説明

食事以外の時に使用する総入れ歯。

【課題】総入れ歯15は、食事での咀嚼力に対応して、強く硬く作られている。
また不用意に外れないように、口蓋に接する部分4を広い形状としている。
会話の時、この強く硬く広い形状の、総入れ歯15が舌12や唇13また歯茎11の動きを妨げ、スムーズな発音がしづらかった。硬く広い形状の異物を口内に装着しなければならないため鬱陶しさや不快感があった。
本発明はこの課題を解消するためになされたものである。
【解決手段】本発明は、食事以外の時に使用する総入れ歯1である。
食事での咀嚼力に耐える強さ硬さは不要である。義歯2も義歯床3も柔軟性のある材料で作る事ができる。
本発明の総入れ歯1は、歯茎11に磁石5等で装着するから、不用意に外れる事が無い。義歯床3も、狭く細いコンパクトな形状にする事ができる。
それら故、本発明の総入れ歯1は、食事以外の殆んど一日中、装着していても鬱陶しさも不快感も無く、また楽しい会話ができる。
限りなく天然歯に近い総入れ歯1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の総入れ歯の人の悩みは、スムーズに発音ができないことである。
また総入れ歯という異物を口の中に入れるから、鬱陶しさ不快さを感じるものである。
発音の難しさは、総入れ歯の形状と材料の硬さにある。
総入れ歯は、食事中に不用意に外れないよう、上顎の口蓋に接する部分が広く作られている。また咀嚼力で壊れないように強く、磨り減らないように硬く作られている。
現在歯科で行われている、入れ歯の治療のひとつに、インプラント治療がある。この治療の入れ歯には、歯茎に埋め込まれた人工歯根及び支台に、総入れ歯に取付けた磁石で装着するものがある。また総入れ歯側には、ホックやグリップを取付けたものもある。(脱着タイプの総入れ歯)
磁石やホック又はグリップは、インプラント治療で広く知られた従来技術であるため、この明細書での記述は省略する。装着方法は、代表して磁石により装着すると記述する。
本発明の食事以外の時に使用する総入れ歯は、このインプラント治療で、歯茎に埋め込まれた人工歯根及び支台を利用して、総入れ歯側に磁石を取付け、歯茎から外れないように装着するものである。
インプラント治療を行っていない人は、本発明の総入れ歯装着用として、人工歯根及び支台を歯茎に埋め込むことで使用できる。
本発明の総入れ歯は、食事以外の時に使用するものである。
そのため本発明の総入れ歯は、咀嚼力が働かないから強く、又磨り減らないから硬く作る必要が無い。
故に、柔軟性のある材料で、総入れ歯全体(義歯及び義歯床)を作る事ができる。
歯茎への装着も、総入れ歯側の磁石と、インプラント治療の人工歯根及び支台で行うから、上顎の口蓋に接する広い部分を無くしても、不用意に外れることは無い。
故に、義歯床は、歯茎に沿って狭く細いコンパクトな形状に作る事ができる。
柔軟性のある材料で、しかも歯茎に沿って、狭く細いコンパクトな形状に作られた義歯及び義歯床の本発明の総入れ歯は、装着しても鬱陶しさや不快さを感じることはないし、会話も舌や唇また歯茎の動きを邪魔することなく、天然歯と同じくスムーズにできる。
【背景技術】
【0002】
従来の総入れ歯は、食事での咀嚼力に耐えることを最優先に作られていた。
咀嚼力で入れ歯が壊れないように強く、また磨り減らないように硬く作られ、また簡単に歯茎から外れないように、総入れ歯の上顎の口蓋に接する部分を広い形状としていた。
総入れ歯の口蓋に接する部分を広くする目的は、一つには総入れ歯の強度のためであるが、もう一つの目的は、口蓋と総入れ歯の隙間に唾液が入ることで接合力が増す。故に、唾液が入る面積を大きくすること、言い換えれば、総入れ歯の口蓋に接する部分の面積を広くすることで、接合力を増大させ、総入れ歯が不用意に外れることをなくする目的がある。
この強く、硬く、広い形状の総入れ歯のため、発音時に舌や唇また歯茎の動きを著しく妨げ、スムーズな発音ができなかった。また口内に鬱陶しさや不快さを与えていた。
従来技術には、発音し易さに重点を置き、口内にも優しい、柔軟性のある材料で、歯茎に沿って狭く細いコンパクトな形状に作られた総入れ歯は無かった。
【発明の開示】

【発明が解決しょうとする課題】
【0003】
総入れ歯15の人が会話する時、総入れ歯15が舌12と唇13また歯茎11の動きの邪魔をして、スムーズに発音するのが困難であった。
これは、食事に必要な総入れ歯15の条件として
1.咀嚼力に耐える強さが必要。
2.義歯が磨り減らないような硬さが必要。
3.顎から不用意に外れないよう口蓋に接する部分を広くすること。
以上主要な三つの条件があるからである。
また唾液14が、総入れ歯15と上顎の口蓋10の隙間に入り、両者の接合に大変有効な役目をしている。
その接合力を高めるために、総入れ歯15側の口蓋に接する部分4を広くし、唾液13が接する面積を大きくすることで、顎から不用意に外れないようにしている。
口の中に、食事のために強い硬い入れ歯、広い形状の総入れ歯15を入れなければならず、会話するのが嫌になるくらいの思いをしなければならなかった。
食事以外の普段でも、総入れ歯15が硬く広い形状であるため、鬱陶しく不快な思いをさせていた。
本発明は、この課題を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、食事以外の時に使用する総入れ歯1である。
食事時間は、せいぜい日に一時間位と考えられる。
それ以外の十数時間は、本発明の総入れ歯1での生活とする事ができる。
本発明の、食事以外の時に使用する総入れ歯1は、咀嚼力・歯の磨り減りを考慮する必要が無い。
故に、強くて硬い総入れ歯とする必要が無い。柔軟性のある材料で作る事ができる。
総入れ歯1を装着するのに、総入れ歯1側には、磁石5を取り付ける。
歯茎11側は、インプラント治療での人工歯根6及び支台7を利用するから、不用意に外れることは無い。
インプラント治療を受けていない人は、総入れ歯1側には磁石5を、歯茎11側にはそれに合った人工歯根6及び支台7を埋め込み装着できるようにする。
故に、接合力を増すためになされていた、総入れ歯15の口蓋に接する部分4を広い形状とした総入れ歯15とする必要が無い。
義歯床3は、歯茎11に沿った狭い細いコンパクトな形状とする事ができる。
本発明の、食事以外の時に使用する総入れ歯1は、柔軟性のある材料で作り、また義歯床3を狭く細いコンパクトな形状に作るため、発音時に舌12や唇13また歯茎11の動きも妨げず、会話がスムーズにできる。
口内に鬱陶しさや不快さも与えない。
【発明の効果】
【0005】
総入れ歯15は、睡眠中以外は口内に装着されている。
総入れ歯15生活になると、総入れ歯15という異物を口の中に装着しなければならない。この異物を口内に装着すること自身が鬱陶しさや不快さを感じるが、会話はそれ以上に、はなはだしく不便を感じる。
食事以外の時は、総入れ歯15を外している人もいるくらいである。ただ総入れ歯15を外して人前に出る事は、非常にはばかられる。
総入れ歯15は、本来、発音のためにスムーズに動かなければならない舌12や唇13また歯茎11の動きを妨げる。
1.従来の総入れ歯15は、食事の咀嚼力に耐えるだけの強さと磨り減りを防ぐための硬さが必要である。
これを本発明の、食事以外の時に使用する総入れ歯1とすると、咀嚼力に対する、強さも硬さも考慮する必要が無い。
本発明の、食事以外の時に使用する総入れ歯1は、柔軟性のある材料で作れば良いことになる。例えば柔軟性のある樹脂系やゴム系の材料又は現在のアクリルレジン材料に、それらを組み合わせた材料等で作るものとする。
2.従来の総入れ歯15は、口蓋に接する部分4を広い形状としていた。
これは総入れ歯15に、必要な強さをもたせる役目もあるが、この広い形状とするのは、総入れ歯15の口蓋に接する部分4の面積を広くすることで、外れにくくする目的もある。
本発明の総入れ歯1は、その装着に磁石5を使用する。
この磁石5と人工歯根6及び支台7とにより、歯茎に装着される。
そのため、従来の総入れ歯15のような、口蓋に接する部分4を広くする必要は無い。
本発明の総入れ歯1の義歯床3は、狭く細いコンパクトな形状でよい。
本発明の、食事以外の時に使用する総入れ歯1は、上記1,2、項で説明したように、柔軟性のある材料で作り、また、義歯床3も、狭く細いコンパクトな形状とする事ができるため、発音時に必要な、舌12や唇13また歯茎11の動きを妨げることが無い。天然歯と同じようにスムーズな発音ができる。また口内にも優しく鬱陶しさ不快さを与えることが無い。
食事の時の総入れ歯15の装着時間は、せいぜい日に1時間位と考えられる。
それ以外の数十時間は、本発明の総入れ歯1での生活とする事ができる。
咀嚼力の要らないお茶・コーヒー等の飲み物は、本発明の総入れ歯1でも飲むことができる。
会話に不便を感じていた総入れ歯15の人も、会話が楽しいものになる。
口内に優しい総入れ歯1となり、鬱陶しさ不快さから開放され、日々楽しい生活ができる。
限りなく天然歯に近い総入れ歯とする事ができる。
【実施例1】
【0006】
(イ)本発明の総入れ歯1は、義歯2・義歯床3・磁石5で構成する。
(ロ)本発明の総入れ歯1の義歯2及び義歯床3は、食事には使わないから、咀嚼力に対する強さは考慮しなくて良い。
(ハ)また同じように、義歯2は食事には使わないから、磨り減りに対する硬さは考慮しなくて良い。
義歯2・義歯床3は、柔軟性のある材料で作る事ができる。
ただし、磁石5の位置の義歯8及び義歯8を取付ける部分の義歯床9は、歯を噛み締めた時、口が変形しないような、最低限の強さと硬さを持たせる。
(ニ)本発明の総入れ歯1は、磁石5で歯茎11にインプラント治療で、埋め込まれている人工歯根6及び支台7に装着する。
食事以外の時に不用意に外れなければ良いので、義歯床は、歯茎に沿って狭く細いコンパクトな形状に作る事ができる。
装着時の固定力も小さくてよいから、磁石5の数量も最低限の数でよい。
(ホ)インプラント治療を行っていない人は、歯茎11に、総入れ歯の磁石5に対応する人工歯根6及び支台7を埋め込む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の平面図(磁石5の数量を、4セットで示す)
【図2】本発明の側面図
【図3】従来の総入れ歯の平面図(インプラント治療前)
【図4】従来の総入れ歯の側面図(インプラント治療前)
【符号の説明】
【0008】
1 本発明の総入れ歯
2 義歯
3 義歯床
4 口蓋に接する部分
5 磁石
6 人工歯根
7 支台
8 磁石部の義歯
9 磁石部の義歯床
10 上顎の口蓋
11 歯茎
12 舌
13 唇
14 唾液
15 従来の総入れ歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、食事以外の時に使用する総入れ歯である。
本発明の総入れ歯は、
1.義歯床の口蓋に接する部分が無い。
2.義歯及び義歯床は柔軟性のある材料で作る。
3.歯茎への装着は、義歯床に取付けた磁石等とインプラント治療の人工歯根及び支台を利用する。
以上の3項目で構成される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−255127(P2011−255127A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142045(P2010−142045)
【出願日】平成22年6月5日(2010.6.5)
【出願人】(306028674)
【Fターム(参考)】