説明

顕微鏡

【課題】装置が大型化することなく、容易な操作で箱体内を確認すること。
【解決手段】外部から遮光された遮光空間31の外部にある試料10を、取出口32を通じて遮光空間31内のステージ21に載置し、開閉扉40によって取出口32を閉成した状態で、ステージ21上の試料10を撮像する顕微鏡20において、遮光空間31内を外部から視認可能とする開口部41と、遮光位置と非遮光位置とに移動可能に構成され、遮光位置に配置された場合に開口部41を通じた遮光空間31への光の入射を阻止する一方、非遮光位置に配置された場合には開口部41を通じて遮光空間31内を外部から視認可能とする遮光扉50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光観察や微弱な照明光による微弱光観察を行う場合には、観察画像の画質(コントラスト)の低下を防止するため、観察を行う部屋を外部から遮光された暗室とすることが要求される。また、生体試料の蛍光観察を行う場合にも、該生体試料に使用する蛍光色素が退色する事態や、光毒反応が生じる事態を防止するため、観察を行う部屋を外部から遮光された暗室とすることが要求される。
【0003】
こうした要求に応じるべく、例えば、遮光部材を備えた顕微鏡が提供されている。遮光部材は、ステージと対物レンズとを囲繞する態様で配置されることにより、外部から遮光された箱体を画成するものである。遮光部材には、外部と箱体とで試料を出し入れするための取出口が形成してあるとともに、この取出口を開閉する開閉扉が設けられている。
【0004】
この種の顕微鏡では、開閉扉を閉成した状態で撮像手段によって撮像すれば、箱体への光の入射が阻止されるため、試料の観察画像の画質が低下する事態を防止することができる。したがって、観察を行う部屋を外部から遮光された箱体とする必要がなく、観察を行う部屋で他の作業が行われる場合にも、これを妨げることがない(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−207177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的な顕微鏡は、試料を載置するステージを対物レンズに対して移動可能に構成されている。そして、このような顕微鏡では、ステージを適宜水平移動しながら撮像することにより、取出口を通じて試料の位置を変更しなくとも、試料の任意の位置を撮像することが可能となる。
【0007】
しかしながら、従来の顕微鏡では、開閉扉を閉成した場合に、箱体内を確認することが困難となる。そのため、対物レンズに対する試料の位置を所望の位置に変更することが困難であった。この場合、開閉扉を開成すれば、取出口を通じて箱体内を確認することが可能となる。しかしながら、取出口は、試料の出し入れを可能とする大きさを確保する必要があり、該取出口を開閉する開閉扉の小型化に限界があった。そのため、開閉扉の開成移動の容易化を図ることが困難であった。仮に、モータなどの駆動機構を用いて開閉扉の開閉移動の容易化を図るとしても、開閉扉の開閉に相応な能力を有した大型な駆動機構が必要となる虞がある。したがって、装置が大型化する虞があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置が大型化することなく、容易な操作で箱体内を確認することのできる顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる顕微鏡は、外部から遮光された箱体の外部にある試料を、取出口を通じて前記箱体内のステージに載置し、開閉扉によって前記取出口を閉成した状態で、前記ステージ上の試料を撮像する顕微鏡において、前記箱体内を外部から視認可能とする透過部と、遮光位置と非遮光位置とに移動可能に構成され、遮光位置に配置された場合に前記透過部を通じた前記箱体への光の入射を阻止する一方、非遮光位置に配置された場合には前記透過部を通じて前記箱体内を外部から視認可能とする遮光体とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2にかかる顕微鏡は、上述した請求項1において、前記透過部は、光を透過させる透過部材によって閉塞したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3にかかる顕微鏡は、上述した請求項1において、前記透過部は、第1の振動方向の光のみを透過させる偏光板によって閉塞し、前記遮光体は、遮光位置に配置された場合に前記偏光板に重ね合わせる態様で配置され、少なくとも前記箱体に前記第1の振動方向の光が入射することを阻止することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4にかかる顕微鏡は、外部から遮光された箱体内のステージに試料を載置してこれを撮像する顕微鏡において、第1の振動方向の光のみを透過させて前記箱体内を外部から視認可能とする偏光部と、前記偏光部に重ね合わせる態様で配設されるとともに、電圧の印加によって遮光状態と非遮光状態に切り替え可能に構成され、遮光状態にある場合に少なくとも前記箱体に前記第1の振動方向の光が入射することを阻止する一方、非遮光状態にある場合には少なくとも前記第1の振動方向の光を透過させる遮光体とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5にかかる顕微鏡は、上述した請求項1または4において、所定の撮像信号を受信し、かつ前記箱体内が外部から視認可能である場合には、前記遮光体を動作させ、前記箱体への光の入射を阻止した後に、前記ステージ上の試料を撮像する撮像手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、箱体内を外部から視認可能とする透過部と、遮光位置と非遮光位置とに移動可能に構成され、遮光位置に配置された場合に透過部を通じた箱体への光の入射を阻止する一方、非遮光位置に配置された場合には透過部を通じて箱体内を外部から視認可能とする遮光体とを備えている。そのため、遮光体を遮光位置に配置すれば、透過部を通じた箱体への光の入射を阻止することができる。一方、遮光位置にある遮光体を非遮光位置に配置すれば、透過部を通じて箱体内を外部から確認することができる。しかも、透過部は、取出口とは別個に形成したものであるため、箱体内を確認する際に、従来のように開閉扉を開成移動する必要がない。また、透過部は、取出口のように試料の出し入れを可能とする大きさを確保する必要がなく、可及的に小さくすることが可能となり、該透過部を遮光する遮光体も相応に小さくすることが可能となる。そのため、遮光体を非遮光位置に移動することの容易化を図ることができる。仮に、モータなどの駆動機構を用いて遮光体を非遮光位置に移動することの容易化を図るとしても、開閉扉を開閉する場合と比較して、小型な駆動機構を適用することが可能となる。したがって、装置が大型化することなく、容易な操作で箱体内を確認することができる。
【0015】
また、本発明によれば、第1の振動方向の光のみを透過させて箱体内を外部から視認可能とする偏光部と、偏光部に重ね合わせる態様で配設されるとともに、電圧の印加によって遮光状態と非遮光状態に切り替え可能に構成され、遮光状態にある場合に少なくとも箱体に第1の振動方向の光が入射することを阻止する一方、非遮光状態にある場合には少なくとも第1の振動方向の光を透過させる遮光体とを備えている。そのため、遮光体が遮光状態にあれば、偏光部および遮光体を通じた箱体への光の入射を阻止することができる。一方、遮光状態にある遮光体を非遮光状態に切り替えれば、偏光部および遮光体を通じて箱体内を外部から確認することができる。しかも、遮光体は、電圧の印加のみによって遮光状態から非遮光状態に切り替えることができるため、箱体内を確認する際に、従来のように開閉扉を開成移動する必要がない。また、遮光体は、例えば、可及的に大きく構成したとしても、移動することなく遮光状態から非遮光状態に切り替えることができる。したがって、容易な操作で箱体内を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる顕微鏡の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である顕微鏡を示す断面側面図である。ここで例示する顕微鏡20は、例えば、試料10を撮像して蛍光観察を行う場合に用いられるもので、図1に示すように、ステージ21、対物レンズ22、ダイクロイックミラー23、光源24および画像生成手段25を備えている。
【0018】
ステージ21は、試料10を載置するためのもので、平板状に構成してある。対物レンズ22は、試料10から発せられる蛍光を集光するためのもので、先端部22aを鉛直下方に向けた姿勢でステージ21よりも上方に配置してある。ダイクロイックミラー23は、所定の波長範囲にある光を反射する一方、該波長範囲外にある光を透過させるもので、対物レンズ22の光軸上において該対物レンズ22よりも上方に配設してある。光源24は、電源が供給された場合に、試料10を励起させるための光を照射するもので、対物レンズ22の光軸上においてダイクロイックミラー23よりも上方に配設してある。画像生成手段(撮像手段)25は、ダイクロイックミラー23により反射される光から、画像データを生成してこれを後述する制御手段(撮像手段)60に出力するもので、筐体25a内部への光の入射を制御するシャッター25bを有している。
【0019】
シャッター25bは、閉成した場合に箱状の筐体25aに設けられた透光窓(図示せず)を覆って、筐体25a内部への光の入射を阻止する一方、開成した場合にのみ該透光部(図示せず)を開放して、筐体25a内部への光の入射を許容するものである。また、筐体25aの内部には、図には明示していないが、シャッター25bが開成した場合に入射した光を電気信号に変換する光電変換素子と、この光電変換素子が変換した電気信号から画像データを生成してこれを後述する制御手段60に出力する画像処理部とを有している。
【0020】
また、顕微鏡20は、図1に示すように、外部から遮光された遮光空間(箱体)31を画成する遮光部材30を備えている。遮光部材30は、遮光性を有する板状部材を適宜組み合わせることによって、上述したステージ21、対物レンズ22、ダイクロイックミラー23、光源24および画像生成手段25を全て囲繞する箱状に構成してある。図には明示していないが、ステージ21は、遮光空間31の外部に設けたXYハンドル(図示せず)を操作することにより、遮光部材30に対して水平移動可能に構成してある。また、図には明示していないが、対物レンズ22も、遮光空間31の外部に設けたZハンドル(図示せず)を操作することにより、遮光部材30に対して上下動可能に構成してある。
【0021】
遮光部材30には、一側面に取出口32が形成してある。取出口32は、外部と遮光空間31とで試料10を出し入れするための開口である。この取出口32は、例えば、シャーレなどの試料10を収容するための部材が、通過可能とする十分な大きさを有して形成してある。
【0022】
また、遮光部材30には、図1および図2に示すように、取出口32を開閉する開閉扉40が設けてある。開閉扉40は、遮光性を有した板状部材であり、遮光部材30に対して上下方向にスライド移動可能となるように、該遮光部材30に保持させてある。
【0023】
また、開閉扉40には、その下方となる部位に開口部(透過部)41が形成してある。開口部41は、開閉扉40が閉成している状態において、遮光空間31内を外部から視認可能とするための開口である。この開口部41は、ステージ21と対物レンズ22とを視認可能とするだけの大きさを有して形成してある。
【0024】
さらに、開閉扉40には、図1および図2に示すように、開口部41を開閉する遮光扉(遮光体)50が設けてある。遮光扉50は、遮光空間31の外部において開閉扉40に平行配置してある。この遮光扉50は、遮光性を有する板状部材であり、駆動ローラ51を介在させた状態で開閉扉40に保持させることにより、該開閉扉40に対して上下方向にスライド移動可能に構成してある。駆動ローラ51は、電動モータ52の駆動によって適宜回転駆動して、遮光扉50を図2(c)に示す遮光位置と、図2(a)および図2(b)に示す非遮光位置とにスライド移動させるものである。遮光扉50は、開閉扉40が閉成している状態において、図2(c)に示す遮光位置に配置した場合に開口部41を覆って、遮光部材30および開閉扉40とともに、遮光空間31への光の入射を阻止する。一方、遮光扉50は、開閉扉40が閉成している状態において、図2(a)に示す非遮光位置に配置した場合には開口部41を開放して、該開口部41を通じてステージ21と対物レンズ22とを外部から視認可能とする。
【0025】
さらに、遮光部材30には、遮光扉50の移動域となる位置に開閉センサ53が設けてある。開閉センサ53は、遮光扉50の接触状態に応じて、該遮光扉50が遮光位置にあるか否かを検出し、この検出結果を後述する制御手段60に出力するものである。
【0026】
さらに、顕微鏡20は、図1に示すように、制御手段(撮像手段)60を備えている。制御手段60は、開閉センサ53の出力結果、および入力手段71から送信される撮像信号に基づいて、画像生成手段25、遮光扉50、および出力手段72の動作を制御するものである。入力手段71は、遮光空間31の外部において、顕微鏡20を操作するために必要な操作を行うためのもので、所定の操作がなされた場合にこれを撮像信号として制御手段60に送信するものである。この入力手段71は、例えば、キーボードやマウスで構成してある。出力手段72は、遮光空間31の外部において、顕微鏡20を操作するために必要な情報や、画像生成手段25から出力される画像データを基に生成した観察画像を表示するためのものである。この出力手段72は、例えば、液晶ディスプレイで構成してある。
【0027】
また、制御手段60は、図1に示すように、モータ制御部62、シャッター制御部63、位置判定部64および画像格納部65を有している。モータ制御部62は、電動モータ52の動作を制御するためのものである。シャッター制御部63は、画像生成手段25のシャッター25bの動作を制御するためのものである。位置判定部64は、所定の撮像信号を受信した場合に、開閉センサ53の出力結果に基づいて、遮光扉50が遮光位置にあるか否かを判定するためのものである。画像格納部65は、画像生成手段25における図示せぬ画像生成部から出力される画像データをメモリ61に格納し、かつ該画像データを基に観察画像を生成してこれを出力手段72に表示するためのものである。
【0028】
以下、上述した顕微鏡20を用いて、試料10の蛍光観察を行う場合を説明する。なお、この説明では、初期状態として、光源24が点灯しており、かつ遮光扉50が非遮光位置にあるものとして説明している。まず、図2(b)に示すように、開閉扉40を開成して、遮光空間31の外部にある試料10を、取出口32を通じてステージ21上に載置した後に、開閉扉40を閉成する。
【0029】
次に、XYハンドル(図示せず)を操作することにより、遮光部材30に対してステージ21を水平移動して、試料10の任意の位置を対物レンズ22の光軸上となる位置に配置する。その後、Zハンドル(図示せず)を操作することにより、遮光部材30に対物レンズ22を上下移動して、試料10に焦点を合わせる。XYハンドル(図示せず)、およびZハンドル(図示せず)を操作している間、図2(a)に示すように、開口部41を通じてステージ21と対物レンズ22とが外部から視認可能である。したがって、試料10と対物レンズ22との位置関係を適宜確認することができる。
【0030】
この状態においては、光源24からの射出光がダイクロイックミラー23を透過し、その後、対物レンズ22により集光されながら試料10に照射されることになる。光源24からの射出光が照射された試料10は、励起され、蛍光を発することになる。試料10から発せられた蛍光は、対物レンズ22により集光された後にダイクロイックミラー23に反射されて、画像生成手段25に導かれることになる。この場合においても、図2(a)に示すように、開口部41を通じて遮光空間31内が外部から視認可能であり、試料10が発する蛍光を観察することができる。
【0031】
ここで、こうした状況下でステージ21上の試料10を撮像する場合には、観察画像の画質(コントラスト)の低下を防止するため、観察を行う空間を外部から遮光された状態とすることが要求される。そこで、上記顕微鏡20においては、該顕微鏡20の操作者によって、入力手段71を介して所定の情報が入力されると、制御手段60は、図示しない撮像処理メニューを出力手段72に表示させ、撮像処理を実施することになる。図3は、図1に示した制御手段が実施する撮像処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図3を参照しながら、撮像処理について説明する。なお、この説明では、初期状態として、画像生成手段25のシャッター25bが閉成しているものとして説明している。
【0032】
まず、図3に示す撮像処理において、制御手段60は、撮像信号を受信したか否かを判断する(ステップS101)。撮像信号を受信していない場合(ステップS101:No)、制御手段60は、撮像信号の受信待機状態を継続する。撮像信号とは、図示しない撮像処理メニューが表示された出力手段72の画面上で、顕微鏡20の操作者が入力手段71を介して所定の操作を行った場合に受信する電気信号である。
【0033】
一方、撮像信号を受信した場合(ステップS101:Yes)、制御手段60は、位置判定部64を通じて遮光扉50が遮光位置にあるか否かを判断する(ステップS102)。遮光扉50が遮光位置にない場合(ステップS102:No)、制御手段60は、モータ制御部62を通じて電動モータ52を駆動して、遮光扉50の遮光位置への移動を開始させ(ステップS103)、再び手順をステップS102に戻す。すなわち、遮光扉50が遮光位置に配置されるまでステップS104以降の処理が保留されることになる。
【0034】
一方、遮光扉50が遮光位置にある場合(ステップS102:Yes)、制御手段60は、シャッター制御部63を通じて画像生成手段25のシャッター25bを開成させ(ステップS104)、これと同時に時間計測を開始する(ステップS105)。そして、制御手段60は、予め決められた露光時間が経過したか否かを判断し(ステップS106)、経過した場合(ステップS106:Yes)、シャッター制御部63を通じて画像生成手段25のシャッター25bを閉成させる(ステップS107)。ここで、露光時間は、例えば、予め設定しておいた時間をメモリ61より取得し、これを使用する。
【0035】
ここで、ステップS104で開成させた画像生成手段25のシャッター25bから筐体25aの内部に入射した光が、図示せぬ光電変換素子により電気信号に変換され、この光電変換素子が変換した電気信号から図示せぬ画像処理部により画像データが生成されることになる。そして、生成された画像データは、図示せぬ画像処理部により制御手段60に出力されることになる。
【0036】
その後、制御手段60は、画像格納部65を通じて画像生成手段25から出力された画像データをメモリ61に格納する(ステップS108)。さらに、制御手段60は、画像格納部65を通じて画像データを基に観察画像を生成し、これを出力手段72に表示する(ステップS109)。そして、制御手段60は、モータ制御部62を通じて電動モータ52を駆動して、遮光扉50の非遮光位置への移動を開始させる(ステップS110)。その後、制御手段60は、作業を継続するか否かの表示を出力手段72にて行い(ステップS111)、継続指示が入力された場合(ステップS111:Yes)、再び手順をステップS101に戻す。一方、終了指示が入力された場合(ステップS111:No)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。
【0037】
上述した撮像処理において制御手段60は、所定の撮像信号を受信し、かつ遮光扉50が非遮光位置にある場合、遮光扉50を移動させ、遮光扉50を遮光位置に配置した後に、画像生成手段25のシャッター25bの開成動作が実施されることになる。すなわち、遮光空間31内が外部から視認可能である場合には、遮光空間31への光の入射を阻止した後に、遮光扉50を移動させ、画像生成手段25のシャッター25bの開成動作が実施されることになる。そのため、このような顕微鏡20によれば、画像生成手段25のシャッター25bを開成する場合に、図2(c)に示すように、遮光部材30、開閉扉40および遮光扉50によって、遮光空間31への光の入射が確実に阻止されることになる。したがって、観察画像の画質が低下する事態を確実に防止することができる。
【0038】
また、上述した撮像処理では、ステップS107で画像生成手段25のシャッター25bを閉成した後に、遮光扉50が非遮光位置に移動されることになる。そのため、対物レンズ22に対する試料10の位置を他の位置に変更して撮像を継続する場合に、ステップS101において開口部41を通じてステージ21と対物レンズ22とが外部から視認可能である。これにより、試料10と対物レンズ22との位置関係を適宜確認することができ、上述したようにステージ21を移動すれば、対物レンズ22に対する試料10の位置を所望の位置に変更することができる。したがって、このような撮像処理によれば、試料10を適宜水平移動しながら継続して撮像する場合に、試料10と対物レンズ22との位置関係を確認する都度遮光扉50を開成移動しなくとも、試料10と対物レンズ22との位置関係を確認することができる。
【0039】
上記のように構成した顕微鏡20によれば、開口部41は、取出口32とは別個に形成したものであるため、遮光空間31内を確認する際に、従来のように開閉扉を開成移動する必要がない。また、開口部41は、取出口32のように試料10の出し入れを可能とする大きさを確保する必要がなく、可及的に小さくすることが可能となり、該開口部41を遮光する遮光扉50も相応に小さくすることが可能となる。特に、本実施の形態1では、開口部41は、試料10と対物レンズ22との位置関係を確認することができれば良く、少なくとも試料10と対物レンズ22の先端部22aとを外部から視認可能とする大きさだけを確保すれば良い。そのため、遮光扉50を非遮光位置に移動することの容易化を図ることができる。また、本実施の形態1のように、電動モータ52の駆動によって駆動ローラ51を回転駆動させるようにして遮光扉50の移動操作の容易化を図った場合にも、開閉扉40を開閉する場合と比較して、小型な電動モータを適用することが可能となる。したがって、装置が大型化することなく、容易な操作で遮光空間31内を確認することができる。
【0040】
なお、上述した実施の形態1では、ステップS107で画像生成手段25のシャッター25bを閉成した後に、ステップS110で遮光扉50を非遮光位置に移動するように制御手段60を構成しているが、ステップS110を実施せず、ステップS109からステップS111に手順を進めるように制御手段60を構成しても良い。
【0041】
なお、上述した実施の形態1では、開口部41は、開閉扉40に開口した孔であるが、この開口部41に部材を配設しても良い。
【0042】
例えば、図4の変形例1に示すように、光を透過する透過部材142を、開口部41を閉塞する態様で配設しても同様の作用効果を奏することができる。しかも、この図4に示す変形例1では、開口部41が常時閉塞されることになるため、該開口部41を通じて遮光空間31内に塵埃などの異物が侵入する事態を防止することができる。この透過部材142は、例えば、透明なガラス板で構成してある。
【0043】
さらに、上述した実施の形態1では、単一の遮光性を有する部材により開口部41を通じた遮光空間31への光の入射を阻止しているが、複数の部材を用いて開口部41を通じた遮光空間31への光の入射を阻止することも可能である。
【0044】
図5は、本発明の実施の形態1である顕微鏡の変形例2を示す断面側面図である。この変形例2における顕微鏡は、上述した実施の形態1に対して、開閉扉40の開口部41に偏光板を備える点、および遮光扉の構成のみが異なっている。なお、変形例2において実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
【0045】
開口部41に備えた偏光板242は、図5に示すように、該開口部41を閉塞する態様で配設してある。この偏光板242は、偏光特性を有する板状部材であり、上下方向を振動方向とする光のみを透過させるものである。変形例2の遮光扉(遮光体)250は、偏光特性を有する板状部材であり、図5において紙面と直交する方向を振動方向とする光のみを透過させるものである。
【0046】
また、この遮光扉250は、開閉扉40が閉成している状態において、遮光位置に配置した場合に開口部41を覆うことになる。この状態においては、偏光板242と遮光扉250とが、それぞれの透過させる光の振動方向が直交する、いわゆるクロスニコル状態となり、偏光板242および遮光扉250を通じた遮光空間31への光の入射が阻止される。一方、この遮光扉50は、開閉扉40が閉成している状態において、非遮光位置に配置した場合には開口部41を開放して、偏光板242を通じてステージ21と対物レンズ22とを外部から視認可能とする。
【0047】
この変形例2においても、開閉扉40が閉成している状態において、遮光扉250が非遮光位置にあれば、開口部41の偏光板242を通じてステージ21と対物レンズ22とが外部から視認可能である。したがって、試料10と対物レンズ22との位置関係を適宜確認することができる。一方、開閉扉40が閉成している状態において、遮光扉250が遮光位置にあれば、遮光部材30、開閉扉40、偏光板242および遮光扉250によって、遮光空間31への光の入射が阻止されることになる。したがって、ステージ21上の試料10を撮像した場合にも、観察画像の画質が低下する事態を防止することができる。
【0048】
また、この変形例2においても、開口部41は、取出口32とは別個に形成したものであるのは実施の形態1と同じである。そのため、遮光空間31内を確認する際に、従来のように開閉扉を開成移動する必要がない。また、開口部41は、取出口32のように試料10の出し入れを可能とする大きさを確保する必要がなく、可及的に小さくすることが可能となり、該開口部41を遮光する遮光扉250も相応に小さくすることが可能となる。特に、この変形例2においても、実施の形態1と同様に、開口部41は、試料10と対物レンズ22との位置関係を確認することができれば良く、少なくとも試料10と対物レンズ22の先端部22aとを外部から視認可能とする大きさだけを確保すれば良い。そのため、遮光体250を非遮光位置に移動することの容易化を図ることができる。また、この変形例2のように、電動モータ52の駆動によって駆動ローラ51を回転駆動させるようにして遮光扉250の移動操作の容易化を図った場合にも、開閉扉40を開閉する場合と比較して、小型な電動モータを適用することが可能となる。したがって、装置が大型化することなく、容易な操作で遮光空間31内を確認することができる。
【0049】
さらに、この変形例2においては、開口部41が偏光板242によって常時閉塞されることになるため、該開口部41を通じて遮光空間31内に塵埃などの異物が侵入する事態を防止することができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態1およびその変形例では、制御手段60が実施する撮像処理において撮像信号を受信した場合に、モータ制御部62を通じて電動モータ52を駆動させて遮光扉50,250を遮光位置と非遮光位置とに移動しているが、これ以外の場合にも、遮光空間31の外部から操作可能であって、操作することにより電動モータ52を個別に駆動可能な操作ボタンを備えても良い。
【0051】
また、上述した実施の形態1およびその変形例では、遮光扉50,250の接触状態に応じて、遮光扉50,250が遮光位置にあるか否かを検出する開閉センサ53を例示しているが、必ずしも遮光扉50,250に接触しなくとも、該遮光扉50,250が遮光位置にあるか否かを検出できる開閉センサであれば良い。例えば、開閉センサとしてフォトインタラプタを採用し、発光素子から受光素子に照射される光が、遮光扉50,250が遮光位置にある場合に遮られるように発光素子および受光素子を配置し、遮光扉50,250が遮光位置にあるか否かを検出しても良い。
【0052】
さらに、上述した実施の形態1およびその変形例では、遮光扉50,250を、開閉扉40に形成した開口部41を開閉するように構成しているが、例えば、遮光部材30に開口を形成し、この開口を開閉するように遮光扉50,250を構成しても良い。この場合、開閉扉40に開口部41を形成する必要はない。
【0053】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2である顕微鏡を示す断面側面図である。この実施の形態2における顕微鏡は、上述した実施の形態1に対して、遮光扉を備えない点、開閉センサに替わり光センサを備える点、開閉扉40の開口部41に偏光板および遮光体が配設してある点、および制御手段が実施する撮像処理の内容が異なっている。以下、この差異について詳細に説明する。なお、実施の形態2において実施の形態1と同様の構成に関しては、同一の符号を付してそれぞれの説明を省略する。
【0054】
開口部41に配設した偏光板(偏光部)342は、図6に示すように、該開口部41を閉塞する態様で配設してある。偏光板242は、偏光特性を有する板状部材であり、上下方向を振動方向とする光のみを透過させるものである。
【0055】
開口部41に配設した遮光体350は、図6および図7に示すように、遮光空間31の外部において偏光板342に重ね合わせる態様で平行配置されるものである。図には明示していないが、遮光体350は、例えば、互いに対向する一対のガラス基板の相互間に液晶を介在させた状態で、該一対のガラス基板の周縁同士を接合してシールした板状部材である。この遮光体350は、電圧印加回路351によってガラス基板(図示せず)に電圧を印加することにより、液晶(図示せず)の分子配列を適宜変化させて、偏光特性を切り替え可能に構成してある。具体的には、電圧が印加された場合に、図7において左右方向を振動方向とする光のみを透過させる遮光状態となる一方、電圧が印加されていない場合には、上下方向を振動方向とする光のみを透過させる非遮光状態となるように構成してある。電圧印加回路351は、遮光体350におけるガラス基板と電源351aとを接続して構成した電気回路であり、この回路中に設けた回路スイッチ352の切り替え動作によって、ガラス基板(図示せず)への電圧の印加有無を切り替えるものである。
【0056】
また、この遮光体350は、電圧印加回路351によって図7(c)に示す遮光状態とした場合に、図7において左右方向を振動方向とする光のみを透過させる。この遮光状態においては、偏光板342と遮光体350とが、それぞれの透過させる光の振動方向が直交する、いわゆるクロスニコル状態となり、偏光板342および遮光体350を通じた遮光空間31への光の入射が阻止される。一方、この遮光体350は、図7(a)非遮光状態とした場合には、振動方向を上下方向とする光のみを透過させる。この非遮光状態においては、偏光板342と遮光体350とが、それぞれの透過させる光の振動方向が一致することになり、偏光板342および遮光体350を通じてステージ21と対物レンズ22とが外部から視認可能となる。
【0057】
また、遮光部材30には、光を検出する光センサ353が設けてある。光センサ353は、偏光板342および遮光体350を通じて遮光空間31内に入射する光の入射状態に応じて、遮光体350が非遮光状態にあるか否かを検出し、この検出結果を後述する制御手段360に出力するものである。
【0058】
また、顕微鏡320は、図6に示すように、制御手段(撮像手段)360を備えている。制御手段360は、光センサ353の出力結果、および入力手段71から送信される撮像信号に基づいて、画像生成手段25、遮光体350、および出力手段72の動作を制御するものである。入力手段71は、遮光空間31の外部において、顕微鏡320を操作するために必要な操作を行うためのもので、所定の操作がなされた場合にこれを撮像信号として制御手段360に送信するものである。この入力手段71は、例えば、キーボードやマウスで構成してある。出力手段72は、遮光空間31の外部において、顕微鏡320を操作するために必要な情報や、画像生成手段25から出力される画像データを基に生成した観察画像を表示するためのものである。この出力手段72は、例えば、液晶ディスプレイで構成してある。
【0059】
また、制御手段360は、図6に示すように、スイッチ制御部362、シャッター制御部363、状態判定部364および画像格納部365を有している。スイッチ制御部362は、回路スイッチ352の動作を制御するためのものである。シャッター制御部363は、画像生成手段25のシャッター25bの動作を制御するためのものである。状態判定部364は、所定の撮像信号を受信した場合に、光センサ353の出力結果に基づいて、遮光体350が非遮光状態にあるか否かを判定するためのものである。画像格納部65は、画像生成手段25における図示せぬ画像生成部から出力される画像データをメモリ61に格納し、かつ該画像データを基に観察画像を生成してこれを出力手段72に表示するためのものである。
【0060】
以下、上述した顕微鏡320を用いて、試料10の蛍光観察を行う場合を説明する。なお、この説明では、初期状態として、光源24が点灯しており、かつ遮光体350が非遮光状態にあるものとして説明している。まず、図7(b)に示すように、開閉扉40を開成して、遮光空間31の外部にある試料10を、取出口32を通じてステージ21上に載置した後に、開閉扉40を閉成する。
【0061】
次に、XYハンドル(図示せず)を操作することにより、遮光部材30に対してステージ21を水平移動して、試料10の任意の位置を対物レンズ22の光軸上となる位置に配置する。その後、Zハンドル(図示せず)を操作することにより、遮光部材30に対して対物レンズ22を上下移動して、試料10に焦点を合わせる。XYハンドル(図示せず)およびZハンドル(図示せず)を操作している間、図7(a)に示すように、偏光板342および遮光体350を通じてステージ21と対物レンズ22とが外部から視認可能である。したがって、試料10と対物レンズ22との位置関係を適宜確認することができる。
【0062】
この状態においては、光源24からの射出光がダイクロイックミラー23を透過し、その後、対物レンズ22により集光されながら試料10に照射されることになる。光源24からの射出光が照射された試料10は、励起され、蛍光を発することになる。試料10から発せられた蛍光は、対物レンズ22により集光された後にダイクロイックミラー23に反射されて、画像生成手段25に導かれることになる。この場合においても、図7(a)に示すように、偏光板342および遮光体350を通じて遮光空間31内が外部から視認可能であり、試料10が発する蛍光を容易に観察することができる。
【0063】
ここで、こうした状況下でステージ21上の試料10を撮像する場合には、観察画像の画質(コントラスト)の低下を防止するため、観察を行う空間を外部から遮光された状態とすることが要求される。そこで、上記顕微鏡320においては、該顕微鏡320の操作者によって、入力手段71を介して所定の情報が入力されると、制御手段360は、図示しない撮像処理メニューを出力手段72に表示させ、撮像処理を実施することになる。図8は、図6に示した制御手段が実施する撮像処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図8を参照しながら、撮像処理について説明する。なお、この説明では、初期状態として、画像生成手段25のシャッター25bが閉成しているものとして説明している。
【0064】
まず、図8に示す撮像処理において、制御手段360は、撮像信号を受信したか否かを判断する(ステップS201)。撮像信号を受信していない場合(ステップS201:No)、制御手段360は、撮像信号の受信待機状態を継続する。撮像信号とは、図示しない撮像処理メニューが表示された出力手段72の画面上で、顕微鏡320の操作者が入力手段71を介して所定の操作を行った場合に受信する電気信号である。
【0065】
一方、撮像信号を受信した場合(ステップS201:Yes)、制御手段360は、状態判定部364を通じて遮光体350が非遮光状態にあるか否かを判断する(ステップS202)。遮光体350が非遮光状態にある場合(ステップS202:Yes)、制御手段360は、スイッチ制御部362を通じて回路スイッチ352を切り替え動作させて、電圧印加回路351によって電圧を印加させて、遮光体350の遮光状態への切り替えを開始させ(ステップS203)、再び手順をステップS202に戻す。すなわち、遮光体350が遮光状態に切り替わるまでステップS204以降の処理が保留されることになる。但し、遮光体350が遮光状態に切り替わるまでの時間は、例えば、1ミリ秒未満であり、保留される時間は極短時間である。
【0066】
一方、遮光体350が非遮光状態にない場合(ステップS202:No)、制御手段360は、シャッター制御部363を通じて画像生成手段25のシャッター25bを開成させ(ステップS204)、これと同時に時間計測を開始する(ステップS205)。そして、制御手段360は、予め決められた露光時間が経過したか否かを判断し(ステップS206)、経過した場合(ステップS206:Yes)、シャッター制御部363通じて画像生成手段25のシャッター25bを閉成させる(ステップS207)。ここで、露光時間は、例えば、予め設定しておいた時間をメモリ361より取得し、これを使用する。
【0067】
ここで、ステップS204で画像生成手段25のシャッター25bから筐体25aに入射した光は、図示せぬ光電変換素子により電気信号に変換され、この光電変換素子が変換した電気信号から図示せぬ画像処理部により画像データを生成されることになる。そして、生成された画像データは、図示せぬ画像処理部により制御手段360に出力されることになる。
【0068】
その後、制御手段360は、画像格納部365を通じて画像生成手段25から出力された画像データをメモリ361に格納する(ステップS208)。さらに、制御手段360は、画像格納部365を通じて画像データを基に観察画像を生成し、これを出力手段72に表示する(ステップS209)。そして、制御手段360は、スイッチ制御部362を通じて回路スイッチ352を切り替え動作させて、電圧印加回路351による電圧の印加を停止させ、遮光体350の非遮光状態への切り替えを開始させる(ステップS210)。その後、制御手段360は、作業を継続するか否かの表示を出力手段72にて行い(ステップS211)、継続指示が入力された場合(ステップS211:Yes)、再び手順をステップS201に戻す。一方、終了指示が入力された場合(ステップS211:No)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。
【0069】
上述した撮像処理において制御手段360は、所定の撮像信号を受信し、かつ遮光体350が非遮光状態にある場合、遮光体350を切り替え動作させ、遮光体350を遮光状態とした後に、画像生成手段25のシャッター25bの開成動作が実施されることになる。すなわち、遮光空間31内が外部から視認可能である場合には、遮光空間31への光の入射を阻止した後に、遮光体350を切り替え動作させ、画像生成手段25のシャッター25bの開成動作が実施されることになる。そのため、このような顕微鏡320によれば、画像生成手段25のシャッター25bを開成する場合に、図7(c)に示すように、遮光部材30、開閉扉40、偏光板342および遮光体350によって、遮光空間31への光の入射が確実に阻止されることになる。したがって、観察画像の画質が低下する事態を確実に防止することができる。
【0070】
また、上述した撮像処理では、ステップS207で画像生成手段25のシャッター25bを閉成した後に、遮光体350が非遮光状態に切り替えられることになる。そのため、対物レンズ22に対する試料10の位置を他の位置に変更して撮像を継続する場合に、ステップS101において偏光板342および遮光体350をステージ21と対物レンズ22とが外部から視認可能である。これにより、試料10と対物レンズ22との位置関係を適宜確認することができ、上述したようにステージ21を移動すれば、対物レンズ22に対する試料10の位置を所望の位置に変更することができる。したがって、このような撮像処理によれば、試料10を適宜水平移動しながら継続して撮像する場合に、試料10と対物レンズ22との位置関係を確認する都度遮光体350を切り替え動作しなくとも、試料10と対物レンズ22との位置関係を確認することができる。
【0071】
上記のように構成した顕微鏡320によれば、遮光体350は、電圧の印加のみによって遮光状態から非遮光状態に切り替えることができるため、遮光空間31内を確認する際に、従来のように開閉扉を開成移動する必要がない。また、遮光体350は、例えば、可及的に大きく構成したとしても、移動することなく遮光状態から非遮光状態に切り替えることができる。したがって、容易な操作で遮光空間31内を確認することができる。
【0072】
なお、上述した実施の形態2では、ステップS207で画像生成手段25のシャッター25bを閉成した後に、ステップS210で遮光体350を非遮光状態に切り替えるように制御手段360を構成しているが、ステップS210を実施せず、ステップS209からステップS211に手順を進めるように制御手段360を構成しても良い。
【0073】
さらに、実施の形態2においては、開口部41が偏光板342および遮光体350によって常時閉塞されることになるため、該開口部41を通じて遮光空間31内に塵埃などの異物が侵入する事態を防止することができる。
【0074】
しかも、実施の形態2においては、電圧の印加のみによって遮光体350を移動することなく遮光状態から非遮光状態に切り替えることができる。したがって、遮光空間31内への光の入射を迅速に阻止することができる。
【0075】
なお、上述した実施の形態2では、制御手段360が実施する撮像処理において撮像信号を受信した場合に、スイッチ制御部362を通じて回路スイッチ352を切り替え動作させて、電圧印加回路351によって電圧を印加させて遮光体350を遮光状態と非遮光状態とに切り替えしているが、これ以外の場合にも、遮光空間31の外部から操作可能であって、操作することにより回路スイッチ352を個別に切り替え動作可能な操作ボタンを備えても良い。
【0076】
なお、上述した実施の形態2では、偏光板342および遮光体350を、開閉扉40に形成した開口部41に配置して構成しているが、例えば、遮光部材30に開口を形成し、この開口に偏光板342および遮光体350を配置して構成しても良い。この場合、開閉扉40に開口部41を形成する必要はない。
【0077】
また、上述した実施の形態1、2およびそれらの変形例では、ステージ21に対して対物レンズ22が上方に配置される正立顕微鏡として構成した顕微鏡20,120,220,320を例示しているが、ステージ21に対して対物レンズ22が下方に配置される倒立顕微鏡として顕微鏡20,120,220,320を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態1である顕微鏡を示す断面側面図である。
【図2】図1に示した開閉扉および遮光扉が動作した状態を遮光部材の外部から見た説明図である。
【図3】図1に示した制御手段が実施する撮像処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1である顕微鏡の変形例1を示す断面側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1である顕微鏡の変形例2を示す断面側面図である。
【図6】本発明の実施の形態2である顕微鏡を示す断面側面図である。
【図7】図6に示した開閉扉および遮光体が動作した状態を遮光部材の外部から見た説明図である。
【図8】図6に示した制御手段が実施する撮像処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10 試料
20 顕微鏡
25 画像生成手段(撮像手段)
30 遮光部材
31 遮光空間(箱体)
32 取出口
40 開閉扉
41 開口部(透過部)
50 遮光扉(遮光体)
60 制御手段(撮像手段)
120 顕微鏡
142 透過部材
220 顕微鏡
242 偏光板
250 遮光扉(遮光体)
320 顕微鏡
342 偏光板(偏光部)
350 遮光体
360 制御手段(撮像手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から遮光された箱体の外部にある試料を、取出口を通じて前記箱体内のステージに載置し、開閉扉によって前記取出口を閉成した状態で、前記ステージ上の試料を撮像する顕微鏡において、
前記箱体内を外部から視認可能とする透過部と、
遮光位置と非遮光位置とに移動可能に構成され、遮光位置に配置された場合に前記透過部を通じた前記箱体への光の入射を阻止する一方、非遮光位置に配置された場合には前記透過部を通じて前記箱体内を外部から視認可能とする遮光体とを備えた
ことを特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
前記透過部は、光を透過させる透過部材によって閉塞したことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記透過部は、
第1の振動方向の光のみを透過させる偏光板によって閉塞し、
前記遮光体は、
遮光位置に配置された場合に前記偏光板に重ね合わせる態様で配置され、少なくとも前記箱体に前記第1の振動方向の光が入射することを阻止する
ことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項4】
外部から遮光された箱体内のステージに試料を載置してこれを撮像する顕微鏡において、
第1の振動方向の光のみを透過させて前記箱体内を外部から視認可能とする偏光部と、
前記偏光部に重ね合わせる態様で配設されるとともに、電圧の印加によって遮光状態と非遮光状態に切り替え可能に構成され、遮光状態にある場合に少なくとも前記箱体に前記第1の振動方向の光が入射することを阻止する一方、非遮光状態にある場合には少なくとも前記第1の振動方向の光を透過させる遮光体とを備えた
ことを特徴とする顕微鏡。
【請求項5】
所定の撮像信号を受信し、かつ前記箱体内が外部から視認可能である場合には、前記遮光体を動作させ、前記箱体への光の入射を阻止した後に、前記ステージ上の試料を撮像する撮像手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または4に記載の顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55004(P2010−55004A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222306(P2008−222306)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】