説明

食品乾燥庫および食品乾燥方法

【課題】乾燥処理が完了した対象物を過剰に乾燥させずに冷蔵する。
【解決手段】空気流路Sb内が第1の温度以上のときに導入口11を開口し、かつ、流路Sb内が第1の温度以下の第2の温度を下回ったときに導入口11を閉塞するように開閉機構21を構成すると共に、収容空間Sa内が第3の温度以上のときに排気口12を開口し、かつ、空間Sa内が第3の温度以下の第4の温度を下回ったときに排気口12を閉塞するように開閉機構22を構成すると共に、コントローラ9は、乾燥処理開始条件が満たされたときに、蒸発器41aによって流路Sb内の空気を除湿および冷却させ、かつ、その空気を凝縮器42aによって第1および第3の温度以上の第5の温度に加熱させると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、蒸発器41aによる冷却および凝縮器42aによる加熱を調整して流路Sb内の空気を第2および第4の温度を下回る第6の温度に冷却させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を乾燥させる食品乾燥庫および食品乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特公昭50−16022号公報には、鮮魚等の食品を乾燥させる乾燥冷蔵庫が開示されている。この乾燥冷蔵庫は、蒸発器、圧縮器および凝縮器や送風機などが一体的に収容されたパッケージと、処理対象の食品等を載置した状態の乾燥台車を収容可能な収容庫(以下、「内側収容庫」ともいう)と、上記のパッケージおよび内側収容庫を収容可能な収容庫(以下、「外側収容庫」ともいう)とを備えて構成されている。この乾燥冷蔵庫では、上記の送風機を動作させることにより、内側収容庫における一方の開口部から内側収容庫内の空気がパッケージ内に導入されて、蒸発器によって除湿および冷却された後に凝縮器によって加熱され、その後に、内側収容器と外側収容器との間を移動させられて内側収容庫の他方の開口部から内側収容庫内に導入される。これにより、この乾燥冷蔵庫では、内側収容庫内に導入された高温低湿の空気によって、上記の乾燥台車上の食品が乾燥させられる。
【0003】
この場合、この乾燥冷蔵庫では、上記の凝縮器として、空冷凝縮器および水冷凝縮器の2つを備え、食品の乾燥処理中と、乾燥処理の完了後(冷蔵時)とにおいて、両凝縮器に対する冷媒の流量を変化させることによって、内側収容庫内の温度を変化させる構成が採用されている。具体的には、乾燥処理中には、主として空冷凝縮器によって冷媒を凝縮させることで、蒸発器において除湿および冷却された低温低湿の空気を空冷凝縮器によって加熱して、庫内温度を上昇させる。また、乾燥処理の完了後(冷蔵時)には、主として水冷凝縮器によって冷媒を凝縮させることで、蒸発器において除湿および冷却された低温低湿の空気が空冷凝縮器によって加熱されるのを阻止して、内側収容庫に供給される空気の温度を低下させる。このような庫内温度の切り替えは、一例として、タイマー動作によって、乾燥処理の完了時刻に冷媒流路を空冷凝縮器向けの流路から水冷凝縮器向けの流路に切り替えることで行われている。これにより、乾燥処理が完了した食品等を低温で保存することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭50−16022号公報(第1−3頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の乾燥冷蔵庫、およびその乾燥方法には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の乾燥冷蔵庫では、乾燥処理の完了時刻に冷媒流路を空冷凝縮器向けの流路から水冷凝縮器向けの流路に切り替えることで、乾燥処理に適した温度(例えば25℃程度)から、冷蔵に適した温度(例えば5℃程度)に庫内温度を変化させる構成が採用されている。この場合、従来の乾燥冷蔵庫では、内側収容庫におけるパッケージ側の開口部(前述した「一方の開口部」)と、内側収容庫内に空気を導入するための開口部(前述した「他方の開口部」)とが常時開口されている。また、従来の乾燥冷蔵庫では、送風機を継続的に動作させることにより、乾燥処理中には、高温低湿の空気を内側収容庫内に導入し、冷蔵時(冷却処理の完了後)には、低温低湿の空気を内側収容庫内に導入する構成が採用されている。
【0006】
このため、従来の乾燥冷蔵庫、およびその乾燥方法では、乾燥処理によって所望の乾燥状態となった食品の周囲(内側収容庫内)に、乾燥処理の完了後(冷蔵時)においても低湿の空気(低温低湿の空気)が送風され続ける結果、乾燥処理を完了しているにも拘わらず、食品の乾燥が進行することとなる。このため、従来の乾燥冷蔵庫、およびその乾燥方法には、例えば、ドライフルーツ等を乾燥処理の対象としたときに、乾燥処理後の冷蔵時に対象物が過剰に乾燥させられて、その食感や味が劣化することがあるという問題点が存在する。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、乾燥処理が完了した対象物を過剰に乾燥させることなく冷蔵し得る食品乾燥庫および食品乾燥方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の食品乾燥庫は、乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機と、前記冷却装置、前記加熱装置および前記送風機を制御する制御装置とを備え、前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、前記第1の開閉機構は、前記空気流路内の空気が第1の温度以上のときに前記導入口を開口する開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記空気流路内の空気が前記第1の温度以下の第2の温度を下回ったときに前記導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる温度感知型の第1の移動機構を備えて構成され、前記第2の開閉機構は、前記収容空間内の空気が第3の温度以上のときに前記排気口を開口する開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、かつ、前記収容空間内の空気が前記第3の温度以下の第4の温度を下回ったときに前記排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる温度感知型の第2の移動機構を備えて構成され、前記制御部は、乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機を制御して前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させ、かつ、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して前記第1の温度および前記第3の温度の両温度以上の第5の温度に加熱させると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第2の温度および前記第4の温度の両温度を下回る第6の温度に冷却させる。
【0009】
また、請求項2記載の食品乾燥庫は、乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機と、前記冷却装置、前記加熱装置および前記送風機を制御する制御装置とを備え、前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、前記第1の開閉機構は、前記導入口を開口する開口位置および当該導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成され、前記第2の開閉機構は、前記排気口を開口する開口位置および当該排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成され、前記制御部は、乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機を制御して前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させると共に、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して第7の温度に加熱させ、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第7の温度よりも低温の第8の温度に冷却させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる。
【0010】
さらに、請求項3記載の食品乾燥庫は、請求項2記載の食品乾燥庫において、前記制御部は、前記乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第8の温度に冷却させる処理を開始してから予め規定された時間が経過したとの第1の条件、および前記空気流路内の空気が前記第7の温度よりも低温で前記第8の温度よりも高温の第9の温度になったとの第2の条件のうちの予め規定された一方が満たされたときに、前記第1の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる処理を開始させる。
【0011】
また、請求項4記載の食品乾燥庫は、請求項1から3のいずれかに記載の食品乾燥庫において、前記導入口の近傍に配設された第1の温度センサと、前記排気口の近傍に配設された第2の温度センサとを備え、前記制御部は、前記第1の温度センサによって検出された温度と、前記第2の温度センサによって検出された温度との差が予め規定された温度差を下回ったときに、前記乾燥処理完了条件が満たされたと判別する。
【0012】
さらに、請求項5記載の食品乾燥庫は、請求項1から4のいずれかに記載の食品乾燥庫において、前記外側容器は、断熱構造に形成されている。
【0013】
また、請求項6記載の食品乾燥方法は、乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機とを備え、前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、前記第1の開閉機構は、前記空気流路内の空気が第1の温度以上のときに前記導入口を開口する開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記空気流路内の空気が前記第1の温度以下の第2の温度を下回ったときに前記導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる温度感知型の第1の移動機構を備えて構成され、前記第2の開閉機構は、前記収容空間内の空気が第3の温度以上のときに前記排気口を開口する開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、かつ、前記収容空間内の空気が前記第3の温度以下の第4の温度を下回ったときに前記排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる温度感知型の第2の移動機構を備えて構成された食品乾燥庫によって前記食品を乾燥させる際に、乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機を制御して前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させ、かつ、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して前記第1の温度および前記第3の温度の両温度以上の第5の温度に加熱させると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第2の温度および前記第4の温度の両温度を下回る第6の温度に冷却させる。
【0014】
また、請求項7記載の食品乾燥方法は、乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機とを備え、前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、前記第1の開閉機構は、前記導入口を開口する開口位置および当該導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成され、前記第2の開閉機構は、前記排気口を開口する開口位置および当該排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成された食品乾燥庫によって前記食品を乾燥させる際に、乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機によって前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させると共に、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して第7の温度に加熱させ、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第7の温度よりも低温の第8の温度に冷却させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の食品乾燥庫、および請求項6記載の食品乾燥方法では、乾燥処理開始条件が満たされたときに、冷却装置が空気流路内の空気を除湿および冷却し、かつ、加熱装置が冷却装置によって除湿および冷却された空気を第1の温度および第3の温度の両温度以上の第5の温度に加熱することで、第1の開閉機構における第1の移動機構が第1の閉塞部材を開口位置に向けて移動させて導入口を開口し、かつ、第2の開閉機構における第2の移動機構が第2の閉塞部材を開口位置に向けて移動させて排気口を開口すると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、冷却装置および加熱装置の少なくとも一方の制御によって空気流路内の空気を第2の温度および第4の温度の両温度を下回る第6の温度に冷却することで第1の移動機構が第1の閉塞部材を閉塞位置に向けて移動させて導入口を閉塞し、かつ、第2の移動機構が第2の閉塞部材を閉塞位置に向けて移動させて排気口を閉塞する。
【0016】
したがって、請求項1記載の食品乾燥庫、および請求項6記載の食品乾燥方法によれば、食品を乾燥させるべきときには、導入口から高温低湿の空気を収容空間内に導入すると共に、食品から揮発した水分を含む高温高湿の空気を収容空間から空気流路に排気することができるため、収容空間内の食品を好適に乾燥させることができると共に、乾燥処理を完了した後には、導入口や排気口から低温低湿の空気の収容空間内への進入を阻止できるため、食品の乾燥が進行する事態を招くことなく、冷蔵に適した温度で保存することができる。また、第1の移動機構および第2の移動機構として、形状記憶合金やバイメタル等で任意の形状に形成した部材を用いることで、導入口を開閉するための第1の閉塞部材や、排気口を開閉するための第2の閉塞部材を開口位置と閉塞位置との間で移動させるための動力源が不要のため、食品乾燥庫のランニングコストを十分に低減することができる。
【0017】
請求項2記載の食品乾燥庫、および請求項7記載の食品乾燥方法では、乾燥処理開始条件が満たされたときに、冷却装置が空気流路内の空気を除湿および冷却し、かつ、加熱装置が冷却装置によって除湿および冷却された空気を第7の温度に加熱すると共に、第1の開閉機構における第1の移動機構が第1の閉塞部材を開口位置に向けて移動させて導入口を開口し、かつ、第2の開閉機構における第2の移動機構が第2の閉塞部材を開口位置に向けて移動させて排気口を開口すると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、冷却装置および加熱装置の少なくとも一方の制御によって空気流路内の空気を第8の温度に冷却すると共に、第1の移動機構が第1の閉塞部材を閉塞位置に向けて移動させて導入口を閉塞し、かつ、第2の移動機構が第2の閉塞部材を閉塞位置に向けて移動させて排気口を閉塞する。
【0018】
したがって、 請求項2記載の食品乾燥庫、および請求項7記載の食品乾燥方法によれば、食品を乾燥させるべきときには、導入口から高温低湿の空気を収容空間内に導入すると共に、食品から揮発した水分を含む高温高湿の空気を収容空間から空気流路に排気することができるため、収容空間内の食品を好適に乾燥させることができると共に、乾燥処理を完了した後には、導入口や排気口から低温低湿の空気の収容空間内への進入を阻止できるため、食品の乾燥が進行する事態を招くことなく、冷蔵に適した温度で保存することができる。
【0019】
請求項3記載の食品乾燥庫によれば、乾燥処理完了条件が満たされたときに、第1の条件および第2の条件のうちの予め規定された一方が満たされたときに、第1の移動機構が第1の閉塞部材を閉塞位置に向けて移動させて導入口を閉塞し、かつ、第2の移動機構が第2の閉塞部材を閉塞位置に向けて移動させて排気口を閉塞することにより、上記の条件を満たす以前に乾燥処理完了条件が満たされたときに直ちに導入口や排気口を閉塞する構成・方法とは異なり、乾燥処理の完了後暫くの間において低温低湿の空気が収容空間内に導入されるため、乾燥処理の完了後に収容空間内を短時間で温度低下させることができる結果、収容空間内の食品を短時間で温度低下させることができるため、乾燥処理の完了後に食品に残存する水分の揮発量を十分に低減することができる。
【0020】
請求項4記載の食品乾燥庫によれば、第1の温度センサによって検出された温度と、第2の温度センサによって検出された温度との差が予め規定された温度差を下回ったときに、乾燥処理完了条件が満たされたと判別することにより、例えば、湿度センサによって収容空間内の湿度を検出して、食品の乾燥処理が完了したか否かを判別する構成・方法と比較して、第1の温度センサおよび第2の温度センサが湿度センサよりも安価で、しかも、耐用寿命も長いため、食品乾燥庫の製造コストを十分に低減することができると共に、食品の乾燥が完了したか否かを正確に検出し得る状態を長期間に亘って維持することができる。
【0021】
請求項5記載の食品乾燥庫によれば、外側容器を断熱構造に形成したことにより、乾燥処理の完了後に収容空間内の食品を冷蔵する際に、収容空間内の空気が外気によって温度上昇させられる事態を回避することができる結果、食品乾燥庫のランニングコストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る食品乾燥庫1の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る食品乾燥庫1における開閉機構21(22)によって導入口11(排気口12)が開口された状態の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る食品乾燥庫1における開閉機構21(22)によって導入口11(排気口12)が閉塞された状態の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る食品乾燥庫1におけるコントローラ9が実行する乾燥処理50のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る食品乾燥庫1における温度センサ7,8の検出温度と食品の乾燥状態との関係について説明するための説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る食品乾燥庫1Aの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る食品乾燥庫および食品乾燥方法の実施の形態について説明する。
【0024】
図1に示す食品乾燥庫1は、ドライフルーツや野菜等の各種食品を対象とする乾燥処理および乾燥処理後の冷蔵を可能に構成された装置であって、内側容器2、外側容器3、ヒートポンプ4、ファン5,6、温度センサ7,8およびコントローラ9を備えて構成されている。内側容器2は、一例として、ステンレススチール等の金属板によって、乾燥対象の食品を収容可能な箱状に形成されている。また、内側容器2には、外側容器3との間に形成される空気流路Sb内の空気を食品の収容空間Saに導入する導入口11、および収容空間Sa内の空気を空気流路Sbに排気する排気口12が形成されている。この内側容器2は、上記したように金属板で形成されることで、空気流路Sbと収容空間Saとの間で熱を伝導可能な(空気流路Sb内の空気の温度に応じて収容空間Sa内における空気の温度を変化させる)伝熱構造となっている。
【0025】
また、内側容器2には、導入口11を開口可能に閉塞する開閉機構21(「第1の開閉機構」の一例)、および排気口12を開口可能に閉塞する開閉機構22(「第2の開閉機構」の一例)がそれぞれ取り付けられている。この場合、開閉機構21,22は、図2,3に示すように、導入口11や排気口12に嵌入される枠部材31、複数の閉塞板(フラップ)32、回動用部材33および弦巻バネ34を備えて構成されている。閉塞板32は、一例として、横長の薄板状に形成された本体部と、この本体部における長手方向の両端部に設けられたステーとで構成されると共に、両ステーに設けられた軸孔32aを介して枠部材31に対して回動自在に取り付けられている。この場合、本例の食品乾燥庫1では、開閉機構21の閉塞板32が「第1の閉塞部材」に相当し、かつ開閉機構22の閉塞板32が「第2の閉塞部材」に相当する。
【0026】
回動用部材33は、各閉塞板32を枠部材31に対して回動させるための部材であって、各閉塞板32のステーに軸止めされると共に、図2に示す矢印B1の向き(上向き)、および図3に示す矢印C1の向き(下向き)に枠部材31に対してスライド可能に取り付けられている。弦巻バネ34は、形状記憶合金で形成されており、一例として、45℃以上の温度において縮長すると共に、45℃を下回る温度において常態の長さに復元するように形成されている(「第1の温度」、「第2の温度」、「第3の温度」、および「第4の温度」が共に予め45℃に規定されている例)。なお、本例の食品乾燥庫1では、開閉機構21の弦巻バネ34が「第1の移動機構」に相当し、開閉機構22の弦巻バネ34が「第2の移動機構」に相当する。また、弦巻バネ34は、一方の端部(両図における下方の端部)が枠部材31に係止されると共に、他方の端部(両図における下方の端部)が回動用部材33に係止されて、周囲の温度変化に応じて縮長、または常態の長さに復帰することで枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせる。
【0027】
具体的には、開閉機構21の弦巻バネ34は、空気流路Sb内の空気が45℃以上となったときに縮長することにより、図3に示す矢印C1の向きで枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせて、同図に示す矢印C2の向きで枠部材31に対して各閉塞板32を回動させる。これにより、図2に示すように、各閉塞板32が導入口11を開口する開口位置に向けて移動させられる。また、開閉機構21の弦巻バネ34は、空気流路Sb内の空気が45℃を下回る温度となったときに常態の長さに復元することにより、図2に示す矢印B1の向きで枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせて、同図に示す矢印B2の向きで枠部材31に対して各閉塞板32を回動させる。これにより、図3に示すように、各閉塞板32が導入口11を閉塞する閉塞位置に向けて移動させられる。
【0028】
さらに、開閉機構22の弦巻バネ34は、収容空間Sa内の空気が45℃以上となったときに縮長することにより、図3に示す矢印C1の向きで枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせて、同図に示す矢印C2の向きで枠部材31に対して各閉塞板32を回動させる。これにより、図2に示すように、各閉塞板32が排気口12を開口する開口位置に向けて移動させられる。また、開閉機構22の弦巻バネ34は、収容空間Sa内の空気が45℃を下回る温度となったときに常態の長さに復元することにより、図2に示す矢印B1の向きで枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせて、同図に示す矢印B2の向きで枠部材31に対して各閉塞板32を回動させる。これにより、図3に示すように、各閉塞板32が排気口12を閉塞する閉塞位置に向けて移動させられる。
【0029】
なお、「第1の移動機構」が「第1の閉塞部材」を「閉塞位置」に移動させる「第2の温度」は、「第1の温度」以下の温度であれば「第1の温度」と相違していてもよい。同様にして、「第2の移動機構」が「第2の閉塞部材」を「閉塞位置」に移動させる「第4の温度」は、「第3の温度」以下の温度であれば「第3の温度」と相違していてもよい。また、「第1の移動機構」が「第1の閉塞部材」を「開口位置」に移動させる「第1の温度」と、「第2の移動機構」が「第2の閉塞部材」を「開口位置」に移動させる「第3の温度」とが互いに相違していてもよいし、「第1の移動機構」が「第1の閉塞部材」を「閉塞位置」に移動させる「第2の温度」と、「第2の移動機構」が「第2の閉塞部材」を「閉塞位置」に移動させる「第4の温度」とが互いに相違していてもよい。
【0030】
さらに、上記の弦巻バネ34に代えて、形状記憶合金やバイメタル等で任意の形状(例えば、板バネ状)に形成した部材を「第1の移動機構」および「第2の移動機構」として配設することで、回動用部材33を介して各閉塞板32を「開口位置」または「閉塞位置」に移動させる構成を採用することもできる(図示せず)。また、形状記憶合金やバイメタル等で任意の形状(例えば、板バネ状)に形成した部材によって、回動用部材33を介することなく、「第1の閉塞部材」および「第2の閉塞部材」を「開口位置」または「閉塞位置」に直接的に移動させる構成を採用することもできる(図示せず)。
【0031】
一方、外側容器3は、図1に示すように、上記の内側容器2、および後述するヒートポンプ4の構成要素の一部を収容可能な箱状に形成されて、内側容器2の周囲に空気流路Sbを形成する。この外側容器3は、一例として、ステンレススチール等の金属板によって形成された外板および内板の間に断熱材が挟み込まれて断熱構造に形成されている。なお、上記の内側容器2および外側容器3には、内側容器2の収容空間Sa内に乾燥処理対象の食品を収容し、かつ乾燥処理を完了した食品を収容空間Saから庫外(容器外)に取り出すための扉が設けられているが、食品乾燥庫1の構成、および動作原理についての理解を容易とするために、この扉の図示および説明を省略する。
【0032】
ヒートポンプ4は、図1に示すように、蒸発器41a,41b、凝縮器42a,42b、膨張弁43a,43b、圧縮器44および調整弁45a,45bを備えて、これらが冷媒配管を介して連結されて構成されている。蒸発器41aは、圧縮器44、調整弁45b、凝縮器42bおよび膨張弁43aと相まって「冷却装置」を構成し、空気流路Sb内に配設されて、空気流路Sb内の空気を除湿すると共に冷却する。蒸発器41bは、庫外(外側容器3の外)に配設されて、後述するように、凝縮器42aにおいて凝縮された冷媒によって庫外の空気(大気)を冷却する。凝縮器42aは、圧縮器44、調整弁45a、膨張弁43bおよび蒸発器41bと相まって「加熱装置」を構成し、空気流路Sbに配設されて、蒸発器41aによって除湿および冷却された空気を加熱する。凝縮器42bは、庫外(外側容器3の外)に配設されて、後述するように、蒸発器41aに供給する冷媒を凝縮させる。
【0033】
膨張弁43aは、一例として、電子膨張弁で構成されて冷媒流路における蒸発器41aの下流側に配設されると共に、凝縮器42bにおいて凝縮された冷媒をコントローラ9の制御に従って蒸発器41a内に噴出する。膨張弁43bは、一例として、電子膨張弁で構成されて冷媒流路における蒸発器41bの下流側に配設されると共に、凝縮器42aにおいて凝縮された冷媒をコントローラ9の制御に従って蒸発器41b内に噴出する。圧縮器44は、蒸発器41a,41bを通過した冷媒をコントローラ9の制御に従って圧縮する。調整弁45a,45bは、流量可変型の電子弁で構成されて、圧縮器44において圧縮された冷媒の凝縮器42a,42bに対する流量をコントローラ9の制御に従って調整する。
【0034】
ファン5は、「送風機」に相当し、蒸発器41aおよび凝縮器42aと共に空気流路Sb内に配設されている。このファン5は、一例として、蒸発器41aおよび凝縮器42aに対して、空気流路Sbにおける空気の流動方向における上流側に配置されて、コントローラ9の制御に従い、空気流路Sb内の空気を蒸発器41aおよび凝縮器42aの順で通過させるように送風する。なお、ファン5の位置は、上記の例に限定されず、蒸発器41aおよび凝縮器42aの間に配置したり、蒸発器41aおよび凝縮器42aに対して、空気流路Sbにおける空気の流動方向における下流側に配置したりすることができる。ファン6は、蒸発器41bおよび凝縮器42bと共に庫外(外側容器3の外)に配設されている。このファン6は、コントローラ9の制御に従い、庫外の空気(大気)を凝縮器42bおよび蒸発器41bの順で通過させるように送風する。
【0035】
温度センサ7は、「第1の温度センサ」に相当し、導入口11の近傍(本例では、空気流路Sbにおける導入口11の近傍)に配設されて、空気流路Sbから導入口11を通過して収容空間Sa内に導入される空気の温度(導入口11が閉塞された状態においては、空気流路Sb内の空気の温度)を検出してセンサ信号S7をコントローラ9に出力する。温度センサ8は、「第2の温度センサ」に相当し、排気口12の近傍(本例では、収容空間Saにおける排気口12の近傍)に配設されて、収容空間Saから排気口12を通過して空気流路Sbに排気される空気の温度(排気口12が閉塞された状態においては、収容空間Sa内の空気の温度)を検出してセンサ信号S8をコントローラ9に出力する。
【0036】
コントローラ9は、「制御部」に相当し、食品乾燥庫1を総括的に制御する。具体的には、コントローラ9は、図4に示す乾燥処理50を実行することにより、後述するように、予め規定されている「乾燥処理開始条件」が満たされたときに、ファン5を制御して空気流路Sb内の空気を送風させると共に、ヒートポンプ4を動作させることで、蒸発器41aによって空気流路Sb内の空気を除湿および冷却させ、かつ、蒸発器41aが除湿および冷却した空気を凝縮器42aによって例えば60℃±1℃(予め規定された目標温度範囲内の温度:「第5の温度」の一例)に加熱させる。また、コントローラ9は、後述するように、予め規定されている「乾燥処理完了条件」が満たされたときに、ヒートポンプ4の運転状態を変更して(蒸発器41aの除湿能力および冷却能力や、凝縮器42aの加熱能力を調整して:「冷却装置」および「加熱装置」の双方を制御する構成および方法の一例)、空気流路Sb内の空気を5℃±1℃(予め規定された目標温度範囲内の温度:「第6の温度」の一例)に冷却させる。
【0037】
この場合、本例の食品乾燥庫1では、スタートスイッチ、乾燥終了スイッチおよびストップスイッチが図示しない操作部に配設されると共に、コントローラ9が、処理開始時刻や処理終了時刻を取得するためのタイマーを備えて構成されている。また、本例の食品乾燥庫1では、「スタートスイッチが操作された」との条件、および「予め設定された処理開始時刻が到来した」との条件のいずれかが満たされたときに、コントローラ9が「乾燥処理開始条件」が満たされたと判別する構成が採用されている。また、本例の食品乾燥庫1では、「乾燥終了スイッチが操作された」との条件、「予め設定された処理終了時刻が到来した」との条件、および「温度センサ7によって検出された温度(センサ信号S7に基づいて特定される温度)と、温度センサ8によって検出された温度(センサ信号S8に基づいて特定される温度)との差が1℃(「予め規定された温度差」の一例)を下回った」との条件のいずれかが満たされたときに、コントローラ9が「乾燥処理完了条件」が満たされたと判別する構成が採用されている。
【0038】
この食品乾燥庫1によって食品を乾燥させる際には、まず、処理対象の食品を収容空間Sa内に収容する。次いで、図示しない操作部の電源スイッチを操作する。この際には、コントローラ9が、図4に示す乾燥処理50を開始する。この乾燥処理50では、コントローラ9は、スタートスイッチの操作の有無(ステップ51)、および予め設定された処理開始時刻の到来(ステップ52)を監視する。また、コントローラ9は、スタートスイッチが操作されたとき、若しくは、処理開始時刻が到来したときに、まず、ファン5,6を動作させる(ステップ53)。この時点においては、ヒートポンプ4が動作していないため(若しくは、後述するようにヒートポンプ4が動作開始直後のため)、収容空間Sa内の空気、および空気流路Sb内の空気の双方が、大気と同じ温度(一例として、25℃)となっている。したがって、図5に示すように、センサ信号S7,S8の双方によって25℃との温度が検出される。
【0039】
また、収容空間Sa内の空気、および空気流路Sb内の空気の双方が25℃のこの状態においては、開閉機構21,22の周囲が45℃よりも低温のため、弦巻バネ34が常態の長さとなっている。このため、図3に示すように、開閉機構21,22の各閉塞板32によって導入口11および排気口12がそれぞれ閉塞された状態となっている。したがって、図1に示すように、ファン5によって蒸発器41aおよび凝縮器42aを矢印A1で示すようにこの順で通過させられた空気流路Sb内の空気は、矢印A2,A3,A4で示すように内側容器2と外側容器3との間(空気流路Sb内)を移動させられて、ファン5によって再び蒸発器41aに向けて送風されることとなる。
【0040】
また、コントローラ9は、ファン5,6の動作開始とほぼ同時に、ヒートポンプ4を制御して「乾燥モード」での運転を開始させる(ステップ54)。具体的には、コントローラ9は、圧縮器44を制御して冷媒の圧縮を開始させると共に、調整弁45a,45bを制御して冷媒の流量を調整する。この場合、「乾燥モード」においては、コントローラ9は、調整弁45bを制御して、蒸発器41aが空気流路Sb内の空気を好適に除湿するのに要する冷媒が凝縮器42bから供給されるように圧縮器44から凝縮器42bへの冷媒の流量を調整すると共に、凝縮器42aが蒸発器41aによって除湿および冷却された空気を好適に加熱するのに要する冷媒が供給されるように圧縮器44から凝縮器42aへの冷媒の流量を調整し、かつ、圧縮器44を制御して必要量の冷媒を圧送させる。
【0041】
これにより、ファン5によって送風された空気流路Sb内の空気が蒸発器41aにおいて除湿および冷却されると共に、凝縮器42aにおいて加熱される結果、図5に示すように、温度センサ7による検出温度が徐々に上昇する。また、空気流路Sb内の空気の温度上昇に伴い、伝熱構造に形成されている内側容器2における収容空間Sa内の空気の温度が内側容器2からの輻射熱によって徐々に上昇する。このため、図5に示すように、温度センサ8による検出温度(すなわち、収容空間Sa内の空気の温度)も空気流路Sb内の空気の温度上昇に遅れて徐々に上昇する。この結果、収容空間Sa内の食品が温度上昇させられて、食品中の水分が収容空間Sa内に徐々に揮発する。
【0042】
一方、図5に示すように、ヒートポンプ4の動作開始から7分半程度が経過した時点において、空気流路Sb内の空気の温度(温度センサ7による検出温度)が45℃に達する。この際には、開閉機構21の弦巻バネ34が縮長し始めるため、開閉機構21の回動用部材33が枠部材31に対して矢印C1の向きにスライドさせられて、各閉塞板32が矢印C2の向きで開口位置に向けて回動させられる。これにより、導入口11が開口される結果、空気流路Sb内の高温低湿の空気が図1に矢印A5で示すように導入口11から収容空間Sa内に進入する。この際には、収容空間Sa内への高温低湿の空気の進入と、空気流路Sb内の高温低湿の空気による内側容器2からの輻射熱とにより、収容空間Sa内の空気の温度(温度センサ8による検出温度)がさらに上昇させられる。これにより、収容空間Sa内の食品が温度上昇させられて、食品中の水分の揮発が促進される。
【0043】
また、図5に示すように、ヒートポンプ4の動作開始から10分半程度が経過した時点において、収容空間Sa内の空気の温度(温度センサ8による検出温度)が45℃に達する。この際には、開閉機構22の弦巻バネ34が縮長し始めるため、開閉機構22の回動用部材33が枠部材31に対して矢印C1の向きにスライドさせられて、各閉塞板32が矢印C2の向きで開口位置に向けて回動させられる。これにより、排気口12が開口される結果、収容空間Sa内において食品から揮発した水分を含む高温高湿の空気が図1に矢印A6で示すように排気口12から空気流路Sb内に排気される。これに伴い、空気流路Sb内の空気が導入口11から収容空間Sa内に好適に進入する状態となる。この際には、収容空間Sa内への高温低湿の空気の進入と、空気流路Sb内の高温低湿の空気による内側容器2からの輻射熱とにより、収容空間Sa内の空気の温度(温度センサ8による検出温度)がさらに上昇させられる。この結果、収容空間Sa内の食品がさらに温度上昇させられて、食品中の水分の揮発が一層促進される。
【0044】
また、排気口12から排気された高温高湿の空気は、矢印A4で示すように空気流路Sb内を移動させられて、ファン5によって再び蒸発器41aに向けて送風される。この結果、収容空間Saから排気された高温高湿の空気は、蒸発器41aを通過する際に、除湿および冷却され、凝縮器42aを通過する際に加熱される。また、凝縮器42aにおいて加熱された高温低湿の空気は、図1に矢印A2で示すように空気流路Sb内を移動させられて、矢印A5で示すように導入口11から収容空間Sa内に再び導入される。
【0045】
さらに、図5に示すように、ヒートポンプ4の動作開始から18分程度が経過した時点において、空気流路Sb内の空気の温度(温度センサ7による検出温度)が60℃に達する。この場合、図5に示すように、収容空間Sa内に導入された空気は、食品を加温することで熱エネルギーが消費されて温度低下すると共に、食品からの水分の気化熱によってさらに温度低下させられる。したがって、収容空間Sa内の食品を乾燥させている間においては、収容空間Sa内に導入される前の空気の温度(空気流路Sb内の空気の温度:温度センサ7による検出温度)よりも、収容空間Sa内において食品を乾燥させるのに使用された空気の温度(収容空間Sa内の空気の温度:温度センサ8による検出温度)の方が5℃程度低い状態が維持される。
【0046】
一方、図4に示すように、コントローラ9は、ヒートポンプ4の「乾燥モード」での運転を開始した後に、温度センサ7,8の検出温度の差(温度差)が1℃を下回ったか否か(ステップ55)、乾燥終了スイッチの操作の有無(ステップ56)、および予め設定された処理終了時刻の到来(ステップ57)を監視する。この際に、収容空間Sa内の食品が必要かつ十分に乾燥した状態においては、食品からの水分の気化量が減少する結果、水分の気化熱による収容空間Sa内の空気の温度低下量が小さくなる。したがって、図5に示すように、この例では、ヒートポンプ4の動作開始から37分程度が経過した時点において、収容空間Sa内の空気の温度(温度センサ8による検出温度)が徐々に上昇し、温度センサ7,8による検出温度の温度差が徐々に小さくなる。また、ヒートポンプ4の動作開始から41分程度が経過した時点において、両温度センサ7,8による検出温度の温度差が1℃を下回る。
【0047】
この際に、コントローラ9は、「乾燥処理完了条件」が満たされたと判別し(ステップ55)、ヒートポンプ4を制御して「冷却モード」での運転を開始させる(ステップ58)。なお、「乾燥処理完了条件」が満たされる以前に、乾燥終了スイッチが操作されたとき(ステップ56)、および予め設定された処理終了時刻が到来したとき(ステップ57)においても、コントローラ9の制御下で実行される以下の説明の各処理が同様に実行される。具体的には、コントローラ9は、まず、圧縮器44および調整弁45a,45bを制御して冷媒の流量を調整する。この場合、「冷却モード」においては、コントローラ9は、調整弁45bを制御して、蒸発器41aが空気流路Sb内の空気を好適に冷却するのに要する冷媒が凝縮器42bから供給されるように圧縮器44から凝縮器42bへの冷媒の流量を調整すると共に、凝縮器42aが蒸発器41aによって除湿および冷却された空気を過剰に加熱することのない程度の冷媒が供給されるように圧縮器44から凝縮器42aへの冷媒の流量を調整し、かつ、圧縮器44を制御して必要量の冷媒を圧送させる。
【0048】
これにより、ファン5によって送風された空気流路Sb内の空気が蒸発器41aにおいて除湿および冷却されると共に、凝縮器42aにおいて僅かに加熱される結果、温度センサ7による検出温度(空気流路Sb内の空気の温度)が徐々に低下すると共に、空気流路Sbから導入口11を通過して収容空間Sa内に導入された空気の温度(温度センサ8による検出温度)も徐々に低下する。また、導入口11からの低温低湿の空気の導入に加えて、空気流路Sb内の空気の温度低下に伴い、伝熱構造に形成されている内側容器2における収容空間Sa内の空気の温度が内側容器2からの輻射熱の低下によって徐々に低下する。この結果、収容空間Sa内の食品が温度低下させられて、食品中の水分が収容空間Sa内に揮発する量が十分に減少する。
【0049】
一方、ヒートポンプ4を「冷却モード」で動作させてから暫く経過した時点において、空気流路Sb内の空気の温度(温度センサ7による検出温度)が45℃を下回る。この際には、開閉機構21の弦巻バネ34が常態の長さに復元し始めるため、開閉機構21の回動用部材33が枠部材31に対して図2に矢印B1の向きにスライドさせられて、各閉塞板32が矢印B2の向きで閉塞位置に向けて回動させられる。これにより、導入口11が閉塞される結果、空気流路Sb内の低温低湿の空気が導入口11から収容空間Sa内に進入するのが阻止される。しかしながら、空気流路Sb内の空気の温度低下が進行しているため、伝熱構造に形成されている内側容器2における収容空間Sa内の空気の温度が内側容器2からの輻射熱の低下によって徐々に低下し続ける(収容空間Sa内の空気の間接冷却)。この結果、収容空間Sa内の食品がさらに温度低下させられて、食品中の水分が収容空間Sa内に揮発する量が一層減少する。
【0050】
また、開閉機構21によって導入口11が閉塞されてから暫く経過した時点において、収容空間Sa内の空気の温度(温度センサ8による検出温度)が45℃を下回る。この際には、開閉機構22の弦巻バネ34が常態の長さに復元し始めるため、開閉機構21の回動用部材33が枠部材31に対して図2に矢印B1の向きにスライドさせられて、各閉塞板32が矢印B2の向きで閉塞位置に向けて回動させられる。これにより、排気口12が閉塞される結果、収容空間Sa内に低湿低温の空気が導入されない状態となり、食品の乾燥が進行する事態が回避される。この場合、空気流路Sb内の空気は、蒸発器41aによって継続的に除湿されるのに対し、収容空間Sa内の空気は、導入口11および排気口12が閉塞されたことで、それ以上さらに乾燥させられる(湿度を低下させられる)事態が回避される。この結果、収容空間Sa内の空気の湿度が空気流路Sb内に空気の湿度に対して相対的に高い状態となる。
【0051】
さらに、開閉機構22によって導入口11が閉塞されてから暫く経過した時点において、空気流路Sb内の空気の温度、および収容空間Sa内の空気の温度が共に5℃となる。この際に、コントローラ9は、温度センサ7,8の検出温度が5度±1℃の範囲内となるようにヒートポンプ4を制御する。これにより、収容空間Sa内の食品が、それ以上さらに乾燥させられることなく冷蔵される状態となる。この後、コントローラ9は、図示しないストップスイッチの操作の有無を監視する(ステップ59)。したがって、利用者が、乾燥処理を完了した食品を収容空間Saから取り出す際に、ストップスイッチが操作されたときに、コントローラ9は、ヒートポンプ4およびファン5,6の動作を停止させて、この乾燥処理50を終了する。
【0052】
このように、この食品乾燥庫1、および食品乾燥庫1による食品乾燥方法では、「乾燥処理開始条件」が満たされたときに、蒸発器41aが空気流路Sb内の空気を除湿および冷却し、かつ、凝縮器42aが蒸発器41aによって除湿および冷却された空気を、開閉機構21,22の両弦巻バネ34が縮長する45℃よりも高温の60℃±1℃に加熱することで、開閉機構21における弦巻バネ34が閉塞板32を開口位置に向けて移動させて導入口11を開口させ、かつ、開閉機構22における弦巻バネ34が閉塞板32を開口位置に向けて移動させて排気口12を開口させ、「乾燥処理完了条件」が満たされたときに、蒸発器41aによる除湿能力および冷却能力と凝縮器42aによる加熱能力の調整によって、空気流路Sb内の空気を、開閉機構21,22の両弦巻バネ34が常態の長さに復帰する45℃よりも低温の5℃±1℃に冷却することで開閉機構21の弦巻バネ34が閉塞板32を閉塞位置に向けて移動させて導入口11を閉塞し、かつ、開閉機構22の弦巻バネ34が閉塞板32を閉塞位置に向けて移動させて排気口12を閉塞する。
【0053】
したがって、この食品乾燥庫1、および食品乾燥庫1による食品乾燥方法によれば、食品を乾燥させるべきときには、導入口11から高温低湿の空気を収容空間Sa内に導入すると共に、食品から揮発した水分を含む高温高湿の空気を収容空間Saから空気流路Sbに排気することができるため、収容空間Sa内の食品を好適に乾燥させることができると共に、乾燥処理を完了した後には、導入口11や排気口12から低温低湿の空気の収容空間Sa内への進入を阻止できるため、食品の乾燥が進行する事態を招くことなく、冷蔵に適した温度で保存することができる。また、「第1の移動機構」および「第2の移動機構」として、形状記憶合金やバイメタル等で任意の形状に形成した部材(本例では、形状記憶合金で形成した弦巻バネ34)を用いることで、導入口11を開閉するための閉塞板32や、排気口12を開閉するための閉塞板32を開口位置と閉塞位置との間で移動させるための動力源が不要のため、食品乾燥庫1のランニングコストを十分に低減することができる。
【0054】
また、この食品乾燥庫1、および食品乾燥庫1による食品乾燥方法によれば、温度センサ7によって検出された温度と、温度センサ8によって検出された温度との差が1℃を下回ったときに、「乾燥処理完了条件」が満たされたと判別することにより、例えば、湿度センサによって収容空間Sa内の湿度を検出して、食品の乾燥処理が完了したか否かを判別する構成・方法と比較して、温度センサ7,8が湿度センサよりも安価で、しかも、耐用寿命も長いため、食品乾燥庫1の製造コストを十分に低減することができると共に、食品の乾燥が完了したか否かを正確に検出し得る状態を長期間に亘って維持することができる。
【0055】
さらに、この食品乾燥庫1によれば、外側容器3を断熱構造に形成したことにより、乾燥処理の完了後に収容空間Sa内の食品を冷蔵する際に、収容空間Sa内の空気が外気によって温度上昇させられる事態を回避することができる結果、食品乾燥庫1のランニングコストを十分に低減することができる。
【0056】
次いで、食品乾燥庫および食品乾燥方法の他の実施の形態について説明する。なお、前述した食品乾燥庫1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略し、食品乾燥庫1による食品乾燥方法と同様の手順についても、重複する説明を省略する。
【0057】
図6に示す食品乾燥庫1Aは、「食品乾燥庫」の他の一例であって、前述した食品乾燥庫1における開閉機構21,22に代えて、開閉機構21a,22aを備えて構成されている。この場合、開閉機構21a,22aは、前述した開閉機構21,22における弦巻バネ34に代えて、コントローラ9の制御に従って回動用部材33をスライドさせる電動式のアクチュエータ(「第1の移動機構」および「第2の移動機構」の他の一例:図示せず)を備えて構成されている。なお、この食品乾燥庫1Aにおいては、「第7の温度」が60℃±1℃(予め規定された目標温度範囲内の温度)で、「第8の温度」が5℃±1℃(予め規定された目標温度範囲内の温度)に規定されている。
【0058】
また、この食品乾燥庫1Aにおけるコントローラ9は、空気流路Sb内の空気が45℃以上となったときに、開閉機構21a,22aのアクチュエータを制御して、枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせることにより、枠部材31に対して各閉塞板32を回動させて導入口11や排気口12を開口する開口位置にそれぞれ移動させる。さらに、この食品乾燥庫1Aにおけるコントローラ9は、空気流路Sb内の空気が45℃(「第9の温度」の一例)を下回る温度となったときに、開閉機構21a,22aのアクチュエータを制御して、枠部材31に対して回動用部材33をスライドさせることにより、枠部材31に対して各閉塞板32を回動させて導入口11や排気口12を閉塞する閉塞位置にそれぞれ移動させる(「第2の条件」が満たされたときに「第1の移動機構」および「第2の移動機構」を制御する構成・方法の例)。
【0059】
なお、上記の構成に代えて、ヒートポンプ4を「乾燥モード」で動作させてから予め規定された時間が経過したときに開閉機構21a,22aを制御して導入口11や排気口12を開口させる構成・方法や、ヒートポンプ4を「冷却モード」で動作させてから予め規定された時間が経過したときに開閉機構21a,22aを制御して導入口11や排気口12を閉塞させる構成・方法(「第1の条件」が満たされたときに「第1の移動機構」および「第2の移動機構」を制御する構成・方法の例)を採用することもできる。
【0060】
この場合、この食品乾燥庫1Aによる食品の乾燥時、および冷却(冷蔵)時には、コントローラ9が温度センサ7,8からのセンサ信号S7,S8に基づいて、開閉機構21a,22aの周囲の温度が45℃以上となったときにアクチュエータを制御して各閉塞板32を開口位置に移動させ、開閉機構21a,22aの周囲の空気の温度が45℃を下回ったときにアクチュエータを制御して各閉塞板32を閉塞位置に移動させる構成が採用されている。したがって、この食品乾燥庫1Aでは、導入口11や排気口12がコントローラ9の制御下で開閉される点を除き、前述した食品乾燥庫1と同様に収容空間Sa内の食品が乾燥され、その後に冷蔵される。
【0061】
このように、この食品乾燥庫1A、および食品乾燥庫1Aによる食品乾燥方法では、「乾燥処理開始条件」が満たされたときに、蒸発器41aが空気流路Sb内の空気を除湿および冷却し、かつ、凝縮器42aが蒸発器41aによって除湿および冷却された空気を60度に加熱すると共に、開閉機構21aにおけるアクチュエータが閉塞板32を開口位置に向けて移動させて導入口11を開口し、かつ、開閉機構22aにおけるアクチュエータが閉塞板32を開口位置に向けて移動させて排気口12を開口すると共に、「乾燥処理完了条件」が満たされたときに、蒸発器41aおよび凝縮器42aの少なくとも一方の制御によって空気流路Sb内の空気を第8の温度に冷却すると共に、開閉機構21aのアクチュエータが閉塞板32を閉塞位置に向けて移動させて導入口11を閉塞し、かつ、開閉機構22aのアクチュエータが閉塞板32を閉塞位置に向けて移動させて排気口12を閉塞する。
【0062】
したがって、 この食品乾燥庫1A、および食品乾燥庫1Aによる食品乾燥方法によれば、前述さ食品乾燥庫1、および食品乾燥庫1による食品乾燥方法と同様にして、食品を乾燥させるべきときには、導入口11から高温低湿の空気を収容空間Sa内に導入すると共に、食品から揮発した水分を含む高温高湿の空気を収容空間Saから空気流路Sbに排気することができるため、収容空間Sa内の食品を好適に乾燥させることができると共に、乾燥処理を完了した後には、導入口11や排気口12から低温低湿の空気の収容空間Sa内への進入を阻止できるため、食品の乾燥が進行する事態を招くことなく、冷蔵に適した温度で保存することができる。
【0063】
また、この食品乾燥庫1A、および食品乾燥庫1Aによる食品乾燥方法によれば、「乾燥処理完了条件」が満たされたときに、予め規定された時間が経過したとの「第1の条件」、および空気流路内の空気が「第7の温度」よりも低温で「第8の温度」よりも高温の「第9の温度」となる「第2の条件」のうちの予め規定された一方が満たされたときに、開閉機構21aのアクチュエータが閉塞板32を閉塞位置に向けて移動させて導入口11を閉塞し、かつ、開閉機構22aのアクチュエータが閉塞板32を閉塞位置に向けて移動させて排気口12を閉塞することにより、上記の条件を満たす以前に「乾燥処理完了条件」が満たされたときに直ちに導入口11や排気口12を閉塞する構成・方法とは異なり、乾燥処理の完了後暫くの間において低温低湿の空気が収容空間Sa内に導入されるため、乾燥処理の完了後に収容空間Sa内を短時間で温度低下させることができる結果、収容空間Sa内の食品を短時間で温度低下させることができるため、乾燥処理の完了後に食品に残存する水分の揮発量を十分に低減することができる。
【0064】
なお、食品乾燥庫の構成や食品乾燥方法については、上記の例示に限定されるものではない。例えば、「スタートスイッチが操作された」との条件が満たされたときにだけ「乾燥処理開始条件」が満たされたとする構成・方法(タイマー動作によって乾燥処理を開始しない構成・方法)や、「予め設定された処理開始時刻が到来した」との条件が満たされたときにだけ「乾燥処理開始条件」が満たされたとする構成・方法(手動で乾燥処理を開始しない構成・方法)を採用することができる。
【0065】
また、「温度センサ7,8の検出温度差が予め規定された温度になった」との条件が満たされたときにだけ「乾燥処理終了条件」が満たされたとする構成・方法、「乾燥終了スイッチが操作された」との条件が満たされたときにだけ「乾燥処理終了条件」が満たされたとする構成・方法、「予め設定された処理終了時刻が到来した」との条件が満たされたときにだけ「乾燥処理終了条件」が満たされたとする構成・方法、「温度センサ7,8の検出温度差が予め規定された温度になった」との条件と「乾燥終了スイッチが操作された」との条件とのいずれかが満たされたときにだけ「乾燥処理終了条件」が満たされたとする構成・方法、「温度センサ7,8の検出温度差が予め規定された温度になった」との条件と「予め設定された処理終了時刻が到来した」との条件とのいずれかが満たされたときにだけ「乾燥処理終了条件」が満たされたとする構成・方法、および、「乾燥終了スイッチが操作された」との条件と「予め設定された処理終了時刻が到来した」との条件とのいずれかが満たされたときにだけ「乾燥処理終了条件」が満たされたとする構成・方法を採用することができる。さらに、「湿度センサによって検出された収容空間Sa内の湿度が予め規定された湿度を下回った」との条件を「乾燥処理完了条件」とする構成・方法を採用することもできる。
【0066】
また、ヒートポンプ4の凝縮器42aによって「加熱装置」を構成した例について説明したが、凝縮器42aに代えて(または、凝縮器42aに加えて)電気ヒータ等の各種の発熱装置を備えて「加熱装置」を構成することもできる。さらに、回動型の閉塞板32を「第1の閉塞部材」および「第2の閉塞部材」として備えた開閉機構21,22を導入口11や排気口12に取り付けた食品乾燥庫1を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、スライド型の「第1の閉塞部材」を備えて構成された「第1の開閉機構」(図示せず)を「導入口」に取り付けると共に、スライド型の「第2の閉塞部材」(図示せず)を「排気口」に取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A 食品乾燥庫
2 内側容器
3 外側容器
4 ヒートポンプ
5,6 ファン
7,8 温度センサ
9 コントローラ
11 導入口
12 排気口
21,21a,22,22a 開閉機構
31 枠部材
32 閉塞板
32a 軸孔
33 回動用部材
34 弦巻バネ
41a,41b 蒸発器
42a,42b 凝縮器
43a,43b 膨張弁
44 圧縮器
45a,45b 調整弁
50 乾燥処理
S7,S8 センサ信号
Sa 収容空間
Sb 空気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、
前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、
前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機と、
前記冷却装置、前記加熱装置および前記送風機を制御する制御装置とを備え、
前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、
前記第1の開閉機構は、前記空気流路内の空気が第1の温度以上のときに前記導入口を開口する開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記空気流路内の空気が前記第1の温度以下の第2の温度を下回ったときに前記導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる温度感知型の第1の移動機構を備えて構成され、
前記第2の開閉機構は、前記収容空間内の空気が第3の温度以上のときに前記排気口を開口する開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、かつ、前記収容空間内の空気が前記第3の温度以下の第4の温度を下回ったときに前記排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる温度感知型の第2の移動機構を備えて構成され、
前記制御部は、乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機を制御して前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させ、かつ、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して前記第1の温度および前記第3の温度の両温度以上の第5の温度に加熱させると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第2の温度および前記第4の温度の両温度を下回る第6の温度に冷却させる食品乾燥庫。
【請求項2】
乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、
前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、
前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機と、
前記冷却装置、前記加熱装置および前記送風機を制御する制御装置とを備え、
前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、
前記第1の開閉機構は、前記導入口を開口する開口位置および当該導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成され、
前記第2の開閉機構は、前記排気口を開口する開口位置および当該排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成され、
前記制御部は、乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機を制御して前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させると共に、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して第7の温度に加熱させ、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第7の温度よりも低温の第8の温度に冷却させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる食品乾燥庫。
【請求項3】
前記制御部は、前記乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第8の温度に冷却させる処理を開始してから予め規定された時間が経過したとの第1の条件、および前記空気流路内の空気が前記第7の温度よりも低温で前記第8の温度よりも高温の第9の温度になったとの第2の条件のうちの予め規定された一方が満たされたときに、前記第1の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる処理を開始させる請求項2記載の食品乾燥庫。
【請求項4】
前記導入口の近傍に配設された第1の温度センサと、前記排気口の近傍に配設された第2の温度センサとを備え、
前記制御部は、前記第1の温度センサによって検出された温度と、前記第2の温度センサによって検出された温度との差が予め規定された温度差を下回ったときに、前記乾燥処理完了条件が満たされたと判別する請求項1から3のいずれかに記載の食品乾燥庫。
【請求項5】
前記外側容器は、断熱構造に形成されている請求項1から4のいずれかに記載の食品乾燥庫。
【請求項6】
乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、
前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、
前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機とを備え、
前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、
前記第1の開閉機構は、前記空気流路内の空気が第1の温度以上のときに前記導入口を開口する開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記空気流路内の空気が前記第1の温度以下の第2の温度を下回ったときに前記導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる温度感知型の第1の移動機構を備えて構成され、
前記第2の開閉機構は、前記収容空間内の空気が第3の温度以上のときに前記排気口を開口する開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、かつ、前記収容空間内の空気が前記第3の温度以下の第4の温度を下回ったときに前記排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる温度感知型の第2の移動機構を備えて構成された食品乾燥庫によって前記食品を乾燥させる際に、
乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機を制御して前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させ、かつ、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して前記第1の温度および前記第3の温度の両温度以上の第5の温度に加熱させると共に、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第2の温度および前記第4の温度の両温度を下回る第6の温度に冷却させる食品乾燥方法。
【請求項7】
乾燥対象の食品を収容する収容空間を有する内側容器と、
前記内側容器を収容可能に形成されて当該内側容器の周囲に空気流路を形成する外側容器と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を除湿すると共に冷却する冷却装置と、
前記空気流路に配設されて前記冷却装置によって除湿および冷却された空気を加熱する加熱装置と、
前記空気流路に配設されて当該空気流路内の空気を前記冷却装置および前記加熱装置の順で通過させるように送風する送風機とを備え、
前記内側容器は、前記空気流路と前記収容空間との間で熱を伝導可能な伝熱構造に形成されると共に、前記空気流路内の空気を前記収容空間に導入する導入口、および前記収容空間内の空気を前記空気流路に排気する排気口が形成され、かつ、前記導入口を開口可能に閉塞する第1の閉塞部材を有する第1の開閉機構、および前記排気口を開口可能に閉塞する第2の閉塞部材を有する第2の開閉機構が取り付けられて構成され、
前記第1の開閉機構は、前記導入口を開口する開口位置および当該導入口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成され、
前記第2の開閉機構は、前記排気口を開口する開口位置および当該排気口を閉塞する閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる第1の移動機構を備えて構成された食品乾燥庫によって前記食品を乾燥させる際に、
乾燥処理開始条件が満たされたときに、前記送風機によって前記空気流路内の空気を送風させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記開口位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させ、前記冷却装置を制御して前記空気流路内の空気を除湿および冷却させると共に、当該除湿および冷却された空気を前記加熱装置を制御して第7の温度に加熱させ、乾燥処理完了条件が満たされたときに、前記冷却装置および前記加熱装置の少なくとも一方を制御して前記空気流路内の空気を前記第7の温度よりも低温の第8の温度に冷却させると共に、前記第1の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第1の閉塞部材を移動させ、かつ、前記第2の移動機構を制御して前記閉塞位置に向けて前記第2の閉塞部材を移動させる食品乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64522(P2013−64522A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202549(P2011−202549)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】