説明

食品工場用セキュリティカード

【課題】取扱が容易で、万一、製造工程の途中で紛失してしまい発見できない場合でも、金属探知機で検知可能な食品工場用セキュリティカードを提供する。
【解決手段】本発明の第1の実施態様に係るセキュリティカードは、食品工場への入退室時の個人識別に使用されるものであって、樹脂素材で形成されたカード基板と、樹脂素材からなる保護シートとを備える。このカード基板と保護シートとの間には金属探知機に検知可能な金属素材が介在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工場で使用されるセキュリティカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場や建築建物でのセキュリティ管理としてICカードを用いた入退室管理が行われている。また、人の指、顔などを識別する生体認証を利用した入退室管理も行われている。
近年、食品工場においても、食の安全に対する意識が益々高まり、製造工程での食品への異物混入を防止するため、入室者のチェックを厳しくするなどの対策が求められている。
【0003】
入退室管理に利用されるICカードは、一般的に、情報を書き込んだカード基板と、カード基板を保護する保護シートとから構成されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、食品工場では、原料や製造装置の欠陥などに起因する最終製品への金属の混入を防止するため、金属探知機による検査が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−85278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品工場での入退室管理をICカード等の媒体を用いて行うと、仮に作業者が製造過程でICカードを紛失してしまった場合、ICカード自体が異物として最終製品に混入する恐れがあり、食品の品質上、問題となる。
一方、生体認証による入退室管理では、異物混入の心配はないものの、作業者は通常、手袋やマスクなどをしているため、入退室時にその都度はずす必要があり、認証手続が煩雑となる。またICカードを用いる場合に比べ、設備導入コストが高価となる。
【0007】
本発明は、このような事情を背景としてなされたものであり、本発明の目的は、取扱が容易で、紛失しても金属探知機で検知可能な食品工場向けセキュリティカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るセキュリティカードは、食品工場への入退室時の個人識別に使用されるものであって、樹脂素材で形成されたカード基板と、樹脂素材からなる保護シートとを備え、カード基板と保護シートとの間に金属探知機に検知可能な金属素材が介在しているものである。これにより、取扱が容易で、万一、製造工程において紛失し発見できない場合でも金属探知機による検査で発見できるので、食品の品質を維持することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る食品工場向けセキュリティカードは、食品工場への入退室時の個人識別に使用されるものであって、樹脂素材で形成されたカード基板からなり、このカード基板に金属探知機に検知可能な金属素材を備えるものである。これにより、取扱が容易で、万一、製造工程において紛失し発見できない場合でも金属探知機による検査で発見できるので、食品の品質を維持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取扱が容易で、万一、製造工程において紛失し発見できない場合でも金属探知機で検知可能な食品工場用セキュリティカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係るセキュリティカードの構成を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係るセキュリティカードの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
入退室管理に用いられるセキュリティカードは、予めカード作成装置(不図示)を用いて作成される。セキュリティカードには、個人を識別するために必要な個人情報、例えばID、氏名等が記憶されている。
また食品工場の出入口に設置されるカード読取装置(不図示)には、セキュリティカードから読み取った個人情報に基づき、入室が許可されている個人情報か否かを照合するために必要な入室許可IDリストが予め記憶されている。
作業者は、入室時に自身のセキュリティカードをカード読取装置に読み取らせ、入室許可と判断されると扉が開錠され、入室可能となる。
これにより、個人IDと共に入室時間、入室場所などの履歴情報が作成され、管理装置(不図示)等で入退室記録として記憶される。
【0014】
セキュリティカードには、カード読取装置のカード読取部にカードを通して情報を読み取らせる接触式と、カード読取装置のカード読取部にかざすことで情報を認識させる非接触式とがある。なお、本実施例では、非接触式のセキュリティカードとして説明する。
【0015】
図1は、第1の実施の形態に係るセキュリティカード1の構造を示す図であり、セキュリティカード1の上面図と中央部における断面図を示している。図1に示すように、本実施の形態に係るセキュリティカード1は、カード基板10、保護シート11、金属素材12を備えている。金属素材12はカード基板10と、保護シート11の間に配置されている。
【0016】
カード基板10は、ポリ塩化ビニルや非結晶ポリエステルなどの樹脂材料で構成されている。また保護シート11は傷や色あせなどをする防止するもので、ポリエステルフィルなどの樹脂材料から成る。
【0017】
カード基板10は、ICモジュール101と、アンテナコイル102を備えている。ICモジュール101は、図示しないCPU、RAM、ROMなどから構成され、CPUがROMに記憶されている入退室処理プログラムに従い、RAMなどにアクセスしながら所定の入退室処理を行う。
またアンテナコイル102は、ROMなどに記憶されたデータをカード読取装置に送信したり、カード読取装置からの信号を受信する役割を果たす。
【0018】
金属素材12は、直方体形状の鉄で構成される。金属素材12は基板カード10と保護シート11により挟まれて固定されている。
なお、金属素材12は鉄でなくても、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケルなど金属探知機に検知する素材であれば種類は問わない。また直方体形状に限らず、円柱状、球状、あるいは適量の金属粉末で構成しても構わない。
【0019】
金属素材12は、0.2mm程度の体積を持つことが好ましい。0.2mm以上の体積があれば、金属探知機で確実に検知することができる。
【0020】
金属素材12は、セキュリティカード1の製造工程において、基板カード10に保護シート11を貼付ける前に所定箇所に配置され、保護シート11を貼付けることにより固定される。
【0021】
なお、基板カード10と保護シート11との貼付けは、一方の接合面に粘着材を塗布して行っても、両シート間に粘着シートを介在して行っても良い。
【0022】
このように、セキュリティカードに金属素材が介在しているので、仮に作業者が製造過程でカードを紛失しても金属探知機による検査で検知することができるので、製品に悪影響を与えることがない。また生体認証方式と比べて、手袋やマスクなどをした状態でも入退室できので、取扱が容易である。さらにセキュリティカードを構成するカード基板と保護シートの間に挟みこむだけで構成できるので、既存の製造工程を利用して製造することができる。
【0023】
図2は、第2の実施の形態に係るセキュリティカード2の構造を示す図であり、セキュリティカード2の上面図と中央部における断面図を示している。図2に示すように、本実施の形態に係るセキュリティカード2は、カード基板20、保護シート21、金属素材22を備えている。第1の実施の形態に係るセキュリティカード1と相違するところは、金属素材22がカード基板20に埋め込まれている点である。
【0024】
カード基板20は、ポリ塩化ビニルや非結晶ポリエステルなどの樹脂材料で構成されている。カードまた保護シート21は傷や色あせなどをする防止するもので、ポリエステルフィルなどの樹脂材料から成る。
【0025】
カード基板20は、ICモジュール201と、アンテナコイル202と、金属素材22を備えている。ICモジュール101は、図示しないCPU、RAM、ROMなどから構成され、CPUがROMに記憶されている入退室処理プログラムに従い、RAMなどにアクセスしながら所定の入退室処理を行う。
またアンテナコイル102は、ROMなどに記憶されたデータをカード読取装置に送信したり、カード読取装置からの信号を受信する役割を果たす。
【0026】
金属素材22は、直方体形状の鉄で構成され、予めカード基板20の中に埋め込まれている。
なお、金属素材22は鉄でなくても、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケルなど金属探知機に検知する素材であれば種類は問わない。また形状も直方体形状に限らない。
【0027】
金属素材22は、0.2mm程度の体積を持つことが好ましい。0.2mm以上の体積があれば、金属探知機で確実に検知することができる。
【0028】
金属素材22は、例えば、基板カード20の所定箇所に凹部を形成しておき、この凹部に嵌めこむで形成することができる。また、基板カード20にICモジュール201やアンテナコイル202を形成する際に、同時に形成しても良い。
【0029】
なお、本実施形態では金属素材22をカード基板20の表層部に設けているが、カード基板の中に埋め込んでも良い。
【0030】
このように、セキュリティカードに金属素材が介在しているので、仮に製造過程でカードを紛失しても金属探知機による検査で検知することができるので、製品に悪影響を与えることがない。また生体認証方式と比べて、手袋やマスクなどをした状態でも入退室できので、取扱が容易である。
【0031】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上述した例では、入退室用の非接触式のセキュリティカードとして説明したが、接触式のセキュリティカードにも適用可能である。また製品ロットや製造工程の進捗を管理するICタグなどにも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、2 セキュリティカード
10、20 基板カード
11、21 保護シート
12、22 金属素材
101、201 ICモジュール
102 202 アンテナコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品工場への入退室時の個人識別に使用されるセキュリティカードであって、
前記セキュリティカードは、
樹脂素材で形成されたカード基板と、樹脂素材からなる保護シートとを備え、
前記カード基板と前記保護シートとの間に金属探知機に検知可能な金属素材が介在していることを特徴とするセキュリティカード。
【請求項2】
食品工場への入退室時の個人識別に使用されるセキュリティカードであって、
前記セキュリティカードは、
樹脂素材で形成されたカード基板からなり、金属探知機に検知可能な金属素材を備えていることを特徴とするセキュリティカード。

【図1】
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【図2】
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