説明

食品保冷庫

【課題】温度条件が大きく異なる野菜類と穀類の保冷について、煩わしい取扱いを要することなく、共通に適用できる上に、電力消費増加と耐久性低下の問題を解消することができる食品保冷庫を提供する。
【解決手段】食品保冷庫は、保冷室(5)と、冷却装置(32)と、保冷室(5)の検出温度(Ts)を別途設定の目標温度(T)に維持する制御装置(32)とを備えて構成され、この制御装置(32)は、保冷室(5)の検出温度(Ts)についてオン温度(Tt)を上昇限度として起動を指令し、オフ温度(Tb)を下降限度として停止を指令する冷却制御を行い、そのオン温度(Tt)およびオフ温度(Tb)は、保冷対象物に許容される温度幅の範囲内で、目標温度(T)の高さと対応して両者の温度差である制御温度幅(W)を大きく設定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜類および穀類をそれぞれに必要な温度条件で生鮮保冷するための食品保冷庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す保冷庫は、大小の2つの保冷区画を備え、それぞれに個別動作可能な蒸発器を設けた冷却装置を動作制御することにより、それぞれを目標温度に維持することができ、また、2℃〜10℃の低温度域で生鮮保冷されるべき野菜類および、10℃〜15℃の高温度域で生鮮保冷されるべき穀類について、双方または一方を複数の保冷区画の全部または任意の一部に収容し、それぞれに設定した目標温度による多様な形態の生鮮保冷に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−130888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、設定された目標温度に維持するための冷却装置の動作制御は、庫内温度の上限となるオン温度で冷却を開始し、庫内温度の下限となるオフ温度で冷却を停止し、この場合において、許容温度幅が比較的狭い野菜類に合わせて温度管理する必要があることから、許容温度幅が比較的広い穀類の場合に、圧縮機が必要以上にオン・オフを繰り返すこととなり、コンプレッサモータの頻繁な起動による電力消費の増加と関係部品の劣化を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、生鮮保冷のための温度条件が低温度域で許容温度幅が狭い野菜類の保冷のみならず、高温度域で許容温度幅が広い穀類の保冷の場合にも、煩わしい取扱いを要することなく、簡易な設定操作によって共通に適用できる上に、穀類の保冷に伴う電力消費増加と耐久性低下の問題を解消することができる食品保冷庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、保冷対象物である野菜類又は穀類を収容する保冷室(5)と、この保冷室(5)を冷却する冷却装置(30)と、この冷却装置(30)の起動と停止の制御指令により保冷室(5)の検出温度(Ts)を別途設定の目標温度(T)に維持する制御装置(32)とからなる食品保冷庫において、上記制御装置(32)は、検出温度(Ts)についてオン温度(Tt)を上昇限度として起動を指令し、オフ温度(Tb)を下降限度として停止を指令する冷却制御を行い、そのオン温度(Tt)およびオフ温度(Tb)の両者の温度差である制御温度幅(W)を、目標温度(T)が高いほうが低いときよりも大きくするように変更することを特徴とする。
【0007】
上記保冷室は冷却装置により冷却され、冷却装置は制御装置によって冷却制御され、保冷室の検出温度がオン温度を越えると起動されてオフ温度に達するまで冷却動作することから、これらオン温度およびオフ温度の設定により保冷室が目標温度の近傍に維持され、この場合において、保冷対象物に許容される温度幅の範囲内で、目標温度が高いほどオン温度とオフ温度との温度差である制御温度幅を大きくとることにより、低温度域の目標温度を設定すると制御温度幅が小さくなることから許容温度幅が比較的狭い野菜類に適合し、また、高温度域の目標温度を設定すると制御温度幅が大きくなることから、許容温度幅が比較的大きな穀類に適合するとともに、狭い制御温度幅で冷却制御する場合と比較して冷却装置の動作頻度が低減される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記制御装置(32)は、野菜類と穀類のそれぞれに適用しうる目標温度(T)としての野菜類用目標温度と穀類用目標温度を設け、野菜類用目標温度の制御温度幅(W)より穀類用目標温度の制御幅(W)を大きくし、これら野菜類用目標温度と穀類用目標温度のいずれかを選択する選択手段を設けたことを特徴とする。
上記制御装置は、野菜類用目標温度と穀類用目標温度の選択に対応する目標温度と許容温度幅により、野菜類または穀類にそれぞれ適合する温度条件で冷却制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明による食品保冷庫は、保冷対象物に許容される温度幅の範囲内で、目標温度が高いほどオン温度とオフ温度との温度差である制御温度幅を大きくとることにより、低温度域の目標温度を設定すると制御温度幅が小さくなることから許容温度幅が比較的狭い野菜類に適合し、また、高温度域の目標温度を設定すると制御温度幅が大きくなることから、許容温度幅が比較的大きな穀類に適合するとともに、狭い制御温度幅で冷却する場合と比較して冷却装置の動作頻度が低減される。したがって、上記構成の食品保冷庫は、低温度域で許容温度幅が狭い野菜類に適合した保冷を可能とするとともに、高温度域で許容温度幅が広い穀類の保冷について、穀類の保冷に伴う電力消費増加と耐久性低下の問題を解消することができる。
【0010】
請求項2の発明による食品保冷庫は、請求項1の効果に加え、野菜類用目標温度と穀類用目標温度の選択に対応する目標温度と許容温度幅により、野菜類または穀類にそれぞれ適合する温度条件で冷却制御を行うことから、野菜類と穀類の2者択一の簡易な選択操作により、食品保冷庫の適正動作のための的確な保冷設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】単室構成の食品保冷庫の平面図(a)および正面図(b)
【図2】温度制御特性図
【図3】複室構成の保冷庫の正面図
【図4】冷却装置の機器配置図
【図5】防露ヒータの制御例1(a)および制御例2(b)のタイミングチャート
【図6】圧縮機停止時間の区分
【図7】除霜動作例1のタイミングチャート
【図8】除霜サイクルの区分
【図9】除霜動作例2のタイミングチャート
【図10】除霜動作例3のタイミングチャート
【図11】除霜動作例4のタイミングチャート
【図12】除霜動作例5のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、単室構成の保冷室を形成した食品保冷庫1sの例についての平面図(a)および正面図(b)である。
【0013】
上記保冷庫1sは、野菜類と穀類のいずれにも適用可能な単室構成の保冷室5と、その頂部に制御装置である制御盤32を内蔵した冷却装置30を配置して構成される。保冷室5の前面の開閉扉7,7の前面右上部に温度表示・調節部22、冷却装置30の前面部に電源スイッチ40等の操作部が配置され、この保冷庫1sにより、生鮮保冷のための温度条件が互いに相違する複数種類の保冷対象物、すなわち、目標温度が低温度域で許容温度幅が狭い野菜類(野菜モード)および目標温度が高温度域で許容温度幅が広い穀類(米モード)のいずれについても、図示はしないが選択スイッチ等の簡易な操作で設定することができ、特に、穀類の保冷に伴う電力消費増加と耐久性低下の問題を解消するべく制御装置32を構成したものである。
【0014】
冷却装置30の冷却制御は、図2の温度制御特性図に示すように、保冷室5の検出温度Tsについてオン温度Ttを上昇限度として起動を指令し、オフ温度Tbを下降限度として停止を指令する制御装置32によって行い、そのオン温度Ttおよびオフ温度Tbは、許容される温度幅の範囲内で、目標温度Tの高さと対応して両者の温度差である制御温度幅Wすなわちディファレンシャル温度を変更する。
【0015】
具体的には、野菜類の保冷温度条件が低温度域(例えば、2℃〜10℃の範囲)で小なる制御温度幅(例えば、2℃)、穀類の保冷温度条件が高温度域(例えば、10℃〜15℃の範囲)で大なる制御温度幅(例えば、4℃)とする。すなわち、野菜類の保冷時の制御温度幅よりも穀類の保冷時の制御温度幅を大きく設定する。
【0016】
上記構成による保冷庫1sは、保冷物を収容した保冷室5が冷却装置30により冷却され、冷却装置30は制御装置32によって冷却制御され、保冷室5の検出温度Tsがオン温度Ttを越えると起動されてオフ温度Tbに達するまで冷却動作することから、これらオン温度Ttおよびオフ温度Tbの設定により保冷室5が目標温度の近傍に維持され、この場合において、保冷対象物に許容される温度幅の範囲内で、目標温度が高いほどオン温度Ttとオフ温度Tbとの温度差である制御温度幅Wを大きくとることにより、低温度域で目標温度Tを設定すると制御温度幅Wが小さくなることから許容温度幅が比較的狭い野菜類に適合し、また、高温度域で目標温度Tを設定すると制御温度幅Wが大きくなることから、許容温度幅が比較的大きな穀類に適合するとともに、狭い制御温度幅で冷却制御する場合と比較して冷却装置30の動作頻度が低減される。
【0017】
したがって、上記構成の食品保冷庫1sは、低温度域で許容温度幅が狭い野菜類に適合した保冷を可能とするとともに、高温度域で許容温度幅が広い穀類の保冷について、特段の煩わしい取扱いを要することなく、共通の簡易な操作である目標温度Tの設定により、穀類の保冷に伴う電力消費増加と耐久性低下の問題を解消することができる。
【0018】
また、冷却装置30は、野菜類と穀類のそれぞれに共通して適用しうる目標温度Tとしての野菜類共通温度と穀類共通温度を設けるとともに、これら野菜類共通温度(野菜モード)と穀類共通温度(米モード)のいずれかを選択可能に構成することにより、野菜類共通温度と穀類共通温度の選択に対応する目標温度と許容温度幅により、野菜類または穀類にそれぞれ適合する温度条件で冷却制御を行うことから、野菜類と穀類の2者択一の簡易な選択操作により、食品保冷庫の適正動作のための的確な保冷設定が可能となる。
【0019】
(全体構成)
上記制御装置を複室構成の保冷庫に組み込んで多様な利用形態を可能とする食品保冷庫についてその全体構成を詳細に説明する。
図3は、複室構成の保冷庫の正面図である。この保冷庫1wは前面に開口を有する断熱筺体で形成されたキャビネット本体3を備え、このキャビネット本体3は断熱仕切板4によって左右に2分割されている。この実施例では仕切板4を固定式としたが、横方向に移動調節できる形態としても良い。また、分割形成された2室5,6には夫々開閉扉7,8が設けられ、正面から見て左側の室5の開閉扉7は観音開き式に構成され、右側の室6の開閉扉8は右側隅部に設けたヒンジ(図示省略)によって開閉自在に支持している。なお、この実施例では左側の室5の容積は略1500リットルで、右側の室6の容積は略900リットルに設定している。符号9,10は各扉7,8の取手である。
【0020】
また、各室5,6の左右両側部及び後部には複数個の荷摺ポスト14、14…が上下方向に沿わせて設けられ、被貯蔵物が左右方向一側にずれても壁面と被貯蔵物との間に一定の空間が形成され、冷気が循環できるようにしている。各室5,6の底部には水抜き穴15,16が設けられ、左右方向に延設した排水管17,18を介して室内に溜まった水を保冷庫1w外に排出できるようにしている。この水抜き穴15,16は通常はキャップ20,20によって蓋がされている。なお、符号11はキャスタ、12は底に敷くスノコ、13は保冷庫1wを固定するためのネジである。
【0021】
前記開閉扉7,8の前面右上部には室内温度を表示したり調節したりする温度表示・調節部22、22が夫々設けられている。この温度表示・調節部22は左室右室とも全く同一の機能を有するもので、温度上昇スイッチと温度下降スイッチからなる温度設定部と、液晶もしくは7セグメント表示器からなる温度表示部とからなる。温度設定は1℃単位で設定変更が可能で、左右の温度表示・調節部22,22とも略2℃〜略20℃の範囲で調節が行なえる。温度設定を行なった場合には、数秒間だけ温度表示部が設定温度数値の点滅を繰り返す。その他に冷却運転中に点灯する表示ランプ、除霜中に点灯する表示ランプを配置する。符号29、29は各扉に形成された鍵穴で、共通のキーを用いて施錠できる構成としている。また、キャビネット本体3の上部には1ユニットタイプの冷却装置30が着脱自在に取り付けられている。
【0022】
冷却装置30の前部には、この保冷庫1wの制御盤32が設けられている。制御盤32には、冷却運転の開始、終了等の運転操作の各種スイッチ類、表示ランプ類が設けられており、それらの横には不図示の防露ヒータスイッチが設けられている。防露ヒータ自体はキャビネット本体3と各開閉扉7,8の適所に内蔵されており、この1個の防露ヒータスイッチを入切することによって防露ヒータに通電したり、通電を解除したりすることができる。
【0023】
上述の説明から明らかなように、この実施例における保冷庫1wは左側貯蔵室5だけ、あるいは右側貯蔵室6だけの運転を行なうこともできれば、左右両室5,6の同時運転もできるものであって、その選択は作業者に任されている。なお、前記操作盤32の外側は化粧板38で覆われていて常態においては外から見えないようになっており、運転操作を行なうときだけこれを外して、あるいは回動させて操作部を視認できるようにしている。そして、この実施例では化粧板38の正面の幅は左右の保冷庫の横幅に対応させて分割する構成としている。図3に示すように電源スイッチ40は化粧板38に形成したき切欠部41に臨み、化粧板38を外さずに入切操作できるものである。
【0024】
(冷却装置)
次に図4に示す平面図に基づいて冷却装置30の具体的構成を説明する。基盤50の左右方向一側(図例では右)には圧縮機52が設置され、基盤50の前部に配置された凝縮器54と前記圧縮機52とは配管53で接続される。
【0025】
凝縮器54にて凝縮された冷媒はストレーナ56及び配管57を介して分配弁58に入り、この分配弁58により冷媒を左右2つに分配させて左室用と右室用の膨張弁60L,60Rに送り込む。冷媒の膨張弁60L,60Rへの送り出し作用は分配弁58内に組み込まれた電磁弁62L,62Rにて行なわれ、この電磁弁62L,62Rは前記運転スイッチと連動されており、左右いずれかの運転スイッチを押すと押した側の電磁弁62L(あるいは62R)がONされて冷媒が同じ側の膨張弁60L(あるいは60R)に入るようにしている。膨張弁60L,60Rは細い配管63、63で構成され、ここで減圧されて気化しやすい状態にされ、それらの端部は左右の蒸発器66L,66Rに接続され、蒸発器66L,66Rで気化されるときに周囲の温度を下げ、このとき生じた冷気を貯蔵室5,6内に送り込むようにしている。なお、左側の蒸発器66Lの容積は右側の蒸発器66Rより大きく、従って、蒸発器ファン68L,68Rも左側用は2個、右側用は1個のファンを用いる構成としている。
【0026】
前記基盤50の底面には左室用蒸発器66Lを挟んでその左右には吹出口72と吸込口73が設けられ、右室用蒸発器66Rも同様にそれを挟んで吸込口74と吹出口75が設けられている。これらの各吸込口73、74と吹出口72,75は各保冷庫の室5,6内と連通しており、冷気が仕切板4を挟んで強制循環するようにしている。左右のダクトの吹出し方向は冷気の強制循環を促進するために仕切板4に対して略対称となる関係に設定している。
【0027】
図4において、前記蒸発器66L,66Rには、温度を感知する蒸発器温度センサ64L,64Rを備え、両センサ64L,64Rとも膨張弁60L,60Rと蒸発器66L,66Rとの接合部付近に設けられている。貯蔵室5,6には内部温度を感知する庫内温度センサ65L,65Rを備え、これらの庫内温度センサ65L,65Rは前記吸込口73,74の前後中間部に臨ませて設けられている。符号70は凝縮器ファン、71はアキュムレータである。
【0028】
(防露ヒータ制御)
次に、防露ヒータの制御について説明する。防露ヒータの制御は、図5(a)の制御例1のタイミングチャートに示すように、その通電時間を蒸発器ファン68L,68Rの運転と連動することにより、蒸発器ファンの停止と同時に防露ヒータの通電が停止されるので、従来の制御の如くの圧縮機の運転と連動動作の場合に、圧縮機停止から数分の遅れ時間ΔTeに及ぶ蒸発機ファンの作動による冷却作用で本体の扉周りの結露を少なくすることができる。
【0029】
また、図5(b)の制御例2のタイミングチャートに示すように、防露ヒータの通電を蒸発機ファンの運転時間の所定時間ΔThの経過後に停止するように制御することにより、前記同様にして、本体の扉周りの結露を少なくすることができる。
【0030】
(除霜制御)
次に、除霜制御について説明する。蒸発器66L,66Rの霜付着による冷却不良を解消するために、圧縮機52の運転率の増加に応じて除霜時の圧縮機停止時間を長くするように除霜制御を構成する。具体的には、図6の圧縮機停止時間の区分に示すように、圧縮機の運転率が30%、50%で3つに区分して30%以下の低ランクL、30%〜50%の標準ランクN、50%以上の高ランクHの3区分を設け、対応する停止時間TL,TN,THを10分、15分、20分として除霜制御を行う。
【0031】
上記除霜制御による除霜動作は、図7の除霜動作例1のタイミングチャートに示すように、圧縮機の運転率が所定の基準時間Cにおける圧縮機の総稼動時間Dの割合として算出され、この運転率が属するランクL,N,Hに応じた圧縮機の停止時間TL,TN,THを、運転率が高い場合は長く、運転率が低い場合は短くして1時間毎等の所定間隔Aで繰り返す。
【0032】
このような除霜制御により、圧縮機の運転率が高くなると圧縮機の停止時間が長くなり、その結果、蒸発器への霜付着が少なくなることから、従来例の如くの除霜運転の問題、すなわち、圧縮機の運転率と無関係に等間隔Aに設定された除霜時に一定時間の圧縮機停止を行うと、夏場等の高温時や野菜等の低温設定貯蔵時に蒸発器の多量の霜付着が発生して冷却不良や庫内の水漏れを招くという問題を改善することができる。
【0033】
また、別の除霜方法として、圧縮機の運転率により除霜サイクルを変更する除霜制御を構成する。具体的には、図8の除霜サイクルの区分に示すように、圧縮機の運転率が30%、50%で3つに区分して30%以下の低ランクL、30%〜50%の標準ランクN、50%以上の高ランクHの3つのランクを設け、対応する除霜サイクルTL,TN,THを60分、45分、30分として所定時間の圧縮機停止を行う除霜サイクル制御を構成する。
【0034】
上記除霜サイクル制御により、圧縮機の運転率が高くなると除霜サイクルを短く、運転率が低くなると除霜サイクルを長くなるように圧縮機の運転率により除霜サイクルを変更することにより、蒸発器への霜付着が少なくなり、冷却不良を改善することができる。
【0035】
次に、目標温度に応じた除霜制御について説明する。
具体的には、目標温度に応じて除霜サイクルを変更する除霜制御として、目標温度の範囲を5℃を境に2つに区分して5℃以上の高ランクH、5℃未満の低ランクLの2つのランクを設け、図9の除霜動作例2のタイミングチャートに示すように、対応する長いサイクルTHと短いサイクルTLとにより所定時間の圧縮機停止を行う除霜サイクル制御を構成することにより、目標温度を低く設定すると除霜サイクルが短くなり、蒸発器への霜付着が少なくなることから冷却不良を改善することができる。
【0036】
また、目標温度に応じて圧縮機停止時間を変更する除霜制御については、図10の除霜動作例3のタイミングチャートに示すように、設定される目標温度を9℃以上の高ランクH、8℃以下の低ランクLの2つのランクを設け、設定の目標温度が属するランクL,Hに応じた時間TL,THについて圧縮機を停止するように除霜制御することにより、目標温度を低く設定すると所定時間A毎の圧縮機停止時間が長くなるので蒸発器への霜付着が少なくなり、冷却不良を改善することができる。
【0037】
次に、設定モードに応じた除霜制御について説明する。
設定モードに応じて除霜サイクルを制御する除霜制御については、選択可能な設定モードとして「米」と「野菜」の2つのモードR,Vを設け、図11の除霜動作例4のタイミングチャートに示すように、低湿の「米」のモードRで長いサイクル時間TR、高湿の「野菜」モードVで短いサイクル時間TVによる除霜制御を構成する。この制御構成により、「野菜」モードを選択すると除霜サイクルが短くなり、高湿による蒸発器の着霜が抑えられて冷却不良を防止することができる。
【0038】
また、設定モードに応じて圧縮機停止時間を変更する除霜制御については、図12の除霜動作例5のタイミングチャートに示すように、「米」と「野菜」の2つのモードR,Vに応じて長い時間TR、短い時間TVについて圧縮機を停止するように除霜制御することにより、「野菜」モードを選択すると所定時間A毎の圧縮機停止時間が長くなるので蒸発器への霜付着が少なくなり、冷却不良を改善することができる。
【符号の説明】
【0039】
1s 食品保冷庫
5 貯蔵室(保冷室)
30 冷却装置
32 制御盤(制御装置)
T 目標温度
Tb オフ温度
Ts 検出温度
Tt オン温度
W 制御温度幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷対象物である野菜類又は穀類を収容する保冷室(5)と、この保冷室(5)を冷却する冷却装置(30)と、この冷却装置(30)の起動と停止の制御指令により保冷室(5)の検出温度(Ts)を別途設定の目標温度(T)に維持する制御装置(32)とからなる食品保冷庫において、
上記制御装置(32)は、検出温度(Ts)についてオン温度(Tt)を上昇限度として起動を指令し、オフ温度(Tb)を下降限度として停止を指令する冷却制御を行い、そのオン温度(Tt)およびオフ温度(Tb)の両者の温度差である制御温度幅(W)を、目標温度(T)が高いほうが低いときよりも大きくするように変更することを特徴とする食品保冷庫。
【請求項2】
前記制御装置(32)は、野菜類と穀類のそれぞれに適用しうる目標温度(T)としての野菜類用目標温度と穀類用目標温度を設け、野菜類用目標温度の制御温度幅(W)より穀類用目標温度の制御幅(W)を大きくし、これら野菜類用目標温度と穀類用目標温度のいずれかを選択する選択手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の食品保冷庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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