説明

食した後にマイナス水素イオンを産生する経口食品

【課題】 マイナス水素イオンの利用効率を高めるため、還元電位の腸管吸収を持続的に維持する為に、食した後にマイナス水素イオンを産生するように水素を保持させた焼成カルシウム含有食品を提供することにある。
【解決手段】 食した後にマイナス水素イオンを産生するように水素を保持させた焼成カルシウムと共にニンニク無臭加工エキス末を特定の割合で組み合わせて用いれば、マイナス水素イオンが有する還元電位を腸管から経時的に吸収促進され持続的に維持される。還元電位の効率的腸管吸収によりマイナス水素イオンの利用が担保されることを見出した。食した後にマイナス水素イオンを産生する還元焼成カルシウムに対するニンニク無臭加工エキスの重量比は、1:0.1〜5.0である経口食品を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食した後にマイナス水素イオンを産生するように水素を保持させた焼成カルシウムを、ニンニク無臭加工エキス末と一定の割合で配合させることにより、マイナス水素イオンを効率的に腸管からの吸収促進及び維持するマイナス水素イオンを産生する焼成カルシウム含有経口食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、還元性を有するマイナス水素イオン又は活性水素水が抗酸化作用を示すとして、各種のマイナス水素イオンを含有する焼成カルシウムを配合した食品や鉱石還元水、天然ミネラル水、水素ガスを封入した水素水などが市販されている。しかしながら、これらの市販品は、マイナス水素イオン、活性水素水、溶存水素の生体内吸収については明らかに示されていないのが現状である。単に、これらを摂取してもマイナス水素イオンの体内吸収が確保されなければ利用効率を高めることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、マイナス水素イオンの利用効率を高めるため、還元電位の腸管吸収を持続的に維持する為に、食した後にマイナス水素イオンを産生させる焼成カルシウム含有食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、食した後にマイナス水素イオンを産生し保持させた焼成カルシウムと共にニンニク無臭加工エキス末を特定の割合で組み合わせて用いれば、マイナス水素イオンが有する酸化還元電位の腸管吸収が持続的に維持され、その利用効率が担保されることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、食した後にマイナス水素イオンを産生する水素を含有させた焼成カルシウム及びニンニク無臭加工エキス末を重量比1:0.1〜5.0で含有するマイナス水素イオン経口食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の食した後にマイナス水素イオンを産生する食品は、マイナス水素イオンが示す還元電位の腸管吸収を促進し、その利用効率を経時的に維持されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で用いられる、食した後にマイナス水素イオンを産生させる焼成カルシウムは、水素ガスによる還元焼成することで食した後にマイナス水素イオンを産生する水素を付与して得られるものを使用することができる。ニンニク無臭加工エキス末はニンニク(Alliumsativum)を酵素失活してから抽出し加工した無臭成分であり、同様の方法で加工されたオキソアミヂン末(加工大蒜)又は無臭ニンニクエキス末等も用いることができる。しかし、ニンニクをスライス後、乾燥及び粉末にして得られたいわゆるニンニク粉末は逆に還元電位の腸管吸収を減少させるため使用に値しない。
【0008】
本発明においては、食した後にマイナス水素イオンを産生するように水素を付与した焼成カルシウム及びニンニク無臭加工エキス末の重量比を1:0.1〜5.0、好ましくは1:0.1〜3.5とすることが望ましい。
本発明の経口食品は、食した後にマイナス水素イオンを産生するように水素を付与した焼成カルシウムを含有することにより、マイナス水素イオン還元電位を腸管から効率的に吸収し、肝門脈を通して肝臓に取り入れられ肝静脈から全身に循環される。一方、生体内では絶えずミトコンドリアでTCAサイクルによりエネルギーが産生され、その際に活性酸素が必然的に生成される。活性酸素種の中でもヒドロキシラジカルは消去されずに残存するとDNAに損傷を与え悪性腫瘍や種々の生活習慣病を引き起こすとされている。マイナス水素イオンは生体にとって残存すると最も有害なヒドロキシラジカルを選択的に消去する。即ち、ヒドロキシラジカルにマイナス水素イオンの電子を与え安全な水へと変換する。従って、ニンニク無臭加工エキスはマイナス水素イオン還元電位の腸管吸収を促進し、がんや生活習慣病などを予防・改善する効果を高めることができる。
【0009】
本発明の経口食品は、錠剤型食品、カプセル状食品、顆粒又は紛末のプラスティック状食品等の形状とすることができるが、これらに限定されない。常法により、前記マイナス水素イオンを産生する焼成カルシウムおよびニンニク無臭加工エキスの必須成分と、他の成型や充填に許容される成分等を適宜組み合わせて調製することができる。その他、抗酸化食品として用いられるビタミンCやEなどのビタミン類やカロチン、カテキン、フラボノイド、ポリフェノール類はヒドロキシラジカル以外の活性酸素種の消去に有効で効果的であり、その他ハーブ類、ミネラル類の食品成分等も用いることができる。
【0010】
本発明のマイナス水素イオン産生経口食品の摂取する量は、特に制限はないものの食した後にマイナス水素イオンを産生する焼成カルシウムが吸収性に限界があるため、効果的な食べ方として、通常1日マイナス水素イオン産生焼成カルシウムとして50mg〜1000mg、特に100mg〜600mg程度であるのが好ましい。ニンニク無臭加工エキスは10mg〜5000mg、特に100〜600mg程度であるのが好ましい。
【実施例1】
【0011】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
常法により、ゼラチン硬カプセルを用い、1カプセル中に以下の成分を含有するカプセル食品を製造した。
(成分) (mg)
焼成カルシウム 65.0
ニンニク無臭加工エキス末 195.0
ビタミンミックス 20.0
田七人参 4.0
冬虫夏草 4.0
マカ 4.0
グルコン酸亜鉛 4.0
ラクリス 4.0
【0012】
比較例
実施例において、ニンニク無臭加工エキス末の替わりに結晶セルロースを配合した以外は同様にして、カプセルを製造した。
【0013】
参考例
実施例において、ニンニク無臭加工エキス末を配合する替わりにガーリックパウダーを配合して製造し、実施例及び比較例と同様に測定結果を比較検討した。
【0014】
試験例 (反転腸管による吸収性試験)
(1)吸収外液の調製;
比較例及び実施例又は参考例のカプセルをそれぞれ3個とり、内径65mm×高さ140mmの円筒形ガラス容器に0.65mg/mLのTyrode solutionを計り、それぞれカプセルの中身を溶解し、これを腸管吸収の外液とした。この容器を37℃に設定したWaterbath中に入れ、水量を溶液の高さに調整した。
【0015】
反転腸管による吸収性試験;
6〜7週令のwistar系雄性ラット(体重200g前後)を予め2〜3週間予備飼育して実験に使用した。
(2)吸収内液の作製
実験前日より絶食した前記ラットから常法により小腸(空腸及び回腸)を摘出した。これを、混合ガス(O95%/CO5%)を通気した37℃のRinger buffer(pH7.2)中で反転させ、粘膜側を37℃の生理食塩液で洗浄した後、反転腸管を2等分又は4等分してそれぞれの一端を結紮した。これに、混合ガスを通気した37℃のRinger bufferを充填した後、注入側を結紮し反転腸管サックを作製した。(1)で調製した吸収外液へ、4等分に調製した反転腸管サックを、混合ガスを通気しながら同時に浮遊させた。経時的に、30分、60分、90分及び120分にそれぞれ反転腸管サックを取り出し、粘膜側を生理食塩水で洗浄した後、漿膜側のRinger bufferを採取し、3000rpmで10分間遠沈して上清を酸化還元電位測定用の試料溶液とした。一方、2等分に調製した反転腸管サックを同様に浮遊させ、90分間の酸化還元電位の吸収を同様に比較した。
【0016】
酸化還元電位の測定;
(2)で得られた酸化還元電位測定用の各試料溶液について、酸化還元電位計(ORP−203H)により37℃における酸化還元電位を測定した。結果を表1及び表2に示す。なお、経時的吸収及び90分間吸収における0時間(スタート時)の試料は漿膜側に充填した時のRinger bufferとした。各試料において、経時的吸収変化及び90分間吸収における測定値は平均値±標準誤差で表した。尚、表1の経時的変化における各時間の実施例と比較例の2群間の有意差検定はエクセルによるF−検定で分散の検定を行った後、分散検定に従って2標本のt−検定を行った。表2における90分間の吸収測定値は実施例と比較例間及び比較例と参考例間の有意差検定を表1の場合と同様に実施した。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
表1の結果から明らかなように、ニンニク無臭加工エキスを組み合わせた実施例は比較例に比べ60分以降、還元電位吸収促進が認められた。特に、90分及び120分の還元電位吸収値は危険率0.5%で有意差が認められた。表2において、実施例は比較例に比べ明らかに90分間における還元電位吸収値が高く、危険率0.5%で有意差が認められた。参考例は比較例に比べ低い値を示したが、有意差は認められなかった。従って、参考例即ちガーリックパウダーは比較例即ち焼成カルシウムの有する還元電位の吸収を抑制する傾向を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食した後にマイナス水素イオンを産生するように水素を保持する焼成カルシウムに対し、ニンニク無臭加工エキス末の配合比は重量比1:0.1〜5.0を含有する経口食品