説明

食器整理装置及び食器洗浄機並びに食器洗浄整理装置

【課題】食器整理装置において、食器が破損したり、着地時の音が大きくなることを防止すると同時に、大量の食器の洗浄、整理を短時間で可能にすることを目的とする。
【解決手段】食器整理装置3の滑り台31を食器整理装置3の側端から外方向へ突出させないで設け、食器洗浄機2のコンベア21の終端部20を食器洗浄機2の筐体200から突出して設け、食器整理装置3の一部をコンベア21の終端部20の下方に位置させて設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器整理装置及び食器洗浄機並びに食器洗浄整理装置に関し、詳しくは同一形状の食器を多量に洗浄、整理する為に用いる食器整理装置及び食器洗浄機並びに食器洗浄整理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から学校、病院、給食センター等で、給食や病院の食事用に用いられる皿、茶碗、お椀、お盆等の食器を、食器の種類毎に自動的に洗浄機へ供給し、コンベア上に乗せて移動させながら食器の洗浄、乾燥を行なう食器洗浄機、該食器洗浄機から排出された洗浄、乾燥済みの食器を自動的に重ねて整理する食器整理装置が使用され、これらを組合わせて自動的に食器の洗浄、乾燥、整理を行なう食器洗浄、整理システムが用いられている(特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかし、この従来の食器洗浄、整理システムは、図7に示すように、食器洗浄機2000の食器排出端側に食器整理装置3000が設置され、両装置はその端面を対向させて横並びに設置されている。そして、食器洗浄機2000のコンベア2001は食器洗浄機2000内部に収納され、食器整理装置3000は、食器整理装置3000本体から食器洗浄機2000内部に、食器洗浄機2000から排出された食器を食器処理装置3000へ滑らせて案内する滑り台3001を張出させていた。
【0004】
このような構成であると、滑り台が食器の長さよりかなり長くなり、食器は自動落下するため、食器の移動速度を制御することができず、落下速度が速くなり、食器が破損したり、着地時の音が大きくなるという問題点があった。特に、磁器製の食器においては、合成樹脂製の食器に比べてこの問題が顕著であった。
【0005】
そこで、滑り台での移動速度を抑制する機構が用いられている。例えば、滑り台に対向させて押え板を設け、滑り台と押え板で落下する食器を挟み込んで、落下速度を調整する食器整理装置が提案されている(特許文献3参照。)。又、滑り台の上面に、樹脂製の滑り止めシートを貼付する等の滑り止めの処理を施したものが使用されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−239268号公報
【特許文献2】実用新案登録第3074587号公報
【特許文献3】実開平7−28115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記滑り台での移動速度を抑制する機構を用いた場合、食器整理装置の滑り台での食器の移動速度が遅くなり、1枚1枚の整理時間が長くなり、多量の食器を洗浄、整理する場合、整理時間が長くなるという欠点を有していた。又、食器が滑り台上で完全に止まってしまう場合もあった。更に食器に米粒等がこびりついている場合にも移動速度が遅くなったり、完全に止まってしまうことがあり、食器によって滑り台上での移動時間にばらつきが生じ、落下してきた食器を所定位置に移動させるスライダとのタイミングが合いにくくなってしまう。その結果、食器が食器整理装置の中で転倒する等して、整理処理がうまくいかない場合が頻発するという欠点、食器の洗浄機への供給速度、即ち洗浄、整理速度を速くすることが出来ないという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、食器整理装置において、食器が破損したり、着地時の音が大きくなることを防止すると同時に、食器の移動時間、特に滑り台上での食器の移動時間を一定にし、食器の整理処理の失敗を防止すること、又、食器の整理処理速度を速めること、食器の洗浄及び整理速度を速めることを目的とする。そして、大量の食器の洗浄、整理を短時間で可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、食器洗浄機から排出される洗浄済みの食器を、食器洗浄機のコンベアの終端部に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した滑り台で受け、滑り台上を滑り落として、ガイドに送り、ガイド内を前後運動するスライダで食器をガイド内で重ねて整理する食器整理装置であって、前記滑り台を食器整理装置の側端から外方向へ突出させないで設けたことを特徴とする食器整理装置である。
【0010】
又、食器洗浄機から排出される洗浄済みの食器を、食器洗浄機のコンベアの終端部に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した滑り台で受け、滑り台上を滑り落として、ガイドに送り、ガイド内を前後運動するスライダで食器をガイド内で重ねて整理する食器整理装置であって、前記滑り台を食器整理装置の側端の内側に設けたことを特徴とする食器整理装置である。
【0011】
又、上記食器整理装置において、前記滑り台の上面又は/及び前記スライダの横板の上面には複数に分割された合成樹脂製の板状パネルを設置したことを特徴とする食器整理装置である。
【0012】
又、上記食器整理装置において、前記ガイドには、前記ガイドの内側面から出没自在の支持爪が設けられ、該支持爪は前記ガイドに固定する基部に、前記支持爪を固定する支持部を蝶番で回動自在に軸支し、前記基部と前記支持部を引っ張りコイルバネで連結し、ガイド内に突出するよう付勢されていることを特徴とする食器整理装置である。
【0013】
又、上記食器整理装置において、前記ガイドには、食器の上部を滑り台方向に押圧するに当接する転倒防止爪が設けられ、該転倒防止爪は前記ガイドに固定する基部に、前記転倒防止爪を固定する支持部を蝶番で回動自在に軸支し、前記基部と前記支持部を引っ張りコイルバネで連結し、前記滑り台方向に付勢されていることを特徴とする食器整理装置である。
【0014】
又、コンベア上に食器を乗せ、前後端に搬入口と排出口が形成された筐体内の洗浄室を移動させ、食器を洗浄する食器洗浄機であって、前記コンベアの終端部を食器洗浄機の前記筐体から突出して設けたことを特徴とする食器洗浄機である。
【0015】
又、コンベア上に食器を乗せ、前後端に搬入口と排出口が形成された筐体内の洗浄室を移動させ、食器を洗浄する食器洗浄機であって、食器洗浄機の筐体から、排出口から外方向に突出した支持部でコンベアの終端部の回転軸を回転自在に支持したことを特徴とする食器洗浄機である。
【0016】
又、上記食器洗浄機において、前記コンベアは、複数本の支軸を横に渡し、爪を外方に突設した爪板を前記支軸で軸支して前記支軸間に架設し、複数の前記爪板を直線状に連設し、前記爪と爪の間隔は50mm以下、10mm以上であることを特徴とする食器洗浄機である。
【0017】
又、上記食器洗浄機において、前記コンベアは、複数本の支軸を横に渡し、爪を外方に突設した爪板を前記支軸で軸支して前記支軸間に架設し、複数の前記爪板を直線状に連設すると共に、支軸間に、食器の横ずれを防止する仕切り部材を軸支し、複数の仕切り部材をコンベアに直線状に連設したことを特徴とする食器洗浄機である。
【0018】
又、上記食器整理装置と上記食器洗浄機を備えて構成され、上記食器整理装置は、上記食器洗浄機の終端側に連接して設置されると共に、上記食器整理装置の一部を上記コンベアの終端部の下方に位置させて設置したことを特徴とする食器洗浄整理装置である。
【0019】
又、滑り台を食器整理装置の側端から外方向へ突出させないで設けた食器整理装置を、コンベアの終端部を食器洗浄機の筐体から突出して設けた食器洗浄機の終端側に連接して設置すると共に、前記食器整理装置の一部を前記コンベアの終端部の下方に位置させて設置し、前記食器洗浄機から排出される洗浄済みの食器を、前記食器洗浄機のコンベアの終端部に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した前記滑り台で受け、前記滑り台上を滑り落として、ガイドに送り、ガイド内を前後運動するスライダで食器をガイド内で重ねて整理することを特徴とする食器整理方法である。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明によれば、食器整理装置の滑り台の距離を短くすることができたので、食器の加速が抑制され、食器整理装置において、食器が破損したり、着地時の音が大きくなることを防止すると同時に、食器の移動時間、特に滑り台上での食器の移動時間を一定にし、食器の整理処理の失敗を防止することが可能となり、又、食器の整理処理速度を速めること、食器の洗浄及び整理処理速度を速めることが可能となった。そして、大量の食器の洗浄、整理を短時間で行なうことが可能となった。
【0021】
特に、爪の間隔を短くしたので、コンベア上での移動時間の差を縮めることが出来、食器の移動時間をより一定にすることが可能となった。又、仕切部材を設けたので、食器がコンベア上で左右に移動することが抑制され、コンベア上での移動時間の差を縮めることが出来、食器の移動時間をより一定にすることが可能となった。そして、大量の食器の洗浄、整理を短時間で行なうことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。
本発明の食器洗浄整理装置1は、図2に示すように、食器洗浄機2及び食器整理装置3を備えて構成されている。食器整理装置3は、食器洗浄機2から洗浄した食器が排出される食器洗浄機2の終端側に連接して設置されている。
【0023】
本発明の食器洗浄機2は、食器4の移送手段であるコンベア21を備え、食器4の搬入口202から排出口201までいたる該コンベア21上に食器4をうつ伏せにして乗せ、搬入口202から排出口201まで移送し、その途中で洗浄室210の上下、或いは加えて側面に設けた洗浄液用ノズル211から噴射される洗浄液で食器4を洗浄し、次いで濯ぎ室220の上下、或いは加えて側面に設けたすすぎ用ノズル221から噴射されるすすぎ水で食器4をすすぎ、更に乾燥室230の送風ノズル231からの送風により食器の水を切り、排出口201に送るものである。又、食器洗浄機2は、筐体200にコンベア21、ノズル211,221,231、図示しない送液用のポンプ、送風機、モータ51等を設置して構成し、筐体200の前後端に搬入口202と排出口201が形成され、内部に洗浄室210、濯ぎ室220及び乾燥室230が設けられている。尚、乾燥室230を設けず、濯ぎ室に排出口を設けてもよい。
【0024】
図1によく示すように、食器洗浄機2の排出口201を備える略直方体の筐体200の排出口201下部にはモータ51が設置され、筐体200から、排出口201から外方向、即ち食器整理装置3方向に突出した支持部270でコンベア21の終端部20の回転軸54を回転自在に支持し、チェーンベルト52、歯車50、53を介してモータ51の回転を歯車53と固定された回転軸54に伝達し、支持部270の内側に回転軸54に固定した図示しない歯車で、コンベア21の支軸211と噛合い、コンベア21を支持すると共に回転させている。従って、回転軸54はモータ51の真上ではなく、筐体200から突出し、食器整理装置3方向にずれて設置されている。そして、コンベア21の食器整理装置3側の終端部20は食器洗浄機2から食器整理装置3側に突出し、筐体200から食器整理装置3方向へ突出し、食器整理装置3の上方に位置している。
【0025】
食器洗浄機2の搬入口202の手前側には、食器供給装置250を設けることとしてもよい。この食器供給装置250は、うつ伏せにして重ねられた未洗浄の食器4を、自動的に一定時間毎に1枚づつコンベア21上に供給するものであり、公知のものを使用することが出来る。その構成、作用を簡単に説明すると、所定間隔をおいて立てられた2本の円柱状の回転軸と、この2本の回転軸とで三角形を構成する傾斜した支持板で、うつ伏せにして重ねられた食器を支持し、2本の回転軸の下部には円形の支持爪を2段にして設け、夫々異なる位置に切欠き部を設け、両回転軸をモータで回転させ、上段の支持爪で支持された食器は、切欠き部で支持が解除され、1枚づつ下段の支持爪に落ちて支持され、更に回転軸が回転することにより、完全に支持が解かれ、コンベア21上にうつ伏せのまま落下する。このようにして、1枚づつ所定の間隔で食器洗浄機2へ食器4を供給する。
【0026】
本発明の食器整理装置3は、食器洗浄機2の排出口201から排出され、コンベア21上から落下した洗浄、乾燥済みの食器4を受け、複数の食器4を重ねて整理するものである。食器整理装置3は、図1によく示すように、その一部、即ち食器洗浄機2側の部分を、食器洗浄機2の筐体200から食器整理装置3方向に突出させたコンベア21の食器整理装置3側の終端部20の下にもぐり込ませて設置している。
【0027】
このような構成、更には上述のように、食器洗浄機2の回転軸54はモータ51の真上ではなく、筐体200から突出し、食器整理装置3方向にずれて設置され、コンベア21の食器整理装置3側の端部20は食器洗浄機2から食器整理装置3側に突出し、食器整理装置3の上部に位置している構成により、後述する滑り台21を食器整理装置3の食器洗浄機2に対向する側端から食器洗浄機2方向へ突出させない構成とすることが出来、滑り台21を従来技術に比べ約半分の長さに短縮することが出来る。
【0028】
図1に示すように、洗浄及び乾燥処理され、食器洗浄機2の排出口201から排出された食器40は、コンベア21の食器整理装置3側の終端部20でコンベア21から落下し、コンベア21の終端部20に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した平板状の滑り台31にうつ伏せのまま乗り、滑り台31上を滑り落ち、スライダ70の横板72又はガイド71の底面710上に立った状態で落ちる。滑り台31は食器整理装置3の側端から外方向、特に食器洗浄機2方向へ突出させないで設けて、云いかえれば食器整理装置の側端の内側に設けている。
【0029】
コンベア21は、図4に示すように、複数本の支軸211を横に渡し、食器を引掛ける爪212を外方に突設した爪板213を前記支軸211で軸支して、支軸211,211間に架設し、複数の爪板213をコンベア21に進行方向に直線状に連設して構成する。爪板213は、1の洗浄ラインにおいて、1列でもよいが、食器の確実な支持のため、複数本設けることが好ましい。又、爪板213に設ける爪212の間隔(ピッチ)は出来るだけ短くすることが、食器4の移動タイミングのずれを防止するために好ましく、洗浄対象の食器の形状にもよるが、その間隔は50mm以下、10mm以上が好ましく、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは35mm〜25mmである。
【0030】
更に、コンベア21には、洗浄ラインの設置数に対応して、食器4の横ずれ防止のために、即ち、食器4が他の洗浄ラインに入ってしまうことや、直線状に進まず蛇行してしまうことを防止するために、支軸211,211間に、仕切り部材214を軸支し、複数の仕切り部材214をコンベア21の進行方向に直線状に連設することが好ましい。仕切り部材214としては、爪板213より高い板状体や板体から突起を突出させた形状等を採用することが出来る。
【0031】
図4に示すように、滑り台31のコンベア21側の端部は、櫛状に形成し、仕切り部材214と爪板213間、爪板213,213間に櫛歯部312を配置することが好ましい。
【0032】
ガイド71は先端方向を高い位置に保持して傾斜させた樋状の部材であり、食器が落ちる際に食器がうつ伏せ状或いは仰向け状に倒れないように、滑り台31終端の上部であって、ガイド71両側にガイド71の内方に突出する転倒防止板39を設けることが好ましい。
【0033】
スライダ70は、食器4を収納するガイド71内で重ねて整理するものであり、横板72と横板72の先端から下方に曲折した縦板73で側面視略L字型に構成し、図3によく示すように、縦板73はガイド71の形状に対応し、ガイド71の内壁面に近接した形状とし、後述するガイド71の底面に設けた爪34,35と当接しないように切欠き部731を設けている。スライダ70は食器整理装置3に回動自在に軸支されたアーム59と軸支して連結している。アーム59はバネ56で後方に付勢されており、図示しない2個のモータと連結された夫々直径の異なる円板57,58を食器整理装置3の下部に設けると共に、円板57,58には夫々突起571,581を偏心させて設け、モータに連動させて円板57,58を回転させて、突起571,581でアームを前方に押圧してアームに前後運動をおこし、スライダ70にストロークの異なる前後運動をおこしている。小径の円板58を一定回数、例えば5回転回転させた後に、大径の円板57を1回回転させる。この動作により、スライダ70はショートストロークの前後運動を5回行い、その後ロングストロークの前後運動を1回行なう。
【0034】
前進運動を起こす前の位置にあるアーム59はスライダ70を前進させず、スライダ70はガイド71の基端部に位置する。そして、ガイド71内の基端部に位置する食器41は、ショートストロークの前進運動を行なった際のアーム591により前進運動を起こしたスライダ701の短い前進運動、後述するショートストローク用支持爪32,34を超えた前進運動により押され、ガイド71の先端方向に移動する。尚、スライダ70の横板72上に落ちた食器40は、スライダ70の後進運動により、ガイド71内の基端部の底面710上に立った状態で落ち、その後は上記と同様に処理される。
【0035】
ガイド71内での食器4の保持の為、ガイド71の内側面には内側面から出没自在の支持爪を設けている。具体的には、図3〜5によく示すように、ガイド71の底面には下部ショートストローク用支持爪34、両側面には側部ショートストローク用支持爪32が設けられ、ガイド71の先端方向に、これらの支持爪34,32と所定の間隔をおいて、ガイド71の底面には下部ロングストローク用支持爪35、両側面には側部ロングストローク用支持爪33が設けられている。側部の支持爪32,33は、スライダ70と接触しないようにスライダ70の上方に設けている。
【0036】
これらの支持爪32,33,34,35は、ガイド71の先端方向に立ち上がる略直角三角形の部材で、回動自在に軸支されると共に、バネが設けられて平時はガイド71内に突出しているが、押圧することにより、ガイド71外側に陥入する。
【0037】
ガイド71の先端方向に移動する食器4は、下部ショートストローク用支持爪34及び側部ショートストローク用支持爪32を押圧し、これらの支持爪32,34を陥入させて乗り越える。食器4が乗り越えると支持爪32,34はガイド71内に突出し、食器42を支持する。
【0038】
このショートストローク動作の繰返しで、食器4が積み重ねられて下部ショートストローク用支持爪34及び側部ショートストローク用支持爪32に支持される。スライダ70は、予め定められた所定数のショートストロークの前後運動の終了後、ロングストロークの前後運動、ロングストローク用爪33,35を超えた前進運動を行い、下部ショートストローク用支持爪34及び側部ショートストローク用支持爪32に支持されていた複数の食器42は、スライダ702にて更にガイド71の先端方向に移動し、下部ロングストローク用支持爪35及び側部ロングストローク用支持爪33を押圧し、これらの支持爪33,35を陥入させて乗り越える。食器4が乗り越えると支持爪33,35はガイド71内に突出し、複数の食器43を支持する。
【0039】
このようにして、下部ロングストローク用支持爪35及び側部ロングストローク用支持爪33に支持された複数の食器4がガイド71内に重ねて整理される。尚、食器洗浄装置2において、コンベア21上には複数の洗浄ラインを設けることが出来、或いは所定のライン数に応じて複数のコンベア21を設けることも出来る。そして、食器整理装置3は、食器洗浄装置2に設けたライン数に応じて複数設け、この場合、1個の筐体200内に複数の食器洗浄装置2を設置してもよい。同様に、食器供給装置250も食器洗浄装置2に設けたライン数に応じて複数設けることが出来る。複数設けた洗浄ラインの幅は、洗浄する食器に応じた幅とし、同一幅で複数設けてもよいが、異なる幅とし、複数種の食器を一度に処理可能としてもよい。
【0040】
又、下部ショートストローク用爪34及び側部ショートストローク用爪32に支持されたガイド71内の食器42、特にお椀や丸皿の転倒を防止するため、図3、4及び6によく示すように、食器42の上部に当接する転倒防止爪36をガイド71の上部に設けることが好ましい。転倒防止爪36はガイド71に回動自在に軸支されると共に、バネが設けられて滑り台31方向に付勢され、食器42の上部を滑り台31方向に押圧する。又、トレーや角皿はお椀や丸皿とは逆、うつ伏せに倒れ易いので、転倒防止爪は食器4の下部を滑り台31方向に押圧するようガイド71の下部に設ける構成することが好ましい。
【0041】
又、下部支持爪34,35及び側部支持爪32,33のバネは、図8に示すように、スプリング蝶番349を使用すると、バネの耐久性に問題があるので、図5に示すように、ガイド71に固定する基部340に、支持爪34,35,32,33を固定する支持部341を蝶番342で回動自在に軸支し、基部340と支持部341を引っ張りコイルバネ343で連結して構成することが好ましい。更に、基部340及び支持部341と引っ張りコイルバネ343は、リング344を介して連結することで更に耐久性が高くなるので好ましい。
【0042】
尚、転倒防止爪36のバネは、図9に示すように、スプリング蝶番369を使用すると、バネの耐久性に問題があるので、図6に示すように、ガイド71に固定する基部360に、転倒防止爪36を固定する支持部361を蝶番367で回動自在に軸支し、基部360と支持部361を引っ張りコイルバネ363で連結して構成することが好ましい。更に、基部360及び支持部361と引っ張りコイルバネ363は、リング364を介して連結することで更に耐久性が高くなるので好ましい。
【0043】
又、スライダ70の横板72の上面には食器落下時のクッションとなる合成樹脂製の板状パネル720を設置することが好ましく、更に、この樹脂パネルはスライダ70の長手方向に3分割され、食器との接触が多い中央のパネル721のみ交換可能とすることが好ましい。又、滑り台21の上面にも、複数に分割され、各部分のみ交換可能な合成樹脂製の板状パネル311を設置することが好ましい。
【0044】
尚、本発明において、食器には、皿、茶碗、おわん等の他、お盆等も含まれ、その材質は特に限定されないが、本発明は、重く、破損し易い磁器食器や、大きくて重いために破損し易い合成樹脂製のお盆等に特に有用である。
【実施例】
【0045】
本発明の食器洗浄整理装置1及び比較例としての従来の食器洗浄処理装置を用いて、食器の洗浄、整理処理速度の限界値及びその処理精度について試験を行なった。
【0046】
本発明の食器洗浄整理装置1は滑り台の長さが244mmで、食器供給装置250を用いた。比較例の食器洗浄整理装置1000は、図7に示すように、食器洗浄機2000の食器排出端側に食器整理装置3000が設置され、両装置はその端面を対向させて横並びに設置され、食器洗浄機2000のコンベア2001は食器洗浄機2000内部に収納され、食器整理装置3000は、食器整理装置3000から食器洗浄機2000内部に、滑り台を張出させ、滑り台の長さが437mmで、滑り台上には樹脂製の滑り止めシートを貼付し、実施例と同様の食器供給装置250を用いた。
【0047】
食器供給装置250が1枚の食器を食器洗浄機に供給する速度(以下「供給速度」という。)に合わせ、食器整理装置のスライダがショートストロークにおいて1往復する速度、即ち食器を積み重ねて整理出来る速度(以下「整理速度」という。)及びコンベアの速度を調整した。又、スライダはショートストロークの前後運動を10回行い、その後ロングストロークの前後運動を1回行なうようにした。
【0048】
食器整理装置側で正常に動作するかを目視確認し、食器洗浄整理装置を完全に停止する必要がある状況、例えば食器が滑り台上で渋滞し接触する状況、ガイド内で仰向けに倒れる状況、の場合をNGとし、食器洗浄整理装置を停止することなく、ユーザーが対応でき、連続運転が可能な範囲の食器の乱れを伏せ倒れとした。
【0049】
洗浄、整理処理の対象食器は、磁器製の食器を用い、角仕切皿(横211mm/縦171mm/高さ28mm/重さ375g)、丸皿(直径180mm/高さ38mm/重さ233g)及びお椀(直径138mm/高さ60mm/重さ165g)を用い、夫々1000枚を、供給速度及び整理速度の条件を変えて連続供給した。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
尚、角仕切皿の供給速度1.0秒/枚は、食器間に安全な間隔が取れず、無理に行なった場合には、食器が破損する恐れがあるために、実施していない。又、比較例では、供給速度を1.8秒以上にすると、食器の破損が生じると共に、失敗率の桁が上がってしまう。又、実施例、比較例とも食器の破損が生じない範囲で実験を行なった。
【0052】
表1に示す結果から明らかなように、実施例では、丸皿及びお椀の処理で、供給速度を1.0秒/枚としても、失敗率は1.0%未満であり、NGはなく、丸皿は伏せ置き側に倒れ、おわんは糸尻を下に起き上がる現象が生じたが、ユーザーが対応でき、連続運転が可能な範囲であった。供給速度を1.2秒/枚とした場合にはより失敗率が低くなった。一方、比較例では、供給速度を1.8秒/枚としても、失敗率は1.8%以上であった。
【0053】
この結果から、本発明の実施例では、失敗率が極めて低く、4000枚の食器を処理する場合、本実施例の供給速度を1.2秒/枚とした場合では比較例と比べ、40分の短縮が可能であり、5000枚の食器を処理する場合、本実施例の供給速度を1.2秒/枚とした場合では比較例と比べ、50分の短縮が可能であり、4000枚の食器を処理する場合、本実施例の供給速度を1.0秒/枚とした場合では比較例と比べ、約53分の短縮が可能であり、5000枚の食器を処理する場合、本実施例の供給速度を1.0秒/枚とした場合では比較例と比べ、約66分の短縮が可能であることがわかる。
【0054】
以上のことから、本発明の食器洗浄整理装置を用いれば、食器の破損がなく、食器の整理処理の失敗を防止することが可能で、食器の整理処理速度及び食器の洗浄整理処理速度を速めることができることが明らかであり、大量の食器の洗浄、整理を短時間で処理できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明食器洗浄整理装置の一実施例部分側面図
【図2】本発明食器洗浄整理装置の一実施例側面図
【図3】本発明食器整理装置の一実施例部分側面図
【図4】本発明食器整理装置の一実施例部分平面図
【図5】本発明における支持爪の構成図
【図6】本発明における転倒防止爪の構成図
【図7】従来技術の食器洗浄整理装置の一実施例部分側面図
【図8】従来技術における支持爪の構成図
【図9】従来技術における転倒防止爪の構成図
【符号の説明】
【0056】
1 食器洗浄整理装置
2 食器洗浄機
20 コンベアの終端部
21 コンベア
211 支軸
212 爪
213 爪板
213 仕切り部材
200 筐体
250 食器供給装置
270 支持部
3 食器整理装置
31 滑り台
343 引っ張りコイルバネ
344 リング
4 食器
51 モータ
54 回転軸
59 アーム
70 スライダ
71 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器洗浄機から排出される洗浄済みの食器を、食器洗浄機のコンベアの終端部に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した滑り台で受け、滑り台上を滑り落として、ガイドに送り、ガイド内を前後運動するスライダで食器をガイド内で重ねて整理する食器整理装置であって、前記滑り台を食器整理装置の側端から外方向へ突出させないで設けたことを特徴とする食器整理装置。
【請求項2】
食器洗浄機から排出される洗浄済みの食器を、食器洗浄機のコンベアの終端部に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した滑り台で受け、滑り台上を滑り落として、ガイドに送り、ガイド内を前後運動するスライダで食器をガイド内で重ねて整理する食器整理装置であって、前記滑り台を食器整理装置の側端の内側に設けたことを特徴とする食器整理装置。
【請求項3】
前記滑り台の上面又は/及び前記スライダの横板の上面には複数に分割された合成樹脂製の板状パネルを設置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の食器整理装置。
【請求項4】
前記ガイドには、前記ガイドの内側面から出没自在の支持爪が設けられ、該支持爪は前記ガイドに固定する基部に、前記支持爪を固定する支持部を蝶番で回動自在に軸支し、前記基部と前記支持部を引っ張りコイルバネで連結し、ガイド内に突出するよう付勢されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の食器整理装置。
【請求項5】
前記ガイドには、食器の上部を滑り台方向に押圧するに当接する転倒防止爪が設けられ、該転倒防止爪は前記ガイドに固定する基部に、前記転倒防止爪を固定する支持部を蝶番で回動自在に軸支し、前記基部と前記支持部を引っ張りコイルバネで連結し、前記滑り台方向に付勢されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の食器整理装置。
【請求項6】
コンベア上に食器を乗せ、前後端に搬入口と排出口が形成された筐体内の洗浄室を移動させ、食器を洗浄する食器洗浄機であって、前記コンベアの終端部を食器洗浄機の前記筐体から突出して設けたことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項7】
コンベア上に食器を乗せ、前後端に搬入口と排出口が形成された筐体内の洗浄室を移動させ、食器を洗浄する食器洗浄機であって、食器洗浄機の筐体から、排出口から外方向に突出した支持部でコンベアの終端部の回転軸を回転自在に支持したことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項8】
前記コンベアは、複数本の支軸を横に渡し、爪を外方に突設した爪板を前記支軸で軸支して前記支軸間に架設し、複数の前記爪板を直線状に連設し、前記爪と爪の間隔は50mm以下、10mm以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の食器洗浄機。
【請求項9】
前記コンベアは、複数本の支軸を横に渡し、爪を外方に突設した爪板を前記支軸で軸支して前記支軸間に架設し、複数の前記爪板を直線状に連設すると共に、支軸間に、食器の横ずれを防止する仕切り部材を軸支し、複数の仕切り部材をコンベアに直線状に連設したことを特徴とする請求項6から8のうちいずれか1項に記載の食器洗浄機。
【請求項10】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の前記食器整理装置と請求項6から9のうちいずれか1項に記載の前記食器洗浄機を備えて構成され、前記食器整理装置は、前記食器洗浄機の終端側に連接して設置されると共に、前記食器整理装置の一部を前記コンベアの終端部の下方に位置させて設置したことを特徴とする食器洗浄整理装置。
【請求項11】
滑り台を食器整理装置の側端から外方向へ突出させないで設けた食器整理装置を、コンベアの終端部を食器洗浄機の筐体から突出して設けた食器洗浄機の終端側に連接して設置すると共に、前記食器整理装置の一部を前記コンベアの終端部の下方に位置させて設置し、前記食器洗浄機から排出される洗浄済みの食器を、前記食器洗浄機のコンベアの終端部に一端を配置し、他端に向けて下方に傾斜した前記滑り台で受け、前記滑り台上を滑り落として、ガイドに送り、ガイド内を前後運動するスライダで食器をガイド内で重ねて整理することを特徴とする食器整理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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