説明

食品保存用マット

【課題】必要に応じて保冷や抗菌等の機能を併せて備えることができ、廃棄時における環境負荷も軽減することができる食品保存用マットを提供する。
【解決手段】食品保存用マットは、ケイ酸カルシウムとバーミキュライトとが混合されて成る。食品保存用マットは、吸水性に優れ、食品を好適に保存することができる。抗菌剤を含んだ構成にあっては、食品保存用マットやその周辺に抗菌効果が及び、食品保存用マット周辺の環境を好適に保つことができる。これにより、食品を好適に保存することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品保存用マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生鮮食品等から滲出する液体(ドリップ)の吸い取り等を目的として、例えば特公平4−70983号公報に開示されているように、熱可塑性樹脂シートや吸液性不織布を重ね合わせて構成された吸液マット等の食品保存用マットが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特公平4−70983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の食品保存用マットは、製造等に相応のコストがかかり、廃棄時における環境負荷も軽視できない。また、食品を好適に保存する観点からは、必要に応じて保冷や抗菌等の機能を併せて備えることができることが好ましい。
【0005】
従って、本発明の目的は、廃棄時における環境負荷を軽減することができ、保冷や抗菌等の機能を併せて備えることもできる食品保存用マットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の食品保存用マットは、ケイ酸カルシウムとバーミキュライトとが混合されて成ることを特徴とする。
【0007】
食品保存用マットの組成にもよるが、本発明の食品保存用マットにあっては乾燥重量の数十パーセント程度の水を含むことができる。従って、本発明の食品保存用マットは、例えば魚肉等の食品から滲出する液体(ドリップ)の吸い取りに優れている。これにより、食品を好適に保存することができる。
【0008】
本発明の食品保存用マットの形状や寸法は、基本的には使用目的に応じて適宜設定すればよい。本発明の食品保存用マットは、例えば、厚さが1mm程度の板状(シート状)であってもよいし、厚さ数mm〜十数mm程度の板状であってもよい。また、例えば、略矩形の板状とすることもできるし、器状(皿状、鉢状、桶状、トレー状、弁当箱状等)とすることもできる。換言すれば、器が本発明の食品保存用マットによって構成される態様であってもよい。本発明の食品保存用マットは、ケイ酸カルシウムとバーミキュライトとを混ぜて成る組成物から成る生シートを、例えば、抄造成形、押出し成形、プレス成形等の方法により形成し、オートクレーブ処理等することにより得ることができる。尚、上述した組成物には、炭酸マグネシウム等の親水性材料、パルプ、セルロース繊維等の補強用材料といった他の材料が、適宜配合されていてもよい。
【0009】
ここで、バーミキュライトとは、SiO2、MgO、Al23を主成分とする薄片状の天然の鉱物である。このバーミキュライトは、通常10〜20%程度の水を含んでおり、高温(層間水が脱離し始める約320゜Cから1000゜C)での急激な加熱により脱水され著しく膨張する。本発明の食品保存用マットにあっては未膨張のバーミキュライトを用いてもよいし、膨張したバーミキュライトを用いてもよい。更には、これらを併せて用いてもよい。上述した組成物を構成するバーミキュライトの粒径は、食品保存用マットの仕様に応じて適宜設定すればよく、例えば0.5mm以下の粒径のバーミキュライトを用いることができる。上述した組成物へのバーミキュライトの配合は、未膨張のバーミキュライトを用いる場合には、上述した組成物のうち固形分が占める質量の5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%とすればよい。この場合において、更に、膨張バーミキュライトを2.5〜20質量%程度配合してもよい。
【0010】
上述した組成物から成る生シートがオートクレーブ処理されると、ケイ酸カルシウムはトバモライト等の結晶質ケイ酸カルシウム水和物となりマトリックスを構成する。これにより、バーミキュライトは、結晶質ケイ酸カルシウム水和物によって保持される。本発明の食品保存用マットにあっては「ケイ酸カルシウム」には「ケイ酸カルシウム水和物」も包含される。尚、組成物にパルプ、セルロース繊維等の補強用材料といった他の材料が配合された場合には、結晶質ケイ酸カルシウム水和物と他の材料とによってマトリックスが構成される。オートクレーブ処理によって得られた食品保存用マットは、水に浸漬等されると水を吸い上げる。吸い上げた水は主にバーミキュライトに含まれるが、他の部分にも含まれ得る。上述したように、食品保存用マットの乾燥重量の数十パーセント程度の水を含むことができる。尚、場合によっては、食品保存用マットに孔(例えば直径数ミリメートルの貫通孔)や溝が形成されている構成とすることもできる。この構成にあっては、孔や溝の断面からも液体が吸い上げられるので、液体の吸い上げ性がより向上する。孔の径、溝の深さ、孔や溝の個数等は特に限定するものではなく、用途に応じて適宜好適に設定すればよい。
【0011】
上述した好ましい構成を含む本発明の食品保存用マットにあっては、薬剤が含まれている構成とすることができる。食品保存用マット自体が薬剤を含んでいる態様であってもよいし、食品保存用マットに含まれる水が薬剤を含んでいる態様であってもよい。薬剤として、抗菌剤、芳香剤、殺菌剤、消臭剤を例示することができるが、中でも、薬剤は抗菌性の薬剤である構成とすることができる。これにより、食品保存用マットやその周辺に抗菌効果が及び、食品を好適に保存することができる。抗菌剤として、周知の無機系抗菌剤や有機系抗菌剤を適宜選択して用いることができる。例えば、無機系抗菌剤として安定化二酸化塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸ナトリウムや、塩化銅、硝酸銅、塩化銀、硝酸銀等の金属イオン化合物を挙げることができ、有機系抗菌剤として、化学合成した抗菌剤の他、杉の精油、キトサン、ヒノキチオール、わさびエキス、辛子エキス、木酢等、天然由来の抗菌剤を挙げることができる。これらの抗菌剤の中でも、抗菌剤として安定化二酸化塩素を用いた構成は、継続的な効果を得るのに好適である。即ち、安定化二酸化塩素は、重炭酸ソ−ダ等を安定化剤として用いて二酸化塩素を水中に安定に溶解保持させたものであり、徐々に二酸化塩素が発生するので継続的な効果を得ることができる。
【0012】
上述した好ましい構成を含む本発明の食品保存用マットにあっては、少なくともバーミキュライトに、液相をなす水、固相をなす水、若しくは、液相及び固相をなす水が含まれている構成とすることができる。食品保存用マットに含まれる水の潜熱、より具体的には、固相をなす水(氷)が液化する際の溶解熱や液相をなす水の気化熱により、食品保存用マットは保冷効果を奏する。上述したように、オートクレーブ処理によって得られた食品保存用マットは、水に浸漬等されると水を吸い上げる。吸い上げた水は主にバーミキュライトに含まれるが、他の部分にも含まれ得る。液相の水を含んだ食品保存用マットを冷却することにより、固相をなす水(氷)を含んだ食品保存用マットを得ることができる。本発明者の実験によれば、食品保存用マットを−50゜C程度まで冷却しても、水が氷となる際の体積膨張によって食品保存用マットが変形したり破損したりすることはなかった。尚、予め食品保存用マットに含ませた水の量にもよるが、水が含まれている構成であっても、食品から滲出する液体を吸い取ることができる。
【0013】
食品保存用マットの形状にもよるが、通気性を有する袋体に包まれた状態で用いてもよい。この形態にあっては、食品保存用マットのかけらが周囲に飛散することが軽減される。袋体は、例えば、ナイロン、ポリエチレン、コットン、不織布、ガーゼ等、周知の布材等から構成することができる。あるいは又、食品保存用マットを用いる際に、食品が載置される面を上述した周知の布材で覆い、その上に食品を載置してもよい。これらの形態によれば、食品保存用マットが吸い取ったドリップ等が目に触れ難くなるので、視覚上の印象もより好適となる。
【0014】
食品を包装した包装体内に薬剤が含まれている食品保存用マットが配置される形態にあっては、包装体内の空間に薬剤の効果が及び、食品をより好適に保存することができる。包装体の形状や寸法は、特に限定するものではない。包装体は、例えば、器とこれを覆う蓋から構成されていてもよいし、ラップ状のシートに包まれて構成されていてもよい。尚、包装体は、必ずしも全体が包装されていることを要しない。器の形状として、例えば、皿状、鉢状、桶状、トレー状、弁当箱状の形状を挙げることができる。器は、例えば、発泡プラスチック等を、辺縁が起立した形状に成形することにより得ることができる。尚、器が本発明の食品保存用マットによって構成される形態であってもよい。
【0015】
食品保存用マットを構成する材料にもよるが、本発明の食品保存用マットを土壌中に埋めると徐々に風化し、最終的には土に還る。また、食品保存用マットを燃やすと灰となるが、その灰は鉱物材料が主であり、土壌に対し馴染みやすい。従って、本発明の食品保存用マットは、廃棄時における環境負荷が少ないという特徴も備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の食品保存用マットを構成する材料は、天然の鉱物材料であるバーミキュライトとケイ酸カルシウム等から構成されているので、製造が容易であり、廃棄時における環境負荷も少ないといった利点を備えている。本発明の食品保存用マットにおいては、食品保存用マットの乾燥重量の数十パーセント程度の水を含むことができる。従って、本発明の食品保存用マットは、魚肉等の食品から滲出する液体の吸い取りに優れている。これにより、食品を好適に保存することができる。また、少なくともバーミキュライトに、液相をなす水、固相をなす水、若しくは、液相及び固相をなす水が含まれている構成にあっては、食品保存用マットに含まれる水の潜熱、より具体的には、固相をなす水(氷)が液化する際の溶解熱や液相をなす水の気化熱により保冷効果を奏するので、食品を好適に保存することができる。予め食品保存用マットに含ませた水の量にもよるが、水が含まれている構成であっても、食品から滲出する液体を吸い取ることができる。また、薬剤が含まれている構成、例えば、抗菌剤を含んだ構成にあっては、食品保存用マットやその周辺に抗菌効果が及び、食品保存用マット周辺の環境を好適に保つことができる。これにより、食品を好適に保存することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1は、本発明の食品保存用マットに関する。図1の(A)〜(D)は、実施例1の食品保存用マットの製造方法を説明するための模式的な工程図である。以下、実施例1の食品保存用マットの製造方法について説明する。後述するように、実施例1の食品保存用マットは、薬剤を含んでいる。薬剤は、安定化二酸化塩素、杉の精油等の抗菌剤であり、食品保存用マットの用途に応じて適宜選択される。
【0019】
実施例1において、食品保存用マット1を、以下の手順により製造した。先ず、粒径0.5mm以下の未膨張バーミキュライトをケイ酸カルシウム等の親水性基材に配合し、未膨張バーミキュライトの配合量が約40質量%である組成物を得る。尚、補強用材料としてパルプを約6質量%配合した。
【0020】
未膨張バーミキュライトは、親水性基材に配合するに先立ち、105〜200゜Cの飽和蒸気圧での水蒸気処理等の活性化処理を施したが、これに限るものではない。活性化処理されていない未膨張バーミキュライトを水熱反応前に配合しても、その後のオートクレーブ処理による水熱反応により、結果的に活性化処理が成される。
【0021】
上述した組成物と水を混合してスラリーとした後、抄造成形によりこの組成物から成る生シートを形成し、次いで、オートクレーブ処理することにより、板状に加工する。その後、図1の(A)に示すように、所定の形状、寸法に加工する。これにより、図1の(B)に示すように、食品保存用マット1を得ることができる。
【0022】
次いで、図1の(C)に示すように、所定の薬剤(抗菌剤)を含む水溶液10を調製し、食品保存用マット1に水溶液10を噴霧した後、通常雰囲気内に所定の間放置し水を蒸発させる。以上の工程により、実施例1の食品保存用マット1を得ることができる。
【0023】
尚、実施例1にあっては、図1の(D)に示すように、食品保存用マット1を例えば不織布から成る袋体11に包んだ状態で用いる。食品保存用マット1は袋体11に包まれているので、食品保存用マット1のかけらが周囲に飛散することが軽減される。また、食品保存用マット1が吸い取ったドリップ等が目に触れ難くなるので、視覚上の印象もより好適となる。尚、便宜のため、図1の(D)及び後述する図2の(A)においては、袋体11の一部が開いた状態を示した。
【0024】
図2の(A)及び(B)は、例えば魚肉等の食品13を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。より具体的には、図2の(A)は、器12に対する食品保存用マット1の配置関係を説明するための模式的な斜視図である。図2の(B)は、図2の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。尚、図2の(A)においては、食品13及び蓋14の図示を省略した。食品保存用マット1は器12と食品13との間に敷設される。尚、食品保存用マット1が複数個平面状に敷設される形態であってもよい。
【0025】
器12は、例えば発泡プラスチック等から成るトレー状の器である。実施例1の食品保存用マット1は、袋体11に包まれた状態で、器12の底部に載置される。そして、食品保存用マット1の上に(より具体的には、袋体11の上に)、食品13が載置される。そして、器12の開口が、例えば透明な合成樹脂材料から成る蓋14により閉じられている。
【0026】
魚肉等の食品13から滲出した液体(ドリップ)は、袋体11を介して食品保存用マット1に吸い取られる。これにより、食品13へのドリップの付着を軽減することができる。食品保存用マット1には抗菌剤が含まれているので、食品保存用マット1が吸い取った液体における雑菌の繁殖が抑制される。また、器12と蓋14で囲まれた空間にも抗菌効果が及ぶ。これらの効果により、食品13を好適に保存することができる。
【実施例2】
【0027】
実施例2も、本発明の食品保存用マットに関する。図3の(A)〜(D)は、実施例2の食品保存用マットの製造方法を説明するための模式的な工程図である。以下、実施例2の食品保存用マットの製造方法について説明する。後述するように、実施例2の食品保存用マットも薬剤を含んでいる。薬剤は、安定化二酸化塩素、杉の精油等の抗菌剤であり、食品保存用マットの用途に応じて適宜選択される。
【0028】
実施例1において図1の(A)等を参照して説明したと同一の工程により、未膨張バーミキュライトの配合量が約40質量%である組成物から成る生シートを形成し、次いで、オートクレーブ処理することにより、板状に加工する。その後、図3の(A)に示すように、所定の形状、寸法に加工する。これにより、図3の(B)に示すように、水を含む前の食品保存用マット2を得ることができる。
【0029】
次いで、図3の(C)に示すように、所定の濃度の薬剤(抗菌剤)を含む水溶液20を調製し、水溶液20を満たした槽21に、水を含む前の食品保存用マット2を浸した。薬剤の濃度は、食品保存用マット2の用途に応じて好適に設定すればよい。
【0030】
これにより、薬剤を含む水が食品保存用マット2に吸い上げられる。具体的には、食品保存用マット2の乾燥重量の約50〜60%程度の水が、食品保存用マット2に吸い上げられる。尚、例えば、食品保存用マット2に水溶液20を噴霧等して吸い上げさせてもよい。これにより、少なくともバーミキュライトに液相をなす水が含まれた状態の食品保存用マット2を得ることができる。
【0031】
実施例2においては、次いで、図3の(D)に示すように、冷凍庫22内に食品保存用マット2を搬入する等といった方法により、食品保存用マット2を冷却した。食品保存用マット2が水を吸い上げた状態で充分冷却されると、吸い上げられた水は液相から固相に変化する。これにより、固相をなす水(氷)を含んだ食品保存用マット2を得ることができる。水が氷となる際の体積膨張によって食品保存用マット2が破損することはない。以上の工程により、実施例2の食品保存用マット2を得ることができる。
【0032】
図4の(A)及び(B)は、食品13を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。より具体的には、図4の(A)は、器12に対する食品保存用マット2の配置関係を説明するための模式的な斜視図である。図4の(B)は、図4の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。尚、図4の(A)においては、食品13及び蓋14Aの図示を省略した。食品保存用マット2は器12と内皿15との間に敷設される。尚、食品保存用マット2が複数個平面状に敷設される形態であってもよい。
【0033】
器12及び食品13は、実施例1において説明したと同様である。内皿15は、器12と同様に、例えば発泡プラスチック等から成る。内皿15には、多数の孔16が設けられている。
【0034】
実施例2の食品保存用マット2は、器12の底部に載置される。そして、その上に内皿15が配置され、内皿15の上に食品13が載置される。そして、内皿15の開口が、例えば透明な合成樹脂材料から成る蓋14Aにより閉じられている。
【0035】
固相をなす水(氷)を含んだ食品保存用マット2は、先ず、氷の融解熱による保冷効果を奏し、時間を経て氷が液化した後は、水の気化熱による保冷効果を奏する。また、食品保存用マット2は抗菌剤を含んでいるので、食品保存用マット2及び器12と蓋14Aで囲まれた空間に抗菌効果が及ぶ。更には、食品保存用マット2に含まれる水の量にもよるが、魚肉等の食品13から滲出したドリップも、食品保存用マット2に吸い取られる。実施例1において説明したと同様に、食品保存用マット2には抗菌剤が含まれているので、食品保存用マット2が吸い取った液体における雑菌の繁殖が抑制される。これらの効果により、食品13を好適に保存することができる。
【0036】
図5の(A)及び(B)は、食品保存用マット2の他の使用例を説明するための、食品13を包装した包装体の構造の模式図である。図5の(A)は、内皿15に対する食品保存用マット2の配置関係を説明するための模式的な斜視図である。図5の(B)は、図5の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。尚、図5の(A)においては、食品13及び後述するラップ状のシート17の図示を省略した。
【0037】
具体的には、上述した器12が省略されており、食品保存用マット2、内皿15、及び、食品13全体がラップ状のシート17に包まれて、包装体が構成されている。この構成においても、上述したと同様の効果により、食品13を好適に保存することができる。
【実施例3】
【0038】
実施例1及び実施例2においては食品保存用マットを略矩形の板状とした。実施例3にあっては、食品保存用マットを器状、より具体的には、トレー状とした点が、主に相違する。換言すれば、実施例3にあっては食品保存用マットによって器が構成される。
【0039】
図6の(A)及び(B)は、食品13を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。図6の(A)は、器状の食品保存用マットを説明するための模式的な斜視図である。図6の(B)は、図6の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。尚、図6の(A)においては、食品13及び蓋14の図示を省略した。
【0040】
実施例3にあっては、実施例1において説明した組成物から成る生シートをトレー状に成形してオートクレーブ処理した。次いで、実施例1において図1の(C)を参照して説明したと同様に抗菌剤を含んだ水溶液を噴霧した後、通常雰囲気内に所定の間放置し水を蒸発させ、実施例3の食品保存用マット3を得た。従って、トレー状の食品保存用マット3は、形状が相違する他、実施例1において説明した食品保存用マット1と基本的には同様の構成である。
【0041】
食品13及び蓋14は、実施例1において説明したと同様である。トレー状の食品保存用マット3の内面(具体的には底面及び側面)は不織布等の布材18によって覆われており、食品13は布材18の上に載置される。トレー状の食品保存用マット3の開口が、蓋14により閉じられている。
【0042】
実施例3においても、実施例1で説明したと同様の効果が働くので、食品を好適に保存することができる。これに加え、食品を包装した包装体を構成する際に、実施例1において必要であった器12が不要となる利点も有する。
【0043】
尚、実施例1において説明した組成物から成る生シートをトレー状に成形してオートクレーブ処理した後、実施例2において図3の(C)及び(D)を参照して説明したと同様の工程を施して、トレー状の食品保存用マット3を得ることもできる。この場合には、実施例2で説明したと同様の保冷効果を併せて得ることができる。
【0044】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した食品保存用マットを構成する各種の構成要素の構成、構造、製造方法における工程は例示であり、適宜、変更することができる。実施例において説明した食品保存用マットの使用例もあくまで例示であり、器、内皿等の構成、構造を含め、適宜、変更することができる。
【0045】
例えば、実施例1で説明したと同様に、実施例2においても食品保存用マット2を袋体11で包んだ状態で使用する形態とすることができるし、図2の(A)及び(B)に示したと同様に、袋体11の上に食品13が載置される形態とすることができる。あるいは又、実施例1においても、実施例2で説明したと同様に内皿15を用いた使用の形態とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1の(A)〜(D)は、食品保存用マットの製造方法を説明するための模式的な工程図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、食品を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。図2の(A)は、器に対する食品保存用マットの配置関係を説明するための模式的な斜視図である。図2の(B)は、図2の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。
【図3】図3の(A)〜(D)は、食品保存用マットの製造方法を説明するための模式的な工程図である。
【図4】図4の(A)及び(B)は、食品を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。図4の(A)は、器に対する食品保存用マットの配置関係を説明するための模式的な斜視図である。図4の(B)は、図4の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。
【図5】図5の(A)及び(B)は、食品を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。図5の(A)は、内皿に対する食品保存用マットの配置関係を説明するための模式的な斜視図である。図5の(B)は、図5の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、食品を包装した包装体の構造を説明するための模式図である。図6の(A)は、器状の食品保存用マットを説明するための模式的な斜視図である。図6の(B)は、図6の(A)の矢印に示す模式的なA−A断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1,2,3・・・食品保存用マット、10・・・水溶液、11・・・袋体、12・・・器、13・・・食品、14,14A・・・蓋、15・・・内皿、16・・・孔、17・・・ラップ状のシート、18・・・布材、20・・・水溶液、21・・・槽、22・・・冷凍庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸カルシウムとバーミキュライトとが混合されて成ることを特徴とする食品保存用マット。
【請求項2】
薬剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の食品保存用マット。
【請求項3】
薬剤は抗菌剤であることを特徴とする請求項2に記載の食品保存用マット。
【請求項4】
少なくともバーミキュライトに、液相をなす水、固相をなす水、若しくは、液相及び固相をなす水が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の食品保存用マット。
【請求項5】
器状であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の食品保存用マット。
【請求項6】
トレー状であることを特徴とする請求項5に記載の食品保存用マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−11166(P2009−11166A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173068(P2007−173068)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(591229679)株式会社ケーワン (9)
【Fターム(参考)】