1/2以下であるかを判定することで、偽合焦を防止することが可能であり、実施例1に係る顕微鏡装置1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、本実施例に係る顕微鏡装置によれば、低精度探索で取得されたコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合が1/2未満であっても、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が所定の閾値TH2を上回るか否かを判定することで、偽合焦をより確実に防止することができる。
【0059】
具体的には、図9に例示されるように、露光時間が長い等の理由で暗ノイズの影響が強くなり、その結果、コントラストカーブが増減(振動)するだけでなく、大きくオフセットされた場合には、コントラストカーブの最大値に対する最小値の割合によっては、焦点位置の存在を認定できない。しかしながら、本実施例に係る顕微鏡装置1では、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値を評価することで、このような大きなオフセットが乗ったコントラストカーブであっても、合焦位置の存在を認定することができるため、標本に適切に合焦することができる。
【0060】
なお、本実施例でも、判定に用いられるコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合は1/2に限られず、他の所定値であってもよい点については、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0061】
本実施例に係る顕微鏡装置は、自動で標本に合焦する自動合焦機能を備えた顕微鏡装置であり、その構成は、図1に例示される実施例1に係る顕微鏡装置の構成と同様である。このため、顕微鏡装置の構成についての説明は省略する。
【0062】
図10は、本実施例に係る顕微鏡装置により実行される合焦処理のフローを例示したフローチャートである。図11は、本実施例に係る顕微鏡装置が合焦の成功を通知する場合に得られるコントラストカーブを例示する図である。
図10及び図11を参照しながら、本実施例に係る顕微鏡装置によって実行される自動合焦処理について説明する。
【0063】
自動合焦処理が開始されると、まず、探索範囲を決定し(ステップS1)、探索範囲内のコントラストカーブを取得する(ステップS2)。これらの処理は、図5に例示される実施例1に係る顕微鏡装置1の自動合焦処理と同様である。また、CPU17が探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が1/2以下であるかどうかを判定し(ステップS3)、割合が1/2以下ある場合は、探索範囲内に合焦位置が存在すると判定して、高精度探索の実行により標本に合焦して合焦を通知する点も、実施例1に係る顕微鏡装置1の自動合焦処理と同様である(ステップS4からステップS8)。
【0064】
ステップS3でコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が1/2を上回っていると判定された場合には、CPU17は、RAM19に記憶されている探索範囲内でのコントラストの最大値とコントラストの最小値を読み出して、その差分をとる。そして、その差分、つまり、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が予め設定されている所定の閾値TH2を上回るか否かを判定する(ステップS3a)。なお、閾値TH2は、コントラストが変動する一要因であるノイズレベルよりも大きな固定値であり、標本の種類や装置の特性や使用環境などを考慮して決定される。
【0065】
コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が閾値TH2よりも大きい場合には、探索範囲内に合焦位置が存在する可能性があると判定し、ステップS9に遷移する。
【0066】
ステップS9では、CPU17は、開始コントラストと終了コントラストをRAM19から読み出す。そして、終了コントラストから開始コントラストを引いた値が予め設定されている所定の閾値TH1を上回るか否かを判定する。なお、終了コントラストは、RAM19に現在位置でのコントラストとして記憶されている。また、閾値TH1は、コントラストが変動する一要因であるノイズレベルよりも大きな固定値であり、標本の種類や装置の特性や使用環境などを考慮して決定される。
【0067】
終了コントラストから開始コントラストを引いた値が閾値TH1よりも大きい場合には、CPU17は、探索範囲内に合焦位置が存在すると判定する。ただし、コントラストカーブが白点ノイズなどの影響で、例えば、図11(a)に例示されるように、大きく傾いている可能性があるため、CPU17は、コントラストカーブの傾きを補正するためのオフセット補正値を算出する(ステップS14)。
【0068】
具体的には、以下の算出式により、各Z位置Zにおけるオフセット補正値Cを算出する。ここで、探索開始位置のZ座標をa1、開始コントラストをb1、探索終了位置のZ座標をa2、終了コントラストをb2であり、それぞれ、RAM19に記憶されている。
【数1】

【0069】
ステップS15では、CPU17は、低精度探索によりすでに取得されているコントラストカーブにステップS14で取得されたオフセット補正値を加算して、再度、低精度探索を実行し、取得されたコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合が1/2以下であることを検出し、低精度探索を終了する。
【0070】
ステップS16では、CPU17は、ステップS15の低精度探索終了位置から補正後の最大値が得られたZ位置までの距離に1ピッチ加えた距離であるマージン量を算出し、レボルバ9をステップS2での動作方向と反対向きにマージン量だけ移動させる。
【0071】
その後、ステップS16で移動した高精度探索開始位置から高精度探索を実行して標本に合焦する(ステップS5からステップS7)。そして、合焦を通知して自動合焦処理を終了する(ステップS8)。
【0072】
なお、ステップS3aでコントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が閾値TH2以下であった場合は、探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、ステップS12に遷移する。また、ステップS9で終了コントラストから開始コントラストを引いた値が閾値TH1以下であった場合も、すでに合焦位置を通過した位置から探索が開始されており、探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、同じく、ステップS12に遷移する。
【0073】
CPU17は、ステップS12で、レボルバ9を探索開始位置に移動させ、さらに、ステップS13で、合焦が失敗した旨をモニタ4に表示させて、自動合焦処理を終了する。
【0074】
本実施例に係る顕微鏡装置でも、実施例1に係る顕微鏡装置1と同様に、低精度探索で取得されたコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合が1/2以下であるかを判定することで、偽合焦を防止することが可能であり、実施例1に係る顕微鏡装置1と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、本実施例に係る顕微鏡装置によれば、低精度探索で取得されたコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合が1/2未満であっても、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が所定の閾値TH2を上回るか否か、さらに、終了コントラストから開始コントラストを引いた値が所定の閾値TH1を上回るか否かを判定することで、偽合焦をより確実に防止することができる。
【0076】
具体的には、図9に例示されるように、コントラストが大きくオフセットされた場合であっても、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値を評価することで、合焦位置の存在を認定することができるため、標本に適切に合焦することができる。また、図11(b)に例示されるように、コントラストカーブが白点ノイズなどの影響で大きく傾き、本来のコントラストカーブのピーク位置ではなく、探索終了位置でコントラストが最大となる場合であっても、オフセット補正値によりコントラストカーブが補正されることで、標本に適切に合焦することができる。
【0077】
なお、本実施例でも、判定に用いられるコントラストカーブの最大値に対する最小値の割合は1/2に限られず、他の所定値であってもよい。
【0078】
以上では、実施例1から実施例3に係る顕微鏡装置の自動焦点処理のフローを例示したが、本発明は、上述した実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えることが可能である。
【0079】
例えば、図5や図8に例示されるステップS3aでは、コントラストの最大値からコントラストの最小値を引いた値が所定の閾値TH2を上回るか否かが判定されているが、コントラストの最大値からコントラストの平均値を引いた値が所定の閾値を上回るか否かを判定してもよい。
【0080】
また、図11(b)に例示されるようなコントラストカーブでは、探索終了位置のコントラストが最大値になる可能性が高い。このため、探索終了位置のコントラストが最大値か否かを判断する工程を追加することで、図11(b)に例示されるようなコントラストカーブが取得される場合に生じうる偽合焦を防止してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1・・・顕微鏡装置
2・・・顕微鏡本体
3・・・PC
3a・・・コントラスト算出部
4・・・モニタ
5・・・ステージ
6・・・標本
7・・・光源
8・・・ハーフミラー
9・・・レボルバ
10・・・対物レンズ
11・・・鏡筒
11a・・・ミラー
12・・・接眼レンズ
13・・・CCDカメラ
14・・・Z軸駆動部
14a・・・ステッピングモータ
14b・・・リミットセンサ
15・・・制御部
16・・・電源部
17・・・CPU
18・・・バス
19・・・ROM
20・・・RAM
21・・・探索範囲指示部
22・・・モータドライバ
23・・・照明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を撮像する撮像手段と、
前記標本と前記撮像手段との間隔を所定の探索範囲内で変化させる焦準部と、
前記撮像手段で撮像された前記標本の画像データから画像のコントラストを算出するコントラスト算出部と、
前記コントラスト算出部により前記探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が第1の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定する合焦位置判定部と、を含む
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、
前記割合が前記第1の所定値を上回る場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項3】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、
前記合焦位置判定部は、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項4】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、
前記合焦位置判定部は、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きく、前記コントラスト算出部により前記探索範囲の一端の探索開始位置で算出されたコントラストである開始コントラストから前記コントラスト算出部により前記探索範囲の他端の探索終了位置で算出されたコントラストである終了コントラストを引いた値が第3の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値より大きく、前記開始コントラストから前記終了コントラストを引いた値が前記第3の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、さらに、
合焦位置判定部による判定結果を外部に通知する通知部を含み、
前記通知部は、前記合焦位置判定部が前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判断した場合に、合焦の失敗を通知する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項6】
標本と前記標本を撮像する撮像手段との間隔を所定の探索範囲内で変化させながら、前記撮像手段で撮像された前記標本の画像データから画像のコントラストを算出するコントラスト算出工程と、
前記コントラスト算出工程で算出されたコントラストに基づいて、前記探索範囲内に合焦位置が存在するか否かを判定する合焦位置判定工程と、
前記合焦位置判定工程で前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定された場合に、標本を合焦する合焦工程と、を含み、
前記合焦位置判定工程は、前記コントラスト算出部により前記探索範囲内で算出されたコントラストの最大値に対するコントラストの最小値の割合が第1の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置の合焦方法。
【請求項7】
請求項6に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、
前記合焦位置判定工程は、前記割合が前記第1の所定値を上回る場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置の合焦方法。
【請求項8】
請求項6に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、
前記合焦位置判定工程は、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置の合焦方法。
【請求項9】
請求項6に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、
前記合焦位置判定工程は、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が第2の所定値より大きく、前記探索範囲の一端の探索開始位置で算出されたコントラストである開始コントラストから前記探索範囲の他端の探索終了位置で算出されたコントラストである終了コントラストを引いた値が第3の所定値より大きい場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在すると判定し、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値より大きく、前記開始コントラストから前記終了コントラストを引いた値が前記第3の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定し、
前記コントラストの最大値から前記コントラストの最小値を引いた値が前記第2の所定値以下である場合に、前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判定する
ことを特徴とする顕微鏡装置の合焦方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の顕微鏡装置の合焦方法において、さらに、
前記合焦位置判定工程後に、判定結果を外部に通知する通知工程を含み、
前記通知工程は、前記合焦位置判定工程が前記探索範囲内に合焦位置が存在しないと判断した場合に、合焦の失敗を通知する
ことを特徴とする顕微鏡装置の合焦方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図10】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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