説明

食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法、および食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム

【課題】 本発明は、食器等を洗浄、すすぎ、あるいは乾燥をシーケンス制御により処理する食器洗浄乾燥装置と、電力によってヒートポンプユニット等で稼働するとともに制御装置により指令された目標蓄熱量になるまで給水を加熱して貯湯タンク内に貯めて置く貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置。
【解決手段】 本発明は、食器洗浄乾燥装置がシーケンス制御により洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転を行っているだけでなく、貯湯式給湯装置にも給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている。前記食器洗浄乾燥装置は、食器等を洗浄工程およびすすぎ工程の後に、排水される排水熱、および前記食器等を洗浄・すすぎ工程の後に乾燥を行って排気される排気熱をそれぞれの熱交換器を介して貯湯式給湯装置の熱原として利用することができる。本発明は、食器洗浄乾燥装置から出る排水熱および排気熱を有効に利用するだけでなく、排水および排気による湯気、悪臭、カビの発生等による課題を同時に解決することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等を洗浄、すすぎ、あるいは乾燥をシーケンス制御により処理する食器洗浄乾燥装置と、電力によってヒートポンプユニット等で稼働するとともに制御装置により指令された目標蓄熱量になるまで給水を加熱して貯湯タンク内に貯めて置く貯湯式給湯装置とを併用して、前記食器洗浄乾燥装置の排熱を効率よく利用する食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法、および食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄乾燥装置の洗浄庫内に収納された食器等は、設定された温度の水および空気中で自動的に洗浄、すすぎ、乾燥が行われる。このような食器洗浄乾燥装置は、既に、種々の機種が市場に供給されている。そして、前記食器洗浄乾燥装置は、他機種との差別化を図るための一つの工夫として、現状の機種より少しでも安定した洗浄能力を発揮するだけでなく、高効率あるいは環境の改善が望まれている。
【0003】
たとえば、特願2003−129064号における食器洗浄乾燥装置は、停電後、運転制御手段が停電検出手段によって停電状態が復帰したか否かを検出する。また、前記運転制御手段は、温度検出手段によって食器洗浄庫内の水および空気の温度がほぼ設定温度であるか否かを検出する。前記食器洗浄庫内の水および空気の温度が設定状態である場合、前記運転制御手段は、運転状態記憶手段から停電状態直前の運転状態を読み出し、そのまま運転状態を継続するように制御している。前記食器洗浄乾燥装置は、停電後、庫内の温度が設定状態であるにもかかわらず、最初から運転制御をやり直すといった非効率な運転を行わないため、従来のものと比較して、効率が向上している。
【0004】
また、たとえば、特開2002−168524号公報に記載された貯湯式給湯装置は、電力稼働ヒートポンプユニットで加熱された高温の湯を貯湯タンク内に貯えておき、必要な時期に所望の温度にして使用することができる。特に、前記貯湯式給湯装置は、貯湯タンク内の最下部の水をヒートポンプユニットにより加熱し、高温の湯として貯湯タンク内の最上部に送ることで、温度の異なる水の比重差を利用し、貯湯タンク内の上部側から高温の湯を貯え、貯湯タンク内の下部側から水と混合しないようになっている。また、前記貯湯タンク内の湯を出力する(たとえば、蛇口等を開き貯湯タンク外で湯を消費する)場合には、貯湯タンクの最上部に接続した出湯配管から給湯し、貯湯タンクの最下部に接続した給水配管から貯湯タンク内に水を供給するようになっている。
【特許文献1】特願2003−129064号
【特許文献2】特開2002−168524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の食器洗浄乾燥装置は、食器洗浄庫内から排出される温度の高い湿気を帯びた空気に対する対策が何等取られていなかった。前記食器洗浄庫内から排出される温度の高い湿気を帯びた空気は、前記食器洗浄乾燥装置の背面部分に配置された排気口へ導かれた後に外部に排気される。前記高温高湿度の空気は、前記排気口付近の低温からなる室内空気と接触した際に、湯気を発生する。前記湯気は、高温であるため、ユーザにとって不快感を与えるだけでなく、ユーザが触れた場合、火傷するおそれがある。
【0006】
前記食器洗浄乾燥装置は、システムキッチン等の場合、埋め込み式構造として設置されていることが多く、前記湯気を伴う排気を直接受ける室内の壁面から天井にかけて湿気を帯びる状態になり、これらの部分にカビが付着する。また、前記食器洗浄乾燥装置は、排気口付近に付着した水分が排気ダクトへ逆流したり、あるいは、排気ダクト内で結露することにより、排気ダクト内が常に高温多湿状態に保持されているため、排気ダクト内にもカビや雑菌が付着して、不衛生であり、かつ、悪臭の原因となる。さらに、前記排気ダクトは、構造上清掃が困難な場所にあるため、利便性および衛生面を前面にキャンペーンしたい食器洗浄乾燥装置にとって致命的となる。
【0007】
さらに、前記食器洗浄乾燥装置は、洗浄を行った際に発生した汚水を排水している。前記排水される汚水は、洗浄効率を向上させるため、高温に熱せられた洗浄水と食器等に付着していた汚れからなり、排水時においてもかなりの高温を維持しているが、即座に食器洗浄庫内から排水されており、同時に発熱を要したエネルギーの大半も破棄されている。
【0008】
本発明は、以上のような問題を解決するためのものであり、食器洗浄庫内から排水および排気される排熱が問題になっている食器洗浄乾燥装置と、沸き増しのために加熱が必要な貯湯式給湯装置の関係に着目し、互いに熱交換できるように配管を施すことで、低温の洗浄後の水を排水するだけでなく、低温低湿度の空気を排気することができる食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法、および食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを提供することを目的とする。また、本発明は、食器洗浄乾燥装置から排出される熱を再利用し、蓄熱を行うことにより、沸き増し電力も最低限に抑える機能を備えた貯湯式給湯装置と食器洗浄乾燥装置との併用システムを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、前記食器洗浄乾燥装置および貯湯式給湯装置間で熱交換が行われることにより、低温の排水および低温低湿度の空気を排出するため、ユーザに不快感や熱による危険を及ぼさない食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法、および食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを提供することを目的とする。また、本発明は、食器洗浄乾燥装置および貯湯式給湯装置間で熱交換が行われることにより、低温低湿度の空気を排出するため、排気口の近傍にカビや悪臭が発生することがない食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法、および食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法は、洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されており、前記食器洗浄乾燥装置から排水される排水熱および排気される排気熱をそれぞれの熱交換器を介して貯湯式給湯装置の熱原として利用することができることを特徴とする。
【0011】
(第2発明)
第2発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されており、給水が加熱され、湯を貯めておける貯湯タンクと、前記食器洗浄乾燥装置から加熱された湯を排水する排水口と、前記排水口に接続され、前記排水口から排出される排水熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第1熱交換器とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0012】
(第3発明)
第3発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されており、給水が加熱され、湯を貯めておける貯湯タンクと、前記食器洗浄乾燥装置から排気熱が排気される排気ダクトと、前記排気ダクトに接続され、前記排気ダクトを通過する排気熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第2熱交換器とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0013】
(第4発明)
第4発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されており、給水が加熱され、湯を貯めておける貯湯タンクと、前記食器洗浄乾燥装置から加熱された湯を排水する排水口と、前記排水口に接続され、前記排水口から排出される排水熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第1熱交換器と、前記食器洗浄乾燥装置から排気熱が排気される排気ダクトと、前記排気ダクトに接続され、前記排気ダクトを通過する排気熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第2熱交換器とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0014】
(第5発明)
第5発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムにおいて、第2発明から第4発明の食器洗浄乾燥装置は、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったこと、を有線通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を有し、前記貯湯式給湯装置は、前記通信手段により受信した情報により、排水または排気を前記第1熱交換器および/または第2熱交換器内に循環させるための循環ポンプを有することを特徴とする。
【0015】
(第6発明)
第6発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムにおいて、第2発明から第4発明の食器洗浄乾燥装置は、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったこと、を無線通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を有し、前記貯湯式給湯装置は、前記通信手段により受信した情報により、排水または排気を前記第1熱交換器および/または第2熱交換器内に循環させるための循環ポンプを有することを特徴とする。
【0016】
(第7発明)
第7発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムにおいて、第2発明から第4発明の食器洗浄乾燥装置は、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったこと、を電源重畳通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を有し、前記貯湯式給湯装置は、前記通信手段により受信した情報により、排水または排気を前記第1熱交換器および/または第2熱交換器内に循環させるための循環ポンプを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、食器洗浄乾燥装置の排水口から排出される高温の排水と貯湯タンクの水との間で熱交換が行われるため、前記食器洗浄乾燥装置において、温度の低い排水が排出され、湯気によりユーザに不快感を与えることなく、熱による事故も無くすことができる。
【0018】
本発明によれば、食器洗浄乾燥装置の排気ダクトと、貯湯式給湯装置における貯湯タンクの水の間で熱交換が行われるため、排気ダクトから排出される排気の温度および湿度が低くなり、排気ダクト近傍にカビや雑菌が発生することなく、悪臭の原因がなくなる。したがって、本発明は、ユーザに対する利便性と衛生面の両方を同時に達成することができる。
【0019】
本発明によれば、食器洗浄乾燥装置の排気ダクトと、貯湯式給湯装置における貯湯タンクの水の間で熱交換が行われるため、前記食器洗浄乾燥装置における排熱を貯湯式給湯装置によって回収することができ、熱効率が良く省エネルギーであると同時に、沸き増し電力の節約が可能となった。
【0020】
本発明によれば、食器洗浄乾燥装置の排水口と、貯湯式給湯装置における貯湯タンクの水の間に熱交換が行われるため、前記食器洗浄乾燥装置における排熱を貯湯式給湯装置によって回収することができ、熱効率が良く省エネルギーであると同時に、沸き増し電力の節約が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1発明)
第1発明における食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法は、食器洗浄乾燥装置がシーケンス制御により洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転を行っているだけでなく、貯湯式給湯装置にも給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている。前記食器洗浄乾燥装置は、食器等を洗浄工程およびすすぎ工程の後に、排水される排水熱、および前記食器等を洗浄・すすぎ工程の後に乾燥を行って排気される排気熱をそれぞれの熱交換器を介して貯湯式給湯装置の熱原として利用することができる。
【0022】
本発明は、食器洗浄乾燥装置から出る排水熱および排気熱を有効に利用するだけでなく、排水および排気の温度が熱交換器により低温となっているため、湯気、悪臭、カビの発生等による課題を同時に解決することができた。また、前記給湯管は、前記食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置を前記熱交換器を介して接続するだけでなく、前記貯湯式給湯装置の貯湯タンクに貯えられた湯を前記食器洗浄乾燥装置における洗浄およびすすぎに使用することができる。
【0023】
(第2発明)
第2発明における食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、洗浄庫内において、洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、常に、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている。前記貯湯式給湯装置は、少なくとも給水が加熱されて、目標温度になるように制御されているとともに、加熱された湯を貯めておける貯湯タンクとを有する。
【0024】
前記食器洗浄乾燥装置には、洗浄およびすすぎのために加熱された湯を排水する排水口と、前記排水口に接続され、前記排水口から排出される排水熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第1熱交換器とが備えられている。前記食器洗浄乾燥装置は、食器等に湯がかけられることにより洗浄およびすすぎが行われる。前記食器の洗浄およびすすぎ後の排水は、前記排水口から排水するとともに、前記第1熱交換器内を通過する。前記第1熱交換器は、加熱されている前記排水の通過により熱を貯湯式給湯装置側に供給する。前記第1熱交換器は、洗浄およびすすぎ工程中に排水された排水の熱を交換して貯湯タンク内の水の沸き増し電力を節約することができる。
【0025】
(第3発明)
第3発明における食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、庫内で食器類を乾燥した後の排気熱を第2熱交換器を通すことにより、熱を貯湯式給湯装置側で有効に利用している点で、第2発明と異なっている。前記第2熱交換器は、乾燥工程中に排気された高温の排気熱を交換して貯湯タンク内の水の沸き増し電力を節約することができる。
【0026】
(第4発明)
第4発明における食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、洗浄庫内において、洗浄およびすすぎを行った後の排水熱、および食器類を乾燥した後の排気熱の両方を利用する点で、第2発明および第3発明と異なっている。そのため、洗浄およびすすぎを行った後の排水は、第1熱交換器を通り、乾燥後の排気は、第2熱交換器を通り、前記排水および排気による熱が貯湯式給湯装置側に還元されるため、効率のよい食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムができる。
【0027】
(第5発明から第7発明)
第5発明から第7発明における食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムは、第2発明から第4発明の食器洗浄乾燥装置において、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったことを通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を備えている。前記通信手段は、有線、無線、および電源重畳通信のいずれを使用することもできる。前記食器洗浄乾燥装置は、前記貯湯式給湯装置に対して常時熱を供給できる状態にあるとは限らない。そこで、前記通信手段は、食器洗浄乾燥装置の使用状態を検出し、貯湯タンク内の給水が前記第1熱交換器および第2熱交換器内を循環させるためのスイッチを駆動している。本発明の食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムの食器洗浄乾燥装置および貯湯式給湯装置は、互いに給湯管および熱交換器を介して接続されているため、無駄な熱を少なくして、電力を効率よく使用している。
【実施例】
【0028】
図1は本発明の食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを説明するための構成図である。図1において、本発明は、貯湯式給湯装置および食器洗浄乾燥装置が第1循環回路116、116′、第1熱交換器(排水用熱交換器)14、排水ダクト141、第2循環回路131、第2熱交換器(排気用熱交換器)13、排気ダクト125、給湯管16等によって接続されている。前記食器洗浄乾燥装置における洗浄庫12は、食器等を洗浄する給水および乾燥のために吸気が行われるようになっている。前記貯湯タンク11からの給湯管16は、必要に応じて、図示されていない、弁とともに洗浄庫12に接続され、前記洗浄庫12の給水として高温の湯が使用できるようにすることができる。
【0029】
前記洗浄庫12は、排水ポンプ122によって、排水口121から加熱された洗浄水およびすすぎ水が排水されるとともに、排水用熱交換器14を通過した後、排水ダクト141から排水される。前記排水用熱交換器14は、第1循環ポンプ118により、貯湯タンク11の第1導出口117からの低温水を第1循環回路116′を介して流入させ、第1循環回路116を通過した後、前記貯湯タンク11の上部にある第1導入口119から加温された湯が前記貯湯タンク11に挿入される。前記貯湯タンク11の低温水は、前記排水用熱交換器14において、食器洗浄乾燥装置の洗浄庫12内の排水熱により加熱される。
【0030】
前記洗浄庫12は、排気ファン124により、排気口123から食器類の乾燥に使用された高温に加熱された空気が排気ダクト125を通過するとともに、排気用熱交換器13を通過し、低温になった後に排気される。前記排気用熱交換器13は、第2循環ポンプ132により、貯湯タンク11の低温水を第2導出口133から取り出し、下部から流入させ、第2循環回路131を通過した後、前記貯湯タンク11の上部にある第2導入口135から加温された湯が挿入される。前記貯湯タンク11の水は、前記排気用熱交換器13において、食器洗浄乾燥装置の洗浄庫12内の排気熱により加熱される。
【0031】
前記貯湯式給湯装置は、少なくとも貯湯タンク11と、ヒートポンプ等の加熱装置15とを備えており、前記加熱装置15により加熱された高温の湯が前記貯湯タンク11の上部から挿入され、前記貯湯タンク11の下部から水が前記加熱装置15に送られる第3循環回路111を備えている。前記貯湯タンク11に貯えられた加熱された湯は、必要に応じて、所望の量の給水が給水ダクト112および混合弁114を介して加えられ、所望の温度の湯を蛇口115から出すことができる。前記貯湯タンク11には、給水口120から、たとえば、水道水が供給される。
【0032】
図2は本発明の食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを説明するためのブロック構成図である。図2において、食器洗浄乾燥装置は、制御回路211と、洗浄およびすすぎ湯を加熱する加熱手段212と、前記湯の温度を検出する温度検出手段213と、シーケンス回路214とから少なくとも構成されている。前記制御回路211は、加熱手段212により加熱された湯の温度を温度検出手段213で検出するとともに、図示されていない、タイマーとシーケンス回路214とで予め設定された通りに制御している。前記シーケンス回路214は、制御回路211の基に、洗浄手段215、すすぎ手段216、乾燥手段217に対して、決められた順序と所定の時間によってシーケンス制御を行う。
【0033】
図2における運転状態検出手段218は、シーケンス回路214における洗浄手段215、すすぎ手段216、乾燥手段217の状態を常に監視している。また、運転状態判断手段219は、前記運転状態検出手段218により、洗浄庫12において、洗浄、すすぎ、乾燥のいずれが行われているかを判断し、その結果を通信手段220を介して、第1循環ポンプ118のスイッチ221、または第2循環ポンプ132のスイッチ223に伝達する。前記第1循環ポンプ118のスイッチ221、および前記第2循環ポンプ132のスイッチ223は、洗浄およびすすぎ、あるいは、乾燥によって、前記スイッチをオンまたはオフにする。前記通信手段220は、有線、無線、あるいは、電源重畳通信で行うことができる。
【0034】
図3は本発明の食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを説明するためのフローチャートである。図3において、洗浄庫12内には、食器等が挿入される(ステップ311)。食器洗浄乾燥装置は、前記食器等が挿入されたことにより、洗浄が開始される(ステップ312)。前記運転状態検出手段218および運転状態判断手段219は、シーケンス回路214が洗浄工程かまたはすすぎ工程に入ったかあるいは、前記工程中かを調べる(ステップ313)。
【0035】
洗浄工程が開始されていない場合、ステップ311に戻る。前記運転状態検出手段218および運転状態判断手段219は、洗浄工程またはすすぎ工程に入ったかまたは前記工程中であると判断した場合、第1循環ポンプ118のスイッチ221をオンに(ステップ314)して、加熱された排水により、加熱された湯を第1導入口119より挿入する。次に、前記運転状態検出手段218および運転状態判断手段219は、シーケンス回路214が洗浄工程およびすすぎ工程が終了したか否かを調べる(ステップ315)。前記運転状態検出手段218および運転状態判断手段219は、洗浄工程およびすすぎ工程が終了したと判断した場合、乾燥工程を開始させるとともに、第2循環ポンプ132のスイッチ223をオンにする(ステップ318)。前記第2循環ポンプ132のスイッチ223は、オンすることにより、排気熱が排気用熱交換器13に供給されることにより、貯湯タンク11の低温水が加熱されて、第2導入口135から供給される。
【0036】
前記制御回路211は、洗浄工程およびすすぎ工程が終了しても、洗浄水が完全に除去されるまでの所定時間排水を継続して、予め決められた所定時間が経過したと判断した場合(ステップ316)、第1循環ポンプ118のスイッチ221をオフにする(ステップ317)。前記運転状態検出手段218および運転状態判断手段219は、シーケンス回路214により、乾燥工程が終了したか否かを調べる(ステップ319)。前記運転状態検出手段218および運転状態判断手段219は、乾燥工程が終了したと判断した後、予め決められている所定時間経過後、第2循環ポンプ132のスイッチ223をオフにする(ステップ320、ステップ321)。前記同様に、制御回路211は、乾燥工程が終了しても、洗浄庫12内に加熱された空気があるため、排気を継続して、前記排気熱を有効に利用する。その後、食器洗浄乾燥装置の電源は、オフにされる(ステップ322)。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、図2におけるブロック構成図は、公知または周知の技術を使用して容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを説明するための構成図である。(実施例1)
【図2】本発明の食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを説明するためのブロック構成図である。
【図3】本発明の食器洗浄乾燥装置と貯湯式給湯装置とを併用した食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
11・・・貯湯タンク
111・・・第3循環回路
112・・・給水ダクト
113・・・湯供給ダクト
114・・・混合弁
115・・・蛇口
116・・・第1循環回路
117・・・第1導出口
118・・・第1循環ポンプ
119・・・第1導入口
120・・・給水口
12・・・洗浄庫
121・・・排水口
122・・・排水ポンプ
123・・・排気口
124・・・排気ファン
125・・・排気ダクト
13・・・排気用熱交換器(第2熱交換器)
131・・・第2循環回路
132・・・第2循環ポンプ
133・・・第2導出口
013・・・第2導入口
14・・・排水用熱交換器(第1熱交換器)
141・・・排水ダクト
15・・・加熱装置
16・・・給湯管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている前記食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法において、
前記食器洗浄乾燥装置から排水される排水熱および排気される排気熱をそれぞれの熱交換器を介して貯湯式給湯装置の熱原として利用することができることを特徴とする食器洗浄乾燥装置の排熱利用方法。
【請求項2】
洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている前記食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムにおいて、
給水が加熱され、湯を貯めておける貯湯タンクと、
前記食器洗浄乾燥装置から加熱された湯を排水する排水口と、
前記排水口に接続され、前記排水口から排出される排水熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第1熱交換器と、
を少なくとも備えていることを特徴とする食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム。
【請求項3】
洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている前記食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムにおいて、
給水が加熱され、湯を貯めておける貯湯タンクと、
前記食器洗浄乾燥装置から排気熱が排気される排気ダクトと、
前記排気ダクトに接続され、前記排気ダクトを通過する排気熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第2熱交換器と、
を少なくとも備えていることを特徴とする食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム。
【請求項4】
洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転をシーケンス制御により処理することができる食器洗浄乾燥装置と、加熱装置および制御装置により、目標蓄熱量になるように給水を加熱して貯めておくことができる貯湯式給湯装置とが給湯管および熱交換器を介して互いに接続されている前記食器洗浄乾燥装置の排熱利用システムにおいて、
給水が加熱され、湯を貯めておける貯湯タンクと、
前記食器洗浄乾燥装置から加熱された湯を排水する排水口と、
前記排水口に接続され、前記排水口から排出される排水熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第1熱交換器と、
前記食器洗浄乾燥装置から排気熱が排気される排気ダクトと、
前記排気ダクトに接続され、前記排気ダクトを通過する排気熱により前記貯湯タンクの湯を加熱する第2熱交換器と、
を少なくとも備えていることを特徴とする食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム。
【請求項5】
前記食器洗浄乾燥装置は、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったこと、を有線通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を有し、
前記貯湯式給湯装置は、前記通信手段により受信した情報により、排水または排気を前記第1熱交換器および/または第2熱交換器内に循環させるための循環ポンプを有する、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載された食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム。
【請求項6】
前記食器洗浄乾燥装置は、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったこと、を無線通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を有し、
前記貯湯式給湯装置は、前記通信手段により受信した情報により、排水または排気を前記第1熱交換器および/または第2熱交換器内に循環させるための循環ポンプを有する、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載された食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム。
【請求項7】
前記食器洗浄乾燥装置は、排水工程および乾燥工程中であること、または前記排水工程および乾燥工程が始まったこと、を電源重畳通信により貯湯式給湯装置に伝達する通信手段を有し、
前記貯湯式給湯装置は、前記通信手段により受信した情報により、排水または排気を前記第1熱交換器および/または第2熱交換器内に循環させるための循環ポンプを有する、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載された食器洗浄乾燥装置の排熱利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−317088(P2006−317088A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140850(P2005−140850)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)
【Fターム(参考)】