説明

顕微鏡

【課題】顕微鏡の操作性、作業性の向上を図ることができるようにする。
【解決手段】着脱自在の中間変倍装置31は、顕微鏡の本体部の内部の接眼光学系と撮像光学系に像を結像させる結像レンズ101の手前の光路上であって平行光束となる専用空間に配置され、そのターレット107上に設けられた、中間変倍レンズ104,105,106や開口部107aが、ターレット107の回転により選択的に光路P16上に配置される。選択された中間変倍レンズ104は、リレーレンズ100からの光束を所定の倍率で変倍し、結像レンズ101に入射させる。本発明は、例えば、顕微鏡システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡の結像光学系内に配置される中間変倍装置は、顕微鏡本体と鏡筒との間に配置できるように中間鏡筒のような構造となっている。つまり中間鏡筒のような構造ということは、その装置と顕微鏡本体及び鏡筒と接続できるように、丸アリなどのインターフェースを備えており、その挿脱も自由である。
【0003】
例えば、特許文献1には、結像光学系としてズーム光学系のような変倍可能なものを有する中間鏡筒ユニットを、鏡体と鏡筒との間に着脱可能に装着する技術が開示されている。
【特許文献1】特許2002−303795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1を含む従来の顕微鏡の構造では、中間変倍装置を顕微鏡本体と鏡筒との間に挿入すると、当然のことながら、鏡筒が中間変倍装置の厚みの分だけ上方に配置されることになるので、アイポイントが高くなり観察に支障をきたしていた。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、中間変倍装置を着脱可能に装着する顕微鏡の操作性、作業性の向上を図ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の顕微鏡は、対物レンズと、結像光学系と、前記結像光学系で得られた観察対象物の観察像を観察する接眼光学系と、前記結像光学系を収納する本体部とを有する顕微鏡において、前記本体部には、中間変倍装置を着脱可能に装着する装着手段を備え、前記結像光学系における結像位置は、前記中間変倍装置の前記装着手段への装着の有無に関係なく同じ位置となることを特徴とする。
【0007】
前記観察像を撮像するための撮像手段と、前記結像光学系を経た結像光を、前記接眼光学系と、前記撮像手段に結像光を導くための撮像光学系とに分岐する光路分岐手段とを備え、前記装着手段に装着される前記中間変倍装置は、前記光路分岐手段の結像光の入射側の光路上に配置されることを特徴とする。
【0008】
前記装着手段に装着された前記中間変倍装置の変倍に関する情報を、前記顕微鏡の制御部に出力するコネクタ部をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
前記装着手段に装着された前記中間変倍装置は、各々異なる倍率を有する変倍レンズを装着可能な回転ターレットを備えることを特徴とする。
【0010】
前記装着手段に装着された前記中間変倍装置は、ズーム方式により変倍するズーム光学系を備えることを特徴とする。
【0011】
前記顕微鏡は、倒立型顕微鏡であることを特徴とする。
【0012】
前記本体部には、正面側からみて、一方の側面側に前記観察対象が載置されたステージが固定されるとともに、他方の側面側に、前記接眼光学系を正面側に向けて保持している鏡筒が固定され、前記ステージの下方に、前記対物レンズを装着しているレボルバを収容する収容領域が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の顕微鏡においては、本体部には、中間変倍装置が着脱可能に装着され、中間変倍装置の装着の有無に関係なく、結像光学系における結像位置が同じ位置に導かれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、観察者の操作性、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1乃至図4は、本発明を適用した顕微鏡の一実施の形態の構成を示している。
【0017】
図1は、本実施の形態の顕微鏡11の正面図、図2は同上面図、図3は図1を右方向から見たときの側面図、図4は図1を左方向から見た側面図となる。また、図中点線で描画された部材は、本体部21内に配置された各部材であり、その部材の概略の配置位置を示している。
【0018】
顕微鏡11の本体部21の右上方には、レボルバ25が回転自在に配置されている。このレボルバ25には、いくつかの対物レンズが着脱自在とされており、ユーザ、すなわち観察者は必要に応じてレボルバ25を回転し、装着された対物レンズのうち、所望の1つの対物レンズを予め定められた所定の位置に配置することで、使用する対物レンズを選択することができる。図1及び図3には、対物レンズ23が1個だけ装着されている状態が示されている。
【0019】
レボルバ25の上方であって、本体部21に対して水平に、観察対象が載置されるステージ15が配設されている。ステージ15は、本体部21の右側に設けられた取り付け座面91によって固定される。
【0020】
本体部21の右側面には焦準ハンドル41が、左側面には焦準ハンドル42が、それぞれ回転自在に回転軸(不図示)に取り付けられている。焦準ハンドル42には、粗動用ノブと微動用ノブとが同軸で取り付けられている。観察者は、焦準ハンドル42の粗動用ノブを回転調整することで、対物レンズ23が装着されたレボルバ25を観察対象に対して粗動で近づけたり、遠ざけたりするので、対物レンズ23によるフォーカス状態を粗調整することができる。観察者は、焦準ハンドル41又は焦準ハンドル42の微動用ノブを回転調整することで、レボルバ25を観察対象に対して微動で近づけたり、遠ざけたりするので、フォーカスを微調整することができる。
【0021】
本体部21の左手前上方には、鏡筒29が配置されている。鏡筒29には、接眼レンズ27が装着されている。観察者は、接眼レンズ27を介して観察対象の像(観察像)を観察することができる。
【0022】
撮像装置16は、鏡筒29の上端に設けられているカメラポート18に装着可能とされており、鏡筒29で結像される観察像を撮像する。
【0023】
ディスプレイ部17は、信号ケーブル19を介して撮像装置16に接続されており、顕微鏡11のステージ15の後方に配設されるとともに、顕微鏡11の正面からみて、鏡筒29におけるアイポイントと同程度の高さに配設される。また、ディスプレイ部17は、アーム部20により、本体部21に固定されている。ディスプレイ部17は、信号ケーブル19を介して撮像装置16から伝送される観察像や、図示しないケーブルにより顕微鏡11から出力される顕微鏡の設定条件や観察条件等の各種の情報を表示したり、観察者が撮像装置16を操作するためのGUIを表示したりする。例えば、ディスプレイ部17は、タッチパネルとしての機能を有しており、観察者がディスプレイ部17に表示されるGUIをタッチすると、信号ケーブル19を介して、観察者の操作に応じた操作信号を撮像装置16に送信する。そうすると、撮像装置16では、その操作信号に応じて設定される撮像条件での観察像が撮像される。
【0024】
以上より、本実施の形態は、観察対象を拡大して観察する倒立型の顕微鏡11、観察像を撮像する撮像装置16、及び、撮像装置16により撮像された観察像を表示するディスプレイ部17から構成される顕微鏡システムであると捉えることもできる。
【0025】
また本体部21の左手前中程には、図1に示されるように、中間変倍装置31の形状に対応した専用空間である装着部21aが設けられており、この装着部21aに中間変倍装置(変倍ユニット)31が着脱自在に取り付けられる。この中間変倍装置31には、複数の変倍レンズが図示しないターレット上に配置され、観察者が希望する倍率を光路上に配置できるようになっている。例えば、円形のターレット(後述する図5のターレット107)の一部を、本体部21の外側に突出させることで、その突出部を観察者が動かすことが可能となる。そのようにすると、観察者の操作による突出部の移動量に応じてターレットそのものが回転するので、複数の変倍レンズのうちの所望のレンズを光路上に配置することができる。また、この突出部は、焦準ハンドル42の上方に位置し、観察者にとっては把握しやすい場所に配置されているため、観察者は、接眼レンズ27を覗き込みながら、左手で焦準ハンドル42でフォーカス状態を調整しつつ、さらに、突出部を動かして中間変倍装置31の倍率を変えるといったことも可能となる。
【0026】
このように、中間変倍装置31を装着部21aに装着することで、対物レンズを換えることなく、変倍することが可能となり、選択できる倍率の種類が増える。具体的には、ターレットを回転させることで、1x,1.25x,1.5x,2xなどの中間倍率が選択できるようになっている。
【0027】
さらに、中間変倍装置31には、現在選択されている倍率が何倍であるかを顕微鏡側に出力するためのコネクタ31aが設けられている。このコネクタ31aが本体部21内に設けられた対になるコネクタ21bと接続されることで、顕微鏡11の制御基板(制御部)に対して、中間変倍装置31による変倍に関する情報(例えば、中間変倍の倍率情報)を出力することが可能となる。従来、中間鏡筒ユニットが顕微鏡本体に設置されるとき、制御装置であるパーソナルコンピュータ又はコントローラとの接続は、外部に露出した配線により接続されていたが、このような構成では配線がノイズ源となっていた。しかし、本願のように、外部露出した配線ではなく、顕微鏡本体内に設けられた21b、コネクタ31aで中間変倍装置31が接続されるので、ノイズ発生の問題はない。そして、例えば、この中間変倍の倍率情報を、図示せぬケーブルにてディスプレイ部17に出力することで、選択されている中間倍率を特定できる情報が、ディスプレイ部17に表示されることになる。これにより、観察者は現在の中間変倍の倍率情報を知ることが可能となる。
【0028】
なお、例えば、この中間変倍の倍率情報を、撮像装置16により撮像された観察像とともにディスプレイ部17に表示させることで、観察者は、現在観察している観察像がどれくらいの中間変倍により拡大されているかを瞬時に知ることができる。また、レボルバ25の装着部のそれぞれに装着されている対物レンズの種類(倍率など)を顕微鏡11の制御基板側で認識できるのであれば、その対物レンズの種類の情報をディスプレイ部17に表示させてもよい。また、後述するランプハウス43が有するランプに供給される電圧(照明の強度)などもディスプレイ部17に表示させることができる。このような情報をディスプレイ部17に表示させることで、観察者は、モニタ観察において、ディスプレイ部17をみるだけで、中間変倍などの観察条件を容易に把握することができる。
【0029】
ここで、中間変倍装置31は、図1に示されるように、装着部21aによって、本体部21内の専用空間に配置されるように構成されている。中間変倍装置31を使用しない場合には、その空間には何も配置されず、本体部21の外面には蓋がされる。この場合、顕微鏡11では、中間変倍されていない観察像が、観察されることになる。すなわち、上述したように、従来の中間変倍装置は、物理的に顕微鏡本体と鏡筒との間に挿入するものであったから、鏡筒の位置が高くなってしまうという問題を抱えていたが、図1乃至図4に示すような構成にすることで本体部21内の専用空間に配置されるので、鏡筒位置が高くなるといった不具合は起こらなくなる。
【0030】
本体部21の背面の左後方には、すなわち、鏡筒29の反対側には、落射照明用のランプハウス43が配置されている。図2に示されるように、ランプハウス43内には、例えば、照明用の光源としてのフィラメント47と、コレクタレンズ57が収容されている。
【0031】
図5は、顕微鏡11の本体部21の内部の光学系の構成について示している。
【0032】
図5に示されるように、この光学系には、ランプハウス43内のフィラメント47による照明光を、観察対象210に導光する照明光学系201が設けられている。また、この光学系には、照明光により照明された観察対象210の像面を、検鏡側、すなわち、接眼レンズ27(図1等)に導光する結像光学系202が設けられている。
【0033】
照明光学系201において、コレクタレンズ57は、フィラメント47からの発散光をほぼ平行光に変換する。リレー光学系92,93は、フィラメント47の像である光源像を開口絞り49aの位置に形成する。偏向光学素子94は、この光源像とリレー光学系93との間に配置され、フィラメント47からほぼ水平に観察者の方向(図2における縦方向)に向かう光路P11の光束を、図5における右方向(図2における横方向)に偏向し、光路P12の光束とする。
【0034】
開口絞りユニット49(図1)の開口絞り49aは、光路P12内の、コレクタレンズ57及びリレー光学系92,93によるフィラメント47の像が形成される位置に配置される。視野絞りユニット51(図1)の視野絞り51aは、光路P12内の開口絞り49aの近傍に配置される。フィールドレンズ群95は、視野絞り51aの像を観察対象210の観察面上に投影するために、光路P12内の、その前側焦点面が視野絞り51aに重なるように配置される。
【0035】
光束分割部材としてのハーフミラー65は、光路P12の光束、すなわち、フィールドレンズ群95からの照明用の光束を、垂直上方向(図1における上方向)に偏向する。垂直上方向に偏向された光束は、対物レンズ23に向かう光路P13を伝播する。これにより、照明用の光路P13の光軸が対物レンズ23による結像用の光路P14の光軸と一致される。光路P13に偏向された光束は、対物レンズ23の瞳の位置でフィラメント47の像を結び、対物レンズ23により略平行光となって、例えば金属などよりなる観察対象210を照明する。
【0036】
結像光学系202において、観察対象210で反射された反射光としての光束は、対物レンズ23により集光され、観察対象210の各点で反射された光束がそれぞれ平行光束となって、垂直下方向を指向する対物レンズ23の直近の光路P13の光束となる。この光束は、ハーフミラー65を透過することで照明用の光束と分離される。すなわち、ハーフミラー65と対物レンズ23は、照明光学系201と結像光学系202の両方の機能を有しており、光路P13は照明光学系201と結像光学系202の共通光路となる。換言すると、対物レンズ23は、照明光学系201の一部であり、観察対象210の下側に配置されている。
【0037】
偏向光学素子97は、観察対象210を載置するステージ15(図1等)に対してほぼ垂直な光路P13及び光路P14を伝播した光束を、図1と図5における左方向(図2における横方向)に偏向する。そして、左方向に偏向された光束は、光路P15を伝播する。光路P15は、接眼レンズ27(図1等)がある接眼光学系及び撮像装置16(図1等)がある撮像光学系の配置されている方向に、光路P15中を伝播する光束が近づくように設定されている。また、光路P15内で観察対象210の中間像210Iが形成されるように第2対物レンズ96が構成されており、この光路P15中で、観察対象210と一緒に見たいスケールなどが記された焦点板103が着脱できるようにしている。すなわち、顕微鏡11は、光路P15中の観察対象210の中間像210Iが形成される位置に焦点板103を配置可能とする構成を有している。
【0038】
光路P15の光束は、リレーレンズ98を介して偏向光学素子99に入射され、偏向光学素子99により垂直上方向(図1における上方向)に偏向される。そして、このようにして偏向された光束は、光路P16を伝播する。すなわち、光路P16は、図1と図5に示されるように、光路P13及び光路P14に対してほぼ平行に、かつ顕微鏡11を正面からみて左側に形成されている。
【0039】
リレーレンズ98とリレーレンズ100は、接眼光学系及び撮像光学系へ1次像を導くために結像光をリレーする。偏向光学素子99からの光束は、光路P15内に配置されたリレーレンズ98とともに、リレー光学系を構成する光路P16内に配置されたリレーレンズ100を透過し、光路P16内の結像レンズ101に入射する。
【0040】
ここで、光路P16内のリレーレンズ100と結像レンズ101との間は、平行光束となっている。そして、着脱自在の中間変倍装置31が装着部21aに装着された場合には、図5に示されるように、この結像レンズ101の手前(図1と図5における下方向、観察光が入射する側)の光路上に配置されることになる。従って、結像光学系における結像位置は、中間変倍装置の装着手段への装着の有無に関係なく、同じ位置となる。中間変倍装置31には、中間変倍レンズ104,105,106などの異なる倍率を有する複数の変倍レンズが例えばターレット107上に配置されている。ターレット107は、中間変倍装置31の中で回転可能に構成されている。図5の例では、ターレット107上の中間変倍レンズ104が、光路P16上に配置されており、中間変倍レンズ104は、リレーレンズ100からの光束を所定の倍率で変倍する。変倍された光束は、結像レンズ101に入射される。
【0041】
ターレット107上には、中間変倍レンズ104の他に、中間変倍レンズ105,106が挿脱自在に配置され、さらに、倍率の変更を行わない開口部107aが設けられている。中間変倍装置31においては、ターレット107を回転させることで、中間変倍レンズ104,105,106,開口部107aが選択的に光路P16上に配置される。これにより、観察者は中間像210Iに任意の倍率をかけることが可能となっている。
【0042】
なお、中間変倍装置31は、平行光束となる光路P16上のリレーレンズ100と結像レンズ101との間(平行系部)に、選択された変倍レンズがくるように配置するのが好適であるが、例えば、光路P15上の、焦点板103とリレーレンズ98との間、又はリレーレンズ98と偏向光学素子99との間などに配置することも可能であり、その場合には、それらの位置に中間変倍装置31を装着可能となる専用空間と装着部を設ければよい。
【0043】
そして、結像レンズ101により射出された光束は、ハーフミラー102に入射する。ハーフミラー102に入射した光束は、その光束の一部がハーフミラー102の反射面を通過し、それ以外の光束はハーフミラー102の反射面において反射する。ハーフミラー102で反射した光束は、観察者の目222の方向(図2における縦方向)に偏向され、接眼光学系によって光路P17を伝播する。すなわち、光路P17は、図2における横方向に形成されている光路P15に対して、ほぼ直交するように設定されている。光路P17を伝播した光束は、図示せぬ光線分割光学素子等の接眼光学系により2つの光路に分割され、接眼レンズ27(図1等)に入射される。従って、観察者はその目222により接眼レンズ27を介して観察対象210の拡大された像を観察することができる。
【0044】
一方、ハーフミラー102を通過した光束は、撮像装置16に光束を導く図示せぬ撮像光学系によって光路P18上を伝播し、撮像装置16のCCD(Charge Coupled Device)センサ111に入射し、そのCCDセンサ111の受光面で受光される。撮像装置16においては、CCDセンサ111により撮像される画像データに対し、例えばノイズ成分を除去する処理などの所定の画像処理が施される。その後、画像処理が施された画像データは、信号ケーブル19を介してディスプレイ部17に出力され、表示される。
【0045】
このように、着脱自在の中間変倍装置31は、顕微鏡11の本体部21の内部の結像レンズ101の手前の光路上であって平行光束となっている位置であり、光路分岐手段であるハーフミラー102の結像光の入射側の光路上に配置されるため、接眼光学系と撮像光学系の両方に選択された変倍レンズによって任意の倍率をかけられた中間像210Iを結像させることが可能となる。
【0046】
また、顕微鏡11では、光路P15と光路P17とが、上方から見たとき、互いにほぼ直交するように、各光路が設定されている。これにより、観察者の目に対して右側に、ディスプレイ部17、対物レンズ23、レボルバ25、観察対象210などが位置するようになる。よって倒立顕微鏡11を使用する観察者は、上体を動かしたりすることなく、各部材の操作が可能となり、また直接目視による確認が可能となる。
【0047】
なお、本実施の形態では、中間変倍装置31を、本体部21の専用空間に配置するような構成としたが、この中間変倍装置31の代わりに、ズーム変倍装置(図示せず)を用いても同様の効果が得られる。その場合、ターレットを回転させて変倍レンズを選択して倍率を変える代わりに、ズーム変倍装置に設けられたズームレンズの倍率を変えることで、中間像201Iに任意の倍率をかかることが可能となる。また、上記の中間変倍装置やズーム変倍装置以外の他の変倍装置を用いることも勿論可能である。
【0048】
なお、各種偏向光学素子は、ミラーで構成されているように図5では図示されているが、ミラーで構成する必要は特にない。例えば、偏向光学素子99は、その他、俯視プリズムやダハプリズム等で構成してもよい。
【0049】
以上のように、本発明によれば、顕微鏡に中間変倍装置を追加してもアイポイントや操作系ハンドル位置などの位置が変わらず、観察者の操作性、作業性が従来と比較して向上する。すなわち、本発明の構成を取ることで、中間変倍装置をオプションとして追加する場合であっても、鏡筒などの位置が高くならず、アイポイントの位置も変わらないし、各種操作部の位置も変わらないので、操作性に優れた顕微鏡を提供することができる。また、オプションで取り付けられる中間変倍装置と顕微鏡とがコネクタにより電気的にも接続されるので、中間変倍装置から顕微鏡に対し様々な情報を出力することが可能となる。
【0050】
また、中間変倍装置を設置する専用の空間が始めから準備され、それが本体部内に収納されているので、デザイン的にも美しく構成することができる。さらに電気的接続も本体部内に配置できるので、ケーブル類が顕微鏡の外に見えることもなく、その点からも外観を美しくできるし、さらに、外部からのノイズの影響を低減することも可能となる。
【0051】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0052】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の顕微鏡の一実施の形態の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の顕微鏡の一実施の形態の構成を示す上面図である。
【図3】本発明の顕微鏡の一実施の形態の構成を示す右側面図である。
【図4】本発明の顕微鏡の一実施の形態の構成を示す左側面図である。
【図5】本発明の顕微鏡の一実施の形態の光学系の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
11 顕微鏡, 16 撮像装置, 17 ディスプレイ部, 21 本体部, 21a 装着部, 21b コネクタ, 23 対物レンズ, 27 接眼レンズ, 29 鏡筒, 31 中間変倍装置, 31a コネクタ, 100 リレーレンズ, 101 結像レンズ, 104,105,106 中間変倍レンズ, 107 ターレット, 107a 開口部, 65,102 ハーフミラー, 94,97,99 偏向光学素子, 103 焦点板, 111 CCDセンサ, 201 照明光学系, 202 結像光学系, P11乃至P18 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと、結像光学系と、前記結像光学系で得られた観察対象物の観察像を観察する接眼光学系と、前記結像光学系を収納する本体部とを有する顕微鏡において、
前記本体部には、中間変倍装置を着脱可能に装着する装着手段を備え、
前記結像光学系における結像位置は、前記中間変倍装置の前記装着手段への装着の有無に関係なく同じ位置となる
ことを特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
前記観察像を撮像するための撮像手段と、
前記結像光学系を経た結像光を、前記接眼光学系と、前記撮像手段に結像光を導くための撮像光学系とに分岐する光路分岐手段と
を備え、
前記装着手段に装着される前記中間変倍装置は、前記光路分岐手段の結像光の入射側の光路上に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記装着手段に装着された前記中間変倍装置の変倍に関する情報を、前記顕微鏡の制御部に出力するコネクタ部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記装着手段に装着された前記中間変倍装置は、各々異なる倍率を有する変倍レンズを装着可能な回転ターレットを備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記装着手段に装着された前記中間変倍装置は、ズーム方式により変倍するズーム光学系を備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記顕微鏡は、倒立型顕微鏡である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記本体部には、正面側からみて、一方の側面側に前記観察対象が載置されたステージが固定されるとともに、他方の側面側に、前記接眼光学系を正面側に向けて保持している鏡筒が固定され、前記ステージの下方に、前記対物レンズを装着しているレボルバを収容する収容領域が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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