説明

風向調節装置

【課題】複数のフィンを誤った配列で取り付けられるのを防ぐことができ、フィンのスムーズな正規の回動を実現できる風向調節装置の提供を目的とする。
【解決手段】ケース11の横フィン回動軸着孔21,22と、複数の横フィン51における回動軸部53と連結軸部55、前記複数の横フィン51を連結する横フィンリンク部材61における横フィン連結孔65の径をそれぞれ複数種類とし、横フィン回動軸着孔21,22、回動軸部53、連結軸部55、横フィン連結孔65を対応させて配列し、複数の横フィン51の配列が正しい設定配列と異なる場合には、複数の横フィン51を横フィンリンク部材61及びケース11に取り付けできないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の風向調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車においては、インストルメントパネルの両縁及び中央部等に風向調節装置が設けられ、エアコン等からの空気の吹き出し方向を調節可能にしている。
【0003】
従来における風向調節装置として、図6の分解斜視図に示すように、ケース101と、複数のフィン111,121と、リンク部材131,141とを備えるものがある。前記フィン111,121には垂直方向の縦フィン111と、水平方向の横フィン121とがある。
【0004】
前記ケース101は、一側が空気吹出口102、他側が空気入口103とされ、内部が空気通路104とされて対向する壁面にはフィン回動軸着孔105,106,107,108が複数形成されている。前記フィン111,121は、両端に回動軸部112,122が形成され、一端には前記回動軸部112,122と共に連結軸部114,124が形成されている。また、前記リンク部材131,141は、プレート状あるいは棒状からなり、複数の連結孔132,142が形成されている。
【0005】
前記フィン111,121は、前記連結軸部114,124が前記リンク部材131,141の連結孔132,142に回動可能に挿入され、その状態で前記回動軸部112,122が前記ケース101のフィン回動軸着孔105,106,107,108に挿入されて図7及び図8に示すように前記ケース101に取り付けられる。前記ケース101に取り付けられた縦フィン111及び横フィン121は、それぞれ前記リンク部材131,141で連結されており、一つの縦フィンを左右に回動させると他の縦フィンも連動して同一方向へ回動し、また一つの横フィンを上下に回動させると他の横フィンも連動して同一方向へ回動するようになっている。
【0006】
前記横フィン121の一つには、左右にスライド可能に操作部材151が取り付けられる。前記操作部材151の背面には、前記縦フィン111の一つを挟む挟持部152が設けられており、前記操作部材151を左右にスライドさせると前記複数の縦フィン111が連動して左右に回動し、一方、前記操作部材151を上下に動かすことにより、前記複数の横フィン121が連動して上下に回動する。符号155は前面枠であり、図8に示すように前記ケース101にフィン111,121が取り付けられた後、前記ケース101の前面に装着される。
【0007】
前記風向調節装置は、求められるデザインや設置部位のスペース等によって、ケースの形状が決定され、前記フィンの取付部位においてケースの上側と下側とで左右の壁間距離が異なっていたり、あるいは左側と右側とで上下の壁間距離が異なっていたりすることがある。また、風向調節の効率化等のために複数のフィンは、ケース内の取付位置によって形状が少し異なるようにされることがある。そのため、複数のフィンは、ケースに取り付けられた際の配列が予め設定されている。ところが、前記複数のフィンは、形状の違いが小さく、近似した形状であることが多いため、誤った配列でケースのフィン回動軸着孔に軸着されるおそれがある。複数のフィンが、設定配列とは異なる誤った配列でケースに取り付けられると、フィンがスムーズに回動しない等の動作不良や、前面枠が取り付けられなくなる等の不具合が発生する。
【0008】
【特許文献1】特開2006−15840号公報
【特許文献2】特開2007−168558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、複数のフィンの誤った配列での取り付けを防ぐことができ、フィンの正規の回動を実現できる風向調節装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、一側が空気吹出口、他側が空気入口とされ、内部が空気通路とされて対向する壁面にフィン回動軸着孔が複数形成されたケースと、両端に回動軸部が形成され、一端には前記回動軸部と共に連結軸部が形成された複数のフィンと、連結孔が複数形成されたリンク部材とを備え、前記複数のフィンは、設定配列で前記連結軸部が前記リンク部材の連結孔に回動可能に挿入された風向調節装置において、前記複数のフィンは、前記回動軸部の軸径及び前記連結軸部の軸径がそれぞれ異なる複数種類とされ、前記リンク部材に形成された複数の連結孔は、前記複数のフィンの連結軸部の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記連結孔は対応する前記連結軸部の軸径よりも大きい軸径の連結軸部が挿入困難な径とされ、かつ、前記複数の連結孔の孔径の配列が前記フィンの設定配列に基づく前記連結軸部の軸径の配列に対応させたものとされ、前記ケースに形成された複数のフィン回動軸着孔は、前記複数のフィンの回動軸部の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記フィン回動軸着孔は対応する前記回動軸部の軸径よりも大きい軸径の回動軸部が挿入困難な径とされ、かつ、前記フィン回動軸着孔の孔径の配列が前記フィンの設定配列に基づく前記回動軸部の軸径の配列に対応させたものとされていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記設定配列において隣り合う一方のフィンの連結軸部が、他方のフィンの連結軸部と対応する前記リンク部材の連結孔に挿入可能なとき、前記一方のフィンの回動軸部は前記他方のフィンの回動軸部と対応して前記ケースに形成されたフィン回動軸着孔に挿入困難な軸径となっていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記設定配列において隣り合う一方のフィンの回動軸部が、他方のフィンの回動軸部と対応して前記ケースに形成されたフィン回動軸着孔に挿入可能なとき、前記一方のフィンの連結軸部は前記他方のフィンの連結軸部と対応する前記リンク部材の連結孔に挿入困難な軸径となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、複数のフィンは、回動軸部の軸径及び連結軸部の軸径がそれぞれ異なる複数種類とされ、リンク部材に形成された複数の連結孔は、前記複数のフィンの連結軸部の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記連結孔は対応する前記軸部の軸径よりも大きい軸径の連結軸部が挿入困難な径とされ、かつ、前記複数の連結孔の孔径の配列が前記フィンの設定配列に基づく前記連結軸部の軸径の配列に対応させたものとされ、ケースに形成された複数のフィン回動軸着孔は、前記複数のフィンの回動軸部の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記フィン回動軸着孔は対応する前記回動軸部の軸径よりも大きい軸径の回動軸部が挿入困難な径とされ、かつ、前記フィン回動軸着孔の孔径の配列が前記フィンの設定配列に基づく前記回動軸部の軸径の配列に対応させたものとされているため、もし、誤った配列で前記複数のフィンの連結軸部が前記リンク部材の連結孔に挿入されることがあっても、その場合には、複数のフィンの回動軸部の軸径の配列が設定配列と異なることになる。そのため、前記リンク部材によって連結された複数のフィンの回動軸部を、ケースに形成されている複数のフィン回動軸着孔に挿入しようとしても、少なくとも一つのフィンの回動軸部が前記ケースのフィン回動軸着孔に挿入できなくなる。これにより、フィンの配列が誤っていることがわかり、フィンが誤配列の状態でケースのフィン回動軸着孔に取り付けられるのを防ぐことができ、フィンの正規の回動を実現する風向調節装置を得ることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、設定配列で隣り合うフィンにおいて、一方のフィンの連結軸部が、他方のフィンの連結軸部と対応する前記リンク部材の連結孔に挿入可能なとき、前記一方のフィンの回動軸部は、前記他方のフィンの回動軸部と対応して前記ケースに形成されたフィン回動軸着孔に挿入困難な軸径となっているため、隣り合うフィンを誤った配列でリンク部材に取り付けることがあっても、その場合にはフィンの回動軸部をケースの回動軸着孔に挿入できなくなることから、フィンが誤配列の状態でケースのフィン回動軸着孔に取り付けられるのを防ぐことができ、フィンの正規の回動を実現する風向調節装置を得ることができる。
【0015】
請求項3の発明は、設定配列で隣り合うフィンにおいて、一方のフィンの回動軸部が、他方のフィンの回動軸部と対応して前記ケースに形成されたフィン回動軸着孔に挿入可能なとき、前記一方のフィンの連結軸部は前記他方のフィンの連結軸部と対応する前記リンク部材の連結孔に挿入困難な軸径となっているため、隣り合うフィンが誤った配列でリンク部材に取り付けられることがなくなり、リンク部材に取り付けられたフィンが誤配列の状態でケースのフィン回動軸着孔に取り付けられるのを防ぐことができ、フィンの正規の回動を実現する風向調節装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る風向調節装置の斜視図、図2は同風向調節装置の分解斜視図、図3は同実施例における縦フィンをケースに取り付けた状態の斜視図、図4は同実施例における横フィンをケースに取り付ける際の斜視図、図5は同実施例における横フィンをケースに取り付けた状態の斜視図である。
【0017】
図1から図5に示す本発明の一実施形態に係る風向調節装置10は、自動車のインストルメンパネル等の内装部品に取り付けられる自動車用のものであって合成樹脂製からなり、ケース11、縦フィン31、縦フィンリンク部材41、横フィン51、横フィンリンク部材61、操作部材67、前面枠71を有する。
【0018】
前記ケース11は、上側壁面12、下側壁面13、左側壁面14、右側壁面15を有する角筒形状からなり、一側が空気吹出口11a、他側が空気入口11bとされ、前記壁面で囲まれた内部が空気通路16となっている。前記空気吹出口11aは車室内を向く前側とされ、一方、前記空気入口11bはカーエアコン等の空調装置とダクト等を介して接続される後側とされる。
【0019】
前記ケース11において対向する上側壁面12と下側壁面13には縦フィン回動軸着孔17,18が複数形成され、また、対向する左側壁面14と右側壁面15には横フィン回動軸着孔21,22が複数形成されている。
【0020】
前記縦フィン回動軸着孔17,18は、前記横フィン回動軸着孔21,22よりもケース11の奥側(後側)に形成されている。前記縦フィン回動軸着孔17,18は、それぞれ前記縦フィン31の数と等しくされ、また、本実施例では縦フィン回動軸着孔17,18の孔径は、全て等しく3.1mmに設定されている。
【0021】
一方、前記横フィン回動軸着孔21,22は、それぞれ前記横フィン51の数と等しくされ、後述の横フィン51の回動軸部53の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、対応する回動軸部53の軸径よりも大きい軸径の回動軸部が挿入困難な径とされている。また、前記孔径が異なる複数の横フィン回動軸着孔21,22の配列(順序)は、後述する横フィン51に設定されている配列(設定配列)と対応している。本実施例では、前記横フィン回動軸着孔21,22は、直径3.1mmからなる大径の横フィン回動軸着孔21a,22aと、直径2.1mmからなる小径の横フィン回動軸着孔21b,22bとの二種類で構成され、前記大径の横フィン回動軸着孔21a,22aと前記小径の横フィン回動軸着孔21b,22bが交互に設けられた配列とされている。図示の例の配列は、最上位置が大径の横フィン回動軸着孔21a、次の位置が小径の横フィン回動軸着孔21bとなるように、大径の横フィン回動軸着孔21aと小径の横フィン回動軸着孔21bが交互に並んでいる。前記大径の横フィン回動軸着孔21a,22aは、後述の横フィン51における大径の回動軸部53aと対応し、一方、前記小径の横フィン回動軸着孔21b,22bは後述の横フィン51における小径の回動軸部53bと対応して設けられている。符号23a,24aは横フィン回動軸着孔21,22に後述の横フィン51の回動軸部53を嵌着する際の誘導溝であり、前記ケース11の左側壁面14と右側壁面15にケース11のそれぞれ前端から前記横フィン回動軸着孔21,22に至るように形成されている。
【0022】
前記複数の縦フィン31は、前記ケース11の上側壁面12と下側壁面13間に略垂直方向に取り付けられて風向を左右方向に調節するものであり、板状体の両端に回動軸部33が形成されている。前記複数の縦フィン31の回動軸部33は、全ての直径が同一の3mmに設定されている。また、前記縦フィン31における一端、図示の例では上端には、前記回動軸部33と共に連結軸部35が形成されている。前記連結軸部35は、前記回動軸部33と平行とされ、また、本実施例では前記複数の縦フィン31の全てにおいて同一の2mmの軸径に設定されている。さらに、一つの縦フィン31aには操作用係止部32が前端に形成されている。前記操作用係止部32は棒状からなり、操作用係止部32の後方側に開口部32aが形成されている。
【0023】
縦フィンリンク部材41は、図示の例のような細長いプレート状あるいは図示しない棒状からなり、前記縦フィン31の連結軸部35が挿入される縦フィン連結孔45が、前記縦フィン31の数と等しい数形成されている。前記縦フィン連結孔45は、前記縦フィン31の連結軸部35が挿入可能な孔径とされている。本実施例の連結孔45は、前記縦フィン31の連結軸部35の軸径より僅かに大きい2.1mmの孔径とされている。
【0024】
前記複数の横フィン51は、前記ケース11の左側壁面14と右側壁面15間に略水平方向に取り付けられて風向を上下方向に調節するものであり、板状体の両端に回動軸部53が形成され、さらに一端、図示の例では右端には前記回動軸部53と共に連結軸部55が形成されている。前記複数の横フィン51の個々の形状は、前記ケース11内での配置位置に応じて僅か異なる形状とされ、前記ケース11への取り付け位置(順序)が設定配列に従うものとされている。
【0025】
前記複数の横フィン51における前記回動軸部53の軸径及び前記連結軸部55の軸径は、それぞれ異なる複数種類設けられている。本実施例における前記複数の回動軸部53は、直径3mmの大径の回動軸部53aと直径2mmの小径の回動軸部53bの二種類設けられている。また、本実施例における前記複数の連結軸部55は、直径3mmの大径の連結軸部55aと直径2mmの小径の回動軸部55bの二種類設けられている。前記複数の回動軸部53の配列は、前記複数の横フィン51が設定配列とされた場合に、最上位の位置が大径の回動軸部53a、次の位置が小径の回動軸部53bとなるように大径の回動軸部53aと小径の回動軸部53bが交互する配列に設定されている。一方、前記複数の連結軸部55の配列は、前記複数の横フィン51が設定配列とされた場合に、最上位の位置が小径の連結軸部55b、次の位置が大径の連結軸部55aとなるように小径の連結軸部55bと大径の連結軸部55aが交互する配列に設定されている。このように、本実施例では前記回動軸部53の軸径の配列と、前記連結軸部55の軸径の配列が異なっている。なお、前記連結軸部55の先端には軸径よりも僅かに(例えば0.1〜0.3mm程度)大径の抜け防止部56が形成されており、前記連結軸部55が後述の横フィン連結孔65に嵌着された後に横フィン連結孔65から前記連結軸部55が抜け難くされている。
【0026】
前記横フィンリンク部材61は、図示の例のような細長いプレート状あるいは図示しない棒状からなり、前記横フィン51の連結軸部55が挿入される横フィン連結孔65が、前記横フィン51の数と等しい数形成されている。前記横フィン連結孔65は、前記複数の横フィン51の連結軸部55の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記横フィン連結孔65は対応する連結軸部55の軸径よりも大きい軸径の連結軸部55が挿入困難な径とされている。また、前記複数の横フィン連結孔65の孔径の配列は、前記横フィン51の設定配列に基づく前記連結軸部55の軸径の配列に対応させたものとされている。本実施例における前記横フィン連結孔65は、前記横フィン51における大径の連結軸部55aと対応させた3.1mmの孔径からなる大径の横フィン連結孔65aと、前記横フィン51における小径の連結軸部55bの軸径に対応させた2.1mmの孔径からなる小径の横フィン連結孔65bの二種類とされ、最上位の位置が小径の横フィン連結孔65b、次の位置が大径の横フィン連結孔65aとなるように小径の横フィン連結孔65bと大径の横フィン連結孔65aが交互する配列とされている。
【0027】
前記操作部材67は、前記横フィン51の上下操作や前記縦フィン31の左右操作を行うためのつまみ部分であり、本実施例では、前記横フィン51の一つがスライド可能に挿通される貫通孔68が水平方向に形成されたつまみ部69と、その背面に形成されたフォーク状の挟持片70とよりなる。前記操作部材67は、前記貫通孔68に前記横フィン51の一つが挿通され、前記挟持片70が前記縦フィン31における一つの縦フィン31aの操作用係止部32を挟持するようにして、前記横フィン51と共に前記ケース11に組み付けられる。前記ケース11に組み付けられた前記操作部材67を左右に所定量動かすことにより、前記複数の縦フィン31を左右に所定量回動させることができ、一方、前記操作部材67を上下に所定量動かすことにより、前記複数の横フィン51を左右に所定量回動させることができる。
【0028】
前記前面枠71は、前記ケース11に前記縦フィン31等の部材が組み付けられた後に最終的に前記ケース11の前面側に組み付けられてケース11の前面の美観を向上させる枠体であり、前記ケースの前端外周にはまる枠状からなる。
【0029】
前記構成部材からなる風向調節装置の組み立ては、最初に前記複数の縦フィン31を前記ケース11へ取り付ける。その際、前記複数の縦フィン31における前記連結軸部35を、前記縦フィンリンク部材41の縦フィン連結孔45に挿入して、前記縦フィンリンク部材41を前記複数の縦フィン31に取り付ける。その状態で前記複数の縦フィン31を前記ケース11内に挿入し、前記複数の縦フィン31における上下の回動軸部33を前記ケース11の上側壁面12と下側壁面13の縦フィン回動軸着孔17,18に嵌着することにより、前記複数の縦フィン31を前記縦フィン回動軸着孔17,18に左右回動可能に軸着する。図4に前記複数の縦フィン31を前記縦フィン回動軸着孔17,18に軸着した状態を示す。
【0030】
次に、前記複数の横フィン51を前記ケース11へ取り付ける。まず、前記複数の横フィン51における前記連結軸部55を、前記横フィンリンク部材61の横フィン連結孔65に挿入して、前記横フィンリンク部材61を前記複数の横フィン51に取り付ける。その際、前記複数の横フィン51は設定配列とされ、前記横フィン51の連結軸部55が、前記横フィンリンク部材61において対応する横フィン連結孔65に挿入される。本実施例では、前記複数の横フィン51が設定配列とされることにより、前記複数の横フィン51における回動軸部53は最上位から下方に向かって順に大径の回動軸部53a、小径の回動軸部53bが交互に位置する配列とされ、前記横フィンリンク部材61における前記横フィン連結孔65の配列、すなわち最上位から下方へ向かって順に大径の横フィン連結孔65a、小径の横フィン連結孔65bが交互に位置する配列と一致したものとなる。このとき、前記連結軸部55の先端には軸部の径よりもわずかに大きな前記抜け防止部56が形成されているため、前記連結軸部55を幾分強引に前記横フィン連結部材連結孔65に挿入する。また、前記複数の横フィン51における配列を誤った結果、前記小径の横フィン連結孔65bに前記大径の連結軸部55aを挿入しようとすることがあっても、その場合には前記大径の連結軸部55aの軸径が小径の横フィン連結孔65bの孔径よりも所要量大きいために大径の連結軸部55aの挿入が困難であり、作業者は横フィン51の配列が誤っていることを認識することができる。なお、前記複数の横フィン51における一つには、前記横フィンリンク部材61の取り付け前、あるいは取り付け後に、前記操作部材67が取り付けられる。図4には、前記複数の横フィン51に前記横フィンリンク部材61を取り付け、前記横フィン51の一つに前記操作部材67を取り付けた状態を示す。
【0031】
その後、前記複数の横フィン51における前記回動軸部53を、前記ケース11の左側壁面14と右側壁面15に形成されている横フィン回動軸着孔21,22に挿入する。その際、前記ケース11の左側壁面14と右側壁面15の前記横フィン回動軸着孔21,22は、前記複数の横フィン51の設定配列に基づく回動軸部53の軸径の配列に対応した配列で形成されているため、前記横フィン連結部材61に正しい配列で取り付けられた前記複数の横フィン51は、前記回動軸部53の軸径の配列と前記ケース11の横フィン回動軸着孔21,22の孔径の配列が正しく対応した状態となっており、前記複数の横フィン51を正しい配列で、且つスムーズに前記ケース11の横フィン回動軸着孔21,22に軸着することができる。また、前記複数の横フィン51を前記ケース11に取り付ける際に、前記操作部材67の背面に形成されている前記挟持片70で前記縦フィン31aの操作用係止部32を挟持する。図5は前記複数の横フィン51を前記ケース11に取り付けた状態を示す斜視図である。その後、前記前面枠71を前記ケース11の前面に装着すれば、図1の風向調節装置10となる。
【0032】
なお、本実施例では、前記複数の横フィン51の連結軸部55を前記横フィンリンク部材61の横フィン連結孔65に挿入する際、設定配列で隣り合う関係にある横フィン51,51において、小径の連結軸部55bを有する一方の横フィンは、配列を誤った場合、他方の横フィンに形成されている大径の連結軸部55aと対応する横フィンリンク部材61の大径の横フィン連結孔65aに、小径の連結軸部55bを挿入することが可能である。しかしながら、その場合には、前記小径の連結軸部55bを有する横フィンに形成されている大径の回動軸部53aが、前記ケース11に形成されている小径の横フィン回動軸着孔21b,22bの位置となるため、前記小径の連結軸部55bを有する横フィンをケース11に取り付けられなくなり、横フィン51が誤配列でケース11に取り付けられるのを防ぐことができる。
【0033】
また、本実施例では、設定配列で隣り合う関係にある横フィン51,51において、小径の回動軸部53bを有する一方の横フィンは、他方の横フィンに形成されている大径の回動軸部53aと対応してケース11に形成されている大径の横フィン回動軸着孔21a,22aに、小径の回動軸部53bを挿入可能となっている。しかしながら、その場合、前もって前記横フィン51の連結軸部55を横フィンリンク部材61の横フィン連結孔65に挿入する際に、小径の回動軸部53bを有する横フィンに形成されている大径の連結軸部55aを、横フィンリンク部材61に形成されている小径の横フィン連結孔65bに挿入しなければならず、その挿入が困難となっていることから、横フィンの誤配列を防ぐことができ、前記ケース11に形成されている大径の横フィン回動軸着孔21a,22aに横フィン51の小径の回動軸部53bが挿入されて横フィンが誤配列で取り付けられるのを防ぐことができる。
【0034】
前記実施例では、横フィンのみに誤配列を防ぐ本発明の構成が適用されているが、横フィンと共に縦フィンにも誤配列防止の構成を適用したり、あるいは縦フィンのみに誤配列防止の構成を適用したりしてもよい。また、前記回動軸部、連結軸部、フィン回動軸着孔、フィン連結孔の径の種類は、大小の二種類に限られず、大中小の三種類やそれ以上としてもよい。
【0035】
このように本発明によれば、フィン連結部材へ複数のフィンを取り付ける際にフィンの誤配列を防ぐことができ、フィンがスムーズに回動する正規の取り付け状態からなる風向調節装置が得られる。また、万一、複数のフィンを配列の誤った状態で強引にフィン連結部材に取り付けることができたとしても、その場合には、その後におけるケースへのフィンへの取り付けが困難となるため、フィンが誤った配列でケースに取り付けられた風向調節装置となるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る風向調節装置の斜視図である。
【図2】同風向調節装置の分解斜視図である。
【図3】同実施例における縦フィンをケースに取り付けた状態の斜視図である。
【図4】同実施例における横フィンをケースに取り付ける際の斜視図である。
【図5】同実施例における横フィンをケースに取り付けた状態の斜視図である。
【図6】従来の風向調節装置の分解斜視図である。
【図7】従来における横フィンのケースへの取り付けを示す斜視図である。
【図8】従来における横フィンのケース取り付け後を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 風向調節装置
11 ケース
17,18 縦フィン回動軸着孔
21,22 横フィン回動軸着孔
31 縦フィン
33 回動軸部
35 連結軸部
41 縦フィンリンク部材
45 縦フィン連結孔
51 横フィン
53 回動軸部
55 連結軸部
61 横フィンリンク部材
65 横フィン連結孔
67 操作部材
71 前面枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側が空気吹出口、他側が空気入口とされ、内部が空気通路とされて対向する壁面にフィン回動軸着孔が複数形成されたケースと、
両端に回動軸部が形成され、一端には前記回動軸部と共に連結軸部が形成された複数のフィンと、
連結孔が複数形成されたリンク部材とを備え、
前記複数のフィンは、設定配列で前記連結軸部が前記リンク部材の連結孔に回動可能に挿入された風向調節装置において、
前記複数のフィンは、前記回動軸部の軸径及び前記連結軸部の軸径がそれぞれ異なる複数種類とされ、
前記リンク部材に形成された複数の連結孔は、前記複数のフィンの連結軸部の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記連結孔は対応する前記連結軸部の軸径よりも大きい軸径の連結軸部が挿入困難な径とされ、かつ、前記複数の連結孔の孔径の配列が前記フィンの設定配列に基づく前記連結軸部の軸径の配列に対応させたものとされ、
前記ケースに形成された複数のフィン回動軸着孔は、前記複数のフィンの回動軸部の軸径に対応させて孔径を異ならせた複数種類とされると共に、前記フィン回動軸着孔は対応する前記回動軸部の軸径よりも大きい軸径の回動軸部が挿入困難な径とされ、かつ、前記フィン回動軸着孔の孔径の配列が前記フィンの設定配列に基づく前記回動軸部の軸径の配列に対応させたものとされていることを特徴とする風向調節装置。
【請求項2】
前記設定配列において隣り合う一方のフィンの連結軸部が、他方のフィンの連結軸部と対応する前記リンク部材の連結孔に挿入可能なとき、前記一方のフィンの回動軸部は前記他方のフィンの回動軸部と対応して前記ケースに形成されたフィン回動軸着孔に挿入困難な軸径となっていることを特徴とする請求項1に記載の風向調節装置。
【請求項3】
前記設定配列において隣り合う一方のフィンの回動軸部が、他方のフィンの回動軸部と対応して前記ケースに形成されたフィン回動軸着孔に挿入可能なとき、前記一方のフィンの連結軸部は前記他方のフィンの連結軸部と対応する前記リンク部材の連結孔に挿入困難な軸径となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の風向調節装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−101812(P2009−101812A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274694(P2007−274694)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】