説明

風力発電機の充電回路装置

【課題】発電電力の変動が大きい風力発電機において、電気量蓄積手段に蓄電した発電電力を昇圧して蓄電池に移し替えている際に、弱風により生じた微弱な発電電力も蓄電することができるとともに、製造コストの増大を抑制することができる風力発電機の充電回路装置を提供する。
【解決手段】弱風により生じた微弱発電電力を蓄電する電気量蓄積手段4を、第1入力端側スイッチ9A及び第1出力端側スイッチ9Bが設けられた第1キャパシタバンク6と、第1キャパシタバンク6と並列に接続され、第2入力端側スイッチ10A及び第2出力端側スイッチ10Bが設けられた、第1キャパシタバンク6よりも容量が小さい第2キャパシタバンク7により構成した。第1キャパシタバンク6に蓄電した電力を負荷3側へ放電している際における微弱発電電力を第2キャパシタバンク7に蓄電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力エネルギにより回転する羽根の回転力を電気エネルギに変換する風力発電機に用いられる充電回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電機は、風力エネルギにより回転する羽根の回転力を電気エネルギに変換するものであり、風力発電機により発電された電力は、照明や電動機等の負荷に直接使用されるか、あるいは、一時的に蓄電池(二次電池)に蓄えた後に各種電力用途に使用される。
風力発電機は、利用する風力が自然現象によるものであることからその変動が大きく、発電電力もそれに応じて大きく変動するため、蓄電池に対して充電可能な電圧値を下回る発電電力は全く利用されずに無駄に失われていた。
このようなことから、変動する発電電力を効率的に充電するための充電回路装置として、(1)弱風の場合には、蓄電池充電可能電圧以下の発電電力をキャパシタに蓄電し、蓄電量が上昇したら昇圧して蓄電池に電力を移し替え、(2)風力が中程度の場合には、キャパシタ定格電圧以上で蓄電池充電電圧以下の発電電力を昇圧して蓄電池に蓄電し、(3)強風の場合には、蓄電池充電電圧以上の発電電力を直接蓄電池に蓄電するように構成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、風力発電機の充電回路装置ではないが、太陽電池で蓄電池に充電して蓄電池から負荷に電力供給する充電回路装置において、同容量の2個の蓄電池(第1蓄電池及び第2蓄電池)を備え、(1)太陽光が十分にあり第1蓄電池が満充電になったとき、又は、負荷で消費されて放電中の第2蓄電池の蓄電量が0になったときには、充電していた第1蓄電池は放電に、放電していた第2蓄電池は充電に切り替え、(2)第2蓄電池が満充電になったとき、又は、負荷で消費されて放電中の第1蓄電池の蓄電量が0になったときには、充電していた第2蓄電池は放電に、放電していた第1蓄電池は充電に切り替えるように構成したものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−98709号公報
【特許文献2】特開2001−45677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような風力発電機の充電回路装置の構成では、キャパシタに蓄電した発電電力を昇圧して蓄電池に移し替えている際に、弱風により生じた微弱な発電電力が生じた場合にはキャパシタに蓄電されないため、この発電電力が無駄になる。
また、特許文献2のような同容量の2個の蓄電池を備えて交互に使用する構成を風力発電機の充電回路装置として使用した場合には、蓄電池に対して充電可能な電圧値を下回るような発電電力は全く利用されずに無駄に失われるとともに、同容量の2個の蓄電池を備える必要があるため製造コストが増大する。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、発電電力の変動が大きい風力発電機において、キャパシタ等の電気量蓄積手段に蓄電した発電電力を昇圧して蓄電池に移し替えている際に、弱風により生じた微弱な発電電力も蓄電することができるとともに、製造コストの増大を抑制することができる風力発電機の充電回路装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る風力発電機の充電回路装置は、前記課題解決のために、風力発電機の交流発電電力を整流する整流回路と、前記整流回路の出力側と負荷との間に接続された第1DC−DCコンバータと、前記第1DC−DCコンバータと並列に接続された、前記整流回路側の電気量蓄積手段及び前記電気量蓄積手段の出力側に接続された第2DC−DCコンバータと、前記第1DC−DCコンバータ及び第2DC−DCコンバータの出力側に前記負荷と並列に接続された蓄電池とを備え、前記電気量蓄積手段が、電気二重層キャパシタ又はコンデンサの複数を繋いでなる、その入力端側及び出力端側に第1入力端側スイッチ及び第1出力端側スイッチが設けられた主キャパシタバンク、並びに、前記主キャパシタバンクと並列に接続され、電気二重層キャパシタ又はコンデンサの複数を繋いでなる、その入力端側及び出力端側に第2入力端側スイッチ及び第2出力端側スイッチが設けられた、前記主キャパシタバンクよりも容量が小さい副キャパシタバンクにより構成され、前記整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値が設定電圧値以上である場合には、前記第1DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧した電力を出力し、前記整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値が設定電圧値未満である場合には、前記第1入力端側スイッチをオンにし前記第1出力端側スイッチをオフにして、前記主キャパシタバンクに電気量を蓄積し、このように前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電開始電圧値に到達し、且つ、前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下しているときに、前記第1入力端側スイッチをオフにし前記第1出力端側スイッチをオンにして、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧した電力を出力し、前記第1入力端側スイッチをオフにし前記第1出力端側スイッチをオンにするのと同時又は直後に、前記第2入力端側スイッチをオンにし前記第2出力端側スイッチをオフにして、前記副キャパシタバンクに電気量を蓄積し、このように前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電開始電圧値に到達し、且つ、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下しているときに、前記第2入力側スイッチをオフにし前記第2出力側スイッチをオンにして前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧した電力を出力するとともに、前記第1入力側スイッチをオンにし前記第1出力側スイッチをオフにして前記主キャパシタバンクに電気量を蓄積し、その後、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧して出力していき、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下したときには、前記第2DC−DCコンバータは前記負荷側への電力供給を停止し、前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧して出力していき、前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下したときには、前記第2DC−DCコンバータは前記負荷側への電力供給を停止することを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、第1入力端側スイッチをオフにし第1出力端側スイッチをオンにするのと同時又は直後に、第2入力端側スイッチをオンにし第2出力端側スイッチをオフにするので、整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧が設定電圧値未満である場合に主キャパシタバンクに蓄電した電力を負荷側へ放電している際に、弱風により生じた微弱な発電電力(前記設定電圧値未満である前記直流発電電力)を副キャパシタバンクに蓄電することができるため、この発電電力が無駄になることがない。
その上、副キャパシタバンクの容量が主キャパシタバンクの容量よりも小さく、主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電開始電圧値に到達し、且つ、副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下しているときに、主キャパシタバンクに蓄電された電力を放電し、副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電開始電圧値に到達し、且つ、主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下しているときに、副キャパシタバンクに蓄電された電力を放電するので、主キャパシタバンク一杯に蓄電して副キャパシタバンクの蓄電量が無くなった際に主キャパシタバンクに蓄電された電力が放電され、副キャパシタバンク一杯に蓄電して主キャパシタバンクの蓄電量が無くなった際に副キャパシタバンクに蓄電された電力が放電される。
よって、主キャパシタバンク及び副キャパシタバンクの容量を効率的に使用して発電電力を蓄電し、この発電電力を有効活用することができる。
その上さらに、上述の主キャパシタバンク及び副キャパシタバンクを有効活用する充放電制御と相俟って、同容量の2個のキャパシタバンクを交互に使用するのではなく、主キャパシタバンクよりも容量が小さい副キャパシタバンクを補助的に用いているので、製造コストの増大を抑制することができる。
【0008】
ここで、前記副キャパシタバンクは、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記負荷側へ供給し始めてから所定の放電終了電圧値まで放電が継続する時間内に、前記設定電圧値未満の前記直流発電電力の電気量を蓄積する分の容量を備えた小容量のものであると好ましい。
このような構成によれば、副キャパシタバンクの容量をより小さくすることができるので、製造コストを低減することができる。
【0009】
また、前記整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値が設定電圧値未満である場合に、前記直流発電電力と前記電気量蓄積手段の充電電力とが等しくなるように、前記電気量蓄積手段の電気量による電圧値を確認しながら充電電流を調整する第3DC−DCコンバータを前記電気量蓄積手段の入力側に備えてなると好ましい。
このような構成によれば、第3DC−DCコンバータにより、充電が進むにつれて上昇する電気量蓄積手段の電気量による電圧値を確認しながら充電電流が調整され、直流発電電力と電気量蓄積手段の充電電力とが等しくなるように制御されるため、風力発電機の失速を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明に係る風力発電機の充電回路装置によれば、発電電力の変動が大きい風力発電機において、主キャパシタバンクに蓄電した電力を負荷側へ放電している際に弱風により生じた微弱な発電電力が副キャパシタバンクに蓄電されるので、前記微弱な発電電力が無駄になることがなく、主キャパシタバンク一杯に蓄電して副キャパシタバンクの蓄電量が無くなった際に主キャパシタバンクに蓄電された電力が放電され、副キャパシタバンク一杯に蓄電して主キャパシタバンクの蓄電量が無くなった際に副キャパシタバンクに蓄電された電力が放電されるので、主キャパシタバンク及び副キャパシタバンクの容量を効率的に使用して発電電力を蓄電し、この発電電力を有効活用することができ、主キャパシタバンクよりも容量が小さい副キャパシタバンクを補助的に用いているので、製造コストの増大を抑制することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る風力発電機の充電回路装置の使用例である夜間照明用街路灯を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る風力発電機の充電回路装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る風力発電機の充電回路装置の回路構成図である。
【図4】同回路構成図であり、制御回路部の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
図1の斜視図に、本発明の実施の形態に係る風力発電機の充電回路装置の使用例として示す夜間照明用街路灯Aは、風力エネルギにより垂直軸まわりに回転する縦型風車(羽根B)の回転力を電気エネルギに変換する風力発電機1の発電電力又はソーラーパネル(太陽電池モジュール)Sの発電電力を用いて照明器具Cを点灯させるものであり、風力発電機1により発電された電力は鉛蓄電池(シールドバッテリ)及び後述する電気量蓄積手段に蓄電される。
なお、本発明の風力発電機1の充電回路装置は、図1及び図3に示すようにソーラーパネルSと組み合わせてもよいし、ソーラーパネルSと組み合わせずに用いてもよい。
【0013】
図2の概略ブロック図並びに図3及び図4の回路構成図に示すように、本発明の実施の形態に係る風力発電機1の充電回路装置は、風力発電機1の交流発電電力を整流する整流回路2、整流回路2の出力側と負荷3(例えば照明器具C)との間に接続された第1DC−DCコンバータ11、第1DC−DCコンバータ11と並列に接続された、整流回路2側の電気量蓄積手段4及び電気量蓄積手段4の出力側に接続された第2DC−DCコンバータ12、電気量蓄積手段4の入力側に接続された第3DC−DCコンバータ13、並びに、第1DC−DCコンバータ11及び第2DC−DCコンバータ12の出力側に負荷3と並列に接続された例えば鉛蓄電池である蓄電池5等を備えている。
また、電気量蓄積手段4は、電気二重層キャパシタ又はコンデンサの複数を繋いでなる、その入力端側及び出力端側に第1入力端側スイッチ9A及び第1出力端側スイッチ9Bが設けられた主キャパシタバンクである第1キャパシタバンク6、並びに、第1キャパシタバンク6と並列に接続され、電気二重層キャパシタ又はコンデンサの複数を繋いでなる、その入力端側及び出力端側に第2入力端側スイッチ10A及び第2出力端側スイッチ10Bが設けられた副キャパシタバンクである第2キャパシタバンク7により構成される。
【0014】
整流回路2で整流した後の直流発電電力の電圧値V0(例えば0<V0<24V)が設定電圧値VS(例えば4V)以上(V0≧VS)である場合には、第1DC−DCコンバータ11により負荷3側の電圧値VL(例えば27V)に昇圧した電力が出力され、負荷3の駆動(例えば照明器具Cの点灯)若しくは蓄電池5の充電又はその両方を行う。
ここで、第1DC−DCコンバータ11の出力電圧は、負荷3の定格と蓄電池5のフロート充電電圧の関係で、一定の電圧値VLである。
しかし、第1DC−DCコンバータ11に入力される電圧は、例えば4〜24Vの範囲であって、一定ではなく、出力側の蓄電池5は放電深度によって充電電流も変化する。
そこで、第1DC−DCコンバータ11には、一定の電圧値VLと負荷3への供給電流及び蓄電池5の充電電流の合計電流値との積が、第1DC−DCコンバータ11に入力される電気量(電力)を超えないよう電流を制御する機能が備わっている。
【0015】
整流回路2で整流した後の直流発電電力の電圧値V0(例えば0<V0<24V)が設定電圧値VS(例えば4V)未満(V0<VS)である場合(この場合の発電電力を、以下において「微弱発電電力」という。)には、例えば半導体スイッチで構成されるスイッチング手段8である第1入力端側スイッチ9A及び第1出力端側スイッチ9B並びに第2入力端側スイッチ10A及び第2出力端側スイッチ10Bを切り替えて電気量蓄積手段4に蓄電するとともに、スイッチング手段8を切り替えて放電し、第2DC−DCコンバータ12により負荷3側の電圧値VLに昇圧した電力を出力する。
なお、主キャパシタバンクである第1キャパシタバンク6は、例えば、現在有効利用できていない風力発電機1の縦型風車(羽根B)の回転速度が60rpm以下の領域であることから、縦型風車(羽根B)の回転速度が60rpmで所定時間(例えば10分)回転した際の発電電力を蓄電することができる容量のものを選定する。
また、副キャパシタバンクである第2キャパシタバンク7は、第1キャパシタバンク6よりも容量が小さいものであり、例えば、第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量を負荷3側へ供給し始めてから所定の放電終了電圧値Vminまで放電が継続する時間内に、微弱発電電力の電気量を蓄積する分の容量を備えた小容量のものとすればよく、例えば第1キャパシタバンク6の1/10程度の容量にすることができる。
【0016】
次に、電気量蓄積手段4である第1キャパシタバンク6及び第2キャパシタバンク7の充放電動作について説明する。
整流回路2で整流した後の直流発電電力が微弱発電電力である場合、先ず第1キャパシタバンク6に蓄電される。
すなわち、図4に示す制御回路部において、直流発電電力の電圧値V0の検出手段(「発電電圧検出手段」)により検出した直流発電電力の電圧値V0(「発電電圧」)が設定電圧VS未満である場合、直流発電電力の電圧値V0の検出手段(「発電電圧検出手段」)と第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量による電圧値V1の検出手段(「バンク1電圧検出手段」)の夫々により検出された電圧から、その電位差(V1−V0)を求め、後述する「風車回転数−充電電流の最適化制御パラメータ」に基づいて、充電電流の最大効率点を求め、図3の第3DC−DCコンバータ13のスイッチング素子を制御し、第1入力端側スイッチ9Aをオンにし第1出力端側スイッチ9Bをオフにした第1キャパシタバンク6に微弱発電電力を充電する。
なお、電圧値V1が所定の放電開始電圧値Vmax(例えば16V、図2も参照。)未満(V1<Vmax)であるときには、第1入力端側スイッチ9Aをオンに第1出力端側スイッチ9Bをオフにするように制御され、電圧値V1が放電開始電圧値Vmax以上(V1≧Vmax)であるときには、第1入力端側スイッチ9Aをオフにし第1出力端側スイッチ9Bをオンにするように制御される。
【0017】
また、スイッチング手段8は、第2キャパシタバンク7側の第2入力端側スイッチ10A及び第2出力端側スイッチ10Bも連動しており、第1キャパシタバンク6の第1入力端側スイッチ9Aがオフに第1出力端側スイッチ9Bがオンになると同時又は直後に、第2入力端側スイッチ10Aがオンに第2出力側スイッチ10Bがオフに切り替わるように制御されるため、その際には、微弱発電電力は第2キャパシタバンク7に蓄電される。
さらに、V1≧Vmaxになった際には、図4の制御回路部は、上述のとおり第1入力端側スイッチ9Aをオフにし第1出力端側スイッチ9Bをオンにし、第2DC−DCコンバータ12の出力側に接続された負荷3の駆動状態及び蓄電池5の充電状態を判断しながら、第2DC−DCコンバータ12に対し、昇圧制御部を経てゲート信号を制御する。
その結果、第1キャパシタバンク6に蓄電された電力は負荷3側の電圧値VL(例えば27V)に昇圧されて第2DC−DCコンバータ12より出力され、この電力により負荷3の駆動若しくは蓄電池5の充電又はその両方を行う。
第2DC−DCコンバータ12の昇圧放電動作が始まり、電力の移送が始まると、第1キャパシタバンク6の電圧値V1は徐々に低下し、第1キャパシタバンク6の電圧値V1が所定の放電終了電圧値Vmin(例えば4V、図2も参照。)まで低下すると、第2DC−DCコンバータ12は昇圧放電動作を停止する。
【0018】
上述のとおり、第1キャパシタバンク6の第1入力端側スイッチ9Aがオフに第1出力端側スイッチ9Bがオンになると同時又は直後に、第2入力端側スイッチ10Aがオンに第2出力側スイッチ10Bがオフに切り替わるように制御されるため、第1キャパシタバンク6に蓄電した電力を負荷3側へ放電している際における微弱発電電力は第2キャパシタバンク6に蓄電される。
すなわち、図4の制御回路部において、直流発電電力の電圧値V0の検出手段(「発電電圧検出手段」)により検出した直流発電電力の電圧値V0(「発電電圧」)が設定電圧VS未満である場合、直流発電電力の電圧値V0の検出手段(「発電電圧検出手段」)と第2キャパシタバンク7の電圧値V2の検出手段(「バンク2電圧検出手段」)の夫々により検出された電圧から、その電位差(V2−V0)を求め、後述する「風車回転数−充電電流の最適化制御パラメータ」に基づいて、充電電流の最大効率点を求め、第3DC−DCコンバータ13のスイッチング素子を制御し、第2入力端側スイッチ10Aをオンにし第2出力端側スイッチ10Bをオフにした第2キャパシタバンク7に微弱発電電力を充電する。
【0019】
このように第2キャパシタバンク7に蓄積された電気量による電圧値V2が所定の放電開始電圧値Vmax(例えば16V、図2も参照。)に到達し、且つ、第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量による電圧値V1が所定の放電終了電圧値Vmin(例えば4V、図2も参照。)まで低下しているときには、第2入力側スイッチ10Aをオフにし第2出力側スイッチ10Bをオンにするように制御され、第2DC−DCコンバータ12の出力側に接続された負荷3の駆動状態及び蓄電池5の充電状態を判断しながら、第2DC−DCコンバータ12に対し、昇圧制御部を経てゲート信号を制御し、第2キャパシタバンク7に蓄積された電気量を第2DC−DCコンバータ12により負荷3側の電圧値VLに昇圧した電力を出力するとともに、第1入力側スイッチ9Aをオンにし第1出力側スイッチ9Bをオフにするように制御されるため、微弱発電電力は第1キャパシタバンク6に充電される。
そして、第2キャパシタバンク7に蓄積された電気量による電圧値V2が所定の放電終了電圧値Vminまで低下したときには、第2DC−DCコンバータ12は負荷3側への電力供給を停止する。
【0020】
図3に示す蓄電池5の充放電電流A3及び充放電電圧V3は、図4の制御回路部の「充放電電流&電圧検出手段」により監視され、制御回路部は蓄電池5の充電状態を把握している。
蓄電池5が満充電で、且つ負荷3が駆動していないときは、第1DC−DCコンバータ11及び第2DC−DCコンバータ12は出力動作を停止する。この間、第1キャパシタバンク6及び第2キャパシタバンク7は夫々満充電状態(V1=V2=Vmax)まで蓄電し、それ以降の電力は廃棄する。
また、無風状態など、風力発電機1からの電力供給が途絶えた場合は、蓄電池5が負荷3と並列に接続されているので、蓄電池5から負荷3に電力が供給される。
【0021】
次に、第3DC−DCコンバータ13の昇圧制御に関し、参照する「風車回転数−充電電流の最適化制御パラメータ」について説明する。
風力発電機1が発電した電力を第1キャパシタバンク6又は第2キャパシタバンク7に充電する場合、風力発電機1を失速させないようにするためには、第3DC−DCコンバータ13は風力発電機1の発電電力と第1キャパシタバンク6又は第2キャパシタバンク7への充電電力とが等しくなるように制御する必要がある。
また、第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量による電圧値V1及び第2キャパシタバンク7に蓄積された電気量による電圧値V2は、これらの蓄電量に応じて絶えず変化するため、このように変化する電圧値V1又はV2を確認しながら充電電流を調整する必要があり、その際には、例えば、風力発電機1の風車回転数(rpm)による発電電力と電圧値V1又はV2及び充電電流を対応させたパラメータ(テーブル)を参照しながら充電電流を調整する制御を行うことができる。
【0022】
以上のような構成の風力発電機1の充電回路装置によれば、第1キャパシタバンク6の第1入力端側スイッチ9Aをオフにし第1出力端側スイッチ9Bをオンにするのと同時又は直後に、第2キャパシタバンク7の第2入力端側スイッチ10Aをオンにし第2出力端側スイッチ10Bをオフにするので、第1キャパシタバンク6に蓄電した電力を負荷3側へ放電している際に、弱風により生じた微弱発電電力を第2キャパシタバンク7に蓄電することができるため、この発電電力が無駄になることがない。
また、第2キャパシタバンク7の容量が第1キャパシタバンク6の容量よりも小さく、第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量による電圧値V1が所定の放電開始電圧値Vmaxに到達し、且つ、第2キャパシタバンク7に蓄積された電気量による電圧値V2が所定の放電終了電圧値Vminまで低下しているときに、第1キャパシタバンク6に蓄電された電力を放電し、第2キャパシタバンク7に蓄積された電気量による電圧値V2が所定の放電開始電圧値Vmaxに到達し、且つ、第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量による電圧値V1が所定の放電終了電圧値Vminまで低下しているときに、第2キャパシタバンク7に蓄電された電力を放電するので、第1キャパシタバンク6一杯に蓄電して第2キャパシタバンク7の蓄電量が無くなった際に第1キャパシタバンク6に蓄電された電力が放電され、第2キャパシタバンク7一杯に蓄電して第1キャパシタバンク6の蓄電量が無くなった際に第2キャパシタバンク7に蓄電された電力が放電されるため、第1キャパシタバンク6及び第2キャパシタバンク7の容量を効率的に使用して発電電力を蓄電し、この発電電力を有効活用することができる。
【0023】
さらに、同容量の2個のキャパシタバンクを交互に使用するのではなく、主キャパシタバンクである第1キャパシタバンク6よりも容量が小さい副キャパシタバンクである第2キャパシタバンク7を補助的に用いているので、製造コストの増大を抑制することができる。
さらにまた、第2キャパシタバンク7は、第1キャパシタバンク6に蓄積された電気量を負荷3側へ供給し始めてから所定の放電終了電圧値Vminまで放電が継続する時間内に、設定電圧値VS未満の直流発電電力の電気量を蓄積する分の容量を備えた小容量のものであるので、第2キャパシタバンク7の容量をより小さくすることができるので、製造コストを低減することができる。
また、整流回路2で整流した後の直流発電電力の電圧値V0が設定電圧値VS未満である場合に、前記直流発電電力と電気量蓄積手段4の充電電力(第1キャパシタバンク6又は第2キャパシタバンク7の充電電力)とが等しくなるように、電気量蓄積手段4の電気量による電圧値(V1又はV2)を確認しながら充電電流を調整する第3DC−DCコンバータ13を電気量蓄積手段4の入力側に備えているので、第3DC−DCコンバータ13により、充電が進むにつれて上昇する電気量蓄積手段4の電気量による電圧値(V1又はV2)を確認しながら充電電流が調整され、直流発電電力と電気量蓄積手段4の充電電力とが等しくなるように制御されるため、風力発電機1の失速を防止することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 風力発電機
2 整流回路
3 負荷
4 電気量蓄積手段
5 蓄電池
6 第1キャパシタバンク(主キャパシタバンク)
7 第2キャパシタバンク(副キャパシタバンク)
8 スイッチング手段
9A 第1入力端側スイッチ
9B 第1出力端側スイッチ
10A 第2入力端側スイッチ
10B 第2出力端側スイッチ
11 第1DC−DCコンバータ
12 第2DC−DCコンバータ
13 第3DC−DCコンバータ
A 夜間照明用街路灯
B 羽根
C 照明器具
S ソーラーパネル
V0 整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値
VS 設定電圧値
VL 負荷側の電圧値
V1 主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値
V2 副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値
Vmax 放電開始電圧値
Vmin 放電終了電圧値


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電機の交流発電電力を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力側と負荷との間に接続された第1DC−DCコンバータと、
前記第1DC−DCコンバータと並列に接続された、前記整流回路側の電気量蓄積手段及び前記電気量蓄積手段の出力側に接続された第2DC−DCコンバータと、
前記第1DC−DCコンバータ及び第2DC−DCコンバータの出力側に前記負荷と並列に接続された蓄電池とを備え、
前記電気量蓄積手段が、電気二重層キャパシタ又はコンデンサの複数を繋いでなる、その入力端側及び出力端側に第1入力端側スイッチ及び第1出力端側スイッチが設けられた主キャパシタバンク、並びに、前記主キャパシタバンクと並列に接続され、電気二重層キャパシタ又はコンデンサの複数を繋いでなる、その入力端側及び出力端側に第2入力端側スイッチ及び第2出力端側スイッチが設けられた、前記主キャパシタバンクよりも容量が小さい副キャパシタバンクにより構成され、
前記整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値が設定電圧値以上である場合には、前記第1DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧した電力を出力し、
前記整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値が設定電圧値未満である場合には、前記第1入力端側スイッチをオンにし前記第1出力端側スイッチをオフにして、前記主キャパシタバンクに電気量を蓄積し、このように前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電開始電圧値に到達し、且つ、前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下しているときに、前記第1入力端側スイッチをオフにし前記第1出力端側スイッチをオンにして、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧した電力を出力し、前記第1入力端側スイッチをオフにし前記第1出力端側スイッチをオンにするのと同時又は直後に、前記第2入力端側スイッチをオンにし前記第2出力端側スイッチをオフにして、前記副キャパシタバンクに電気量を蓄積し、このように前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電開始電圧値に到達し、且つ、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下しているときに、前記第2入力側スイッチをオフにし前記第2出力側スイッチをオンにして前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧した電力を出力するとともに、前記第1入力側スイッチをオンにし前記第1出力側スイッチをオフにして前記主キャパシタバンクに電気量を蓄積し、その後、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧して出力していき、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下したときには、前記第2DC−DCコンバータは前記負荷側への電力供給を停止し、前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記第2DC−DCコンバータにより前記負荷側の電圧値に昇圧して出力していき、前記副キャパシタバンクに蓄積された電気量による電圧値が所定の放電終了電圧値まで低下したときには、前記第2DC−DCコンバータは前記負荷側への電力供給を停止することを特徴とする風力発電機の充電回路装置。
【請求項2】
前記副キャパシタバンクは、前記主キャパシタバンクに蓄積された電気量を前記負荷側へ供給し始めてから所定の放電終了電圧値まで放電が継続する時間内に、前記設定電圧値未満の前記直流発電電力の電気量を蓄積する分の容量を備えた小容量のものである請求項1記載の風力発電機の充電回路装置。
【請求項3】
前記整流回路で整流した後の直流発電電力の電圧値が設定電圧値未満である場合に、前記直流発電電力と前記電気量蓄積手段の充電電力とが等しくなるように、前記電気量蓄積手段の電気量による電圧値を確認しながら充電電流を調整する第3DC−DCコンバータを前記電気量蓄積手段の入力側に備えてなる請求項1又は2記載の風力発電機の充電回路装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55867(P2013−55867A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194170(P2011−194170)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】