説明

食器洗浄機

【課題】本発明は、小型化を図るようにした食器洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機1において、洗浄室Sの壁部7のうちの右側の壁部7aと右側の外装パネル8aとの間のスペースRには、偏平な直方体をなす洗剤タンク10が配置されている。この洗剤タンク10は、樹脂又は金属によって成形され、支柱6aと支柱6bとの間をほぼ埋めるように配置されている。同様に、洗浄室Sの壁部7のうちの左側の壁部7bと左側の外装パネル8bとの間のスペースRには、偏平な直方体をなすリンス剤タンク11が配置されている。このリンス剤タンク11は、樹脂又は金属によって成形され、支柱6cと支柱6dとの間をほぼ埋めるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄室内に洗浄ノズルを備えた食器洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、実開昭56−122455号公報がある。この公報に記載された食器洗浄機には、洗浄室内に洗浄ノズルと濯ぎノズルとが配置され、洗浄室の下方には、ポンプや制御装置が収容された機械室が配置されている。そして、この機械室内には、リンス剤収容箱(リンス剤タンク)が配置され、このリンス剤収容箱のリンス剤供給口は、前面パネルから露出させている。また、特開2003−24261号公報に開示された食器洗浄機では、洗浄室の下に配置された機械室より更に下方に洗剤タンク収容部が設けられている。そして、この洗剤タンク収容部内に収容された洗剤タンクは、ガイドレールによって手前側に引き出し自在になっている。また、この公報には、機械室に洗剤タンクを収容した食器洗浄機も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−122455号公報
【特許文献2】特開2003−24261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の食器洗浄機では、洗剤の補充が可能な洗剤タンクやリンス剤の補充が可能なリンス剤タンクを、機械室に配置させるようにしているので、機械室の空間を狭くし、その結果として、機械室の容積を大きくすると、食器洗浄機が大型化してしまう。また、洗剤タンクが機械室の下側に配置される場合も同様で、食器洗浄機が大型化するといった問題点がある。
【0005】
本発明は、小型化を図るようにした食器洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗浄室の外方で四隅に設けられた支柱によって支持された食器洗浄機において、
洗浄室の壁部と外装パネルとの間で、支柱間を埋めるように洗剤タンク及び/又はリンス剤タンクが配置されたことを特徴とする。
【0007】
この食器洗浄機においては、洗浄室の壁部と外装パネルとの間のスペースの有効活用を図って、このスペースに洗剤タンクとリンス剤タンクとの少なくとも一方を配置させることで、省スペース化を可能にし、その結果として、このようなタンクを具備した食器洗浄機の小型化を可能にしている。さらに、支柱間を埋めるように、洗剤タンクとリンス剤タンクとの少なくとも一方を配置させることで、洗浄ノズルや濯ぎノズルの噴射音を遮音することができ、さらには、高温になる洗浄室からの放熱を外部に伝え難くすることができる。また、洗浄室が機外の熱の影響を受け難くなり、洗浄室内の温度管理を確実に行うことができる。そして、タンク内が液体(洗剤、リンス剤)で満たされている場合には、液層によって前述した効果が得られ、タンクが空になっている場合には、略密閉された空気層によって前述した効果が得られる。
【0008】
また、洗浄室の上方に配置された天板には、ラック載置用の凹部が形成され、この凹部の底面には、洗剤タンクに連通する洗剤投入口及び/又はリンス剤タンクに連通するリンス剤投入口が設けられていると好適である。
このように、天板のラック載置用の凹部に洗剤投入口を設けることで、洗剤を洗剤投入口から補充する場合に、こぼれてしまった洗剤が凹部内で受け止められ、天板から流れ落ちることがなく、床や外装パネルを洗剤で汚すことがない。また、天板の凹部に排水口が設けられている場合には、補充時にこぼれた洗剤を排水口から洗い流し出すことができ、天板の清掃が容易になる。なお、リンス剤投入口についても同様のことが言える。
【0009】
また、洗剤タンクの外周面に形成された凹部内に洗剤供給装置を収容すると好適である。
このような構成を採用すると、洗剤供給装置を設置する上で、洗浄室の壁部と外装パネルとの間のスペースの更なる有効活用を図ることができる。さらに、洗剤タンクに洗剤供給装置を近づけることができるので、洗剤タンクと洗剤供給装置との間の配管を極めて短くすることができる。さらに、洗剤供給装置は、洗浄室に近接して配置することができるので、洗剤供給装置から突出する洗剤投入配管を短くすることができる。このように、洗剤の配管系を短くできるので、配管の這い回しのための作業を必要とせず、配管系をシンプルにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る食器洗浄機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る食器洗浄機の要部拡大断面図である。
【図3】洗剤タンクの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る食器洗浄機の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、食器洗浄機1は、洗浄ノズル2及び濯ぎノズル3が配置された洗浄室Sと、洗浄室Sから下側に突出するように形成された洗浄水タンク(図示せず)と、洗浄室Sの下方に設けられた機械室4と、洗浄室Sを開閉するドア5とを備えている。
【0014】
食器洗浄機1の四隅には、強度を確保するために板金によって断面コ字状に形成された支柱6a,6b,6c,6dが配置されている。洗浄室Sの壁部7の端部及び洗浄水タンクは、各支柱6a,6b,6c,6dに固定され、機械室4の底板4bに各支柱6a,6b,6c,6dが立設されている。
【0015】
さらに、食器洗浄機1の右側には、右側面をなす外装パネル8aが支柱6a,6bに固定され、食器洗浄機1の左側には、左側面をなす外装パネル8bが支柱6c,6dに固定され、食器洗浄機1の背側には、背面をなす外装パネル8cが支柱6a,6cに固定されている。そして、洗浄室Sの上方には、四隅が支柱6a,6b,6c,6dに固定された天板9が配置されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、洗浄室Sの壁部7のうちの右側の壁部7aと右側の外装パネル8aとの間のスペースRには、偏平な直方体をなす洗剤タンク10が配置されている。この洗剤タンク10は、樹脂又は金属によって成形され、支柱6aと支柱6bとの間をほぼ埋めるように配置されている。
【0017】
洗剤タンク10には、4個のブラケット10aが設けられ、各ブラケット10aは、支柱6a,6bに対してネジによりしっかりと固定されている。そして、この洗剤タンク10は、機械室4内に配置された洗剤供給装置(図示せず)に対して配管を介して接続されている。なお、この洗剤供給装置は、定量の洗剤を洗浄室S内に供給するためのポンプを備えている。
【0018】
洗浄室Sの壁部7のうちの左側の壁部7bと左側の外装パネル8bとの間のスペースRには、偏平な直方体をなすリンス剤タンク11が配置されている。このリンス剤タンク11は、樹脂又は金属によって成形され、支柱6cと支柱6dとの間をほぼ埋めるように配置されている。
【0019】
リンス剤タンク11には、4個のブラケット11aが設けられ、各ブラケット11aは、支柱6c,6dに対してネジによりしっかりと固定されている。そして、このリンス剤タンク11は、機械室4に配置されたリンス剤供給装置(図示せず)に対して配管を介して接続されている。なお、このリンス剤供給装置は、濯ぎノズル3の配管に接続されて、配管内の流れによって自動的にリンス剤の引き込みが可能なバルブ構造を有している。
【0020】
この食器洗浄機1においては、洗浄室Sの壁部7と外装パネル8a,8bとの間のスペースRの有効活用を図って、このスペースRに洗剤タンク10とリンス剤タンク11とを配置させることで、省スペース化を可能にし、その結果として、洗剤タンク10及びリンス剤タンク11を具備した食器洗浄機1の小型化を可能にしている。
【0021】
さらに、支柱6a,6b間を埋めるように洗剤タンク10を配置させ、支柱6c,6d間を埋めるようにリンス剤タンク11を配置させることで、洗浄ノズル2や濯ぎノズル3の噴射音を遮音することができ、さらには、高温になる洗浄室Sからの放熱を外部に伝え難くすることができる。
【0022】
また、洗浄室Sが機外の熱の影響を受け難くなり、洗浄室S内の温度管理を確実に行うことができる。そして、洗剤タンク10内が洗剤で満たされている場合には、液層によって前述した効果が得られ、洗剤タンク10が空になっている場合には、略密閉された空気層によって前述した効果が得られる。リンス剤タンク11についても同様である。
【0023】
図1に示すように、洗浄室Sの上方に配置された天板9には、ラックを載置させるために矩形に形成された凹部9aが設けられ、この凹部9aは、縁部9cから一段低くなっている。さらに、凹部9aの隅には排水口13が設けられ、この排水口13は、食器洗浄機1の排水パイプ(図示せず)に接続されている。
【0024】
さらに、凹部9aの底面9bには、洗剤タンク10に連通する洗剤投入口14が設けられ、洗剤タンク10の上面からクランク状に上方に延びる洗剤投入配管10bの先端は、洗剤投入口14に嵌め合わされている。同様に、凹部9aの底面9bには、リンス剤タンク11に連通するリンス剤投入口15が設けられ、リンス剤タンク11の上面からクランク状に上方に延びるリンス剤投入配管11bの先端がリンス剤投入口15に嵌め合わされている。
【0025】
洗剤投入口14及びリンス剤投入口15は、図示しない栓によって、通常時は塞がれている。なお、洗剤タンク10及びリンス剤タンク11には、所定位置に空気抜き穴が設けられている。
【0026】
このように、天板9の凹部9aに洗剤投入口14を設けることで、洗剤を洗剤投入口14から補充する場合に、こぼれてしまった洗剤が凹部9a内で受け止められ、天板9から流れ落ちることがなく、床や外装パネル8a,8b,8cやドア5を洗剤で汚すことがない。また、補充時にこぼれた洗剤を排水口13から洗い流し出すことができ、天板9の清掃が容易になる。なお、リンス剤投入口15についても同様のことが言える。
【0027】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0028】
例えば、図3に示すように、偏平な洗剤タンク20の外周面21のうちの上面21aには、凹部22が形成され、この凹部22内には、ポンプが内蔵された洗剤供給装置23が嵌め込まれている。この洗剤供給装置23の下端に設けられたブラケット23aは、凹部22の底面22aにネジ24によって取り付けられている。
【0029】
この洗剤供給装置23から延びた可撓性の配管25は、洗剤タンク20内に挿入され、洗剤供給装置23から突出した洗剤投入配管26の先端は、洗浄室S内に突出している。また、洗剤タンク20の外周面21のうちの側面21bには、4個のブラケット20aが設けられ、洗剤タンク20の上面21aには洗剤投入配管20bが設けられている。
【0030】
このような構成を採用すると、洗剤供給装置23を機械室4に配置させる必要がなく、洗浄室Sの壁部7aと外装パネル8aとの間のスペースRの更なる有効活用を図ることができる。さらに、洗剤タンク20に洗剤供給装置23を近づけることができるので、洗剤タンク20と洗剤供給装置23との間の配管25を短くすることができる。さらに、洗剤供給装置23は、洗浄室Sに近接して配置することができるので、洗剤供給装置23から突出する洗剤投入配管26を短くすることができる。このように、洗剤の配管系を短くできるので、配管の這い回しのための作業を必要とせず、配管系をシンプルにすることができる。
【0031】
また、本発明に係る食器洗浄機1は、洗剤タンク10とリンス剤タンク11を両方具備しても、いずれか一方であってもよい。
【0032】
また、洗剤タンク10とリンス剤タンク11は、機械室4の側面開口4a(図1参照)を塞ぐように、外装パネル8a,8bに沿って配置されていてもよい。これによって、機械室4から発生する音や熱を効果的に遮断することができる。
【0033】
また、洗剤タンク10とリンス剤タンク11は、洗浄室S側から機械室4側まで延びて大型化されたものであってもよい。これによって大容量化が図られ、遮音や断熱効果を高めることができる。
【0034】
また、天板9に設けられた洗剤投入口14及びリンス剤投入口15は、天板9の縁部9cに設けられていてもよい。
【0035】
また、食器洗浄機1の背面側において、洗浄室Sの壁部7と外装パネル8cとの間のスペースRに、洗剤タンク10及び/又はリンス剤タンク11を配置させてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…食器洗浄機、6a,6b,6c,6d…支柱、7…壁部、8a,8b,8c…外装パネル、9…天板、9a…天板の凹部、9b…底面、10…洗剤タンク、11…リンス剤タンク、14…洗剤投入口、15…リンス剤投入口、21…外周面、22…凹部、23…洗剤供給装置、S…洗浄室、R…スペース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室の外方で四隅に設けられた支柱によって支持された食器洗浄機において、
前記洗浄室の壁部と外装パネルとの間で、前記支柱間を埋めるように洗剤タンク及び/又はリンス剤タンクが配置されたことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記洗浄室の上方に配置された天板には、ラック載置用の凹部が形成され、この凹部の底面には、前記洗剤タンクに連通する洗剤投入口及び/又は前記リンス剤タンクに連通するリンス剤投入口が設けられていることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記洗剤タンクの外周面に形成された凹部内に洗剤供給装置を収容したことを特徴とする請求項1又は2記載の食器洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−201017(P2010−201017A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50612(P2009−50612)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】