説明

顧客サービス用システム

【課題】表示データを共通化しかつ事業者ごとにカスタマイズすべき箇所を最小限に留めることのできる顧客サービス用システムを提供する。
【解決手段】顧客サービスに係る情報を格納する記憶部、および操作者用表示データを生成するサーバー制御部を含むサーバー13と、操作者用の端末表示部17および操作入力部を含み、前記操作入力部が受付けた指示に応答して、前記操作者用表示データをサーバー13から取得して前記端末表示部17に表示する端末と、顧客に対して、前記顧客サービスに係る情報を表示する顧客用表示部21と、顧客用表示データを生成する顧客用画面生成部とを備え、前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部により生成され、端末表示部17の操作者用表示データの中に非表示とすべき内容が含まれるとき、その内容を前記表示データから除外した顧客用表示データを生成する顧客サービス用システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事業者の顧客管理および/または販売促進に係る顧客サービス用システム(以下、顧客サービスシステム)に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末や携帯型のタブレット端末等の端末に搭載される表示部は、その端末の外形寸法上の制約から大きさ、解像度に限界がある。この制約を克服するため、より大きな外部の表示装置、例えばテレビジョンやコンピュータ用ディスプレイモニタと接続できるようにしたものが既に市場に導入されている。しかし、外部の表示装置に表示される内容の多くは、端末の表示部と同じ内容にすぎないか、あるいは全く別の表示である。
【0003】
別の態様として、画像や音楽データを携帯電話等のプライベートな装置で受けて、その装置に接続された外部の大型ディスプレイに表示データを転送するシステムが知られている。携帯端末の映像等はその携帯端末に接続される外部の大型ディスプレイで表示するが、電話着信や電子メールの受信に伴う通知を外部に表示しないよう制限することができる(例えば、特許文献1参照)。そうすることにより画像や音楽データのみを表示することが可能となり、プライベートな情報がユーザ以外の者に示されたり、その情報の表示によって、本来の情報の視聴が妨げられたりすることがない。
【0004】
前述のものは、プライベートな装置を対象としたものであるが、その他に、業務処理で使用するタブレット端末やパーソナルコンピュータ(PC)の外部にインフォメーションディスプレイを接続する顧客サービスシステムがある。例えば、事業者の従業員が店舗に設置された端末あるいはPCを操作して、顧客の要望に基づきその顧客に試着させるべき商品を選択し、結果の画像を前記端末あるいはPCに接続されたインフォメーションディスプレイに表示させるシステムである。顧客は、等身大あるいはそれに近い大きさのインフォメーションディスプレイに表示された高精細な試着画像をみて、購入対象の商品を絞り込みあるいは決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−262190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯情報端末やタブレット端末は画面が小さくて表示できる情報も少ないため、顧客には見せづらい。また、その事業者が使用するPOSシステム等のデータベースに登録された顧客の個人情報を表示する場合もある。よって、前記端末あるいはPCと同じ表示内容を、顧客用のインフォメーションディスプレイに表示させることは適切でない。
【0007】
端末やPCの表示データとインフォメーションディスプレイ用の表示データを個別に用意することは可能である。しかし、そのような構成にすると、顧客サービスシステムの設計者は、端末またはPCに表示させる店員用の表示データを生成するプログラムを作成し、それと別にインフォメーションディスプレイに表示させる顧客用の表示データを生成するプログラムを作成する必要がある。プログラムの設計工数がかかる。それに伴う納期、コスト面の負担は結果的に顧客が担うことになる。よって、表示データの生成処理プログラムのうちで事業者ごとにカスタマイズすべき箇所を最小限に留め、できる限り標準化された顧客サービスシステムを基礎とすることが好ましい。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、生成する表示データを共通化しかつ事業者ごとにカスタマイズすべき箇所を最小限に留めることのできる顧客サービスシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、顧客サービスに係る情報を格納する記憶部、および外部の端末に表示させる操作者用表示データを生成するサーバー制御部を含んでなるサーバーと、操作者用の端末表示部、および前記操作者からの指示を受付ける操作入力部を含んでなり、前記操作入力部が受付けた指示に応答して前記サーバーとデータを送受し、前記操作者用表示データをサーバーから取得して前記端末表示部に表示する端末と、顧客に対して、前記顧客サービスに係る情報を表示する顧客用表示部と、前記顧客用表示部に表示させる顧客用表示データを生成する顧客用画面生成部とを備え、前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部により生成され、操作者用表示部の表示に使用されている表示データの中に、非表示とすべきものとして予め定められた内容が含まれるか判断し、非表示とすべき内容が含まれるとき、その内容を前記表示データから除外した顧客用表示データを生成することを特徴とする顧客サービス用システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
この発明において、顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部により生成され操作者用表示部の表示に使用されている表示データの中に、非表示とすべきものとして予め定められた内容が含まれるか判断し、非表示とすべき内容を抽出して前記表示データから除外して、前記顧客用表示データを生成するので、操作者用表示部と顧客用表示部に、一部の内容が互いに異なる表示データをそれぞれ提供するシステムにおいて、生成する表示データの基礎を共通化できる。さらに、サーバー制御部が生成する表示データと独立して顧客に非表示とすべきものを予め定めておくことができるので、操作者用の画面および顧客用の画面に含まれる事業者ごとにカスタマイズすべき箇所を最小限に留めることができる。非表示とすべきものとしての個人情報には、顧客の氏名、住所、電話番号など、どの事業者にもほぼ共通するものが含まれる。そのようなものを類型化して予め定めておくことができるからである。
【0011】
即ち、このシステムによれば、操作者用表示部に提供する表示データから、個人情報など他の顧客に見せたくない情報を削除した表示データを顧客用表示部に適用する。よって、操作者用表示部と顧客用表示部は基礎となる表示データが共通しており、別個に表示データを生成する必要がない。操作者用の表示データに店員が対応している顧客やその他の顧客に見せたくない情報があれば、顧客用画面生成部はその情報を削除して、顧客用表示データを生成する。
【0012】
この発明において、画面は、表示データに基づいて表示部に表示される画像である。
また、販売管理情報は、通常のPOSシステムにより管理される在庫情報である。顧客サービスに係る情報は、事業者が商品の販売に関連して顧客に提供しあるいは顧客を管理する種々の情報である。その具体的な態様として、後述する実施形態でも述べるように衣服や服飾品の試着シミュレーションに係る情報、より具体的には、試着をシミュレートする画像、その顧客の氏名、住所等の顧客管理情報がある。
【0013】
この発明において、操作者は、顧客サービス用システムを使用するための操作を行う者であり、その典型例は、システムを使用する事業者の従業者や店員である。
端末の具体例として、後述する実施形態では、タブレット端末を挙げている。ただし、この発明における端末はタブレット端末に限定されない。操作メニュー等を表示する端末表示部と操作入力部を有する端末であればよく、携帯情報端末、POS端末あるいはパーソナルコンピュータもその範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に係る顧客サービスシステムの構成例を示す説明図である。
【図2】この発明に係るタブレット端末の構成例を示す説明図である。
【図3】図1に対応するシステムにおいて端末表示部およびインフォメーションディスプレイにそれぞれ表示される内容の例を示す説明図である。
【図4】この発明に係るタブレット端末がサーバー受信する表示データの一例を示す説明図である。
【図5】この発明に係る非表示判定辞書に登録されたデータの一例を示す説明図である。
【図6】図5に示す表示データに基づいて非表示判定部が抽出する表示データを示す説明図である。
【図7】この発明に係るタブレット端末の端末CPUが実行する処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図8】この発明に係るタブレット端末の端末CPUが実行する処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
顧客に非表示とすべき内容を予め格納する非表示判定辞書をさらに備え、前記顧客用画面生成部は、操作者用表示部の表示に使用されている表示データと前記非表示判定辞書とを照合し、前記表示データのうちで非表示判定辞書に登録された内容に合致する部分を除外してもよい。このようにすれば、顧客に非表示とすべきものを非表示判定辞書に登録しておけば、サーバー制御部が生成した操作者表示データに基づいて顧客用画面生成部が顧客用表示データを生成するので、基礎となる表示データを共通化できる。
また、前記サーバーは、顧客サービスに係る情報をウェブページとしてそれぞれ提供し、前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部が生成したHTMLデータから顧客に非表示とすべき部分を除外し、前記顧客用表示データとしてのHTMLデータを生成してもよい。このようにすれば、前記顧客用画面生成部は、HTMLデータを分析して顧客に非表示とすべき部分を除外することによって、前記顧客用表示データを生成することができる。
さらにまた、前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部が生成したHTMLデータのうち文字列データについて、改行タグの単位で非表示とすべき内容の文字列が含まれるか判断し、一部の文字列が非表示とすべき内容の場合、非表示とすべき内容と一致する箇所が所定数以上あるときはその文字列をすべて非表示としてもよい。このようにすれば、一部の文字列のみが顧客に非表示とすべき場合に、その部分が文字列の全体に占める程度に基づいて前記顧客用表示データを適切に生成することができる。
前記顧客用画面生成部は、非表示とすべきものとして顧客の住所に係る情報を除外するが、その情報で特定される地域が所定の範囲よりも広い場合は除外しないようにしてもよい。このようにすれば、住所に係る情報で特定される地域が十分広い場合に、その情報を個人情報ではなく単なる参考情報として取り扱うことができる。
さらに、前記顧客用画面生成部は、顧客の住所を特定する情報が都道府県のみの場合は除外しないようにしてもよい。
この発明の好ましい態様は、ここで示した複数の態様のうち何れかを組み合わせたものも含む。
【0016】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
≪顧客サービスシステムの構成≫
図1は、この発明に係る顧客サービスシステムの構成例を示す説明図である。図1に示すように、顧客サービスシステム11は、サーバー13、タブレット端末15、顧客表示用コンピュータ19、インフォメーションディスプレイ21および無線アクセスポイント23を含んでなる。
【0017】
サーバー13は、事業者が使用する顧客サービスシステム11の中核をなし、顧客管理情報、商品の仕様や特徴に係る情報、売上情報、在庫管理情報等の情報並びに試着対象商品の試着に関する情報および試着用の画像を図示しない記憶部に格納する。また、それらの情報を処理するアプリケーション・プログラムが格納されている。前記顧客管理情報は、顧客の住所、氏名、電話番号、年齢、衣服のサイズ、購入履歴などの個人情報を含む。この顧客サービスシステム11は、通常のPOSシステムを包含し、さらに商品の試着をシミュレートする機能を有している。アプリケーション・プログラムは、特定の顧客の購買履歴に係る情報をウェブページとして端末に提供し、また、商品の在庫情報をウェブページとして提供する。さらに、商品の試着シミュレーションを行う。この実施形態において、試着の画像はウェブページ上の画像として提供される。
【0018】
タブレット端末15は、店員が携帯し、無線通信を介してサーバー13にアクセスする端末である。タブレット端末15は、端末表示部17を備える。タブレット端末15からサーバー13にアクセスすると、サーバー13の図示しないCPU(サーバーCPU)は、格納されたアプリケーションを実行し、試着をシミュレートする表示データを生成してタブレット端末15に送信する。送信は、サーバー13と共通のネットワークに接続された無線アクセスポイント23を介した無線通信により行われる。
【0019】
タブレット端末15は、図示しない無線通信インターフェイスを備えており、前記表示データを受信する。表示データは、HTML形式のデータである。ただし、これは一例であって、例えば、前記表示データはXML形式のデータであってもよい。タブレット端末15の図示しないCPU(端末CPU)は、受信した表示データを端末表示部17に表示させるように制御する。さらに、端末CPUは、受信した表示データから予め定められたタグで識別される個人情報等を取り除く処理をおこなう。そして、個人情報が取り除かれた表示データを、顧客表示用コンピュータ19に送信する。送信は、無線アクセスポイント23を介して行われる。ただし、通信が無線か有線かはこの発明の本質ではないので、いずれの態様もこの発明の範囲に含まれる。
【0020】
顧客表示用コンピュータ19は、タブレット端末15から送信された表示データを受信する。顧客表示用コンピュータ19の図示しないCPU(モニタ制御CPU)は、顧客表示用コンピュータ19に接続されたインフォメーションディスプレイ21に、受信した表示データを表示させるように制御する。
インフォメーションディスプレイ21は、例えば、液晶表示装置を用いた表示装置で構成される。この実施形態では、ほぼ等身大の試着シミュレーション画像を顧客に表示するために店舗に設置されたものを具体的な一例としている。
以上が、図1の顧客サービスシステム11の概要である。
【0021】
≪タブレット端末の構成≫
続いて、図2の説明を行う。図2は、タブレット端末15の構成を示すブロック図である。図2に示すように、タブレット端末15は、端末制御部31、端末通信部33、表示バッファ35、端末表示部17、非表示判定部37、非表示判定辞書39および操作入力部41を備えてなる。
【0022】
無線アクセスポイント23を介してサーバー13から送られてくる表示データは、端末通信部33で受けて表示バッファ35に格納される。端末表示部17は、表示バッファ35に格納されたデータに応じた内容を端末表示部17に表示する。端末表示部17の具体的なハードウェアは、液晶ディスプレイ装置である。
【0023】
操作入力部41は、操作者が行う指示を受け付ける。操作入力部41の具体的なハードウェアは、端末表示部17上に配置されたタッチパネルである。操作入力部41が受け付けた指示がインフォメーションディスプレイ21への表示であると端末制御部31が判断すると、非表示判定部37は、非表示判定辞書39の内容と表示バッファ35に格納されたデータを照合し、非表示判定辞書39に登録された内容に当てはまらないものだけを抽出する。そして、抽出された表示データを端末通信部33を介して転送する。ここで、端末制御部31と非表示判定部37の機能は、図示しない端末CPUが所定のプログラムを実行することによってそれぞれの機能が実現される。非表示判定辞書39の具体的なハードウェアは、辞書データを格納する不揮発性メモリである。
【0024】
≪表示の例≫
次に、図3について説明する。図3は、図1に対応する顧客サービスシステム11において端末表示部17およびインフォメーションディスプレイ21にそれぞれ表示される内容の例を示す説明図である。店舗の店員の操作に応じて衣服の試着のシミュレーションが行われている状態である。
【0025】
店員は、タブレット端末15に内蔵された図示しないカメラを用いて、あるいは、別のカメラを用いて顧客の画像を取得する。既にサーバー13の記憶部に格納された顧客の画像があれば、それを用いてもよい。また、サーバー13の記憶部は、その顧客の年齢、衣服のサイズ、購入履歴などを含む個人情報が格納している。
さらに、サーバー13の記憶部は、試着用の衣服の画像を格納している。
【0026】
また、サーバー13の記憶部は、それらの情報を処理して試着のシミュレーションを実行するためのアプリケーション・プログラムが格納されている。サーバーCPUは、そのアプリケーション・プログラムを実行し、タブレット端末用に、試着シミュレーションのメニュー(図3に図示せず)の表示データを送信する。その表示データを受信した端末制御部31は、前記メニューを端末表示部17に表示させる。
【0027】
店員は、そのメニューを用いて、試着シミュレーションに使用する顧客の写真および顧客が嗜好する試着用の衣服を選択し、シミュレーションの実行を指示する。
端末制御部31は、操作入力部41を介してその指示を認識し、端末通信部33を介してその指示をサーバー13に送信する。
サーバーCPUは、その指示を受信するとそれに応答し、顧客の画像と試着用の衣服の画像とを合成し、端末表示部17に表示させる表示データを生成する。そして、生成した表示データをタブレット端末15に送る。この表示データは、HTML形式のデータである。
【0028】
その表示データを受信した端末制御部31は、前記メニューを端末表示部17に表示させる。図3で、端末表示部17に表示される内容の一例を示している。端末表示部17には、顧客の画像と衣服の画像が合成された画像が表示され、さらに、顧客の氏名「山田花子」、その顧客の衣服のサイズ「9号」、商品の説明「ピンクのベスト」が表示されている。さらに、端末表示部17の右上方の隅に、インフォメーションディスプレイ21に試着シミュレーションの画像を表示させるための「IDP」と記されたボタン(IDPボタン43)が表示されている。
【0029】
店員が、IDPボタン43を押すと、端末制御部31は、操作入力部41を介してその指示を認識する。その指示に応答して、端末制御部31は、非表示判定部37の処理をスタートさせる。非表示判定部37は、端末表示部17に表示させる表示データが格納された表示バッファ35のデータと非表示判定辞書39に格納された内容とを照合し、非表示とすべきものとして非表示判定辞書39に格納されているものを除外した表示データを抽出する。そして、非表示判定部37は、抽出されたデータを、端末通信部33を介して顧客表示用コンピュータ19に送信する。その表示データを受信した顧客表示用コンピュータ19は、インフォメーションディスプレイ21にその表示データの内容を表示させる。
【0030】
図3に、インフォメーションディスプレイ21に表示される内容の一例を示している。端末表示部17には、顧客の画像と衣服の画像が合成された画像のほかに、顧客の氏名、その顧客の衣服のサイズ、商品の説明が表示されている。非表示判定部37は、その表示データから個人情報に係る顧客の氏名およびその顧客の衣服のサイズを削除する。さらに「IDP」と記されたボタンを削除する。その結果、インフォメーションディスプレイ21に表示される画像は、顧客の画像と衣服の画像が合成された画像と商品の説明のみである。なお、タブレット端末15のIDPボタン43が押された後も、端末表示部17には、顧客の画像と衣服の画像が合成された画像のほかに、顧客の氏名、その顧客の衣服のサイズ、商品の説明がその前と変わらず表示されている。
【0031】
≪非表示判定部および非表示判定辞書の詳細≫
非表示判定部37が実行する処理の詳細について説明する。図4は、この発明に係るタブレット端末がサーバー受信する表示データの一例を示す説明図である。図4の表示データは、HTML形式のデータである。図4に示すように、表示データは6つのHTMLタグ51〜56を含む。第1のHTMLタグ51は、IDPボタン43の表示に係るものである。第2のHTMLタグ52は、改行である。第3のHTMLタグ53は、顧客の画像と衣服の画像が合成された画像の表示に係るものである。第4〜6のHTMLタグ54〜56は、改行であり、顧客の氏名、衣服のサイズおよび商品の説明の文字列の前にそれぞれ置かれている。
【0032】
第1のHTMLタグ51に示すように、IDPボタン43が押されるとJAVA(登録商標)スクリプトdisp_idpの処理が実行される。処理を行うのは、非表示判定部37である。非表示判定部37は、表示バッファ35に格納された図4の表示データと非表示判定辞書39に格納されたデータを照合し、個人情報に係る文字列を削除する。
図5は、この発明に係る非表示判定辞書39に登録されたデータの一例を示す説明図である。非表示判定辞書39は、個人情報等、店員が対応中の顧客および他の顧客に表示させたくないデータを集めて登録した辞書である。
【0033】
辞書の内容の具体的な一例は、顧客の姓、名、住所、電話番号、郵便番号およびサイズや重量の単位記号を伴う数字列である。これらのデータは、顧客サービスシステム11を使用する事業者が調査および収集し、サーバー13の記憶部に登録されたものである。サーバー13のデータが更新されたとき、サーバー13からタブレット端末15へ、更新されたデータが送信される。そのデータを受信すると、端末制御部31は、非表示判定辞書39を更新する。
【0034】
辞書に登録されたデータのうち、電話番号は、先頭が0である10桁または11桁の数字列である。途中に「−」があるパターンとないパターンの両方が登録される。すべての電話番号が登録されているのでなく、サーバー13に登録された電話番号のみが辞書に登録される。
また、郵便番号は、先頭が〒に続く7桁の数字列である。途中に「−」があるパターンとないパターンの両方が登録される。日本のすべての郵便番号が登録されているのでなく、サーバー13に登録された郵便番号のみが辞書に登録される。
単位記号を伴う数字列は、任意の数字列と個人情報を表すと考えられる単位の語句である。
【0035】
図6は、図5に示す表示データに基づいて非表示判定部37が抽出した表示データを示す説明図である。
図5の表示データと比較すると、IDPボタン43に係る第1のHTMLタグ51が削除されている。ただし、これは、非表示判定辞書39と合致したために削除された訳ではなく、端末表示部17とインフォメーションディスプレイ21の機能的な差異に基づいて定められた処理である。非表示判定部37としては付随的な処理である。図6の例では、第1のHTMLタグ51の文字列がスペースに置換されている。なおこれは一例であって、スペースが省略されてもよい。
【0036】
画像に係る第2のHTMLタグ52および改行に係る第2、4、5、6のHTMLタグ52、54、55、56は保持されている。しかし、第4のHTMLタグ54に続く文字列と第5のHTMLタグに続く文字列がスペースに置換されている。なお、変形例としてスペースが省略されてもよい。削除された文字列は、顧客の氏名と衣服のサイズであり、いずれも非表示判定辞書39に登録されているデータと合致したために削除されたものである。
【0037】
≪端末制御部のフローチャート≫
端末制御部31が実行する処理の手順について説明する。図7は、この発明に係るタブレット端末15の端末CPUが実行する処理の手順を示すフローチャートである。図7に沿って処理を説明する。
端末CPUは、図3に示す画面が端末表示部17に表示された状態でIDPボタン43が押されたかどうかを監視している(ステップS11)。IDPボタン43が押されたことを、操作入力部41を介して認識すると、端末制御部31としての端末CPUは、表示バッファ35に格納された表示データの一行分を取り出して解析する(ステップS13)。ここで、一行とは、図4に示す表示データのうち、文字列であれば、改行タグと次の改行タグで区切られる単位一行を指す。画像であれば、一つのタグで参照される画像を指す。
【0038】
取り出すべき行がない、すなわち、データが終わりの場合(ステップS15のYes)、ルーチンは処理を終了する。解析対象の一行が存する場合(ステップS15のNo)、端末制御部31は、それが入力関係のタグが否かを判断する(ステップS17)。ここで、入力関係のタグとは、ボタン、ラジオボタンおよびチェックボックスなど、操作指示を受け付けるための表示要素を端末表示部17に表示させるためのHTMLタグである。入力関係のタグであれば(ステップS17のYes)、ルーチンは後述するステップS33へ進む。
【0039】
一方、入力関係のタグでない場合(ステップS17のNo)、非表示判定部37として端末CPUは、解析対象を非表示判定辞書39と照合する(ステップS19)。解析対象が非表示判定辞書39に登録されたいずれかの内容と部分的に一致するが完全には一致しない場合(ステップS21のNo)、ルーチンは後述するステップS27へ進む。
ステップS21の判断について具体例を挙げて説明する。解析対象の文字列が「東京都の人口」であり、非表示判定辞書39に「東京都」が登録されている場合、ステップS21の判定結果は「Yes」である。文字列「東京都の人口」のうち「東京都」の部分は辞書と合致するが「の人口」の部分は合致しないからである。一方、解析対象の文字列が「東京都」であれば完全一致する。この場合、ステップS21の判定結果は「No」である。
【0040】
一方、部分一致でない場合、さらに非表示判定部37は、完全一致か不一致かを判断する(ステップS23)。完全一致の場合(ステップS23のYes)、さらに非表示判定部37は、解析対象が都道府県の文字列のみか否かを判断する(ステップS25)。そして、都道府県の文字列のみの場合(ステップS25のYes)、それを個人情報と扱わずに表示させる。特定するエリアが広範であるため、個人情報ではないとしている。なお、これは一例であって、都道府県のみであっても表示しないようにすることもできる。逆に、市町村までは表示させるようにすることもできる。事業者の判断による。
【0041】
前記ステップS25で、都道府県のみの文字列ではないと判断した場合、ルーチンはステップS33へ進む。そして、非表示判定部37は、解析対象の表示データをスペースで置換し、表示から除外する。
その後、非表示判定部37は、前記ステップS33までの解析に基づいて処理した表示データを、端末通信部33を介して顧客表示用コンピュータ19に送信する。
【0042】
前記ステップS21で、解析対象が非表示判定辞書39に登録されたいずれかの内容と部分的に一致する場合(ステップS21のYes)、続いて非表示判定部37は、部分一致する箇所が氏名または住所か否かを判断する(ステップS27)。そうでなければ、ルーチンは、ステップS35へ進み、その表示データを顧客表示用コンピュータ19に送信する。即ち、その表示データをインフォメーションディスプレイ21に表示させる。
【0043】
しかし、部分一致する箇所が氏名または住所である場合(ステップS27のYes)、非表示判定部37は、その箇所以外でさらに非表示判定辞書39に登録された内容と部分的に一致する箇所があるか否かを判断する(ステップS29)。その結果、さらに部分一致する箇所があれば(ステップS31のYes)、ルーチンはステップS33へ進み、解析対象の表示データをスペースで置換する。即ち、非表示にする。
【0044】
一方、さらに部分一致する箇所がなければ、(ステップS31のNo)、ルーチンはステップS35へ進む。即ち、その文字列は、たまたま一部分の文字列が氏名または住所として辞書に登録された文字列と一致するが、全体として氏名または住所ではないと判断し、その表示データをインフォメーションディスプレイ21に表示させる。
【0045】
また、前記ステップS27の判断で、部分一致する箇所が氏名または住所でない場合(ステップS27のNo)、ルーチンはステップS33へ進み、解析対象の表示データをスペースで置換する。即ち、解析対象が電話番号、郵便番号あるいは単位を伴う数字列などの個人情報であると判断して、非表示にする。
以上が、端末制御部31および非表示判定部37として端末CPUが実行する処理についての説明である。
【0046】
なお、以上の実施形態において、非表示判定部37は、タブレット端末15に存するものとして説明したが、変形例として非表示判定部37がサーバー13あるいは顧客表示用コンピュータ19に存する態様も考えられる。それに対応して、非表示判定辞書39がサーバー13あるいは顧客表示用コンピュータ19に存する態様も考えられる。あるいは、非表示判定部37が何れに存しても非表示判定辞書39がサーバー13に存する態様も考えられる。
【0047】
非表示判定部37がサーバー13に存する態様では、タブレット端末15に送信した表示データを送信後もサーバー13の記憶部に格納しておく。図3で、端末表示部17のIDPボタン43が押された旨の通知をタブレット端末15から受信すると、非表示判定部37としての処理をサーバーCPUが実行する。即ち、サーバーCPUは、記憶部に格納された表示データに基づいて、非表示判定辞書39の内容と前記記憶部に格納された表示データを照合し、非表示判定辞書39に登録された内容に当てはまらないものだけを抽出する。そして、抽出された表示データを顧客表示用コンピュータ19に転送する。
【0048】
また、非表示判定部37が顧客表示用コンピュータ19に存する態様では、端末表示部17のIDPボタン43が押された旨の通知をタブレット端末15から受信すると、端末CPUは、表示バッファ35に格納された表示データをそのまま顧客表示用コンピュータ19に送信する。表示データを受信した顧客表示用コンピュータ19のCPUは、非表示判定部37としての処理を実行する。即ち、非表示判定辞書39の内容とタブレット端末15から受信した表示データを照合し、非表示判定辞書39に登録された内容に当てはまらないものだけを抽出する。そして、抽出された表示データに基づいて、インフォメーションディスプレイ21に表示を行うよう制御する。
【0049】
さらに異なる変形例として、前述の実施例では別体のサーバー13、タブレット端末15および顧客表示用コンピュータ19の3つのシステム構成要素のうち2つあるいは全部が一体で構成されてもよい。端末表示部17と顧客用のインフォメーションディスプレイ21が別の表示を行う構成であれば、他のシステム構成要素の具体的態様は問わない。
【0050】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0051】
11:顧客サービスシステム
13:サーバー
15:タブレット端末
17:端末表示部
19:顧客表示用コンピュータ
21:インフォメーションディスプレイ
23:無線アクセスポイント
31:端末制御部
33:端末通信部
35:表示バッファ
37:非表示判定部
39:非表示判定辞書
41:操作入力部
43:IDPボタン
51、52、53、54、55、56:HTMLタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客サービスに係る情報を格納する記憶部、および外部の端末に表示させる操作者用表示データを生成するサーバー制御部を含んでなるサーバーと、
操作者用の端末表示部、および前記操作者からの指示を受付ける操作入力部を含んでなり、前記操作入力部が受付けた指示に応答して前記サーバーとデータを送受し、前記操作者用表示データをサーバーから取得して前記端末表示部に表示する端末と、
顧客に対して、前記顧客サービスに係る情報を表示する顧客用表示部と、
前記顧客用表示部に表示させる顧客用表示データを生成する顧客用画面生成部とを備え、
前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部により生成され、操作者用表示部の表示に使用されている表示データの中に、非表示とすべきものとして予め定められた内容が含まれるか判断し、非表示とすべき内容が含まれるときその内容を前記表示データから除外した顧客用表示データを生成することを特徴とする顧客サービス用システム。
【請求項2】
顧客に非表示とすべき内容を予め格納する非表示判定辞書をさらに備え、
前記顧客用画面生成部は、操作者用表示部の表示に使用されている表示データと前記非表示判定辞書とを照合し、前記表示データのうちで非表示判定辞書に登録された内容に合致する部分を除外する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記サーバーは、前記顧客サービスに係る情報をウェブページとしてそれぞれ提供し、
前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部が生成したHTMLデータから顧客に非表示とすべき部分を除外し、前記顧客用表示データとしてのHTMLデータを生成する請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記顧客用画面生成部は、前記サーバー制御部が生成したHTMLデータのうち文字列データについて、改行タグの単位で非表示とすべき内容の文字列が含まれるか判断し、一部の文字列が非表示とすべき内容の場合、非表示とすべき内容と一致する箇所が所定数以上あるときはその文字列をすべて非表示とする請求項1〜3の何れか一つに記載のシステム。
【請求項5】
前記顧客用画面生成部は、非表示とすべきものとして顧客の住所に係る情報を除外するが、その情報で特定される地域が所定の範囲よりも広い場合は除外しない請求項1〜4の何れか一つに記載のシステム。
【請求項6】
前記顧客用画面生成部は、顧客の住所を特定する情報が都道府県のみの場合は除外しない請求項5に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243088(P2012−243088A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112559(P2011−112559)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】