説明

食肉の鮮度判定方法

【課題】食肉、特に魚肉や魚介類の鮮度を市場、流通現場或いは消費現場等で、ろ紙電気泳動装置を用いて簡易に精度高く判定できる食肉の鮮度判定装置を提供する。
【解決手段】電気泳動用枠にセットされ、中性付近の泳動用緩衝液で湿潤された泳動用ろ紙の原点に、過塩素酸の2〜10%水溶液等の除蛋白剤水溶液を用いてホモジナイズした食肉片を、静置して得られた上澄液の一定量をマイクロピペットでスポット滴下し、直ちに電気泳動を行い、紫外線を照射して浮かび上がる核酸関連化合物のスポットを、デジタルカメラで撮影し、コンピューター処理によりK値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食肉、特に魚肉や魚介類の鮮度を市場、流通現場或いは消費現場等で、簡易に精度高く判定できる食肉の鮮度判定方法及び食肉の鮮度判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食肉、特に魚肉や魚介類は鮮度が重要な価値を有する。「魚は鮮度が命」と言われる通り、魚種もさることながら鮮度がよければ、流通されている全ての魚は非常に美味しいものである。食肉の鮮度は種々の核酸関連化合物の含有量の比率で表されるK値が最も信頼が高いとされる。分析に当たっては、イオン交換クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等で測定され、高価な装置、分析費用及び長い分析時間を要するため流通現場での使用は不可能に近い。
【0003】
筋肉が活動するためにはアデノシン三リン酸(以下、ATPとする)が必須であり、筋肉中に多く存在する。動物が死ぬと酸素の供給が絶たれ、ATPがアデノシン二リン酸(以下、ADPとする)を経て順次アデノシン一リン酸(以下、AMPとする)、イノシン一リン酸(以下、IMPとする)、イノシン(以下、HxRとすることがある)、ヒポキサンチン(以下、Hxとすることがある)へと分解していく。これらの物質を総称して、核酸関連化合物とする。
【0004】
したがって、ATPの多い魚は鮮度がよく、ATPが減少してHxRやHxが多い魚肉は鮮度が悪く、流通過程では、このK値を基準として刺し身にできるとか、末端消費者に渡るまで大丈夫だとか判断することができる。また、消費者としては、煮魚、焼き魚にする方がよいとか使い分けをすることができる。畜肉に関しても同様のことが言える。すなわち、供給者、消費者とも、従来の感覚、五感や官能に頼る方法でなく、客観的なK値をもって鮮度の目安を得ることができる。
【0005】
簡易にK値を測定する方法として特許文献1にはヒポキサンチンが、キサンチンオキシダーゼによりキサンチンと尿酸に分解する反応を利用して発色させ、その濃淡によってK値を推測する方法が開示されている。しかしながら、この方法はあくまでもヒポキサンチンのみを測定し、ATP、ADP、AMP、INP等は全く反応に関与せず、実質的に鮮度を測定していることにはならない。
更に、魚種(魚肉)及び部位により、核酸関連化合物の濃度が異なっており、特定の化合物のみを測定する方法では正確な鮮度判定はできない。全体を測定し、K値を算出する方法が確実である。このことは鶏肉や畜肉に関しても同様である。
【0006】
更に、特許文献2には酵素の作用によりイノシン酸及びAMPを発色させてK値を推測する方法が開示されている。イノシン酸やAMPはATPの分解の過程で発生する化合物であって、ATPやイノシンやヒポキサンチンの総量が不明な検体から中間物質であるイノシン酸及びAMPのみを測定してもK値と相関性のある数値にはなり得ない。特許文献3には魚類組織の絞り汁に電極を挿入し、酸化還元電位を測定してK値を推測する方法が開示されている。酸化還元電位は温度やpHの影響を受けて変動し、酸化還元電位とK値との間の相関関係は薄く、これもK値と異なる数値を測定していることになる。
【特許文献1】特開2005−345263公報
【特許文献2】特開平5−68591号公報
【特許文献3】特開2002−207025公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動物が死んだ場合に、筋肉中のATPが次第に分解していく過程に存在するATP、ADP、AMP、IMP、イノシン及びヒポキサンチンのそれぞれを測定する必要がある。K値(%)とは、(イノシン+ヒポキサンチンの総量)×100/(ATP+ADP+AMP+IMP+イノシン+ヒポキサンチンの総量)である。K値が小さい程食肉の鮮度が高いことになる。正確なK値を得るためには少なくとも核酸関連物質の総量を測定し、分子となるイノシンとヒポキサンチンの合計量を測定しなければ、分解途中のある種の物質を測定しても信頼性のあるK値を得ることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決することを目的とし、その構成は、電気泳動用枠にセットされ、中性付近の泳動用緩衝液で湿潤された泳動用ろ紙の原点に、過塩素酸の2〜10%水溶液等の除蛋白剤水溶液を用いてホモジナイズした食肉片を、静置して得られた上澄液の一定量をマイクロピペットでスポット滴下し、直ちに電気泳動を行い、そのまま乃至乾燥後に、紫外線を照射して浮かび上がる核酸関連化合物のスポットを、デジタルカメラで撮影し、コンピューター処理によりK値を算出することを特徴とする。
【0009】
本発明者らは核酸関連物質がすべて紫外線照射下で発色する事実、且つリン酸基を有する核酸関連化合物は、中性付近で電気泳動させるとほぼ等しい距離陽極側に移動し、リン酸基を失った核酸関連化合物は、一定条件下で電気泳動を行っても全く移動しない事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、同電圧を同時間印加した場合に泳動する距離は、ATPとADPとIMPとAMPはほぼ同一であって相互に区別できないが、イノシンとヒポキサンチンは泳動しない。その結果、電気泳動後に紫外線照射して得られたスポットを見るだけで肉眼的にもK値の大まかな値を推測することができる。
【0010】
ろ紙電気泳動法に供したろ紙を、紫外線を照射してスポットを検出する。この画像をデジタルカメラ等で保存し、各スポットの大きさと濃さを計数処理することにより、正確なK値を得ることができる。一般に、1検体から2個のスポットが得られ、このスポットの全部が核酸関連物質である。泳動しなかったスポットがイノシンとヒポキサンチンの総量であり、ATPとADPとIMPとAMPのグループは泳動する。次式にしたがって計算することにより正確なK値が得られる。
〔泳動しなかったスポットの全部(濃さと大きさを参酌)〕×100/〔2スポット全部(濃さと大きさを参酌)〕
【発明の効果】
【0011】
本発明により、簡易な手段で短時間(電気泳動時間とその前の短時間)で、正確なK値が得られ、市場や流通現場、消費現場等で簡易に使用することができる。現実に、最もK値を必要とするのは研究室ではなくこれらの流通現場である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施にあたっては、試料は食肉等の少量を取って1〜4倍量の除蛋白剤、中でも過塩素酸水溶液が好ましい。濃度2〜10%水溶液、好ましくは3〜8%の過塩素酸水溶液を加えてホモジナイズする。これを静置すると上澄液と沈殿とに分離する。この上澄液を試料として使用する。
過塩素酸の他に、除蛋白剤としては、エタノール、メタノール、トリクロル酢酸、ピクリン酸、タングステン酸、スルホサリチル酸等が挙げられ、熱水抽出法(加熱による除蛋白)等の方法を使用することができる。エタノールやメタノールを使用する場合には、試料に5倍量の80%アルコールを加えてホモジナイズする。
【0013】
本発明には、ろ紙電気泳動装置が必須である。これはろ紙を挟着できる泳動用固定枠と陰陽の電極があれば可及的に簡易な構造が好ましい。電気泳動用ろ紙は上記泳動用固定枠に挟着できる大きさである。サイズに限定はなく、長さ15〜25cm程度で、幅も検体数により広くも細くもすることができる。検体が少なければ、3〜7cmでもよく、多くの検体について同時に測定したい場合には15〜20cmの幅とし、鉛筆等で印をつけた原点上に分析用試料をマイクロピペットで互いに離してスポット滴下する。原点の泳動方向の位置は、泳動せずに原点に残る成分が滲んでも、充分にその面積を測定できるよう泳動用枠から充分に離れた位置に、陰陽の電極を結ぶ線と直角に鉛筆等で設ける。原点の泳動方向と垂直な位置は先に設けた線上であって、隣接するスポット同士が滲んでも相互に干渉しない距離を保てばよい。
【0014】
泳動用緩衝液は中性付近、すなわち弱酸性から弱アルカリ性を維持する緩衝液が好ましい。リン酸緩衝液、トリス/塩酸緩衝液、イミダゾール/塩酸緩衝液、カコジル酸Na/HCl緩衝液、ジエチルバルビツール酸Na/HCl緩衝液、マレイン酸Na/NaOH緩衝液、マレイン酸/トリス/NaOH緩衝液、リン酸/NaOH緩衝液、コリジン/HCl緩衝液、トリエタノールアミンHCl/NaOH緩衝液、エチルホルモリン/HCl緩衝液、ピロリン酸Na/HCl緩衝液、Bicine/NaOH緩衝液等を挙げることができる。更に、2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオール/HCl緩衝液、ジエタノールアミン/HCl緩衝液、ホウ酸/NaOH緩衝液等はpH8を越えるが、使用することができる。
【0015】
泳動用緩衝液を枠に噴霧する方法もあるが、ろ紙を枠ごと緩衝液に浸す方法もある。枠ごと浸漬した場合には、電気泳動用枠をその後電気泳動装置にセットする。1〜4μlの分析試料液をマイクロピペットで原点に間隔を保ってスポット滴下していく。スポット滴下後、直ちに電圧を印加する。本発明者らの実験では800Vで8分間、1000Vで6分間程度で好ましい結果が得られた。
【0016】
泳動が終了した時点で、加熱送風乾燥機(ヘアードライヤーでも可)を用いてろ紙を乾燥する。加熱した方が短時間に乾燥するが、場合によっては単なる送風乾燥機であってもよい。ろ紙に紫外線(波長250nm)を照射するとスポットが浮かび上がる。このスポットは泳動が進行すると共にリン酸基を有するグループが分離し、紫外線を照射すれば、4分後には電気泳動中であっても大まかなK値を推測することができる。
紫外線は厳格に波長250nmである必要はなく、波長250nmを近辺の紫外線であれば直ちにK値を知ることができる。
流通段階で正確なK値を知ることにより、食の安全と流通の合理化、食肉の合理的利用に供することができる。
【0017】
本発明は核酸関連化合物がすべて紫外線照射下で発色し、本発明の条件の下に電気泳動させれば、ATP、ADP、AMP及びINPのグループとHxRとHxのグループを分離できる事実に基づいてなされたものである。したがって、電気泳動中であっても、紫外線を照射すれば両グループが分離していく状態を目視により観測することができ、おおよそのK値を推測することができる。泳動は理論滴には両グループが分離した時点で終了すればよいことになるが、ゆとりの時間を設ける。泳動終了後、そのまま紫外線照射下に撮影してもよく、乾燥後にしてもよく或いは乾燥の中途を行ってもよい。乾燥が進む程、映像は鮮明になるがK値に変化はない。
【0018】
電気泳動用ろ紙の泳動方向と平行な方向に、等間隔のスリットを設けることもできる。図3に示すように、ろ紙1にスリット2を等間隔に設ける。スリット2とスリット2との間にスポットを泳動させるレーン3が形成される。図3の場合、スリットが4本であるため、レーンは5本形成された。但し、レーン3aとレーン3bの幅が等しいことを要件とする。一点鎖線4はスポットを滴下すべき原点である。
【0019】
図面上最も上のレーン3aの原点4と、上から2番目のレーン3bの原点4に異なる試料をスポット滴下すれば、スポット3はスリットを越えて滲み出すことなくレーン3上に線状に現れる。この方法を用いればK値計算における二次元の計算処理を一次元で行うことができ、計測処理器をより単純化することができる。更に、スリットを設けたろ紙を使用すると、スポットの滲みが横断方向に広がらないので短い幅の泳動用ろ紙を用いて多くの検体を処理することができる。
【0020】
イワシやサバなどの青身の魚にはヒスチジンが多く含まれ、捕れた後の流通の過程においてはヒスタミンを生じることがある。本発明においてはヒスタミンも同時に測定することができる。ATP等の核酸関連化合物が陽極側に泳動するのに反し、ヒスタミンは陰極側に泳動する。泳動終了後、ろ紙を乾燥させ、ヒスタミン呈色試薬により呈色させ、ヒスタミンの含有量を同時に計測することも可能である。
【0021】
ヒスタミン呈色試薬としては、ジアゾカップリング剤と還元剤による呈色が好ましい。ジアゾカップリング剤としては、スルファニル酸、o−、m−、p−ニトロアニリン、3−ニトロ−4−アミノトルエン、2−ニトロ−4−メトキシアニリン、2,4−ジニトロアニリン、テフチオン酸、1−ナフチラミン等を挙げることができる。中でもスルファニル酸が好ましく使用されるが、p−ニトロアニリン、3−ニトロ−4−アミノトルエンも感度よく発色する。
【実施例】
【0022】
実施例1
捕れたてのカワハギを室温、4℃、0℃及び−20℃の4種類の保存方法で保存して検体とし、24時間、48時間、72時間及び96時間後のK値を測定した。
魚肉約200mgに、約2倍量の5%過塩素酸溶液を加え、小さな鋏で魚肉を細かく切り刻んでホモジナイズした。ホモジナイズした液に10MのKOHと1MのKOHを添加しながらpH試験紙を用いて中和した。これを静置し上澄液をサンプルとして利用した。
【0023】
縦20cm、横15cmのろ紙(アドバンテック社製、No.50)を泳動用固定枠にセットし、固定枠ごと泳動用緩衝液(リン酸緩衝液)に浸漬し、固定枠を泳動装置にセットした。上記サンプル2μlをマイクロピペットでろ紙の原点にスポット滴下し、直ちに800Vで8分間電気泳動を行った。
【0024】
リン酸緩衝液は、リン酸一水素二ナトリウム・12H2O43gと、リン酸二水素一カリウム11gを蒸留水に溶解して全量1リットルとし、pH7の緩衝液を得た。これを6倍に希釈して使用した。当初からリン酸一水素二ナトリウム・12H2Oの量と、リン酸二水素一カリウムの量を1/6にして緩衝液を調製することもできる。
【0025】
電気泳動開始と同時に波長250nmの紫外線を照射した。最初は原点に並んでスポットがあったが、次第に泳動方向にスポットが延び、約4分後には原点に残るスポットと泳動するスポットとに確実に分離した。したがって、この時点でも大まかなK値を推測できるが、8分経過後に電源を切った。この時点で確実に分離していた。250nmを含む短波長電磁波を照射しながらデジタルカメラで撮影し、レーンアナライザー(アトー社製、スポットの大きさを広さと濃度を参酌して数値化し、K値を算出するソフト)で数値化しK値を求めた。保存方法によるK値の上昇の程度を図1に示した。
【0026】
実施例2
本発明の精度を検証するため、次のように各化合物群の1mM、5mM及び10mMの溶液を作製した。
(1) ATP+ADP+AMP+IMPの等量混合物溶液
(2) イノシン+ピホキサンチンの等量混合物溶液
上記(1)、(2)の各溶液について、1mM、5mM及び10mMの溶液を、実施例1で用いた電気泳動装置の緩衝液で湿潤させたろ紙の原点に、2μlずつマイクロピペットで滴下し、直ちに800Vの電圧を8分間印加した。
【0027】
電圧を印加し、泳動後、ろ紙を加熱送風乾燥機で乾燥した。乾燥したろ紙に紫外線を照射し、得られた画像をデジタルカメラで撮影し、レーンアナライザーで各スポットの大きさを数値化した。その結果を図2に示した。
図2より明らかな通り、各化合物群のスポットは直線性を示し、濃度との間に比例関係が成立し、本発明による測定値は充分な信頼性を有することが確認された。
【0028】
実施例3
一昨日捕れて室温保存したイワシと当日に捕れたイワシのK値を、図3に示すスリット2を有するろ紙を用いて測定を行った。それぞれのイワシの魚肉約200mgに、実施例1と同様にして上澄液試料を得た。
図3に示すろ紙1のレーン3aに一昨日捕れたイワシの試料をスポット滴下し、レーン3bに当日捕れたイワシの試料を滴下し、実施例1と同様にして800Vで8分間電気泳動を行った。
【0029】
レーン3aに滴下した一昨日捕れたイワシの試料は泳動する成分がなく、スポット全部が原点に残ったスポット5aである。これはK値は100である。一方、レーン3bに滴下した当日捕れたイワシの試料は、泳動したスポット5bと原点に残ったスポット5aとに分離された。ろ紙1を乾燥することなく、このスポット4をデジタルカメラで撮影し、実施例1で用いたレーンアナライザーでK値を算出した。K値は25.5%であった。泳動用ろ紙を加熱送風乾燥機で乾燥したところ、スポットはより鮮明になったが、K値は変化なく、25.5%であった。
【0030】
図3に示すように、レーン3aの原点に残ったスポット5aとレーン3bの原点に残ったスポット5aは互いに干渉し合い、通常では正確な数値を得ることが困難であるが、スリット2が存在するために互いに干渉することなく正確な数値を得ることができた。又、レーン3aの原点に残ったスポット5aとレーン3bの泳動したスポット5bも干渉することなく正確に測定することができる。
【0031】
乾燥したろ紙1の原点4より陰極側に発色剤I(20mMスルファニール酸の1M塩酸溶液と200mM亜硝酸溶液の等量混合物)をスプレーした後、引続き発色剤II(10%無水炭酸ナトリウムの5%エチルアルコール溶液)をスプレーしたところ、レーン3aにおいて2か所のほぼ等間隔のオレンジ色の発色があった。泳動距離の短い方の発色はヒスチジンやカルノシンであり、約2倍泳動したスポットはヒスタミンである。一昨日捕れて室温保存したイワシは既にヒスタミンが生成していることが判明した。
レーン3bにはヒスチジンやカルノシンの発色はあったが、ヒスタミンの位置での発色はなかった。
本実施例においてはヒスタミンは定性分析のみであったが、濃度の判明している内部標準液を使用すれば正確な定量も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】捕れたてのカワハギを各種温度で保存した検体の保存時間とK値との関係示すグラフである。
【図2】核酸関連化合物の濃度とレーンアナライザーによる測定値との関係を示すグラフである。
【図3】泳動方向のスリットを設けたろ紙で鮮度の異なる検体を測定した時のろ紙の発色状態を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ろ紙
2 スリット
3 レーン
4 原点
5a 原点に残ったスポット
5b 泳動したスポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動用枠にセットされ、泳動用緩衝液で湿潤された泳動用ろ紙の原点に、除蛋白剤水溶液を用いてホモジナイズした食肉片を静置して得られた上澄液の一定量をマイクロピペットでスポット滴下し、直ちに電気泳動を行い、そのまま乃至乾燥後紫外線を照射して浮かび上がる核酸関連化合物のスポットを比較観察することにより、食肉の鮮度を判定する食肉の鮮度判定方法。
【請求項2】
除蛋白剤が過塩素酸の2〜10%水溶液であり、泳動用緩衝液が中性付近であることを特徴とする請求項1記載の食肉の鮮度判定方法。
【請求項3】
紫外線照射下に浮かび上がったスポットをデジタルカメラで撮影し、コンピューター処理によりK値を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の食肉の鮮度判定方法。
【請求項4】
泳動方向に複数のスリットを等間隔に設け、1又は2のスリットに隣接するレーンに、スポット滴下することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載する食肉の鮮度判定方法。
【請求項5】
泳動後、ろ紙に紫外線照射して発色する区間の長さを比較することを特徴とする請求項4記載の食肉の鮮度判定方法。
【請求項6】
電気泳動後のろ紙を乾燥し、ジアゾカップリング剤と還元剤とからなる呈色試薬で発色させ、その面積からヒスタミンの含有量をも同時に測定する請求項1ないし5のいずれかに記載する食肉の鮮度判定方法。
【請求項7】
ろ紙電気泳動装置と紫外線照射器とK値算出ソフトとからなる食肉の鮮度判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−111823(P2008−111823A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196644(P2007−196644)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(598105606)
【Fターム(参考)】