説明

食品製造装置

【課題】食品容器に投入された米飯等の各種の食材をその食感を極力損なうことなく均し、さらに、品種切り替えを容易に行うことができる食品製造装置を提供すること。
【解決手段】弁当容器2に投入された食材に挿入される挿入部25と、弁当容器2又は挿入部25の少なくとも一方を振動させる加振均し部23とを備える。挿入部25は、ベース部25aと、このベース部25aに相互に間隔を空けて並設され、食材に挿入される複数のノズル25bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の製造を行うための食品製造装置に関し、特に、容器に投入された食材を均すための食品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品製造工場においては、食品製造を自動化するための各種の食品製造装置が導入されている。例えば、弁当製造工場においては、弁当容器に米飯を定量供給するための米飯供給装置が導入されている。この米飯供給装置は、概略的に、ベルトコンベア、スクリューミキサー、及び、計量器を備えて構成されており、ベルトコンベアにて搬送された弁当容器に対して、その上方から、米飯をスクリューミキサー等によって少しずつ投入する。そして、このように投入された米飯の重量を計量器にて計量し、米飯が所定重量になった時点で米飯の投入を完了する。
【0003】
ここで、上記のように弁当容器に米飯を投入した後には、この米飯の上におかずを盛り付けたり、米飯の見た目を整えたり、弁当容器の蓋を閉める等のために、米飯の高さを均す必要が生じる。このように米飯を均すため、従来から、米飯を均すための米飯成形供給装置が提案されていた。例えば、特開2005−95008号公報に記載の米飯成形供給装置は、上側シャッターを備えた上部プレス枠と、下側シャッターを備えた下部プレス枠とを備えて構成されており、両プレス枠内に投入された米飯を上側シャッターと下側シャッターのそれぞれで圧縮することで、米飯を成形加工する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−95008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような圧縮による成形では米飯が潰されてしまい、米飯の食感を低下させてしまうため、弁当の商品価値を損ねる可能性があった。また、弁当製造工場においては多品種少量生産が求められることが多いため、製造工程の各装置に関しても品種切り替えが容易であることが要望されるが、上記従来の米飯成形供給装置は弁当容器の形状に合わせてシャッター等を固定する必要があり、品種切り替えの容易性が全く考慮されていなかった。このような問題から、従来の米飯成形供給装置を弁当製造工場に現実に採用することは困難であった。このため、実際には、弁当容器に投入された米飯を均す工程を人手に頼っているのが実情であり、このことが、作業者に重労働を強いることになり、手作業によって一部の米飯を潰してしまうことになり、あるいは、人件費を向上させる一因になっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、食品容器に投入された米飯等の各種の食材をその食感を極力損なうことなく均し、さらに、品種切り替えを容易に行うことができる食品製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の食品製造装置は、容器に投入された食材に挿入される挿入手段と、前記容器又は前記挿入手段の少なくとも一方を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の食品製造装置は、請求項1に記載の食品製造装置において、前記挿入手段は、ベース部と、前記ベース部に相互に間隔を空けて並設され、前記食材に挿入される複数の挿入子と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の食品製造装置は、請求項2に記載の食品製造装置において、前記挿入手段は、前記複数の挿入子のうち、前記容器に挿入される前記挿入子を切り替える切り替え手段を備えること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の食品製造装置は、請求項3に記載の食品製造装置において、前記切り替え手段は、前記ベース部に対して前記挿入子を着脱自在に取り付けるための着脱手段であること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の食品製造装置は、請求項3に記載の食品製造装置において、前記切り替え手段は、前記ベース部に対する前記挿入子の突出高さを調整するための突出高さ調整手段であること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の食品製造装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の食品製造装置において、前記挿入手段を介して前記食材に向けて所定の気体を導入可能としたこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、容器に投入された食材に挿入手段を挿入し、容器又は挿入手段の少なくとも一方を駆動手段にて駆動することで、挿入手段を介して食材を振動等させることができ、食材を容器内において拡散させて、食材を均すことができる。従って、米飯を均すための人件費を削減できる。また、振動により食材を均すので、食材を圧縮してその食感を損なうこと等がないので、食品の品質を向上させることができる。
【0014】
また、この発明によれば、複数の挿入子を介して振動等を食材に伝達でき、食材の各部分に対して振動等を一層均一に伝達することができる。
【0015】
また、この発明によれば、切り替え手段を用いることで、容器に挿入される挿入子を切り替えることができるので、製造する食品毎の容器に応じた位置のみに挿入子を取り付ける等、品種切り替えを容易に行うことができる。
【0016】
また、この発明によれば、ベース部に対して挿入子を着脱自在に取り付けることで、挿入子の切り替えを容易に行うことができる。
【0017】
また、この発明によれば、ベース部に対する挿入子の突出高さを調整することにより、挿入子の切り替えを容易に行うことができる。
【0018】
また、この発明によれば、挿入手段を介して食材に向けて所定の気体を導入できるので、食材に気体を放出してその均一化を一層促進したり、食材に冷却空気を放出してその温度を低下させて雑菌の繁殖を抑制すること等ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る食品製造装置の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る食品製造装置は、容器に投入された食材を均すための装置である。ここで、食材の具体的内容は任意であり、米飯、生米、大豆やとうころこし等のその他の穀類、パスタ等の麺類、味噌汁やスープ等、加工の有無を問わず、また固形か液体かを問わない。以下の説明では、米飯を均す場合を例にとって説明する。また、容器の内容も任意であり、弁当容器の他、工場内において食材を仮搬送するための中間容器を含む。以下の説明では、弁当容器に米飯を投入する場合を例にとって説明する。
【0021】
この食品製造装置の特徴の一つは、食材を挿入子にて振動や揺動させることによって、この食材を均すことにある。従って、従来の圧縮による均し装置と異なり、食材を不用意に圧縮することがないので、食材の食感を損ねることがない。この振動や揺動を起こすため、各実施の形態に係る食品製造装置は、概略的に、容器に投入された食材に挿入される挿入手段と、容器又は挿入手段の少なくとも一方を駆動する駆動手段とを備えて構成されている。すなわち、単に容器に食材を投入した後に当該容器を振動等させるのではなく、この食材に挿入手段を挿入して、この挿入手段又は容器を振動等させる。このことにより、容器と挿入手段とが相対的に微動し、挿入手段によって食材を直接的に攪拌できるので、食材を効果的に均すことができる。
【0022】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
〔実施の形態1〕
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。まず、実施の形態1について説明する。ここでは、食品製造装置の構成と、食品製造装置の使用方法について順次説明する。図1は、本実施の形態1に係る食品製造装置の側面図である。この食品製造装置1は、概略的に、米飯盛り装置10と、均し装置20とを備えて構成されている。
【0023】
(食品製造装置1の構成−米飯盛り装置10)
このうち、米飯盛り装置10は、所定方法で供給された弁当容器に対して米飯を所定量だけ自動的に投入する米飯投入手段である。具体的には、米飯盛り装置10は、米櫃を持ち上げて反転させる反転装置11と、米櫃から落下した米飯を少しずつ切り出すスクリューミキサー12と、スクリューミキサー12にて切り出された米飯を計量する計量器13とを備えて構成されている。そして、オペレータが、米飯が入った米櫃14を反転装置11にセットすると、この米櫃14が反転装置11によって自動的に持ち上げられ、米櫃14に入っている米飯が落下する。このように落下した米飯は、スクリューミキサー12によって少しずつ切り出され、その下方に供給された弁当容器に投入される。このように弁当容器に投入された米飯の重量は計量器13にて計量され、米飯が所定量になった場合にはスクリューミキサー12による切り出しが停止して、弁当容器が次工程の均し装置20に送られる。なお、この米飯盛り装置10については従来と同様に構成することができるので、その細部の説明は省略する。
【0024】
(食品製造装置1の構成−均し装置20−ローラーコンベア21)
また、均し装置20は、ローラーコンベア21、容器停止部22、加振均し部23、及び、制御装置24を備えて構成されている。図2は、図1の容器停止部周辺におけるローラーコンベア21の平面図である。このローラーコンベア21は、弁当容器2を搬送する搬送手段であり、所定間隔で並設された複数のローラー21aを、図示しない駆動機構にて同一方向に同一速度で回転させることにより、このローラーコンベア21の上面に載置された弁当容器2を搬送する。図2に示すように、このローラーコンベア21の各ローラー21a、21bは、略同一幅の円柱状に形成されているが、容器停止部22に対応する部分のローラー21bは、他の部分のローラー21aに比べて短幅状に形成されており、この短幅状のローラー21bの相互間に、容器停止部22の後述するリフター22bが配置されている。また、容器停止部22に対応する部分のローラー21bの側方には、左右一対のガイド21cが設けられており、このガイド21cによって、このローラー21bに弁当容器2をスムーズに導入することができると共に、容器停止部22によって停止保持された弁当容器2の左右方向(搬送方向に略直交する水平方向)における位置決めを行うことができる。なお、このローラーコンベア21は、特記する場合を除いて公知のローラーコンベアと同様に構成されているものとする。
【0025】
(食品製造装置1の構成−均し装置20−容器停止部22)
また、容器停止部22は、ローラーコンベア21における所定の停止位置に弁当容器2を停止させて一定時間保持する容器保持手段である。この容器停止部22は、ローラーコンベア21の上方に配置された容器固定シャッター22aと、ローラーコンベア21のローラー21bの相互間に配置されたリフター22bとを備えて構成されている。このうち、容器固定シャッター22aは、弁当容器2の前方に突出して当該弁当容器2を所定の停止位置に停止させるもので、回転軸22cと、この回転軸22cに固定された停止板22dとを備えている。この回転軸22cは、ローラーコンベア21のローラー21a、21bに対して略平行に配置されており、制御装置24の制御によって回転する。また、停止板22dは、略方形板状に形成されており、回転軸22cの回転に伴って、ローラーコンベア21による弁当容器2の搬送方向に対して略平行な水平方向(以下、搬送方向)と、ローラーコンベア21による容器の搬送方向に対して略直交する垂直方向(以下、停止方向)との2つの方向を取り得る。
【0026】
(食品製造装置1の構成−均し装置20−加振均し部23)
また、加振均し部23は、停止位置において、弁当容器2に投入された米飯を均すためのもので、挿入部25、リフター26、及び、加振部27を備えて構成されている。図3は、加振均し部23の斜視図、図4は、後述するベース部25a及びノズル25bの要部側面図である。
【0027】
このうち、挿入部25は、弁当容器2に投入された米飯に挿入されるもので、特許請求の範囲における挿入手段に対応する。この挿入部25は、ベース部25aと、このベース部25aに相互に間隔を空けて並設され、米飯に挿入される複数のノズル25bとを備えて構成されている。このベース部25aは、複数の種類の弁当容器2の内部の米飯投入領域の中でも、最も大きな形状の米飯投入領域の平面形状(又は複数の種類の米飯投入領域の平面形状の最大公倍形状)と同一又はそれ以上の平面形状にて形成された直方体である。このベース部25aの一側面には、図示しない冷却空気供給装置から供給された冷却空気を取り込むための冷却空気取り入れ口25cが形成されており、ベース部25aの内部には、この冷却空気取り入れ口25cから取り込まれた冷却空気を通過させるための通気路25dが形成されており、さらにベース部25aの底面の略全域には、通気路25dを介して通過された冷却空気を放出するための吹き出し口25eが形成されている。ここで、吹き出し口25eの外縁には、ノズル25bを着脱自在に取り付けるためのネジ溝25fが形成されている。
【0028】
また、ノズル25bは、ベース部25aの底面における吹き出し口25eの各々に対して着脱自在に設けられたもので、全体として略棒状に形成されたものであって、特許請求の範囲における挿入子に対応する。このノズル25bの基部外周にはベース部25aのネジ溝25fに螺合するネジ溝25gが形成されており、ノズル25bを吹き出し口25eにネジ込むことで、このノズル25bをベース部25aに取り付けることができる。そして、弁当容器2に対応する位置にのみノズル25bを取り付け、対応しない位置のノズル25bを取り外すことで、製造する弁当の種類に応じて、弁当容器2に挿入されるノズル25bを切り替えることができる。すなわち、これらベース部25aのネジ溝25fとノズル25bのネジ溝25gとは、特許請求の範囲における切り替え手段及び着脱手段に対応する。また、このノズル25bの内部には、その長手方向に沿って通気路25hが形成されており、この通気路25hは、ノズル25bの先端に形成された吹き出し口25iに連通されている。そして、ベース部25aの吹き出し口25eから吹き出された冷却空気が、ノズル25bの内部の通気25h路を介してその先端の吹き出し口25iにから吹き出される。また、このノズル25bの吹き出し口25iの周縁の先端部には面取り25jが施されており、米飯に挿入された際にこの米飯をノズル25bにて損傷等することが防止されている。
【0029】
また、リフター26は、挿入部25を上下動させる上下動手段であり、具体的には、空気圧にて駆動される空気圧シリンダとして構成されている。ここでは、この空気圧シリンダが挿入部25のベース部25aの上面に固定されており、垂直方向に沿って所定ストロークで上下動することで、ベース部25aを上下動させることができる。なお、空気圧シリンダに対して圧縮空気を供給するための供給源は公知と同様のものを用いることができるため、その説明及び図示を省略する。
【0030】
また、加振部27は、挿入部25を振動させるもので、特許請求の範囲における駆動手段に対応する。具体的には、加振部27は、振動発生装置として構成されており、ベース部25aの上面に固定されて、このベース部25aを垂直及び水平方向に振動させる。なお、振動発生装置の具体的原理は任意であり、例えば、偏芯錘を取り付けたモーターを回転させることで振動を発生させるいわゆるアンバランス型の振動発生装置や、磁界中に配置したコイルに電流を流すことによって振動を発生させるいわゆる動電型を採用することができる。
【0031】
(食品製造装置1の構成−制御装置24)
次に、制御装置24について説明する。図5は、制御装置24を機能概念的に示すブロック図である。この制御装置24は、容器検出部24a、容器停止制御部24b、挿入制御部24c、及び、冷却空気制御部24dを備えて構成されている。このうち、容器検出部24aは、ローラーコンベア21の上面における弁当容器2の位置を検出するためのもので、例えば、ローラーコンベア21の停止位置近傍に配置した図示しない光電センサからの出力を受け、弁当容器2が停止位置に到達したか否かを判断する。また、容器停止制御部24bは、容器停止部22を制御する制御手段であり、停止位置に到達した弁当容器2を停止させる。また、挿入制御部24cは、挿入部25を制御する制御手段であり、リフター26を制御して挿入部25を上下動させると共に、加振部27を制御して挿入部25を振動させる。また、冷却空気制御部24dは、図示しない冷却空気供給装置を制御する制御手段であり、冷却空気を挿入部25を介して放出させる。
【0032】
(米飯均し処理)
次に、上記のように構成された食品製造装置1を用いて行われる米飯均し処理について説明する。ただし、米飯盛り装置10に関する処理は従来と同様に行うことができるので、ここでは、均し装置20を用いた処理について説明する。図6は、米飯均し処理のフローチャート、図7〜10は、米飯均し処理の各工程における製造状態を概念的に示す側面図である。まず、オペレータは、挿入部25のベース部25aにおける、製造する弁当の弁当容器2の米飯投入領域に対応する位置にのみ、ノズル25bを取り付ける。また、オペレータは、ローラーコンベア21を任意の方法で起動し、このローラーコンベア21の上面に弁当容器2を供給する。なお、この弁当容器2には、製造する弁当毎に予め決められた所定量の米飯が、任意の方法(例えば、従来と同様のスクリューミキサー12及び計量器13を用いた自動定量供給)にて供給されているものとする。
【0033】
一方、制御装置24の容器停止制御部24bは、初期状態において、容器停止部22を制御することで、弁当容器2を停止位置において停止可能とする。すなわち、容器停止制御部24bは、図7に示すように、容器固定シャッター22aの回転軸22cを回転させ、停止板22dを垂直位置に回転させる。この状態において、図8に示すように、弁当容器2がローラーコンベア21にて搬送されて停止位置の停止板22dにて停止されると、この停止状態を検出した容器検出部24aは、弁当容器2が停止位置まで到達した旨示す信号を容器停止制御部24bに出力する(ステップSA−1)。この信号を受けた容器停止制御部24bは、リフター22bを上昇させることによって、弁当容器2をローラーコンベア21の搬送面よりも上方に持ち上げることで、弁当容器2がローラーコンベア21との摩擦によって損傷等することを防止する(ステップSA−2)。
【0034】
次いで、挿入制御部24cは、挿入部25のリフター26を駆動して、ベース部25aを弁当容器2に向けて下降させる(ステップSA−3)。このことにより、図9に示すように、ベース部25aに取り付けられたノズル25bが、弁当容器2に投入された米飯に挿入される。そして、挿入制御部24cは、加振部27を駆動して、ベース部25aを振動させる(ステップSA−4)。この振動は、ベース部25aを介してノズル25bに伝達され、さらにノズル25bを介して米飯に伝達される。従って、米飯が振動によって拡散され、弁当容器2の内部に略均一に広がる。また、このようにノズル25bの挿入を終えると同時又は終えた後、冷却空気制御部24dは、図示しない冷却空気供給装置を制御して、所定温度の冷却空気を供給させる(ステップSA−5)。この冷却空気は、ベース部25a及びノズル25bを介して米飯に向けて放出される。従って、米飯が冷却空気にて冷却され、拡散効果が一層高められると共に、米飯の温度を所定温度に下げることで雑菌の繁殖が抑制される。
【0035】
このような振動及び冷却空気の供給が所定時間継続された後、冷却空気制御部24dは、図示しない冷却空気供給装置を制御して、冷却空気の供給を停止させる(ステップSA−6)。また、この冷却空気の供給を停止するのと同時又は終えた後、挿入制御部24cは、加振部27による加振を停止させる(ステップSA−7)。また、同時に、挿入制御部24cは、挿入部25のリフター26を駆動して、ベース部25aを上昇させることでノズル25bを弁当容器2から引き上げる(ステップSA−8)。その後、容器停止制御部24bは、リフター22bを下降させて弁当容器2をローラーコンベア21の搬送面に戻すと共に(ステップSA−9)、容器固定シャッター22aの回転軸22cを回転させて停止板22dを搬送方向に回転させる(ステップSA−10)。すると、図10に示すように、この弁当容器2は、ローラーコンベア21にて停止位置を越えて搬送され、次工程に送られる。以降、各弁当容器2に対して同様の処理を繰り返す。
【0036】
このように実施の形態1によれば、容器停止部22によって弁当容器2をローラーコンベア21の搬送面より上方に保持できるので、弁当容器2をローラーコンベア21との摩擦によって損傷等することを防止できる。また、容器停止部22の停止板22dによって、弁当容器2を停止位置に保持できる。挿入部25のベース部25aにノズル25bを着脱自在に取り付けることで、弁当容器2における米飯投入領域の形状に応じてノズル25bの取り付け位置を容易に切り替えられる。また、ノズル25bの先端部の外周に面取りを施すことで、米飯をノズル25bにて損傷等することを防止できる。また、加振部27の振動をベース部25a及びノズル25bを介して米飯に伝達することで、米飯を略均一に均すことができる。また、冷却空気供給装置からの冷却空気をベース部25a及びノズル25bを介して米飯に供給することで、拡散効果を一層高めることができると共に、米飯の温度を所定温度に下げることで雑菌の繁殖を抑制できる。
【0037】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について説明する。この実施の形態2は、ベース部に対するノズルの着脱構造を変えた形態である。図11は、実施の形態2に係る挿入部の側面図である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0038】
本実施の形態2に係る挿入部30は、ベース部31と、複数のノズル32とを備えて構成されている。ここで、ベース部31は、直方体の略全域に、ノズル32を挿通させるための複数の貫通状の取り付け孔31aを形成して構成されている。図12は、ノズル32の取り付け孔31aの周辺の拡大斜視図である(この図12においては、説明のため、取り付け孔31aを実線にて示し、ベース部31を点線にて示す)。また、ノズル32は、縦長の棒状体であり、ノズル32の取り付け孔31aに取り付けられる。ここで、ベース部31の底面からノズル32の先端に至るまでの突出高さは、ベース部31に対するノズル32の取り付け位置を変えることによって、下方側の所定高さ(以下、挿入高さ)と、上方側の所定高さ(以下、非挿入高さ)とに調整可能である。
【0039】
具体的には、ノズル32の上部には左右一対の係止片32aが突設されている。また、ベース部31の取り付け孔31aは、ベース部31の底面にのみ連通するように穿設されており、その側方には縦長の凹部31bが形成されると共に、その周縁の位置Aと位置Bとのそれぞれには、凹部31bに連通する一対の凹部31cが形成されている。この凹部31bは、その内部に係止片32aを係止させる。すなわち、これらベース部31の凹部31b及びノズル32の係止片は、ベース部31に対するノズル32の突出量を調整するためのもので、特許請求の範囲における突出量調整手段に対応する。すなわち、ノズル32の上端部を、ベース部31の底面側から取り付け孔31aに挿通させ、係止片32aを凹部31bに挿通させることで、このノズル32の突出量を調整できる。そして、係止片32aを凹部31bを介して位置Aの凹部31cに係止させることで、ノズルを非挿入高さに取り付けることができ、係止片32aを凹部31bを介して位置Bの凹部31cに係止させることで、ノズルを挿入高さに取り付けることができる。このような操作を行うことで、オペレータは、弁当の切り替えを行う際、この弁当容器2の米飯投入領域に対応する位置のノズル32のみを、挿入高さに位置決めし、他の位置のノズル32は、非挿入高さに位置決めして、装置の切り替えを容易に行うことができる。
【0040】
このように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、ノズル32の位置決めを一層容易に行うことができ、切り替え効率を向上させることができる。
【0041】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0042】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、品種切り替えが必ずしも容易でなくても、食感を従来より若干でも改善できている場合には、本願の課題が解決されている。
【0043】
(挿入手段について)
挿入手段に関して、食材に挿入されるものはノズル25b、32でなくともよく、例えば、吹き出し口25iを持っていない棒状体を挿入してもよく、あるいは、板状体を挿入すると共にこれを振動させてもよい。また、ベース部25a、31に対するノズル25b、32の着脱機構は任意に改変でき、例えば、磁力によって着脱を行ったり、あるいは、ベース部25a、31にチャック機構を設けてノズル25b、32を挟持してもよい。また、冷却空気に代えて、加熱空気や封止ガス等をノズル25b、32から吹き出すようにしてもよく、この場合には、加熱空気によって米飯を温めたり、封止ガスにて米飯の保存性を高めることができる。
【0044】
(駆動手段について)
上記各実施の形態においては、挿入部25、30を振動させるものとしたが、弁当容器2を振動させてもよい。例えば、容器停止部22のリフター22bを加振することで、このリフター22bによって持ち上げられている弁当容器2を振動させてもよい。また、駆動手段による振動の大きさや周期は、食材を均すために最適なものを採用することができ、例えば、挿入子を、いわゆる短周期で振動させる他、ゆっくりとした周期で揺動させてもよい。また、水平方向の駆動に限定されず、垂直方向や斜め方向に駆動したり、複数の方向に複合的に駆動してもよい。また、食材毎にその駆動パターンを自動的に切り換えてもよく、このためには、例えば、制御装置24に記憶部を設けると共に、この記憶部には、食品や食材毎に最適な振動の大きさや周期を格納したテーブルを記憶させておく。そして、食品製造時には、製造する食品や食材を特定するための情報をオペレータが制御装置24に入力したり、あるいは、容器にバーコードやICチップ等にて記録した情報をバーコードリーダやIC読取り装置等の読取り手段にて読取る。そして、読取った食品や食材に対応する振動の大きさや周期を記憶部のテーブルから取得し、この大きさや周期による振動が食材に加わるように、制御装置24にて駆動手段を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明に係る食品製造装置は、弁当等の各種の食品製造工場に導入され、米飯等の各種の食材を容器の内部において均一化させることに有用であり、このことにより、食材の食感を向上させたり、品種切り替えの容易化を図ることに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る食品製造装置の側面図である。
【図2】図1の容器停止部周辺におけるローラーコンベアの平面図である。
【図3】加振均し部の斜視図である。
【図4】ベース部及びノズルの要部側面図である。
【図5】制御装置を機能概念的に示すブロック図である。
【図6】米飯均し処理のフローチャートである。
【図7】米飯均し処理の各工程における製造状態を概念的に示す側面図である。
【図8】図7に続く、米飯均し処理の各工程における製造状態を概念的に示す側面図である。
【図9】図8に続く、米飯均し処理の各工程における製造状態を概念的に示す側面図である。
【図10】図9に続く、米飯均し処理の各工程における製造状態を概念的に示す側面図である。
【図11】実施の形態2に係る挿入部の側面図である。
【図12】ノズルの取り付け孔の周辺の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 食品製造装置
2 弁当容器
10 米飯盛り装置
11 反転装置
12 スクリューミキサー
13 計量器
14 米櫃
20 均し装置
21 ローラーコンベア
21a、21b ローラー
21c ガイド
22 容器停止部
22a 容器固定シャッター
22b、26 リフター
22c 回転軸
22d 停止板
23 加振均し部
24 制御装置
24a 容器検出部
24b 容器停止制御部
24c 挿入制御部
24d 冷却空気制御部
25、30 挿入部
25a、31 ベース部
25b、32 ノズル
25c 冷却空気取り入れ口
27 加振部
31a 取り付け孔
31b、31c 凹部
32a 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に投入された食材に挿入される挿入手段と、
前記容器又は前記挿入手段の少なくとも一方を駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする食品製造装置。
【請求項2】
前記挿入手段は、
ベース部と、
前記ベース部に相互に間隔を空けて並設され、前記食材に挿入される複数の挿入子と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の食品製造装置。
【請求項3】
前記挿入手段は、
前記複数の挿入子のうち、前記容器に挿入される前記挿入子を切り替える切り替え手段を備えること、
を特徴とする請求項2に記載の食品製造装置。
【請求項4】
前記切り替え手段は、
前記ベース部に対して前記挿入子を着脱自在に取り付けるための着脱手段であること、
を特徴とする請求項3に記載の食品製造装置。
【請求項5】
前記切り替え手段は、
前記ベース部に対する前記挿入子の突出高さを調整するための突出高さ調整手段であること、
を特徴とする請求項3に記載の食品製造装置。
【請求項6】
前記挿入手段を介して前記食材に向けて所定の気体を導入可能としたこと、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の食品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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