説明

食欲を調節する方法

【課題】対象の食欲及び/又は体重を調節する方法の提供。
【解決手段】有効な量のマクロファージ抑制性サイトカイン1(MIC−1)調節薬剤を前記対象に投与するステップを含む方法。前記薬剤は、前記対象に存在するMIC−1の量を増加又は減少させるか、或いは、前記対象に存在するMIC−1の生物活性を抑制又は増強する。またMIC−1抑制薬剤が、対象における内因性MIC−1の量を減少させる薬剤である上記の方法。さらには対象における内因性MIC−1の量を減少させる薬剤が、抗MIC−1抗体又はその断片と、MIC−1の遺伝子を標的とする触媒分子及び抑制分子と、MIC−1の転写又は翻訳抑制物質とからなる群から選択される上記の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体の食欲及び/又は体重を調節する方法に関する。1つの特定の適用では、この方法は、後期段階の腫瘍(特に癌)に伴う食欲減退及び/又は体重減に苦しむ対象に、対象に存在するマクロファージ抑制性サイトカイン1(MIC−1;macrophage inhibitory cytokine-1)の量を減少させるか、そうでなければ、対象におけるMIC−1の活性を抑制(inhibit)することができる薬剤を有効な量投与するものである。
【背景技術】
【0002】
体重の制御は、現在のところ完全に理解されていない複雑な過程である。それは多因性であり、食欲、食物摂取及び排出、並びにエネルギー利用及び消費によって影響される。多数の可溶性介在物質がこの過程の様々な様相の調節に関与していることが知られており、それらには、レプチン、グレリン、メラノコルチン、アグーチ関連ペプチド、及びニューロペプチドY(NPY)などのホルモンやサイトカインが含まれている。正常な体重の制御は健康に重要であり、特に、肥満は、個体の罹患率及び死亡率を大きく増大させる可能性がある。平均体重よりも少ないことも問題となりうる。先進諸国では、十分な食料が取得可能なので、これは、一部の慢性炎症性障害、神経性無食欲症などの摂食障害、及び癌を含めた疾患によることが多い。特に癌の後期段階では、悪液質(cachexia)となるのが一般的であり(最も末期症状の癌患者で起こる)、癌関連死亡全体のうち、その約4分の1の原因となっている。
【0003】
数年前、本発明者は、ヒトTGF−βスーパーファミリーの新規なサイトカインをクローニングし、特徴付けを行い、それをマクロファージ抑制サイトカイン1(MIC−1)と命名した(1〜7)。しかし、それ以降、それは、前立腺由来因子(PDF)、胎盤骨形成タンパク質(PLAB)、及び成長/分化因子15(GDF−15)としても知られるようになった(7)。安静状態では、胎盤が、MIC−1を大量に発現する唯一の組織である(7)が、他の様々な臓器の上皮細胞も、少量のMIC−1 mRNAを通常時に発現する。しかし、この低レベルの正常なMIC−1発現は、悪性腫瘍、炎症、及び傷害の際に劇的に上昇する(7、8〜11)。この上昇は、様々な細胞ストレス及び活性化因子によって誘導され、特に転写因子p53及びEGR−1によって細胞内に伝達される(12〜15)。詳細には、MIC−1発現の上昇は、乳癌、前立腺癌、膵癌、及び大腸癌と密接に関連しており(9〜11、17、18)、大腸ポリープ又は大腸癌を有する100人の患者に関する最近発表された研究(20)で、本発明者は、MIC−1の血清レベルの上昇が、正常から良性に、そして、異形成大腸ポリープを経て、最終的には大腸癌に至る、大腸癌の発病機序を反映して、進行性の段階的様式で起こることを示した。他の研究の結果(15、17、19、21)と併せて、この観察は、MIC−1が、腫瘍環境を調節する重大なパラクリン作用を誘導することによって、腫瘍進行における重要な役割を果たしていることを示す。
【0004】
本発明へと至る研究において、上述した上皮癌の1つの後期段階にある患者のMIC−1血清レベル(例えば10〜50ng/ml以上の血清レベル)が、MIC−1を過剰発現し、著しい体重減を示したマウスの血清レベルと相関していることが観察された。従って、MIC−1発現の上昇を伴う癌を有する患者で一般的に見られる悪液質は、MIC−1の過剰発現によるものであること、そして、その発現の抑制(例えば抗MIC−1抗体を用いる)によって、体重減の重篤度を逆転又は軽減させることが可能であろうということを提言した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、第1の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重を調節する方法を提供し、この方法は、有効な量のMIC−1調節薬剤(MIC-I -modulating agent)を前記対象に投与するステップを含み、前記薬剤は、前記対象に存在するMIC−1の量を増加又は減少させるか、或いは、前記対象に存在するMIC−1の生物活性を抑制又は増強する。
【0006】
第2の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重を増加させる方法を提供し、この方法は、有効な量のMIC−1抑制薬剤(MIC-I -inhibiting agent)を前記対象に投与するステップを含み、その際、前記薬剤が、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合されていてもよい。
【0007】
第3の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重を減少させる方法を提供し、この方法は、有効な量のMIC−1増強薬剤を前記対象に投与するステップを含み、その際、前記薬剤が、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
多くの癌、特に上皮由来の癌がMIC−1を過剰発現すること、そして、疾患の段階及び程度に比例して、これらの癌を有する患者の血清中MIC−1レベルが上昇することが、以前に既に見出されている。特に癌の後期段階では、これらの血清レベルが10〜50ng/ml以上に達することがある。これは、マウスで著しい体重減を伴うレベルである。癌患者でMIC−1レベル又はMIC−1活性を低下させることによって、体重減並びにそれに続く、患者の生活状態及び尊厳への悪影響が逆転又は抑制されるであろうと予測される。続いて、これが、患者が癌の治療を受けて、その治療に前向きに反応する能力の助けとなり、それによって、罹患率及び死亡率を低下させる可能性がある。
【0009】
従って、第1の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重を調節する方法を提供し、この方法は、有効な量のMIC−1調節薬剤を前記対象に投与するステップを含み、前記薬剤は、前記対象に存在するMIC−1の量を増加又は減少させるか、或いは、前記対象に存在するMIC−1の生物活性を抑制又は増強する。
【0010】
対象に存在するMIC−1の量を減少させる(詳細にはMIC−1の血清レベルを低下させる)か、或いはMIC−1の活性を抑制するように上記の方法を実施する場合、この方法は、食欲を増強し、且つ/或いは、対象の体重の増加又は少なくとも何らかの体重減失の減少に導く可能性がある。その一方、MIC−1の量を増加させる(詳細にはMIC−1の血清レベルを上昇させる)か、或いはMIC−1の活性を増強するように上記の方法を実施する場合、この方法は、食欲を減退させ、且つ/或いは、対象の体重の減少又は少なくとも何らかの体重増加の減少に導く可能性がある。
【0011】
第2の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重を増加させる方法を提供し、この方法は、有効な量のMIC−1抑制薬剤を前記対象に投与するステップを含み、その際、前記薬剤が薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合されていてもよい。
【0012】
第2の態様の方法は、MIC−1を抑制する薬剤の投与を行うものである。そのような薬剤は、対象の内因性MIC−1の量(詳細には内因性MIC−1の血清レベル)を減少させるものでよく、抗MIC−1抗体又はその断片(例えばFab断片化又は組換えscFv断片(22))と、MIC−1の遺伝子を標的とする触媒オリゴヌクレオチド及び抑制オリゴヌクレオチド(例えば、リボザイム、DNAザイム、アンチセンスRNA、及びsiRNA(small inhibitory RNA))と、MIC−1の転写又は翻訳抑制物質とから選択されたものでありうる。別法では、MIC−1抑制薬剤は、対象における内因性MIC−1の活性阻害するものでもよく、抗MIC−1抗体若しくはその断片(例えばFab断片又は組換えscFv断片)と、MIC−1受容体の可溶性の細胞質外受容体ドメインと、MIC−1に結合する他の可溶性の分子又はマトリックス結合タンパク質(例えばヘパリン、ヘパラン硫酸、及びフェチュイン)と、例えば、その受容体へのMIC−1の結合のペプチド、ペプチドミメティック又は有機小分子抑制物質とから選択されたものでありうる。加えて、ペプチド、ペプチドミメティック、又は有機小分子抑制物質は、MIC−1受容体リン酸化、MIC−1受容体から核へのシグナル伝達情報の伝達、又は細胞ゲノム上の適切な転写因子の作用を抑制することによって、内因性MIC−1の活性を抑制するものでありうる。さらに、MIC−1抑制薬剤は、成熟MIC−1タンパク質ドメインからのプロペプチドの切断を行うプロコンバターゼ(proconvertase)酵素の抑制物質でもよい。下記の実施例1に示す通り、未成熟なMIC−1(すなわちproMIC−1)は、細胞外マトリックスに結合しており、従って、MIC−1のプロセシングを行うプロコンバターゼ酵素を抑制することによって、MIC−1を細胞外マトリックス中に「閉じこめる」ことができる。プロコンバターゼ酵素は、例えば、(a)α−1−アンチトリプシン変異体であるα−1−アンチトリプシンポートランドを用いた、細胞の形質移入、(b)ポリアルギニンペプチド、及び、(c)標的タンパク質のプロペプチド配列とプロコンバターゼ配列とにまたがった、プロコンバターゼの標的タンパク質の配列に基づいたペプチドによって抑制できる。
【0013】
MIC−1を抑制する薬剤は、好ましくは、抗MIC−1抗体又はその断片であり、より好ましくは、ヒト化されたモノクローナル抗MIC−1抗体である。ヒト化された抗MIC−1抗体は、米国特許第5225539号に記載の方法で産生できる(この開示全体を参照により本明細書に援用する)。
【0014】
第2の態様の方法は、炎症性疾患(例えば慢性関節リウマチ)及び/又は癌(特に、乳癌、前立腺癌、大腸癌、直腸癌、膀胱癌、及び膵癌などの上皮癌)に伴う食欲減退及び/又は体重減に苦しむ対象の治療に有用である。しかし、この方法は、MIC−1が過剰発現されるいかなる他の疾患、状態、又は治療(例えば傷害、炎症、ストレス、放射線療法、及び化学療法)に伴う食欲減退及び/又は体重減の治療にも有用でありうる。第2の態様の方法で治療するのに適した対象は、MIC−1過剰発現を示すもの、又は、少なくともMIC−1の血清レベルが一貫して、正常血清レベルである200〜1200pg/mlの上位にあるものに限定することができる。そのような対象は、MIC−1のアッセイ(例えばMIC−1 ELISA(4))を用いて高血清レベルのMIC−1を検出する(例えば全血又は血清試料から)ことによって選択することができる。
【0015】
第2の態様の方法は、進行癌に伴う食欲減退及び/又は体重減に苦しむ対象の治療に用いることが好ましい。進行癌では、総腫瘍量が多いことによって、MIC−1の血清レベが高くなることが多い。
【0016】
第3の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重を減少させる方法を提供し、この方法は、有効な量のMIC−1増強薬剤を前記対象に投与するステップを含み、その際、前記薬剤が、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合されていてもよい。
【0017】
第3の態様の方法は、MIC−1増強薬剤の投与を行うものである。そのような薬剤は、対象の内因性MIC−1の量(詳細には内因性MIC−1の血清レベル)を増加させるものでよく、MIC−1、及びMIC−1遺伝子の転写又は翻訳を増強する薬剤(例えばp53転写因子、又は、ヌトリン(nutlin)(23)など、p53の発現又は活性を増強する薬剤であり、p53はMIC−1過剰発現を伴う疾患でしばしばレベルが上昇しているのが見られる)から選択されたものでありうる。別法では、MIC−1増強薬剤は、対象における内因性MIC−1の活性増強するものでもよい。本明細書で使用される場合、MIC−1増強薬剤という用語には、MIC−1の活性を模倣する薬剤が含まれるものとする(例えば、活性なMIC−1断片、MIC−1の活性ドメインのペプチドミメティック、及びMIC−1活性を模倣する有機小分子)。
【0018】
第3の態様の方法は、肥満を患う対象の治療、又は別の状況で生活状態の向上若しくは虚栄を理由として体重減を望むかもしれない対象への処置に有用である。
【0019】
本発明の方法での使用に供するMIC−1調節薬剤は、いかなる適当な医薬/獣医学組成物又は剤形(例えば、経口、口腔、鼻腔、筋肉内、及び静脈内投与用の組成物)に処方してもよい。そのような組成物は、通常、食欲及び/又は体重を調節するのに効果的な量で対象に投与されるであろう。従って、そのような組成物は、1日あたり約0.01〜約100μg/kg体重のMIC−1調節薬剤、より好ましくは1日あたり0.05〜25μg/kg体重のMIC−1調節薬剤を提供するものでありうる。適当な組成物は、最も効果的な結果を実現するのに必要なように、1日1回投与用、1日複数回投与用、又は制御若しくは持続放出用に意図されたものでありうる。
【0020】
上記に特定したMIC−1調節薬剤に加えて、対象に存在するMIC−1の量及び/又はMIC−1の活性に影響のあるものを求めて候補薬剤又は薬剤ライブラリーをスクリーニングすることよって、他のMIC−1調節薬剤を同定することもできる。同様に、様々な疾患又は状態の治療用薬剤を、食欲及び/又は体重への望ましくない副作用(例えば食欲の、望ましくない抑制又は促進)に関して評価することもできるであろう。
【0021】
従って、さらに別の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重への薬剤の影響を評価する方法を提供し、この方法は、前記薬剤を前記対象又は適当なその動物モデル(例えばマウス)に投与するステップと、前記対象又は動物モデルにおけるMIC−1の量(特に血清MIC−1レベル)のいかなる増加又は減少も検出するステップとを含む。
【0022】
対象又は動物モデルにおけるMIC−1の量のいかなる増加又は減少も、前記薬剤の投与の前後にMIC−1試料(例えば全血又は血清試料)を採取し、前記試料のそれぞれにおけるMIC−1の量を測定する(例えばMIC−1ELISAを用いて)ことによって同定できる。
【0023】
同様の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重への薬剤の影響を評価する方法を提供し、この方法は、MIC−1(又はその機能性断片若しくはミメティック)と、MIC−1結合パートナー(好ましくはMIC−1受容体、又はその機能性断片若しくはミメティック)と、前記薬剤との間の混合物を形成するステップ、並びにMIC−1(又はその機能性断片若しくはミメティック)と、MIC−1結合パートナーとの結合のいかなる増強又は減弱も検出するステップを含む。
【0024】
結合の増強は、その薬剤が、対象の食欲及び/又は体重を減少させる可能性が高いことを示す。一方、結合の減弱は、その薬剤が、対象の食欲及び/又は体重を増加させる可能性が高いことを示す。
【0025】
また、さらに別の同様の態様では、本発明は、対象の食欲及び/又は体重への薬剤の影響を評価する方法を提供し、この方法は、MIC−1を発現する細胞を前記薬剤に曝露するステップと、前記MIC−1発現のレベルのいかなる上昇又は低下も検出するステップとを含む。
【0026】
MIC−1の発現の上昇は、その薬剤が、対象の食欲及び/又は体重を減少させる可能性が高いことを示す。一方、MIC−1の発現の低下は、その薬剤が、対象の食欲及び/又は体重を増加させる可能性が高いことを示す。
【0027】
この方法は、マクロファージ、上皮細胞、内皮細胞、及びそれらの細胞系から選択された、MIC−1を発現する細胞又は細胞系を用いてインビトロ(in vitro)で行うことが好ましい。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、対象の食欲を評価する方法を提供し、この方法は、前記対象に存在するMIC−1の量(特に血清MIC−1レベル)を測定するステップを含む。
【0029】
そのような方法も、将来の体質量を予測するものでありうる。
【0030】
MIC−1の過剰発現が対象の食欲及び/又は体重を減少させているようだという新知見は、対象のMIC−1レベルを増強する遺伝子療法の方法によって、肥満の効果的な治療が提供されうることを示す。従って、本発明は、内因性MIC−1発現の上昇を引き起こす組換えMIC−1遺伝子を含む、対象の食欲及び/又は体重を減少させる遺伝子療法の方法、及び遺伝子療法薬も企図する。MIC−1遺伝子の導入に適したベクターには、組換えアデノウイルスベクター又はアデノウイルス関連ベクター、組換えレトロウイルスベクター、組換えレンチウイルスベクター、線状DNA含有リポソーム、及び形質移入又は形質転換された幹細胞が含まれる。
【0031】
本発明の本質がより明確に理解されるようにすることを目的として、その好ましい形態を、これより、以下の非限定的な実施例に関して記述する。
【実施例1】
【0032】
(血清MIC−1レベルの調節)
MIC−1は、タンパク質におけるTGF−βスーパーファミリーの他のメンバーと同様に、N末端プロペプチドと、C末端の成熟MIC−1ドメインとを含有する前駆体として合成される。この前駆体は、小胞体(ER)の中でジスルフィド結合による二量体化を行い、二量体化が完了すればゴルジ装置に向けてERを離れ、ゴルジ装置で、フリン(furin)様のコンバターゼが、保存されたRXXR部位(アミノ酸196)(配列番号1)でそれを切断する。この切断によってプロペプチドが成熟C末端側ドメインから分離され、それによって、ジスルフィド結合で連結された24.5kDの二量体として、MIC−1が放出される(1)(図1)。
【0033】
通常は、かなりの量のMIC−1が、プロセシングされていない形態で分泌されていることが以前に見出されている。例えば、栄養膜細胞系BeWo(4)、前立腺癌細胞系LnCAP及びPC3、膵細胞系Panc1、並びに単球様細胞系U937を含めた様々な細胞から、プロセシングされていない内因性proMIC−1が分泌されることが判明している。前立腺腺癌細胞系LnCAPでは、プロセシングされていないproMIC−1は細胞外マトリックス(ECM)に結合しているが、成熟したMIC−1は培養上清中に局在することが判明している(24)。MDCK形質移入体を用いた予備研究はまた、アミノ酸144〜195にある、プロペプチドのC末端領域によって、ECM結合も媒介されることを実証した。さらに、精製された組換えプロペプチド及びproMIC−1は、両方とも、プロペプチドにおける同一のC末端領域を介してヘパリンと相互作用する。
【0034】
ECMとのproMIC−1の結合は、ECM結合が潜在性MIC−1の局所的貯蔵を提供し、貯蔵されたproMIC−1のプロセシングの結果、成熟したMIC−1(ECMへの親和性がほとんどない)が血流中に急速に放出されることを示唆する。この概念を試験するために、ヌードマウスの腫瘍異種移植モデル(16)を開発した。
【0035】
(材料及び方法)
DU145ヒト前立腺癌細胞系(17)は、内因性MIC−1を産生せず(主として、細胞が機能的なp53を産生しないため)、従って、様々なヒトMIC−1コンストラクトを発現するための媒体として有用である。DU145細胞系を用いて、真核細胞発現ベクター(IRES II EGFPベクター、Clontech社製)で恒久的に形質移入されたサブクローニング済みのDU145細胞系を作製した。これらの細胞系は、
(i)完全長ヒトproMIC−1(但し、天然のリーダーペプチドではなく、FSHリーダーペプチドを用いた)(1)、
(ii)成熟したヒトMIC−1(プロペプチドはもたないが、FSHリーダーを含有する)、
(iii)フリン様プロコンバターゼ部位(太字で示す)を含有するアミノ酸配列RGRRRAR(配列番号2)を欠失したヒトproMIC−1(FSHリーダーを含有する)であって、欠失により、プロセシングと、それに続く、成熟したMIC−1の、プロペプチドからの遊離が阻止されているヒトproMIC−1、並びに、
(iv)ベクターの陰性対照のみ(5)のいずれかをコードする配列を含有する。
【0036】
EGFP発現に基づいて、発現の高いサブクローンを選択した。これらの細胞を免疫不全BALB/c nu/nuヌードマウスの側腹部に皮下注射した。マウスを定期的にモニターし、2〜3日おきにそれらの体重を測定した。マウスは、注射の約2カ月後、又は腫瘍直径が1.1cmに達したときに屠殺した。ELISAによってヒトMIC−1レベルを推定するために、屠殺の直前にこれらのマウスから血清を取得した(4、16、18)。このヒトMIC−1についてのELISAは、マウスのMIC−1と交差反応を起こさず、また、以前に、マウスにおけるヒト腫瘍MIC−1レベルの良好且つ排他的な測定に用いられている(16)。
【0037】
(結果)
結果を図2及び3に示す。成熟したMIC−1を発現する腫瘍マウスのみが血清MIC−1レベルの劇的な上昇を示した。MIC−1のFURIN DEL変異体を発現するマウス腫瘍は、プロセシングを正常に行うことができず、従って、プロペプチドを含有するが、これらは、著しく低い血清MIC−1レベルを有していた。インビトロデータから推定すると、この結果は、FURIN DEL変異体がECMと強固に結合しているためと思われる。
【0038】
(考察)
この実施例で得られた結果は、組織と血液との間のMIC−1分布を調節するのに、MIC−1プロペプチドが重要であることを示す。従って、MIC−1プロペプチドに結合する物質(例えばヘパリン及びヘパラン硫酸)、又は、他の方法で、プロペプチド上のマトリックス結合部位と競合する物質(例えば精製された組換えプロペプチドそれ自体)のいかなるものも、血流中のMIC−1レベルを上昇させると予測されよう。その結果、食欲を含めた、血清MIC−1によって媒介される機能が調節されるであろう。
【実施例2】
【0039】
(MIC−1による食欲の調節)
実施例1に記載した調査の過程で、異種移植モデルマウスのうち、MIC−1を過剰発現している腫瘍を有するものは、体重が減少したか、或いは対照マウスほど体重を増加させなかったことに気づいた。そのため、観察された、マウスの体重への影響の程度及び理由を決定するための研究を行った。
【0040】
(材料及び方法)
屠殺の直前にマウスの体重を測定し、体重/%体重減を血清MIC−1レベル(例えば、実施例1に記載のELISAによって測定したもの)と比較した。
【0041】
血清MIC−1レベルが、観察された体重減の原因であるかどうかを査定するために、第2の研究を行った。この研究では、成熟したヒトMIC−1を過剰発現している(且つ、以前に発明者らによって最も高い血清MIC−1レベルと関連付けられている)DU145クローンをヌードマウスに皮下注射し、マウスの体重がかなり減少した後、27日目に、1mg若しくは10mgの、精製された対照ヒツジIgG、又は組換えヒトMIC−1で免疫処置され、且つヒトMIC−1に対する高力価の抗体を有するヒツジの血清から精製されたIgGをマウスに腹腔内注射した。このヒツジ抗ヒトMIC−1 IgGは、ヒトMIC−1に高い親和性で反応し、以前に、MIC−1 ELISAに使用されている。
【0042】
観察された体重減が、別の腫瘍由来の産物ではなく、MIC−1によって媒介されたものであることをさらに実証するため、マクロファージに特異的なc−fmsプロモーターの制御下にマウスMIC−1を過剰発現する2つのトランスジェニックマウス系統(min 28及びmin 75;共にC57Bl6マウスで作製)について、体重減の評価を行った。
【0043】
(結果)
ヒツジ抗ヒトMIC−1 IgGを用いて行われた研究において、1mgのヒツジ抗ヒトMIC−1 IgGは、マウスの体重に相違をもたらさなかった(データは示されていない)が、10mgの抗MIC−1 IgG(図4Aを参照)は、それぞれの腫瘍保有ヌードマウスで、急速な体重増加を誘導した(図4Bに示す、10mgの対照IgGでの結果を参照のこと)ことが判明した。この体重増加は、抗体を投与した5から6日後にピークに達し、その後、それに続く7から10日間にわたって、マウスの体重が徐々に減少した。
トランスジェニックマウス系統min 28及びmin 75の体重減評価の結果を図5から7に示す。これらの結果は、これらのマウスが、それらの野生型コンジェニック同腹仔より実質的に小さいことも示す。これらのマウスは、出生時体重が等しく、体重の相違は出生して最初の数週間の後に現れ始める。
【0044】
(考察)
観察された体重減は、一部のマウスでは極めて劇的であった。そして、それは、腫瘍由来のヒトMIC−1の血清レベルと関連していることが判明した。成熟したヒトMIC−1を過剰発現しているDU145クローンで形質移入されたマウスは、圧倒的に最も高いレベルの血清MIC−1を有し、これらのマウスは劇的な速度で体重を減少させた。動物行動の観察によって、このことの主原因が、これらのマウスによる飼料摂取の劇的な減少にあることが示された。ヒツジ抗MIC−1 IgGの投与によって(対照IgGでは効果がないが)、体重減を逆転できるであろうという新知見は、この体重減がMIC−1によることを実証するものである。これはトランスジェニックマウス系統min 28及びmin 75を用いた体重減評価によって実証された。これらのマウスでは、MIC−1発現がマクロファージ特異的であるにもかかわらず、血清MIC−1レベルが著しく上昇しており、野生型コンジェニックマウスと比較して、体重の有意な相違が観察された。トランスジェニックマウス系統及びそれらの野生型コンジェニック同腹仔は、両方とも出生時体重(すなわち、出生の24時間後に測定されたもの)が同じであったので、この体重減効果は出生後に起こったものである。
【実施例3】
【0045】
(抗MIC−1モノクローナル抗体の投与によって、MIC−1を分泌する腫瘍に関連した体重減が逆転される)
(結果及び考察)
異種移植モデルをヌードマウスで確立した(上述の通り)。その際、ヌードマウスの側腹部に、成熟MIC−1を過剰発現するように遺伝子操作されたいずれかのDU145細胞を注射した。MIC−1を過剰発現しているDU145細胞を注射されたマウスは、急速に体重減を開始した。MIC−1に対するモノクローナル抗体(MAb26)を、11日目に0.1〜1mgの用量で単回投与したところ、それによって、体重の増加が引き起こされ、その程度、及びその期間は、MAb26の量を増加させるに従って、増大した(図8A〜C)。最も高い用量である約1mgでは、体重が異種移植前のレベルにまで上昇し、それから、抗体が最初に投与されたときと同じ体重にまで再び減少するのに約17日かかった。MAb26は、腫瘍の成長に影響を与えなかった(図8D〜F)。また、未処置のマウス(図8G)、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のみで処置されたマウス(図8H)は、実験期間中、急速且つ継続的に体重を減少させた。
【実施例4】
【0046】
(マウス異種移植モデルにおける飼料摂取への影響)
(材料及び方法)
異種移植モデルをヌードマウスで確立した(上述の通り)。その際、ヌードマウスの側腹部に、成熟MIC−1を過剰発現するように遺伝子操作されたDU145細胞、又は対照プラスミドを有するDU145細胞のいずれかを注射した。MIC−1を過剰発現しているDU145細胞を注射した後の8日目に、飼料摂取を、3回の連続した24時間の測定時間について測定した。8日目の平均腫瘍量は56mm、平均体重減は7%であった。マウスは、1ケージあたり5匹のグループで飼育した。タイムポイント0に、ホッパーに入れた飼料の重さ及び同腹仔の体重を計測した。ホッパーに入れた飼料から残余及びこぼれた量を引くことによって、24時間後に、消費された飼料を推定した。対照マウスの飼料摂取も同様に測定したが、測定は、平均腫瘍容積が70mmに達したときである腫瘍注射後21日目に行った。
【0047】
(結果)
MIC−1を過剰発現しているDU145が注入されたマウスの飼料摂取は、対照マウスより、1、2、及び3日目(p=0.01、0.0001、及び0.02)に有意に少なかった(約30%)(図9)。これらのマウスの脂肪量を直接測定したところ、精巣上体、鼠径部、及び後腹膜の領域で、脂肪量の著しい減少がMIC−1過剰発現に伴った(図10)。その際、2種類の代表的な筋肉の量は減少しなかった。
【実施例5】
【0048】
(マウス異種移植モデルにおける血清代謝マーカーの測定)
(材料及び方法)
異種移植モデルをヌードマウスで確立した(上述の通り)。その際、ヌードマウスの側腹部に、MIC−1を過剰発現するように遺伝子操作されたDU145細胞、又は対照DU145細胞のいずれかを注射した。腫瘍容積が100〜200mmに達したか、或いはマウスの体重が約18%低下したとき、すなわち、MIC−1を過剰発現しているDU145腫瘍細胞を注射した11〜16日後、そして、対照腫瘍を注射した21〜30日後に、マウスを屠殺した。以前の実験から、腫瘍に由来するヒトMIC−1の血清レベルは15〜58ng/mlであることが知られている。心臓穿刺によって血清を採集し、市販のイムノアッセイを用いて代謝マーカーをアッセイした。統計的比較は、スチューデントのT検定を用いて行った。
【0049】
(結果及び考察)
マウスにおける様々な代謝マーカーの測定によって、MIC−1を過剰発現する腫瘍マウスにおける、トリグリセリド及び遊離脂肪酸、そしてグルカゴン及びIGF−1の統計的に有意な減少が実証された(データは示されていない)。脂肪量の減少と一致した、レプチン濃度の減少もあった。これは、MIC−1によって減少した飼料摂取が、MIC−1によるレプチンの刺激によって媒介された可能性が非常に小さいことを示すものである。グルコースに関する相違は、p=0.053であり、僅差で統計的有意性を満たさなかった。これらの新知見は、飢餓及び脂肪の減失と概ね一致したものである。
【実施例6】
【0050】
(マウス異種移植モデルにおける脂肪パッド及び筋肉の重さの測定)
(材料及び方法)
異種移植モデルをヌードマウスで確立した(上述の通り)。MIC−1を過剰発現するように遺伝子操作されたDU145細胞を20匹のマウスの側腹部に注射し、対照プラスミドで形質移入されたDU145細胞を20匹のマウスに注射した。腫瘍容積が100〜200mmに達したか、或いはマウスの体重が約18%低下したとき、すなわち、MIC−1を過剰発現しているDU145腫瘍細胞を注射した11〜16日後、そして、対照腫瘍を注射した21〜30日後にマウスを屠殺した。肩甲骨間褐色脂肪組織、鼠径部、精巣上体、及び後腹膜の脂肪、並びに脛骨筋及び腓腹筋を慎重に解剖し、摘出して重さを量り、その重さを体重に関して補正した。
【0051】
(結果及び考察)
褐色脂肪は減少しなかったが、鼠径部脂肪、精巣上体脂肪、及び後腹膜脂肪における体脂肪の重さに顕著な減少があった(図10)。これら2つのグループの間では、マウスの筋肉の重さに有意な相違がなかった(図10)。しかし、PIXImusイメージャー(GE Lunar社製)を使用した、より感度の高い総除脂肪体重分析を用いたところ、除脂肪体重の全体的な減少があったことが示された。また、それは、総脂肪質量及び腹部脂肪質量がはるかに大きく減少していることを確認した。
【実施例7】
【0052】
(MIC−1トランスジェニックマウス)
(結果及び考察)
c−fmsプロモーターの制御下に、MIC−1を単球様細胞から過剰発現するように遺伝子操作して、トランスジェニックマウスを作製した。これらのマウスは、全身的にMIC−1レベルが上昇しており、健康な外見を有し、正常に繁殖した。それらは、野生型マウスから識別できないが、生後約3週間に始まり、成人期にまで至る有意な成長遅延を示す(図5〜7)。この効果は、min 75及びmin 28と呼ばれる2つの独立したトランスジェニック系統で観察された。
【0053】
腫瘍異種移植マウスと同様に、MIC−1を過剰発現するトランスジェニックマウスの飼料摂取は、それらの野生型対応物より有意に少なかったが、この相違は、飼料摂取量をマウスの体重に関して補正することによって消失した(図11)。出生時からMIC−1レベルが上昇していれば、その結果、飼料摂取が減少し、その結果としてサイズが減少し、それらのサイズが、減少した飼料摂取に適したものとなる平衡に達すると考えられている。これらのトランスジェニック動物で、腫瘍を異種移植されたマウスと同じ代謝マーカーの測定を行ったところ、IGF−1レベルのみが有意な相違を示した。MIC−1トランスジェニックマウスでは、IGF−1レベルが低下している。
【0054】
過剰発現性のトランスジェニックマウスは、鼠径部、精巣上体/子宮、及び後腹膜の領域で脂肪量の減少を示し、これは、オスマウスと比較して、メスの方がより顕著である(図12)。比較的に、脾臓が小さいことと、胸腺が大きいことを除いて、分析された3種類の脂肪パッドすべてのサイズが減少していた。絶対的な意味では、野生型(WT)対トランスジェニック(TG)で胸腺の重さに相違はなかった。
【実施例8】
【0055】
(フェチュインによる血清MIC−1レベルの制御)
血清MIC−1が、すべての個体で平均濃度450pg/mlで存在することは、TGF−βスーパーファミリーに属する他の一部のサイトカインと同様に、MIC−1が1つ又は複数の血中調節因子に結合している可能性があることを示唆する。糖タンパク質であるフェチュインは、広範な細胞及び組織で発現され、血清中に存在する。MIC−1がこの糖タンパクと相互作用しているかどうかを決定するために以下の調査を行った。
【0056】
(材料及び方法)
精製された組換えMIC−1及び成熟MIC−1(0.1%BSA中)を、フェチュインでコーティングされたアガロースビーズと共にインキュベートした。その後ビーズを洗浄し、結合した物質を、SDS−PAGEと、それに続く、抗MIC−1抗体を用いたウェスタンブロット法とによって分析した。その際、レーン1は、精製された組換えMIC−1、レーン2は、フェチュインビーズに結合したMIC−1、レーン3は、フェチュインビーズのみ、レーン4は、アガロースビーズのみと共にインキュベートされたMIC−1とした。
【0057】
(結果)
結果は、図13に示されており、これは、成熟したMIC−1がフェチュインと相互作用及び結合することを明確に示している。
【0058】
(考察)
MIC−1はフェチュインに結合するので、血清MIC−1によって媒介される機能を調節するために、MIC−1抗体の投与の代替手段を、フェチュインが提供する可能性がある。例えば、血清MIC−1が食欲に及ぼす抑制効果を調節するのに、「遊離」MIC−1のレベルが低下するように、フェチュインを適当な経路(例えば静脈内投与)で対象(例えば進行癌を患う対象)に投与することができよう。
【実施例9】
【0059】
(正常なマウス脳におけるMIC−1発現の分析)
(結果及び考察)
飼料摂取及び食欲は、一連の複雑な機構によって制御されており、その多くは中枢神経系の内部に局在する。神経系において、食欲や体温など、多数の基本的身体機能を制御する領域は、視床下部の領域の中に局在する。食欲の場合、この過程を調節する多数の複雑な因子は、視床下部の弓状核に局在し、ニューロペプチドYなどの介在因子及び介在因子の受容体の多くがこの領域に局在する。この領域の血液脳関門は、漏出が起こりやすい領域でもあり、これは、全身性分子が血液脳関門を通過して、脳に直接作用する可能性のある非常に限られた脳領域の1つである。この作用機序によって、MIC−1は、弓状核及び視床下部に直接的に作用を及ぼすことができると考えられている。しかし、MIC−1は、正常マウス脳のこの領域内部でも発現される(図14)。これは、インサイチュ(in situ)ハイブリダイゼーションの研究によって示した通り、血流中MIC−1の拡散を表すものではなく、インサイチュハイブリダイゼーションの研究は、MIC−1 mRNAと、弓状核、脳室周囲領域、及び室傍視床下部の領域のタンパク質との共局在を実証する。正常脳における、食欲制御などの機能と強く関連した領域にMIC−1が局在することは、この重要な機能を制御するのに、末梢循環からのMIC−1と、脳内で内因的に産生されたMIC−1との両方が、役割を果たしていることの強力な論拠を提供する。
【0060】
この明細全体を通して、「含む」という用語、又は「含んでいる」若しくは「含むこと」などのその変形は、何らかの他の要素、実体、若しくはステップ、又は一群の要素、実体、若しくはステップを除外することを意味するのではなく、言及された要素、実体、若しくはステップ又は一群の要素、実体、若しくはステップの含有を意味することが理解されよう。
【0061】
この明細書の中で参照されたすべての出版物を、参照により本明細書に援用する。本明細書に含まれている書類、文書、物質、装置、記事又は同様のものにおけるいかなる論述も、本発明の前後関係を提供することのみを目的としたものである。それは、これらの要素の一部又は全部が、先行技術基盤の一部を形成すること、又は、この出願の各請求項の優先日以前に豪州若しくは他の何らかの場所で存在した、本発明に関連した分野における通常の一般知識であることを是認するものではないと理解するべきである。
【0062】
特定の実施形態で示した通り、大まかに記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、多数の変更及び/又は改良を本発明に加えられることを、当業者ならば理解するであろう。従って、これらの実施形態は、あらゆる点に関して限定的なものではなく、例示的なものである。
【0063】
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【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】112アミノ酸形態の成熟型MIC−1に至る、前駆体のプロセッシングの概念図である。成熟型ドメインからのプロペプチドの切断はArg196で起こる。
【図2】最も大きいマウス腫瘍が直径約1cmに達したときの、ヌードマウスの体重と、採取された血液中のヒトMIC−1血清レベルとの関係を示すグラフである。ヌードマウスには、 (i)完全長ヒトMIC−1(プロペプチドを含有する)(第3シリーズ)、 (ii)成熟したヒトMIC−1(プロペプチドを含有しない)(第1シリーズ)、 (iii)プロペプチドを含有するが、フリン様プロコンバターゼ部位の欠失を有するヒトMIC−1(FURIN DEL)(第2シリーズ)、又は、 (iv)ベクターのみの陰性対照(第4シリーズ)を過剰発現するように遺伝子操作されたヒトDU145細胞を異種移植した。
【図3】最も大きいマウス腫瘍が直径約1cmに達したときの、ヌードマウスのパーセント体重減(実験開示時の体重と比較した)と、採取された血液中のヒトMIC−1血清レベルとの関係を示すグラフである。ヌードマウスには、 (i)完全長ヒトMIC−1(プロペプチドを含有する)(第3シリーズ)、 (ii)成熟したヒトMIC−1(プロペプチドを含有しない)(第1シリーズ)、 (iii)プロペプチドを含有するが、フリン様プロコンバターゼ部位の欠失を有するヒトMIC−1(FURIN DEL)(第2シリーズ)、又は、 (iv)ベクターのみの陰性対照(第4シリーズ)を過剰発現するように遺伝子操作されたヒトDU145細胞を異種移植した。
【図4】マウスの体重(g)へのヒツジ抗ヒトMIC−1抗体の影響の結果を示すグラフである。(A)27日目に、ヒトMIC−1に対する高力価抗体が産生されるように、高純度に精製された組換えMIC−1で免疫処置されたヒツジから精製されたIgG 10mgを2匹のマウスに(腹腔内)投与した。(B)27日目に、正常なヒツジ血清から精製された対照IgG 10mgを2匹のマウスに(腹腔内)投与した。A及びBのグラフは、2つのグループのマウスからそれぞれ1匹の代表的なデータを示す。
【図5】MIC−1を過剰発現するトランスジェニック(TG)マウス系統min 28を用いた体重減評価の結果を示すグラフである。オス及びメスのmin 28マウス両方で、野生型のコンジェニック同腹仔と比較して有意に体重が減少した(P<0.001)(3グループの同腹仔、59から61日齢)。
【図6】MIC−1を過剰発現するトランスジェニック(TG)マウス系統min 75を用いた体重減評価の結果を示すグラフである。オス及びメスのmin 75マウス両方で、野生型(WT)のコンジェニック同腹仔と比較して有意に体重が減少した(P<0.001)(3グループの同腹仔、59から61日齢)。
【図7】野生型マウス(黒塗りの印、WT)、及び7グループのヘテロ接合トランスジェニック同腹仔マウス(TG、中空の印)の体重(g)の比較を示す。数字は、ヘテロ接合マウスの平均体重を、各同腹仔グループにおけるそれらの野生型同腹仔と比較して示す。新生仔のWTマウス及びTGマウス(48時齢未満のマウス)では、体重に有意な相違がない。
【図8】成熟したヒトMIC−1(プロペプチドを含有しない)のコンストラクトを用いて、MIC−1を過剰発現するように形質移入されたヒトDU145細胞を異種移植されたヌードマウスにおいて、ヒトMIC−1に対するモノクローナル抗体(MAb26)の投与によって、体重減が逆転されうることを示す図である。MIC−1を過剰発現するDU145細胞を注射されたマウスでは、体重減が速やかに始まった。11日目に、0.1〜1mgの量のMAb26を単回注射で投与したところ、体重増加、その程度、及びその期間の増大が引き起こされ、それらは、Mab26の量が増加するのに従って増大した(A〜C)。MAb26は、腫瘍の成長には影響を与えなかった(D〜F)。未処置のマウス(G)、及びPBS緩衝のみで処置されたマウス(H)は、実験の過程全体を通して急速且つ継続的に体重を減少させた。縦軸は体重(g)である。
【図9】成熟ヒトMIC−1(プロペプチドを含有しない)のコンストラクトを用いて、MIC−1を過剰発現するように形質移入されたヒトDU145細胞を異種移植されたヌードマウス、及び対照コンストラクトで形質移入されたDU145細胞を受容した対照マウスにおける、連続した3日間にわたる毎日の飼料摂取を比較したグラフである。
【図10】成熟ヒトMIC−1(プロペプチドを含有しない)のコンストラクトを用いて、MIC−1を過剰発現するように形質移入されたヒトDU145細胞を異種移植されたヌードマウス、及び対照コンストラクトで形質移入されたDU145細胞を受容した対照マウスにおける、脂肪パッド及び筋肉の重さを比較したグラフである。MIC−1を保持するDU145発現腫瘍は、黒塗りの棒グラフで表されており、中空の棒グラフは、対照腫瘍を有するマウスを表す。T検定を用いて統計的な比較を行った。星印の数は、p=0.003からp<0.0001まで増大する統計的有意性を示す。鼠径部脂肪、精巣上体脂肪、及び後腹膜脂肪の体脂の重さに顕著な減少があった。2つのグループの間では、マウスの筋肉の重さに有意な相違がなかった。NS=有意ではない、**p<0.01、***p<0.001。
【図11】野生型の対照と比較した、MIC−1トランスジェニックマウスの飼料摂取を示すグラフである。5匹の野生型(WT)マウスと、6匹のトランスジェニック(TG)マウスとをケージに1匹ずつ収容し、単独の状態に適応させるために48時間放置した。タイムポイント0に、ホッパーに入っている飼料の重さを計測した。24時間毎に、ホッパーに入れられた食物の重さから、残余及びこぼれた量を引くことによって、消費された飼料の量を推定した。飼料摂取の測定は、相互に離れた、24時間ずつの時間で4回行った。マウスあたりの1日の飼料摂取は、WT動物の方が有意に多かった(p<0.03)(A)。しかし、この相違は、飼料摂取量をマウスの体重に関して補正することによって消失した(B)。
【図12】MIC−1トランスジェニック(TG)マウス及び野生型(WT)のマウスの臓器の重さを示すグラフである。略語:m=オス、f=メス、epid=鼠径部、ut=子宮、retroperit=後腹膜。**p<0.01、***p<0.001。
【図13】MIC−1のフェチュイン結合アッセイの結果を示す図である。精製された組換えMIC−1(0.1%BSA中)を、フェチュインでコーティングされたアガロースビーズと共にインキュベートした。その後、ビーズを洗浄し、結合した物質を、SDS−PAGEと、それに続く、抗MIC−1抗体を用いたウェスタンブロット法とで分析した。レーン1、精製された組換えMIC−1;レーン2、フェチュインに結合したMIC−1;レーン3、フェチュインビーズのみ;レーン4、アガロースビーズのみと共にインキュベートされたMIC−1。矢印はMIC−1バンドを示す。
【図14】(A)35Sで標識されたRNAプローブを用いたMIC−1のインサイチュハイブリダイゼーション及びオートラジオグラフィー、並びに(B)自家親和性精製された組換えマウスMIC−1に対するポリクロナール抗体を用いた免疫組織化学で処置された、視床下部及び第3脳室(V3)の領域における正常成体マウス脳の切片を示す図である。切片は、弓状核(AN)及び室傍領域の領域におけるMIC−1 mRNA及びタンパク質の発現を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の食欲及び/又は体重を調節する方法であって、有効な量のMIC−1調節薬剤を前記対象に投与するステップを含み、前記薬剤が、前記対象に存在するMIC−1の量を増加又は減少させるか、或いは、試料に存在するMIC−1の生物活性を抑制又は増強する、前記方法。
【請求項2】
対象の食欲及び/又は体重を増加させる方法であって、有効な量のMIC−1抑制薬剤を前記対象に投与するステップを含み、前記薬剤が、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合されていてもよい、前記方法。
【請求項3】
MIC−1抑制薬剤が、対象における内因性MIC−1の量を減少させる薬剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
対象における内因性MIC−1の量を減少させる薬剤が、抗MIC−1抗体又はその断片と、MIC−1の遺伝子を標的とする触媒分子及び抑制分子と、MIC−1の転写又は翻訳抑制物質とからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
MIC−1抑制薬剤が、対象における内因性MIC−1の活性を抑制する薬剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
対象における内因性MIC−1の活性を抑制する薬剤が、抗MIC−1抗体又はその断片と、MIC−1受容体の可溶性の細胞質外受容体ドメインと、MIC−1に結合する可溶性の分子又はマトリックス結合タンパク質と、その受容体へのMIC−1の結合のペプチド、ペプチドミメティック又は有機小分子抑制物質とからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
MIC−1抑制薬剤が、ヒト化されたモノクローナル抗MIC−1抗体である、請求項2から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
対象が、進行癌に伴う食欲減退及び/又は体重減に苦しんでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
対象の食欲及び/又は体重を減少させる方法であって、有効な量のMIC−1増強薬剤を前記対象に投与するステップを含み、前記薬剤が、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合されていてもよい、前記方法。
【請求項10】
MIC−1増強薬剤が、対象における内因性のMIC−1の量を増加させる薬剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
対象における内因性のMIC−1の量を増加させる薬剤が、MIC−1と、MIC−1遺伝子の転写又は翻訳を増強する薬剤と、p53の発現又は活性を増強する薬剤とからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象が肥満を患っている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
対象の食欲及び/又は体重への薬剤の影響を評価する方法であって、前記薬剤を前記対象又は適当なその動物モデルに投与するステップと、前記対象又は動物モデルにおけるMIC−1の量のいかなる増加又は減少も検出するステップとを含む、前記方法。
【請求項14】
対象の食欲及び/又は体重への薬剤の影響を評価する方法であって、MIC−1又はその機能性断片若しくはミメティックと、MIC−1結合パートナーと、前記薬剤との間の混合物を形成するステップ、並びにMIC−1又はその機能性断片若しくはミメティックと、MIC−1結合パートナーとの間の結合のいかなる増強又は減弱も検出するステップを含む、前記方法。
【請求項15】
対象の食欲及び/又は体重への薬剤の影響を評価する方法であって、MIC−1を発現する細胞を前記薬剤に曝露するステップと、前記MIC−1発現のレベルのいかなる上昇又は低下も検出するステップとを含む、前記方法。
【請求項16】
対象の食欲を評価する方法であって、前記対象の血清中に存在するMIC−1の量を測定するステップを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2011−190262(P2011−190262A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86143(P2011−86143)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【分割の表示】特願2007−507619(P2007−507619)の分割
【原出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(506330449)セントビンセンツ ホスピタル シドニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】