説明

食品加工装置

【課題】本発明は、回転駆動軸にシャッタ片を装着して駆動する食品加工装置においてシャッタ片の枚数変更を容易に行うことができる食品加工装置を提供することを目的とする。
【解決手段】4本の回転駆動軸11にそれぞれ4枚のシャッタ片100を取り付け、回転軸である軸支ピン103及び108にシャッタ片101及び106を取り付け、回転駆動軸11の駆動力をリンク部材111を介してシャッタ片101及び106に伝達するように設定する。回転駆動軸11を回転駆動することで、各シャッタ片を回動させて各シャッタ片により囲まれた領域を開閉させるように駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシャッタ片を用いて食材を加工する食品加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より複数のシャッタ片を用いて餡等の内材を外皮材で包み込んだ包被食品を成形加工することが行われている。例えば、特許文献1では、棒状に連続吐出される内材の周囲に密着させて外皮材を筒状に連続吐出して棒状に連続成形された成形体を複数のシャッタ片の開閉動作により分割成形することで包被食品を成形する包被切断装置が記載されている。また、特許文献2では、シート状の外皮材に内材を配置し、複数のシャッタ片を回動させて外皮材の周縁部を寄せ集めて封着することで内材を外皮材で包み込むように成形する食品成形装置が記載されている。また、特許文献3では、支軸に回動自在に嵌合した多面体を回転板の作用ピンに遊嵌させて回動させるようにしたシャッタ機構が記載されている。
【特許文献1】特公平7-114677号公報
【特許文献2】特許第3421658号公報
【特許文献3】特許第2916515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1及び2に記載の装置では、回転駆動軸にシャッタ片を装着して回動させ、シャッタ片により囲まれる領域を開閉するようにしているため、シャッタ片に駆動力が効率よく伝達されて成形加工を行うことができる。また、シャッタ片を回転駆動軸に直接装着して回動させているので、シャッタ片のガタツキがほとんどなくシャッタ片同士を高精度で位置決めすることができ、正確な成形加工を長期間にわたって行うことが可能となる。
【0004】
しかしながら、回転駆動軸にシャッタ片を装着する構成では、シャッタ片の枚数を変更する場合回転駆動軸の数を変更する必要があり、容易にシャッタ片の枚数を変更することができないというデメリットがある。
【0005】
上述した特許文献3では、回転板を回動させて複数の多面体を回動させるようにしているが、多面体に形成した長孔に作用ピンを遊嵌して駆動するようにしているので、多面体にガタツキが生じて駆動力が効率よく伝達することが難しく、また多面体の正確な位置決めもできないといった課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、回転駆動軸にシャッタ片を装着して駆動する食品加工装置においてシャッタ片の枚数変更を容易に行うことができる食品加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食品加工装置は、複数の回転駆動軸にそれぞれ装着された複数の駆動シャッタ片と、前記回転駆動軸とは別に設けられた少なくとも1つの回転軸に取り付けられた少なくとも1つの従動シャッタ片と、前記従動シャッタ片に前記回転駆動軸の駆動力を伝達して回動させる連結手段と、前記回転駆動軸を駆動して前記駆動シャッタ片及び前記従動シャッタ片を回動させて前記駆動シャッタ片及び前記従動シャッタ片により囲まれた領域を開閉させる駆動手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記回転軸は、前記回転駆動軸の間に設けられていることを特徴とする。さらに、前記駆動シャッタ片及び前記従動シャッタ片は基板に取り付けられており、前記基板は前記回転駆動軸に着脱可能に装着されていることを特徴とする。さらに、前記連結手段は、前記回転駆動軸の前記領域側に取り付けられるとともに前記回転駆動軸の駆動力を伝達するリンク部材を備えていることを特徴とする。さらに、前記連結手段は、前記回転駆動軸の前記領域とは反対側に取り付けられるとともに前記回転駆動軸の駆動力を伝達するリンク部材を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のような構成を有することで、回転駆動軸により回動される駆動シャッタ片とともに従動シャッタ片を連動させて開閉動作を行なうことができ、従動シャッタ片を追加して取り付けることでシャッタ片の枚数変更を容易に行うことが可能となる。
【0009】
また、従動シャッタ片を駆動シャッタ片に追随させて回動動作させるため、駆動シャッタ片への効率的な駆動伝達及び正確な位置決め設定を維持した状態で従動シャッタ片を回動させることができ、シャッタ片の枚数変更を行った場合でも正確な成形加工を行うことが可能となる。
【0010】
また、駆動シャッタ片及び従動シャッタ片を基板に取り付けておき、基板を回転駆動軸に着脱可能に装着するように構成することで、シャッタ片の枚数変更を行う場合に基板を交換して簡単に行うことができるようになる。
【0011】
また、連結手段としてリンク部材を用いることで、簡単な構成で確実に駆動伝達を行うことができ、シャッタ機構のコンパクト化及び構成の単純化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0013】
[第一実施形態]
図1は、本発明に係る第一実施形態の食品加工装置に関する部分断面正面図である。第一実施形態に係る装置は、第一シャッタ1及び第二シャッタ2の間に挟持された薄板状の受け部材70上にシート状の外皮材を供給して外皮材に内材を配置し、第一シャッタ1及び第二シャッタ2を回動させて外皮材の周縁部を寄せ集め、外皮材で内材を包み込むように封着するように構成されている。
【0014】
第一シャッタ1は、4本の回転駆動軸11により複数のシャッタ片10を回動させるようになっており、第二シャッタ2は、回転駆動軸11と同心円状に設けられた駆動中空軸21により複数のシャッタ片20を回動させるようになっている。
【0015】
図2は、図1の面Uにおける平面図で、第一シャッタ1のシャッタ駆動機構を示している。図1及び図2に示すように、第一シャッタ1の駆動機構は、各回転駆動軸11の下端部に固定されたフランジ12と、このフランジ12に枢着され、フランジ12同士を連繋する複数のリンク13と、これらのリンク13を駆動するモータ14とから構成されている。モータ14の回転方向、回転角度等を制御することによって、複数のリンク13が連関動作して複数のシャッタ片10が同時に回動し、各シャッタ片10により囲まれる領域を適宜に開閉させる。
【0016】
図3は、図1の面Tにおける平面図で、第二シャッタ2のシャッタ駆動機構を示している。図1及び図3に示すように、第二シャッタ2の駆動機構は、各駆動中空軸21の下端部に固定されたフランジ22と、このフランジ22に枢着され、フランジ22同士を連繋する複数のリンク23と、これらのリンク23を駆動するモータ24とから構成されており、モータ24の回転方向、回転角度等を制御することによって、複数のリンク23が連関動作して複数のシャッタ片20が同時に回動し、各シャッタ片20により囲まれる領域を適宜に開閉させる。
【0017】
図4及び図5は、第一シャッタ1に関する平面図である。図4は、4枚のシャッタ片10を用いた構成例を示しており、図5は、6枚のシャッタ片を用いた構成例を示している。
【0018】
図4では、4本の回転駆動軸11にそれぞれシャッタ片10を装着して固定し、回転駆動軸11を上述した駆動機構により回転駆動することにより4枚のシャッタ片10を往復揺動させるようになっている。図4(a)は、シャッタ片10が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図4(b)は、シャッタ片10が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。各シャッタ片10の先端は隣接するシャッタ片10の湾曲した側部に当接して摺動するようになっており、各シャッタ片10を同期させて往復揺動させることで受け部材70の中央部に形成された円形の開口部71の中心に各シャッタ片10の先端が集まり、又は各シャッタ片10の先端が開口部71の外側に拡がり、各シャッタ片10により囲まれた領域が開閉するように動作する。
【0019】
図5では、4本の回転駆動軸11により6枚のシャッタ片が往復揺動するように構成されている。正方形の頂点に中心軸がそれぞれ配置された4本の回転駆動軸11のうち、対角線上に配置された2本の回転駆動軸11に駆動シャッタ片であるシャッタ片100が装着されて回動されるようになっており、残りの2本の回転駆動軸11には、それぞれ従動シャッタ片であるシャッタ片101及び106が連結されて回動されるようになっている。図5(a)は、シャッタ片100、101及び106が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図5(b)は、シャッタ片100、101及び106が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。
【0020】
シャッタ片100は、合成樹脂材料からなり、回転駆動軸11に取付固定されるリング状の回動板113に一体形成されている。
【0021】
シャッタ片101は、シャッタ片100と同じ樹脂材料から成形されており、取付部材102の先端部に取付固定されている。取付部材102の基部は、図示せぬ基板に設けられた回転軸である軸支ピン103に回動自在に軸支されている。取付部材102の中央部には作用部104が側方に突出しており、作用部104の先端は、後述するリンク部材111の一方の端部に設けた作用ピン105に揺動自在に軸支されている。
【0022】
シャッタ片106は、シャッタ片101と同一の樹脂材料でほぼ同一の形状に形成されており、取付部材107の先端部に取付固定されている。取付部材107の基部は、図示せぬ基板に設けられた回転軸である軸支ピン108に回動自在に軸支されている。取付部材107の中央部には作用部109が側方に突出しており、作用部109の先端は、後述するリンク部材111の他方の端部に設けた作用ピン110に揺動自在に軸支されている。
【0023】
シャッタ片101及び106が連結される回転駆動軸11には、リング状の回動板113が取付固定されており、回動板113には駆動ピン112が設けられている。駆動ピン112には、リンク部材111の中心部が回動自在に軸支されている。リンク部材111は、細幅で帯状に形成されており、両端部が中心部から120度の角度で両側に開くように延設されている。そして、リンク部材111は、回転駆動軸11の内側に配置されて、駆動ピン112から作用ピン105及び110までの長さが等しくなるように設定されている。
【0024】
図6は、回転駆動軸11の中心軸、軸支ピン103及び108、作用ピン105及び110並びに駆動ピン112の位置関係を示す説明図である。図6(a)は、シャッタ片100、101及び106が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図6(b)は、シャッタ片100、101及び106が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。シャッタ片100が取り付けられた回転駆動軸11と軸支ピン103及び108は、一点鎖線で示す正六角形Aの頂点にそれぞれ配置されている。また、シャッタ片101及び106が連結された回転駆動軸11と軸支ピン103及び108とを結ぶ折曲線B並びに駆動ピン112と作用ピン105及び110とを結ぶ折曲線Cを設定する場合、折曲線Bを平行移動させて折曲線Cに一致するような位置関係に回転駆動軸、軸支ピン、作用ピン及び駆動ピンを配置する。
【0025】
折曲線Bの回転駆動軸11並びに軸支ピン103及び108は固定されており、折曲線Cに一致するリンク部材111が駆動ピン112並びに作用ピン105及び110を一体的に移動させるので、回転駆動軸11が回転して回動板113が回動すると、駆動ピン112が回動してリンク部材111は折曲線Cを折曲線Bに対して平行移動するように回動動作するようになる。そのため、駆動ピン112に同期して作用ピン105及び110が回動動作するようになり、リンク部材111により回転駆動軸11に連結されたシャッタ片101及び106は回転駆動軸11に連動して回動動作するようになる。
【0026】
6枚のシャッタ片100、101及び106は、その先端が隣接するシャッタ片の湾曲した側部に当接して摺動するようになっており、4本の回転駆動軸11を回転駆動させることで各シャッタ片を同期させて往復揺動させることで受け部材70の中央部に形成された円形の開口部71の中心に各シャッタ片の先端が集まり、又は各シャッタ片の先端が開口部71の外側に拡がり、各シャッタ片により囲まれた領域が開閉するように動作する。
【0027】
また、リンク部材111を回転駆動軸11の内側(開閉領域側)に配置しているので、シャッタ構造のスペースが増加することなくコンパクトな構造とすることができる。
【0028】
図7は、第一シャッタ1として6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造に関する外観斜視図である。図7(a)は、シャッタ片100、101及び106が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図7(b)は、シャッタ片100、101及び106が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。回転駆動軸11に取り付けられる回動板113は2枚ずつそれぞれ一対の基板114の下面に装着されている。また、各基板114には軸支ピン103及び108が設けられており、シャッタ片101及び106が回動自在に軸支されている。基板114には、回転駆動軸11が挿入される円形の穴部が形成されており、穴部に回転駆動軸11を貫通させて装着される。
【0029】
図8及び図9は、第二シャッタ2に関する平面図である。図8は、4枚のシャッタ片20を用いた構成例を示しており、図9は、6枚のシャッタ片を用いた構成例を示している。
【0030】
図8では、4本の回転駆動軸21にそれぞれシャッタ片20を装着して固定し、回転駆動軸21を上述した駆動機構により回転駆動することにより4枚のシャッタ片20を往復揺動させるようになっている。図8(a)は、シャッタ片20が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図8(b)は、シャッタ片20が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。第一シャッタ1と同様に、各シャッタ片20の先端は隣接するシャッタ片20の湾曲した側部に当接して摺動するようになっており、各シャッタ片20を同期させて往復揺動させることで受け部材70の中央部に形成された円形の開口部71の中心に各シャッタ片20の先端が集まり、又は各シャッタ片20の先端が開口部71の外側に拡がり、各シャッタ片20により囲まれた領域が開閉するように動作する。
【0031】
図9では、4本の回転駆動軸21により6枚のシャッタ片が往復揺動するように構成されている。正方形の頂点に中心軸がそれぞれ配置された4本の回転駆動軸21のうち、対角線上に配置された2本の回転駆動軸21に駆動シャッタ片であるシャッタ片200が装着されて回動されるようになっており、残りの2本の回転駆動軸21には、それぞれ従動シャッタ片であるシャッタ片201及び206が連結されて回動されるようになっている。図9(a)は、シャッタ片200、201及び206が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図9(b)は、シャッタ片200、201及び206が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。
【0032】
シャッタ片200は、合成樹脂材料からなり、回転駆動軸21に取付固定されるリング状の回動板213に一体形成されている。
【0033】
シャッタ片201は、シャッタ片200と同じ樹脂材料から成形されており、取付部材202の先端部に取付固定されている。取付部材202の基部は、図示せぬ基板に設けられた回転軸である軸支ピン203に回動自在に軸支されている。取付部材202の中央部には作用部204が側方に突出しており、作用部204の先端は、後述するリンク部材211の一方の端部に設けた作用ピン205に揺動自在に軸支されている。
【0034】
シャッタ片206は、シャッタ片201と同一の樹脂材料でほぼ同一の形状に形成されており、取付部材207の先端部に取付固定されている。取付部材207の基部は、図示せぬ基板に設けられた回転軸である軸支ピン208に回動自在に軸支されている。取付部材207の中央部には作用部209が側方に突出しており、作用部209の先端は、後述するリンク部材211の他方の端部に設けた作用ピン210に揺動自在に軸支されている。
【0035】
シャッタ片201及び206が連結される回転駆動軸21には、リング状の回動板213が取付固定されており、回動板213には駆動ピン212が設けられている。駆動ピン212には、リンク部材211の中心部に穿設された長孔が揺動自在に軸支されている。リンク部材211は、細幅で帯状に形成されており、両端部が中心部から120度の角度で両側に開くように延設されている。そして、リンク部材211は、回転駆動軸21の内側に配置されて、駆動ピン212から作用ピン205及び210までの長さが等しくなるように設定されている。
【0036】
第一シャッタ1と同様に、シャッタ片200が取り付けられた回転駆動軸21と軸支ピン203及び208は、正六角形の頂点にそれぞれ配置されている。そして、回転駆動軸21並びに軸支ピン203及び208は固定されており、リンク部材211が駆動ピン212並びに作用ピン205及び210を一体的に移動させるので、第一シャッタ1と同様に、回転駆動軸21が回転して回動板213が回動すると、回転駆動軸21並びに軸支ピン203及び208の位置関係に対応してリンク部材211が平行移動するように回動動作するようになる。そのため、駆動ピン212に同期して作用ピン205及び210が回動動作するようになり、リンク部材211により回転駆動軸21に連結されたシャッタ片201及び206は回転駆動軸21に連動して回動動作するようになる。
【0037】
6枚のシャッタ片200、201及び206は、その先端が隣接するシャッタ片の湾曲した側部に当接して摺動するようになっており、4本の回転駆動軸21を回転駆動させることで各シャッタ片を同期させて往復揺動させることで受け部材70の中央部に形成された円形の開口部71の中心に各シャッタ片の先端が集まり、又は各シャッタ片の先端が開口部71の外側に拡がり、各シャッタ片により囲まれた領域が開閉するように動作する。
【0038】
図10は、第二シャッタ2として6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造に関する外観斜視図である。図10(a)は、シャッタ片200、201及び206が時計回りに回動して開いた状態を示しており、図10(b)は、シャッタ片200、201及び206が反時計回りに回動して閉じた状態を示している。回転駆動軸21に取り付けられる回動板213は2枚ずつそれぞれ一対の基板214の上面に装着されている。また、各基板214には軸支ピン203及び208が設けられており、シャッタ片201及び206が回動自在に軸支されている。基板214には、回転駆動軸21が挿入される円形の穴部が形成されており、穴部に回転駆動軸21を貫通させて装着される。
【0039】
図1において符号3で指示するものは、外皮材を椀状に形成するための外皮材形成手段である。本実施形態の外皮材形成手段3は、図1に示すように、ステー31に固定された押込み部材30と、このステー31を上下動させる送りねじ機構32と、この送りねじ機構32を駆動するモータ33とから構成されており、このモータ33の回転方向、回転角度等を制御することによって押込み部材30を適宜に上下昇降させる。押込み部材30を下降させて第二シャッタ2の開口部に進入させることにより、受け部材70上に供給したシート状外皮材の中央部を窪ませて椀状に形成する。
【0040】
また、本実施形態では、外皮材を椀状に形成すると共に椀状形成した外皮材の底部に内材を供給する内材供給手段を備えている。押込み部材30は、下端に内材を吐出するための吐出孔を備えた筒体により構成されており、この吐出孔を開閉するための弁40が内装されている。そして、ホッパ45内へ投入した内材を、公知のポンプ44により供給パイプ43を通じて押込み部材30の筒内へ圧送し、ステー31に固定されたエアシリンダ42の駆動によりロッド41を介して弁40を上下動させることで、吐出孔を適宜開閉して椀状形成した外皮材の底部に所要量の内材を供給する。
【0041】
図1において符号5で指示するものは、外皮材の縁部を受け部材70上に保持する保持手段である。保持手段5は、図11(c)に示すように、複数の通孔を有するリング状のステー52が押込み部材30に固定されており、このステー52の通孔に上下スライド可能に挿嵌され、上端にステー52に係止可能な頭部を備えた複数の支持ロッド51が設けられている。そして、支持ロッド51の下端には、押込み部材30を囲むリング状の押え部材50が固定されており、この押え部材50とステー52との間において各支持ロッド51に被嵌され、押え部材50を下方へ付勢するためのコイルばね53が設けられている。押込み部材30が外皮材形成のため下降すると、押え部材50が受け部材70上の外皮材の周縁部を押えて保持する。
【0042】
図1において符号6で指示するものは、第二シャッタ2の下方に配設され、外皮材を支持するための支持手段である。支持手段6は、図1に示すように、ラック−ピニオン機構62により支持ロッド61を介して適宜に上下動可能な支持部材60と、この支持部材60によってベルトが上下動されるベルトコンベヤ63とから構成されており、適宜に上下動して外皮材をベルト上に支持すると共に、成形して得られた成形品Hはベルト上に載置されて搬送される。ベルトコンベヤ63で搬送された成形品Hは、上面に突起部を有するが、この突起部は図示されないローラ等により押し潰されて、次のベルトコンベヤに移動する際に反転して外皮材が封着された個所が底面になるようにして載置される。こうして、突起部を均すことができるとともに、外皮材の滑らかな面が上面となって、成形品Hが仕上げられる。
【0043】
薄板状の受け部材70は、回転駆動軸に挿入するための円形の穴部が四隅に形成されており、第一シャッタ1及び第ニシャッタ2の間に挟持されるように回転駆動軸に取り付けられている。受け部材70の中央部に円形の開口部71が形成されており、開口部71の大きさは、成形加工する食品のサイズや食材の特性に応じて適宜変更すればよい。
【0044】
図11〜図17は、第一シャッタ1及び第二シャッタ2において6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。図11(a)〜図17(a)及び図11(b)〜図17(b)は、それぞれ図11(c)〜図17(c)に示す各工程での第一及び第二シャッタの平面図を示している。なお、本実施形態では、外皮材Fとしてパン生地を使用し、内材Gとして餡を使用した例で説明する。
【0045】
まず、図11(a)に示すように、第一シャッタ1を受け部材70の開口部71よりも広く開口し、図11(b)に示すように第二シャッタ2を閉鎖させた状態に設定する。図11(c)に示すように、押込み部材30を上昇させた状態で受け部材70上に開口部71を覆うようにシート状の外皮材Fを戴置する。
【0046】
本実施形態では、外皮材Fを受け部材70上に安定的に戴置するため、第二シャッタ2を全閉させた状態で外皮材Fを載置しているが、第二シャッタ2を外皮材Fが落下しない程度に開口させた状態で外皮材Fを載置するようにしても良い。また、受け部材70上に外皮材Fを戴置した後、第一シャッタ1のシャッタ片を閉じる方向に動作させて開口面積が縮小した状態にすれば、縮小された開口状態に合わせて外皮材Fをセットでき、外皮材Fが所定位置に収まるように外皮材Fの位置調整を行なうことができる。
【0047】
次に、図12(b)に示すように、押込み部材30が通過できる程度に第二シャッタ2を開口させる。そして、図12(c)に示すように、押込み部材30を下降させて、押込み部材30に装着された押え部材50を外皮材Fの周縁部に当接させる。引き続き、押込み部材30を下降させると、押え部材50は、支持ロッド51に固定されているため、押込み部材30に固定されたステー52との間隔が狭まる。間隔が狭まることでコイルばね53の付勢力が働き、押え部材50は外皮材Fの周縁部に押し付けられて外皮材Fが受け部材70上に保持される。このように外皮材Fの周縁部を保持した状態で、図13(b)に示すように、押込み部材30を第二シャッタ2の開口部にさらに進入させて外皮材Fの中央部を窪ませることにより外皮材Fを椀状に形成する。このとき、外皮材Fを支持部材60で支持するようにすれば、外皮材が必要以上に下方へ伸びてしまうことを防ぐことができ、外皮材を確実に椀状形成することができる。
【0048】
次に、図13(c)に示すように、支持部材60を上昇させながら、案内部材70の開口部71に押込み部材30を進入させて外皮材Fの中央部を窪ませることにより外皮材Fを椀状に形成する。このとき、外皮材Fを支持部材60で支持するようにすれば、外皮材が必要以上に下方へ伸びてしまうことを防ぐことができ、外皮材を確実に椀状形成することができる。
【0049】
そして、押込み部材30内の弁40を上昇させて吐出孔を開くことにより、内材Gが吐出されて椀状形成された外皮材Fの底部に配置される。所定量の内材Gが吐出された時点で弁40を下降させ吐出孔を閉じる。このように本実施形態では、押込み部材30を通して内材Gを供給しているので、押込み部材30の上昇に伴ってパン生地から成る外皮材Fが収縮してしまうのを防ぐことができるとともに、外皮材の形状形成と内材の供給を効率よく行うことができる。また、このとき、外皮材Fを支持部材60で支持しているので、内材Gの吐出による外皮材の必要以上の伸びを防ぐことができ、内材Gを確実に配置することができる。
【0050】
なお、外皮材Fの椀状形成動作は、外皮材Fの特性に合せて行うことができる。例えば、外皮材Fが引き延ばしにくい場合には、押込み部材30を第二シャッタ2の開口部にさらに進入させて椀状形成して押込み部材30の上昇に伴って内材を供給すればよい。また、外皮材Fが引き延ばしやすい場合には、内材Gの吐出動作により外皮材Fを膨らませて椀状形成すればよい。
【0051】
外皮材Fに内材Gを配置した後、押込み部材30を上昇させて、図14(c)に示すように、押え部材50を外皮材Fの周縁部から離す。
【0052】
次に、図15(a)及び図16(a)に示すように、第一シャッタ1を閉じる方向に動作させて、受け部材70上に位置する外皮材Fの周縁部を第一シャッタ1のシャッタ片が囲む領域Pに寄せ集め、外皮材Fで内材Gを包むようにする(図15(c)及び図16(c)参照)。この際、第一シャッタ1は完全に閉鎖した状態にはならず、外皮材Fの周縁部が寄せ集められて内材Gを覆い隠すように、所定領域Pだけ開いた状態で動作を停止する。この工程では、第一シャッタ1の複数のシャッタ片によって外皮材Fの周縁部を内材Gに沿って中央に集めることができるので、外皮材Fと内材Gとの間の空気を逃がしながら外皮材Fで内材Gを包んでいくことができる。
【0053】
そして、図17(b)に示すように、第一シャッタ1で外皮材Fの周縁部を集めて第二シャッタ2を動作させることにより、集めた外皮材Fの周縁部を確実に封着して外皮材Fで内材Gを包み込んだ成形品Hを得る(図17(c)参照)。この際にも、第二シャッタ2は完全に閉じることなく、外皮材Fの封着が十分行われたところで閉じる動作を停止する。したがって、外皮材Fは、分割又は切断されることがないため、滓等は発生することがないだけでなく、外皮材Fのダメージも軽減される。その後、成形品Hを支える支持部材60が下降してベルト上に成形品Hが載置された状態となり、ベルトコンベア63を駆動して成形品Hをベルト搬送する。
【0054】
なお、外皮材Fの周縁部を第二シャッタ2で封着するとき、支持部材60を適宜に上下動させて第二シャッタ2との間隔を調整することにより第二シャッタ2による外皮材Fの絞込み程度を調整でき、外皮材Fの封着の度合いを見ながら調整すればより確実に封着することができる。成形品Hには、上面中央に突起部が形成されており、その根元は第二シャッタの動作により確実に封着されている。成形品Hは、図1でも説明したように、突起部は押し潰されるとともに、反転して上面は突起部のない状態となって、見栄えのよいものとなる。
【0055】
このように本実施形態によれば、まず、第一シャッタ1が外皮材Fの周縁部を集め(図16(c)の符号C参照)、次いで下方の第二シャッタ2が、集めた部分(図16(c)の符号C参照)とは異なる外皮材Fの周辺部分(図16(c)の符号D参照)を更に集めて封着するので、外皮材Fの形状にばらつきがあったとしても、第一シャッタ1により外皮材の周縁部をシャッタ片が囲む領域Pに集めてから、第二シャッタ2の動作により封着するので、外皮材の周縁部を確実に封着することができる。また、第一シャッタ1及び第二シャッタはともに完全に閉じた状態にはならないため、外皮材は分離することなく、滓等の発生も防止できる。
【0056】
以上説明した第一実施形態では、第一シャッタ1及び第二シャッタ2の4枚のシャッタ片10及び20は、それぞれ回転駆動軸11及び21に着脱可能に装着されているので、6枚のシャッタ片を取り付けた基板114及び214を取り付ける場合には、4枚のシャッタ片を回転駆動軸から取り外して基板214、受け部材70及び基板114の順に回転駆動軸に装着すればよい。
【0057】
したがって、4本の回転駆動軸を変更することなくシャッタ片の枚数を変更することが容易に行える。そのため、例えば、成形加工においてシャッタ片の回動力を大きくしたい場合には4枚のシャッタ片をそれぞれ4本の回転駆動軸に装着し、丸い形状に成形加工する場合には6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を4本の回転駆動軸に装着することができ、1台の食品加工装置において複数種類の成形品に合せてシャッタ構造を適宜選択して成形加工することが可能となる。
【0058】
また、図18に示すように、第一シャッタ1を4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造で、第二シャッタ2を6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の組合せに構成することもできる。逆に、第一シャッタ1を6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造で、第二シャッタ2を4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の組合せで構成してもよい。
【0059】
さらに、図19に示すように、第一シャッタ1を6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用い、第二シャッタ2として、特許第3811788号公報に記載されているように、一対の封着部材250が回転駆動軸に装着した構造を組み合せて構成し、第二シャッタの回転駆動により外皮材に対して封着部材250を互いに直進させて外皮材の縁部を押圧して封着することで、二つ折りの成形加工を行うことができる。
【0060】
このように、成形品の形状、サイズ及び材料特性に合せて第一シャッタ1及び第二シャッタ2の様々な組合せを実現することもできる。また、第一シャッタ1又は第二シャッタ2のみを回転駆動軸に装着して成形加工動作を行なうことも可能で、幅広い用途に対応することができる。例えば、受け部材70の上方に第一シャッタ1のみを配置して成形加工を行ったり、受け部材70の下方に第二シャッタ2のみを配置して成形加工を行うようにしてもよい。
【0061】
図20は、図5に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した第一シャッタに用いる多連式のシャッタ構造に関する平面図であり、図20(a)がシャッタ片の開いた状態を示し、図20(b)がシャッタ片の閉じた状態を示している。この例では、中央部の回転駆動軸に装着された回動板120には、2枚のシャッタ片100が装着固定されるとともに2つのリンク部材111が回動自在に取り付けられている。そして、回動板120が回動することで、2枚のシャッタ片100、2枚のシャッタ片101及び2枚のシャッタ片106を一度に往復揺動させることができる。また、回転駆動軸に装着された回動板121には、1枚のシャッタ片100が装着固定されるとともに1つのリンク部材111が回動自在に取り付けられており、回動板121が回動することで、1枚のシャッタ片100、1枚のシャッタ片101及び1枚のシャッタ片106を一度に往復揺動させることができる。
【0062】
図21は、図9に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した第二シャッタに用いる多連式のシャッタ構造に関する平面図であり、図21(a)がシャッタ片の開いた状態を示し、図21(b)がシャッタ片の閉じた状態を示している。この例では、中央部の回転駆動軸に装着された回動板220には、2枚のシャッタ片200が一体形成されるとともに2つのリンク部材211が回動自在に取り付けられている。そして、回動板220が回動することで、2枚のシャッタ片200、2枚のシャッタ片201及び2枚のシャッタ片206を一度に往復揺動させることができる。また、回転駆動軸に装着された回動板221には、1枚のシャッタ片200が一体形成されるとともに1つのリンク部材211が回動自在に取り付けられており、回動板221が回動することで、1枚のシャッタ片200、1枚のシャッタ片201及び1枚のシャッタ片206を一度に往復揺動させることができる。
【0063】
このように、多連式のシャッタ構造では、シャッタ片を回動させる回転駆動軸を複数のシャッタ構造で共通化して用いることで、部品点数を少なくしてコンパクトな構造を実現することが可能となる。
【0064】
そして、いずれのシャッタ構造の場合でも複数の回転駆動軸に直接装着した駆動シャッタ片については、がたつくことなく精度よく往復揺動させて加工動作を行なうことができるので、成形品を長期間にわたって精度よく効率的に仕上げることが可能となる。6枚のシャッタ片を備えるシャッタ構造においても駆動シャッタ片の回動動作に連動して従動シャッタ片を往復揺動するので、揺動動作の精度を保持することができる。
【0065】
さらに、4本の回転駆動軸を備えた食品加工装置において、4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造及び6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の両方を兼用する装置を実現することができる。
【0066】
[第二実施形態]
図22は、本発明に係る第二実施形態に関する正面図である。包被切断装置は、内材及び外皮材となる2種類の食材を供給する供給部301、内材を外皮材で包み込んだ棒状体を連続成形する棒状成形部302、連続成形された棒状体を包被切断して成形するシャッタ部303、及び、成形品を支持する支持部304を備えている。
【0067】
供給部301は、2種類の食材をそれぞれホッパ310及び312に投入してホッパ内の図示されないスクリューによって送入される。ホッパ310から送入された内材である食材G(例えば、餡、ジャム、挽肉)はベーンポンプ311により棒状成形部302に圧送される。また、ホッパ312から送入された外皮材である食材F(例えば、餅、小麦粉を用いた生地)はベーンポンプ313により棒状成形部302に圧送される。
【0068】
なお、3種類以上の食材を供給する場合には、ホッパ及びベーンポンプを増設して供給すればよい。その場合には、内材が2種類供給されることになる。
【0069】
棒状成形部302は、食材F及びGを連続して吐出するノズル320を備えている。ノズル320は二重ノズルに構成されており、内ノズルから食材Gを連続吐出し外ノズルから食材Fを連続吐出して、内材である食材Gの周囲を外皮材である食材Fが被覆するように棒状に連続成形される。内材が2種類以上供給される場合にはノズル320を多重化して内材を多層にして連続吐出するようにしてもよい。
【0070】
シャッタ部303は、複数のシャッタ片330を備えており、図2に示すシャッタ駆動機構と同様に4本の回転駆動軸によりシャッタ片330を往復揺動させるようになっている。そして、後述するように、各シャッタ片330を往復揺動させて各シャッタ片330により囲まれる領域を開閉させ、当該領域を通過する棒状成形体を包被切断することで成形加工を行う。
【0071】
支持部304は、シャッタ部303の下方に配設された受け台340、受け台340の下面に固定されて受け台340を支持する支持ロッド341、支持ロッド341を介して受け台340を上下動させるカム駆動機構342を備えており、受け台340の上面にはベルトコンベヤ343の搬送ベルト344がセットされている。そして、受け台340を上昇させて包被切断される成形品を下方から支持して搬送ベルト344上に載置するとともに、受け台340を下降させることで成形して得られた成形品をそのまま搬送ベルト344で搬送する。
【0072】
図23及び図24は、シャッタ部303に関する平面図(図23(a)及び図24(a))及び動作説明図(図23(b)及び図24(b))であり、図23はシャッタ片330が開く方向に回動した状態を示しており、図24はシャッタ片330が閉じる方向に回動した状態を示している。なお、4本の回転駆動軸に4枚のシャッタ片を取り付けた場合の状態が一点鎖線で示されている。
【0073】
シャッタ部303は、図5に示すシャッタ構造と同様に、リンク部材を回転駆動軸の内側に配置するようになっている。シャッタ片330は、回転駆動軸331及び回転軸332に装着するための基部を備えた同一の形状に形成されており、回転駆動軸331及び回転軸332はリング状の基板334に設けられている。リンク部材333は、図5に示すシャッタ構造のリンク部材111と同様の形状を有しており、中央部を回転駆動軸331に設けられた回動板331aに回動自在に軸支され、両端部を回転軸332に装着されたシャッタ片330に回動自在に取り付けている。
【0074】
そして、回転駆動軸331が駆動されると、回転駆動軸331に直接装着された駆動シャッタ片であるシャッタ片330が回動するとともに回動板331aが回動し、回動板331aの回動によりリンク部材333が揺動して回転軸332に装着された従動シャッタ片であるシャッタ片330を回動させるようになる。
【0075】
この例では、図5に示すシャッタ構造と同様に、回転駆動軸331が正方形の頂点の位置に設定されるように配置されるので、4枚のシャッタ片を各回転駆動軸に取り付けたシャッタ構造とすることができ(図23(a)及び図24(a)の一点鎖線で4枚のシャッタ片を表示)、また、4本の回転駆動軸に基板354を装着することで6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を取り付けることができる。また、同じ形状のシャッタ片を用いてシャッタ構造を構成しているので、シャッタ片の位置調整、シャッタ片の摩耗による寸法調整及びシャッタ片の交換といったメンテナンスを容易に行うことができる。
【0076】
図25は、図23に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した多連式のシャッタ構造に関する平面図である。この例では、中央部の回転駆動軸331には、シャッタ片330が直接装着されて回動させるとともに回動板331aが取り付けられており、回動板331aを回動させることで、リンク部材333が揺動して2枚のシャッタ片330を回動させることができる。こうした多連式のシャッタ構造にすることで、シャッタ片を回動させる回転駆動軸を複数のシャッタ構造で共通化することが可能となり、回転駆動軸の本数を節減することができる。
【0077】
以上説明した例では、シャッタ部において4本の回転駆動軸により4枚のシャッタ片及び6枚のシャッタ片を往復揺動させることができ、シャッタ片の枚数変更を容易に行うことが可能となる。そのため、大福餅等の厚い皮の成形品のように成形加工にある程度の力が必要となる場合には、4枚のシャッタ片から構成されるシャッタ構造を用い、饅頭や焼物(栗饅頭等)のように薄い皮で丸い成形品のように成形加工にそれほど力が必要ではないが仕上げの形状が重視される場合には、6枚のシャッタ片から構成されるシャッタ構造を用いることができ、1台の食品加工装置において複数種類の成形品に合せてシャッタ構造を適宜選択して成形加工することが可能となる。
【0078】
上述したいずれのシャッタ構造の場合でも複数の回転駆動軸に直接装着した駆動シャッタ片については、がたつくことなく精度よく往復揺動させて加工動作を行なうことができるので、成形品を長期間にわたって精度よく効率的に仕上げることが可能となる。6枚のシャッタ片を備えるシャッタ構造においても駆動シャッタ片の回動動作に連動して従動シャッタ片を往復揺動するので、揺動動作の精度を保持することができる。
【0079】
さらに、4本の回転駆動軸を備えた食品加工装置において、4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造及び6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を兼用する装置を実現することができる。
【0080】
[第三実施形態]
図1に示す第一実施形態に関する食品加工装置は、4本の回転駆動軸を有するシャッタ駆動機構に対して4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造及び6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造のいずれも装着可能な兼用タイプの装置であるが、4本の回転駆動軸により6枚のシャッタ片を回動させる専用タイプの食品加工装置を構成することもできる。
【0081】
図26は、こうした専用タイプの食品加工装置のシャッタ構造に関する平面図であり、図26(a)がシャッタ片の開いた状態を示し、図26(b)がシャッタ片の閉じた状態を示している。なお、シャッタ構造以外の装置の構成は、図1に示す装置構成を同様であるので、説明を省略する。
【0082】
この例では、リング状の基板354に6枚のシャッタ片350が等間隔で配置されている。4枚のシャッタ片350は、それぞれ4本の回転駆動軸351に装着固定されて駆動シャッタ片として機能し、回転駆動軸351には回動板351aが固定されている。残りの2枚のシャッタ片350は、回転軸352に回動自在に取り付けられて従動シャッタ片として機能し、回転軸352にはシャッタ片350に固定された回動板352aが回動自在に設けられている。そして、各シャッタ片350の回転中心は、正六角形の頂点に位置するように設定されている。また、各シャッタ片350は、回転駆動軸351及び回転軸352に装着するための基部を備えた同一の形状に形成されており、回転駆動軸351及び回転軸352はリング状の基板354に設けられている。
【0083】
回転軸352とそれに隣接する回転駆動軸351との間にはリンク部材353が外側に取り付けられている。リンク部材353は、一方の端部が回動板352aに設けられた軸支ピン352bに回動自在に軸支されており、他方の端部が回動板351aに設けられた軸支ピン351bに回動自在に軸支されている。そのため、回転駆動軸351が回転駆動すると、回動板351aとリンク部材353を介して連結された回動板352aが連動して回動するようになり、回転軸352に取り付けられた従動シャッタ片であるシャッタ片350が回転駆動軸351に取り付けられた駆動シャッタ片であるシャッタ片350と同期し往復揺動するようになる。
【0084】
図27は、図26に示すシャッタ構造のシャッタ駆動機構である。シャッタ駆動機構は、各回転駆動軸351の下端部に固定されたフランジ355と、このフランジ355に枢着され、フランジ355同士を連繋する複数のリンク356と、これらのリンク356を駆動するモータ357とから構成されている。モータ357の回転方向、回転角度等を制御することによって、複数のリンク356が連関動作して各回転駆動軸351が同期して回転する。そして、回転駆動軸351が回転することで、上述したように駆動シャッタ片であるシャッタ片350が回動するとともにそれに連動して従動シャッタ片であるシャッタ片350が同時に回動し、各シャッタ片350により囲まれる領域を適宜に開閉させる。
【0085】
この例では、リンク部材353を回転駆動軸351の外側(開閉領域の反対側)に配置しているので、連結構造を簡略化できるとともに従動シャッタ片を正確に連動させることが可能となる。また、同じ形状のシャッタ片を用いてシャッタ構造を構成しているので、シャッタ片の位置調整やシャッタ片の交換といったメンテナンスを容易に行うことができる。
【0086】
以上説明したシャッタ構造を上下二段の第一及び第二シャッタに用い、4本の回転駆動軸により6枚のシャッタ片を往復揺動させて、図11から図17に示すように、椀状形成されて内部に内材が配置された外皮材の周縁部を寄せ集めて封着動作を行なう。6枚のシャッタ片を用いているので、4枚のシャッタ片を用いて封着動作を行なう場合に比べて成形品を丸く成形することができる。
【0087】
また、成形品の形状、サイズ及び材料特性に合せて、受け部材の上方にのみ上述のシャッタ構造を配置して成形加工を行ったり、受け部材の下方にのみ上述のシャッタ構造を配置して成形加工を行うようにしてもよい。さらに、図19に示すような一対の封着部材と上述のシャッタ構造とを組み合せて構成し、上述のシャッタ構造のシャッタ片による往復揺動動作及び封着部材による封着動作により二つ折りの成形加工をすることもできる。
【0088】
図28は、図26に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した多連式のシャッタ構造に関する平面図であり、図28(a)がシャッタ片の開いた状態を示し、図28(b)がシャッタ片の閉じた状態を示している。この例では、4つの開口部が形成された基板358に、開口部を囲むように等間隔でシャッタ片350が配置されている。中央部の回転駆動軸360には、2枚のシャッタ片350が取り付けられており、回転駆動軸360に設けられた回動板360aには、1つのリンク部材353が回動自在に取り付けられている。また、回転駆動軸360の両側に配置された回転軸361には、2枚のシャッタ片350が回動自在に取り付けられており、回転軸361に設けられた回動板361aはシャッタ片350に固定されて連動するように設定されている。そして、回動板361aには2つのリンク部材353が回動自在に取り付けられ、回動板360aと連結されている。
【0089】
そのため、回転駆動軸360を駆動すると、装着された2枚のシャッタ片350とともにリンク部材353を介して回動板361aが回動して回転軸361に取り付けた2枚のシャッタ片350が連動して回動するようになる。したがって、回転駆動軸360の回動により4枚のシャッタ片を一度に往復揺動させることができる。
【0090】
図29は、図28に示す多連式のシャッタ構造のシャッタ駆動機構である。シャッタ駆動機構は、各回転駆動軸360の下端部に固定されたフランジ362と、このフランジ362に枢着され、フランジ362同士を連繋する複数のリンク363と、これらのリンク363を駆動するモータとから構成されている。モータの駆動軸364の回転方向、回転角度等を制御することによって、複数のリンク363が連関動作して各回転駆動軸360が同期して回転する。そして、回転駆動軸360が回転することで、上述したように駆動シャッタ片であるシャッタ片350が回動するとともにそれに連動して従動シャッタ片であるシャッタ片350が同時に回動し、各シャッタ片350により囲まれる複数の領域を同時に開閉させる。
【0091】
このように、多連式のシャッタ構造では、シャッタ片を回動させる回転駆動軸を複数のシャッタ構造で共通化して用いることで、部品点数を少なくしてコンパクトな構造を実現することが可能となる。
【0092】
そして、複数の回転駆動軸に直接装着した駆動シャッタ片については、がたつくことなく精度よく往復揺動させて加工動作を行なうことができるので、駆動シャッタ片の回動動作に連動して従動シャッタ片を往復揺動させることで、揺動動作の精度を保持することができる。
【0093】
図30は、図26に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の変形例に関する平面図であり、図30(a)がシャッタ片の開いた状態を示し、図30(b)がシャッタ片の閉じた状態を示している。この例では、回転軸352に取り付けられた従動シャッタ片であるシャッタ片350を、リンク部材を用いることなく、回転駆動軸351に取り付けられた駆動シャッタ片であるシャッタ片350に当接させて直接回動動作させるようになっている。従動シャッタ片であるシャッタ片350の両側には、駆動シャッタ片であるシャッタ片350が当接するように配置されており、回転駆動軸351が駆動されて駆動シャッタ片であるシャッタ片350が回動すると、それに連動して駆動シャッタ片に両側から挟まれるように従動シャッタ片であるシャッタ片350が回動動作するようになる。
【0094】
この例では、きわめて簡略化された構成で、4本の回転駆動軸により6枚のシャッタ片を回動させることができる。
【0095】
以上説明した例では、4本の回転駆動軸により4枚の駆動シャッタ片及び2枚の従動シャッタ片を連動させて回動させるようにしているが、4本以外の本数の回転駆動軸の場合でも従動シャッタ片を連動させて回動させるように構成することができる。また、従動シャッタ片の枚数についても成形品に応じて適宜変更することが可能で、特に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る第一実施形態の食品加工装置の部分断面正面図である。
【図2】同装置の第二シャッタの駆動機構を示す概略平面図である。
【図3】同装置の第一シャッタの駆動機構を示す概略平面図である。
【図4】4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の第一シャッタに関する平面図である。
【図5】6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の第一シャッタに関する平面図である。
【図6】回転駆動軸の中心軸、軸支ピン、作用ピン及び駆動ピンの位置関係を示す説明図である。
【図7】第一シャッタとして6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造に関する外観斜視図である。
【図8】4枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の第二シャッタに関する平面図である。
【図9】6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の第二シャッタに関する平面図である。
【図10】第二シャッタとして6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造に関する外観斜視図である。
【図11】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図12】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図13】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図14】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図15】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図16】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図17】第一シャッタ及び第二シャッタにおいて6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を用いた場合の食品成形工程に関する動作説明図である。
【図18】シャッタ構造の組合せに関する構成を示す平面図である。
【図19】シャッタ構造の組合せに関する構成を示す平面図である。
【図20】図5に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した多連式のシャッタ構造に関する平面図である。
【図21】図9に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した多連式のシャッタ構造に関する平面図である。
【図22】本発明に係る第二実施形態に関する正面図である。
【図23】シャッタ部に関する平面図及び動作説明図である。
【図24】シャッタ部に関する平面図及び動作説明図である。
【図25】図23に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した多連式のシャッタ構造に関する平面図である。
【図26】4本の回転駆動軸により6枚のシャッタ片を回動させる専用タイプの食品加工装置のシャッタ構造に関する平面図である。
【図27】図26に示すシャッタ構造のシャッタ駆動機構である。
【図28】図26に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造を複数配列した多連式のシャッタ構造に関する平面図である。
【図29】図28に示す多連式のシャッタ構造のシャッタ駆動機構である。
【図30】図26に示す6枚のシャッタ片を備えたシャッタ構造の変形例に関する平面図である。
【符号の説明】
【0097】
F 外皮材
G 内材
H 成形品
1 第一シャッタ
10 シャッタ片
11 回転駆動軸
12 フランジ
13 リンク
14 モータ
2 第二シャッタ
20 シャッタ片
21 駆動中空軸
22 フランジ
23 リンク
24 モータ
3 外皮材形成手段
30 押込み部材
31 ステー
32 送りねじ機構
33 モータ
40 弁
41 ロッド
42 エアシリンダ
43 供給パイプ
44 ポンプ
45 ホッパ
5 保持手段
50 押え部材
51 支持ロッド
52 ステー
53 コイルばね
6 支持手段
60 支持部材
61 支持ロッド
62 ラック−ピニオン機構
63 ベルト
70 受け部材
100 シャッタ片
101 シャッタ片
102 取付部材
103 軸支ピン
104 作用部
105 作用ピン
106 シャッタ片
107 取付部材
108 軸支ピン
109 作用部
110 作用ピン
111 リンク部材
112 駆動ピン
113 回動板
114 基板
120 回動板
121 回動板
200 シャッタ片
201 シャッタ片
202 取付部材
203 軸支ピン
204 作用部
205 作用ピン
206 シャッタ片
207 取付部材
208 軸支ピン
209 作用部
210 作用ピン
211 リンク部材
212 駆動ピン
213 回動板
214 基板
220 回動板
221 回動板
301 供給部
302 棒状成形部
303 シャッタ部
330 シャッタ片
331 回転駆動軸
332 回転軸
333 リンク部材
334 基板
335 回転駆動軸
336 回転軸
350 シャッタ片
351 回転駆動軸
352 回転軸
353 リンク部材
354 基板
355 フランジ
356 リンク
357 モータ
360 回転駆動軸
361 回転軸
362 フランジ
363 リンク
364 駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転駆動軸にそれぞれ装着された複数の駆動シャッタ片と、前記回転駆動軸とは別に設けられた少なくとも1つの回転軸に取り付けられた少なくとも1つの従動シャッタ片と、前記従動シャッタ片に前記回転駆動軸の駆動力を伝達して回動させる連結手段と、前記回転駆動軸を駆動して前記駆動シャッタ片及び前記従動シャッタ片を回動させて前記駆動シャッタ片及び前記従動シャッタ片により囲まれた領域を開閉させる駆動手段とを備えていることを特徴とする食品加工装置。
【請求項2】
前記回転軸は、前記回転駆動軸の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食品加工装置。
【請求項3】
前記駆動シャッタ片及び前記従動シャッタ片は基板に取り付けられており、前記基板は前記回転駆動軸に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品加工装置。
【請求項4】
前記連結手段は、前記回転駆動軸の前記領域側に取り付けられるとともに前記回転駆動軸の駆動力を伝達するリンク部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の食品加工装置。
【請求項5】
前記連結手段は、前記回転駆動軸の前記領域とは反対側に取り付けられるとともに前記回転駆動軸の駆動力を伝達するリンク部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の食品加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−110286(P2010−110286A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287235(P2008−287235)
【出願日】平成20年11月8日(2008.11.8)
【特許番号】特許第4316662号(P4316662)
【特許公報発行日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】