説明

食材冷却装置の滅菌処理方法

【課題】エネルギー導管外壁に残留する食材の剥離と、エネルギー導管の清潔効果を向上させること。
【解決手段】熱温度差によって滅菌効果を生じる滅菌処理方法であって、その方法は、冷水を有するエネルギー導管を滅菌スペースの中に差し込み、次に蒸気を前記滅菌スペースへ導入し、さらにエネルギー導管の内部低温流体及び外部蒸気によって急速な温度差を起し、熱温度差の反応を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材冷却装置の滅菌処理方法に関し、特に食材冷却装置のエネルギー導管において急速な温度差を生じさせる滅菌処理方法によって、熱温度差効果を利用して清潔及び滅菌効果を達成する食材冷却装置の滅菌処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年来、マーケティング・ルートの多様化に伴って、多くの伝統的グルメの販売量が大幅に向上し、加えて外食人口の増加によって、食品メーカーが提供すべき食材もますます増えている。生産量を増やし、人手を減らし製造時間を短縮するため、伝統的食品加工はすでに大量に自動化されている。その中でも、ペースト状調味料、カレー、さいの目切り肉の煮詰め、餡類、飯粒、練り粉など食材の加熱混合を例に取ると、これらの食材は完成加熱後に、伝統的には静置放熱方式で冷却させるが、このような方式は最も時間がかかりかつ非衛生的であり、ホコリや蝿・蚊が集ったり、放置状態に不注意があると食材を引っくり返して火傷をしたりすることがある。
【0003】
ところで、食材の冷却時間を短縮するため、本発明の発明者は先に食材冷却装置「中華民国発明専利第1330249号」を開発した。それは主として往復及び位置決め運動する牽引機構に熱交換機構を設け、該熱交換機構は複数のエネルギー導管によって組成されるとともに、牽引機構の作動に伴って移動するもので、これらのエネルギー導管は真空パッケージされた金属ステンレス管であり、前記金属ステンレス管内には低温流体の設計がなされ、これらのエネルギー導管が、内部に高温食材を入れた収納桶の中に入り込むと、熱交換原理によって速やかに食材内部の熱エネルギーを持ち去り、収納桶内部の食材の温度を快速に引き下げ、且つ省エネの効果があり、装置使用者のコストを軽減することができる。
【0004】
この食材冷却装置は業界に深く歓迎されたが、食材冷却装置は、食材の中にエネルギー導管を挿し込む事によって冷却作用を果たすので、マトリックス状に配置されたエネルギー導管の本数が多いため、間隔スペースに限界があり、クリーニング上の不便さがある。さらに食材の衛生を維持するうえでも、これらのエネルギー導管は使用前に適切に滅菌処理を施したほうが好ましいが、現在市場には適当な滅菌設備がないため、一歩進んだ改良が待たれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中華民国発明専利第1330249号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、速やか且つ効果的に、滅菌処理を行ない、食材処理の衛生を維持できる食材冷却装置の滅菌処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る前記滅菌処理方法は、直接食材に接触して放熱する食材冷却処理装置を使用して行う。その特徴は、食材冷却処理装置には少なくとも多数のエネルギー導管及び前記エネルギー導管を選択的に差し入れる滅菌スペースを含む。
上述した発明の目的を達成できる食材冷却装置の滅菌処理方法は、次の手段を含む。
前記エネルギー導管を滅菌スペースへ差し入れ、次に蒸気を前記滅菌スペースへ導入し、エネルギー導管の外壁が蒸気によって急速な温度差現象を起こし、熱温度差効果を生じ、この熱温度差を利用して滅菌効果及び食材の剥離効果を達成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は撹拌装置が収納桶の中の食材を絶えず回転撹拌して、食材が絶えず移動し且つ均衡にエネルギー導管に接触するようにしたので、桶内の温度を効率よく下げる長所がある。
さらに撹拌装置をクリーニングする時には、先ずお湯で洗い、更にエネルギー導管を滅菌スペースへ差し入れ次に蒸気を滅菌スペースへ導入することで、エネルギー導管の外壁が蒸気によって急速な温度差現象を起こし、この熱温度差を利用して良好な滅菌効果及び食材の剥離効果を達成することができる。
換言すれば本発明に係る食材冷却装置の滅菌処理方法、特に熱温度差によって滅菌効果を生じる滅菌処理方法は、冷水を有するエネルギー導管を滅菌スペースの中に差し込み、次に蒸気を前記滅菌スペースへ導入し、さらにエネルギー導管の内部の低温流体及び外部の蒸気によって急速な温度差を起し、熱温度差の反応を招くことによって、熱温度差効果で以って大腸菌やサルモネラ菌等に対する殺傷力を引き上げ、且つエネルギー導管外壁に残留する食材を剥離させて、効果的にエネルギー導管の清潔効果を向上させるとともに、食材冷却装置による食材処理の衛生環境を増進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る食材冷却装置の滅菌処理方法の外観略図である。
【図2】本発明に係る食材冷却装置の滅菌処理方法の操作略図である。
【図3】本発明に係る食材冷却装置の滅菌処理方法の操作略図である。
【図4】本発明の第二実施方式の外観略図である。
【図5】本発明の第二実施方式の側面略図である。
【図6】冷却装置の動作略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
図1は本発明に係る滅菌処理方法の対象である食材冷却装置の一例を示す。食材冷却装置は、主として、牽引機構1、熱交換機構2、蒸気生成器4、及び収納桶5によって構成される。
【0012】
前記牽引機構1は、モーター13によって工作アーム12を往復移動したり、任意の位置で位置決めできる。
複数のエネルギー導管21によって構成される前記熱交換機構2は、前記工作アーム12に設置され、前記工作アーム12の作動に伴って移動する。
【0013】
これらのエネルギー導管21は真空パッケージされた金属管である。このエネルギー導管21は内部に工作流体(冷水)を有する閉鎖された腔体である。この腔体内の工作流体が持続的に循環する液体と気体の二相変化、及び工作流体が吸熱側及び放熱側の間で気体が行き液体が戻る対流によって、腔体表面の温度を快速で均一的に変化させる特性をもたらし、最終的に熱伝導の目的を達成する。
【0014】
前記エネルギー導管21の吸熱側が、高温状態の食材等の物品を収容した収納桶5の中に差し込まれると、相の変化によって速やかに熱エネルギーを放熱側へ持ち込み、快速且つ均一に収納桶5の中の物品の温度を引き下げることができる。
【0015】
又、組み付けユニット22の下方にシリコン・パッキング24を設置することで、収納桶5との間の密接度を高めて、滅菌スペース51の内部圧力を増加して、滅菌効果が向上する。
【0016】
前記蒸気生成器4は、食材の温度が下がり、食材が取り出されたあとに、エネルギー導管21が入れ込まれた収納桶5の前記滅菌スペース51の中に蒸気を導入するための装置である。蒸気の導入に伴い、エネルギー導管21の外壁が蒸気に触れて急速な温度差現象を起こし、熱温度差効果を生じる。この熱温度差効果によってエネルギー導管21の滅菌効果及び食材の剥離効果を達成する。
【0017】
食材の温度を下げる場合には、前記エネルギー導管21を高温食材を入れた収納桶5の中に差し入れ、流体の相の変化によって沸騰点の低い流体をエネルギー導管21の中で、沸騰(吸熱)と凝結(放熱)のプロセスを繰り返しさせることで、速やかに食材の熱エネルギーを持ち去り、収納桶5の中の食材温度を快速に引き下げることができる。
【0018】
また冷却装置3は導水管31によって水を供給するとともに、水孔32から水流を生じさせて収納桶5の外周へ吹きつける(図6に示すように)。
冷却装置3による散水冷却により、更に温度の引き下げを助長する効能がある。
本発明は、内・外同時に熱交換作用を進行することによって、二重に降温する動作で収納桶5の中の食材の温度を速やかに引き下げできるので、待ち時間を大幅に短縮することができる。
【0019】
図3及び図5を参照して熱交換機構2のエネルギー導管21の実際の清掃及び滅菌操作について説明する。食材の冷却を完了したら、牽引機構1の工作アーム12を移動操作して、熱交換機構2のエネルギー導管21を収納桶5の滅菌スペース51の中に入れ込む。
【0020】
本発明において蒸気滅菌を行うプロセスは、下記のステップによる。
先ずサイフォン原理によって組み付けユニット22内のエネルギー導管21の放熱側と接触する低温流体を排出して、エネルギー導管21を第一温度へ導く。
エネルギー導管21の吸熱側を収納桶5の滅菌スペース51へ入れ込む。
蒸気を蒸気管41から前記滅菌スペース51の中へ導入する。前記蒸気はエネルギー導管21を比較的に高い第二温度へ導いて急速な温度差現象を引き起こし、熱温度差効果を生じる。最後に熱温度差効果によって滅菌効果及び食材の剥離効果を達成する。
【0021】
前記エネルギー導管21が第一温度から第二温度まで加熱されるには、100℃以上の温度差が必要であり、且つ前記熱温度差効果は蒸気が滅菌スペース51の中へ導入されて作業中も維持されなければならない。
本発明ではエネルギー導管21内の滅菌に使われるのは低圧蒸気滅菌であり、通常115℃〜126℃の飽和水蒸気の中で3分〜15分間の滅菌条件のもとで実施される。
【0022】
本発明は、主として熱温度差効果の原理によって、低圧力下の飽和蒸気がエネルギー導管21に付着した食材、及び食材上の細菌のタンパク質及び蛋白酵素を凝固させることによって滅菌効果を達成する。
【0023】
本発明は、エネルギー導管21上の食材を効果的にクリーニングする安全処理方法として、熱温度差効果によってエネルギー導管21に対する加熱滅菌方法に類似した滅菌処理を行う。このような効能は、主として大きな温度差の微生物に対する破壊作用に由来するもので、上述したエネルギー導管21の外壁が熱温度差効果に作用されると、エネルギー導管21の上に付着した食材を剥離させるほか、エネルギー導管21のクリーニングを便利にする効能もある。
【0024】
更に図1及び図2に示すように、ある種(例えば、カレーソース・肉ソース)の食材に粘り気がある場合、食材を均等に冷却させることが難しい。これに対処するため本発明では、組み付けユニット22の先端に撹拌装置23(agitating device)を設置した。
前記撹拌装置23は、収納桶5の中の食材を絶えず回転撹拌し、食材が絶えず移動して且つ均衡にエネルギー導管21に接触するようにすることで、桶内の食材温度を効果的に下げられるといった長所がある。
【0025】
前記撹拌装置23をクリーニングする時には先ずお湯で洗い、更に温度差によって食材を清掃して前述の蒸気と熱温度差の効果を達成することもできる。
【符号の説明】
【0026】
1・・・・・・牽引機構
12・・・・・工作アーム
13・・・・・モーター
2・・・・・・熱交換機構
21・・・・・エネルギー導管
22・・・・・組み付けユニット
23・・・・・撹拌装置
24・・・・・シリコン・パッキング
3・・・・・・冷却装置
31・・・・・導水管
32・・・・・水孔
4・・・・・・蒸気生成器
41・・・・・蒸気管
5・・・・・・収納桶
51・・・・・滅菌スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材冷却装置の滅菌処理方法であって、
前記滅菌処理方法は、直接食材に接触放熱する食材冷却処理装置を使用し、
前記食材冷却処理装置は少なくとも複数のエネルギー導管及び蒸気管を選択的に入れることのできる滅菌スペースを含み、
前記エネルギー導管を収納桶の滅菌スペースにさし入れ、
次に蒸気を前記滅菌スペースへ導入することによって、エネルギー導管の外壁が蒸気によって急速に温度差現象を起こし、熱温度差効果を生じさせ、
前記温度差効果によって滅菌効果及び食材の剥離効果を達成することを特徴とする、
食材冷却装置の滅菌処理方法。
【請求項2】
前記エネルギー導管は更に熱交換機構の上に設置され、前記熱交換機構は更に牽引機構の工作アームによって移動し、熱交換機構のエネルギー導管を収納桶の滅菌スペース内に入れ込まさせることを特徴とする請求項1に記載の食材冷却装置の滅菌処理方法。
【請求項3】
前記蒸気は蒸気管から前記滅菌スペースへ導入され、前記蒸気はエネルギー導管を比較的高い第二温度へ導き、急速な温度差現象を起し、熱温度差効果を生じさせ、最後に熱温度差効果によって滅菌効果及び食材の剥離効果を達成することを特徴とする請求項1に記載の食材冷却装置の滅菌処理方法。
【請求項4】
前記エネルギー導管において、第一温度を第二温度まで加熱するには、100℃以上の温度差が必要であることを特徴とする請求項3に記載の食材冷却装置の滅菌処理方法。
【請求項5】
前記エネルギー導管の滅菌は、通常115℃〜126℃の飽和水蒸気の中で3〜15分間の滅菌条件のもとで実施されることを特徴とする請求項3に記載の食材冷却装置の滅菌処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−231876(P2012−231876A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101171(P2011−101171)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511107658)辰光能源科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】