説明

食品用消臭剤、その製造方法及びそれを含む食品

【課題】食品特にチューインガムに安全に配合することができ、食品本来が有する風味、香気、食感をそこなうことなく、優れた消臭効果を示す消臭剤及びそれを含む食品を提供する。
【解決手段】(A)ペパーミント植物組織体粉末又はペパーミント植物組織体抽出エキス粉末及び(B)ホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを含有する食品用消臭剤、及び上記食品用消臭剤を全質量に基づき0.01〜5.0質量%の割合で含有する消臭性食品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品特にチューインガムに配合したときに生理的に安全であり、食品本来の味や香り、食感をそこなうことなく優れた消臭効果を示す食品用消臭剤、その製造方法及びこれを含有する食品特にチューインガムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、シソ科及びクスノキ科からなる植物群から選択された少なくとも1種の凍結乾燥葉を含むチューインガム(特許文献1参照)、朝鮮人参、クコ、甘草、ハト麦と桂皮や忍冬のエキスとビタミンCとを配合した結合健康食的ガム(特許文献2参照)、スペアミント油、ペパーミント油を含有するミントフレーバーチューインガム(特許文献3参照)、粉糖、ガムベース、グルコース、水飴に薬草を加えて成形したチューインガム(特許文献4参照)、ブランチングした後、熱風乾燥し、粉砕篩別した可食性香草を含むチューインガム(特許文献5参照)など各種植物組織体を成分として含有するチューインガムは多数知られている。
【0003】
しかしながら、これらの植物組織体は、消臭性をほとんど有しないか、有していたとしても極めて弱いため、消臭剤としての役割を果さない上に、朝鮮人参、クコ、甘草、ハト麦、桂皮、忍冬、甘茶づる、ハーブ、香草などをそのまま配合したチューインガムは、特有の臭いや味を有するため、使用者によっては不快感を与えることがあるし、また、シソ科植物の凍結乾燥葉は、シソ本来の天然のままの芳醇、新鮮な香味がほぼ完全な状態で保存されているが、同時に付着物や不純分が除去されないまま保有することになるので、衛生的に好ましくない上にシソ特有の強い香気、風味に、他の付着物不純分に起因する臭気、味が混入するのを免れないという欠点がある。
【0004】
他方、口臭を除去する消臭剤として、口臭原因物質に対する化学的捕捉作用を有する消臭成分と、プロポリス又はその溶剤抽出物とを併用した口臭抑制剤(特許文献6参照)、セージ又はローズマリーの抽出物を1‐メントール又はカルボンとを併用した口臭除去用組成物(特許文献7参照)、植物の溶媒抽出物からなる消臭有効成分と酸化還元酵素とを併用した消臭剤(特許文献8参照)、ローズマリー、ヒマワリ種子、生コーヒー豆、茶、ブドウの果皮、ブドウの種子、リンゴの各抽出物の中から選ばれた天然抽出物とフェノール性化合物を酸化する酵素とを少なくとも含有する消臭剤組成物(特許文献9参照)、ラッカーゼを封入したカプセルを含有するガム(特許文献10参照)、植物由来消臭成分と、担子菌とを含有する消臭剤(特許文献11参照)、シソ科植物由来の消臭剤とミカン科サンショウ属植物による口臭原因菌代謝阻害作用物質(特許文献12参照)などが知られている。
【0005】
しかしながら、これらの消臭剤は、独特の味、香気を有するため、食品に配合した場合、食品本来の風味、香りをそこなうという欠点を有し、またローズマリーエキスは消臭効果が十分に発揮できる量でチューインガムのような食品に配合すると、その中に含まれる消臭成分のカルノソールの影響により、苦味が増し、チューインガムとしての風味をそこなう上に、スパイス特有の臭いが口中に残留するため、後味が悪く、チューインガムに求められる清涼感が失われるという欠点があった。
また、このエキス中に含まれるカルノソールなどの油溶性成分が口腔内の唾液に対する溶解性が低いため、ざらつき感を生じ、食感をそこなうという欠点もあった。
【0006】
このように、これまで知られている消臭剤は、いずれも食品例えばチューインガムに、十分な消臭効果を発揮し得る量で配合した場合、消臭成分に由来する独特の臭いが口中に長く残留するため、いわゆる後味が悪く、チューインガムの風味、清涼感に悪影響を与えるという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】特公昭61−48897号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】特開昭61−229827号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】特公平5−28585号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】特開平5−199842号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献5】特開平8−154590号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献6】特開昭63−264516号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献7】特公平3−69883号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献8】特公平7−53174号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献9】特開平10−212221号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献10】特開2004−321077号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献11】特開2004−352621号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献12】特開2005−289918号公報(特許請求の範囲その他)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、食品特にチューインガムに安全に配合することができ、食品本来が有する風味、香気、食感をそこなうことなく、優れた消臭効果を示す消臭剤及びそれを含む食品を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、食品用消臭剤について種々研究を重ね、消臭成分としてペパーミントを用い、これに特定の菌由来のラッカーゼを併用すると、意外にもペパーミントを単独で用いた場合の欠点が改善され、食品に配合したときに優れた消臭効果を示す消臭剤が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)ペパーミント植物組織体粉末又はペパーミント植物組織体抽出エキス粉末及び(B)ホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを含有する食品用消臭剤、ペパーミント植物組織体を、水蒸気処理により脱臭、殺菌したのち、上記水蒸気処理流出液中のポリフェノール成分を加え、この混合物を乾燥、粉砕してポリフェノール含量が少なくとも3.5質量%の粉末を調製し、これにホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを配合することを特徴とする食品用消臭剤の製造方法、ペパーミント植物組織体を、水、親水性有機溶剤及びアルカリ水溶液の中から選ばれた少なくとも1種の抽出溶媒で抽出し、この抽出液をろ過、濃縮したのち、噴霧乾燥し、次いでこのようにして得た粉末にホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを配合することを特徴とする食品用消臭剤の製造方法、及び上記食品用消臭剤を全質量に基づき0.01〜5.0質量%の割合で含有する消臭性食品を提供するものである。
【0011】
本発明消臭剤の(A)成分として用いるペパーミントは、シソ科ハッカ属(Mentha piperita L.)の多年草である。
本発明の(A)成分の原料としては、主として葉が用いられるが、茎、花その他の組織体を用いることもできる。この原料は生の状態でもよいし、乾燥したものでもよい。
【0012】
植物組織体粉末を製造するには、ペパーミント組織体例えば生葉を、先ず水洗して付着した異物を除去したのち、そのままで又は適当なサイズに裁断して、水蒸気処理する。この水蒸気処理は、湿式法又は乾式法のいずれでもよいが、通常、組織体を蒸留釜に仕込み、水蒸気を吹き込むことによって行われる。
【0013】
そして、この水蒸気処理により、組織体中の不快臭の原因となる精油分が除かれて脱臭されると同時に、付着している雑菌の殺菌が行われる。この水蒸気処理は、組織体の種類又は部位によって異なるが、通常30分ないし5時間の範囲である。
【0014】
この水蒸気処理により、組織体中の精油分が除去され脱臭されるが、同時に有効な消臭成分であるポリフェノール成分の一部が失われ、消臭効果が低下するので、この際分離して処理液中に流失したポリフェノール成分を、後述するように再添加することが必要である。
この再添加されるポリフェノール成分の量は、添加した後のポリフェノール成分の合計量が組成物全質量に基づき、少なくとも3.5質量%、好ましくは4〜10質量%になる範囲で選ばれる。このポリフェノール化合物の量は、プルシアンブルーを用いた比色定量法に基づくものである。
【0015】
他方、ペパーミント植物組織体抽出エキス粉末は、上記の植物組織体を水洗したのち、熱水抽出するか、あるいは含水アルコール、アルコール、アセトンのような親水性有機溶剤、酢酸、クエン酸のような有機酸溶液、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムのようなアルカリ水溶液の中に浸漬して抽出し、所望に応じこの抽出液を有機溶剤で洗浄するか、あるいは吸着剤と接触させて精製したのち、ろ過し、ろ液を減圧濃縮後、噴霧乾燥することにより調製される。
【0016】
次に、(B)成分のラッカーゼとしては、例えばホウロクタケ(Trametes)属に属する担子菌の菌株(Trametes sp.Hal)(生命研菌寄託第14472号)の培養液から得られる分子量約62,000の熱安定性の高いラッカーゼが用いられる。このラッカーゼは、以下に示す物性を有する。
至適pH:4.0〜4.5
安定pH:4.5〜9.0(30℃、3時間)
至適温度:60℃
安定温度:55℃以下(pH8.0、30分)
65℃(pH7.0、30分)
規格値:108,000POU/g以上
ただし、ここでPOUは、4‐アミノアンチピリンとフェノールにpH4.5、30℃で作用させた場合、ラッカーゼが触媒する酸化縮合反応により生成するキノンイミン色素の505nmにおける吸光度を反応初期1分間に0.1増加させるのに必要な酵素量を1POU単位としたものである。
このようなラッカーゼは、例えば大和化成株式会社から商品名「ラッカーゼダイワY120」として市販されている。このものは、ゼラチンなどのカプセルに封入し、安定化して用いてもよい。
【0017】
本発明食品用消臭剤における(A)成分と(B)成分との配合割合は、質量比として100:0.002ないし100:50000、好ましくは100:0.05ないし100:10000の範囲内で選ばれる。
【0018】
本発明食品用消臭剤には、必要に応じ味付け、賦香、着色を行うことができる。この処理は、水蒸気による脱臭、殺菌処理後、乾操する前に行ってもよいし、また乾燥した後で行ってもよい。
【0019】
この味付け、賦香、着色は、例えば、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン、スクラロースなどの甘味料、ミント系香料、シトラス系香料、ソフトフルーツ系香料、乳製品系香料、嗜好飲料系香料、バニラ・チョコレート系香料、スパイス系香料、ナッツ系香料、野菜系香料、畜肉・水産系香料、調味料系香料、酒類系香料、メントール、ユーカリオイル、メープル、蜂蜜などの香料、クチナシ黄色素、マリーゴールド色素、パプリカ色素、ウコン色素、ニンジン色素、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、赤ビート色素、シソ色素、紅麹色素、紫トウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ハイビスカス色素、ムラサキイモ色素、タマネギ色素、カカオ色素、クマリンド色素、コチニール色素、ラック色素、クチナシ青色素、スピルリナ青色素、クロロフィル色素、銅クロロフィリンナトリウムなどの色素を添加することによって行われる。
これらの味付け、賦香又は着色用添加剤の含有量としては、組成物全質量に基づき、5ppm〜10質量%の範囲で、それぞれの使用目的に応じて選ばれる。
【0020】
本発明の食品用消臭剤は、100メッシュないし10メッシュのいずれかの篩目を全通する粒度すなわち150μmないし1.7mmの粒径をもつものが好ましい。
本発明の食品用消臭剤は、(A)成分と(B)成分をあらかじめ混合した形で用いてもよいし、また使用時にその場で(in situ)混合して用いてもよい。
【0021】
このようにして得られる食品用消臭剤は、高い安全性及び優れた消臭効果を有し、チューインガムのベースに配合した場合、ガム本来の風味、香り、食感を損うことがないので、チューインガムの消臭用添加剤として好適に使用することができる。この際の添加量としては、チューインガムの全質量に基づきエキスとして0.01〜5.0質量%、好ましくは0.1〜2.0質量%の範囲が選ばれる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、食品に配合したときに、なんら健康を害することなく、味や香り、食感をそこなうことなしに、優れた消臭効果を示す食品用消臭剤及びこれを配合した食品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明は、これらによってなんら限定されるものではない。
なお、各例中の各物性の測定は、以下の方法によって行った。
【0024】
(1)ポリフェノール含量の測定
100ml容三角フラスコに、蒸留水50mlを装入し、これに試料100μlを添加し、さらに0.1M硫酸鉄(III)アンモニウム水溶液3mlを加える。次いで20分後に8mMへキサシアノ鉄(III)酸カリウム水溶液3mlを加え、20分経過後に、波長720nmにおける吸光度を測定した。コントロールとしては、試料の代りに50%メタノール100μlを添加したものを用いた。
次に、(+)−カテキン1mg/ml又は0.1mg/mlをそれぞれ添加して得た検量線に基づき、次式に従って総ポリフェノール含量(%)を算出した。
総ポリフェノール含量(%)=[定量値(mg/ml)/5.0]×100
【0025】
(2)成分消臭率測定方法
試薬としては、メチルメルカプタン標準液1μg/μlベンゼン溶液(和光純薬製)2mlを99%エタノールで200mlにメスアップして調製したメチルメルカプタン10ng/μl希釈液とリン酸緩衝液20倍濃縮液(三菱化学ヤトロン社製)1瓶を精製水で1リットルに希釈して調製した1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。
消臭剤粉末10mgを30ml容バイアルびんに装入し、予め37℃に保温したリン酸緩衝液(pH7.0)5.0mlを加え、密栓した。次いでバイアルびん中にメチルメルカプタン10ng/μl希釈液50μl(メチルメルカプタン500ngに相当)を加え、37℃で10分間インキュベートさせたのち、ガスタイトシリンジにより、バイアルびん中のヘッドスペースガス5mlを抜き取り、液体窒素によるコールドトラップ装置(GerstelCIS)を装着したGC−MS(GC:Agilent6890A MS:Agilent5973N)とガス分析用HP−PLOTQカラム(30m×0.32mm×20μm)を用い、トラップ条件;−120℃、30秒間、スプリットレス、温度条件;初期温度50℃(1.5分間保持)→20℃昇温/分→120℃(5分間保持)、流量;1.8ml/分において、メチルメルカプタン量を測定した。
このメチルメルカプタンのピーク検出は、成分に由来する特有のMSフラグメントイオン47及び48を選択して検出するSIM法により行い、またコントロールとして1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)のみをバイアルびんに装入したものを用い、次式に従ってメチルメルカプタン消臭率を算出した。
メチルメルカプタン消臭率=(%)[(C−S)/C]×100
C:コントロールのヘッドスペース中のメルカプタン量
S:検体のヘッドスペース中のメチルメルカプタン量
【実施例1】
【0026】
ペパーミント生薬5.3kgを水洗して異物を除去したのち、熱風乾燥し、5000ml容蒸留釜に仕込み、水蒸気を120分間通すことにより、脱臭、殺菌処理を施した。蒸留釜の底に溜った液を、脱臭済みのペパーミント葉に添加し、熱風乾操したのち、ミルを用いて粉末化した。次いで60メッシュ篩目を通過させ、通過分を捕集することにより、ペパーミント葉粉末700gを調製した。このもののポリフェノール含量は、7.73質量%であった。
このようにして得たペパーミント葉粉末を、ラッカーゼ(大和化成株式会社製、製品名「ラッカーゼダイワY120」)0.5mgに表1に示す量で混合することにより食品用消臭剤を調製した。このものの消臭率を表1に示す。
【実施例2】
【0027】
ペパーミント乾燥葉1.0kgを熱水8.0kgで2時間抽出したのち、抽出液を水流ポンプ(−650mmHg圧下)でろ紙を通してろ過する。次いでろ液を樹脂(ダイアイオンHP−20)に通液して、きょう雑物を吸着除去した通過液を−650mmHgの圧力下で60℃において減圧濃縮した濃縮液を噴霧乾燥することによりペパーミント抽出エキス粉末129.1gを得た。
このものに、実施例1と同様にしてラッカーゼ0.5mgに表1に示す量で混合することにより、食品用消臭剤を調製した。このものの消臭率を表1に示す。
【0028】
比較例1
リンゴ果実100gに−20℃のアセトン400mlを加え、ミキサーで摩砕したのち、吸引ろ過して液を除き、残留物を5℃に保った80%アセトン500mlで洗浄後、アセトンを除き、固形分を凍結乾燥することによりリンゴのアセトンパウダーを製造した。
このようにして得たリンゴのアセトンパウダー10mgに実施例1で得たペパーミント葉粉末を表1に示す量で混合し、消臭剤を調製した。このものの消臭率を表1に示す。
【0029】
比較例2
比較例1におけるリンゴ果実100gの代りにマッシュルーム100gを用い、同様に処理してマッシュルームのアセトンパウダーを製造した。
このようにして得たマッシュルームのアセトンパウダー10mgに実施例1で得たペパーミント葉粉末を表1に示す量で混合して、消臭剤を調製した。このものの消臭率を表1に示す。
【0030】
比較例3
比較例1におけるリンゴ果実100gの代りに、ゴボウ100gを用い、同様に処理してゴボウのアセトンパウダーを製造した。
このようにして得たゴボウのアセトンパウダー10mgに実施例1で得たペパーミント葉粉末を表1に示す量で混合して、消臭剤を調製した。このものの消臭率を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
なお、表1には比較のために、対照例としてペパーミント葉粉末のみの消臭率を示した。
【実施例3】
【0033】
チューインガムの製造に通常用いられている方法を用い、表2の処方のチューインガムを製造した。
【0034】
【表2】

【実施例4】
【0035】
実施例3と同様にして、表3の処方のチューインガムを製造した。
【0036】
【表3】

【0037】
比較例4
実施例3と同様にして、表4の処方のシュガーレスチューインガムを製造した。
【0038】
【表4】

【0039】
比較例5
実施例3と同様にして、表5の処方のシュガーレスチューインガムを製造した。
【0040】
【表5】

【0041】
比較例6
実施例3と同様にして、表6の処方のシュガーレスチューインガムを製造した。
【0042】
【表6】

【0043】
参考例
パネラー10名(女子;18才、22才、30才、38才、45才、男子;20才、25才、35才、42才、55才)により、実施例3、4及び比較例4、5、6で製造したチューインガムについて、味、香り、食感について官能試験を行った。その結果、5名以上が良としたものを○、1名以上4名以下が良としたものを△、全く良としたものがいなかったものを×とした。その結果を表7に示す。
【0044】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の食品用消臭剤は、食品特にチューインガムに添加する消臭剤成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ペパーミント植物組織体粉末又はペパーミント植物組織体抽出エキス粉末及び(B)ホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを含有する食品用消臭剤。
【請求項2】
(A)成分と(B)成分とを質量比100:0.002ないし100:50000の割合で含む請求項1記載の食品用消臭剤。
【請求項3】
ペパーミント植物組織体粉末が水蒸気処理により脱臭、殺菌したペパーミント植物組織体と上記水蒸気処理流出液中のポリフェノール成分との混合物を乾燥、粉砕して得られるポリフェノール含量が少なくとも3.5質量%の粉末である請求項1又は2記載の食品用消臭剤。
【請求項4】
ペパーミント植物組織体抽出エキス粉末が、ペパーミント植物組織体を水、親水性有機溶剤、有機酸及びアルカリ水溶液の中から選ばれた少なくとも1種の抽出溶媒で抽出し、ろ過、濃縮後、噴霧乾燥して得られる粉末である請求項1又は2記載の食品用消臭剤。
【請求項5】
(B)成分がホウロクタケ属に属する担子菌Hal株(Trametes sp.Hal)の培養液中から得られるラッカーゼである請求項1ないし4のいずれかに記載の食品用消臭剤。
【請求項6】
100メッシュ(150μm)ないし10メッシュ(1.7mm)のいずれかの篩目を全通する乾燥、粉砕物である請求項1ないし5のいずれかに記載の食品用消臭剤。
【請求項7】
ペパーミント植物組織体を、水蒸気処理により脱臭、殺菌したのち、上記水蒸気処理流出液中のポリフェノール成分を加え、この混合物を乾燥、粉砕してポリフェノール含量が少なくとも3.5質量%の粉末を調製し、これにホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを配合することを特徴とする請求項1、2、3又は5記載の食品用消臭剤の製造方法。
【請求項8】
ペパーミント植物組織体を、水、親水性有機溶剤及びアルカリ水溶液の中から選ばれた少なくとも1種の抽出溶媒で抽出し、この抽出液をろ過、濃縮したのち、噴霧乾燥し、次いでこのようにして得た粉末にホウロクタケ属に属する担子菌由来のラッカーゼを配合することを特徴とする請求項1、2、4又は5記載の食品用消臭剤の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれかに記載の食品用消臭剤を全質量に基づき0.01〜5.0質量%の割合で含有する消臭性食品。
【請求項10】
食品がチューインガムである請求項9記載の消臭性食品。