説明

風力タービン、風力タービン用の避雷システムおよび風力タービンの部品を落雷から保護するための方法

【課題】風力タービン、風力タービン用の避雷システム、および、風力タービンの部品を落雷から保護するための方法を提供する。
【解決手段】風力タービン(1)用の避雷システムが記載されている。このシステムは、少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)と、ピックアップユニット(14)と、追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)と、を具える。少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)は、雷受容体およびピックアップユニット(14)に電気的に接続されている。ピックアップユニット(14)は、追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)によって電気接地部材(5、6)に電気的に接続可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービン用の避雷システムに関するものである。さらに、本発明は、風力タービンに関するものであり、また、風力タービンの部品、例えば電気部品を落雷から保護するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力タービンに落雷した場合、雷は1つ以上のブレードの領域に落ちることが多く、落雷の電流はブレードからブレードの内側あるいは外側において引き下げ導体のような導電手段によって1つ以上の風力タービン部品(例えば、ハブ、ナセルおよびタワー)に流れ、そして地面に流れる。この目的は、風力タービン内を流れる落雷の電流が、発電機や変換機のような任意の電気部品あるいは主軸受やギアボックスのようなその他の重要な部品に流れ、これらの部品が落雷の大きなエネルギーによって損害を被ることを防止することである。
【0003】
落雷による高電圧、大電流および強電磁場の組み合わせは、発電機あるいは風力タービンのその他の電気部品に損害を与える可能性がある。ギアレス風力タービンとも称される直接駆動風力タービンは、風力タービンのブレードハブに直接接続されているため、直接駆動風力タービンを用いると、特に発電機に損害を与えずに、落雷の電流を1つ以上のブレードから風力タービンを通して流すことはより困難である。アウターロータを設けた発電機を有する直接駆動風力タービンを用いると、風力タービンのブレードへの落雷の電流を、発電機に損害を与えずに地面に流すこと方法を見出すことはさらに困難である。
【0004】
従来の風力タービンの設計では、落雷の電流はブレードの引き下げ導体によってハブに直接流れ、次にナセルに流れ、最終的に地面に流れる。この種の避雷システムは、発電機がハブに直接接続された直接駆動風力タービンでは、発電機が落雷により損害を被る可能性があるため有効ではない。
【0005】
特許文献1に記載の避雷システムでは、落雷はブレードに流れ、さらに、ブレードハブの周囲かつブレードハブおよび風力タービンの重要な部品の周囲の経路に沿って流れる。しかしながら、この方法の問題点は、ハブの周囲の雷導通路が、1つ以上の方向に変化あるいは回転を伴って非常に長く、この雷導通路が方向を変化あるいは回転する全ての箇所において、落雷の電流が雷導通路から雷導通路に近接した部品(例えば、ブレードハブ)に、さらには発電機に飛び移る実質的なリスクがあるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許7377750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の第1の目的は、改良した風力タービン用の避雷システムを提供することにある。本発明の第2の目的は、上述した問題点を解消するとともに上述したリスクを低減した有利な風力タービンを提供することにある。本発明の第3の目的は、風力タービンの部品を落雷から保護するための有利な方法を提供することにあり、この方法により、落雷の電流が、雷導通路から雷導通路に近接した部品に、それゆえ、発電機に飛び移るリスクを低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の目的は、請求項1に記載の風力タービン用の避雷システムによって解決される。第2の目的は、請求項4に記載の風力タービンによって解決される。第3の目的は、請求項15に記載の風力タービンの部品を落雷から保護するための方法によって解決される。従属項は本発明の有利な実施形態を規定している。
【0009】
本発明の風力タービン用の避雷システムは、少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブルを具えている。さらに、避雷システムは、ピックアップユニットと、追加の絶縁高電圧ケーブルと、を具えている。少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブルは、例えば、その第1の端部で雷受容体に電気的に接続されている。さらに、少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブルは、例えば、その第2の端部でピックアップユニットに電気的に接続されている。ピックアップユニットは、さらに、追加の絶縁高電圧ケーブルによって電気接地部材に電気的に接続可能である。
【0010】
有利なことに、絶縁高電圧ケーブルを使用することによって、風力タービンの部品、例えば、風力タービンブレードへの落雷の電流は、ロータの固定子巻線および永久磁石のような高感度な電気部品に影響を及ぼすことなく、主軸受のような重要な部品を避けて電気接地部材、例えば、風力タービンのタワーに流れることができる。
【0011】
一般的な避雷用の絶縁高電圧ケーブル(略して、HVケーブル)は、HVケーブルとして用いられ、例えば、ロータブレードと風力タービンの内部の軸の取り付け領域との間で、複数の方向への変化あるいは回転することなく単純な方法で配線される。
【0012】
さらに、ピックアップユニットを用いると、落雷からの電流を電気接地部材、例えば、風力タービンタワーに流すために、1つの追加の絶縁HVケーブルしか必要としない。この場合、1つのHVケーブルのみが、落雷の大きなエネルギーによって損害を被る可能性のある発電機や変換機のような風力タービンの重要な電気部品あるいは主軸受やギアボックスのようなその他の重要な部品の付近を通過する。
【0013】
好適には、遮蔽装置、例えば、遮蔽ホースあるいは遮蔽チューブが、少なくとも1つのHVケーブルあるいは追加のHVケーブルの周囲に取り付けられている。あるいは、遮蔽装置、すなわち、遮蔽手段、例えば、遮蔽ホースあるいは遮蔽チューブは、少なくとも1つのHVケーブルあるいは追加のHVケーブルに直接組み入れられている。遮蔽装置は金属素材製とすることができる。さらに、遮蔽装置は、特定のブラケットによって嵌合されている、および/または、担持されていてもよい。HVケーブルの周囲に設置可能な追加の遮蔽ホースあるいは遮蔽チューブ、例えば、金属製の遮蔽ホースあるいは遮蔽チューブを用いると、HVケーブルの周囲の電磁場を減少させることができる。
【0014】
例えば、少なくとも1つのHVケーブルおよび/または追加のHVケーブルを、スリップリングおよび/または接触ブラシおよび/またはスパークギャップによってピックアップユニットに電気的に接続することができる。
【0015】
本発明の風力タービンは、上述した避雷システムを具える。一般的に、本発明の風力タービンは、上述した本発明の避雷システムと同一の有利な効果を有する。
【0016】
本発明の風力タービンは、回転軸を具えることができる。好適には、ピックアップユニットは回転軸に配置されている。さらに、風力タービンは中央装置を具えることができる。中央装置は回転軸に配置可能である。この場合、ピックアップユニットは、中央装置に配置されていることが好ましい。風力タービンはハブを具えることができる。ハブは中央ハブ装置を具えることができる。ピックアップユニットは中央ハブ装置に配置可能である。風力タービンは主軸をさらに具えることができる。主軸は中央主軸装置を具えることができる。この場合、ピックアップユニットは中央主軸装置に配置されていることが好ましい。
【0017】
ピックアップユニットの中央位置が、例えば、中央ハブ装置または中央主軸装置にあることにより、ピックアップユニットを電気接地部材、例えば、風力タービンタワーに、簡単な方法で、複数の方向に移動あるいは回転をせずに、ロータの固定子巻線および永久磁石のような高感度かつ重要な部品に影響を及ぼすことなく接続することができる。さらに、1つの中央に配置されたピックアップユニットのみを、例えば、1つの追加のHVケーブルだけを使って電気接地部材に接続するだけで、主軸受のような複数の重要部品を効果的に回避することができる。
【0018】
中央ハブ装置または中央主軸装置は、少なくとも1つの電気スリップリングまたは複数の電気スリップリングおよび/またはハイドロリックユニオン(hydraulic union)を具えることができる。
【0019】
本発明の風力タービンは、少なくとも1つのロータブレードを具えることができる。ロータブレードは雷受容体を有することができる。雷受容体は少なくとも1つのHVケーブルに接続可能である。例えば、雷受容体は、ブレード引き下げ導体によって少なくとも1つのHVケーブルに接続可能である。ブレード引き下げ導体は、好適には、ブレードの内部に配置されている。ブレードの引き下げ導体は、ブレードの内部で電気絶縁HVケーブルの第1の端部に接続されていることが好ましい。HVケーブルの第2の端部は、中央ハブ装置または中央主軸装置に配置されているピックアップユニット、すなわち、ピックアップ構造体に取り付け可能である。
【0020】
風力タービンは、風力タービンタワーを具えることができる。風力タービンは、タワーと風力タービンのナセルとの間に配置された遷移部品をさらに具えることができる。中央ハブ装置および/または中央主軸装置とタワーあるいは遷移部品との間のさらなる電気的な接続は、追加のHVケーブルによって達成可能である。追加のHVケーブルは、さらに遮蔽かつ絶縁されていることが好ましい。これにより、ナセル内のきわめて低い電磁場条件を可能にすることができる。
【0021】
ピックアップユニット、すなわち、ピックアップ構造体は、例えば、絶縁担持構造体によって電気的に絶縁されていることが好ましい。また、ピックアップユニットは、中央ハブ装置および/またはハブおよび/または主軸および/または中央主軸装置から絶縁されていることが好ましい。ピックアップユニット、すなわち、ピックアップ構造体を電気的に絶縁することによって、高感度の電気部品および主軸受のような重要な部品が落雷によって損害を被るのを効果的に防止することができる。
【0022】
また、風力タービンは電気接地部材を具えることができる。風力タービンは、絶縁高電圧ケーブルによって電気接地部材に電気的に接続された少なくとも1つの避雷針をさらに具えることができる。電気接地部材は、例えば、風力タービンタワー、あるいは、タワーとナセルとの間に配置された遷移部品とすることができる。少なくとも1つの避雷針は、例えば、フランクリンロッドとすることができる。避雷針あるいはフランクリンロッドはナセルに配置することができる。避雷針を絶縁HVケーブルによって電気接地部材に接続することにより、ナセル内において落雷による電磁場を減少することができ、同時に、風力タービンの高感度な電気部品および壊れやすい機械部品を落雷から保護することができる。
【0023】
一般的に、風力タービンは直接駆動風力タービンとすることができる。さらに、風力タービンはアウターロータシステムを有する発電機、あるいは、インナーロータシステムを有する発電機を具えることができる。上述した避雷システムは、アウターロータ発電機およびインナーロータ発電機の両方に同一の方法で適用することができる。
【0024】
風力タービンの部品、特に電気部品を落雷から保護するための本発明の方法は、電気接地部材および少なくとも1つの雷受容体を具える風力タービンに関するものである。この方法は、少なくとも1つの雷受容体を、HVケーブルによってピックアップユニットに電気的に接続し、ピックアップユニットを、追加のHVケーブルによって電気接地部材に電気的に接続することを特徴とするものである。一般的に、少なくとも1つの雷受容体をピックアップユニットに接続するHVケーブルは、ピックアップユニットを電気接地部材に接続するHVケーブルと同一の特性を有する。
【0025】
本発明の方法は、上述した本発明の避雷システムおよび風力タービンと同一の有利な効果を有する。
【0026】
本願明細書において、「追加の」という用語は2つのHVケーブルを互いに区別するためにのみ用いられている。
【0027】
本発明のさらなる特徴、特性および効果は、以下の実施形態の説明および図面から明らかになる。有利なことに、言及する全ての特徴は、個別に、あるいは、任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】風力タービンを示す概略図である。
【図2】本発明の風力タービンを示す部分概略図である。
【図3】ピックアップ構造体を示す部分概略図である。
【図4】複数の高電圧ケーブルの第2の端部を互いに、および、接触ブラシに接続する一例を示す概略図である。
【図5】2つのスリップリング間の電気的な接続を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、風力タービン1の概略を示す。風力タービン1は、タワー5と、ナセル2と、ハブ7と、を具えている。ナセル2はタワー5の上部に配置されている。遷移部品6はタワー5とナセル2との間に配置されている。ハブ7は複数の風力タービンブレード8を具えている。ハブ7はナセル2に取り付けられている。さらに、ハブ7は回転軸26を中心に回転するように回転可能に取り付けられている。ナセル2は、ハブ7と反対側に位置する裏側27を具えている。
【0030】
発電機3はナセル2の内部に配置されている。発電機3は、ハブ7に面する表側24と、ハブ7とは反対側の裏側25と、を具えている。一般的に、発電機3はアウターロータ構成あるいはインナーロータ構成とすることができる。風力タービン1は直接駆動風力タービンである。
【0031】
図2に、本発明の風力タービン1の部分の概略を示す。風力タービン1は、ナセル2とハブ7との間に配置された直接駆動発電機3を具えている。あるいは、直接駆動発電機3は、ナセル2の内部に配置されてもよい。風力タービン1は、1つ以上の絶縁高電圧ケーブル(HVケーブル)12を有する避雷システムを具えている。遮蔽装置、例えば、遮蔽ホースあるいはチューブ13は、HVケーブル12の周囲に取り付けられているが、HVケーブル12に直接組み入れられていてもよい。
【0032】
複数のロータブレード8の各々は、少なくとも1つの雷受容体(図2には示さず)を具えている。雷受容体は、雷の電流をブレードルート22に流すブレード引き下げ導体11に接続されている。ブレードルート22は、ブレード8がハブ7に接続されているブレード8の部分である。ブレード引き下げ導体11はブレード8の内部に配置されていることが好ましい。
【0033】
ブレード引き下げ導体11はHVケーブル12aに接続されている。図2では、ブレード引き下げ導体11とHVケーブル12aとは、ブレードルート22に近接したロータブレード8の内部で接続されている。あるいは、ブレード引き下げ導体11とHVケーブル12aとは、ハブ7の内部で接続されていてもよい。言い換えれば、HVケーブル12aの第1の端部は、ブレード引き下げ導体11に接続されている。HVケーブル12aの第2の端部は、ピックアップユニット(ピックアップ構造体)14に接続されている。
【0034】
風力タービン1の内部には、とりわけベッドフレーム9の構造と、主軸10と、主支持構造体21と、キュービクル4内の電気システムと、が配置されている。これらの部品はナセル2の内部に配置されていることが好ましい。風力タービンナセル2は遷移部品6を介して取り付けられ、遷移部品6は風力タービンタワー5の上にヨーセクションを具えている。
【0035】
ピックアップユニット14は、回転軸26上に配置されていることが好ましい。風力タービン1は中央主軸装置あるいは中央ハブ装置を具えることができる。この場合、ピックアップユニット14は、中央主軸装置あるいは中央ハブ装置に配置可能である。中央ハブ装置は電気スリップリングおよびハイドロリックユニオンからなるものとすることができる。
【0036】
ピックアップユニット(ピックアップ構造体)14は、中央ハブ装置および/または中央主軸装置およびハブ7あるいは主軸10から絶縁担持構造体15によって電気的に絶縁されている。一般的に、ピックアップユニット(ピックアップ構造体)14を有する中央ハブ装置は、主軸10の内部あるいはハブ7の内部のいずれかに配置可能である。その配置場所に応じて、ピックアップユニット14の複数の部品、それゆえ、取り付けられた避雷システムの複数の部品は固定されていたり、それぞれ回転したりする。
【0037】
タワー5および/または遷移部品6は電気接地部材を形成する、あるいは、電気接地部材を構成部材として有する。ピックアップユニット(ピックアップ構造体)14は、追加の絶縁HVケーブル12bによって電気接地部材に電気的に接続されている。この追加の絶縁HVケーブル12bは、雷の電流を電気接地部材、例えば、遷移部品6にさらに流す。追加の絶縁HVケーブル12bは遮蔽装置13bを具えている。遮蔽装置13bは、上述したその他のHVケーブル12に関して説明した際の金属ホースまたはチューブ13と同一の特性を有することができる。
【0038】
遮蔽ホース13aは、その第1の端部がブラケット18によってハブ7に接続されている。遮蔽ホース13aは、その第2の端部が特定のブラケット18によって、ハブまたはピックアップユニット14または中央ハブ装置または中央主軸装置に接続されている。遮蔽ホース13bは、その第1の端部が特定のブラケット18によって絶縁担持構造体15に接続されている。遮蔽ホース13bは、その第2の端部がブラケット18によって遷移部品6の特定の突起19に接続されている。
【0039】
追加のHVケーブル12bの第1の端部はピックアップユニット14に接続されている。追加のHVケーブル12bの第2の端部は、例えば、遷移部品6あるいはタワー5あるいはその他の電気接地部材に電気的に接続されている。図2では、追加のHVケーブル12bの第2の端部は、遷移部品6の内部で金属のブラケット19によって取り付けられている。
【0040】
一般的に、HVケーブル12とピックアップユニット14との間の接続は、スリップリングおよび/またはブラシ(例えば、炭素ブラシや接触ブラシ)および/またはスパークギャップによって達成可能である。これらの接続手段、例えばスリップリング、ブラシまたはスパークギャップは主軸10の中央に配置されていることが好ましい。図2では、高電圧ケーブル12aは接触ブラシ17によってピックアップユニット14に接続されている。接触ブラシ17は絶縁担持手段16によってハブ7に接続されている。
【0041】
さらに、図2では、ナセル2はフランクリンロッド20を具えている。フランクリンロッド20は、ナセル2の上部かつナセル2の裏側27に配置されている。ナセル2上の1つまたは複数のフランクリンロッド20は、風力タービン1の外側の避雷をさらに提供する。雷の電流を安全に地面に流すために、HVケーブル12cの第1の端部は、フランクリンロッド20に接続されている。このHVケーブル12cの第2の端部は、風力タービン1の電気接地部材に接続されている。HVケーブル12cは、上述したHVケーブル12a、12bと同一の特性および利点を有する。例えば、HVケーブル12cは、遷移部品6の内部で金属のブラケット19によって取り付け可能である。
【0042】
HVケーブル12cの周囲の電磁場を制限するために、追加の金属ホースあるいはチューブ13cが、このケーブル12cの周囲に取り付けられている。遮蔽ホース13cの第1の端部は、特定のブラケット18によってナセル2に接続されている。この遮蔽ホース13cの第2の端部は、やはり特定のブラケット18によって遷移部品6の特定の突起19に接続されている。
【0043】
図3に、ピックアップ構造体(ピックアップユニット)14の部分を詳細に示す。ピックアップユニット14は中央装置30に接続されている、あるいは、中央装置30に近接して配置されている。ピックアップユニット14はスリップリング31とスチールリング32とを具えている。スチールリング32は、絶縁層34を有する遮蔽ケージ33によって絶縁されている。絶縁層34を有する遮蔽ケージ33によって、ナセル2内のきわめて低い電磁場条件が可能となる。
【0044】
一般的に、遮蔽ホース13はスチールホースとすることができる。同様に、遮蔽ケージ22もスチール製にしたり、スチールを含む部材とすることができる。絶縁層34は、例えば、ガラス繊維強化高分子(GFRP)を含むことができる。
【0045】
高電圧ケーブル12aは、その第1の端部がブレード引き下げ導体11に接続され、その第2の端部が接触ブラシ17によってスチールリング32に接続されている。接触ブラシ17は絶縁担持手段16によってハブ7に接続されている。接触ブラシ17を用いる代わりに、スパークギャップによって、高電圧ケーブル12aとスチールリング32との間を電気的に導通接続することができる。参照符号40は、電気的な接続を示している。
【0046】
追加のHVケーブル12bはスチールリング32に電気的に接続されている。図3では、追加のHVケーブル12bの遮蔽ホース13bは、ボルト接続35によって遮蔽ケージ33に接続されている。
【0047】
図3に示す実施形態の代わりに、スチールリング32がハブ7とともに回転し、接触ブラシによって追加のHVケーブルに接続されていてもよい。この場合、図3では、高電圧ケーブル12aは追加のHVケーブルとみなされ、HVケーブル12bはブレード引き下げ導体に接続されるHVケーブルとみなされる。
【0048】
図4に、複数の高電圧ケーブルの第2の端部を互いに、および、接触ブラシに接続する一例を概略的に示す。第1の高電圧ケーブル41は、第1のブレード8の1つ以上の雷受容体に接続されている。第2の高電圧ケーブル42は、第2のブレード8の1つ以上の雷受容体に接続されている。第3の高電圧ケーブル43は、第3のブレード8の1つ以上の雷受容体に接続されている。3つのHVケーブル41、42、43は互いに環状HVケーブル44に接続されている。
【0049】
環状HVケーブル44は2つの接触ブラシ17a、17bを具えている。図4では、第1の接触ブラシ17aは、第2のHVケーブル42の環状HVケーブル44への接点と、第3のHVケーブル43の環状HVケーブル44への接点と、の間に配置されている。第2の接触ブラシ17bは、第3のHVケーブル43の環状HVケーブル44への接点と、第1のHVケーブル41の環状HVケーブル44への接点と、の間に配置されている。HVケーブル41、42、43、44は、接触ブラシ17a、17bによってスチールリング32に接続可能である。
【0050】
図5に、2つのスリップリング51、52の間の電気的な接続を概略的に示す。スリップリング接続53は、第1のスリップリング51と第2のスリップリング52とを接続する。スリップリング接続53は高電圧ケーブル接続54を具えている。
【0051】
本願明細書において「接続する」「接続された」という用語は、他に記載がない限り電気的な接続を意味する。電気的な接続は、それぞれの部品の間で直接的に達成されたり、あるいは、導通される1つ以上の他の部品を介して間接的に達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(1)用の避雷システムであって、
少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)と、
ピックアップユニット(14)と、
追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)と、
を具え、
前記少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)は、雷受容体および前記ピックアップユニット(14)に電気的に接続され、
前記ピックアップユニット(14)は、前記追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)によって電気接地部材(5、6)に電気的に接続されている、
ことを特徴とする避雷システム。
【請求項2】
遮蔽装置(13)が前記少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)あるいは前記追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)の周囲に取り付けられている、あるいは、前記少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)あるいは前記追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)に直接組み入れられていることを特徴とする請求項1に記載の避雷システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12a)および/または前記追加の絶縁高電圧ケーブル(12b)は、スリップリング(31)および/または接触ブラシ(7)および/またはスパークギャップによって前記ピックアップユニット(14)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の避雷システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の避雷システムを具えることを特徴とする風力タービン(1)。
【請求項5】
回転軸(26)と、前記回転軸(26)に配置された前記ピックアップユニット(14)と、を具えることを特徴とする請求項4に記載の風力タービン(1)。
【請求項6】
回転軸(26)と、前記回転軸(26)に配置された中央装置(30)と、を具え、
前記ピックアップユニット(14)は前記中央装置(30)に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の風力タービン(1)。
【請求項7】
中央ハブ装置を有するハブ(7)を具え、
前記ピックアップユニット(14)は前記中央ハブ装置に配置されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の風力タービン(1)。
【請求項8】
中央主軸装置を有する主軸(10)を具え、
前記ピックアップユニット(14)は前記中央主軸装置に配置されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の風力タービン(1)。
【請求項9】
前記中央ハブ装置および/または前記中央主軸装置は、少なくとも1つの電気スリップリングおよび/またはハイドロリックユニオンを具えることを特徴とする請求項7または8に記載の風力タービン(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのロータブレード(8)を具え、
前記少なくとも1つのロータブレード(8)は、前記少なくとも1つの絶縁高電圧ケーブル(12)に接続された雷受容体を有することを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の風力タービン(1)。
【請求項11】
前記ピックアップユニット(14)は、電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の風力タービン(1)。
【請求項12】
ハブ(7)および/または主軸(10)および/または中央ハブ装置および/または中央主軸装置を具え、
前記ピックアップユニット(14)は、前記ハブ(7)および/または前記主軸(10)および/または前記中央ハブ装置および/または前記中央主軸装置から電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項11に記載の風力タービン(1)。
【請求項13】
電気接地部材(5、6)と、
前記電気接地部材(5、6)に、絶縁高電圧ケーブル(12c)によって電気的に接続された少なくとも1つの避雷針(20)と、
を具えることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項に記載の風力タービン(1)。
【請求項14】
前記風力タービン(1)が直接駆動風力タービンであることを特徴とする請求項4〜13のいずれか1項に記載の風力タービン(1)。
【請求項15】
風力タービン(1)の部品を落雷から保護するための方法であって、
前記風力タービン(1)は、電気接地部材(5、6)および少なくとも1つの雷受容体を具え、
前記少なくとも1つの雷受容体を、高電圧ケーブル(12)によってピックアップユニット(14)に電気的に接続し、
前記ピックアップユニット(14)を、追加の高電圧ケーブル(12)によって前記電気接地部材(5、6)に電気的に接続する、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233482(P2012−233482A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−105829(P2012−105829)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】