説明

食品及び飼料サプリメントとその使用

【課題】
【解決手段】
本発明は、基礎成分としての少なくとも1種のカルボン酸及び/又はその塩と、鉄成分と、少なくとも存在するCOOH基が代謝する間に理論的に消費されうる量に相当する量のビタミンB6、B9及びB12とを含む食品及び飼料サプリメントとその使用に関する。サプリメントは、水中に溶解したときに2.0〜6.0の範囲のpHを有する。サプリメントは、ビタミンB6、B9及びB12の量が、サプリメント中の純カルボン酸の含量の乾燥重量1g当たり、それぞれ、0,5〜30mg、0,1〜10mg及び1500μgの範囲であることを特徴とする。サプリメントは、0.5〜15g乾燥サプリメント/kg乾燥飼料の量で動物飼料中に使用することが出来る。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンを含む食品及び飼料サプリメントに関する。また、本発明は、食品及び飼料におけるサプリメントの使用も包含している。
【0002】
過酷なストレスに晒されたり、又は高いパフォーマンスが要求される時、動物は、標準飼料のみを与えていると、疲労や下痢、食料摂取に対する抵抗、貧血等を患うことが観察されている。このような場合、飼料に添加剤又はサプリメントが明らかに必要であることは明らかである。しかし、観察された問題に対して何が原因であるか、従って、どの添加剤を使用すればいいのかを決定することは通常困難である。公知の多くの添加剤及び飼料サプリメントが存在するが、どれも上記の総ての問題を解決することを立証するものではなかった。いくつかの添加剤は、動物の成長の促進を主に意図している一方で、その他の添加剤は健康を改善することを主張する。ビタミン欠乏症は問題の一部であるかもしれないが、飼料が十分な量のビタミンを含有することが期待される時でさえも、このことがなぜ起こるのかを理解すべきである。
【0003】
放牧地から集中的な給餌、例えば1日当たり2回の給餌に変更するとき、競走馬に特別な問題が観察された。給餌処理の前記変更が、胃潰瘍を発生させることは極めて一般的である。
【0004】
モノカルボン酸を従来の飼料に添加することで、成長を促進し及び下痢回数を減らすことは、一般的に公知である。欧州特許第EP03176688号から、3〜5部の蟻酸カルシウムを含有する乾燥混合物5〜25%を含有する従来の飼料を与えることによって子豚の成長促進が達成されることが公知である。しかし、蟻酸カルシウムは、水溶性が低く、飼料中にあまりに高含量のカルシウムが入ることを避けるために限定された量でのみ使用することが出来る。添加剤中の蟻酸塩の濃度はむしろ低く、その効果は、蟻酸が飼料に添加されるときと同じオーダである。
【0005】
更に、独国特許第DE19958620号から、ビタミン欠乏症に関連した症状を防止するために家畜又は使役動物に使われ、ムラサキガイの肉又は抽出物を含む食品又は食品サプリメントが公知である。この特許によれば、前記サプリメントは大豆油、炭水化物、ミネラル及び各種ビタミン等の多くの成分を含む。しかし、ビタミンが特定されず、このサプリメントがどの特定の問題を解決するのか決定することは困難である。更に、国際特許出願第WO96/35337号から、二成分の蟻酸塩を含む添加剤0.2〜2.5重量%を含有する動物の飼料添加剤及び飼料が公知である。添加剤は、20〜99重量%の二蟻酸カリウム、0〜50重量%の二/四蟻酸カリウム、0〜25重量%の蟻酸カルシウム、0〜4重量%の乾燥剤及び0〜5重量%の水を含む。この添加剤は、特に人工乳期間に、成長を促進し、飼料転化率を改善すると言われている。また、下痢の頻度に対する影響は、肯定的であると言われている。
【0006】
ハト飼料における有機酸の使用及び貧血に対する危険に関して、Victor Vansalen、Herman International Publication、Antwerpen、Belgium.ISBN no.90−73663−07−5による「Champions Reveal their untold secrets」なる本に言及されている。この本は、ピジョンスポーツの分野で重要であり、ハトとの仕事からの経験を明らかにするものである。各種の飼料及び飼料添加剤についての彼らの意見は、かなり異なる。例えば68ページには、ハトの給餌にクエン酸及びアスコルビン酸(ビタミンC)等の有機酸を使用することは公知であるが、特に酢酸は、いくつかの現実の酸のうちのひとつであるが、貧血を導く可能性があるので、使用するべきではないと述べられている。この本には、その他の有機酸、及びどのような肯定的な効果を与える可能性があるのかは、具体的に言及していない。更にこの本では、ビタミンBだけでなくビタミンA,D及びEは、ハト飼料に与える添加剤として推奨されている。従って、ピジョンスポーツ及び繁殖の分野を知っている人達からの明確な結論はない。
【0007】
本発明の主要な目的は、特にストレス症状にある間、及び高いパフォーマンスが要求されるとき、すなわちトレーニング及び競技状態にある間に、健康及びパフォーマンスを改善する新規な食品及び飼料サプリメントを達成することであった。
【0008】
その他の目的は、消費者の栄養摂取の一部であり得、高濃度の活性成分を有し、さらさらした乾燥粉末であり、製造、貯蔵及び取り扱いの間安定であるサプリメントを達成することであった。
【0009】
サプリメントは固体粉末飼料又は湿った飼料に添加するのと同様に飲料水にも添加することが出来なくてはならないので、サプリメントが水溶性であるということも目的であった。
【0010】
更なる目的は、サプリメント及びサプリメント自体の各成分を所定の用量で消費者に供給し、所望の効果を得るために必要と考えられる規格内であることであり、このサプリメントは、消費者がサプリメントを食する或いは飲用するのになんら拒絶することなく所望の味を有するべきである。
【0011】
健康の観点からは、栄養分消費者にモノカルボン酸含有サプリメントを供給することは、文献教示から興味深いと考えられる。従って、本発明者は、飼料にモノカルボン酸を添加するステップを具えるいくつかの実験を開始することを決定した。この実験は、ノルウェー及びデンマークの様々なハト愛好家によって、合わせて20の実験グループについて実施された。これらの実験から成長及び下痢の頻度に関して肯定的な結果を得た。ヒトについて、食品のサプリメントの使用を、体重1kg当たり0.1〜4.4mgの1日摂取量を投与することによって実施することが出来た。総て見込みがあると思われた。しかし、実験動物(ハト)が長距離鳩レースのような長期の極限状態に晒されると、いくつかの実験グループで疲労、下痢及び飼料摂取に対する抵抗が再び観察された。明らかに、飼料にカルボン酸/カルボン酸塩のみを添加したことからいくつかの深刻な副作用があった。疲労は、ビタミンC、ビタミンB−錯体、マグネシウム、亜鉛のようなミネラル、必須脂肪酸等のような多数の成分の欠乏によって説明出来る。関連文献は、上記の観察された問題の解決に対して、明らかな指針を与えるものではない。問題の原因が明らかでない限り、様々なビタミン及びミネラルの混合物を単に添加することは、不確実なだけであろう。ビタミンB9(すなわち葉酸)の欠乏を、上記の欠乏の文献に関する規定から推測することが出来た。しかし、また、類似の定義がビタミンB12の欠乏からも与えられる(例えば、Animal Nutrition, P.McDonald他 第5版 1995参照)。しかし、また、B9の吸収のためにはB12が存在する必要であるようなので、B12とB9との間の相互作用は公知であり、従って、次の問題はどのビタミンを補足するか、である。しかしながら、実験グループの幾つかは、観察された症候の中でよく機能していた。本発明者は、実験グループに責任がある様々な動物愛好家のインタビューの間、よく機能したグループは、機能が芳しくなかったグループの愛好家よりも責任ある愛好家はハトの飼料にビタミン混合物、特にビタミンB群の錯体を添加することを強く意識していたという印象を持った。
【0012】
胃潰瘍の発生という上記の問題に関して、飼育手順の変化は、動物の胃酸(HCl)にアンバランスをもたらし、結果として胃潰瘍の発生を導くと仮定された。この仮説に基づいて、水に溶解させたときに、サプリメントが、2.0〜6.0のpH範囲内の緩衝容量を有することが分かった。従って、サプリメントは少なくとも一の緩衝成分を具えることが有利であると考えられた。更に、実験によってサプリメントが光に晒されなければ、選択されたビタミンB群は前記pH範囲で長時間安定であることが分かった。
【0013】
モノカルボン酸の利点及び積極的な効果を維持することが望まれていた。問題は、観察された長期の負の効果を克服することであった。次いで、本発明者は、カルボン酸の代謝が何らかの形で必須ビタミンを消費することを想定する仮説に従って、新しいサプリメント作用についての調査を続けることを決定した。生じうる前記ビタミンの欠乏を補おうとして、様々な動物の飼料におけるビタミンの役割をより完全に研究した。従って、毛皮動物では、葉酸(ビタミンB9)の追加的支援無しに、有機酸を飼料に添加した時、貧血が観察された。
【0014】
更に、正確なメカニズムははっきり理解されていないが、他のビタミンBが血液細胞の生成に影響するかもしれないことも文献に報告されている。それでもやはり、ビタミンB6及びB12は、ビタミンB9と共によい候補であると考えられた。従って、本発明者は、前記ビタミン群の添加が、モノカルボン酸に関連する観察された副作用を補償することが出来るものか否かを調査するために、前記3種のビタミンBを、蟻酸及びそのアンモニウム塩を含むモノカルボン酸の混合物に加えることを決定した。また、血液中の減少したヘモグロビンレベルが、鉄欠乏の徴候として文献で報告されていたので、新しい飼料混合物に鉄を加えた。モノカルボン酸の積極的な効果が報告されているので、前記有機酸を選択した。
【0015】
しかし、他のカルボン酸も本目的のサプリメントに有利な特性を有することが解った。上記の混合物を水に溶解し、ハトが通常摂取する水に混合した。サプリメントを約1g/lで投与すると、ハトは水を飲みたがらなかった。次いで、投与量を1リットル当たり0.5gのサプリメントに減らすと、飲みたがらないということは観察されなかった。この投与量で、このビタミンサプリメントは、依然としてレース鳩用ビタミンサプリメントの推奨された投与量よりもかなり多かった。
【0016】
このサプリメントを長期間与えると、ハトは、問題なくストレス状態に耐え、一層厳しいレースの間も、優れたパフォーマンスをすることが判明した。この肯定的な結果に基づいて、更に同様の実験を始めて、結果を確認し、レース鳩以外の種に実験を拡大することによって成分間の適正バランスを見つけた。これらの実験結果の観点から、他のビタミンB群も添加することに決定した。また、酸化防止剤、好ましくはビタミンEを添加することも有利であると考えられた。鉄は血球の生成において重要であるため、鉄成分、好ましくはフマル酸鉄も、依然としてサプリメントに含まれていた。生成物をさらさらにするために、更に実験を行うサプリメントに乾燥剤を添加することが出来る。最も好ましい乾燥剤はMgOであることが分かった。
【0017】
本発明の範囲及び特定の特徴は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0018】
本発明のサプリメントの主な特徴は、サプリメントが基本成分としての少なくとも1つのカルボン酸及び/又はその塩と、サプリメントの乾燥重量1g当たり10〜50mgの全体量のビタミンB、B及びB12と、サプリメントの乾燥重量1g当たり5〜25mgのFeと、0〜1重量%の乾燥剤と、0〜1重量%の酸化防止剤と、を具え、当該サプリメントを水に溶解させたとき、前記塩及びカルボン酸の量が、2.0〜6.0のpHを与えることである。
【0019】
ビタミンB6、B9及びB12の量は、少なくともカルボン酸のCOOH基の代謝の間に消費されうる量に相当するべきである。
【0020】
好ましくは、サプリメントは0.5〜3.5重量%のフマル酸鉄を含有する。
【0021】
本発明のサプリメントの特別な特徴は、ビタミンB6、B9及びB12の好ましい量が、それぞれ、サプリメントにおける純カルボン酸の含有量の乾燥重量1g当たり0,5〜30mg、0,1〜10mg、及び1〜1500μgの範囲であることである。
【0022】
好ましくは、新規なサプリメントは、酸化防止剤としてビタミンEを、乾燥剤としてMgOを含有すべきである。
【0023】
最も好ましいカルボン酸は、C1〜8のカルボン酸であることが分かった。
【0024】
また、本発明は、ストレス及び競争状態下でのパフォーマンスを改善するための、乾燥飼料1kg当たり0.5〜15グラムの新規サプリメントの使用を具える。
【0025】
サプリメントの特定の使用は、馬体重100kg当たり乾燥サプリメント1〜15gの量の馬用標準飼料とサプリメントとのその混合物である。
【0026】
体重1kg当たりサプリメントの純カルボン酸含量の乾燥重量の0.1〜4.4mg毎日摂取量を投与することによって実施することが出来るヒト用食料におけるサプリメントの使用。
【0027】
更に、本発明を、以下の例を参照して説明する。
【0028】
例1
この実験は、ノルウェーのポルスグルンのPigeon Vitality as社に所属しているレース鳩に対して実施された。これらのハトに2001年秋から、2002年7月に終わるレースシーズンを通して、毎日、pH4の飲料水に水1l当たり0.5gのカルボン酸を与えた。春の最初のレースで、これらのハトは期待を下回るパフォーマンスをした。それらは、1着になるのに数分遅すぎて、鳩舎に戻った。レースシーズンが続くにつれて、パフォーマンスは更に悪くなり、最初のレース後(2〜3週間)、ハトは、パフォーマンスのレベルになかった。3週間後、ハトは貧血の全徴候を示した。たった6レース後の、2002年6月に実験ハト群のレースを中止した。
【0029】
同じ鳩舎、同じ場所から、同じ給餌システム、同じトレーニング、同じレースシステム、同じ扱いのハトが新しい実験の一部であり、ここで、ビタミンB6、B9及びB12、及びサプリメント1kg当たり6mgのFeを加えることによって、飲料水中の同じ投与量のサプリメント(同じカルボン酸)を改良した。レースシーズンは、スタートから6週間後の最後の競技会まで、非常によい結果となり、Pigeon Vitality as社にとって、これまでで最もよい結果となった。2つのシーズンの結果と比較した成績を表1に示した。
【0030】
表1

【0031】
得点は、レースに参加するハトの数が変化しても比較することが出来るように計算されている。得点Sは、S=100−((P−1)*300)/Nポイントとして計算される。ここで、Nは、参加するハトの全体数であり、Pは、ピジョンレースの結果リストの順位である。第1位は、常に100ポイントの得点を与える。その後、得点は、順次1ポイントまで落ちて、結果リストの上位1/3のハトのうち最終位で戻るハトに与えられる。0の得点は残りのハトに与えられる(次の2/3のハトは、最も遅く戻ったハトである)。表1は、Pigeon Vitality ASの実験鳩舎の第1位のハトの得点であり、2002年と比較して2003年シーズンにおけるレースパフォーマンスに大きな進歩があったことを明確に示している。
【0032】
例2
また、ウマでに生じた胃/腸粘膜の問題における上記のびらんに対する起こりうる効果を調査した。胃/腸粘膜に発達したびらんを有する10頭のウマに、1日2回飼い葉を与えた。通常の手順に反して、14日間1日2回、通常の飼い葉と混合して40〜50g(乾燥重量)の新規なサプリメントを与えた。馬体重は、450〜500kgであり、従って、サプリメントの添加量は馬体重100kg当たり10g乾燥重量のサプリメントに相当する。この新しい飼育期間の最後に行った胃内視鏡検査は、胃/腸粘膜のびらんが治癒したことを示していた。従って、ウマはレースを開始して非常に良好な成績を収めた。総ての実験は、胃/腸粘膜にびらんを有する病気のウマに対して実施された。
【0033】
更なる調査から、上記の効果は標準飼料に馬体重100kg当たり5〜25gのサプリメントを添加することによって達成出来ることが分かった。
【0034】
例3
ハトとウマに関する上記実験を行った後、これらの実験を競争犬(レーシングドッグチーム)について実施した。実験は、2003年の秋に始められ、その目的は、投与量の適正レベルを見つけ、血液サンプルと一緒にイヌの活力と毛並みについての記録を取ることであった。血液は、2つの実験グループから取った。一つは新規のサプリメント無しのもので、他方の実験グループは、1日1kgの飼料当たり2,5gのサプリメントを与えられた。これは、イヌ1頭(25〜35kg)当たり1,0〜1,5gのサプリメントに相当する。2ヶ月後、レースシーズンの始まる前、投与を開始する前に、血液細胞の濃度について、血液サンプルを分析した。これらの実験の結果は、新規なサプリメントがハト及びウマと同様にイヌについても同様の結果を与えることを裏付けた。イヌに貧血の徴候はなく、更に、血液細胞レベルは、実験期間(6月)後、上昇することが分かった。イヌの活力については、イヌが、実験期間中極めてよい状態であることが観察された。イヌの毛並みもすばらしいことが証明され、中でも大きなドッグショー展覧会で第1位という結果をもたらした。
【0035】
例4
胃/腸粘膜のびらんの治療に加えて、この例の主要な目的は、投与量の適正レベルを見つけることと、一般的観察の記録を取ることであった。総ての観察は、トロッター及びギャロップ馬に特化した病院であるオスロにあるBjerke Dyrehospital病院で、獣医によって行われた。有機酸及び選択されたビタミンを用いた治療の後に、素晴らしい体型であることが、ウマの全体的な活力の観察によって確認された。更に、実験に参加した14頭のウマは、病気の治療後活力を維持し、レース中及びレース後によいパフォーマンスをした。表2に記載するようにいくつかの改善点が記録された。
【0036】
表2

【0037】
各種の動物についての上記の例から、添加ビタミンB6、B12及びB9の量、すなわち、新陳代謝することが出来るCOOH−基の量に少なくとも相当するべきである量が、新規なサプリメントによって達成されることが分かる。総ての実験結果及び文献で見られる情報に基づいて、発明者は、本発明によるサプリメントの推奨されるビタミン成分についての次の表3に到達した。
【0038】
表3

【0039】
各スピーシーズに対するビタミンの添加量の推奨値は、飼料1kg当たりビタミンサプリメントとして与えられ、これに従って、ビタミン量を飼料1kg当たりの新規なサプリメントを使用して示す(表3の下2列)。サプリメントの添加量は、ハトについて、それぞれ2.5g/kg飼料、及び水1l当たり0.5gの2つの用量として与えられている。1kgの飼料に対する水1lの用量は、平均的なハトが1日当たり50mlの水を飲み、40gの飼料を食べるという知識から計算した。
【0040】
例5
有機酸がリウマチに有益であることは、文献から公知である。更に、3種のビタミンBであるB6、B9及びB12の組み合わせは、鬱病に対する適切な治療薬として記載されている(参照;Taylor MJ.他 The Cochrane Library、Issue 2、2003;Hintikka J他 BMC Phsychiatry 2003;3〜17)。従って、人についての予備的な研究における本発明の組み合わせを実際に試みることに興味があった。リウマチか鬱病のどちらか、又は全員がこれらを併発している10人のグループによってこの実験を実施した。
【0041】
この人たちに3週間以上毎日1回サプリメントを与え、この期間の後、この人たちが自分の経験を報告した。サプリメントの主要な有機酸は、蟻酸及び蟻酸アンモニウムであり、体重1kg当たり3mgの受容できる毎日の摂取量に適合するように投与された。ビタミンの成分は、例えばKnut T. Flytlite、Hilt&Hansteen、ISBN 82−7413−566−0による「The Vitamin Revolution」に記載されているような、ヒトについて推奨された範囲内であり、毎日のレベル及び許容範囲についての当局(Nordic、EU及びUSA)の推奨によるものの、有機酸との望ましい相互作用に起因して、葉酸及びビタミンB12の成分が上昇した。しかし、医療文献によると、5月間、B9の400mg/1日を、又は5年間、10mg/1日のいずれかの摂取をした成人に、負の効果はなんら報告されていない。
【0042】
総ての報告が肯定的であった。リウマチの痛みは消え、顕著な元気さ及び上機嫌さが広がった。更に、被験者は、活力がみなぎり、夜ぐっすり眠れたと報告した。2人の人が最初の2、3日「胃が不安定」であったが、再び通常に戻ったと報告をしたが、否定的な効果は、観察も報告もされなかった。毎日摂取したサプリメントの適用されたビタミン用量を表4に示す。
【0043】
表4

【0044】
例6
様々なスピーシーズに対するビタミンB類及び鉄の量を確かめるために、ハト、ヒト、ウマ及びイヌに関して多くの実験が行われた。これらの実験中に使用されたサプリメントは、サプリメント1gに対して330mgの蟻酸/蟻酸塩及び60mgのラク酸を含有していた。これらの実験の結果を表5に示し、各スピーシーズについて各ビタミン群の平均値を記載した。値は体重1kg当たり100%蟻酸/蟻酸塩1gに対するmgビタミン/1日として与えられている。
【0045】
表5

【0046】
新規のサプリメントの推奨量は、種及びその年齢、並びに治療期間によって異なる。一般的に、飼料1kg当たり2.5mgのサプリメントが最適と考えられるが、0.5〜15g乾燥サプリメント/kg飼料の量で、所望の結果を得ることが分かった。上限範囲は、多くの場合で過用量を示し、これは、彼らが一般的に余分の飼料及びビタミン供給を要求するときの、極限状況の目的か、或いは治療の初期段階の目的のためである。総てのビタミンBは可溶性であり、いずれの過剰量も排出される。ヒトが安全であることを確保するもう一つの理由は、カルボン酸の代謝酸化のレベルが種によって様々であり、依然として科学的に完全に解っていないためである。
【0047】
鉄の推奨される供給量は、種の活性に依存する。鉄は、問題の飼料に広く分配されており、鉄の吸収の効率は、必要な期間増加するので、従って、上記処方は、一般的な推奨処方と比べて比較的低い。これらの実験の間、フマル酸鉄は、鉄源として使用され、32%の鉄を含有する。これは、表3で補正された。サプリメント中の鉄の推奨できる量は、5〜25mg Fe/g乾燥サプリメントの範囲であり、好ましくは10〜15mg Feであることが分かった。
【0048】
実験で使用されたカルボン酸/カルボン酸塩混合物は、蟻酸、蟻酸アンモニウム及びラク酸を具える。我々の実験によれば、予防的治療のための有機酸の用量は、種によって様々であり、例えば、体重1kg当たり1日3mgのヒトから馬体重1kg当たり1日50mgのウマまでの範囲である。総てのビタミンB(すなわち、B6、B9及びB12を含む総てのビタミンB)は、様々な酵素系に組み込まれ、その相互作用及び代謝経路は明らかに理解されていないので、ビタミンは、好ましくはビタミンB−錯体として添加されるべきであることが分かった。しかし、上記で示したように、ビタミンB6、B9、B12が、推奨された量で存在することは、必須である。従って、鳥類、動物及びヒトに対する我々の実験に基づいて、新規のサプリメントのビタミンB6の量は、毎日1回、体重1kg当たり0.1〜2mgの範囲であり、B9は、体重1kg当たり1日0.2〜2.5mgの範囲であり、B12は、体重1kg当たり1日1〜10μgの範囲であるべきである。
【0049】
サプリメントとして、ビタミンB6、B9、B12は、通常、動物及びヒトのために設計された3〜10%の各ビタミンB錯体に相当する。また、前記ビタミン類は、前記ビタミン類の比較的高濃度である既知の成分の形で添加することが出来る。
【0050】
最も有益なカルボン酸は、C1〜8カルボン酸であり、最も好ましい酸は、蟻酸、クエン酸、ラク酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、フマル酸及び安息香酸であることが分かった。また、前記酸の塩は、特にサプリメントが所望のpHを与えるために、有利に使用することが出来た。この酸及び塩の混合物を使用することが出来た。好ましくは、新規のサプリメントは、サプリメントをさらさらにする乾燥粉末状であるべきである。動物及びヒトの食事に許容できるのであれば、有益な乾燥剤は、シリカMgO、CaO等であろう。新規のサプリメントは、酸化劣化を遅らせるためにアントシアニン、トコフェロール(ビタミンE)、アスタキサンチン及びカロテノイド類等の酸化防止剤を含有してもよい。標準飼料に、これらの元素が不足している場合には、新規のサプリメントは、選択的に、K、Ca、Fe、Mg及びその他の標準栄養素等を含むミネラルを含有してもよい。上記の新規のサプリメントは、特にウマ、イヌ、ハト、及びヒトに有益であることが分かった。しかし、同様の問題に晒されたその他の動物は、このサプリメントを摂取することによって結果的に利益を得ることが出来る。もしサプリメントが魚の養殖場に関して適用される場合は、標準飼料と混合するべきであり、次いで、前記混合物が、サプリメントの組成を変えることなく機能することが必須である。ヒトの食品でも問題は起こらず、有益であるのみであるようであった。
【0051】
理論上、消費者の標準飼料に新規のサプリメントの各成分を一つずつ添加することが出来た。しかし、このような手順は、各成分の適切な量を適用することの非常に実際的な問題を引き起こすであろう。更に、成分間で観察された相互作用を得ることが困難であるかもしれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンを含有する食品及び飼料サプリメントにおいて、サプリメントの基礎成分としての少なくとも1つのカルボン酸及び/又はその塩と、サプリメントの乾燥重量1g当たり10〜50mgの量のB、B及びB12−ビタミンと、サプリメントの乾燥重量1g当たり5〜25mgのFeと0〜1重量%の乾燥剤と、0〜1重量%の酸化防止剤と、を具え、サプリメントを水に溶解させたとき、塩及びカルボン酸の量が、2.0〜6.0のpHを与えることを特徴とする食品及び飼料サプリメント。
【請求項2】
請求項1記載のサプリメントにおいて、
前記ビタミンB12及びBの量が、少なくともカルボン酸のCOOH基が代謝するの間消費されるものに相当することを特徴とするサプリメント。
【請求項3】
請求項1記載のサプリメントにおいて、
ビタミンB、B、B12の量が、サプリメントにおける純カルボン酸の含有量の乾燥重量1g当たりそれぞれ、0,5〜30mg、0,1〜10mg、及び1〜1500μgの範囲であることを特徴とするサプリメント。
【請求項4】
請求項1記載のサプリメントにおいて、
0.5〜3.5%フマル酸鉄を含有することを特徴とするサプリメント。
【請求項5】
請求項1記載のサプリメントにおいて、
前記サプリメントが酸化防止剤としてビタミンEを含有することを特徴とするサプリメント。
【請求項6】
請求項1記載のサプリメントにおいて、
乾燥剤、好ましくはMgOを含有することを特徴とするサプリメント。
【請求項7】
請求項1記載のサプリメントにおいて、
前記カルボン酸がC1〜8カルボン酸であることを特徴とするサプリメント。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のサプリメントの使用において、ストレス及び競争状態下でのパフォーマンスを改善するために、乾燥飼料1kg当たり0.5〜15グラムの乾燥サプリメントの量であることを特徴とするサプリメントの使用。
【請求項9】
馬用飼料における請求項1乃至7のいずれかに記載のサプリメントの使用において、馬用標準飼料に馬体重100kg当たりサプリメントの純カルボン酸含量の1〜15g乾燥重量を混入することを特徴とするサプリメントの使用。
【請求項10】
ヒト用食品における請求項1乃至7のいずれかに記載のサプリメントの使用において、体重1kg当たりサプリメントの純カルボン酸含量の乾燥重量0,1〜4,4mg毎日摂取量を投与することを特徴とするサプリメントの使用。

【公表番号】特表2007−512834(P2007−512834A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542523(P2006−542523)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/NO2004/000374
【国際公開番号】WO2005/053423
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506191622)
【出願人】(306047701)
【出願人】(306047712)
【Fターム(参考)】