説明

食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの平均値解析による相対的評価方法

【課題】食品咀嚼時における食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの質の違いを正確に把握して、簡単かつ高精度で統計的に判別することができる、食品の硬さ、食感、及びテクスチャーのパターン認識による相対的評価方法を提供する。
【解決手段】食品試料をプランジャーで押圧し、同時に押圧中の荷重及び歪率を連続的に測定した後、任意の一定間隔の歪率毎に、対応する荷重の測定結果を抽出し、取得した複数の荷重値を前記歪率毎に積算し、得られた積算値を前記測定回数で除すことにより、当該歪率毎の荷重平均値を算出して平均値曲線を作成し、この平均値曲線を補正した補正平均値曲線の差を積分し、得られた積分値を用いて、食品試料間の硬さ、食感、及びテクスチャーの違いを評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの平均値解析による相対的評価方法に関する。詳しくは、寒天、ゼラチン、豆腐、クッキー、ビスケット、パイなどの食品を含め、ほとんど全ての食品について、少ない測定回数で、食品咀嚼時に知覚される食品の硬さ、食感、及びテクスチャーを数値的に定量化し、それらをパターン認識によって相対的に評価するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間にとって食物の摂取は、単に生命の維持のためのエネルギーの獲得だけを目的とする行為ではなく、味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚の五感の全てを働かせて、より積極的に「おいしさ」を追求し、「満足感」、「幸福感」を享受しようとする行為である。一般的に、食物の「おいしさ」の要素として、「味」、「香り」、「外観」とともに「テクスチャー」が挙げられる。
【0003】
テクスチャーとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の定義では、「力学的、触覚的及び適切であれば視覚的、聴覚的な方法で感知できる食物のレオロジー的、構造的属性の総体」であるとされる。すなわち、テクスチャーは、食品を食べる人間が感知して表現する食感と、食品自体の物性の両方を合わせた意味の用語として一般に理解されている。そして、テクスチャーの測定あるいは評価については、従来、ヒトの感覚器官により評価をする官能評価と、食品の物性を客観的に評価する物理学的測定が行われてきた。
しかしながら、現在に至るまで、食品の総合的なテクスチャーの測定あるいは評価に関しては、確立され、広く認められた方法はなかった。
【0004】
一般に各種食品の物性の測定装置として、例えば、レオメータ、クリープメータなどと称される力学的性状を測定する装置が普及している。該装置は圧縮破断強度、引っ張り強度、切断強度、弾性、粘弾性、脆さ、粘着性、応力緩和、クリープ等の測定が可能である。
【0005】
これまで食品の物性の測定方法あるいは食感の評価方法に関して、いくつかの提案がなされている。例えば、乳幼児または嚥下困難者用食品(ムース)について、上顎模型の形状計測に基づき、口蓋及び舌の形状をそれぞれモジュール化した口蓋容器及び舌プランジャーを備えた食品の物性測定器具を用い、最大応力を測定する提案(特許文献1)がある。
【0006】
また、レオメータを用い、クッキーやスナック菓子などの供試食品の破断曲線を取得し、数学的解析により所定の周波数領域での破断エネルギーを求め、官能検査のクリスプネスとの間の統計的解析を行うことにより、クリスプネスの指標とする提案(特許文献2)がある。
【0007】
また、物性がゾルからゲルに変化する豆腐、蒲鉾、チーズなどのゲル形成食品に、内部に浸透性のある特定波長(400nmから50,000nmの範囲)の光を照射し、得られた吸光度曲線の特に800nm〜840nm付近の吸光度と破断力に高い負の相関があることを利用したゲル形成食品の品質判定方法の提案(特許文献3)がある。
【0008】
また、キウイやセロリなどの食品にレオメータのプローブを挿入し、発生する振動を取得し、ノイズを取り除いた振動データを単位時間当たりの振幅密度を得て、この振幅密度が高いほど「シャキシャキ感」が高い(ダイコンよりネギの方が、振幅密度が高くシャキシャキしている)と評価する提案(特許文献4)がある。
【0009】
また、クロワッサン、デニッシュペストリーなどの層状食品をレオメータで抑
圧してプランジャーにかかる荷重の合計を破断エネルギー値Eとして算出し、「破断エネルギー値E/破断点の数N」を求め、該数値を層状食品の食感の指標として評価する提案(特許文献5)がある。
【0010】
また、食品、例えば、寒天、ゼラチン、ナタデココ、コンニャクゲルなどのゲル状食品、リンゴ、梨などの果実、クッキー、ビスケット、パイなどの焼き菓子類、あるいは、その他の食品について、荷重及び歪率のデータを連続的に測定できる装置(レオメータ等)を用いた測定を行い、得られた荷重及び歪率の測定値を基に四次方程式近似曲線、あるいは五次方程式近似曲線の歪率−荷重曲線を最小自乗法により作成し、当該曲線における破断点である極大値に到達する以前の曲線部分の変曲点における接線の傾きを食感の硬さとして評価する提案(特許文献6、7)がある。
【0011】
また、クッキー、ビスケット、パイなどの焼き菓子類、ゼラチン、寒天、豆腐類などのゲル状食品、あるいは、その他の食品について、食品咀嚼時における食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの質の違いを正確に把握して、簡単かつ高精度で統計的に判別することを可能とするため、食品試料の歪率―荷重曲線の多次近似曲線を統一的に補正して、得られた2つの補正多次近似曲線(パターン)の差を積分値として求め、得られた積分値が、どの程度の硬さ、食感、あるいは、テクスチャーの違いに該当するかを、あらかじめ収集しておいたデータに基づいて判断する方法が提案されている(特許文献8)。
【0012】
【特許文献1】特開2000−283975号公報
【特許文献2】特開2001−133374号公報
【特許文献3】特開2003−106995号公報
【特許文献4】特開2007−57476号公報
【特許文献5】特開2007−225460号公報
【特許文献6】特願2009−70951号
【特許文献7】特願2010−85178号
【特許文献8】特願2010−170015号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の提案は、ヒトの口蓋、舌の形状をモジュール化することによる、最大応力の測定方法の改善に過ぎない。また、特許文献2の提案は、異なる食感を有しながら類似の音響パターンを有するクッキーやスナック菓子の差を判断する上では適応が難しい。また、特許文献3の提案は、ゾルからゲルに変化する食品の物性を確認するに過ぎず、得られた焼き菓子の食感を評価するものではない。また、特許文献4の提案は、ネギやダイコンなどの野菜組織の「シャキシャキ感」の評価はできるが、異なる食感を有しながら類似の音響パターンを有するクッキーやスナック菓子の差を判断する上では適用が難しい。さらに、特許文献5の提案は、クロワッサン、デニッシュペストリーなどの層状食品の食感を評価する提案であり、焼き菓子においてパイのような層状食品には有効であるが、クッキー、スナック菓子などに適用した場合を考慮すると、全ての焼き菓子に対して有効ではなかった。特許文献6の提案は、破断挙動の比較的単純なゲル状食品には有効であるが、焼き菓子の場合、破断が急激に起こり、荷重−歪率曲線の挙動が複雑であるため四次方程式近似が適切ではなく、有効ではなかった。
また、これら特許文献1〜5の技術の共通的な問題として、パターン化が未確立であること、また、特許文献6の技術に関しては、食感をパターン認識して数値化するには、荷重及び歪率の測定値が近似四次方程式から乖離する問題があった。
【0014】
そこで、特許文献7の方法では、特許文献6の方法で採用されている四次方程式を五次以上の多次方程式に改良し、より良い近似が得られるように改良が施され、さらに、特許文献8の方法では近似方程式同士の曲線パターンを認識させることで、食感の類似度合いの数値化が為された。特許文献7、8の方法のように、荷重及び歪率の測定値を五次以上の多次方程式に近似することにより、ゲル状食品、焼き菓子類など多岐の食品にわたって、実際に測定した破断曲線に対して乖離の少ない曲線を得ることが出来る。
しかしながら、これらの多次方程式近似では急激な荷重の立ち上がりや破断と言った、食品サンプルの特徴的挙動を表現出来ないことがある。このような状況から、多次方程式による近似ではなく、より直接的に荷重及び歪率の測定値を基にして、複数の食品の硬さ、食感、及びテクスチャーを客観的に比較することができる新しい解析法の開発が望まれていた。
【0015】
そこで、本発明は、焼き菓子類、ゲル状食品、あるいはその他の食品などに関して、少ない測定回数で簡単な計算により求められる指標であって、かつ、ヒトが食品咀嚼時に実際に感知する食品の硬さ、食感、及びテクスチャーについて、食品間の差を的確に反映した指標によって、食品咀嚼時における食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの質の違いを数値的に定量化し、統計的にそれらを判別することができる評価方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、歪率−荷重破断の測定結果の平均化を行うことで平均値曲線を作成し、さらにその曲線形状のパターンを認識させて、複数試料の平均値曲線の差の領域の積分値を算出することで、相対的な食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの評価を自動認識することが出来ると考えるに至った。
【0017】
そこで、本発明者は、食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの違いを、多次方程式近似を採用する従来の評価方法に比べて、より直接的に解析することができる評価方法を実現するために、1つの試料について行った複数回分の歪率及び荷重の測定結果から、任意の一定間隔の歪率毎に荷重の平均値を算出し、かかる平均値を基にして得られた平均値曲線同士を相対比較する解析法を検討した。
しかしながら、歪率及び荷重を測定する際に用いるレオメータ等の測定装置は一定の歪率で試料を圧縮するのではなく、一定速度で試料を圧縮して、荷重及び歪率を測定することから、どのようにして一定間隔の歪率に対する荷重値の平均値を算出するかが問題となった。即ち、測定結果のプロットは、測定するたびに、測定装置から出力される歪率の値が不揃いであるため、例えば1%毎のように、一定間隔の歪率に対する荷重の平均値を算出することは不可能であった。
【0018】
そこで、本発明者は新たに、レオメータ等の測定装置による複数回の歪率及び荷重の測定結果について、一定間隔毎の歪率、例えば、整数パーセント(%)毎の歪率において、対応する歪率のデータがない場合は、それぞれの歪率に最も近い歪率に対する荷重の測定結果を検索し、この検索結果を、それぞれの歪率に対する荷重として便宜的に採用し、これを複数回の測定結果について行い、その後、当該歪率毎に荷重の総和を算出し、この算出値を測定回数で除して荷重平均値を求め、得られた荷重平均値の各プロットを繋ぎ合わせて平均値曲線を作成する解析法(平均値解析法)を考案した。
【0019】
そして、本発明者は、このようにして作成した複数の食品の平均値曲線について、当該平均値曲線間の荷重スケールを統一的に補正して補正平均値曲線を作成し、次いで、複数の食品試料の補正平均値曲線間の差の領域を積分値計算することによって、この積分値計算で得られた値が、複数の食品試料同士で食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの相違度合いを反映しており、したがって、かかる数値を利用して、複数の食品試料間の食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの相違度合いを推測することが可能となることを見出した。
【0020】
かくして、本発明は、食品試料をプランジャーで押圧し、同時に押圧中の荷重及び歪率を連続的に測定した後、任意の一定間隔の歪率毎に、対応する荷重の測定結果を抽出する第1のステップ、
第1のステップで規定した前記測定を繰り返して行い、前記各歪率に対応する荷重の測定結果を複数取得する第2のステップ、
第2のステップで取得した複数の荷重値を前記歪率毎に積算し、得られた積算値を前記測定回数で除すことにより、当該歪率毎の荷重平均値を算出する第3のステップ、
第3のステップで算出した前記歪率毎の荷重平均値を繋げて、X軸を歪率、Y軸を荷重とする歪率一荷重の平均値曲線を作成する第4のステップ、
前記歪率毎の荷重平均値の総和が、対比する食品試料間で同一の値となるように、前記平均値曲線上の荷重値を統一的に補正した補正平均値曲線を、対比する食品試料の前記平均値曲線からそれぞれ作成する第5のステップ、
第5のステップで作成した2つの補正平均値曲線の差を積分し、得られた積分値を用いて、食品試料間の硬さ、食感、及びテクスチャーの違いを評価する第6のステップ、を含むことを特徴とする、食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの平均値解析による相対的評価方法であり、この積分値の大小に基づいて、同一又は異なる種類の食品間の硬さ、食感、及びテクスチャーの質がどれだけ乖離しているかを自動計算、認識する方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、クッキー、ビスケット、パイのような焼き菓子、ゼラチン、寒天、豆腐類のようなゲル状食品、及びその他の食品に関して、少ない測定回数で、食品咀嚼時における食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの質の違いを数値的に定量化し、統計的にそれらを判別することが可能となる。
また、本発明によれば、もっぱら主観的な官能評価しか採用できなかった、同一食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの質の日間変動、あるいは同一日内の時間変動などの差についても、客観的な評価を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】食品試料の荷重及び歪率のデータを基に作成した曲線(元データ)の一例(A)、元データを一定間隔の歪率でプロットした曲線(B)の一例を示す図である。
【図2】食品試料の荷重及び歪率のデータを基に作成した平均値法で作成された歪率−荷重曲線の一例を示す図である。
【図3】平均値曲線のデータを統一補正する一例を示す図である。
【図4】平均値曲線の一例(A)及びその補正平均値曲線の一例(B)を示す図である。
【図5】補正平均値曲線の差の領域例を示す図である。
【図6】クッキーAの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図7】クッキーAの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図8】ビスケットBの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図9】ビスケットCの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図10】クッキーSの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図11】クッキーSと製造ロット違いの同製品の平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図12】クッキーSの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図13】クッキーSの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図14】クッキーSの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図15】ゼラチンDの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図16】ゼラチンEの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図17】寒天Fの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図18】木綿豆腐Gの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図19】絹ごし豆腐Hの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図20】玉子豆腐Iの平均値曲線(A)、補正平均値曲線(B)を示す図である。
【図21】木綿豆腐Gと木綿豆腐Jの補正平均値曲線(A)、木綿豆腐Gと木綿豆腐Kの補正平均値曲線(B)、木綿豆腐Gと木綿豆腐Lの補正平均値曲線(C)、木綿豆腐Gと絹ごし豆腐Hの補正平均値曲線(D)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明で評価が可能な食品は、例えば、クッキー、ビスケット、パイ、スナック菓子、米菓子、などの焼き菓子;寒天、ゼラチン、ナタデココ、豆腐類、コンニャクゲル、アロエなどのゲル状食品;リンゴ、ナシ、黄桃、白桃、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、バナナ、メロン、スイカ、パイナップル、マンゴ、パパイヤなどの果実;ダイコン、カブ、ニンジン、カボチャ、ナス、ミニトマトなどの野菜を挙げることができるが、これらの食品に限定されるわけではない。これらの食品のうち、クッキー、ビスケット、パイ、スナック菓子、米菓子、などの焼き菓子類、寒天、ゼラチン、豆腐類などのゲル状食品の評価が特に好ましい。このように、本発明は、荷重および歪率が測定できる食品であれば、いかなる食品の評価も可能であり、多岐に渡る食品を評価の対象とすることができる。なお、食品の硬さ、食感、又はテクスチャーについて対比する食品試料は、同種類の食品であっても、異なる種類の食品であってもよい。
【0024】
食品試料のサイズは、押圧する際に使用するプランジャーに基づいて、荷重及び歪率の測定に適した範囲のサイズにすればよい。また、測定に適した形状は問わず、通常ホールの形状、円柱体、直方体、立方体、球体及びこれに類似する形状が採用される。例えば、直径20mm×高さ2mmないし直径50mm×高さ8mmの円柱体、底辺30mm×底辺20mm×高さ2mmないし底辺20mm×底辺20mm×高さ20mmの直方体ないし立方体、直径5mmないし20mmの球体などが例示される。
【0025】
食品試料を押圧するために使用しうる装置としては、一般にプランジャーと呼ばれる、圧縮破断試験を行うことができる装置、すなわち、通常円柱状の部品を有し、その先端部分で食品試料を一定速度(通常、0.01〜50mm/秒)で押し潰し、同時に押圧中に負荷される荷重とその荷重に対する歪率(%)を連続的に測定することができる装置であるならば、特に制限はない。
通常、市販装置では、荷重及び歪率は、X軸を歪率、Y軸を荷重とする、歪率−荷重曲線として出力されるものが多いが、データとして外部出力されるものもある。また、その際、歪率は以下の式で示すことができる。
歪率=(H−T)/H×100
ただし、H=無負荷時のサンプルの高さ、T=荷重負荷時のサンプルの高さを表
す。
食品試料を押圧するプランジャー部分の形状は、測定する食品の実際の咀嚼態
様を考慮して選択することが好ましく、例えば、主として前歯で噛む食品の場合はくさび形、奥歯で噛む食品の場合は円柱形のプランジャーを選択することが好ましい。市販品としては、クリープメータRE2−33005B、クリープメータRE2−3305B(以上、株式会社山電製、商品名)、レオメータCR−500DX−S(株式会社レオテック製、商品名)などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。なお、これらの装置には、測定結果を外部に出力するためのソフトが予め組み込まれている。
【0026】
また、本発明の評価方法において、評価に供する試料の個数は特に限定されないが、例えば、1個の食品試料に対して、荷重及び歪率を測定する回数は、破断点の前後を合わせて合計で5〜100回、好ましくは10〜80回、より好ましくは10〜50回を挙げることができる。
【0027】
荷重及び歪率のデータは、通常、コンピューターに取り込まれ、平均値解析法を用いて、X軸を歪率、Y軸を荷重とする平均値曲線の荷重−歪率曲線を作成するために使用される。具体的には、例えば、食品試料の荷重及び歪率のデータを元に作成した曲線(元データ)(図1(A)参照)から、元データを任意の一定間隔毎の歪率でプロットした曲線を作成する(図1(B)参照)。実際の運用では、歪率1%毎のプロットが好ましい。この場合、任意の一定間隔の当該歪率に対する測定結果がない場合は、実際に測定された歪率のうち、当該歪率に最も近い歪率を便宜的に当該歪率とする。なお、当該歪率に最も近い歪率が2つある場合は、当該歪率よりも小さい方の歪率あるいは大きい方の歪率を、平均値曲線の作成工程の全体を通じて統一的に選択するようにすればよい。
以下、上記の元データを任意の一定間隔毎の歪率でプロットした平均値曲線の荷重−歪率曲線を作成するために使用される、一定間隔の当該歪率を実際に測定された歪率のうち、当該歪率に最も近い歪率を便宜的に選択する方法を選択方法Aと呼ぶことにする。
【0028】
複数回の前記測定を行って得られた荷重値を前記歪率毎に積算し、この積算値を前記測定回数で除すことにより、当該歪率毎の荷重平均値を算出し、この算出した荷重平均値を繋げて、X軸を歪率、Y軸を荷重とする歪率一荷重の平均値曲線を作成する(図2参照)。なお、平均値曲線及び後述する補正平均値曲線の作成は、所定のプロットの歪率及び荷重のデータを、例えば、表計算ソフトの関数計算機能を応用した、自動計算する方法を利用し、選択方法Aの実施のための関数を作成し、測定した歪率から平均値曲線に採用する一定間隔の歪率を選択し、当該歪率とこれに対する荷重の平均値を用いて、容易に作成することができる。
【0029】
対比する食品試料のそれぞれについて得られた平均値曲線は、食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの質を比較するにあたって、荷重スケールの大小に影響されないように、適正な補正を掛ける必要がある。本発明では、対比する食品試料間で、前記歪率毎の荷重平均値の総和が同一の値となるように、前記平均値曲線上の荷重値を統一的に補正する。具体的には、各荷重平均値に対して、例えば(式1)に基づいて統一的な補正計算を行う。
(式1)
1000×(特定の歪率における荷重平均値)/(特定の歪率毎の荷重の総和)=補正荷重値D
【0030】
この式1は、選択された特定の歪率毎の荷重平均値の総和を1000(gf)に統一した場合の、各荷重平均値を統一的に補正するための式である。この式1に基づいて、模式的に歪率10%毎に荷重平均値を補正した例を図3に示す。なお、上記の例では、統一的補正を行うにあたって、荷重平均値の総和が1000(gf)の数値となるように調整したが、これに限定されるものではなく、測定結果に基づいて適宜決定すればよい。
【0031】
歪率毎に補正荷重値Dを計算することによって、当該歪率に対応する荷重平均値を補正し、次いで、これらの補正荷重値Dのプロットを繋ぎ合わせることで、X軸を歪率、Y軸を荷重とする歪率一荷重の補正平均値曲線を作成する。補正平均値曲線の作成は、解析前の平均値のプロット間隔に従って、例えば歪率を0.01%〜2%毎に区切ってプロットするが、これに限定されるものではないが、実際の運用では、歪率1%毎のプロットを繋げた補正平均値曲線が好ましい。歪率1%毎のプロットを繋げた平均値曲線から補正平均値曲線を作成した例は、図4に示す通りである。
【0032】
作成した食品試料の2つの補正平均値曲線の差を積分し、得られた積分値を用いて、対比する食品試料間の硬さ、食感、及びテクスチャーの違いを評価する。図5に、複数サンプルの補正平均値曲線間における差の領域を積分計算した例を示す。この場合、積分値が大きいほど、食品試料間の硬さ、食感、及びテクスチャーが乖離しており、積分値が小さいほど、類似した硬さ、食感、及びテクスチャーであると評価される。積分計算は、例えば歪率0.01%〜2%毎に区切って歪率0%から90%まで計算を行うが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
【0034】
以下に述べる実施例1〜4で使用した食品試料は、それぞれ順に市販されているクッキーA(直径55mm×厚さ8.5mm円柱体)、クッキーA(クッキーAと同一製品、製造ロット違い品)、ビスケットB(底辺60mm×底辺48mm×厚さ9mm直方体)、ビスケットC(直径60mm×厚さ6mm円柱体)である。そして、後述する評価例1では、クッキーAを標準として、クッキーA、ビスケットB、ビスケットCとの食感の違いを本発明の方法を用いて評価した。なお、クッキーAとAは官能評価において全く同質の食感を有し、ビスケットBはクッキーAと官能評価において類似の食感を有し、ビスケットCはクッキーAと官能評価において全く異質の食感を有する試料である。
【0035】
(実施例1)
クッキーAを、試料台の上に室温で載置し、クリープメータRE2−33005B(山電社製、商品名)を用いて、該クッキーの上面方向から、接触面積50mmの円柱状のプランジャーを、1.0mm/秒の速度で押圧することにより、荷重(gf)及び歪率(%)を測定した。荷重(gf)及び歪率(%)の測定は、同一試料に対して30回測定した。
上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値の中から、歪率0%から1%の間隔で、歪率90%までの各歪率に対応する荷重の測定結果を抽出した。このとき、該当する数値の歪率がないものに対しては、当該数値に最も近い歪率のデータを便宜的に上記数値の歪率として採用した。そして、当該各歪率において、荷重の測定結果の総和を求め、それを測定回数である30で除すことにより、当該各歪率における荷重平均値を算出した。そして、コンピューターを用いて、これらの荷重平均値を繋げた平均値曲線(図6(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図6(B)参照)を作成した。当該補正平均値曲線は、式:1000×(上記各歪率における荷重平均値)/(上記歪率毎の荷重の総和)=補正荷重値に基づき、各歪率における補正荷重値を求め、これらの補正荷重値のプロットを繋げることで作成した。なお、具体的には、上記平均値曲線及び補正平均値曲線の作成は、表計算ソフトの関数計算機能を応用した自動計算する方法を利用して作成した。
【0036】
(実施例2)
クッキーAについて、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図7(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図7(B)参照)を作成した。
【0037】
(実施例3)
ビスケットBについて、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図8(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図8(B)参照)を作成した。
【0038】
(実施例4)
ビスケットCについて、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図9(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図9(B)参照)を作成した。
【0039】
(評価例1)
実施例1で得られたクッキーAの補正平均値曲線を標準とした、実施例2のクッキーAの補正平均値曲線との差の領域の積分計算を、歪率0%から70%までの範囲で、また、歪率1%間隔の解析条件で実施し、積分値をΔA2−Aとした。また、同様に、実施例3のビスケットB、及び、実施例4のビスケットCについても、歪率0%から70%までの範囲について、標準に対する補正平均値曲線の差の領域の積分値をΔB−A、ΔC−Aとして算出したところ、それぞれ表1に示す積分値となった。
【0040】
【表1】

【0041】
標準であるクッキーAと同製品、製造ロット違いであり、まったく同質の食感を有するクッキーAは、差の領域の積分値が80.9であり、他の比較した試料の中では最小であった。ビスケットBはクッキーAと官能評価において類似の食感を有するが、差の領域の積分値は123.9であり、値は小さかった。一方、ビスケットCはクッキーAと官能評価において全く異質の食感の試料であるが、差の領域の積分値は495.5であり、標準から大きく乖離した。これらの結果から、上記補正平均値曲線の差の領域の積分値は、焼き菓子類の実際の食感の違いを反映していることが理解された。
【0042】
続いて、品質管理への応用を想定し、モデルとしてクッキーの湿気に対する食感の変化を追跡する実験に本発明の評価方法を供した(後述する評価例2)。開封したクッキーAについて、気温20℃、湿度60%の恒温恒室槽にて湿気虐待を施し、食感の経時変化を補正平均値曲線の差で捉える検証をした。なお、実施例5〜9においては、クッキーAの呼称をクッキーSとした。
【0043】
(実施例5)
開封直後のクッキーSをクッキーSとし、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図10(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図10(B)参照)を作成した。
【0044】
(実施例6)
クッキーSと製造ロット違いの同製品について、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図11(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図11(B)参照)を作成した。
【0045】
(実施例7)
開封1日後のクッキーSをクッキーSとし、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図12(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図12(B)参照)を作成した。
【0046】
(実施例8)
開封2日後のクッキーSをクッキーSとし、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図13(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図13(B)参照)を作成した。
【0047】
(実施例9)
開封3日後のクッキーSをクッキーSとし、実施例1と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図14(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図14(B)参照)を作成した。
【0048】
(評価例2)
実施例5で得られたクッキーSの補正平均値曲線を標準とした、実施例6の製造ロット違いのSの補正平均値曲線との差の領域の積分計算を、歪率0%から70%までの範囲で、また、歪率1%間隔の解析条件で実施し、積分値をΔとした。また、同様に、実施例7のクッキーS、実施例8のクッキーS、及び、実施例9のビスケットSについても、歪率0%から70%までの範囲について、標準に対する補正平均値曲線の差の領域の積分値をΔS1−0、ΔS2−0、ΔS3−0として算出したところ、それぞれ表2に示す結果となった。
【0049】
【表2】

【0050】
標準であるクッキーSと製造ロット違いの同製品、開封直後の物は、差の領域の積分値が61.8であり、他の比較した試料の中では最小であった。クッキーSはクッキーSとの官能評価比較において僅かに湿気を感じる程度の食感変化があるが、差の領域の積分値は70.8であり、開封1日目では値は小さかった。クッキーSはクッキーSとの官能評価比較において、サクサク感が明らかに失われた程度の食感変化があるが、差の領域の積分値は186.7であり、開封2日目では値の拡大が見られた。クッキーSはクッキーSとの官能評価比較において完全にサクサク感が失われ、重たい食感に変化しているが、差の領域の積分値は446.0であり、開封3日目では標準から大きく乖離した。これらの結果から、上記補正平均値曲線の差の領域の積分値は、同一食品の間に対しても、湿気による食感の違いを反映することが理解された。このように、焼き菓子について、湿気による食感変化を評価する目的に対して、本発明を応用出来ることが分かった。
【0051】
さらに、本発明の評価方法をゲル状食品に適用した例を示す(後述する評価例3)。以下の実施例10〜15においては、それぞれ市販されているゲル状のゼラチンD、ゼラチンE、寒天F、木綿豆腐G、絹ごし豆腐H、玉子豆腐Iを、それぞれ底辺10mm×底辺10mm×厚さ10mm立方体に成形した物を用いた。なお、ゼラチンDとゼラチンEは異なる製品であるが、官能評価では、食感の質が、ここで準備したサンプルの中で最も近しいものである。
【0052】
(実施例10)
ゼラチンDを、試料台の上に品温4℃で載置し、クリープメータRE2−33005B(山電社製、商品名)を用いて、該ゼラチンの上面方向から、接触面積50mmの円柱状のプランジャーを、1.0mm/秒の速度で押圧することにより、荷重(gf)及び歪率(%)を測定した。荷重(gf)及び歪率(%)の測定は、同一試料に対して30回測定した。
上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、実施例1と同様の作業を行い、コンピューターを用いて平均値曲線(図15(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図15(B)参照)を作成した。
【0053】
(実施例11)
ゼラチンEについて、実施例10と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図16(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図16(B)参照)を作成した。
【0054】
(実施例12)
寒天Fについて、実施例10と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図17(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図17(B)参照)を作成した。
【0055】
(実施例13)
木綿豆腐Gについて、実施例10と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図18(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図18(B)参照)を作成した。
【0056】
(実施例14)
絹ごし豆腐Hについて、実施例10と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図19(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図19(B)参照)を作成した。
【0057】
(実施例15)
玉子豆腐Iについて、実施例10と同様の作業を行った。上記測定によって得られた荷重(gf)及び歪率(%)の測定値から、コンピューターを用いて平均値曲線(図20(A)参照)、ならびに補正平均値曲線(図20(B)参照)を作成した。
【0058】
(評価例3)
実施例10で得られたゼラチンDの補正平均値曲線を標準とした、実施例11のゼラチンEの補正平均値曲線との差の領域の積分計算を、歪率0%から70%までの範囲で、また、歪率1%間隔の解析条件で実施し、積分値をΔE−Dとした。また、同様に、実施例12の寒天F、実施例13の木綿豆腐G、実施例14の絹ごし豆腐H、実施例15の玉子豆腐Iについても、歪率0%から70%までの範囲について、標準に対する補正平均値曲線の差の領域の積分値をΔF−D、ΔG−D、ΔH−D、ΔI−Dとして算出したところ、それぞれ表3に示す結果となった。
【0059】
【表3】

【0060】
標準であるゼラチンDと、製品違いのゼラチンEは、官能評価において同質の食感であるが、差の領域の積分値は168.4となり、他の比較した試料の中では最小であった。寒天F、絹ごし豆腐H、玉子豆腐Iは官能評価において標準であるゼラチンDとは異質の食感を有するが、差の領域の積分値はそれぞれ788.3、520.8、2、516.9となり、得られた値に標準との乖離が見られた。木綿豆腐Gは張りのある食感の質がゼラチンとやや類似しており、差の領域の積分値は348.5であり、中程度の乖離であった。これらの結果から、上記補正平均値曲線の差の領域の積分値は、ゲル状食品に対して、食感の違いを反映していることが理解された。
【0061】
続いて、複数の豆腐の中から絹ごし豆腐が、本発明の評価方法により数値的に見分けられるかを調べた。以下に述べる実施例16には、それぞれ市販されている木綿豆腐G、木綿豆腐J、木綿豆腐K、木綿豆腐L、絹ごし豆腐Hをそれぞれ底辺10mm×底辺10mm×厚さ10mm立方体に成形した物を用いた。
【0062】
(実施例16)
木綿豆腐G、木綿豆腐J、木綿豆腐K、木綿豆腐L、絹ごし豆腐Hを、試料台の上に品温4℃で載置し、クリープメータRE2−33005B(山電社製、商品名)を用いて、該試料の上面方向から、接触面積50mmの円柱状のプランジャーを、1.0mm/秒の速度で押圧することにより、荷重(gf)及び歪率(%)を測定した。荷重(gf)及び歪率(%)の測定は、同一試料に対して30回測定した。
【0063】
(評価例4)
実施例16で使用した木綿豆腐Gについて、実施例1と同様にして、歪率0%から70%までの範囲で補正平均値曲線を作成し、これを標準とし、木綿豆腐J、木綿豆腐K、木綿豆腐L、絹ごし豆腐Hの歪率0%から70%までの範囲で作成した補正平均値曲線と比較したところ、図21(A)〜(D)のようになった。さらにそれぞれ標準との差の領域の積分計算を、歪率0%から70%までの範囲で、歪率1%間隔の解析条件で実施し、それぞれΔJ−G、ΔK−G、ΔL−G、ΔH−Gとして算出したところ、表4に示す結果となった。
【0064】
【表4】

【0065】
標準である木綿豆腐Gに対し、木綿豆腐J、木綿豆腐K、木綿豆腐Lの上記積分値はそれぞれ89.5、42.3、52.4となった一方、絹ごし豆腐Hは113.7となった。
このように豆腐群の中から絹ごし豆腐だけ数値的に乖離していた。つまり、本発明の評価方法を適用することで、異なる食感を持つ食品を見分けることが可能であった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品試料をプランジャーで押圧し、同時に押圧中の荷重及び歪率を連続的に測定した後、任意の一定間隔の歪率毎に、対応する荷重の測定結果を抽出する第1のステップ、
第1のステップで規定した前記測定を繰り返して行い、前記各歪率に対応する荷重の測定結果を複数取得する第2のステップ、
第2のステップで取得した複数の荷重値を前記歪率毎に積算し、得られた積算値を前記測定回数で除すことにより、当該歪率毎の荷重平均値を算出する第3のステップ、
第3のステップで算出した前記歪率毎の荷重平均値を繋げて、X軸を歪率、Y軸を荷重とする歪率一荷重の平均値曲線を作成する第4のステップ、
前記歪率毎の荷重平均値の総和が、対比する食品試料間で同一の値となるように、前記平均値曲線上の荷重値を統一的に補正した補正平均値曲線を、対比する食品試料の前記平均値曲線からそれぞれ作成する第5のステップ、
第5のステップで作成した2つの補正平均値曲線の差を積分し、得られた積分値を用いて、食品試料間の硬さ、食感、及びテクスチャーの違いを評価する第6のステップ、を含むことを特徴とする、食品の硬さ、食感、及びテクスチャーの平均値解析による相対的評価方法。
【請求項2】
任意の一定間隔の歪率毎に、対応する荷重の測定結果を抽出する第1のステップにおいて、当該歪率の測定結果がない場合は、実際に測定された歪率のうち、当該歪率に最も近い歪率を便宜的に当該歪率とする請求項1に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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