説明

風量調整用ダンパ装置及び空調装置

【課題】風通過部を通過した風の風量を高い精度で知ることが可能な風量調整用ダンパ装置と、この風量調整用ダンパ装置を用いた空調装置を得る。
【解決手段】傾斜角度センサ40で検知したダンパ羽根34の傾斜角度θと、風通過部34の下流側の風速センサ48で検知した風の風速とから、通過した風の風量を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、風量調整用ダンパ装置及び空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に対し風を供給することで空調する空調装置では、風通過部に配置されたダンパ羽根の傾斜角度を変更することで風量を調整可能とするものがある。また、ダンパ羽根よりも風の流れ方向上流側に設置した風速センサにより風速を検知するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2529478号公報
【特許文献2】登録実用新案第3051862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風通過部を通過した風量を知るには、風速センサをダンパ羽根よりも風の流れ方向の下流側に設置することが望ましい。しかし、単に風速センサを下流側に設置しても、風量はダンパ羽根の傾斜角度に応じて変わるため、通過した風量を高い精度で知ることは難しい。
【0005】
本願の開示技術は、風通過部を通過した風の風量を高い精度で知ることが可能な風量調整用ダンパ装置と、この風量調整用ダンパ装置を用いた空調装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する風量調整用ダンパ装置は、ダンパ羽根、傾斜角度センサ、風速センサ及び風量計算部を有する。傾斜角度センサは、ダンパ羽根の傾斜角度を検出する。風速センサは、風通過部を通過した風の風速を検出する。風量計算部が、ダンパ羽根の傾斜角度と、風通過部を通過した風の風速とから、風通過部を通過した風の風量を計算する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する風量調整用ダンパ装置によれば、風通過部を通過した風の風量を高い精度で知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の風量調整用ダンパ装置を備えた空調装置の構成を示す概略正面図である。
【図2】第1実施形態の風量調整用ダンパ装置を示す概略正面図である。
【図3】第1実施形態の風量調整用ダンパ装置を示し、(A)はグリルを装着した状態、(B)はグリルを取り外した状態である。
【図4】第1実施形態の風量調整用ダンパ装置において風速センサ及びその近傍を部分的に拡大して示す正面図であり、(A)は傾斜角度が0度の場合、(B)は傾斜角度が45度程度の場合である。
【図5】(A)ダンパ羽根の傾斜角度と風速風量変換係数との関係の一例を示すグラフであり、(B)はダンパ羽根の傾斜角度と風量との関係の一例を示すグラフである。
【図6】対向翼型ダンパと平行翼型ダンパのそれぞれにおける傾斜角度θと風量との関係の一例を定性的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する風量調整用ダンパ装置及び空調装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の空調装置14は、たとえば、データセンターやサーバルーム等に設置され、冷却対象物の一例であるサーバー等に対して、冷却風を送る。床下18には、図示しない空調機から、冷却対象物を冷却するための冷却風CW(矢印F0で示す)が供給され、冷却風流路20を流れている。空調装置14は、本実施形態では、矢印F0方向に沿って配置された複数の風量調整用ダンパ装置12を有している。
【0011】
床面22には、サーバラック24の近傍(図示の例では前方且つ下方)の位置に開口26が形成されている。図2及び図3にも示すように、開口26には、多数のスリット28Sが形成された1枚又は複数枚のグリル28が、床面22と平行にはめ込まれている。そして、グリル28の下方(グリル28と冷却風流路20との間)に、床下18の冷却風流路20を流れる風の流れ方向(矢印F0方向)に沿って複数の風量調整用ダンパ装置12が配置されている。冷却風流路20を流れた冷却風CWは、矢印F1で示すように、風量調整用ダンパ装置12を通過して床上に至る。なお、以下においては、単に風の流れ方向というときは、風量調整用ダンパ装置12における風の流れ方向(矢印F1方向)を意味するものとする。
【0012】
図2及び図3に示すように、風量調整用ダンパ装置12は、枠体30を備えている。枠体30は、床面22の法線方向に見たとき四角形の枠状となるように、4つの側壁30Sを備えている。枠体30の内部、すなわち、4つの側壁30Sで囲まれた領域が、風通過部32となっている。
【0013】
側壁30Sのそれぞれの上端からは、枠体30を平面視したとき外側に延出されるフランジ状に支持板30Pが延出されている。支持板30P上に、グリル28が支持される。
【0014】
対向する2枚の側壁30A、30Bの間には、複数枚(図示の例では9枚)のダンパ羽根34が配置されている。ダンパ羽根34のそれぞれは長尺の板状に形成されている。また、ダンパ羽根34のそれぞれには、幅方向(長手方向と直交する方向)の中心に沿って支軸36が設けられている。複数のダンパ羽根34は、冷却風CWの流れ方向F1と、支軸36の方向にそれぞれ交差する方向に沿って配置されている。図示の例では、特に、支軸36は、風通過部32における冷却風CWの流れ方向F1と直交している。
【0015】
複数のダンパ羽根34の支軸36は互いに平行とされ、両端部分が側壁30A、30Bに回転可能に支持されている。したがって、複数のダンパ羽根34は、冷却風CWの流れ方向F1及び、支軸36のそれぞれと直交する方向に沿って配置されている。
【0016】
ダンパ羽根34はそれぞれ、支軸36を中心として回転することで、風通過部32における冷却風CWの流れ方向(矢印F1方向)と直交する仮想平面PLに対する傾斜角度θが、0度から90度までの範囲で変化する。
【0017】
そして、このようにダンパ羽根34の傾斜角度θを変化させることで、風通過部32の断面積、すなわち風通過部32を冷却風CWが通過する際の開口部分の面積を調整することができる。具体的には、傾斜角度θが0度のときは、風通過部32の開口面積は最小(実質的にゼロ)となる。また、傾斜角度が90度のときは、風通過部32の開口面積は最大となる。
【0018】
特に本実施形態では、図2から分かるように、隣接するダンパ羽根34どうしは、支軸36の方向に見たとき、互いに反対方向に傾斜する(2枚のダンパ羽根34の傾斜角度θは等しい)ように、羽根開閉機構38によりダンパ羽根34が連結されている。すなわち、ダンパ羽根34は全体として、対向翼型ダンパ羽根となっている。そして、たとえば、羽根開閉機構38を手動操作することで、すべてのダンパ羽根34を支軸36周りに一体的に回転させることができる。また、ダンパ羽根34が所定の傾斜角度θで保持されるように、図示しないストッパ機構が設けられる。もちろん、アクチュエータを設けて、ダンパ羽根34の回転を自動化してもよい。
【0019】
図4(A)及び(B)に詳細に示すように、ダンパ羽根34のそれぞれは、幅方向(支軸36の長手方向と直交する方向)の縁部分を板厚方向に部分的に曲げて段部34Dが形成されている。図4(A)から分かるように、段部34Dは、ダンパ羽根34の傾斜角度θが0度の状態で、隣り合うダンパ羽根34の段部34Dと部分的に重なり合うように形成されている。換言すれば、ダンパ羽根34は、傾斜角度θが0度の状態であっても、段部34Dによって違いに重なり合うことで、冷却風CWの通過を効果的に抑制可能としている。
【0020】
これに対し、ダンパ羽根34が所定の傾斜角度θ(たとえば、図4(B)に示すように45度程度)で傾斜していると、図2からも分かるように、隣り合うダンパ羽根34の段部34Dは離間し、ダンパ羽根34の間に隙間54、56が生じる。特に、隣り合う段部34Dが上方に移動した部分50では、隙間54の両側のダンパ羽根34に沿って冷却風CWが集められ、隙間54を通過する。
【0021】
枠体30には、傾斜角度センサ40が備えられている。傾斜角度センサ40は、ダンパ羽根34の傾斜角度を検知し、データを風量計算部42に送る。
【0022】
側壁30A、30Bの間には、2枚の誘導板44が掛け渡されている。誘導板44のいずれか一方若しくは両方には、冷却風CWの流れ方向(矢印F1方向)の下流側(図2では上側)に、支持板46が形成されている。支持板46には、風速センサ48が取り付けられている。風速センサ48は、風通過部32を通過した冷却風CWの風速Vを検知し、データを風量計算部42に送る。
【0023】
特に本実施形態では、風通過部32よりも流れ方向の下流側で、且つグリル28よりも上流側において、風通過部32(ダンパ羽根34の間)を通過した冷却風CWの風速Vを検知している。
【0024】
誘導板44のそれぞれは、冷却風CWの流れ方向に沿って平行に配置されている。図2及び図4から分かるように、誘導板44は、複数のダンパ羽根34の並び方向(矢印A1方向)における略中央部分に配置されている。特に、本実施形態では、段部34Dが上方に移動する部分50を囲むように、特定の隣り合う2枚のダンパ羽根34A、34Bのそれぞれの支軸36A、36Bよりも、並び方向の外側に配置されている。
【0025】
ダンパ羽根34A、34Bが傾斜している状態では、冷却風CWの一部はダンパ羽根34の下面に沿って移動し、段部34Dが上方に移動した部分50の隙間54を通過する。誘導板44は、段部34Dが上方に移動する部分50を囲むように配置されている。このため、誘導板44は、隙間54を通過した冷却風CWを、矢印F2で示すように、風速センサ48に向けて誘導することができる。これにより、冷却風CWを風速センサ48に誘導しない構成と比較して、冷却風CWの風速を効率的に検知できる。
【0026】
また、たとえば、段部34Dが下方に移動する部分51(図2参照)を囲むように誘導板44を配置した構成では、その両側のダンパ羽根34で冷却風CWが集められることがないため、実質的にこの部分の隙間56を通過する風量Fは少なくなる。これに対し、隙間54では、冷却風CWがダンパ羽根34に沿って集められるので、この集められた冷却風CWを利用して効率的に風速センサ48に冷却風を誘導し、冷却風の風速を検知できる。
【0027】
風量計算部42では、ダンパ羽根34の傾斜角度θ、冷却風CWの風速V及び推定風量F’を、図示しない表示装置等に出力できるようになっている。
【0028】
次に、風量調整用ダンパ装置12と空調装置14の作用及び効果について説明する。
【0029】
本実施形態の空調装置14では、図1に示すように、図示しない空調機からの冷却風CW(矢印F0参照)が床下18の冷却風流路20を流れる。さらに冷却風CWは、風量調整用ダンパ装置12の風通過部32からグリル28のスリット28Sを通過して(矢印F1参照)、床面22の上方に供給される。この冷却風CWにより、床面22に設置された冷却対象物の一例であるサーバー等が冷却される。
【0030】
風量計算部42には、傾斜角度センサ40で検知されたダンパ羽根34の傾斜角度θが入力される。また、風量計算部42には、風速センサ48で検知された冷却風CWの風速が入力される。
【0031】
風通過部32を通過する風量Fは、風速センサ48で検知された風速Vに応じて変化する。ここで、ダンパ羽根34の傾斜角度θを一定にしたままで、風量調整用ダンパ装置12への送風量を変化させたとき、風通過部32を通過する風量Fは、風速センサ48で検知された風速Vと比例関係にあることを実験的に見出した。すなわち、推定風量F’は、以下の計算式(1)で計算できる。なお、この計算式(1)は、風量計算部42に格納されている。
【0032】
F’=K・V (1)
【0033】
Kは、風速Vを風量Fに変換するための変換係数(以下、「風速風量変換係数」という)である。そして、この風速風量変換係数Kは、ダンパ羽根34の傾斜角度θに依存して決まる固有の値をとることも見出した。すなわち、ダンパ羽根34の傾斜角度θを変化させて、各傾斜角度ごとに風速Vと風量Fとをあらかじめ測定することで、傾斜角度θごとの風速風量変換係数Kが決定できる。
【0034】
この点を踏まえ、風量計算部42では、特定の傾斜角度θ1、θ2〜θi〜θnと風速風量変換係数K1、K2〜Ki〜Knとの対応関係が、テーブル42Tとして格納されている。図5(A)には一例として、傾斜角度θを0度から90度まで10度ずつ変化させたときの、風速風量変換係数Kの値が、グラフ化して示されている。図5(A)のグラフからも、風速風量変換係数Kは傾斜角度θに依存して、0.05〜0.20の範囲で変化していることが分かる。
【0035】
上記のように求められた風速風量変換係数Kを用いて、風速センサ48で検知された風速Vから推定風量F’を計算した結果が、風量Fの実測値(実測風量Fr)と共に、図5(B)にグラフ化して示されている。
【0036】
図5(B)から分かるように、ダンパ羽根34の傾斜角度θを0度から90度まで10度ずつ変化させたとき、風速Vは大きく変化している。すなわち、単にダンパ羽根34よりも冷却風CWの流れ方向の下流側で風速Vを測定し、ある定数(たとえば、風通過部32の面積)を掛けただけでは、風量Fを高い精度で求めることが難しい。これは、たとえば、ダンパ羽根34の傾斜方向に依存して、隙間54を通過する冷却風の向きが真上にならないことに起因すると考えられる。たとえば、図4(B)のように隙間54が構成された場合では、冷却風CWは左方向へ向かうと想定される。また、風通過部32を通過する風速Vと風量Fとの関係も、上記したようにダンパ羽根34の傾斜角度θに依存するが、単に風速Vを測定しただけでは、傾斜角度θに応じた風量Fの変化を反映できないためであると考えられる。
【0037】
これに対し、本実施形態では、ダンパ羽根34の傾斜角度θに対応した風速風量変換係数Kを求め、この風速風量変換係数Kを用いて、風速Vから推定風量F’を計算している。この結果、計算で得た推定風量F’は、実測風量Frとの誤差が少ない(図示の例では5%以内)。すなわち、本実施形態の風量調整用ダンパ装置12では、風通過部32を通過する冷却風CWの風量Fを、高い精度で計算できる。
【0038】
しかも、本実施形態では、風量調整用ダンパ装置12自身から、冷却風CWの推定風量F’が出力されるため、風量Fの測定装置をあらたに設ける必要がない。このため、風量調整用ダンパ装置12で冷却風CWを排出するタイミングで(遅延なく)、推定風量F’を得ることができる。また、高い精度で推定風量F’を計算できる風量調整用ダンパ装置12を、低コストで実現できる。
【0039】
また、本実施形態では、ダンパ羽根34よりも冷却風CWの流れ方向の下流側で、且つ風速センサ48よりも上流側の位置に、誘導板44を設けている。この誘導板44により、風通過部32を通過した冷却風CWの一部(隙間56を通過した冷却風CW)を風速センサ48に誘導している。したがって、誘導板44が設けられていない構成と比較して、風速センサ48によって高精度で風速Vを検出できる。
【0040】
本実施形態の空調装置14は、上記の構成とされた風量調整用ダンパ装置12を複数備えている。したがって、冷却対象物(サーバ等)の運転による発熱状態(温度分布)に応じて、風量調整用ダンパ装置12ごとに、ダンパ羽根34の傾斜角度θを変えることで、冷却(空調)の効率を上げることが可能である。すなわち、より冷却が必要とされる冷却対象物に対し相対的に風量が多くなり、冷却の必要性が低い冷却対象物に対しては、相対的に少ない風量の冷却風とすることで、空調装置14の全体としてのエネルギー効率が高くなる。
【0041】
そして、このように風量調整用ダンパ装置12ごとに、冷却風CWを適切な風量とする構成において、推定風量F’を高い精度で計算できる。このため、空調装置14の全体としての冷却風CWを、たとえば制御室から一括管理できるので、この点においても、さらにエネルギー効率が高くなる。
【0042】
上記では、ダンパ羽根34の例として、隣り合うダンパ羽根34どうしが反対方向に傾斜することで、全体として、対向翼型ダンパ羽根となっている例を挙げている。しかし、ダンパ羽根としては、たとえば、平行翼型ダンパ羽根であってもよい。この平行翼型ダンパ羽根では、すべてのダンパ羽根が同じ方向に同じ傾斜角度で傾斜する。
【0043】
ここで、図6には、対向翼型ダンパと平行翼型ダンパにおける、傾斜角度θと風量Fとの関係が定性的に示されている。また、傾斜角度θと風量Fとが線型(一次関数的)に変化する場合が直線L1で示されている。
【0044】
平行翼型ダンパの場合には、傾斜角度θが小さい場合でも風量Fが多くなり、直線L1との差が大きい。これに対し、対向翼型ダンパの場合には、傾斜角度θによらず、直線L1との差が小さい。すなわち、対向翼型ダンパのほうが、平行翼型ダンパよりも、傾斜角度θに応じた風量Fの調整が容易である。
【0045】
上記では、ダンパ羽根34の回転軸である支軸36が、ダンパ羽根34の幅方向の中央に設けられている例を挙げているが、中央以外の箇所に支軸36が設けられていてもよい。
【0046】
ダンパ羽根34の傾斜角度も、上記では、仮想平面PLを基準とした角度を例示しているが、たとえば、風通過部32における風の流れ方向を基準としてダンパ羽根34の傾斜角度を測ってもよい。このようにして図った傾斜角度をθ’とすると、θ+θ’=90度の関係があるので、傾斜角度としてθ’を用いても、θ’を容易にθに変換して、上記の計算方法を適用できる。
【0047】
上記では、ダンパ羽根34の傾斜角度θに基づいて風速風量変換係数Kを決定し、さらにこの風速風量変換係数Kを用いて、風速Vから推定風量F’を得る構成について説明している。ところで、この風速風量変換係数Kは、風量調整用ダンパ装置12の全体的構成に応じて異なった値をとる。また、上記では、風通過部32を通過する風量Fが、風速センサ48で検知された風速Vと比例関係にある、という新たな知見を得ている。これに加えて、さらに厳密な実験を行うことで、他の要因も考慮して、風量Fをより正確に推定できる可能性もある。ただし、いずれにしても、本実施形態では、ダンパ羽根34の傾斜角度θごとの計算式をあらかじめ求めている。そして、この計算式に基づき、風通過部32(ダンパ羽根34)よりも冷却風CWの下流側での風速Vを用いて、風通過部32を通過した冷却風CWの風量Fを計算している。このため、たとえば、風通過部32(ダンパ羽根34)よりも冷却風CWの上流側で風速を検知して風量を推定する構成や、ダンパ羽根34の傾斜角度θを考慮することなく風量を推定する構成と比較して、より高い精度で、風量Fを推定することが可能である。
【0048】
風量調整用ダンパ装置12によって風量調整される風は、冷却風CWに限定されず、たとえば、対象物を加熱(保温を含む)するための風や、対象物から異物を風圧により吹き飛ばして除去するための風(清掃風)であってもよい。
【0049】
風量調整用ダンパ装置12(空調装置14)からの風の吹き出し位置も、床面に限られず、たとえば天井面や壁面であってもよい。
【0050】
以上、本願の開示する技術の一実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
12 風量調整用ダンパ装置
14 空調装置
18 床下
20 冷却風流路
22 床面
24 サーバラック
26 開口
28 グリル
28S スリット
30 枠体
30S 側壁
30P 支持板
32 風通過部
34 ダンパ羽根
34D 段部
36 支軸
38 羽根開閉機構
40 傾斜角度センサ
42 風量計算部
42T テーブル
44 誘導板
46 支持板
48 風速センサ
54 隙間
56 隙間
CW 冷却風
PL 仮想平面
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風が通過する風通過部の断面積を、風向きと交差する回転軸まわりに傾斜されることで調整可能なダンパ羽根と、
前記ダンパ羽根の傾斜角度を検出する傾斜角度センサと、
前記風通過部を通過した風の風速を検出する風速センサと、
前記傾斜角度センサで検出された前記傾斜角度と前記風速センサで検出された前記風速とから前記風通過部を通過した風の風量を計算する風量計算部と、
を有する風量調整用ダンパ装置。
【請求項2】
前記風量計算部は、前記傾斜角度ごとの風量計算式が格納され、前記傾斜角度センサで検出された前記傾斜角度に対応する前記風量計算式を用いて前記風速センサで検出された前記風速から前記風量を計算する請求項1に記載の風量調整用ダンパ装置。
【請求項3】
前記ダンパ羽根よりも前記風の流れ方向下流側で、且つ前記風速センサよりも該流れ方向上流側に設けられ前記風通過部を通過した風の一部を前記風速センサに誘導する誘導板、
を有する請求項1又は請求項2に記載の風量調整用ダンパ装置。
【請求項4】
前記ダンパ羽根は、前記風向き方向及び前記回転軸方向とそれぞれ直交する方向に沿って複数備えられると共に、隣接するダンパ羽根どうしは互いに反対方向に傾斜する対向翼型ダンパ羽根である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の風量調整用ダンパ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の風量調整用ダンパ装置を複数備え、
前記風量調整用ダンパ装置ごとに、前記風量計算部で計算された風量に基づいて前記ダンパ羽根の前記傾斜角度が調整可能とされている空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−76540(P2013−76540A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218112(P2011−218112)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】