食器ディスペンサおよび食器ディスペンサを備えた食器取出機構
【課題】積み重ねられた食器を下から順次取り出し可能にする。
【解決手段】食器ディスペンサMは、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1を、下方へ落下放出可能に保持する第1食器保持部21と、下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を、第1食器保持部21に向け落下放出可能に保持する第2食器保持部22と、第1食器保持部21の下方に姿勢変位可能に配設された食器取出し部35とを備える。また食器ディスペンサMは、食器取出し部35の待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、食器Dを下から順次取り出し得るよう第1食器保持部21および第2食器保持部22を作動させる連係機構40を備える。
【解決手段】食器ディスペンサMは、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1を、下方へ落下放出可能に保持する第1食器保持部21と、下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を、第1食器保持部21に向け落下放出可能に保持する第2食器保持部22と、第1食器保持部21の下方に姿勢変位可能に配設された食器取出し部35とを備える。また食器ディスペンサMは、食器取出し部35の待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、食器Dを下から順次取り出し得るよう第1食器保持部21および第2食器保持部22を作動させる連係機構40を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積み重ねられた食器を下から順次取出し可能な食器ディスペンサと、この食器ディスペンサを備えた食器取出機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同じ食器を多数所有するレストランやホテル等では、これら食器を食器棚内や調理台上に平積み状態で積み重ねて保管したり一時的に載せておくことが多い。従って、平積み状態で積み重ねた食器を使用する場合は、一番上の食器から順次使用し、使用した食器は、積み重ねられている食器の一番上に順次積み重ねる。なお、昇降可能な食器載置台を備えて、積み重ねた食器の重さに応じて該食器載置台が沈降するよう構成された食器ディスペンサも実施に供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−103840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平積み状態で積み重ねられた食器の全てを使用することが少ない状況では、上側に積まれている食器は使用頻度が高く、下側に積まれている食器は使用頻度が低くなる。このため、上側に積まれている食器ほど汚れやキズの付着等による劣化が早まり、同じ食器中において寿命にばらつきが発生する問題がある。また、下側に積まれている食器は、長期間に亘って使用しないと埃やゴミ等が付着してしまうから、使用前に再洗浄しなければならない問題がある。また、特許文献1に開示の食器ディスペンサでは、食器が高く積み重ねられることを抑えることはできるものの、上に積まれている食器から順次使用する態様は前記平積み状態で積み重ねられた食器の場合と同じであるから、前述した問題は何ら解決されるものではない。
【0005】
そこで本願は、積み重ねられた食器を下から順次取出し可能に構成した食器ディスペンサと、この食器ディスペンサを備えた食器取出機構とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
上下に積み重ねられた食器を下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器を、下方へ落下放出可能に保持する第1食器保持部と、
積み重ねられた食器のうちの前記下側食器の真上に位置する上側食器を、前記第1食器保持部に向け落下放出可能に保持する第2食器保持部と、
前記第1食器保持部の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器から放出された該下側食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部と、
前記食器取出し部と前記第1食器保持部および第2食器保持部とを連係させ、該食器取出し部の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器を下から順次取出し得るように該第1食器保持部および第2食器保持部を作動させる連係機構とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器を保持する第1食器保持部と、該下側食器の真上に位置する上側食器を保持する第2食器保持部とを、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部に連係機構で連係させて、食器取出し部の姿勢変位と第1食器保持部および第2食器保持部の姿勢変位とを連動させたことにより、積み重ねられた食器を下から1つずつ適切かつ安全に取出すことができる。これにより、上から順次積み重ねられた食器を下から順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器だけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器の使用頻度が低くなることがなく、全ての食器の使用頻度が均等になるから各食器の寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器が繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器に埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記第1食器保持部は、前記下側食器を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該下側食器を挟持する食器保持位置および離間移動して該下側食器から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体を備え、
前記第2食器保持部は、前記上側食器を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該上側食器を挟持する食器保持位置および離間移動して該上側食器から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体を備えたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、第1食器保持部における一対の食器保持体が食器保持位置に近接移動することで下側食器を保持することができ、該一対の食器保持体が食器解放位置に離間移動することで該下側食器を下方へ適切に放出することができる。また、第2食器保持部における一対の食器保持体が食器保持位置に近接移動することで上側食器を保持することができ、該一対の食器保持体が食器解放位置に離間移動することで該上側食器を下方へ適切に放出することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記連係機構は、カム溝とフォロワとの組合わせであって、
前記食器取出し部側に設けた第1カム溝と、前記第1食器保持部に前記第1カム溝へ摺接自在に設けた第1フォロワとにより、該食器取出し部の前記取出し位置から待機位置への姿勢変位において該第1食器保持部が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第1連係部と、
前記食器取出し部側に設けた第2カム溝と、前記第2食器保持部に前記第2カム溝へ摺接自在に設けた第2フォロワとにより、該食器取出し部の前記待機位置から取出し位置への姿勢変位において該第2食器保持部が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第2連係部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、食器取出し部側に設けた第1カム溝に第1食器保持部側に設けた第1フォロワが係合して、食器取出し部が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に該第1フォロワが第1カム溝に沿って摺動することで、第1食器保持部を食器保持位置と食器解放位置との間で往復させて下側食器を適切に放出させ得る。また、食器取出し部側に設けた第2カム溝に第2食器保持部側に設けた第2フォロワが係合して、食器取出し部が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際に該第2フォロワが第2カム溝に沿って摺動することで、第2食器保持部を食器保持位置と食器解放位置との間で往復させて上側食器を適切に放出させ得る。
【0009】
請求項4に係る発明は、
上下に積み重ねられた食器下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器の真上に位置する上側食器を保持した状態で、該下側食器を下方へ放出可能な食器保持機構と、
前記食器保持機構の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部と、
前記食器取出し部と前記食器保持機構とを連係させ、該食器取出し部の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器を下側から順次取出し得るよう該食器保持機構を作動させる連係機構とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器の真上に位置する上側食器を保持した状態で該下側食器を下方へ放出可能な食器保持機構を、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部に連係機構で連係させて、食器取出し部の姿勢変位と食器保持機構とを連動させたことにより、積み重ねられた食器を下から1つずつ適切かつ安全に取出すことができる。これにより、上から順次積み重ねられた食器を下から順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器だけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器の使用頻度が低くなることがなく、全ての食器の使用頻度が均等になるから各食器の寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器が繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器に埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記食器保持機構は、
前記積み重ねられた食器の側方に配設されて外周に複数の食器保持体を備え、少なくとも前記下側食器および前記上側食器に当接した前記食器保持体が下方へ移動すると共に、下側食器に当接した該食器保持体を該下側食器から待避させるよう回転する第1食器保持部と、
前記積み重ねられた食器を挟んで前記第1食器保持部と相対して配設されて外周に複数の食器保持体を備え、少なくとも前記下側食器および前記上側食器に当接した前記食器保持体が下方へ移動すると共に、下側食器に当接した該食器保持体を該下側食器から待避させるよう前記第1食器保持部と同期回転する第2食器保持部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、食器保持機構の第1食器保持部と第2食器保持部とを同期回転させることで、第1食器保持部の食器保持体と第2食器保持部の食器保持体とにより上側食器を保持した状態で、下側食器を適切に放出することができる。そして、食器保持機構の第1食器保持部と第2食器保持部とを同期回転させることで、積み重ねられた食器に1つずつ順次放出することができる。
【0011】
請求項6に係る発明は、
前記第1食器保持部および第2食器保持部は、水平軸回りに回転可能で上下に離間して配設された上固定回転体および下固定回転体と、前記上固定回転体および下固定回転体間に巻掛けられて両固定回転体の回転により周回移動し、外周面に前記各食器保持体が周回方向へ所要間隔毎で配設された移動回転体とを備え、
前記各食器保持体は、前記移動回転体の前記上固定回転体と巻掛けられた上巻掛け位置において前記食器に近接して当接し、該移動回転体の前記上固定回転体から下固定回転体までの間の巻掛け間位置において該食器に当接した状態に保持され、前記移動回転体の前記下固定回転体と巻掛けられた下巻掛け位置において前記食器から離間するよう構成されたことを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、第1食器保持部および第2食器保持部の各移動回転体が周回移動することで、該移動回転体に配設された各食器保持体で保持した食器を適切に下方に移動すると共に、食器を1つずつ下方へ放出し得る。
【0012】
請求項7に係る発明は、
前記連係機構は、前記食器取出し部の待機位置から取出し位置への姿勢変位を前記食器保持機構へ伝達せず、該食器取出し部の取出し位置から待機位置への姿勢変位を該食器保持機構へ伝達するワンウェイクラッチを備え、
前記ワンウェイクラッチは、前記食器取出し部の取出し位置から待機位置への姿勢変位に応じて、前記食器保持機構が前記下側食器の放出動作を行ない得る動作量を該食器保持機構に付与することを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、食器取出し部が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には食器保持機構から食器が放出されず、食器を取出した食器取出し部が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には食器保持機構から下側食器が放出されると共に、放出された下側食器を食器取出し部に適切に受け入れることができる。
【0013】
請求項8に係る発明は、
前記食器取出し部は、食器の温度を調整する温度調整手段を備えることを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、食器取出し部に受け入れられた食器を、温度調整手段により温度調整された状態で取出すことができる。
【0014】
請求項9に係る発明は、
前記食器取出し部は、食器を乾燥させる食器乾燥手段を備えることを要旨とする。
従って、請求項9に係る発明によれば、食器取出し部に受け入れられた食器を、食器乾燥手段により乾いた状態で取出すことができる。
【0015】
請求項10に係る発明は、
請求項1〜9の何れか一項に記載の食器ディスペンサと、該食器ディスペンサから取出した食器を搬送する食器搬送手段とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項10に係る発明によれば、食器ディスペンサに積み重ねられた食器を下から1つずつ取出し、該食器を食器搬送手段により所定位置へ順次搬送することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る食器ディスペンサによれば、積み重ねられた食器を下から順次取出すことができる。
また、別の発明に係る食器取出機構によれば、積み重ねられた食器を、下から順次取出して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例の食器ディスペンサの食器保持部、食器取出し部および連係機構を概略的に示す左側断面図である。
【図2】第1実施例の食器ディスペンサの食器保持部、食器取出し部および連係機構を概略的に示す平断面図である。
【図3】第1実施例の食器ディスペンサの全体構成を概略的に示す正面図である。
【図4】第1実施例の食器ディスペンサの食器保持部の作動態様を示す説明図である。
【図5】連係機構を構成するカムおよびフォロワの態様を示す説明図である。
【図6】第1実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、下側食器が食器取出し部に放出された状態を示し、(b)は、食器取出し部が取出し位置へ姿勢変位すると共に、上食器保持部が作動して下食器保持部へ食器が移動した状態を示している。
【図7】第1実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、食器取出し部から食器を取出すと共に下食器保持部および上食器保持部に食器が保持された状態を示し、(b)は、食器取出し部が待機位置へ姿勢変位する途中に下食器保持部が作動して下側食器を該食器取出し部へ放出する状態を示している。
【図8】第2実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および連係機構を概略的に示す左側面図である。
【図9】第2実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および連係機構を概略的に示す正面図である。
【図10】第2実施例の食器保持機構における第1食器保持部の構成を示す説明図である。
【図11】第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサを備えた食器取出機構を装備した食品盛付け機を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る食器ディスペンサおよび食器ディスペンサを備えた食器取出機構につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、図3において、食器が積み重ねられる方向を食器ディスペンサの上下方向、食器が取出される方向を食器ディスペンサの前側とし、前側から見た正面左側を食器ディスペンサの左側、正面右側を食器ディスペンサの右側とする。なお実施例では、図1に示すように、上に開口して上縁部外径が最も大きく、底部に向かうにつれて徐々に小さくなる所謂すり鉢形状をなす食器を例示するが、積み重ね可能でかつ外面に食器保持部(食器保持機構)の食器保持体により保持可能な部分を有するものであれば、食器の形状はこれに限定されない。
【実施例】
【0019】
(第1実施例)
図3は、第1実施例の食器ディスペンサMを、積み重ねた食器Dを保持した状態で示す正面図である。第1実施例の食器ディスペンサMは、食器棚や調理テーブル等に載置されるフレーム10と、このフレーム10の内部上側に配設された食器保持部20と、該フレーム10内において食器保持部20の下側に配設された食器取出し部35とを備えている。食器Dは食器保持部20に対して上方から順次載置され、積み重ねられた食器Dは、下から1つずつ食器取出し部35へ放出されて、該食器取出し部35から取出し得るようになっている。そして、第1実施例の食器ディスペンサMは、食器取出し部35と食器保持部20とが連係機構40により連係されており、食器取出し部35の姿勢変位に連動して食器保持部20が作動するよう構成されている。
【0020】
フレーム10は、図1〜図3に示すように、左右に離間して相対する1対の縦壁部11,11と、両縦壁部11,11の上端間に水平に配設された上壁部12と、両縦壁部11,11の前端間に垂直に配設された前壁部29を備えており、正面から見て倒伏コ字型を呈している。両縦壁部11,11には、左右の水平方向に延在して食器取出し部35を揺動自在に支持する支持軸18の軸方向端部を支持する軸受部材13,13が設けられている。また上壁部12には、積み重ねられた食器Dの通過を許容する円形の開口部14が形成されていると共に、該開口部14の周囲には、4本の棒状の食器ガイド15が垂直に立設され、積み重ねられた食器Dを側方から支持するようになっている。そして、上壁部12における開口部14の前側下部には、垂直に延在するピン状をなす2本の左支軸16および右支軸17が、ステー19に上端および下端が支持された状態で左右に離間して設けられている。
【0021】
食器保持部20は、図1および図2に示すように、上下に積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する食器(以降「下側食器D1」という)の保持および放出を図る下食器保持部(第1食器保持部)21と、前記下側食器D1の真上に位置する食器(以降「上側食器D2」という)の保持および放出を図る上食器保持部(第2食器保持部)22とを備えており、上側食器D2を上食器保持部22で保持した状態で下側食器D1を下方へ放出可能になっている。下食器保持部21および上食器保持部22は、図2および図3に示すように、連係機構40を介して食器取出し部35に連係され、該食器取出し部35の姿勢変位に連動するよう構成されている。
【0022】
下食器保持部21は、図1、図2および図4に示すように、下側食器D1を挟んで左右方向で相対して配設された一対の左食器保持体23および右食器保持体24を備えている。下食器保持部21の左食器保持体23は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう左側に凸となる(右側に凹となる)湾曲形状に形成されている。そして、左食器保持体23の前端部には、前記左支軸16が上下に貫通可能な貫通孔25が形成されており、該左食器保持体23は、該貫通孔25に貫通した左支軸16を中心として後端側が水平左右方向へ移動する旋回運動が可能となっている。また、左食器保持体23の後端部には、連係機構40の第1連係部41を構成する第1フォロワ43が後方へ延出するように形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第1連係部41を構成する第1カム溝44に係合している。なお、左支軸16にはフレーム10と左食器保持体23とに係止される捻りバネ26が配設されており、左食器保持体23は、該捻りバネ26により後端側が右方向へ移動するよう付勢されて、下側食器D1の外面に左側から押し付けられるようになっている。
【0023】
一方、下食器保持部21の右食器保持体24は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう右側に凸となる(左側に凹となる)湾曲形状に形成されている。そして、右食器保持体24の前端部には、前記右支軸17が上下に貫通可能な貫通孔27が形成されており、該右食器保持体24は、該貫通孔25に貫通した右支軸17を中心として後端側が水平左右へ移動する旋回運動が可能となっている。また、右食器保持体24の後端部には、連係機構40の第1連係部41を構成する第1フォロワ45が後方へ延出するように形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第1連係部41を構成する第1カム溝46に係合している。なお、右支軸17にはフレーム10と右食器保持体24とに係止される捻りバネ28が配設されており、右食器保持体24は、該捻りバネ28により後端側が左方向へ移動するよう付勢されて、下側食器D1の外面に右側から押し付けられるようになっている。
【0024】
上食器保持部22は、図1、図2および図4に示すように、基本的な構成は前記下食器保持部21と同じであり、上側食器D2を挟んで左右方向で相対して配設された一対の左食器保持体30および右食器保持体31を備えている。上食器保持部22の左食器保持体30は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう左側に凸となる(右側に凹となる)湾曲形状に形成されている。そして、左食器保持体30の前端部には、前記左支軸16が上下に貫通可能な貫通孔32が形成されており、該左食器保持体30は、該貫通孔25に貫通した左支軸16を中心として後端側が水平左右へ移動する旋回運動が可能となっている。また、左食器保持体30の後端部には、連係機構40の第2連係部42を構成する第2フォロワ47が後方へ延出した状態に形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第2連係部42を構成する第2カム溝48に係合している。なお左食器保持体30は、左支軸16に配設した前記捻りバネ28により後端側が右方向へ移動するよう付勢されて、上側食器D2の外面に左側から押し付けられるようになっている。
【0025】
一方、上食器保持部22の右食器保持体31は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう右側に凸となる湾曲形状に形成されている。そして、右食器保持体31の前端部には、前記右支軸17が上下に貫通可能な貫通孔33が形成されており、該右食器保持体31は、該貫通孔33に貫通した右支軸17を中心として後端側が水平左右へ移動する旋回運動が可能となっている。また、右食器保持体31の後端部には、連係機構40の第2連係部42を構成する第2フォロワ49が後方へ延出した状態に形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第2連係部42を構成する第2カム溝50に係合している。なお右食器保持体31は、右支軸17に配設した前記捻りバネ28により後端側が左方向へ移動するよう付勢されて、上側食器D2の外面に左側から押し付けられるようになっている。
【0026】
食器取出し部35は、図1および図2に示すように、食器保持部20から下方へ放出される前記下側食器D1を受け入れ可能に上方へ開口したバケット状の食器受部36と、この食器受部36の後側に左右水平に延在するように設けられて、前記支持軸18の挿通を許容する円筒状の支持筒部37とを備えている。食器取出し部35は、支持筒部37に貫通させた前記支持軸18をフレーム10の各軸受部材13,13に支持することで、該支持軸18に枢支された状態でフレーム10に取付けられている。そして食器取出し部35は、前記前壁部29に設けた取出しレバーLと図示しない連係機構により連係されており、食器受部36が水平前方へ延出し、下側食器D1の直下に位置して放出された該下側食器D1を受け入れ可能な待機位置(図1に実線で示す)と、取出しレバーLの操作により、食器受部36が前下がり(例えば水平に対して60度程度)に傾斜し、該食器受部36に受け入れた該下側食器D1の取出しを可能とする取出し位置(図1に2点鎖線で示す)とに姿勢変位可能となっている。支持筒部37は、前記支持軸18に外装される内側筒部37Aと、この内側筒部37Aの外側に形成された外側筒部37Bとの内外2重構造となっており、該外側筒部37Bに前記連係機構40の第1カム溝44,46および第2カム溝48,50が設けられている。なお、前記食器受部36には温度調整手段としてのヒータ39が配設されており、該食器受部36に受け入れた食器Dを温め得るようになっている。
【0027】
前記支持軸18には、図2に示すように、フレーム10および食器取出し部35に夫々アーム部が係止された捻りバネ38が、常には食器取出し部35を取出し位置側から待機位置側へ付勢した状態で配設されている。この捻りバネ38の付勢力は、食器受部36に食器Dが受け入れられていない場合に、食器取出し部35を待機位置に上昇させて該待機位置に保持すると共に、食器受部36に食器Dが受け入れられている場合に、食器取出し部35が取出し位置に降下して該取出し位置に保持されるのを許容する強さに設定されている。
【0028】
次に、食器取出し部35の支持筒部37に設けた連係機構40を構成する第1連係部41および第2連係部42について、図4および図5を引用して説明する。連係機構40の第1連係部41および第2連係部42は、前述したように、カム溝と該カム溝に係合するフォロワとの組合せとなっている。第1連係部41を構成する2つの第1カム溝44および第1カム溝46は、支持筒部37の外周面に溝状に形成されたガイド溝であり、食器取出し部35の姿勢変位に際して支持筒部37が周方向へ回動することで、前記食器保持部20の下食器保持部21における左食器支持体23に設けた第1フォロワ43および右食器保持体24に設けた第1フォロワ45が夫々係合して摺動するようになっている。また、第2連係部42を構成する2つの第2カム溝48および第2カム溝50は、支持筒部37の外周面に溝状に形成されたガイド溝であり、食器取出し部35の姿勢変位に際して支持筒部37が周方向へ回動することで、前記食器保持部20の上食器保持部22における左食器支持体30に設けた第2フォロワ47および右食器保持体31に設けた第2フォロワ49が夫々係合して摺動するようになっている。なお、第1連係部41の第1カム溝44および第1カム溝46は左右の関係が逆になった左右対称形状に形成されていると共に、第2連係部42の第2カム溝48および第2カム溝50は左右の関係が逆になった左右対称形状に形成されている。従ってここでは、第1カム溝44および第2カム溝48についてのみ説明し、第1カム溝46および第2カム溝50は、該第1カム溝44および第2カム溝48と同一部材、部位に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
第1カム溝44は、図5(a)に示すように、食器ディスペンサMの前後方向と一致する支持筒部37の周方向へ延在する第1ガイド縁51と、第1ガイド縁51の後端から前方に行くにつれて左方へ直線状に変位する第2ガイド縁52と、第2ガイド縁52の前端から前方に行くにつれて直線状に右方へ変位して第1カム溝44の前端に繋がる第3ガイド縁53とから構成され、左方に凸となる三角形状に延在している。そして、第1カム溝44に係合する第1フォロワ43は、食器取出し部35の待機位置においては第1ガイド縁51と第3ガイド縁53とが交わる第1ポイントP1に位置し、食器取出し部35の取出し位置においては第1ガイド縁51と第2ガイド縁52とが交わる第2ポイントP2に位置するようになっている。ここで第1ポイントP1は、第1ガイド縁51より右側に設定されており、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には、図5(a)に示すように、前記捻りバネ26(28)の付勢力により、第1フォロワ43は第1ガイド縁51に沿って相対移動するようになる。また第2ポイントP2は、第1ガイド縁51より左側に設定されており、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には、図5(b)に示すように、第1フォロワ43は第2ガイド縁52に沿って相対移動して、第2ガイド縁52と第3ガイド縁53との境界に位置する第3ポイントP3を通過した後、第3ガイド縁53に沿って移動して前記第1ポイントP1へ戻るようになる。なお、第3ポイントP3においては、第2ガイド縁52と第3ガイド縁53との間に、第1フォロワ43の通過を許容する隙間S1が形成されており、第1フォロワ43が該隙間S1を介して左方向へ移動可能になっている。これは、下側食器D1が放出される際に、下食器保持部21の左食器保持体23および右食器保持体24が更に離間する方向に変位することを許容して、該下側食器D1の放出が適切に行なわれるようにするためである。
【0030】
従って、食器保持部20の下食器保持部21における左食器保持体23および右食器保持体24は、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第1フォロワ43が第1カム溝44の第1ガイド縁51に沿って移動すると共に右食器保持体31の第1フォロワ45が第2カム溝50の第1ガイド縁51に沿って移動するので、下側食器D1の食器保持位置に保持されるようになる。また、下食器保持部21における左食器保持体23および右食器保持体24は、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第1フォロワ43が第1カム溝44の第2ガイド縁52および第3ガイド縁53に沿って移動すると共に右食器保持体31の第1フォロワ45が第2カム溝50の第2ガイド縁52および第3ガイド縁53に沿って移動するので、下側食器D1を放出する食器解放状態に姿勢変位して保持していた下側食器D1を食器取出し部35の食器受部36に放出した後、元の食器保持位置に復帰するようになっている。
【0031】
一方、第2カム溝48は、図5(a)に示すように、食器ディスペンサMの前後方向と一致する支持筒部37の周方向へ延在する第1ガイド縁54と、第1ガイド縁54の後端から前方に行くにつれて左方へ直線状に変位する第2ガイド縁55と、第2ガイド縁55の前端から前方に行くにつれて直線状に右方へ変位して第1カム溝44の前端にがる第3ガイド縁56とから構成され、左方に凸となる三角形状に延在している。そして、第2カム溝48に係合する第2フォロワ47は、食器取出し部35の待機位置においては第1ガイド縁54と第3ガイド縁56とが交わる第1ポイントP4に位置し、食器取出し部35の取出し位置においては第1ガイド縁54と第2ガイド縁55とが交わる第2ポイントP5に位置するようになっている。ここで第1ポイントP1は、第1ガイド縁54より左側に設定されており、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には、図5(a)に示すように、第2フォロワ47は第3ガイド縁56に沿って相対移動して、第2ガイド縁55と第3ガイド縁56との境界に位置する第3ポイントP6を通過した後、第2ガイド縁55に沿って移動して前記第2ポイントP2へ移動するようになる。また第2ポイントP5は、第1ガイド縁54より右側に設定されており、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には、図5(b)に示すように、第2フォロワ47は第1ガイド縁54に沿って相対移動して前記第1ポイントP4へ戻るようになる。なお、第3ポイントP6においては、第2ガイド縁55と第3ガイド縁56との間に、第2フォロワ47の通過を許容する隙間Sが形成されており、第2フォロワ47が該隙間Sを介して左方向へ移動可能になっている。これは、上側食器D2が放出される際に、上食器保持部22の左食器保持体30および右食器保持体31が更に離間する方向に変位することを許容して、該下側食器D1の放出が適切に行なわれるようにするためである。
【0032】
従って、食器保持部20の上食器保持部22における左食器保持体30および右食器保持体31は、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第2フォロワ47が第2カム溝48の第3ガイド縁56および第2ガイド縁55に沿って移動すると共に右食器保持体31の第2フォロワ49が第2カム溝50の第3ガイド縁56および第2ガイド縁55に沿って移動するので、上側食器D2を放出する食器解放状態に姿勢変位して保持していた上側食器D2を下食器保持部21に放出した後、元の食器保持位置に復帰して、上側食器D2の真上に積み重ねられた食器Dを次の上側食器D1として支持可能となる。また、下食器保持部21における左食器保持体30および右食器保持体31は、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第2フォロワ47が第2カム溝48の第1ガイド縁54に沿って移動すると共に右食器保持体31の第2フォロワ49が第2カム溝50の第1ガイド縁54に沿って移動するので、上側食器D2の食器保持位置に保持されるようになる。
【0033】
(第1実施例の作用)
次に、前述のように構成された第1実施例の食器ディスペンサMの作用につき、図6および図7を引用して説明する。なお、図6および図7では、食器保持部20および食器取出し部35の連動態様を判り易くするため、食器保持部20に対する食器取出し部35の配設向きを第1実施例とは変更して表示してある。
【0034】
まず、図6(a)に示すように、食器取出し部35が待機位置に保持されて、該食器取出し部35の食器受部36には放出された下側食器D1が収容保持されている。また、食器保持部20の下食器保持部21および上食器保持部22は、いずれも食器保持位置に停止しており、下食器保持部21には下側食器D1は保持されていないが、上食器保持部22には上側食器D2が保持されている。また上側食器D2の上方には、複数の食器Dが積み重ねられている。
【0035】
図6(a)の状態において、前記取出しレバーLによる食器取出し操作を行なうと、下側食器D1の重みにより、食器取出し部35が待機位置から取出し位置に向けて姿勢変位する(図6(b))。この食器取出し部35の姿勢変位においては、上食器保持部22の左食器保持体30および右食器保持体31が、食器保持位置から食器開放位置に変位した後、再び食器保持状態に戻る。従って、上食器保持部22に保持されていた上側食器D2は下方へ移動し、下側食器D1として下食器保持部21の左食器保持体30および右食器保持体31に保持されると共に、上食器保持部22には新たな上側食器D2が保持される。
【0036】
取出し位置に姿勢変位した食器取出し部35の食器受部36から食器Dを取出すと(図7(a))、該食器取出し部35は、前記捻りバネ38の付勢力により取出し位置から待機位置へ姿勢変位する。この食器取出し部35の姿勢変位においては、下食器保持部21の左食器保持体30および右食器保持体31が、食器保持位置から食器解放位置に変位した後、再び食器保持位置に戻る。従って、下食器保持部21に保持されていた下側食器D1は、下方へ放出されて、待機位置に戻る直前の食器取出し部35の食器受部36に受け止められる(図7(b))。そして、食器取出し部35が待機位置に復帰することで、図6(a)の状態となる。なお、食器取出し部35の食器受部36のヒータ39を作動させておくことで、該食器受部36に受け入れられている食器Dが適宜温められる。
【0037】
従って、第1実施例の食器ディスペンサMによれば、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1を保持する下食器保持部21とおよび該下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を保持する上食器保持部22と、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部35とを連係機構40により連係させたことにより、積み重ねられた食器Dを下から順次取出して使用することが可能である。従って、上から順次積み重ねられた食器Dを下から1つずつ順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器Dだけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器Dの使用頻度が低くなることがなく、全ての食器Dの使用頻度が均等になるから各食器Dの寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器Dが繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器Dに埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0038】
そして、第1実施例の食器ディスペンサMでは、食器保持部20が下食器保持部21および上食器保持部22を備えていて、下食器保持部21における左食器保持体23および右食器保持体24が食器保持位置に近接移動することで下側食器D1を保持することができ、左食器保持体23および右食器保持体24が食器解放位置に離間移動することで該下側食器D1を下方へ適切に放出することができる。また、第1実施例の食器ディスペンサMは、上食器保持部22における左食器保持体30および右食器保持体31が食器保持位置に近接移動することで上側食器D2を保持することができ、左食器保持体30および右食器保持体31が食器解放位置に離間移動することで該上側食器D2を下方へ適切に放出することができる。従って、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を上食器保持部22で保持した状態で、下食器保持部21の作動により下側食器D1だけを適切に放出することができる。また、連係機構40の第1連係部41および第2連係部42が、カム溝と該カム溝に摺動自在に係合するフォロワとの組合わせであるから、食器取出し部35の姿勢変位を食器保持部20の下食器保持部21および上食器保持部22の姿勢変位に確実に変換することができる。
【0039】
また、放出された下側食器D1を受け止める食器取出し部35を備えているので、食器保持部20から放出された食器Dが該食器取出し部35の食器受部36で適切に受け止められ、食器Dが破損することを好適に防止し得る。しかも、食器取出し部35の食器受部36にヒータ39を備えているので、該食器取出し部35から取出される食器Dが適切な温度に温められており、該食器Dに盛り付けられる食品が冷め難くなる。
【0040】
なお、第1実施例の食器ディスペンサMでは、下食器保持部21の左食器保持体30および右食器保持体31の配設間隔を調整すると共に、上食器保持部22の左食器保持体30および右食器保持体31の配設間隔を調整することで、様々なサイズの食器Dの保持が可能であり、左食器保持体30および右食器保持体31の形状を変更することで様々な形状の食器Dの保持が可能である。また、上食器保持部22と下食器保持部21との配設間隔を調整することにより、積み重ね間隔が異なる食器Dの保持も可能である。
【0041】
(第2実施例)
図8および図9は、第2実施例の食器ディスペンサMにおける要部を示す概略側面図および概略正面図である。第2実施例の食器ディスペンサMは、食器棚や調理テーブル等に載置されるフレーム(図示せず)と、このフレームに配設された食器保持機構60と、該フレーム内において食器保持機構60の下側に配設された食器取出し部80とを備えている。そして、第2実施例の食器ディスペンサMは、食器取出し部80と食器保持機構60とを連係する連係機構85を備えており、食器取出し部80の姿勢変位に連動して食器保持機構60が作動するよう構成されている。
【0042】
第2実施例の食器ディスペンサMにおける食器保持機構60は、図8および図9に示すように、積み重ねられた食器Dの側方に配設された第1食器保持部61と、積み重ねられた食器Dを挟んで第1食器保持部61と相対して配設された第2食器保持部62とを備えており、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を保持した状態で、該下側食器D1を下方へ放出可能に構成されている。第1食器保持部61および第2食器保持部62は、食器Dを挟んで対称形態に構成されて基本的な構成は同一であるから、同一部材、部位は同一の符号を付して説明する。
【0043】
第1食器保持部61および第2食器保持部62は、軸方向が水平な回転軸63に配設された上スプロケット(上固定回転体)65と、この回転軸63の下方に離間して配設されて軸方向が水平で該回転軸63と平行な回転軸64に配設された下スプロケット(下固定回転体)66と、これら上スプロケット65および下スプロケット66に巻き掛けられたチェン(移動回転体)67とを備えている。上スプロケット65および下スプロケット66は、夫々の回転軸63,64の軸方向に所要間隔で2つずつ設けられており(図9参照)、各々の上スプロケット65および下スプロケット66に巻掛けられたチェン67,67が同期回転するようになっている。そして、各チェン67の外周面には、図10に示すように、横方向に延在して食器Dに当接する食器保持体68が、該チェン67の周方向へ所要間隔毎に複数(第2実施例では12個)配設されている。また、第1食器保持部61および第2食器保持部62は、回転軸63,64の軸方向において相対してガイド溝70が形成されたガイド板73,73を備え、各食器保持体68は、ガイド溝70に摺動するガイドピン69を備えている。
【0044】
第1食器保持部61と第2食器保持部62とは、各々の回転軸63,63が図示省略したギアまたはチェン等により連係されており、積み重ねられた食器Dに近接する側が下方へ移動するよう反対方向へ同期回転するようになっている。そして、第1食器保持部61および第2食器保持部62は、チェン67における上スプロケット65と巻掛けられた上巻掛け位置67Aにおいて食器保持体68が食器Dに近接して当接し、該チェン67における上スプロケット65から下スプロケット66までの間の巻掛け間位置67Bに位置する食器保持体68が積み重ねられた食器Dに当接し、チェン67における下スプロケット66と巻掛けられた下巻掛け位置67Cにおいて食器保持体68が食器Dから離間するよう構成されている。なお、第1食器保持部61および第2食器保持部62は、チェン67の回転中において前記巻掛け間位置67Bには、3〜4個の食器保持体68が存在するようになっていて、積み重ねられた3〜4個の食器Dを同時に保持し得る。
【0045】
そして、第2実施例の食器ディスペンサMにおける食器保持機構60は、第1食器保持部61および第2食器保持部62間の間隔を調整可能となっており、様々なサイズの食器Dに対応し得る。また、前記チェン67に対する食器保持体68の配設間隔を調整することにより、積み重ね間隔H(図10参照)が異なる食器Dにも対応し得るようになっている。なお前記ガイド溝70は、図10に示すように、チェン67の前記巻掛け間位置67Bにおける上部に対応する位置に、食器D側へ凸となる湾曲部71が形成されている。これにより、チェン67に対する各食器保持体68の配設間隔Wと食器Dの積み重ね間隔Hとを一致させることができない場合には、各食器保持体68の配設間隔Wを食器Dの積み重ね間隔Hより適宜大きく設定することで、各食器保持体68により食器Dを適切に保持し得るようになっている。すなわち、図10に示すように、ガイド溝70の湾曲部71に到来した食器保持体68は、その先端側が斜め上方を向くように姿勢変位するため、当接した食器Dおよびその上に積まれている食器Dを上方へ適宜押し上げるようになる。このため、直接に押し上げられた食器Dと該食器Dの真上に積まれた食器Dとの間に次に到来する食器保持体68が適切に入り込むようになし得る。
【0046】
食器取出し部80は、基本的な構成は第1実施例と同じであり、図8および図9に示すように、食器保持機構60から下方へ放出される前記下側食器D1を受け入れ可能に上方へ開口したバケット状の食器受部81と、この食器受部81の後側に左右水平に延在するように設けられて、フレームに設けた支持軸の挿通を許容する円筒状の支持筒部82とを備えている。また支持筒部82には、図8に示すように、食器保持機構60との連係に供される連係ギア83が設けられている。
【0047】
第2実施例の食器ディスペンサMにおける連係機構85は、前記食器取出し部80に設けた連係ギア83と連係すると共に、前記食器保持機構60の第1食器保持部61における下側の回転軸64に設けたギア72に連係するワンウェイクラッチ86を備えている。このワンウェイクラッチ86は、例えば食器取出し部80が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には該食器取出し部80の姿勢変位を食器保持機構60に伝達せず、食器取出し部80が取出し位置から待機位置に姿勢変位する際に該食器取出し部80の姿勢変位を食器保持機構60に伝達して、該食器保持機構60の第1食器保持部61および第2食器保持部62を、1ストローク(食器保持体68の配設間隔W)分だけ作動させるようになっている。これにより、取出し位置において食器受部81から食器Dを取出した後に、食器取出し部80が待機位置に戻る直前または戻ると同時に、食器保持機構60から1個の食器Dが食器受部81へ放出される。
【0048】
従って、第2実施例の食器ディスペンサMによれば、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を保持した状態で該下側食器D1を下方へ放出可能な食器保持機構60と、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部80とを連係機構85により連係させたことにより、積み重ねられた食器Dを下から順次取出して使用することが可能であり、前記第1実施例の食器ディスペンサMと同等の作用効果を奏する。これにより、上から順次積み重ねられた食器Dを下から順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器Dだけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器Dの使用頻度が低くなることがなく、全ての食器Dの使用頻度が均等になるから、各食器Dの寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器Dが繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器Dに埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0049】
また、食器保持機構60の第1食器保持部61と第2食器保持部62の各チェン67が同期回転することで、第1食器保持部61の食器保持体68と第2食器保持部62の食器保持体68とにより上側食器D2を保持した状態で、下側食器D1を適切に放出することができ、積み重ねられた各食器Dを下方へ移動させながらに1つずつ順次放出することができる。また、連係機構85がワンウェイクラッチ86を備えているので、食器取出し部80が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には食器保持機構60から食器Dが放出されず、食器Dを取出した食器取出し部80が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には食器保持機構60から下側食器D1が放出されると共に、放出された該下側食器D1を破損することなく食器取出し部80に適切に受け入れることができる。更に、食器取出し部80の食器受部81に、第1実施例と同様に温度調整手段としてのヒータを備えるようにすれば、該食器取出し部80から取出される食器Dが適切な温度に温められており、該食器Dに盛り付けられる食品が冷め難くなる。
【0050】
図11は、前述した第1実施例の食器ディスペンサMまたは第2実施例の食器ディスペンサMを備えた食器取出機構Kが装備された自動盛付け機Nを概略的に示す説明図である。前記食器取出機構Kは、第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサMと、この食器ディスペンサMから食品盛付け部Jを通過するように配設され、該食器ディスペンサMの食器取出し部35,80から取出された食器Dを該食品盛付け部Jへ搬送する食器搬送手段Cとを備えている。食器搬送手段Cは、ベルトやキャタピラ状の回転移動体である。また食品盛付け部Jは、食器搬送手段Cを介して下方に位置決めされた食器Dに対し、所定の食品を盛付ける機構を備えている。なお、必要に応じて、食器取出し部35,80から食器搬送手段Cへ食器Dを移載する食器移載手段が備えられる。
【0051】
従って、図11に示した食器取出機構Kを装備した自動盛付け機Nは、食器ディスペンサMに積み重ねられた食器Dを下から1つずつ取出し、該食器Dを食器搬送手段Cを介して食品盛付け部Jへ搬送したもとで、該食器Dに食品を適切に盛り付けることができる。従って、図11に示した自動盛付け機Nは、食器ディスペンサMに積み重ねられた食器Dの全てを効率良く取出し、該食器Dに効率よく食品を盛付けることができる。
【0052】
(変更例)
(1)第1実施例では、食器保持部の食器保持体は旋回式のものに限定されず、食器を挟んで相対して、該食器に対して直線的に近接・離間移動するものであってもよい。
(2)連係機構の第1連係部および第2連係部は、カム溝およびフォロワの組合わせに限定されず、食器取出し部の姿勢変位を検知して、食器保持部を電気的または電磁的に作動させる形態であってもよい。
(3)第2実施例では、巻掛け間位置に存在する食器保持体の数は、少なくとも2つの食器保持体が位置して、常に2個の食器(下側食器と上側食器)を保持するようになっていれば、下側食器を適切に放出することができる。
(4)第2実施例では、チェンおよびスプロケットに限定されず、タイミングベルトおよびベルト車の構成であってもよい。
(5)第2実施例の連係機構は、ワンウェイクラッチに限定されず、ラチェット等であってもよい。
(6)第1実施例および第2実施例では、食器取出し部に配設された温度調整手段は、ヒータに限定されず、食器を冷やすクーラーであってもよい。
(7)第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサを備えた食器取出機構は、図11に示した自動盛付け機に装備するものに限らず、食材を調理する自動調理機等に装備することも可能である。
(8)第1実施例および第2実施例では、食器取出し部に配設された温度調整手段に代えて、洗浄後に食器ディスペンサに濡れた状態で積み重ねられた食器を乾かす食器乾燥手段を備えるようにしてもよい。なお食器乾燥手段としては、ヒータ等の加熱手段、ファン等の送風手段、布やスポンジ等の水分拭取手段、電磁波発生手段等が適宜採用可能である。
(9)第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサは、積み重ねた食器の上方に食器を順次積み重ねる食器積載手段を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
21 下食器保持部(第1食器保持部),22 上食器保持部(第2食器保持部),
23 左食器保持体(食器保持体),24 右食器保持体(食器保持体),
30 左食器保持体(食器保持体),31 右食器保持体(食器保持体),
35 食器取出し部,39 ヒータ(温度調整手段),40 連係機構,41 第1連係部,
42 第2連係部,43,45 第1フォロワ,44,46 第1カム溝,
47,49 第2フォロワ,48,50 第2カム溝,60 食器保持機構,
61 第1食器保持部,62 第2食器保持部,65 上スプロケット(上固定回転体),
66 下スプロケット(下固定回転体),67 チェン(移動回転体),
67A 上巻掛け位置,67B 巻掛け間位置,67C 下巻掛け位置,68 食器保持体,
80 食器取出し部,85 連係機構,86 ワンウェイクラッチ,C 食器搬送手段,
D 食器,D1 下側食器,D2 上側食器,M 食器ディスペンサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、積み重ねられた食器を下から順次取出し可能な食器ディスペンサと、この食器ディスペンサを備えた食器取出機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同じ食器を多数所有するレストランやホテル等では、これら食器を食器棚内や調理台上に平積み状態で積み重ねて保管したり一時的に載せておくことが多い。従って、平積み状態で積み重ねた食器を使用する場合は、一番上の食器から順次使用し、使用した食器は、積み重ねられている食器の一番上に順次積み重ねる。なお、昇降可能な食器載置台を備えて、積み重ねた食器の重さに応じて該食器載置台が沈降するよう構成された食器ディスペンサも実施に供されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−103840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、平積み状態で積み重ねられた食器の全てを使用することが少ない状況では、上側に積まれている食器は使用頻度が高く、下側に積まれている食器は使用頻度が低くなる。このため、上側に積まれている食器ほど汚れやキズの付着等による劣化が早まり、同じ食器中において寿命にばらつきが発生する問題がある。また、下側に積まれている食器は、長期間に亘って使用しないと埃やゴミ等が付着してしまうから、使用前に再洗浄しなければならない問題がある。また、特許文献1に開示の食器ディスペンサでは、食器が高く積み重ねられることを抑えることはできるものの、上に積まれている食器から順次使用する態様は前記平積み状態で積み重ねられた食器の場合と同じであるから、前述した問題は何ら解決されるものではない。
【0005】
そこで本願は、積み重ねられた食器を下から順次取出し可能に構成した食器ディスペンサと、この食器ディスペンサを備えた食器取出機構とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
上下に積み重ねられた食器を下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器を、下方へ落下放出可能に保持する第1食器保持部と、
積み重ねられた食器のうちの前記下側食器の真上に位置する上側食器を、前記第1食器保持部に向け落下放出可能に保持する第2食器保持部と、
前記第1食器保持部の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器から放出された該下側食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部と、
前記食器取出し部と前記第1食器保持部および第2食器保持部とを連係させ、該食器取出し部の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器を下から順次取出し得るように該第1食器保持部および第2食器保持部を作動させる連係機構とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器を保持する第1食器保持部と、該下側食器の真上に位置する上側食器を保持する第2食器保持部とを、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部に連係機構で連係させて、食器取出し部の姿勢変位と第1食器保持部および第2食器保持部の姿勢変位とを連動させたことにより、積み重ねられた食器を下から1つずつ適切かつ安全に取出すことができる。これにより、上から順次積み重ねられた食器を下から順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器だけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器の使用頻度が低くなることがなく、全ての食器の使用頻度が均等になるから各食器の寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器が繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器に埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記第1食器保持部は、前記下側食器を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該下側食器を挟持する食器保持位置および離間移動して該下側食器から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体を備え、
前記第2食器保持部は、前記上側食器を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該上側食器を挟持する食器保持位置および離間移動して該上側食器から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体を備えたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、第1食器保持部における一対の食器保持体が食器保持位置に近接移動することで下側食器を保持することができ、該一対の食器保持体が食器解放位置に離間移動することで該下側食器を下方へ適切に放出することができる。また、第2食器保持部における一対の食器保持体が食器保持位置に近接移動することで上側食器を保持することができ、該一対の食器保持体が食器解放位置に離間移動することで該上側食器を下方へ適切に放出することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記連係機構は、カム溝とフォロワとの組合わせであって、
前記食器取出し部側に設けた第1カム溝と、前記第1食器保持部に前記第1カム溝へ摺接自在に設けた第1フォロワとにより、該食器取出し部の前記取出し位置から待機位置への姿勢変位において該第1食器保持部が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第1連係部と、
前記食器取出し部側に設けた第2カム溝と、前記第2食器保持部に前記第2カム溝へ摺接自在に設けた第2フォロワとにより、該食器取出し部の前記待機位置から取出し位置への姿勢変位において該第2食器保持部が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第2連係部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、食器取出し部側に設けた第1カム溝に第1食器保持部側に設けた第1フォロワが係合して、食器取出し部が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に該第1フォロワが第1カム溝に沿って摺動することで、第1食器保持部を食器保持位置と食器解放位置との間で往復させて下側食器を適切に放出させ得る。また、食器取出し部側に設けた第2カム溝に第2食器保持部側に設けた第2フォロワが係合して、食器取出し部が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際に該第2フォロワが第2カム溝に沿って摺動することで、第2食器保持部を食器保持位置と食器解放位置との間で往復させて上側食器を適切に放出させ得る。
【0009】
請求項4に係る発明は、
上下に積み重ねられた食器下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器の真上に位置する上側食器を保持した状態で、該下側食器を下方へ放出可能な食器保持機構と、
前記食器保持機構の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部と、
前記食器取出し部と前記食器保持機構とを連係させ、該食器取出し部の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器を下側から順次取出し得るよう該食器保持機構を作動させる連係機構とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、積み重ねられた食器のうちの最も下に位置する下側食器の真上に位置する上側食器を保持した状態で該下側食器を下方へ放出可能な食器保持機構を、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部に連係機構で連係させて、食器取出し部の姿勢変位と食器保持機構とを連動させたことにより、積み重ねられた食器を下から1つずつ適切かつ安全に取出すことができる。これにより、上から順次積み重ねられた食器を下から順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器だけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器の使用頻度が低くなることがなく、全ての食器の使用頻度が均等になるから各食器の寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器が繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器に埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記食器保持機構は、
前記積み重ねられた食器の側方に配設されて外周に複数の食器保持体を備え、少なくとも前記下側食器および前記上側食器に当接した前記食器保持体が下方へ移動すると共に、下側食器に当接した該食器保持体を該下側食器から待避させるよう回転する第1食器保持部と、
前記積み重ねられた食器を挟んで前記第1食器保持部と相対して配設されて外周に複数の食器保持体を備え、少なくとも前記下側食器および前記上側食器に当接した前記食器保持体が下方へ移動すると共に、下側食器に当接した該食器保持体を該下側食器から待避させるよう前記第1食器保持部と同期回転する第2食器保持部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、食器保持機構の第1食器保持部と第2食器保持部とを同期回転させることで、第1食器保持部の食器保持体と第2食器保持部の食器保持体とにより上側食器を保持した状態で、下側食器を適切に放出することができる。そして、食器保持機構の第1食器保持部と第2食器保持部とを同期回転させることで、積み重ねられた食器に1つずつ順次放出することができる。
【0011】
請求項6に係る発明は、
前記第1食器保持部および第2食器保持部は、水平軸回りに回転可能で上下に離間して配設された上固定回転体および下固定回転体と、前記上固定回転体および下固定回転体間に巻掛けられて両固定回転体の回転により周回移動し、外周面に前記各食器保持体が周回方向へ所要間隔毎で配設された移動回転体とを備え、
前記各食器保持体は、前記移動回転体の前記上固定回転体と巻掛けられた上巻掛け位置において前記食器に近接して当接し、該移動回転体の前記上固定回転体から下固定回転体までの間の巻掛け間位置において該食器に当接した状態に保持され、前記移動回転体の前記下固定回転体と巻掛けられた下巻掛け位置において前記食器から離間するよう構成されたことを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、第1食器保持部および第2食器保持部の各移動回転体が周回移動することで、該移動回転体に配設された各食器保持体で保持した食器を適切に下方に移動すると共に、食器を1つずつ下方へ放出し得る。
【0012】
請求項7に係る発明は、
前記連係機構は、前記食器取出し部の待機位置から取出し位置への姿勢変位を前記食器保持機構へ伝達せず、該食器取出し部の取出し位置から待機位置への姿勢変位を該食器保持機構へ伝達するワンウェイクラッチを備え、
前記ワンウェイクラッチは、前記食器取出し部の取出し位置から待機位置への姿勢変位に応じて、前記食器保持機構が前記下側食器の放出動作を行ない得る動作量を該食器保持機構に付与することを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、食器取出し部が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には食器保持機構から食器が放出されず、食器を取出した食器取出し部が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には食器保持機構から下側食器が放出されると共に、放出された下側食器を食器取出し部に適切に受け入れることができる。
【0013】
請求項8に係る発明は、
前記食器取出し部は、食器の温度を調整する温度調整手段を備えることを要旨とする。
従って、請求項8に係る発明によれば、食器取出し部に受け入れられた食器を、温度調整手段により温度調整された状態で取出すことができる。
【0014】
請求項9に係る発明は、
前記食器取出し部は、食器を乾燥させる食器乾燥手段を備えることを要旨とする。
従って、請求項9に係る発明によれば、食器取出し部に受け入れられた食器を、食器乾燥手段により乾いた状態で取出すことができる。
【0015】
請求項10に係る発明は、
請求項1〜9の何れか一項に記載の食器ディスペンサと、該食器ディスペンサから取出した食器を搬送する食器搬送手段とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項10に係る発明によれば、食器ディスペンサに積み重ねられた食器を下から1つずつ取出し、該食器を食器搬送手段により所定位置へ順次搬送することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る食器ディスペンサによれば、積み重ねられた食器を下から順次取出すことができる。
また、別の発明に係る食器取出機構によれば、積み重ねられた食器を、下から順次取出して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例の食器ディスペンサの食器保持部、食器取出し部および連係機構を概略的に示す左側断面図である。
【図2】第1実施例の食器ディスペンサの食器保持部、食器取出し部および連係機構を概略的に示す平断面図である。
【図3】第1実施例の食器ディスペンサの全体構成を概略的に示す正面図である。
【図4】第1実施例の食器ディスペンサの食器保持部の作動態様を示す説明図である。
【図5】連係機構を構成するカムおよびフォロワの態様を示す説明図である。
【図6】第1実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、下側食器が食器取出し部に放出された状態を示し、(b)は、食器取出し部が取出し位置へ姿勢変位すると共に、上食器保持部が作動して下食器保持部へ食器が移動した状態を示している。
【図7】第1実施例の食器ディスペンサの動作図であって、(a)は、食器取出し部から食器を取出すと共に下食器保持部および上食器保持部に食器が保持された状態を示し、(b)は、食器取出し部が待機位置へ姿勢変位する途中に下食器保持部が作動して下側食器を該食器取出し部へ放出する状態を示している。
【図8】第2実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および連係機構を概略的に示す左側面図である。
【図9】第2実施例の食器ディスペンサの食器保持機構、食器取出し部および連係機構を概略的に示す正面図である。
【図10】第2実施例の食器保持機構における第1食器保持部の構成を示す説明図である。
【図11】第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサを備えた食器取出機構を装備した食品盛付け機を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る食器ディスペンサおよび食器ディスペンサを備えた食器取出機構につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、図3において、食器が積み重ねられる方向を食器ディスペンサの上下方向、食器が取出される方向を食器ディスペンサの前側とし、前側から見た正面左側を食器ディスペンサの左側、正面右側を食器ディスペンサの右側とする。なお実施例では、図1に示すように、上に開口して上縁部外径が最も大きく、底部に向かうにつれて徐々に小さくなる所謂すり鉢形状をなす食器を例示するが、積み重ね可能でかつ外面に食器保持部(食器保持機構)の食器保持体により保持可能な部分を有するものであれば、食器の形状はこれに限定されない。
【実施例】
【0019】
(第1実施例)
図3は、第1実施例の食器ディスペンサMを、積み重ねた食器Dを保持した状態で示す正面図である。第1実施例の食器ディスペンサMは、食器棚や調理テーブル等に載置されるフレーム10と、このフレーム10の内部上側に配設された食器保持部20と、該フレーム10内において食器保持部20の下側に配設された食器取出し部35とを備えている。食器Dは食器保持部20に対して上方から順次載置され、積み重ねられた食器Dは、下から1つずつ食器取出し部35へ放出されて、該食器取出し部35から取出し得るようになっている。そして、第1実施例の食器ディスペンサMは、食器取出し部35と食器保持部20とが連係機構40により連係されており、食器取出し部35の姿勢変位に連動して食器保持部20が作動するよう構成されている。
【0020】
フレーム10は、図1〜図3に示すように、左右に離間して相対する1対の縦壁部11,11と、両縦壁部11,11の上端間に水平に配設された上壁部12と、両縦壁部11,11の前端間に垂直に配設された前壁部29を備えており、正面から見て倒伏コ字型を呈している。両縦壁部11,11には、左右の水平方向に延在して食器取出し部35を揺動自在に支持する支持軸18の軸方向端部を支持する軸受部材13,13が設けられている。また上壁部12には、積み重ねられた食器Dの通過を許容する円形の開口部14が形成されていると共に、該開口部14の周囲には、4本の棒状の食器ガイド15が垂直に立設され、積み重ねられた食器Dを側方から支持するようになっている。そして、上壁部12における開口部14の前側下部には、垂直に延在するピン状をなす2本の左支軸16および右支軸17が、ステー19に上端および下端が支持された状態で左右に離間して設けられている。
【0021】
食器保持部20は、図1および図2に示すように、上下に積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する食器(以降「下側食器D1」という)の保持および放出を図る下食器保持部(第1食器保持部)21と、前記下側食器D1の真上に位置する食器(以降「上側食器D2」という)の保持および放出を図る上食器保持部(第2食器保持部)22とを備えており、上側食器D2を上食器保持部22で保持した状態で下側食器D1を下方へ放出可能になっている。下食器保持部21および上食器保持部22は、図2および図3に示すように、連係機構40を介して食器取出し部35に連係され、該食器取出し部35の姿勢変位に連動するよう構成されている。
【0022】
下食器保持部21は、図1、図2および図4に示すように、下側食器D1を挟んで左右方向で相対して配設された一対の左食器保持体23および右食器保持体24を備えている。下食器保持部21の左食器保持体23は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう左側に凸となる(右側に凹となる)湾曲形状に形成されている。そして、左食器保持体23の前端部には、前記左支軸16が上下に貫通可能な貫通孔25が形成されており、該左食器保持体23は、該貫通孔25に貫通した左支軸16を中心として後端側が水平左右方向へ移動する旋回運動が可能となっている。また、左食器保持体23の後端部には、連係機構40の第1連係部41を構成する第1フォロワ43が後方へ延出するように形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第1連係部41を構成する第1カム溝44に係合している。なお、左支軸16にはフレーム10と左食器保持体23とに係止される捻りバネ26が配設されており、左食器保持体23は、該捻りバネ26により後端側が右方向へ移動するよう付勢されて、下側食器D1の外面に左側から押し付けられるようになっている。
【0023】
一方、下食器保持部21の右食器保持体24は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう右側に凸となる(左側に凹となる)湾曲形状に形成されている。そして、右食器保持体24の前端部には、前記右支軸17が上下に貫通可能な貫通孔27が形成されており、該右食器保持体24は、該貫通孔25に貫通した右支軸17を中心として後端側が水平左右へ移動する旋回運動が可能となっている。また、右食器保持体24の後端部には、連係機構40の第1連係部41を構成する第1フォロワ45が後方へ延出するように形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第1連係部41を構成する第1カム溝46に係合している。なお、右支軸17にはフレーム10と右食器保持体24とに係止される捻りバネ28が配設されており、右食器保持体24は、該捻りバネ28により後端側が左方向へ移動するよう付勢されて、下側食器D1の外面に右側から押し付けられるようになっている。
【0024】
上食器保持部22は、図1、図2および図4に示すように、基本的な構成は前記下食器保持部21と同じであり、上側食器D2を挟んで左右方向で相対して配設された一対の左食器保持体30および右食器保持体31を備えている。上食器保持部22の左食器保持体30は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう左側に凸となる(右側に凹となる)湾曲形状に形成されている。そして、左食器保持体30の前端部には、前記左支軸16が上下に貫通可能な貫通孔32が形成されており、該左食器保持体30は、該貫通孔25に貫通した左支軸16を中心として後端側が水平左右へ移動する旋回運動が可能となっている。また、左食器保持体30の後端部には、連係機構40の第2連係部42を構成する第2フォロワ47が後方へ延出した状態に形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第2連係部42を構成する第2カム溝48に係合している。なお左食器保持体30は、左支軸16に配設した前記捻りバネ28により後端側が右方向へ移動するよう付勢されて、上側食器D2の外面に左側から押し付けられるようになっている。
【0025】
一方、上食器保持部22の右食器保持体31は、前後方向に細長のレバー状部材であり、食器Dの外面に沿うよう右側に凸となる湾曲形状に形成されている。そして、右食器保持体31の前端部には、前記右支軸17が上下に貫通可能な貫通孔33が形成されており、該右食器保持体31は、該貫通孔33に貫通した右支軸17を中心として後端側が水平左右へ移動する旋回運動が可能となっている。また、右食器保持体31の後端部には、連係機構40の第2連係部42を構成する第2フォロワ49が後方へ延出した状態に形成されており、食器取出し部35の支持筒部37の外周面に形成された第2連係部42を構成する第2カム溝50に係合している。なお右食器保持体31は、右支軸17に配設した前記捻りバネ28により後端側が左方向へ移動するよう付勢されて、上側食器D2の外面に左側から押し付けられるようになっている。
【0026】
食器取出し部35は、図1および図2に示すように、食器保持部20から下方へ放出される前記下側食器D1を受け入れ可能に上方へ開口したバケット状の食器受部36と、この食器受部36の後側に左右水平に延在するように設けられて、前記支持軸18の挿通を許容する円筒状の支持筒部37とを備えている。食器取出し部35は、支持筒部37に貫通させた前記支持軸18をフレーム10の各軸受部材13,13に支持することで、該支持軸18に枢支された状態でフレーム10に取付けられている。そして食器取出し部35は、前記前壁部29に設けた取出しレバーLと図示しない連係機構により連係されており、食器受部36が水平前方へ延出し、下側食器D1の直下に位置して放出された該下側食器D1を受け入れ可能な待機位置(図1に実線で示す)と、取出しレバーLの操作により、食器受部36が前下がり(例えば水平に対して60度程度)に傾斜し、該食器受部36に受け入れた該下側食器D1の取出しを可能とする取出し位置(図1に2点鎖線で示す)とに姿勢変位可能となっている。支持筒部37は、前記支持軸18に外装される内側筒部37Aと、この内側筒部37Aの外側に形成された外側筒部37Bとの内外2重構造となっており、該外側筒部37Bに前記連係機構40の第1カム溝44,46および第2カム溝48,50が設けられている。なお、前記食器受部36には温度調整手段としてのヒータ39が配設されており、該食器受部36に受け入れた食器Dを温め得るようになっている。
【0027】
前記支持軸18には、図2に示すように、フレーム10および食器取出し部35に夫々アーム部が係止された捻りバネ38が、常には食器取出し部35を取出し位置側から待機位置側へ付勢した状態で配設されている。この捻りバネ38の付勢力は、食器受部36に食器Dが受け入れられていない場合に、食器取出し部35を待機位置に上昇させて該待機位置に保持すると共に、食器受部36に食器Dが受け入れられている場合に、食器取出し部35が取出し位置に降下して該取出し位置に保持されるのを許容する強さに設定されている。
【0028】
次に、食器取出し部35の支持筒部37に設けた連係機構40を構成する第1連係部41および第2連係部42について、図4および図5を引用して説明する。連係機構40の第1連係部41および第2連係部42は、前述したように、カム溝と該カム溝に係合するフォロワとの組合せとなっている。第1連係部41を構成する2つの第1カム溝44および第1カム溝46は、支持筒部37の外周面に溝状に形成されたガイド溝であり、食器取出し部35の姿勢変位に際して支持筒部37が周方向へ回動することで、前記食器保持部20の下食器保持部21における左食器支持体23に設けた第1フォロワ43および右食器保持体24に設けた第1フォロワ45が夫々係合して摺動するようになっている。また、第2連係部42を構成する2つの第2カム溝48および第2カム溝50は、支持筒部37の外周面に溝状に形成されたガイド溝であり、食器取出し部35の姿勢変位に際して支持筒部37が周方向へ回動することで、前記食器保持部20の上食器保持部22における左食器支持体30に設けた第2フォロワ47および右食器保持体31に設けた第2フォロワ49が夫々係合して摺動するようになっている。なお、第1連係部41の第1カム溝44および第1カム溝46は左右の関係が逆になった左右対称形状に形成されていると共に、第2連係部42の第2カム溝48および第2カム溝50は左右の関係が逆になった左右対称形状に形成されている。従ってここでは、第1カム溝44および第2カム溝48についてのみ説明し、第1カム溝46および第2カム溝50は、該第1カム溝44および第2カム溝48と同一部材、部位に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
第1カム溝44は、図5(a)に示すように、食器ディスペンサMの前後方向と一致する支持筒部37の周方向へ延在する第1ガイド縁51と、第1ガイド縁51の後端から前方に行くにつれて左方へ直線状に変位する第2ガイド縁52と、第2ガイド縁52の前端から前方に行くにつれて直線状に右方へ変位して第1カム溝44の前端に繋がる第3ガイド縁53とから構成され、左方に凸となる三角形状に延在している。そして、第1カム溝44に係合する第1フォロワ43は、食器取出し部35の待機位置においては第1ガイド縁51と第3ガイド縁53とが交わる第1ポイントP1に位置し、食器取出し部35の取出し位置においては第1ガイド縁51と第2ガイド縁52とが交わる第2ポイントP2に位置するようになっている。ここで第1ポイントP1は、第1ガイド縁51より右側に設定されており、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には、図5(a)に示すように、前記捻りバネ26(28)の付勢力により、第1フォロワ43は第1ガイド縁51に沿って相対移動するようになる。また第2ポイントP2は、第1ガイド縁51より左側に設定されており、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には、図5(b)に示すように、第1フォロワ43は第2ガイド縁52に沿って相対移動して、第2ガイド縁52と第3ガイド縁53との境界に位置する第3ポイントP3を通過した後、第3ガイド縁53に沿って移動して前記第1ポイントP1へ戻るようになる。なお、第3ポイントP3においては、第2ガイド縁52と第3ガイド縁53との間に、第1フォロワ43の通過を許容する隙間S1が形成されており、第1フォロワ43が該隙間S1を介して左方向へ移動可能になっている。これは、下側食器D1が放出される際に、下食器保持部21の左食器保持体23および右食器保持体24が更に離間する方向に変位することを許容して、該下側食器D1の放出が適切に行なわれるようにするためである。
【0030】
従って、食器保持部20の下食器保持部21における左食器保持体23および右食器保持体24は、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第1フォロワ43が第1カム溝44の第1ガイド縁51に沿って移動すると共に右食器保持体31の第1フォロワ45が第2カム溝50の第1ガイド縁51に沿って移動するので、下側食器D1の食器保持位置に保持されるようになる。また、下食器保持部21における左食器保持体23および右食器保持体24は、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第1フォロワ43が第1カム溝44の第2ガイド縁52および第3ガイド縁53に沿って移動すると共に右食器保持体31の第1フォロワ45が第2カム溝50の第2ガイド縁52および第3ガイド縁53に沿って移動するので、下側食器D1を放出する食器解放状態に姿勢変位して保持していた下側食器D1を食器取出し部35の食器受部36に放出した後、元の食器保持位置に復帰するようになっている。
【0031】
一方、第2カム溝48は、図5(a)に示すように、食器ディスペンサMの前後方向と一致する支持筒部37の周方向へ延在する第1ガイド縁54と、第1ガイド縁54の後端から前方に行くにつれて左方へ直線状に変位する第2ガイド縁55と、第2ガイド縁55の前端から前方に行くにつれて直線状に右方へ変位して第1カム溝44の前端にがる第3ガイド縁56とから構成され、左方に凸となる三角形状に延在している。そして、第2カム溝48に係合する第2フォロワ47は、食器取出し部35の待機位置においては第1ガイド縁54と第3ガイド縁56とが交わる第1ポイントP4に位置し、食器取出し部35の取出し位置においては第1ガイド縁54と第2ガイド縁55とが交わる第2ポイントP5に位置するようになっている。ここで第1ポイントP1は、第1ガイド縁54より左側に設定されており、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には、図5(a)に示すように、第2フォロワ47は第3ガイド縁56に沿って相対移動して、第2ガイド縁55と第3ガイド縁56との境界に位置する第3ポイントP6を通過した後、第2ガイド縁55に沿って移動して前記第2ポイントP2へ移動するようになる。また第2ポイントP5は、第1ガイド縁54より右側に設定されており、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には、図5(b)に示すように、第2フォロワ47は第1ガイド縁54に沿って相対移動して前記第1ポイントP4へ戻るようになる。なお、第3ポイントP6においては、第2ガイド縁55と第3ガイド縁56との間に、第2フォロワ47の通過を許容する隙間Sが形成されており、第2フォロワ47が該隙間Sを介して左方向へ移動可能になっている。これは、上側食器D2が放出される際に、上食器保持部22の左食器保持体30および右食器保持体31が更に離間する方向に変位することを許容して、該下側食器D1の放出が適切に行なわれるようにするためである。
【0032】
従って、食器保持部20の上食器保持部22における左食器保持体30および右食器保持体31は、食器取出し部35が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第2フォロワ47が第2カム溝48の第3ガイド縁56および第2ガイド縁55に沿って移動すると共に右食器保持体31の第2フォロワ49が第2カム溝50の第3ガイド縁56および第2ガイド縁55に沿って移動するので、上側食器D2を放出する食器解放状態に姿勢変位して保持していた上側食器D2を下食器保持部21に放出した後、元の食器保持位置に復帰して、上側食器D2の真上に積み重ねられた食器Dを次の上側食器D1として支持可能となる。また、下食器保持部21における左食器保持体30および右食器保持体31は、食器取出し部35が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際に、該左食器保持体30の第2フォロワ47が第2カム溝48の第1ガイド縁54に沿って移動すると共に右食器保持体31の第2フォロワ49が第2カム溝50の第1ガイド縁54に沿って移動するので、上側食器D2の食器保持位置に保持されるようになる。
【0033】
(第1実施例の作用)
次に、前述のように構成された第1実施例の食器ディスペンサMの作用につき、図6および図7を引用して説明する。なお、図6および図7では、食器保持部20および食器取出し部35の連動態様を判り易くするため、食器保持部20に対する食器取出し部35の配設向きを第1実施例とは変更して表示してある。
【0034】
まず、図6(a)に示すように、食器取出し部35が待機位置に保持されて、該食器取出し部35の食器受部36には放出された下側食器D1が収容保持されている。また、食器保持部20の下食器保持部21および上食器保持部22は、いずれも食器保持位置に停止しており、下食器保持部21には下側食器D1は保持されていないが、上食器保持部22には上側食器D2が保持されている。また上側食器D2の上方には、複数の食器Dが積み重ねられている。
【0035】
図6(a)の状態において、前記取出しレバーLによる食器取出し操作を行なうと、下側食器D1の重みにより、食器取出し部35が待機位置から取出し位置に向けて姿勢変位する(図6(b))。この食器取出し部35の姿勢変位においては、上食器保持部22の左食器保持体30および右食器保持体31が、食器保持位置から食器開放位置に変位した後、再び食器保持状態に戻る。従って、上食器保持部22に保持されていた上側食器D2は下方へ移動し、下側食器D1として下食器保持部21の左食器保持体30および右食器保持体31に保持されると共に、上食器保持部22には新たな上側食器D2が保持される。
【0036】
取出し位置に姿勢変位した食器取出し部35の食器受部36から食器Dを取出すと(図7(a))、該食器取出し部35は、前記捻りバネ38の付勢力により取出し位置から待機位置へ姿勢変位する。この食器取出し部35の姿勢変位においては、下食器保持部21の左食器保持体30および右食器保持体31が、食器保持位置から食器解放位置に変位した後、再び食器保持位置に戻る。従って、下食器保持部21に保持されていた下側食器D1は、下方へ放出されて、待機位置に戻る直前の食器取出し部35の食器受部36に受け止められる(図7(b))。そして、食器取出し部35が待機位置に復帰することで、図6(a)の状態となる。なお、食器取出し部35の食器受部36のヒータ39を作動させておくことで、該食器受部36に受け入れられている食器Dが適宜温められる。
【0037】
従って、第1実施例の食器ディスペンサMによれば、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1を保持する下食器保持部21とおよび該下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を保持する上食器保持部22と、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部35とを連係機構40により連係させたことにより、積み重ねられた食器Dを下から順次取出して使用することが可能である。従って、上から順次積み重ねられた食器Dを下から1つずつ順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器Dだけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器Dの使用頻度が低くなることがなく、全ての食器Dの使用頻度が均等になるから各食器Dの寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器Dが繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器Dに埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0038】
そして、第1実施例の食器ディスペンサMでは、食器保持部20が下食器保持部21および上食器保持部22を備えていて、下食器保持部21における左食器保持体23および右食器保持体24が食器保持位置に近接移動することで下側食器D1を保持することができ、左食器保持体23および右食器保持体24が食器解放位置に離間移動することで該下側食器D1を下方へ適切に放出することができる。また、第1実施例の食器ディスペンサMは、上食器保持部22における左食器保持体30および右食器保持体31が食器保持位置に近接移動することで上側食器D2を保持することができ、左食器保持体30および右食器保持体31が食器解放位置に離間移動することで該上側食器D2を下方へ適切に放出することができる。従って、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を上食器保持部22で保持した状態で、下食器保持部21の作動により下側食器D1だけを適切に放出することができる。また、連係機構40の第1連係部41および第2連係部42が、カム溝と該カム溝に摺動自在に係合するフォロワとの組合わせであるから、食器取出し部35の姿勢変位を食器保持部20の下食器保持部21および上食器保持部22の姿勢変位に確実に変換することができる。
【0039】
また、放出された下側食器D1を受け止める食器取出し部35を備えているので、食器保持部20から放出された食器Dが該食器取出し部35の食器受部36で適切に受け止められ、食器Dが破損することを好適に防止し得る。しかも、食器取出し部35の食器受部36にヒータ39を備えているので、該食器取出し部35から取出される食器Dが適切な温度に温められており、該食器Dに盛り付けられる食品が冷め難くなる。
【0040】
なお、第1実施例の食器ディスペンサMでは、下食器保持部21の左食器保持体30および右食器保持体31の配設間隔を調整すると共に、上食器保持部22の左食器保持体30および右食器保持体31の配設間隔を調整することで、様々なサイズの食器Dの保持が可能であり、左食器保持体30および右食器保持体31の形状を変更することで様々な形状の食器Dの保持が可能である。また、上食器保持部22と下食器保持部21との配設間隔を調整することにより、積み重ね間隔が異なる食器Dの保持も可能である。
【0041】
(第2実施例)
図8および図9は、第2実施例の食器ディスペンサMにおける要部を示す概略側面図および概略正面図である。第2実施例の食器ディスペンサMは、食器棚や調理テーブル等に載置されるフレーム(図示せず)と、このフレームに配設された食器保持機構60と、該フレーム内において食器保持機構60の下側に配設された食器取出し部80とを備えている。そして、第2実施例の食器ディスペンサMは、食器取出し部80と食器保持機構60とを連係する連係機構85を備えており、食器取出し部80の姿勢変位に連動して食器保持機構60が作動するよう構成されている。
【0042】
第2実施例の食器ディスペンサMにおける食器保持機構60は、図8および図9に示すように、積み重ねられた食器Dの側方に配設された第1食器保持部61と、積み重ねられた食器Dを挟んで第1食器保持部61と相対して配設された第2食器保持部62とを備えており、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を保持した状態で、該下側食器D1を下方へ放出可能に構成されている。第1食器保持部61および第2食器保持部62は、食器Dを挟んで対称形態に構成されて基本的な構成は同一であるから、同一部材、部位は同一の符号を付して説明する。
【0043】
第1食器保持部61および第2食器保持部62は、軸方向が水平な回転軸63に配設された上スプロケット(上固定回転体)65と、この回転軸63の下方に離間して配設されて軸方向が水平で該回転軸63と平行な回転軸64に配設された下スプロケット(下固定回転体)66と、これら上スプロケット65および下スプロケット66に巻き掛けられたチェン(移動回転体)67とを備えている。上スプロケット65および下スプロケット66は、夫々の回転軸63,64の軸方向に所要間隔で2つずつ設けられており(図9参照)、各々の上スプロケット65および下スプロケット66に巻掛けられたチェン67,67が同期回転するようになっている。そして、各チェン67の外周面には、図10に示すように、横方向に延在して食器Dに当接する食器保持体68が、該チェン67の周方向へ所要間隔毎に複数(第2実施例では12個)配設されている。また、第1食器保持部61および第2食器保持部62は、回転軸63,64の軸方向において相対してガイド溝70が形成されたガイド板73,73を備え、各食器保持体68は、ガイド溝70に摺動するガイドピン69を備えている。
【0044】
第1食器保持部61と第2食器保持部62とは、各々の回転軸63,63が図示省略したギアまたはチェン等により連係されており、積み重ねられた食器Dに近接する側が下方へ移動するよう反対方向へ同期回転するようになっている。そして、第1食器保持部61および第2食器保持部62は、チェン67における上スプロケット65と巻掛けられた上巻掛け位置67Aにおいて食器保持体68が食器Dに近接して当接し、該チェン67における上スプロケット65から下スプロケット66までの間の巻掛け間位置67Bに位置する食器保持体68が積み重ねられた食器Dに当接し、チェン67における下スプロケット66と巻掛けられた下巻掛け位置67Cにおいて食器保持体68が食器Dから離間するよう構成されている。なお、第1食器保持部61および第2食器保持部62は、チェン67の回転中において前記巻掛け間位置67Bには、3〜4個の食器保持体68が存在するようになっていて、積み重ねられた3〜4個の食器Dを同時に保持し得る。
【0045】
そして、第2実施例の食器ディスペンサMにおける食器保持機構60は、第1食器保持部61および第2食器保持部62間の間隔を調整可能となっており、様々なサイズの食器Dに対応し得る。また、前記チェン67に対する食器保持体68の配設間隔を調整することにより、積み重ね間隔H(図10参照)が異なる食器Dにも対応し得るようになっている。なお前記ガイド溝70は、図10に示すように、チェン67の前記巻掛け間位置67Bにおける上部に対応する位置に、食器D側へ凸となる湾曲部71が形成されている。これにより、チェン67に対する各食器保持体68の配設間隔Wと食器Dの積み重ね間隔Hとを一致させることができない場合には、各食器保持体68の配設間隔Wを食器Dの積み重ね間隔Hより適宜大きく設定することで、各食器保持体68により食器Dを適切に保持し得るようになっている。すなわち、図10に示すように、ガイド溝70の湾曲部71に到来した食器保持体68は、その先端側が斜め上方を向くように姿勢変位するため、当接した食器Dおよびその上に積まれている食器Dを上方へ適宜押し上げるようになる。このため、直接に押し上げられた食器Dと該食器Dの真上に積まれた食器Dとの間に次に到来する食器保持体68が適切に入り込むようになし得る。
【0046】
食器取出し部80は、基本的な構成は第1実施例と同じであり、図8および図9に示すように、食器保持機構60から下方へ放出される前記下側食器D1を受け入れ可能に上方へ開口したバケット状の食器受部81と、この食器受部81の後側に左右水平に延在するように設けられて、フレームに設けた支持軸の挿通を許容する円筒状の支持筒部82とを備えている。また支持筒部82には、図8に示すように、食器保持機構60との連係に供される連係ギア83が設けられている。
【0047】
第2実施例の食器ディスペンサMにおける連係機構85は、前記食器取出し部80に設けた連係ギア83と連係すると共に、前記食器保持機構60の第1食器保持部61における下側の回転軸64に設けたギア72に連係するワンウェイクラッチ86を備えている。このワンウェイクラッチ86は、例えば食器取出し部80が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には該食器取出し部80の姿勢変位を食器保持機構60に伝達せず、食器取出し部80が取出し位置から待機位置に姿勢変位する際に該食器取出し部80の姿勢変位を食器保持機構60に伝達して、該食器保持機構60の第1食器保持部61および第2食器保持部62を、1ストローク(食器保持体68の配設間隔W)分だけ作動させるようになっている。これにより、取出し位置において食器受部81から食器Dを取出した後に、食器取出し部80が待機位置に戻る直前または戻ると同時に、食器保持機構60から1個の食器Dが食器受部81へ放出される。
【0048】
従って、第2実施例の食器ディスペンサMによれば、積み重ねられた食器Dのうちの最も下に位置する下側食器D1の真上に位置する上側食器D2を保持した状態で該下側食器D1を下方へ放出可能な食器保持機構60と、待機位置と取出し位置とに姿勢変位する食器取出し部80とを連係機構85により連係させたことにより、積み重ねられた食器Dを下から順次取出して使用することが可能であり、前記第1実施例の食器ディスペンサMと同等の作用効果を奏する。これにより、上から順次積み重ねられた食器Dを下から順次取出すことができるから、積み重ねられた上方の食器Dだけが使用頻度が高くなったり、積み重ねられた下方の食器Dの使用頻度が低くなることがなく、全ての食器Dの使用頻度が均等になるから、各食器Dの寿命にばらつきが発生しない。また、全ての食器Dが繰り返し使用されるので、下側に積まれている食器Dに埃やゴミ等が付着し難く、使用前に再洗浄する必要もない。
【0049】
また、食器保持機構60の第1食器保持部61と第2食器保持部62の各チェン67が同期回転することで、第1食器保持部61の食器保持体68と第2食器保持部62の食器保持体68とにより上側食器D2を保持した状態で、下側食器D1を適切に放出することができ、積み重ねられた各食器Dを下方へ移動させながらに1つずつ順次放出することができる。また、連係機構85がワンウェイクラッチ86を備えているので、食器取出し部80が待機位置から取出し位置へ姿勢変位する際には食器保持機構60から食器Dが放出されず、食器Dを取出した食器取出し部80が取出し位置から待機位置へ姿勢変位する際には食器保持機構60から下側食器D1が放出されると共に、放出された該下側食器D1を破損することなく食器取出し部80に適切に受け入れることができる。更に、食器取出し部80の食器受部81に、第1実施例と同様に温度調整手段としてのヒータを備えるようにすれば、該食器取出し部80から取出される食器Dが適切な温度に温められており、該食器Dに盛り付けられる食品が冷め難くなる。
【0050】
図11は、前述した第1実施例の食器ディスペンサMまたは第2実施例の食器ディスペンサMを備えた食器取出機構Kが装備された自動盛付け機Nを概略的に示す説明図である。前記食器取出機構Kは、第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサMと、この食器ディスペンサMから食品盛付け部Jを通過するように配設され、該食器ディスペンサMの食器取出し部35,80から取出された食器Dを該食品盛付け部Jへ搬送する食器搬送手段Cとを備えている。食器搬送手段Cは、ベルトやキャタピラ状の回転移動体である。また食品盛付け部Jは、食器搬送手段Cを介して下方に位置決めされた食器Dに対し、所定の食品を盛付ける機構を備えている。なお、必要に応じて、食器取出し部35,80から食器搬送手段Cへ食器Dを移載する食器移載手段が備えられる。
【0051】
従って、図11に示した食器取出機構Kを装備した自動盛付け機Nは、食器ディスペンサMに積み重ねられた食器Dを下から1つずつ取出し、該食器Dを食器搬送手段Cを介して食品盛付け部Jへ搬送したもとで、該食器Dに食品を適切に盛り付けることができる。従って、図11に示した自動盛付け機Nは、食器ディスペンサMに積み重ねられた食器Dの全てを効率良く取出し、該食器Dに効率よく食品を盛付けることができる。
【0052】
(変更例)
(1)第1実施例では、食器保持部の食器保持体は旋回式のものに限定されず、食器を挟んで相対して、該食器に対して直線的に近接・離間移動するものであってもよい。
(2)連係機構の第1連係部および第2連係部は、カム溝およびフォロワの組合わせに限定されず、食器取出し部の姿勢変位を検知して、食器保持部を電気的または電磁的に作動させる形態であってもよい。
(3)第2実施例では、巻掛け間位置に存在する食器保持体の数は、少なくとも2つの食器保持体が位置して、常に2個の食器(下側食器と上側食器)を保持するようになっていれば、下側食器を適切に放出することができる。
(4)第2実施例では、チェンおよびスプロケットに限定されず、タイミングベルトおよびベルト車の構成であってもよい。
(5)第2実施例の連係機構は、ワンウェイクラッチに限定されず、ラチェット等であってもよい。
(6)第1実施例および第2実施例では、食器取出し部に配設された温度調整手段は、ヒータに限定されず、食器を冷やすクーラーであってもよい。
(7)第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサを備えた食器取出機構は、図11に示した自動盛付け機に装備するものに限らず、食材を調理する自動調理機等に装備することも可能である。
(8)第1実施例および第2実施例では、食器取出し部に配設された温度調整手段に代えて、洗浄後に食器ディスペンサに濡れた状態で積み重ねられた食器を乾かす食器乾燥手段を備えるようにしてもよい。なお食器乾燥手段としては、ヒータ等の加熱手段、ファン等の送風手段、布やスポンジ等の水分拭取手段、電磁波発生手段等が適宜採用可能である。
(9)第1実施例または第2実施例の食器ディスペンサは、積み重ねた食器の上方に食器を順次積み重ねる食器積載手段を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
21 下食器保持部(第1食器保持部),22 上食器保持部(第2食器保持部),
23 左食器保持体(食器保持体),24 右食器保持体(食器保持体),
30 左食器保持体(食器保持体),31 右食器保持体(食器保持体),
35 食器取出し部,39 ヒータ(温度調整手段),40 連係機構,41 第1連係部,
42 第2連係部,43,45 第1フォロワ,44,46 第1カム溝,
47,49 第2フォロワ,48,50 第2カム溝,60 食器保持機構,
61 第1食器保持部,62 第2食器保持部,65 上スプロケット(上固定回転体),
66 下スプロケット(下固定回転体),67 チェン(移動回転体),
67A 上巻掛け位置,67B 巻掛け間位置,67C 下巻掛け位置,68 食器保持体,
80 食器取出し部,85 連係機構,86 ワンウェイクラッチ,C 食器搬送手段,
D 食器,D1 下側食器,D2 上側食器,M 食器ディスペンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に積み重ねられた食器(D)を下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器(D)のうちの最も下に位置する下側食器(D1)を、下方へ落下放出可能に保持する第1食器保持部(21)と、
積み重ねられた食器(D)のうちの前記下側食器(D1)の真上に位置する上側食器(D2)を、前記第1食器保持部(21)に向け落下放出可能に保持する第2食器保持部(22)と、
前記第1食器保持部(21)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器(D1)から放出された該下側食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(35)と、
前記食器取出し部(35)と前記第1食器保持部(21)および第2食器保持部(22)とを連係させ、該食器取出し部(35)の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器(D)を下から順次取出し得るように該第1食器保持部(21)および第2食器保持部(22)を作動させる連係機構(40)とを備えた
ことを特徴とする食器ディスペンサ。
【請求項2】
前記第1食器保持部(21)は、前記下側食器(D1)を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該下側食器(D1)を挟持する食器保持位置および離間移動して該下側食器(D1)から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体(23,24)を備え、
前記第2食器保持部(22)は、前記上側食器(D2)を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該上側食器(D2)を挟持する食器保持位置および離間移動して該上側食器(D2)から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体(30,31)を備えた請求項1記載の食器ディスペンサ。
【請求項3】
前記連係機構(40)は、カム溝とフォロワとの組合わせであって、
前記食器取出し部(35)側に設けた第1カム溝(44,46)と、前記第1食器保持部(21)に前記第1カム溝(44,46)へ摺接自在に設けた第1フォロワ(43,45)とにより、該食器取出し部(35)の前記取出し位置から待機位置への姿勢変位において該第1食器保持部(21)が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第1連係部(41)と、
前記食器取出し部(35)側に設けた第2カム溝(48,50)と、前記第2食器保持部(22)に前記第2カム溝(48,50)へ摺接自在に設けた第2フォロワ(47,49)とにより、該食器取出し部(35)の前記待機位置から取出し位置への姿勢変位において該第2食器保持部(22)が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第2連係部(42)とを備える請求項1または2記載の食器ディスペンサ。
【請求項4】
上下に積み重ねられた食器(D)を下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器(D)のうちの最も下に位置する下側食器(D1)の真上に位置する上側食器(D2)を保持した状態で、該下側食器(D1)を下方へ放出可能な食器保持機構(60)と、
前記食器保持機構(60)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(80)と、
前記食器取出し部(80)と前記食器保持機構(60)とを連係させ、該食器取出し部(80)の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器(D)を下側から順次取出し得るよう該食器保持機構(60)を作動させる連係機構(85)とを備えた
ことを特徴とする食器ディスペンサ。
【請求項5】
前記食器保持機構(60)は、
前記積み重ねられた食器(D)の側方に配設されて外周に複数の食器保持体(68)を備え、少なくとも前記下側食器(D1)および前記上側食器(D2)に当接した前記食器保持体(68)が下方へ移動すると共に、下側食器(D1)に当接した該食器保持体(68)を該下側食器(D1)から待避させるよう回転する第1食器保持部(61)と、
前記積み重ねられた食器(D)を挟んで前記第1食器保持部(61)と相対して配設されて外周に複数の食器保持体(68)を備え、少なくとも前記下側食器(D1)および前記上側食器(D2)に当接した前記食器保持体(68)が下方へ移動すると共に、下側食器(D1)に当接した該食器保持体(68)を該下側食器(D1)から待避させるよう前記第1食器保持部(61)と同期回転する第2食器保持部(62)とを備える請求項4記載の食器ディスペンサ。
【請求項6】
前記第1食器保持部(61)および第2食器保持部(62)は、水平軸回りに回転可能で上下に離間して配設された上固定回転体(65)および下固定回転体(66)と、前記上固定回転体(65)および下固定回転体(66)間に巻掛けられて両固定回転体(65,66)の回転により周回移動し、外周面に前記各食器保持体(68)が周回方向へ所要間隔毎で配設された移動回転体(67)とを備え、
前記各食器保持体(68)は、前記移動回転体(67)の前記上固定回転体(65)と巻掛けられた上巻掛け位置(67A)において前記食器(D)に近接して当接し、該移動回転体(67)の前記上固定回転体(65)から下固定回転体(66)までの間の巻掛け間位置(67B)において該食器(D)に当接した状態に保持され、前記移動回転体(67)の前記下固定回転体(66)と巻掛けられた下巻掛け位置(67C)において前記食器(D)から離間するよう構成された請求項5記載の食器ディスペンサ。
【請求項7】
前記連係機構(85)は、前記食器取出し部(80)の待機位置から取出し位置への姿勢変位を前記食器保持機構(60)へ伝達せず、該食器取出し部(80)の取出し位置から待機位置への姿勢変位を該食器保持機構(60)へ伝達するワンウェイクラッチ(86)を備え、
前記ワンウェイクラッチ(86)は、前記食器取出し部(80)の取出し位置から待機位置への姿勢変位に応じて、前記食器保持機構(60)が前記下側食器(D1)の放出動作を行ない得る動作量を該食器保持機構(60)に付与する請求項5または6記載の食器ディスペンサ。
【請求項8】
前記食器取出し部(35/80)は、食器(D)の温度を調整する温度調整手段(39)を備える請求項1〜7の何れか一項に記載の食器ディスペンサ。
【請求項9】
前記食器取出し部(35/80)は、食器(D)を乾燥させる食器乾燥手段を備える請求項1〜7の何れか一項に記載の食器ディスペンサ。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の食器ディスペンサ(M)と、該食器ディスペンサ(M)から取出した食器(D)を搬送する食器搬送手段(C)とを備えた食器取出機構。
【請求項1】
上下に積み重ねられた食器(D)を下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器(D)のうちの最も下に位置する下側食器(D1)を、下方へ落下放出可能に保持する第1食器保持部(21)と、
積み重ねられた食器(D)のうちの前記下側食器(D1)の真上に位置する上側食器(D2)を、前記第1食器保持部(21)に向け落下放出可能に保持する第2食器保持部(22)と、
前記第1食器保持部(21)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器(D1)から放出された該下側食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(35)と、
前記食器取出し部(35)と前記第1食器保持部(21)および第2食器保持部(22)とを連係させ、該食器取出し部(35)の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器(D)を下から順次取出し得るように該第1食器保持部(21)および第2食器保持部(22)を作動させる連係機構(40)とを備えた
ことを特徴とする食器ディスペンサ。
【請求項2】
前記第1食器保持部(21)は、前記下側食器(D1)を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該下側食器(D1)を挟持する食器保持位置および離間移動して該下側食器(D1)から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体(23,24)を備え、
前記第2食器保持部(22)は、前記上側食器(D2)を挟んだ横方向で相対して配設され、互いに近接移動して該上側食器(D2)を挟持する食器保持位置および離間移動して該上側食器(D2)から待避する食器解放位置に変位自在な一対の食器保持体(30,31)を備えた請求項1記載の食器ディスペンサ。
【請求項3】
前記連係機構(40)は、カム溝とフォロワとの組合わせであって、
前記食器取出し部(35)側に設けた第1カム溝(44,46)と、前記第1食器保持部(21)に前記第1カム溝(44,46)へ摺接自在に設けた第1フォロワ(43,45)とにより、該食器取出し部(35)の前記取出し位置から待機位置への姿勢変位において該第1食器保持部(21)が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第1連係部(41)と、
前記食器取出し部(35)側に設けた第2カム溝(48,50)と、前記第2食器保持部(22)に前記第2カム溝(48,50)へ摺接自在に設けた第2フォロワ(47,49)とにより、該食器取出し部(35)の前記待機位置から取出し位置への姿勢変位において該第2食器保持部(22)が前記食器保持位置と食器解放位置とを一往復するよう姿勢変位させる第2連係部(42)とを備える請求項1または2記載の食器ディスペンサ。
【請求項4】
上下に積み重ねられた食器(D)を下から順次取出し可能な食器ディスペンサであって、
積み重ねられた食器(D)のうちの最も下に位置する下側食器(D1)の真上に位置する上側食器(D2)を保持した状態で、該下側食器(D1)を下方へ放出可能な食器保持機構(60)と、
前記食器保持機構(60)の下方に姿勢変位可能に配設され、前記下側食器(D1)を受け入れて待機する待機位置および受け入れた該下側食器(D1)の取出しを可能とする取出し位置に姿勢変位自在な食器取出し部(80)と、
前記食器取出し部(80)と前記食器保持機構(60)とを連係させ、該食器取出し部(80)の前記待機位置と取出し位置との間の姿勢変位に連動して、前記食器(D)を下側から順次取出し得るよう該食器保持機構(60)を作動させる連係機構(85)とを備えた
ことを特徴とする食器ディスペンサ。
【請求項5】
前記食器保持機構(60)は、
前記積み重ねられた食器(D)の側方に配設されて外周に複数の食器保持体(68)を備え、少なくとも前記下側食器(D1)および前記上側食器(D2)に当接した前記食器保持体(68)が下方へ移動すると共に、下側食器(D1)に当接した該食器保持体(68)を該下側食器(D1)から待避させるよう回転する第1食器保持部(61)と、
前記積み重ねられた食器(D)を挟んで前記第1食器保持部(61)と相対して配設されて外周に複数の食器保持体(68)を備え、少なくとも前記下側食器(D1)および前記上側食器(D2)に当接した前記食器保持体(68)が下方へ移動すると共に、下側食器(D1)に当接した該食器保持体(68)を該下側食器(D1)から待避させるよう前記第1食器保持部(61)と同期回転する第2食器保持部(62)とを備える請求項4記載の食器ディスペンサ。
【請求項6】
前記第1食器保持部(61)および第2食器保持部(62)は、水平軸回りに回転可能で上下に離間して配設された上固定回転体(65)および下固定回転体(66)と、前記上固定回転体(65)および下固定回転体(66)間に巻掛けられて両固定回転体(65,66)の回転により周回移動し、外周面に前記各食器保持体(68)が周回方向へ所要間隔毎で配設された移動回転体(67)とを備え、
前記各食器保持体(68)は、前記移動回転体(67)の前記上固定回転体(65)と巻掛けられた上巻掛け位置(67A)において前記食器(D)に近接して当接し、該移動回転体(67)の前記上固定回転体(65)から下固定回転体(66)までの間の巻掛け間位置(67B)において該食器(D)に当接した状態に保持され、前記移動回転体(67)の前記下固定回転体(66)と巻掛けられた下巻掛け位置(67C)において前記食器(D)から離間するよう構成された請求項5記載の食器ディスペンサ。
【請求項7】
前記連係機構(85)は、前記食器取出し部(80)の待機位置から取出し位置への姿勢変位を前記食器保持機構(60)へ伝達せず、該食器取出し部(80)の取出し位置から待機位置への姿勢変位を該食器保持機構(60)へ伝達するワンウェイクラッチ(86)を備え、
前記ワンウェイクラッチ(86)は、前記食器取出し部(80)の取出し位置から待機位置への姿勢変位に応じて、前記食器保持機構(60)が前記下側食器(D1)の放出動作を行ない得る動作量を該食器保持機構(60)に付与する請求項5または6記載の食器ディスペンサ。
【請求項8】
前記食器取出し部(35/80)は、食器(D)の温度を調整する温度調整手段(39)を備える請求項1〜7の何れか一項に記載の食器ディスペンサ。
【請求項9】
前記食器取出し部(35/80)は、食器(D)を乾燥させる食器乾燥手段を備える請求項1〜7の何れか一項に記載の食器ディスペンサ。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の食器ディスペンサ(M)と、該食器ディスペンサ(M)から取出した食器(D)を搬送する食器搬送手段(C)とを備えた食器取出機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−200289(P2012−200289A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64902(P2011−64902)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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