説明

風力選別装置

【課題】軽量物と原料とからなる軽量物混在原料を、軽量物と軽量物が分離された被分別材料とに風力選別するための風力選別装置を提供する。
【解決手段】本発明の風力選別装置は、軽量物混在原料供給手段40と、被分別材料回収手段50と、円筒状に形成され、一方の側が軽量物混在原料供給手段に、他方の側が被分別材料回収手段に連通するように設けられた選別装置本体10と、選別装置本体内に設けられ、ねじ羽根が回転することで、軽量物混在原料を、一方の側から他方の側に移動させる原料移動手段15と、空気を選別装置本体の一方の側から噴出させるとともに他方の側から排気させるように設けられ、選別装置本体内を流れる空気の風力により軽量物混在原料から軽量物を分離し、空気の流れに軽量物を含有させ、選別装置本体の外部に排気する風力選別手段20と、軽量物含有空気から軽量物を分離、回収するための軽量物回収手段30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量物が混在している軽量物混在原料を、軽量物と、軽量物が分離選別された被分別材料とに、風力選別を行えるようにした風力選別装置に関する。さらに詳しくは、少ない動力、風量で風力選別を行えるようにした風力選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨材等原料は、ゴミ等軽量物が混合していると、原料としての品質が低下してしまう。そのため、ゴミ等が混合している原料は、ゴミ等を手動選別、自動選別により除去し、被分別材料とすることが行われる。手動選別は、作業者が、手作業でゴミ等軽量物を選別して除去する作業であり、手間がかかり効率のよい作業ということはできない。また、作業者の疲労が大きく、作業環境もあまりよいとは言えない現状であり、できれば自動化した選別を行いたいとの要望が大きい作業の一つである。
【0003】
そのため、自動選別を行う装置、方法がいろいろ提案されている。その一つの方法として、風力により選別する選別方法がある。その一例として、回転ドラム内にスクリューフィーダにより廃棄物を送り込むとともに、空気供給管から空気を送り込み、掻き上げ板により重量物を逆流させて出口から排出し、軽量物は出口から排出する廃棄物の回転式風力選別装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、受入部に投入された被分別物を送出口へ送り出す送り機構の真下に風力分別機構部を設け、送出口から落下する被分別物に対して、吸気用ファンによる風を風向板を介して送り出し方向の反対方向へ吹き付けることにより、被分別物を分別する風力分別装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3602761号公報
【特許文献2】特開2005−074391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、機械、建築、運輸、電子電気機器などの分野の各種設備には、省エネルギー、地球環境にやさしいエコロジー等であることが求められている。風力選別装置においても、少ない動力と風力により、選別を行えることが求められている。
しかしながら、前述した特許文献の技術は、このような要求に答えるものでなく、大きな動力、風力を必要とするものであった。また、風力選別装置は、小さな動力、風力であっても、重量物である被分別材料とゴミ等の軽量物とを、確実に、故障等することなく選別する必要があり、そのための工夫も必要であった。
言い換えると、風力選別装置として、特許文献1、2の技術は、まだ改良の余地が多くあるものであった。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたもので、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、軽量物が混在している軽量物混在原料を、軽量物と、軽量物が分離された被分別材料とに、少ない動力と風量により風力選別することができる風力選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の風力選別装置は、
原料に軽量物が付着、または、軽量物と原料とが混在している軽量物混在原料を、前記軽量物と、前記軽量物が分離された被分別材料とに選別して回収するための風力選別装置であって、前記軽量物混在原料を供給するための軽量物混在原料供給手段と、前記被分別材料を回収するための被分別材料回収手段と、円筒状に形成され、一方の側が前記軽量物混在原料供給手段に、他方の側が前記被分別材料回収手段に、各々、連通するように設けられた選別装置本体と、前記選別装置本体内に設けられ、ねじ羽根が回転することで、前記軽量物混在原料を、前記一方の側から前記他方の側に移動させるための原料移動手段と、空気を前記選別装置本体の前記一方の側から噴出させるとともに前記選別装置本体の前記他方の側から排気させるように設けられ、前記選別装置本体内を流れる前記空気の風力により前記軽量物混在原料から前記軽量物を分離して前記被分別材料とするとともに、前記空気の流れに前記軽量物を含有させ、前記軽量物が含有された軽量物含有空気を前記選別装置本体の前記他方の側から外部に排気するための風力選別手段と、前記風力選別手段より排気された前記軽量物含有空気から、前記軽量物を分離して回収するための軽量物回収手段とを備え、前記軽量物混在原料供給手段には、軽量物混在原料を供給するための供給通路に、前記供給通路の開閉を行うための供給通路開閉手段が設けられ、前記被分別材料回収手段には、被分別材料を回収するための回収通路に、前記回収通路の開閉を行うための回収通路開閉手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明2の風力選別装置は、本発明1において、
前記供給通路開閉手段は、前記選別装置本体に供給する前記軽量物混在原料の供給量を調整するための機能を有し、前記回収通路開閉手段は、前記選別装置本体から回収する前記被分別材料の回収量を調整するための機能を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明3の風力選別装置は、本発明1または2において、
前記ねじ羽根は、前記空気の流れの誘導を行う機能を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明4の風力選別装置は、本発明1から3において、
前記原料移動手段は、前記ねじ羽根の螺旋状部位の所定の位置に、前記軽量物混在原料を掻き上げるための掻き上げ部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明5の風力選別装置は、本発明1から4において、
前記風力選別手段は、前記選別装置本体の前記他方の側から排気された空気を、前記一方の側に循環させる空気循環路を備えたものであり、前記軽量物回収手段は、前記空気循環路に連通するように設けられているものであることを特徴とする。
【0012】
本発明6の風力選別装置は、本発明5において、
前記空気循環路には、前記選別装置本体内の流路を迂回して前記空気を流通させるための迂回循環路が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明7の風力選別装置は、本発明1から5において、
前記選別装置本体は、前記一方の側に、前記空気を前記選別装置本体に噴出させるための空気噴出ノズルが設けられていることを特徴する。
【0014】
本発明8の風力選別装置は、本発明7において、
前記空気噴出ノズルは、前記選別装置本体の円筒状部位の接線方向から前記空気を噴出させるように設けられているものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の風力選別装置は、選別装置本体の選別室内をほぼ閉じられた空間とすることができるので、圧力損失が少なく、より少ない動力と風量により、軽量物混在原料から軽量物を分離する風力選別を行うことができる。また、選別室内を流れる空気(風)は、渦巻き流を起こし、軽量物混在原料の表面を回転しながら軽量物を分離する風力選別をしている。さらに、原料移動手段(スクリューコンベア)は、選別室底面側の軽量物混在原料、被分別材料を移動させる機能と、選別室内を流れる風が渦巻き流になるように誘導する機能を兼ねている。そのため、軽量物混在原料から軽量物を効率よく分離させる風力選別を行うことができる。また、空気循環路を備えたものは、空気が空気循環路内を循環するものであり、エネルギー消費等の無駄がない。
【0016】
従って、この風力選別装置は、簡素な構成でありながら、確実に、信頼性が高い風力選別作業を行うことができ、選別作業の自動化が図れる。そして、小さな動力、風量で風力選別を行うことができ、省エネルギーでいわゆる「地球環境にやさしい」風力選別装置を提供することができる。
【0017】
また、噴射ノズルから噴出される空気の向きを、円筒状の選別本体に対して、接線方向、または、接線方向に近い方向から空気を噴射するようにしたものは、選別本体内に噴出した空気が、選別室の内壁面に沿って流れるため、渦巻きのような流れが生じやすくなる。従って、このように流れている空気は、軽量物を含有しやすくなり、さらに効率よく軽量物を分離させる風力選別を行うことができる。
【0018】
さらに、スクリューコンベアに掻き上げ部が形成されたものは、選別室底面から、軽量物混在原料、軽量物等を掻き上げることにより、選別室底面側に沈んでいる軽量物を掻き上げる作用があり、効率よく空気に軽量物を含有させることができ、さらに効率よく軽量物を分離させる風力選別を行うことができる。また、バイパス循環路が設けられたものは、空気が選別室内とバイパス循環路とに分岐して流れ、選別装置本体の排気口近傍が、シャープな分別点(切点)となるため、軽量物を効率よく分離させる風力選別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の風力選別装置の外観を示す正面図である。
【図2】図2は、風力選別装置の概要を模式的に示す説明図である。
【図3】図3は、図1をX−X線で切断した部分断面図である。
【図4】図4は、スクリューコンベアのねじ羽根の形状を示す正面図である。
【図5】図5は、他の実施の形態1の風力選別装置を、一部断面にして示した正面図である。
【図6】図6は、図5をY−Y線で切断した断面図である。
【図7】図7は、他の実施の形態2の風力選別装置におけるスクリューコンベアのねじ羽根の他の形状を示す正面図である。
【図8】図8は、他の実施の形態3の風力選別装置の概要を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の風力選別装置の外観を示す正面図、図2は、風力選別装置の概要を模式的に示した説明図、図3は、図1をX−X線で切断した部分断面図、図4はスクリューコンベアのねじ羽根の形状を示す正面図である。
図1に示すように、本発明の風力選別装置1は、脚部11に支持された円筒状の選別装置本体10、選別装置本体10内で回転して軽量物混在原料G、被分別材料M等を移動させるための原料移動手段15、選別装置本体10内に空気を流通させるための風力選別手段20、この風力選別手段20の空気循環路に設けられ軽量物を回収するための軽量物回収手段30、軽量物混在原料Gを選別装置本体10に供給するための軽量物混在原料供給手段40、軽量物と選別された被分別材料Mを回収するための被分別材料回収手段50等から構成されている。
【0021】
選別装置本体(以下、選別本体と記載する)10は、円筒状の本体であり、内部が選別室10d(図2、3参照)を形成している。選別本体10は、脚部11、11で据付面(風力選別装置設置面)に立設されている。選別本体10の一方の側の外周部上方には、原料に軽量物が付着、または、原料と軽量物とが混在している等の軽量物混在原料(以下、混在原料と記載する)Gを供給するための軽量物混在原料供給手段(以下、原料供給手段と記載する)40が設けられている。原料供給手段40は、上部が開口しているホッパー部41と、ホッパー41部と選別本体10の供給口10aとの間に設けられる供給通路42等から構成されている。供給通路42の途中には、混在原料Gの供給量を調整するための供給量調整手段43が設けられている。
なお、この形態の説明でいう混在原料Gとは、例えば、ゴミ等軽量物Dが混じった骨材、混合産業廃棄物などである。そして、軽量物Dが分離された被分別材料Mとは、例えば、骨材等の製品として使用できるものである。
【0022】
供給量調整手段43は、ロータ(図示せず)を所定の回転速度で回転させることにより、混在原料Gをホッパー部41から選別室10d内に供給している。また、すなわち、駆動モータ44によるロータの回転速度を調整することにより、ホッパー部41から選別室10d内へ供給される混在原料Gの供給量を調整することができる。この供給量調整手段43は、駆動モータ44による駆動でロータ(図示せず)を回転させることにより、混在原料Gが重力によって、ホッパー部41から選別本体10の選別室10d内に移動するものであり、ロータリーバルブとして公知なものである。
【0023】
選別本体10の他方の側の外周部下方には、軽量物Dが分離された被分別材料Mを回収するための被分別材料回収手段50が設けられている。この被分別材料Mは、選別本体10内を流れる空気の風力で吹き飛ばされない重量物である。例えば、ゴミ等軽量物が混在している軽量物混在骨材(混在原料)から、軽量物が分離された骨材(被分別材料)である。被分別材料回収手段50は、選別本体に形成された回収口10bに接続されているホッパー部51と、ホッパー部51と被分別材料回収部55との間に設けられる回収通路52等から構成されている。回収通路52の途中には、被分別材料Mの回収量を調整するための回収量調整手段53が設けられている。
【0024】
回収量調整手段53は、ロータ(図示せず)を所定の回転速度で回転させることにより、被分別材料Mを選別室10d内から選別本体10の外部に取り出している。また、駆動モータ54によるロータの回転速度を調整することにより、選別室10d内から回収される被分別材料Mの量を調整することができる。この回収量調整手段53は、駆動モータ54による駆動でロータを回転させることにより、被分別材料Mが重力によって、選別室10d内から被分別材料回収手段50外部の被分別材料回収部55に取り出されるものであり、ロータリーバルブとして公知なものである。
【0025】
選別本体10には、メンテナンスなどのための開口部10e(図3参照)が形成されており、この開口部10eには、開閉カバー18a、18bが設けられている。開閉カバー18a、18bには、一方に蝶番17、17が、他方に固定部材19、19が設けられている。開閉カバー18a、18bは、蝶番17、17を支軸として開閉動作が可能である。この開閉カバー18a、18bは開状態にしたとき、メンテナンス等の作業を行うことができる。また、開閉カバー18a、18bを閉状態にしたとき、固定部材19、19で選別本体10に固定され、選別室10dの内部を密閉することができる。
【0026】
選別本体10には、原料移動手段であるスクリューコンベア15が設けられている。スクリューコンベア15の軸芯C2は、選別本体10の軸芯C1と同芯であってもよいが、選別本体10の軸芯C1に対して所定量d下がっていてもよい(図3参照)。すなわち、選別本体10の選別室10dの底面10fになるだけ接近しているとよい。スクリューコンベア15は、減速装置付駆動モータ14、ねじ羽根16等から構成されている。ねじ羽根16は、螺旋状に捩れた羽根であり、一方の軸端側に固定部16aが形成されている。また、ねじ羽根16は、軸端以外の部位が、軸無(シャフトレス)に形成されている(図4参照)。このねじ羽根16は、固定部16aが減速装置14aの出力軸に固定可能に設けられている。また、他の部分は無軸の形状となっている。スクリューコンベア15は、所定の方向に回転させることにより、選別室10d内に投入された混在原料G、被分別材料M等を、供給口10a側(一方の側)から回収口10b側(他方の側)に移動させるものである。ねじ羽根16は、この混在原料G、被分別材料M等の移動を容易にするリード角で捩れている。ねじ羽根は、外周直径、リード角が全長にわたって一定のものであってもよいが、外周直径、リード角の少なくとも一方が一定でない形状のものであってもよい。
【0027】
選別本体10の一方の端部には、第1蓋体12が固定され密閉されている。選別本体10の他方の端部には、第2蓋体13が固定され密閉されている。減速装置付駆動モータ14は、第2蓋体13に固定されている。
なお、スクリューコンベアは、有軸のねじ羽根が設けられたスクリューコンベアであってもよい。有軸のねじ羽根にすると、空気が選別室10dの中央部を流れないで、選別室10dの内壁面側を内壁面に沿うように流れる風量が増し、軽量物を含有しやすくなる。
【0028】
選別本体10の他方の側であって、回収口10bと対向する位置には、排気口10cが形成されている。排気口10cは、選別本体10から軽量物が含有されている軽量物含有空気(以下、含有空気と記載する)を矢印R方向に排気する。排気口10cと送風機21の吸気口には第1循環路22が接続されている。
軽量物回収手段30は、サイクロン分離装置31、軽量物回収量調整手段34、軽量物回収箱35等で構成されている。送風機21の吐出口とサイクロン分離装置31の入口部31aとの間には、第2循環路23が接続されている。サイクロン分離装置31は、下部に円すい部33が形成されている。なお、このサイクロン分離装置31は、サイクロン式の集塵装置等として公知な構成のものである。
【0029】
サイクロン分離装置31を簡単に説明すると、サイクロン分離装置31は、吸い込んだ軽量物(例えば、ゴミ、塵埃)を含有している含有空気を、円筒部31bの中で渦巻きを起こすようにして空気と軽量物Dとを遠心分離するものであり、遠心分離された軽量物Dは円すい部33の下方側に落下する。また、軽量物Dが遠心分離され、清浄になった空気は、上方に設けられた空気出口部32から第3循環路25を介して選別本体10側に循環し、第1蓋体12に設けられた噴出ノズル部26から選別室10d内に、矢印P方向に噴出される。円すい部33の下方には、軽量物回収量調整手段34が設けられている。落下した軽量物Dは、軽量物回収量調整手段34の駆動モータ(図示せず)によるロータ(図示せず)の回転動作に伴って、軽量物回収箱35内に回収される。
【0030】
そして、選別本体10、第1循環路22、第2循環路23、及び、第3循環路25等からなる空気が循環する空気循環経路は、供給量調整手段43のロータ、回収量調整手段53のロータ、軽量物回収量調整手段34のロータが所定の回転速度で回転していることにより、ほぼ閉状態の空間と言うことができる。すなわち、ロータが供給通路42、回収通路52等を間欠的に閉じるとともに、ホッパー部41、供給通路42、ホッパー部51、回収通路52等に混在原料G、被分別材料Mが堆積していることにより、ほぼ閉状態の空間を得ることができるのである。言い換えると、選別本体10の選別室10dはほぼ閉じられた空間を形成することが可能となる。このように閉じられた空間内に空気を流通させて混在原料Gから軽量物Dを分離、分別する作業を行うことで、小さな動力、風量で風力選別を確実に行うことができる。
【0031】
すなわち、供給量調整手段43は、供給通路42を開閉するための供給通路開閉手段であるということができる。回収量調整手段53は、回収通路52を開閉するための回収通路開閉手段であるということができる。また、スクリューコンベア15は、ねじ羽根16が選別室10d内の空間をさらに細かく区切った空間とする作用をするとともに、選別室10d内を流れる風の一部に渦巻き流を起こさせる。
【0032】
選別本体10、第1循環路22、第2循環路23、及び、第3循環路25等からなる空気が循環する空気循環路と、空気循環路に空気を送風、流通させるための送風機21等で風力選別手段20が構成されている。この風力選別手段20は、空気循環路内に空気を循環させているため、圧力損失の少ない効率のよい空気流通をさせ、風力を選別室10d内に供給することができる。送風機21は、駆動モータ21aの駆動により、羽根車、ロータ、羽根等を回転させて送風するファン、ブロワ、ブロアなどとして公知のものである。なお、風力選別手段は、空気循環路内に空気を循環させる形態に限定されることはない。例えば、空気流通路の一方に形成された吸気口から大気の空気を吸気して、選別本体10の一方の側から内部に噴出し、選別本体10の他方の側から排気された空気を、空気流通路の他方に形成された排気口、軽量物回収手段を介して大気に排気するように設けられた送風機を有する形態のものであってもよい。
【0033】
次に、本発明の風力選別装置1の作用について説明を行う。
送風機21を運転し、空気を、選別室10d、第1循環路22、第2循環路23、サイクロン分離装置31、第3循環路25等を介して循環流通させる。また、スクリューコンベア15は、所定の回転速度で回転させる。送風機21で循環させる空気の量(風量)は、混在原料Gから軽量物Dを分離させることができる風力を有する風量であればよい。また、スクリューコンベア15の回転速度は、混在原料Gから軽量物Dが分離可能な時間、混在原料Gが選別室10d内に滞留可能な回転速度であればよい。この、風量、回転速度は、混在原料Gの状態等により変化するおそれがあり、実際に風力選別(軽量物の分離、分別)作業を行ってみて、適宜、決定するとよい。
【0034】
供給量調整手段43、回収量調整手段53、軽量物回収量調整手段34を、各々、所定の回転速度で回転させる。なお、供給量調整手段43、回収量調整手段53は、ほぼ同一の回転速度で回転して、供給量と回収量とのバランスをとるとよい。すなわち、混在材料Gの供給、被分別材料Mの回収のバランスがくずれて、混在材料G、被分別材料Mのどちらか一方が目視でも目立つような堆積をしなければよい。また、供給量と回収量とのバランスがとれていれば、供給量調整手段43、回収量調整手段53の回転速度が異なっていてもよい。軽量物回収量調整手段34の回転速度は、軽量物Dの量により、適宜決定すればよい。
混在原料Gは、矢印B方向に、ホッパー部41に投入される。混在原料Gは、供給量調整手段43のロータの回転に伴い、選別室10d内に移動する。すなわち、混在原料Gは、自重により、選別本体10の選別室10d内に落下していく。
【0035】
混在原料Gは、スクリューコンベア15のねじ羽根16の回転より、供給口10a側から回収口10b側に移動する。このとき、空気は、噴出ノズル部26側から排気口10c側に流れている。また、供給量調整手段43、回収量調整手段53、軽量物回収量調整手段34は、各々、ロータが回転しているので、選別室10d内は、ほぼ閉じられた空間ということができる。混在原料G近傍にある軽量物D、混在原料Gに付着している軽量物Dは、空気の風力により分離され、空気の流れに乗って、空気に含有される。この空気の風力による分離は、混在原料Gが、供給口10a側から回収口10b側に移動している間行われており、回収口10bに近づくほど軽量物Dが分離された被分別材料Mの状態となる。
【0036】
軽量物Dが含有された含有空気は、送風機21を介して、サイクロン分離装置31側に送られる。スクリューコンベア15は、選別室10dの底面10fに沿って混在原料Gを供給口10a側から回収口10b側に移動させるとともに、選別室10d内を流れる風の一部に渦巻き流を起こさせる。渦巻き流になった風は、混在原料Gの表面を回転しながら軽量物Dを吸い上げるように作用する。回収口10bに移動した軽量物Dが分離された被分別材料Mは、ホッパー部51側に落下する。被分別材料Mは、回収量調整手段53のロータの回転動作により外部に取り出され、被分別材料回収部55に矢印E1方向に落下し堆積する。
【0037】
サイクロン分離装置31に送風された含有空気は、サイクロン分離装置31内で軽量物Dと、軽量物Dが分離除去された清浄な空気(清浄空気)とに遠心分離される。サイクロン分離装置31で、遠心分離された軽量物Dは、円すい部33の下方側に落下する。そして、軽量物Dは、軽量物回収量調整手段34のロータの回転動作によりサイクロン分離装置31の外部に取り出され、軽量物回収箱35に矢印E2方向に落下し堆積する。遠心分離された清浄空気は、空気出口部32、第3循環路25を介して選別本体10の噴出ノズル部26側に循環し、噴出ノズル部26から選別室10d内に噴出される。
【0038】
〔風力選別装置の他の実施の形態1〕
風力選別装置の他の実施の形態1について、図5、6に基づいて説明を行う。
図5は、他の実施の形態1の風力選別装置101を一部断面にして示す正面図、図6は、図5をY−Y線で切断した断面図である。なお、これから説明を行う他の実施の形態1〜3では、前述した実施の形態と同一の部位には、同一の符号を付与して詳細な説明を省略し、異なる部位を中心に詳細な説明を行う。
【0039】
選別本体110には、一方の側に、循環空気分岐体112が設けられている。循環空気分岐体112は、第3循環路125側から流入した空気を、選別本体110側とバイパス(迂回)循環路112a側とに分岐して流すためのものである。すなわち、バイパス循環路112aは、一方の側から他方の側へ空気が流れる選別室110dの迂回通路を構成するものである。
【0040】
選別本体110は、前述した形態の選別本体10と同じ働きをするものである。すなわち、供給口110aには原料供給手段40が設けられている。同様に、回収口110bには被分別材料回収手段50が、排気口110cには第1循環路122が設けられている。混在原料Gは、原料供給手段40のホッパー部41から投入され、選別本体110の選別室110d内で、被分別材料Mと軽量物Dとに、風力選別(軽量物の分離、分別)され、被分別材料Mは、被分別材料回収手段50のホッパー部51、回収量調整手段53を介して風力選別装置101の外部に回収される。
【0041】
選別室110d内には、スクリューコンベア115のねじ羽根116が設けられている。このねじ羽根116は軸付のタイプであり、両端の軸部116a、116bが軸受118、118に回転可能に支持されている。軸受118は、選別本体110に固定されたフランジ部材119に支持されている。フランジ部材119には、所定の大きさの空気流通穴119aが形成されており、空気の流通を可能にしている(図6参照)。なお、空気流通穴119aの大きさ、数量は、循環流通させる空気量、混在原料G、混在原料Gから分離させる軽量物D等の種類によって、適宜選択されるものである。
【0042】
選別本体110の外周部には駆動モータ114が固定されている。駆動モータ114の出力軸には一方のプーリが、ねじ羽根116の一方の軸部116aには他方のプーリが設けられている。一方のプーリと他方のプーリとの間には、ベルトが巻回されており、駆動モータ114の駆動力がねじ羽根116に伝達される。この一対のプーリとベルトとが、ベルト・プーリ伝達機構114aを構成する。また、この他の実施の形態1のスクリューコンベア(原料移動手段)115は、駆動モータ114、ベルト・プーリ伝達機構(駆動力伝達機構)114a、ねじ羽根116等で構成されている。なお、駆動モータ114の駆動力をねじ羽根116に伝達する駆動力伝達機構は、スプロケット・チェーン機構、歯付ベルト・歯付プーリ等他の伝達機構であってもよい。
【0043】
ねじ羽根116には、掻き上げ部117が固定されている。掻き上げ部117は、ねじ羽根116の捩れた羽根面(ねじ羽根の螺旋状部位)の外周側に、掻き上げ部117の外周側の面が羽根面の外周とほぼ一致するように設けられている。掻き上げ部117は、ねじ羽根116の外周の接線方向と直交する法線方向と、平行またはほぼ平行な平面上であって、4等配の角度位置(90度毎の位置)に各々設けられている(図5参照)。この他の実施の形態1では、平板状の掻き上げ部117がねじ羽根116の捩れた羽根面に一方の端部に溶接されている。
【0044】
なお、この掻き上げ部は、混在原料G、軽量物D等を掻き上げることができるものであれば、形状、取り付け位置、取り付け角度、個数等は、この他の実施の形態1と異なるものであってもよい。例えば、掻き上げ部は、断面が曲面状、R状の板部材からなるもの、途中で屈曲している板部材からなるもの等であってもよい。また、掻き上げ部は、ねじ羽根の外周面の接線方向と略平行な方向を向けて設けられていてもよい。さらに、掻き上げ部は、ねじ羽根の外周面の接線方向と、この接線方向と直交する法線方向の中間の角度位置に設けられていてもよい。また、掻き上げ部は、所定の角度位置に変更可能であり、変更後、ねじ羽根に固定できるようになっているものであってもよい。
【0045】
この他の実施の形態1のスクリューコンベア115は、スクリュ−コンベア115のねじ羽根116が回転したとき、掻き上げ部117が選別本体110の底面110f側に溜まった混在原料G、軽量物D等を掻き上げ、選別室110d内を流れている空気に軽量物Dが含有されやすくし、軽量物Dの分離を容易とするためのものである。
第1循環路122は、軽量物回収手段30のサイクロン吸込口31aに接続されている。サイクロン分離装置31の空気出口部32は、第2循環路123を介して、送風機21の吸気口に接続されている。送風機21は駆動モータ21aにより駆動され、吸気口から吸気した空気を吐出口から吐出し、第2循環路123側から第3循環路125側に空気を送風する。空気は、第1循環路122、第2循環路123、第3循環路125内を矢印U方向に流れていく。
【0046】
送風機21により送風され、第3循環路125内を矢印U方向に流れる空気は、循環空気分岐体112を介して、選別本体110の選別室110d側と、バイパス循環路112a側とに分岐されて流れる。選別室110d内を矢印U1方向に流れる空気は、混在原料Gから軽量物Dを分離させ、軽量物Dを含有した空気は第1循環路122側に流れていく。バイパス循環路112a内を矢印U2方向に流れた空気は、回収口110b側から排気口110c側に、被分別材料Mになりつつある混在原料Gの移動に逆流するように流れ、排気口110cから第1循環路122側に流れていく。このとき、逆流する空気が、被分別材料Mになりつつある混在原料Gから軽量物Dを分離させる作用を行う。また、分離した軽量物Dが、回収口110b側に流れてしまうことを防止している。言い換えると、循環空気分岐体112で分岐された空気が選別室110d内とバイパス循環路112a内とに流れ、選別本体110の排気口110c近傍が、シャープな分別点(切点)となるため、軽量物Dを効率よく分離する風力選別を行うことができる。
【0047】
そして、被分別材料Mになりつつある混在原料Gは、ねじ羽根116の回転運動により順次押し出されるように回収口110b側に移動するので、回収口110bから排気口110cに逆流している空気による影響を受けることはない。このように、バイパス循環路112aを設けたものは、排気口110c、排気口110c近傍に、選別室110d内を矢印U1方向に流れた空気とバイパス循環路112a内を矢印U2方向に流れた空気とがぶつかる分別点(切点)が作られ分別性能が向上する。なお、このバイパス循環路は、バイパス循環路側を流れる空気の流量を調整するための流量調整弁が設けられたものであってもよい。このようにすると、混在原料G、被分別材料M、軽量物D等の種類により、選別室110d内を流れる空気の流量、バイパス循環路側を流れる空気の流量を調整して、混在原料Gから軽量物Dを分離することを効率よく行うことができる。
【0048】
また、このスクリューコンベア115は、スクリュ−コンベア115のねじ羽根116が回転したとき、掻き上げ部117が選別本体110の底面110f側に溜まった混在原料G、軽量物D等を掻き上げ、選別室110d内を流れている空気に軽量物Dが含有されやすくし、混在原料Gから軽量物Dが分離することをさらに容易にしている。
【0049】
〔風力選別装置の他の実施の形態2〕
風力選別装置の他の実施の形態2について、図7に基づいて説明を行う。図7は、スクリューコンベアのねじ羽根の他の形状を示す正面図である。
この他の実施の形態2のスクリューコンベア215は、軸無しのタイプのスクリューコンベアである。スクリューコンベア215は、ねじ羽根216の対向する両面に掻き上げ部217の両端が固定されている。この掻き上げ部217は、ねじ羽根216の外周に沿ったR状の板部材である。この他の実施の形態2のスクリューコンベア215でも、スクリュ−コンベア215のねじ羽根216が回転したとき、掻き上げ部217が選別本体10、110の底面10f、110f側に溜まった軽量物D、混在原料G等を掻き上げ、選別室10d、110d内を流れている空気に軽量物Dが含有されやすくし、軽量物Dの分離がさらに容易となっている。
【0050】
〔風力選別装置の他の実施の形態3〕
風力選別装置の他の実施の形態3について、図8に基づいて説明を行う。図8は、他の実施の形態3の風力選別装置の概要を模式的に示した説明図である。
この他の実施の形態3の風力選別装置は、図8に示すように、噴出ノズル部26Aから噴出される空気の向きを矢印Q方向にしたものである。すなわち、円筒状の選別本体10に対して、円筒状の選別室10dの接線方向、または、接線方向に近い方向から空気を噴射するようにしている。このようにすると、選別本体10内に噴出した空気が、選別室10dの内壁面に沿って流れるため、渦巻きのような流れが生じやすくなる。従って、このように流れている空気は、軽量物Dを含有しやすくなり、軽量物Dの分離がさらに容易となる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、送風機、サイクロン分離装置の設置位置は、混在原料、軽量物、被分別材料の種類等により、適宜、選択されればよい。また、スクリューコンベアは、軸の有無、掻き上げ部の有無、形状等が混在原料、軽量物、被分別材料の種類により、適宜、選択されればよい。さらに、軽量物回収手段は、軽量物を分離するためのフィルターを備えた集塵装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1、101…風力選別装置
10、110…選別装置本体
15、115…原料移動手段(スクリューコンベア)
16、116…ねじ羽根
20…風力選別手段
21…送風機
22、122…第1循環路
23、123…第2循環路
25、125…第3循環路
26、26A…噴出ノズル部
30…軽量物回収手段
31…サイクロン分離装置
40…軽量物混在原料供給手段
50…被分別材料回収手段
G…軽量物混在原料
M…被分別材料
D…軽量物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料に軽量物が付着、または、軽量物と原料とが混在している軽量物混在原料を、前記軽量物と、前記軽量物が分離された被分別材料とに選別して回収するための風力選別装置であって、
前記軽量物混在原料を供給するための軽量物混在原料供給手段と、
前記被分別材料を回収するための被分別材料回収手段と、
円筒状に形成され、一方の側が前記軽量物混在原料供給手段に、他方の側が前記被分別材料回収手段に、各々、連通するように設けられた選別装置本体と、
前記選別装置本体内に設けられ、ねじ羽根が回転することで、前記軽量物混在原料を、前記一方の側から前記他方の側に移動させるための原料移動手段と、
空気を前記選別装置本体の前記一方の側から噴出させるとともに前記選別装置本体の前記他方の側から排気させるように設けられ、前記選別装置本体内を流れる前記空気の風力により前記軽量物混在原料から前記軽量物を分離して前記被分別材料とするとともに、前記空気の流れに前記軽量物を含有させ、前記軽量物が含有された軽量物含有空気を前記選別装置本体の前記他方の側から外部に排気するための風力選別手段と、
前記風力選別手段より排気された前記軽量物含有空気から、前記軽量物を分離して回収するための軽量物回収手段とを備え、
前記軽量物混在原料供給手段には、軽量物混在原料を供給するための供給通路に、前記供給通路の開閉を行うための供給通路開閉手段が設けられ、
前記被分別材料回収手段には、被分別材料を回収するための回収通路に、前記回収通路の開閉を行うための回収通路開閉手段が設けられている
ことを特徴とする風力選別装置。
【請求項2】
請求項1に記載された風力選別装置において、
前記供給通路開閉手段は、前記選別装置本体に供給する前記軽量物混在原料の供給量を調整するための機能を有し、
前記回収通路開閉手段は、前記選別装置本体から回収する前記被分別材料の回収量を調整するための機能を有している
ことを特徴とする風力選別装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された風力選別装置において、
前記ねじ羽根は、前記空気の流れの誘導を行う機能を有している
ことを特徴とする風力選別装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された風力選別装置において、
前記原料移動手段は、前記ねじ羽根の螺旋状部位の所定の位置に、前記軽量物混在原料を掻き上げるための掻き上げ部が形成されている
ことを特徴とする風力選別装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された風力選別装置において、
前記風力選別手段は、前記選別装置本体の前記他方の側から排気された空気を、前記一方の側に循環させる空気循環路を備えたものであり、
前記軽量物回収手段は、前記空気循環路に連通するように設けられているものである
ことを特徴とする風力選別装置。
【請求項6】
請求項5に記載された風力選別装置において、
前記空気循環路には、前記選別装置本体内の流路を迂回して前記空気を流通させるための迂回循環路が設けられている
ことを特徴とする風力選別装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載された風力選別装置において、
前記選別装置本体は、前記一方の側に、前記空気を前記選別装置本体に噴出させるための空気噴出ノズルが設けられている
ことを特徴する風力選別装置。
【請求項8】
請求項7に記載された風力選別装置において、
前記空気噴出ノズルは、前記選別装置本体の円筒状部位の接線方向から前記空気を噴出させるように設けられているものである
ことを特徴とする風力選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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