説明

風車組立装置及び組立方法

【課題】交通不便な場所や狭い敷地でも使用でき、大がかりな地盤整備や基礎を必要とせず、組立や撤去が簡単で、揚重速度が速く、細かな位置合わせが簡単で、運転操作が容易で、容易に他の現場に流用できる大型風車に対応容易な風車組立装置及び方法を提供する。
【解決手段】風車塔部103を挟んで配置される2台のポスト1a,1bと、その上部に固定した走行ガーダ8a、8bと、そのガーダ上を移動可能なウインチ9を搭載したトロリ6を有する装置で、ポストが多段油圧伸縮式の部分2a、2bを有し、基礎部は風車の基礎部104と一体化され、走行ガーダ8a、8bが、翼車側では翼車101と干渉しない長さに制限され、その反対側では組立作業完了後ポストを縮小する際に、トロリを翼車の反対側に移動させた状態で、トロリやウインチが据付をすませた風車と干渉せず下降できるに十分な長さを持つ風車組立装置、及び、それを用いて風車を組立てる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車の建設や補修の際に用いる組立装置、および、それを用いる組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年 環境に優しい発電設備として発電用風車が脚光を浴びている。風車の建設が行なわれるのは、風況(常態としての風の強さ)の関係により、山岳地帯、海岸地帯等、交通の不便な立地がほとんどで、従来は機動性を考えて油圧式トラッククレーンを使用することが多かった。
【0003】
しかし、油圧式トラッククレーンは公道を運行するので、法規上の制約等により500tonクラスのクレーンが上限となっており、1MWの風車(塔部の高さ約50m、ナセル部の重量約42ton)位までの建設は可能なものの、最近のさらに大型化する風車には対応することができない。
【0004】
より大型の風車の建設に対応するために、各種の揚重機材とそれを用いた建設方法が提案されている。
一つは、トラッククレーンに替えて大型クローラクレーンを使用する方法である。クローラクレーンではブームが軽量なこともあり、450tonクラスのもので2MWクラスの風車の建設が可能である。
しかしながら、交通不便な立地への輸送を考えると、現地へ輸送される単品の大きさと重量が制限されるので、クローラクレーン自体を解体して建設現場に運びそこで組立てる必要がある。その組立のためには広大な更地が必要であり、さらに、その組立と解体のためにかなりの時間と人工が必要になる。山岳地帯等で広大な更地を確保することは難しく、また、クレーンの組立・解体のためにかかる時間と人工はできるだけ節減したい。
【0005】
また、上記のトラッククレーン、クローラクレーンのいずれも、ジブを旋回・起伏させて対象物を所定の位置に運ぶ方式なので、組立途中の風車と旋回するジブの干渉を避けるため、クレーンの設置にあたっては組立対象の風車から十分な距離をとる必要があり、建設される風車の回りにそれだけのスペースを確保することが必要となる。 さらに、組立作業に当たってはジブの旋回・起伏のために吊荷の軌跡は直線とはならず、風車組立時の細かな位置あわせの操作は熟練を要する。
さらに、アウトリガー方式、あるいは、それに類似した方式を用いて自立させる場合には、強風地域での工事が前提であるから、設置場所の地盤改良を十分に行なった上、基部にかなりの荷重をかける必要がある。
【0006】
二つ目は、建設する風車に見合った高さと揚重容量を持つジブクレーンを仮設して使用する方法である。建設する風車に見合ったジブクレーンを設計・製作すればよいのであるから、大容量の風車への対応も可能であるし、その組立は比較的容量の小さいトラッククレーンを使用すれば足り、工程的にもクローラクレーンより有利であるが、それぞれの風車およびその建設現場の状況に応じて特別に設計・製作する必要がある。
【0007】
この方式では、組立てる風車の高さに対応した高さの鉄骨構造の支柱を立てその上にジブクレーンを搭載することになる。ジブクレーンはその構造上、片持状態で揚重をするのでカウンターウエイトを必要とする。その重量分を含めて強風地域でジブクレーンを支える支柱は大きな強度を必要とし、それを支える基礎も当然大がかりになる。又、ジブクレーンであるから、前述した組立途中の風車との干渉を避けるためのスペースも必要であるし、細かな位置あわせの操作の熟練を要する。
【0008】
このほかにも各種の方法が考えられている。
特許文献1に開示された「風力発電装置の建設方法」では、建設現場で一般的に使用されている仮設のクライミングクレーンを用いて風車の塔部と翼車の組立を行ない、最重量物であるナセル部を揚げるために特殊な架台とそれに対応する係止部をタワーに設けることにより、大容量のクレーンの使用を回避している。
この方法では、組立対象である風車本体の塔部も含めて揚重機器を特別に設計・製作する必要がある。風車毎に特別に設計・製作するのであるから、他の形式の風車の組立や、同形式の風車であっても他の立地での風車の組立にはそのまま使用することができない。 また、クライミングクレーンの基礎が大がかりになること、組立途中の風車との干渉を避けるためのスペースが必要になること等は、前述したケースと同様である。
【0009】
特許文献2「風力発電タワーの組立装置及び組立方法」には、2本の柱部分にせり上げ装置を有する鉄骨構造製の門型架構を構築して、それを用いて揚重をする方法が提示されている。門型架構の構築にあたっては、輸送可能な長さに製作された柱体を、建設対象の風車に応じた高さを得るのに必要な本数準備し、1本目の柱体をせり上げ装置を用いて持ち上げて仮固定し、その下に2本目の柱体を挿入して1本目の柱体と結合し、さらに1本目の柱体の上に門型を形成する横桁を乗せた後、せり上げ装置を用いて持ち上げる。その後、さらに3本目、4本目・・の柱体のせり上げを繰り返して必要な高さの門型架構を完成する。
【0010】
揚重は、2本の柱の上に渡された横桁に取付けられた滑車を用いてウインチで行なう。まず、横桁を取付けた状態で、重量物であるナセル部を吊り上げて横桁に仮固定し、門型架構の完成後タワーユニットを順次吊り上げて設置し、タワーを完成したのち横桁に仮に預けてあったナセル部をタワーの頂部に設置し、そのあと門型架構に設置した台棒を使ってブレードをナセル部に取付ける。
【0011】
この方法では、柱体の数を増やしたり、横桁の長さを大きくしたりして大型の風車への対応をすることが可能である。しかし、数多くの柱体を1本ずつせり上げ装置に挿入して
取付け、せり上げ後は仮止めをする作業は、時間と手間がかかる。また、門型架構の基部、門型架構転倒防止用ワイヤ取付け部、ウインチ設置部等に大がかりな専用基礎が必要となる。
【0012】
さらに、タワーの上に位置する横桁に設けた滑車を利用してウインチで揚重をするのであるから、先に吊り上げたナセル部、あるいは、先に設置された下部のタワーユニットとの干渉を避けるために、風車の回転軸方向に張り出す片持ち梁と滑車群を用いて、複雑なワイヤ操作をすることが必要である。一方、横桁に設けられた2個の滑車に掛けられたロープに支持される吊り具による揚重では、水平方向の移動を制御するのが難しく、吊り上げ後のボルト穴の位置合わせ等には熟練を要する。揚重・設置作業に習熟を要し、作業員の負担が大きい。
【0013】
また、ナセル部を先に仮吊りした状態でタワーユニットを吊り上げることになり、その両者の荷重がかかる門型架構が構造的に不利になるばかりでなく、タワーの組立作業は仮吊りした重量物の直下の作業になり、安全上も問題である。さらに、風車の組立完了後は、横桁を取り外さない限りせり上げ装置を用いての柱体の架構・撤去は不可能であるから、横桁の撤去用に大型クレーンが必要となる。
【0014】
特許文献3「タワークレーン」には、クレーンに多段伸縮型支柱を用いることにより、鉄骨構造の大型のジブやタワーを現地で組立てる必要性を無くし、その支柱を伸縮する伸縮駆動装置を建設対象物の揚重にも使用する方式を採ることにより、支柱上部に設ける吊下手段を小型化・軽量化する方法を提案している。
ジブクレーンでは配置の点で高揚程に対応する長大な巻き取りドラムを配置することが難しいと言う問題があるが、この案では支柱を伸縮する伸縮駆動装置の動きを揚重にも併用することによりその問題を回避するとともに、支柱の負担を軽減している。
【0015】
この方法では、他の揚重機器や特殊架台を用いずに建設することができる利点があるが、吊下手段を小型化・軽量化できる変わりに、伸縮駆動装置やそれに付属する油圧装置が大型化するとこと、油圧による伸縮駆動装置では揚重の速度が遅く組み立て作業に時間がかかり、操作も煩雑になること等の問題がある。
さらに、基礎が大がかりになること、組立途中の風車との干渉を避けるためのスペースが必要になること、細かな位置あわせの操作に熟練を要すること、また、組立対象の風車がさらに大型化すると油圧可動部を一体として現地に搬入することが困難になり、作業の困難な油圧可動部の現地組立を行なう必要が生じる、等の欠点がある。
【0016】
【特許文献1】特開平10−205428号公報
【特許文献2】特開2001−254668号公報
【特許文献3】特開2005−82352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで本発明が解決しようとする課題は、交通の不便な立地や、クレーン組立のための広大な敷地が得にくい立地でも使用でき、大がかりな地盤整備や基礎を必要とせず、組立途中の風車との干渉を避けるためのスペースを必要とせず、装置そのものの組立や撤去が簡単でそのための時間や人工が節約でき、組立現地に搬入する際の単位重量が軽く、風車の組立作業にあたっては揚重速度が速く、細かな位置合わせが簡単で、運転操作が容易、かつ、安全で、同形あるいは類似の風車であれば、ある組立現場で装置を撤去した後に容易に他の組立現場に流用できる、大型風車に対応容易な風車組立装置及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、翼車、発電機を内蔵するナセル部、それらを支える塔部、及び、その基礎部からなる風車の当該塔部を挟んで、当該翼車の回転軸方向と直角方向に配置される2台のポストと、当該2台のポスト各々の上部に固定された当該翼車の回転軸方向に伸びる走行ガーダと、当該走行ガーダ上を移動可能なトロリと、当該トロリに搭載されたウインチとを有する風車組立装置であって、
当該ウインチが前記翼車、ナセル部、及び、塔部、あるいは、それらの構成要素を揚重できる高さを有するように当該ポスト、当該走行ガーダ、及び、当該トロリの高さが設定され、当該2台のポストが多段油圧伸縮式の部分と、その伸縮のために用いられる油圧装置とを有し、当該基礎部は当該風車の基礎部と一体化され、かつ、当該2台のポストと当該塔部とを結合する接続部材を1箇所あるいは複数箇所の高さレベルに有する風車組立装置である。
【0019】
組立てられる風車の塔部を挟んで、その翼車の回転軸方向と直角の方向に2台のポストを立てる。各々のポストの上にはトロリを走行させる走行ガーダが固定され、その走行ガーダの方向は翼車の回転軸方向である。トロリには風車の各構成要素を揚重し、所定の位置にセットするウインチが搭載される。そして、そのウインチが翼車、ナセル部、及び、塔部、あるいは、それらの構成要素を揚重できる高さになるようにポスト、走行ガーダ、及び、トロリの高さが設定される。
【0020】
ジブクレーン方式とは異なり、組立途中の風車と旋回するジブとの干渉を避けるためのスペースは必要が無く、高揚程を要する大型風車に必要な長大な巻き取りドラムをトロリ上に設置することが容易であり、カウンターウエイトも必要としないのでポストや基礎にかかる負担をそれだけ減少できる。
【0021】
走行ガーダの方向を翼車の回転軸方向と一致させることにより、回転軸方向に重心位置の異なる翼車、ナセル部、及び、塔部、あるいは、それらの構成要素を1台のウインチで効率よく揚重することができる。組立対象物の揚重にこのウインチのみを用い、後述するポストの伸縮に用いる油圧装置を併用することがないので、揚重の速度が速く、作業時間が短縮できる。併用する場合に比べて運転操作も容易である。また、吊荷の軌跡は直線であり、ジブクレーンの様にジブの旋回・起伏を用いることなく吊荷を所定の位置へ運べるので、細かな位置合わせ操作も容易である。
【0022】
そして、その2台のポストは多段油圧伸縮式の部分と、その伸縮のために用いられる油圧装置とを有する。多段油圧伸縮式の部分を縮小した状態で現地に搬入して設置することにより、長いポストを現地組立するための広大な更地が不要になり、また、組立装置の組立・解体のためにかかる時間と人工を大幅に節減できる。
さらに、ポストを2台に分けることにより、1台の場合に比べて多段油圧伸縮式部分は小型軽量化され、より大型の風車に対応する組立装置を油圧可動部の現地組立無しで提供でき、現地での組立・解体作業が容易になる。
なお、この油圧装置はポストの伸縮のためのみに用いられるので、揚重にも使用する場合に比べて小型化できる。
【0023】
さらに、組立対象である風車の基礎の一部を利用して本組立装置の基礎とすることにより、基礎が簡略化される。
風車は強風地域での長期間の使用に充分耐えるように、しっかりと地盤改良をしたうえで強固な基礎を設け、その上に建設される。その基礎の耐力は極めて大きいから、組立時に風車組立装置の基礎としてその一部を活用しても、強度的に大きな問題は生じない。また、基礎の大きさとしては、風車の塔部を挟んで組立装置の2台のポストの設置部分を設ければよいのであるから、風車単体の基礎を設ける場合と大きく異なることはない。したがって、風車の基礎の設計を行なうときに、本組立装置との取り合い部の形状や負荷を考慮して風車の基礎の設計を行なえば、基礎側にも大きな負担無く施工できる。
【0024】
また、本組立装置はその2台のポストと風車の塔部とを結合する接続部材を1箇所あるいは複数箇所の高さレベルに有する。風車の塔部は強風地帯において、重量物であるナセル部と翼車を支えられるように十分な強度と剛性を有している。ポストと風車の塔部を相互に結合する接続部材を設けることにより、建設途中の風車と組立装置が一体化し、全体の剛性を高められるので強度的に有利であり、上部に設けられるトロリやウインチをより安定して支持できる。
【0025】
本組立装置は、あらかじめ風車の基礎部との調整さえしておけば、ある組立現場での作業が完了したあと、装置を撤去し、他の組立現場へ運んで同形の風車の組立に容易に使用できる。また、ポストは多段伸縮式部分を有するから、伸縮量を変えて設定することにより、同形の風車の組立だけでなく、高さや形式の違う類似の風車の組立にも流用できる。
【0026】
また、本発明は、上述の風車組立装置であって、前記走行ガーダが、前記翼車側では、吊り上げ中の状態、及び、吊り上げて設置された状態の当該翼車と干渉しない長さに制限され、当該翼車反対側では、組立作業を完了させたあと前記2台のポストを縮小する際に、前記トロリを当該走行ガーダ上の翼車反対側に移動させた状態で、当該トロリ及びそれに搭載された前記ウインチが、据付をすませた前記ナセル部に干渉することなく下降できるに十分な長さを有する風車組立装置である。
【0027】
前述のように2台のポストの上には、翼車の回転軸方向に伸びる走行ガーダが固定されている。その走行ガーダ上を移動するトロリによって、組立対象である風車の各構成要素が揚重される。前述の通り、そのウインチが翼車、ナセル部、及び、塔部、あるいは、それらの構成要素を揚重できる高さになるようにポスト、走行ガーダ、及び、トロリの高さが設定されている。
【0028】
本組立装置を用いての風車の組立作業は、塔部の構成要素を順次吊り上げて設置し、その塔部の頂部にナセル部を設置し、最後に翼車を吊り上げて、ナセル部に結合させる。全ての操作は、トロリの回転軸方法への移動とウインチの操作のみで行い得るので、ポストの伸縮に使う油圧装置等を併用する場合などに比べて極めて容易である。
また、仮吊りされたナセル部の下で塔部を組立てる必要はなく、作業の安全性の面でも優れている。
【0029】
走行ガーダの翼車側に張り出す長さ制限することにより、翼車を吊り上げ中の状態、及び、翼車を吊り上げて所定の位置に設置した状態で、その翼車と干渉を避けることができる。
吊り上げ時のみを考えるならば、翼車との干渉を避けるには、走行ガーダの翼車側への張り出しを制限しなくても、翼車と干渉しない高さまで走行ガーダの高さを上げればよい。しかし、その分だけ組立装置の全高が高くなり、ウインチの揚程も大きくなり、不経済である。そして、以下に述べる組立装置の撤去時には、走行ガーダの張り出し長さが長ければ、2台のポストを縮小させたときに翼車との干渉を避けられない。
【0030】
また、組立作業を完了させたあと本組立装置の撤去にあたっては、走行ガーダ、トロリ、及び、ウインチを搭載させたまま2台のポストを縮小させて、下降させることが作業性、安全性、および、作業時間の短縮の面から望ましい。さらに、組立装置を撤去するために大型クレーンを準備することが不要になる。
翼車反対側での走行ガーダの張り出しを、トロリを走行ガーダ上の翼車反対側に移動させた状態で、トロリ及びそれに搭載されたウインチが、据付をすませた風車、特に、その最後部に位置するナセル部に干渉することなく下降できるに十分な長さにすることにより、走行ガーダ等を搭載させたまま2台のポストを縮小できる。
なお、走行ガーダ上の翼車反対側へのトロリの移動は、ウインチのワイヤを充分巻き上げた状態にしたうえで行なえば、特別の操作をすることなく行なうことができる。
【0031】
さらに、本発明は、上述の組立装置であって、前記トロリを前記翼車側に移動させた際に当該トロリに搭載された前記ウインチの吊り点が当該翼車の重心と一致するように、当該吊り点を当該トロリの中心ではなく当該翼車方向に張り出した位置に有し、揚重の際の当該トロリの翼車反対側の浮き上がり防止機構を有するる風車組立装置である。
【0032】
一般に、門型クレーンでは吊荷の荷重をトロリから走行ガーダになるべく均一に移すように、トロリの中心部、あるいは、その近傍にウインチの吊り点を設けている。
本組立装置では、 走行ガーダが、翼車側では、吊り上げ中の状態、及び、吊り上げて設置された状態の翼車と干渉しない長さに制限されているから、翼車側へのトロリの走行も制限され、そのトロリの中心部は、吊り上げ中の翼車の重心(一般に吊り上げて設置された翼車の重心より僅かに翼車前方側にある)よりも翼車後方側となってしまう。
そこで、ウインチの吊り点をトロリの中心ではなく、翼車方向に張り出した位置に設けることにより、吊り上げ中の翼車重心の真上にウインチの吊り点が来るようになり、安定した揚重作業を容易に行なうことができる。
【0033】
走行ガーダの翼車側に張り出す長さが、翼車を吊り上げ中の状態、及び、翼車を吊り上げて所定の位置に設置した状態での翼車と干渉を避けることができる様に制限され、その上でトロリを翼車側に移動させた際にウインチの吊り点が吊り上げる翼車の重心と一致するように張り出した位置に設けられるのであるから、トロリの走行用の車輪のいずれよりも翼車側に張り出した位置にウインチの吊り点が位置することになる。
【0034】
このウインチで揚重作業を行なうと、トロリの翼車反対側には浮き上がる力が作用する。その浮き上がりの防止機構を設けておくことにより、安定した揚重を行なうことができる。
浮き上がり防止機構としては各種のものが考えられるが、例えば、トロリの走行用車輪よりも翼車反対側に、少なくとも、最も翼車側の車輪よりも翼車反対側に設けられた、走行ガーダの下側に沿って転動する車輪である。
【0035】
この走行ガーダの下側に沿って転動する車輪は、ウインチに荷重がかかってないときには必ずしも走行レールの下側に接触している必要はなく、ウインチに荷重がかかり、トロリの翼車反対側に浮き上がる力が生じたときに、走行ガーダの下側に接触して、そこの生ずる反力により、トロリを水平に保つ。したがって、この車輪の存在は、トロリの移動を一切阻害することなく、かつ、トロリが走行ガーダ上のどの位置にあっても、揚重作業に入ってトロリの翼車反対側に浮き上がり力が生じたときには、その浮き上がり防止効果を発揮する。
【0036】
ちなみに、走行ガーダの長さは、翼車の反対側では、組立作業を完了させたあと2台のポストを縮小する際に、トロリを走行ガーダ上の翼車の反対側に移動させた状態で、トロリ及びそれに搭載されたウインチが、据付をすませたナセル部に干渉することなく下降できるに十分な長さとなっているから、走行ガーダ上をトロリを移動させることにより、ウインチの吊り点の位置は、上述の翼車重心、塔部の重心、及び、最後部に位置するナセル部の重心、それぞれの真上に位置することができる。
【0037】
そして、本発明は、上述のいずれかの風車組立装置を用いて風車を組立てる方法である。
上述の装置の説明で明らかなように、今後ますます大型化していく風車の建設や補修に最適な方法である。
本発明を実施することにより、風車組立の作業だけでなく、本組立装置の組立作業と撤去作業も、短期間で、容易に、かつ、安全に行える。そして、その組立作業と撤去作業には、大型のクレーンを別途準備する必要がない。
【発明の効果】
【0038】
以上に説明した通り、本発明に係る風車組立装置は、組立現地に搬入する際の単品の大きさが小さく、その重量が軽いので交通の不便な立地でも容易に適用ができ、ジブの組立等の組立装置そのものの組立のための広大な敷地を必要とせず、組立装置のみのための大がかりな地盤整備や基礎を必要とせず、組立装置と組立途中の風車との干渉を避けるためのスペースを必要とせず、組立装置そのものの組立や撤去が簡単でそのための時間や人工が節約でき、風車の組立作業にあたっては揚重速度が速く、細かな位置合わせが簡単で、運転操作が容易、かつ、安全であり、同形あるいは類似の風車であれば、ある組立現場で装置を撤去した後に容易に他の組立現場に流用できると言う効果を有する。
【0039】
また、それらを用いて風車を組立てる本発明の方法を適用することにより、上記の効果を享受することができ、特に、揚重速度の速さによる組立作業時間の低減、運転操作が容易で、細かな位置合わせが簡単なことから来る作業員の負担軽減、仮吊りされた重量物の直下での作業が無いことによる安全性の向上、さらに、組立装置の組立・撤去作業の簡素化から来る工事全体の時間や人工の節減の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明はかかる形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えて良いことは言うまでもない。
【0041】
図1は本発明の風車組立装置の実施例の斜視図、図2はそのトロリ及びウインチ部分の側面図、図3は本実施例を現地に設置する状態を、図4は本実施例のポストの多段油圧伸縮部分を伸長した状態を、図5は本実施例を撤去するために多段油圧伸縮式部分を縮小した状態を、それぞれ示す説明図である。
【0042】
図1に二点鎖線で示す示す組立対象の風車は、翼車101、発電機を内蔵するナセル部102、それらを支える塔部103、及び、基礎部104から成っている。この組立てられる風車の塔部103を挟んで、翼車101の回転軸方向105と直角の方向に2台のポスト1a、1bが配置される。各々のポストの上には、トロリ6を走行させるための走行ガーダ8a、8bが固定される。その方向は回転軸方向105である。
【0043】
トロリ6には風車の各構成要素を揚重し、所定の位置にセットするウインチ9が搭載されている。ポスト1a、1b、走行ガーダ8a、8b、おとび、トロリ6の高さはウインチ9が翼車101、ナセル部102、及び、塔部103、あるいは、それらの構成要素を揚重するのに十分な高さに設定される。
【0044】
ジブクレーン方式とは異なり、組立途中の風車と旋回するジブとの干渉を避けるためのスペースは必要が無く、高揚程を要する大型風車に必要な長大な巻き取りドラムを設置することが容易であり、カウンターウエイトも必要としないのでポストや基礎にかかる負担をそれだけ減少できる。
【0045】
揚重される翼車101、ナセル部102、及び、塔部103、あるいは、それらの構成要素の重心は、ほぼ回転軸に沿って存在する。走行ガーダ8a、8bの方向を回転軸方向105と一致させることによって、その上を走行するトロリ6に搭載されたウインチ9の吊り点も回転軸の線上に沿って移動するから、それらの揚重を1台のウインチ9で効率よく行なうことができる。そして、ジブクレーンの場合と異なり、吊荷の軌跡は直線であるから、細かな位置合わせ操作も容易である。
【0046】
なお、揚重や位置の設定にあたって回転軸方向105と直角方向の調整が必要な場合には、本図には示されていないが、ウインチ9のフック9aを吊下げる滑車群(上部シーブブロック)9eを左右に移動する方法を適用すれば200から300mm程度フック9aの位置を直角方向に移動できる。この操作をした場合でも、吊荷の軌跡はX−Y方向いずれかの直線であり、細かな位置合わせ操作は容易である。
【0047】
2台のポスト1a、1bは多段油圧伸縮式の部分2a、2bと、その伸縮のために用いられる油圧装置(図示されていない)とを有する。本油圧装置はポストの多段油圧伸縮式部分2a、2bの伸縮に用いられ、組立対象物の揚重はウインチ9のみを用いて行なう。揚重に油圧装置を併用する場合に比べ、油圧装置が小型化でき、さらに、揚重の速度が速いので作業時間が短縮できる。
【0048】
現地への搬入は、多段油圧伸縮式の部分を縮小した状態で行なうので、長大なポストやジブを現地組立するための広大な更地が不要になり、また、組立・解体のための時間と人工が節減できる。
組立対象である風車がさらに大型化すると、多段油圧伸縮式の部分も大型化し、一体のまま現地へ搬入することが困難になり、解体した状態で搬入せざるを得なくなる。その場合には油圧可動部を現地で組立てる必要が出てくるが、この作業は非常に困難である。
本発明では、ポストを2台に分けることにより、1台の場合に比べて多段油圧伸縮式の部分2a、2bは小型軽量化され、より大型の風車に対応する組立装置を油圧可動部の現地組立無しで提供でき、その面でも現地での組立・解体作業が簡単になる。
【0049】
本実施例では、ポスト1a、1bの一部が鉄骨構造の延長ポスト3a、3bとなっている。現地の組立・解体の時間や人工があまり増加しない範囲で、輸送可能なサイズに構成された延長ポストを適宜使用することにより、多段油圧伸縮式の部分2a、2bのサイズを小さくすることができる。また、この延長ポスト3a、3bの長さを変えることにより、同じ多段油圧伸縮式部分を用いて、高さの異なる類似の形式の風車に対応することも容易になる。
【0050】
本発明の組立装置の基礎は、図に示すように組立対象である風車の基礎104の一部を利用している。
風車は強風地域での長期間の使用に充分耐えるように、しっかりと地盤改良をしたうえで強固な基礎を設け、その上に建設される。その基礎の耐力は極めて大きいから、組立時に風車組立装置の基礎としてその一部を活用しても、一般に強度的に大きな問題は生じない。
【0051】
また、風車の基礎104は大きな耐力を得るために塔部103の径に比べ極めて大きく形成される。風車の塔部104を挟んで組立装置の2台のポスト1a、1bの設置部分を設ければよいのであるから、本組立装置の基礎を兼ねるからといって、風車単体の基礎104を特に大きくする必要はない。したがって、風車の基礎104の設計を行なうときに、本組立装置との取り合い部の形状や負荷を考慮して風車の基礎の設計を行なえば、基礎側にも大きな負担は生じない。
【0052】
数多くの風車の建設をするにあたって、風車の基礎部104を設計する際に、あらかじめ本組立装置と基礎部の調整さえしておけば、ある組立現場での作業が完了したあと、本組立装置を撤去し、他の組立現場へ運んで同形の風車の組立に容易に使用できる。また、その際に、多段油圧伸縮部分2a、2bの伸縮量を変えて設定したり、前述の延長ポスト3a、3bの組み合わせを替えることにより、高さや形式の違う類似の風車にも流用できる。
【0053】
本実施例では、2台のポスト1a、1bと風車の塔部とを結合する仮設の接続部材11を1箇所の高さレベルに設けている。両者を相互に結合する接続部材11を設けることにより、建設途中の風車と組立装置が一体化し、全体の剛性を高められ、強度的に有利であり、上部に設けられるトロリやウインチをより安定して支持できる。接合部材11を複数箇所の高さレベルに設けても良い。
【0054】
走行ガーダ8a、8bは、図に示すように、翼車101に近い側が短く、その反対側が長くなっている。走行ガーダの翼車側の張り出しが長いと、翼車101を吊り上げる途中で、あるいは、翼車101を吊り上げて図に示す所定の位置に設置した状態で、翼車と走行ガーダの張り出し部分が干渉してしまう。走行ガーダ8a、9bの翼車側に張り出す長さを制限することにより、その干渉を避けることができる。
【0055】
一方、走行ガーダ8a、8bの翼車101と反対の側の張り出しを長くしたのは、本組立装置の撤去にあたって、走行ガーダ8a、8b、トロリ6、及び、ウインチ9を搭載させたまま2台のポスト1a、1bを縮小させて、下降させることにより、撤去作業の作業性、安定性を向上させ、作業時間の短縮を図るためである。この構成を取ることにより、組立装置の撤去にあたって、上部の走行ガーダやトロリを事前に吊り降ろすために大型クレーンを別途手配するといった必要が無くなる。
【0056】
トロリ6を走行ガーダ8a、8b上で翼車の反対側に移動させた状態で、ポスト1a、1bを縮小させたときに、トロリ6及びそれに搭載されたウインチ9が、組立をすませた風車、特にその最後部に位置するナセル部102に干渉することなく下降できるところまで、トロリ6を後退させられるように、走行ガーダ8a、8bの翼車の反対側の張り出しを長くする。先に述べたように、走行ガーダ8a、8bの翼車側の張り出しは、設置した状態の翼車に干渉しない長さに制限されているから、ポスト1a、1bを縮小する過程においても翼車101と干渉することはない。
【0057】
図2には、本実施例のトロリ6及びウインチ9部分の側面図を示す。
ポスト上部に設けられた延長ポスト3a、3bの上に走行ガーダ8a、8bが固定されている。前述のように、走行ガーダの翼車側の張り出し8cは短く、翼車と反対側の張り出し8dは長い。図では、トロリ6が最も翼車側に位置する状態を示している。
【0058】
走行ガーダ8a、8b上には、ウインチ9を搭載したトロリ6が乗っている。ウインチ9は吊荷に係合するフック9a、それを引上げるワイヤ9b、ワイヤを巻き取る巻胴9c、それを駆動する電動機9d、さらに、吊り点を決め、ワイヤを複数本掛するための滑車群9e、9f等から成っている。
【0059】
トロリ6がこの図の位置にあるときに、ウインチ9の吊り点に相当するフック9aは、走行ガーダの翼車側の張り出し8cから大きく翼車側へ張り出している。こうすることにより、吊り上げる状態の翼車と走行ガーダ8a、8bが干渉することなく、ウインチ9の吊り点が、翼車の重心の真上に位置することができる。
【0060】
一般に、門型クレーンではトロリは走行用車輪(この図の10a、10bに対応)を有し、ウインチの吊り点をそれら走行用車輪の範囲内において、吊荷の荷重とトロリの自重を走行ガーダに安定して伝えているが、本実施例では、吊り点を走行用車輪10a、10bの範囲から翼車側に張り出した配置を採るために、吊荷の荷重がかかるとトロリ6の後端を浮き上がらせる力が掛かる。この浮き上がりを防ぐために、走行ガーダの下側に沿って転動する車輪10cを備えている。この浮き上がり防止用車輪10cは、トロリの走行用車輪10a,10bよりも翼車反対側に、少なくとも、最も翼車側の走行用車輪10aよりも翼車反対側に設けらる。
【0061】
この走行ガーダの下側に沿って転動する浮き上がり防止用車輪10cは、フック9aに荷重がかかってないときには必ずしも走行レール8a、8bの下側に接触している必要はなく、揚重作業が始まってフック9aに荷重がかかり、トロリ6の翼車反対側に浮き上がる力が生じたときに、走行ガーダ8a、8bの下側に接触して、そこの生ずる反力により、トロリ56を水平に保つ。したがって、この車輪の存在は、トロリの移動を一切阻害することなく、かつ、トロリが走行ガーダ上のどの位置にあっても、揚重作業に入ってトロリ6の翼車反対側に浮き上がり力が生じたときには、その浮き上がり防止効果を発揮する。
【0062】
図3は本実施例を現地に設置する状態を示す。風車の基礎の一部を利用して、縮小した状態の多段油圧伸縮部分2a、2bを据付け、その上部には延長ポスト3a、3b、走行ガーダ8a、8b、トロリ6,及び、ウインチ9が設置されている。
すでに、風車の塔部の最下部103aは基礎上据付けられ、接合部材11でポストと結合されている。ここまでの作業は比較的小型のトラッククレーン等を用いて処理される。
【0063】
図4は、このようにして設置された本実施例の多段油圧伸縮部分2a、2bを伸長した状態を示す。走行ガーダ8a、8b、トロリ6,及び、ウインチ9は風車を組立てるのに十分な高さに設定されている。これで、本実施例を用いて揚重作業を開始する準備は完了である。
準備が完了した後は、図1に二点鎖線で示す風車を、構成要素ごとに順次揚重し、所定の位置に設定して、組立てていく。
【0064】
前述のように、組立対象の風車の高さに応じて、延長ポスト3a、3bの選択を行なうことができ、また、高さの低い風車に対しては多段油圧伸縮部分2a、2bのうちに一部を伸長せずに用いることもある。
なお、揚重作業を開始する前には、キーを挿入する等、多段油圧伸縮式部分の伸長された部分を相互に機械的に固定するのが望ましい。
【0065】
図5は、本実施例の組立装置を撤去するためにポストの多段油圧伸縮式部分2a、2bを縮小した状態を示している。縮小を行なう前に、トロリ6は、搭載しているウインチ9の翼車側に突き出しているフック9aや滑車9e、9fが設置されたナセル部102の後端102aに干渉しないように、走行ガーダ8a、8bの上を翼車と反対側の方向106に移動させる。
この状態で多段油圧伸縮式部分2a、2bを縮小させれば、高所においてトロリ6やウインチ9の解体を行ない、それを別のクレーンを用いて地上に降ろす作業の必要が無くなる。
【0066】
なお、図1や図5から分かるように、本実施例では、走行レール8a、8bを互いに横に結ぶエンドタイを設置していない。翼車側にエンドタイを設けると、トロリ6を翼車側に移動させたときにワイヤ9bと交錯するし、エンドタイを設けると走行レールが大きな構造物となり、輸送が問題となって現地組立が増える恐れがあるからである。
その代わり、本実施例ではトロリ6の浮き上がり防止用車輪10cを支える腕で、外側から走行レール8a、8bを抱き込む形とし、安定化を図っている。勿論、本発明の効果を阻害しない形で、一部にエンドタイを設けることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の風車組立装置、及び、それを用いた組立方法は、風車の建設や補修の際の極めて有効な手段として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の風車組立装置の実施例の斜視図である。
【図2】そのトロリ及びウインチ部分の側面図である。
【図3】本実施例を現地に設置する状態を示す説明図である。
【図4】本実施例のポストの多段油圧伸縮部分を伸長した状態を示す説明図である。
【図5】本実施例を撤去するために多段油圧伸縮式部分を縮小した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1a、1b 風車組立装置のポスト
2a、2b 同 多段油圧伸縮式の部分
3a、3b 同 延長ポスト
6 トロリ
8a、8b 走行ガーダ
8c 同 翼車側張り出し
8d 同 翼車と反対側の張り出し
9 ウインチ
9a フック
9b ワイヤ
9c 巻胴
9d 駆動電動機
9e、9f 滑車
10a、10b トロリ走行用車輪
10c 同 浮き上がり防止用車輪
11 接合部材
101 風車の翼車
102 同 ナセル部
103 同 塔部
104 同 基礎部
105 同 回転軸方向
106 同 翼車と反対の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼車、発電機を内蔵するナセル部、それらを支える塔部、及び、その基礎部からなる風車の当該塔部を挟んで、当該翼車の回転軸方向と直角方向に配置される2台のポストと、当該2台のポスト各々の上部に固定された当該翼車の回転軸方向に伸びる走行ガーダと、当該走行ガーダ上を移動可能なトロリと、当該トロリに搭載されたウインチとを有する風車組立装置であって、
当該ウインチが前記翼車、ナセル部、及び、塔部、あるいは、それらの構成要素を揚重できる高さを有するように当該ポスト、当該走行ガーダ、及び、当該トロリの高さが設定され、当該2台のポストが多段油圧伸縮式の部分と、その伸縮のために用いられる油圧装置とを有し、当該基礎部は当該風車の基礎部と一体化され、かつ、当該2台のポストと当該塔部とを結合する接続部材を1箇所あるいは複数箇所の高さレベルに有する風車組立装置。
【請求項2】
請求項1記載の風車組立装置であって、前記走行ガーダが、前記翼車側では、吊り上げ中の状態、及び、吊り上げて設置された状態の当該翼車と干渉しない長さに制限され、当該翼車の反対側(以下、「翼車反対側」という)では、組立作業を完了させたあと前記2台のポストを縮小する際に、前記トロリを当該走行ガーダ上の翼車反対側に移動させた状態で、当該トロリ及びそれに搭載された前記ウインチが、据付をすませた前記ナセル部に干渉することなく下降できるに十分な長さを有する風車組立装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2いずれか記載の風車組立装置であって、前記トロリを前記翼車側に移動させた際に当該トロリに搭載された前記ウインチの吊り点が当該翼車の重心と一致するように、当該吊り点を当該トロリの中心ではなく当該翼車方向に張り出した位置に有し、揚重の際の当該トロリの翼車反対側の浮き上がり防止機構を有する風車組立装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の風車組立装置を用いて風車を組立てる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−162639(P2007−162639A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362739(P2005−362739)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【特許番号】特許第3827321号(P3827321)
【特許公報発行日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(593162361)日本建設工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】