説明

食道閉塞具を供える、二枚ブレードの喉頭鏡

挿管を単純化するための二枚ブレードの喉頭鏡(10)。ブレードを開閉するためのグリップ部分(14h)およびハンドル(18)が存在し、そして、喉頭鏡(10)は、酸素供給源が気管内チューブに取付けられたままで、容易に取り外せるように、ブレードの片側に旋回可能にヒンジで動かされる。食道閉塞具(12c)および披裂用バンパー(20)により形成される傾斜部(20d)は、食道をブロックしながら、チューブを気道内に偏向させることによって、適切なチューブの配置を保証する。上側ブレード(14)は、任意の舌部ガード(14i)を有し、そして、吸引導管(22)が、挿管の間に、分泌物または嘔吐物を吸引するために、下側ブレード(12)または上側ブレード(14)のいずれか内に構築されるか、またはこれらのいずれかに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願発明者らにより、2003年9月4日に出願された、米国仮特許出願第60/500,107号(これは、参考として援用される)に対して、優先権が主張される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、患者に挿管するための医療デバイスに関し、より具体的には、二枚ブレードの喉頭鏡に関する。
【背景技術】
【0003】
しばしば、患者または犠牲者がもはや自然に呼吸できない緊急時の状況、または、麻酔時または心停止の間に、肺内への粘液、嘔吐物、または微粒子物質の吸引を防止するために、呼吸を補助するために、患者の気道内にチューブを入れる必要がある。この手順は、気管内挿管と呼ばれる。喉頭鏡は、この手順を実施する際に、ケアを与える人(care giver)を補助するために使用され得る。喉頭鏡は、単一のブレードから構成され得るか、または、2つのブレードから構成され得、このブレードは、チューブを気管内へと導くために真っ直ぐであっても曲がっていてもよい。二枚ブレードの喉頭鏡は、一対のヒンジ点により接続された2つの対向するブレードを有し、各ブレードは、ブレードの遠位端を開き、ついで、患者の口および喉頭を通って、気管内チューブが通過し得る通路を開くために、互いに関して近位の関係にあるハンドルを有する。喉頭鏡は、しばしば、喉頭鏡および挿管チューブのより容易な挿入のための通路を明るく照らすためのライトが取付けられている。
【0004】
挿管プロセスは、しばしば、個体間の解剖学的または病理学的な差異に起因して困難である。最も一般的な挿管における誤りは、ケアを与える人が、気管または声帯を適切に見ることができないときに、気管の代わりに食道内にチューブを配置することである。この誤りを認識し損なうと、挿管された患者に致命的な低酸素症をもたらし得、ある研究は、この分野でなされた挿管のうち、30%までの失敗率を示している。
【0005】
この失敗率を最小にする試みにおいて、いくらかの喉頭鏡は、適切なチューブの配置のために、声帯を見えるようにする光ファイバーを備えるが、これらのデバイスは、非常に高価で、広くは利用可能でない。気管内挿管に対する代替物として、他のデバイス(例えば、Esophogeal Obturator Airway(EOA)、Esophagogastric Tube Airway(EGTA)、Esophageal Tracheal CombitubeおよびLaryngeal Mask Airway(LMA))が開発されている。これらのデバイスは、操作者が、声帯および気管を実際に見ることのない、「盲目の(blind)」挿管を可能にするように設計される。EOAは、立証された有効性に欠き、設計により危険と考えられる。EGTAは、EOAの改変物であり、これは、同じような欠点に苦しむ。これは、Combitubeに対する先行物である。CombitubuおよびLMAに関しては、専門家は、これらのデバイスが、決定的な気道の管理が、気管内挿管によって達成され得るまで、一時的に使用されるのみであるはずだ、という考えを維持する。従って、気管内挿管プロセスを単純化し、適切かつ決定的な気道管理を保証することにおいて、なお研究がなされている。
【0006】
本願発明の種々の要素についての代替物および等価物を含む、1996年3月12日に、Franicevicに対して発行された特許文献1は、あらゆる目的のために、参考として援用される。Franicevicの発明は、2つの中空チューブから構成された細長中空本体を有し、一対の対向するブレードが、この中空本体の遠位端に旋回可能に取り付けられている、喉頭鏡に関する。これらのブレードは、中空本体に対して垂直、かつ、その軸に関して旋回可能であり、その結果、ブレードは、開位置または閉位置を想定し得る。複雑な、ラックアンドピニオンの歯車システムを使用して、ブレードを開ける。気管内チューブは、チューブ導入装置を介して、中空本体を通って、ブレードの間を通過させ得る。高機能なステアリング機構により、チューブ導入装置が、気管内チューブを気管内へと導くことを可能にする。証明を備える光ファイバーシステムが、挿管手順の間の観察のために提供される。この分野の主な不都合は、光ファイバーおよび複雑な設計が、これらを非常に高価なものにしているということである。別の不都合は、喉頭鏡を取り外すために、酸素供給源にチューブを接続する、近位取付け具を取り外すことによって、気管内チューブを分解しなければならず、気管内での適切なチューブの配置を保証するための、食道をブロックする機構はない、ということである。さらに、この喉頭鏡の設計では、喉頭鏡全体を最初に取り外すことなく、患者を吸引することが不可能になる。これは、患者に患者の気道を確立することを試みる間の、貴重な数秒を無駄にする。
【0007】
本願発明の種々の要素についての代替物および等価物を含む、1999年8月17日にMinsonに対して発行された、特許文献2は、喉頭鏡に関する先行技術の良好な総説を提供し、そして、あらゆる目的のために参考として援用される。Minsonは、ライトに関する発明を含む、使い捨て用の、曲がった、二枚ブレードの喉頭鏡を記載する。Minsonは、側方および/または半径方向に離して、開いてロックする、光伝導性ブレードを有する、使い捨て用の、曲がった、二枚ブレードの喉頭鏡を記載する。このブレードは、ハンドル内のラチェット機構を使用して、引き離され、ロックされる。このラチェット機構は、気道内でデバイスが自留することを可能にする。しかし、気道内を照射するものではなく、このデバイスは、挿管の容易さおよび正確さを高めるために、他の補助機構を提供しない。さらに、患者を吸引するために、吸引デバイスは、最初に喉頭鏡を通して通過させ、次いで、気管内チューブが気道内に挿入され得る前に、取り外されなければならない。患者が、気管内チューブが適切に挿入される前に嘔吐する場合は、チューブが取り除かれ、吸引デバイスが挿入され、使用され、そして取り除かれ、次いで、気管内チューブが、喉頭鏡を通して再び導入されなければならない。チューブのこの交換は、数秒が本当に重要である場合に、貴重な数秒を無駄にし得る。Minsonはまた、喉頭鏡が、気管内チューブが気管内に配置された後に、喉に残り得ることを教示する。このことが生じた場合、喉頭鏡は、1つの酸素供給源が別のものに交換される時間に、取り外される必要がある。このことは、この交換の間の、患者が酸素なしの時間に、貴重な数秒を追加し得る。
【0008】
以下の特許文献は、喉頭鏡における改革の領域において権利を主張する:特許文献3〜13。しかし、これらのデバイスは、誤った挿管の可能性を減少させるための特徴を備えず、気管内チューブの挿入後に取り外すことが困難であり、そして、人が、喉頭鏡を保持するのと同じ手を使用して、患者を容易に吸引する能力を欠く。実際、関連する技術のいずれもが、これらの特徴を含まず、これらの全ては、適切にチューブを配置する可能性を向上させ得、ケアを与える人のために、挿管プロセスを単純化し得る。
【0009】
喉頭鏡とは別個に操作される吸引デバイスがある一方で、喉頭鏡自体と一体になったものはない。1997年1月21日にReeseに対して発行された特許文献14は、指で操作される、気管内チューブを通る吸引を教示するが、このデバイスは、喉頭鏡とは別個であり、実際には、気管内チューブのための探針として機能する。このデバイスは、左手で喉頭鏡を保持しながら、右手を使用して操作される。一旦気管内チューブが適所に置かれると、チューブの安定を右手で維持し、なお喉頭鏡を左手で保持しながら、吸引機構がチューブから取り外されなければならない。このプロセスは、やりにくく、かつ非現実的である。
【特許文献1】米国特許第5,498,231号明細書
【特許文献2】米国特許第5,938,591号明細書
【特許文献3】米国特許第4,314,551号明細書
【特許文献4】米国特許第4,384,570号明細書
【特許文献5】米国特許第4,517,964号明細書
【特許文献6】米国特許第5,993,383号明細書
【特許文献7】米国特許第6,095,972号明細書
【特許文献8】米国特許第6,174,281号明細書
【特許文献9】米国特許第6,217,514号明細書
【特許文献10】米国特許第6,231,505号明細書
【特許文献11】米国特許第6,354,993号明細書
【特許文献12】米国特許第6,471,643号明細書
【特許文献13】米国再発行特許発明第37,861号明細書
【特許文献14】米国特許第5,595,172号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の開示)
下側ブレードと、下側ブレードに旋回可能に接続された上側ブレードとを有する喉頭鏡であって、下側ブレードは、食道を塞ぐための食道閉塞具として適合された遠位端を有する、喉頭鏡が提供される。食道を塞ぐことによって、ケアを与える人は、気管内チューブを気管内で適切に配置する傾向が高まる。披裂用バンパーが、好ましくは、遠位端の近くで下側ブレードに固定され、そして、披裂用バンパーは、傾斜部または楔形を有し得、そして、患者の喉頭を通して挿管チューブを気管内へと方向付けるように適合され得、適切なチューブ配置を保証するための別の方法を提供する。披裂用バンパーはまた、喉頭鏡が、気道内で十分深く挿入されたときに、ケアを与える人に対して触覚的な指標として機能する。この特徴は、周囲の組織に対する損傷を最小限にするのに役立ち得る。
【0011】
下側ブレードと、下側ブレードに旋回可能に接続された上側ブレードを有する喉頭鏡であって、患者への挿管後に、挿管チューブを適所に残したまま、この喉頭鏡が取り除かれ得るように、旋回可能な接続が片側にあり、反対側は開いた、喉頭鏡がまた、提供される。他の喉頭鏡では、ケアを与える人は、喉頭鏡を、気管内チューブから上にスライドさせるために、チューブを酸素供給源に接続する、気管内チューブの近位端に見られるアダプター取付け具を取り外さなければならない。このことは、患者が、緊急に酸素を必要とする場合に、貴重な時間を無駄にし得る。本発明の別の利点は、気管内チューブが、酸素供給源に取付けられ得、そして、酸素が、挿管プロセスの間に、このチューブを通って流れ得ることである。片側ヒンジにより、喉頭鏡が、気道内チューブから酸素供給源を外すことなく、取り外されることを可能にする。一旦チューブが適所に置かれると、患者は、直ちに、そして連続的に酸素を受容する。
【0012】
上側ブレードは、近位端の近くにグリップ部分を有し、このグリップ部分は、下側ブレードおよび上側ブレードの遠位端を、互いに関して開いたり閉じたりするために、下側ブレードの近位端に関して、より近くまたはさらに遠くへと移動され得る。さらに、これらの近位端の配置は、ブレードの遠位端からどれだけ遠く開かれ得るかを制限し、それによって、ブレードを余りにも遠く開くことによって周囲組織を損傷する可能性を制限する。上側ブレードは、必要に応じて、舌部ガードを有し、この舌部ガードは、下側ブレード、舌部ガードおよび上側ブレードにより形成されるチャネルの外に舌を保持するように適合される。
【0013】
さらに、吸引チューブが吸引のための導管を提供するための下側ブレードか上側ブレードのどちらかに必要に応じて組み込まれているか、または固定された、咽頭鏡が提供される。上記吸引チューブは、好ましくは近位端上で減圧供給源を受容するために適合されている。上記吸引チューブは、好ましくは挿管チューブが患者の気道に挿入される間の吸引のために、1つ以上の開口部を備える遠位端を有する。従来、気管内チューブを吸引する工程および挿入する工程は、代表的に、粘液、嘔吐物、血液などを取り除くための吸引デバイスを挿入する第1の工程、および吸引デバイスを取り除き、次いで気管内チューブを気道内に挿入する第2の工程を包含する二段階のプロセスであった。患者の生命を救う間に貴重な数秒が計算され得る場合、本発明は、単一工程でのより迅速かつより効果的な挿管および吸引の方法を提供する。本発明は、上記咽頭鏡を保持する同じ手での吸引の操作を可能にする。これは、先行技術からの有意な改善点である。なぜなら、このことは、ケアを与える人が、挿管チューブを操作する前に、手で吸引デバイスを操作する時間を無駄にすることなく、挿管の間、咽頭鏡を保持することなく、ただちに手を使うことを可能にする。当業者は、この利点をただちに理解する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1.好ましい実施形態)
本発明は、開口部を食道に対して遮断し、挿管の間にチューブが食道に入ることを防止するように適合された二枚ブレードを備える咽頭鏡に関する。上記咽頭鏡は、好ましくは、挿管チューブを気管に導くための傾斜部を備える。本発明の別の局面は、上記二枚ブレードの間にヒンジ接続部を備え、咽頭鏡が取り除かれる間に挿管チューブが適所に保持され得るように、この二枚ブレードの一方の側が、旋回可能にもう一方の開いた側に接続される。上記挿管チューブは、上記咽頭鏡の開いた側を通過する。上記咽頭鏡はさらに、挿管チューブを導くための通路を形成する場合に、舌を邪魔にならない所に保持するための舌部ガード、このようにして形成された通路を照射するための照明、および咽頭鏡を保持する手の指によって操作される一体化した吸引チューブを備え得る。
【0015】
図1を参照すると、咽頭鏡10の一実施形態は、本発明に従った斜視図に示されている。咽頭鏡10は、ピン16によって接続された下側ブレード12および上側ブレード14を備え(図2および図3に示す)、このピンは、下側ブレード12および上側ブレード14のヒンジされた接続、または旋回可能な接続を提供する。下側ブレード12および上側ブレード14は、近位端12aおよび14aをそれぞれ有し、下側ブレード12は、近位端12a上にハンドル18を有する。
【0016】
下側ブレード12は、遠位端12bを有する。遠位端12bは、食道閉塞具12cを形成するように適合されている。食道閉塞具12cは、患者の口に挿入される場合に、挿管チューブが食道内へと通過することを防止するために、食道を覆い、一部食道に入る。上記食道閉塞具は、楕円形、円形、球状、または、好ましくは1/4インチより大きく約1インチより小さい距離まで、より好ましくは1/2インチと約3/4インチとの間の距離までの食道内への挿入に適した他の形状であり得る。
【0017】
披裂用バンパー20は、遠位端12b付近の下側ブレード12に取り付けられる。披裂用バンパー20は、下側ブレード12の平坦または水平な部分12dより幅があり、好ましくは、患者の大きさに適合されている。披裂用バンパー20は、挿入される間に、咽頭鏡10の位置を安定化させ、食道閉塞具12cを食道の上および食道内に位置させる。披裂用バンパー20は概してくさびのような形状であり、下側ブレード12に沿ってスライドする挿管チューブを声帯を通って気管内に、上側ブレードに対して遠位に導くための傾斜部を提供する。上記傾斜部は、この傾斜部の薄い端が、近位端またはヒンジに面し、より厚い方の縁部が遠位端12bに面するような方向に配置される。披裂用バンパー20は、下側ブレード12の一部としてか、または下部ブレードに対する取付け具として作製され得る。費用および安定化させる能力のような要因が、披裂用バンパー20をどのように作製するかを決定する際に考慮されるべきである。披裂用バンパー20は、概して下側ブレード12より幅があり、下側ブレード12は、披裂用バンパー20の幅と一致して、披裂用バンパー20と同じ幅であり得、そして他のところはより細いか、または披裂用バンパー20は、下側ブレード12の両側を越えて伸長し得る。
【0018】
下側ブレード12の平坦または水平な部分12d、上側ブレード14の平坦または水平な部分14d、食道閉塞具12cおよび披裂用バンパー20は、好ましくはプラスチックまたは軟質ゴムで被覆され、軟部組織に対する損傷の危険性を低減する。平坦または水平な部分12dおよび特に平坦または水平な部分14dは、半硬質材料から作製され得、この半硬質材料は、気管内チューブの通過のための開口部を提供するために、上記組織を邪魔でない場所へ移動させるために十分に強いが、その軟部組織に適合し、組織に対する損傷の危険性を低減するのに十分柔らかくかつ柔軟である。
【0019】
吸引導管22は、ハンドル18の上端に位置する吸引取付け具22cで咽頭鏡に入る。吸引ブレーク22dは、空気に開き、指で吸引の存在および強度を制御することを可能にする。上記吸引導管22は、出口点22eでハンドル18を出て、上記下側ブレード12の下に続き、点22fで披裂用バンパー20に入る。上記吸引導管は次いで、披裂用バンパー20の表面に位置する二つの別々の吸引ポート22aおよび22bに分かれる。
【0020】
下側ブレード12は、一方の端部に遠位端12bを備える、平坦または水平な部分12dを備える。下側ブレード12の垂直な部分12eは、下側ブレード12の平坦または水平な部分12dの側面の近位端に取り付けられる。垂直部分12eは、平坦または水平な部分12dから遠位端12bから離れる向きで、約45度の角度でゆるやかな弧を描く。垂直部分12eの平坦または水平な部分12dに対する角度は、約15度と約75度との間の角度で、好ましくは、約30度と約60度との間の角度の弧で、快適さおよび操作性のために変動され得、直線を形成するというよりはむしろゆるやかな弧を描く。
【0021】
下側ブレード12は、垂直部分12eの中心に配置されるヒンジピン16(図2および3に示される)を有する。ピン16(図2および3に示される)は、上側ブレード14を下側ブレード12に接続する。下側ブレード12は、平坦または水平な部分12dおよび垂直部分12eによって形成されるL型断面を有する。L型断面は、下側ブレード12に対して強度および剛性を追加する。下側ブレード12の垂直部分12eは、ハンドル18に取り付けられるその近位端12aにおける取付け具(fitting)内に移行する。下側ブレード12の垂直部分12eの一般的な形状は、患者の歯との接触を避けるために、S字状であり得る。近位端12aは、ハンドル18に対して約80°または90°に向けられ、そして下側ブレード12の側面は、鋭い角を有するというよりもむしろ、いくぶんL字型を有し、平坦または水平な部分12dから下側ブレード12の垂直脚部へ12eへの移行部においてゆるやかな上昇がある。
【0022】
近位端12a上のハンドル18は、一対のワイヤ24aおよび24bによってスイッチ26に接続されるランプ24のためのエネルギー源としてバッテリー(図示せず)を入れるのに適合している。スイッチ26は、親指によって作動され得るボタンであり得、ランプ24、ワイヤ24aおよび24b、ならびにハンドル18内のバッテリーを含む回路中のスイッチを提供するためのトリガースイッチまたは任意の他の機構であり得る。
【0023】
上側ブレード14は、近位端14aに対向する遠位端14bを有する。上側ブレード14は、他のブレードに対する1つのブレードの旋回位置に依存して、下側ブレード12の平坦なまたは水平な部分12dとほぼ平行である平坦なまたは水平な部分14dを有する。上側ブレード14の遠位端14bは、下側ブレード12の遠位端12bほど遠くに延びず、代わりに、披裂用バンパー20のほぼ中ほどで終わる。上側ブレード14は、下側ブレード12の垂直部分12eに対応する部分を有さず、そして平坦なまたは水平な部分14dは、遠位端14bからヒンジ部分14fに延びる。上側ブレード14の平坦なまたは水平な部分14dは、披裂用バンパー20が適所に留められた食道閉塞具12cが食道上に配置され得、一方、上側ブレード14の平坦なまたは水平な部分14dが、患者の喉内の柔らかい組織を持ち上げそして分離し、挿管チューブが通過し得る可視の開口部を提供するために使用され得るような長さに適合される。
【0024】
ヒンジ部分14fは、ヒンジ部分14fから近位端14aへと延びるグリップ部分14h内へと移行する。グリップ部分14hは、平坦な棒の一般的な形状を有し、上側ブレード14の平坦なまたは水平な部分14dに対しておよそ90°、より好ましくは、約100°ほどの角度であり、110°または120°までの大きさであり得る。グリップ部分14hは、下側ブレード12上のハンドル18に隣接し、ケアを与える人が、ハンドル18と係合される片手の手のひらおよび親指を使用し得、一方、残りの指は、グリップ部分14hと係合するように適合される。ハンドル18に向かってグリップ部分14hを穏やかに圧迫することによって、上側ブレード14は、下側ブレード12に対して旋回し、遠位端12bと14bとの間の距離を増加し、2つのブレードを開いて、挿管チューブが、不注意により食道内へと通過させることなく、患者の口および咽頭を通って気管内に挿入され得る、閉塞されていない通路を提供する。
【0025】
ヒンジ部分14fは、そのヒンジ部分14fとともにL字型の断片を形成するタブを有する。そのタブは、上側ブレード14を、下側ブレード12の垂直部分12eに接続するヒンジを形成する。ヒンジ部分14fは、上側ブレード14の平坦または水平な部分14dに対して、あるいはグリップ部分14hに対して、比較的短い。ヒンジ式部分14fは、平坦または水平な部分14dに対して約30°〜約50°の角度を有し、グリップ部分14hに対しても同様の角度を有する。
【0026】
上側ブレード14の平坦または水平な部分14dのL字型形状の垂直部分は、舌部ガード14iを提供する。この舌部ガード14iは、下側ブレード12に向って延びる通常の釣鐘状曲線の形状を有する。舌部ガード14iは、患者の咽頭を通って気道へと挿管チューブが挿入される間に、患者の舌を一端に対して保持するように、適合されている。閉鎖位置において、舌部ガード14iは、ハサミ様配置で下側ブレード12の垂直部分12eと部分的に重なり得る。
【0027】
ここで図2を参照すると、咽頭鏡10の側面図が、本発明に従って示されている。図2と図1との間で同種の数字は、同種の構成要素を示す。披裂用バンパー20は、薄い近位縁部20cを有し、この薄い近位縁部20cは、傾斜表面20dへと延び、傾斜表面20dは、ピーク20eおよび垂直側部20fにて終端し、この垂直側部20fは、遠位端における披裂用バンパー20の厚みを示すことが、図2において理解され得る。ピン16の断面を示すこの側面図において、上側ブレード14のヒンジ部分14fは、L字型タブ14jを有し、このL字型タブ14jは、上側ブレード14を、下側ブレード12の垂直部分12eへとピン16によって接続するヒンジを形成することが、理解され得る。
【0028】
舌部ガード14iは、ほぼ通常の釣鐘形状の曲線である形状を有するが、その曲線は、近位端に向ってゆがんでいることが、理解され得る。上側ブレード14の平坦または水平な部分14dの左端に位置する舌部ガード14iは、断面がL字型を形成し、上側ブレード14の平坦または水平な部分14d上のほぼ中央に位置する。
【0029】
図3を参照すると、咽頭鏡10が、平面図であるが拡大図としても示されており、ブレード12および14の各々の上部側が別々に見える。スイッチ26が、ハンドル18の上部に示される。吸引取付け具22cもまた、ハンドル18の上部に位置する。吸引導管22が、出口点22eにてハンドル18から出て、下側ブレード12を横断し、そして点22fにて披裂用バンパー20に入る。吸引ポート22aおよび22bが、披裂用バンパー20の内側の点線によって示される。ピン16の相対位置が、上側ブレード14と下側ブレード12とをつなぐ一対の破線によって示される。
【0030】
咽頭バンパー20の上面図が、下側ブレード12の平坦な部分12dよりも概して広い球根形状として示されている。食道閉鎖具12cが、ほぼテーパ状で丸みのある形状を有するものとして示されている。なぜなら、食道閉鎖具は、基本的に下側ブレード12の平坦または水平な部分12dの幅から、遠位端12bにある点へと移るからである。食道閉鎖具12cは、食道の内側に挿入され、従って適切な形状が必要であるか、または食道の上を覆って別の形状を必要とするかの、いずれかであり得る。
【0031】
対照的に、上側ブレード14の遠位端14bは、好ましくは、かなり鈍角の先端を有し、この先端は、好ましくは平坦である。舌部ガード14iは、特には見えないが、上部縁部は、上側ブレード14の平坦または水平な部分14dの外側縁部から、舌部ガード14iの厚みの距離だけ突出しているのが、理解され得る。
【0032】
図4を参照すると、咽頭鏡10の側面図が、仰臥位で横たわっている患者Pの口Mを通って適所へと挿入される閉鎖位置にて示される。患者の顎J、上歯T1および下歯T2が、脊柱Sとともに示される。患者の気道が、Trとして示され、食道がEとして示され、そして咽頭蓋がEpとして示される。
【0033】
下側ブレード12の遠位端12bは、口Mを通り、食道閉鎖具12cは、食道Eの開口部へと挿入されて、食道Eの開口部を遮断するかまたは覆う。上側ブレード14の近位端14a付近のグリップ部分14hは、下側ブレード12の近位端12aにあるハンドル18から間隔が空いている。患者Pが首を伸ばした状態で水平に横たわっている場合、ハンドル18とグリップ部分14hとは、基本的に垂直位置にある。同時に、下側ブレード12の平坦または水平な部分12dと、上側ブレード14の平坦または水平な部分14dとは、比較的水平な位置にある。
【0034】
図5を参照すると、咽頭鏡10が、患者Pの口Mになお挿入されているが開放位置にて、示される。ハンドル18とグリップ14hとが互いに近づくように一緒に握ることによって、上側ブレード14は、下側ブレード12から離れるようにピン16にて旋回し、これによって、上側ブレード14の遠位端14bと、下側ブレード12の遠位端12bとの間の距離が広がる。舌部ガード14iは、舌を、邪魔にならない片側へと保持するのに役立ち、比較的邪魔のない通路が、形成され、その通路を通って、挿管チューブが、気道Tr中へと誘導され得る。挿管チューブ(示されていない)は、下側ブレード12の平坦または水平な部分12dの上面をスライドし、披裂用バンパー20の傾斜表面20dを上り、咽頭を通って気道Trへと達する。ランプ24は、ランプ24とスイッチ26とを含む回路中にバッテリーがある場合に限り、スイッチ26を親指で押すことによって照らされ得る。
【0035】
挿管チューブを気道Tr中へと首尾よく挿入した後に、咽頭鏡10は、挿管チューブを破壊することなく取り除かれ得る。なぜなら、上側ブレード14は、下側ブレード12の片側のみにヒンジ状に接続されているからである。ヒンジ側と反対側の側面は開き、挿管チューブが適所に残ったままの状態で、咽頭鏡10が患者Pの口Mから取り除かれるのを可能にする。二重ヒンジを備える先行技術の咽頭鏡は、トンネルを通る挿管チューブを有した。その結果、その先行技術の咽頭鏡は、挿管チューブから側方へと取り除くことができなかった。
【0036】
(2.発明の実施)
患者の口中に咽頭鏡10を挿入する前に、図1における咽頭鏡10の吸引取付け具22cが、減圧供給源(代表的には、囲まれたユニットまたは携帯型ユニットのいずれかとして提供される)に接続される。ハンドル18上のスイッチ26は、医療提供者が患者に挿管するときに、ランプ24を点灯させて気道を照らすように押される。必要に応じて、気管内チューブが、酸素供給源に接続され得、そして酸素が、そのチューブが患者の口の中に配置されたときにチューブを通り得、患者に直接酸素を提供する。
【0037】
図4に示されるように、その後、咽頭鏡10が、仰臥位で横たわっている患者Pの口M中に挿入される。最初に、咽頭鏡は、図4に示されるように閉鎖位置にある。下側ブレード12の遠位端12bは、舌の一面を沿って食道Eの方へとスライドする。下側12の遠位端12b上にある食道閉鎖具12cは、食道Eに入るかまたは覆って食道Eを遮断または閉鎖し、その結果、患者は、嘔吐物を肺の中へ通さない。患者が吐き気を催すかまたは嘔吐するという問題が存在して、食道を遮断または閉塞すると食道を傷つけ得る場合、代わりに上記食道閉鎖具は、吸引導管22に加えてかまたはその代わりに、患者の身体の外側へと液体および小粒子を通すために適切なサイズのチューブ(示さない)を備え得る。
【0038】
図1に示される披裂用バンパー20は、医療提供者に咽頭鏡10の挿入を止める時期を知らせるための、ストッパーまたは触知式指示器として役立つ。これは、軟部組織に対する損傷を防ぐのを助け得る。披裂用バンパー20の存在は、本発明の好ましい実施形態である。披裂用バンパー20は、披裂軟骨に衝突して寄りかかり、披裂用バンパー20および食道閉鎖具12cは、食道閉鎖具12cが食道を閉塞しつつ一方では披裂用バンパー20が披裂軟骨に寄りかかるように、適合されている。
【0039】
一旦、咽頭鏡10が食道の上またはわずか内側に適切に位置すると、図4および図5に示されるようなグリップ部分14hは、ハンドル18に向って握られて、ブレード12の遠位端12bとブレード14の遠位端14bとの間に開口部を生じ得る。軟部組織に対する損傷の危険をさらに低減するために、グリップ部分14hとハンドル18とは、好ましくは、上側ブレードと下側ブレードとが開いたときに接触するように適合されて、停止点を提供してブレードの過剰開放および軟部組織の損傷を防止する。
【0040】
図2において最も良く理解され得るように、上側ブレード14は、下側ブレード12から間隔が空いている。なぜなら、上側ブレード14のヒンジ部分14fは、L字型タブ14jを有し、そのタブにピン16が接続しているからである。ヒンジ部分14fは、上側ブレード14と下側ブレード12との間の間隔を提供するように適合されており、そして遠位端に対してよりも近位端に対して近いように配置され、その結果、下側ブレード12の平坦または水平な部分12dと、上側ブレード14の平坦または水平な部分14dとは、ハサミ様様式でではなく、もっと平行に近い様式で開放する。ヒンジは、好ましくは、ブレードが間隔を空けたときに、平坦または水平な部分12dおよび14dをもっと平行に近い方向で維持する旋回作用を提供するために使用される。これはまた、図面に示される1つのピンではなく、この目的のために適合された型のヒンジを使用することによっても達成され得る。このヒンジは、咽頭鏡が代表的には左手で保持され、右手を気管内チューブを挿入するために使用したときには、代表的には左手にあるが、これは、右手で持った場合には逆転され得る。
【0041】
分泌物または嘔吐物を除去するために吸引が必要である場合、ハンドル18中の吸引ブレーク22dは、提供される減圧の量を調節するための指での制御を提供する。医療提供者の指が、減圧を増加するため(絶対圧を低下するため)に吸引ブレーク22dの上に置かれ得るか、または吸引ポート22aおよび22bにて減圧も吸引もないように外され得る。1つの開口部、2つの開口部、またはそれ以上の個数の開口部が吸引ポートとして使用され得る。1つの開口部が遮蔽された場合に、もう1つの開口部が利用可能であるので、2つ以上の開口部が好ましい。
【0042】
吸引導管22は、吸引取付け具22cから始まり、ハンドル18を通って、下側ブレード12を横切り、そして、点22fにおいて、披裂用バンパー20に入る。好ましい実施形態において、吸引導管22は、2つのチャネルに流れ、吸引ポート22aおよび22bにおいて披裂用バンパー20を出る。別の実施形態において、披裂用バンパーは、遠位端12bの位置で、マニホルドとして機能し得、ここで、披裂用バンパーは、吸引ポート22aおよび22bの目的で機能する1つ以上の開口部を有する中空であり、吸引導管22が、披裂用バンパー20の内側の中空チャンバーに減圧を適用するために披裂用バンパー20に接続されている。
【0043】
喉頭鏡10は、迅速かつ正確な挿管を提供する。なぜならば、吸引は、気管内チューブが患者の気道内に挿入されると同時に適用され得るからである。一旦気道が分泌物または嘔吐(必要な場合)を清浄されると、気管内チューブは、垂直部分12eの近くを通過して、下側ブレード12の平坦または水平な部分12dを超えて、そして、気管内に、披裂用バンパー20の傾斜表面20dを上向きに偏向させる。探針は、気管内チューブを通過させるために使用され得るが、傾斜表面20dによって生成される傾斜部が、気管内に管を方向付けるので、これは、不必要である。
【0044】
一旦気管内チューブが適所に置かれると、喉頭鏡は、気管内チューブを妨害したり、または、取付けられている場合は、気管内チューブから酸素供給源を取り外す必要なく、1回の滑らかな動きで、容易に口から取り出され得る。使用後には、喉頭鏡10は、清浄される必要がある。スイッチ26およびハンドル18は、好ましくは、密封され、その結果、喉頭鏡10は、消毒溶液内に浸され得る。あるいは、ハンドル18は、取り外し可能であり得るか、または、他の方法で清浄され得る。これは、患者の口が無菌的ではないので、完全な滅菌が必要とされないからである。
【0045】
(3.代替的な実施形態の説明および操作)
種々の改変が、本発明の喉頭鏡に対してなされ得る。本発明の喉頭鏡は、外科用ステンレス鋼から作製されることが好ましいが、プラスチックまたは他の材料から作製され得、そして、再使用可能ではなく、使い捨て用であり得る。構造材料は変動し得、それにより、コストが変動する。ハンドルがバッテリーを囲む、といった特徴は、排除または改変され得る。ランプは、遠位端に向かって延びる光ファイバーケーブルと共にハンドル内に置かれ得、そして、この光ファイバーケーブルは、使い捨て用であり得る。ブレードは、米国特許第5,938,591号において、Minsonにより教示されたように、光チューブ(light tube)として機能するように、透明なプラスチックから作製され得る。別の代替例は、取り外し可能かつ使い捨て用のブレードに取付けられる、再使用可能なハンドルを有することである。ブレードは、図1に示される出口点22eにおいて、ハンドル18に取り付けられる。これは、種々の大きさの使い捨て用ブレードから構成される、より安価かつより小型の喉頭鏡システムを可能にする。そしてまた、複数の被害者がいる緊急時に、ケアを与える人が、複数の患者に迅速に挿管することを可能にする。
【0046】
披裂用バンパー20が好ましいが、任意の特徴としては、食道閉塞具12cおよび吸引導管22である。舌部ガード14iは、別の任意の特徴である。喉頭鏡の構成要素は、異なる方法で作製され得る。例えば、図1を参照すると、下側ブレード12の縁部は、丸まってチューブを形成し得、そして、下側ブレード12の長さに沿って、吸引ラインを提供するように密封され得る。製造のコストおよび効率が考慮されるべきであり、図1に示されるような、下側ブレード12に固定または接着された、別個のチューブが、より実用的な解決策であり得る。
【0047】
喉頭鏡10は、好ましくは、減圧チューブを吸引取付け具22cに適用し、そして、吸引ポート22aおよび22bを通して、流体および固体を吸引することによって、吸引デバイスとして使用される。そして、好ましくは、吸引ポート22aおよび22bにおける減圧を制御するために、指で、吸引ブレーク22dを覆うか、部分的に覆うか、または開いたままにする。好ましい実施形態は、披裂用バンパー20に2つの開口部を有するものであるが、これらの開口部はまた、食道閉塞具12cにおいて下側ブレード12を出てもよい。別の実施形態は、下側ブレード12の遠位端12bに位置する、1つの開口部または複数の開口部のいずれかを有するものである。さらに、吸引導管22は、単一または連結したチューブから作製され得る。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、緊急時医療および麻酔の分野における使用が意図されるが、患者に挿管することが必要とされる医療のあらゆる分野においても同様に適用可能である。例えば、本発明の単一の局面を有するベースモデル、本発明の全ての局面を有するデラックスモデル、および、いくつかではあるが、全てではない、本発明の局面の組み合わせを有する中間モデルを含む、本発明の種々の市販の実施形態がなされ得る。材料(すなわち、使い捨て用または再使用可能)の包装、取付けおよび製造は、特定のグループのケアを与える人(例えば、救急救命士、救急内科医、または麻酔医)の要求を満たすように、変更され得る。
【0049】
従って、読者は、本発明が、ケアを与える人に対して、挿管をより迅速かつより簡単なプロセスにする、安価な喉頭鏡を提供することが分かる。この喉頭鏡は、気道をブロックすることによって、そして、偏向した傾斜板を提供して、挿入の間に、気管内チューブを気管内へと適切に偏向させることによって、気管内チューブの適切な配置を保証する。組織に対する損傷は、喉頭鏡が、適切な深さに挿入されたときに、使用者によって感じられる抵抗を提供する披裂用バンパーによって、ならびに、喉頭鏡の二枚ブレードが、ブレードを開くために使用されるハンドルおよびハンドグリップの配置に固有の、患者の口内で開かれ得る距離に対する制限によって、最小にされる。喉頭鏡はまた、その単一側面のヒンジ設計に起因して、チューブを配置した後に、容易な除去を提供する。他の利点としては、視野の外に舌を動かすための舌部ガード、ならびに、吸引装置を喉頭鏡に一体化させることによって、より容易にかつ効率的に患者を吸引する能力が挙げられる。
【0050】
まとめると、本明細書中に記載され、図面に示される食道閉塞具を備える二枚ブレードの喉頭鏡は、唯一の本発明の現在好ましい実施形態を表すことが理解される。実際には、種々の改変および追加が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、このような実施形態に対してなされ得る。変更は、本発明の範囲内で可能であることが認識され、そしてさらに、いずれかの請求項に記載された各要素または工程は、全ての等価な要素または工程に対しても参照がなされるものと理解されるべきであることが意図される。特許請求の範囲は、利用され得る形態がどのようなものであれ、法律的に可能な限り広く、本発明を包含することが意図される。例えば、本明細書中に記載される喉頭鏡は、再使用または使い捨て用にする方法で、製造され得る。さらに、再使用可能であり得る喉頭鏡の部品もあれば、使い捨て用の部品もある。喉頭鏡は、1つのピースであっても、取り外し可能なピースを有してもよい。喉頭鏡、ならびに披裂用バンパー、食道閉塞具、ブレードなどのようなここの部品の大きさは、複数の大きさの患者に適応するように変化し得る。さらに、種々のバージョンの喉頭鏡は、本明細書中に開示される要素の、2〜3、ほとんど、または全てを有し得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明に従った咽頭鏡の斜視図である。
【図2】図2は、本発明に従った図1の咽頭鏡の側面図である。
【図3】図3は、下側ブレードから分離された上側ブレードを備える図2の咽頭鏡の平面図であり、破線は、ヒンジ接続の位置を示す。
【図4】図4は、本発明に従って、咽頭鏡が閉鎖位置にある、患者の口を通して挿入された、図1の咽頭鏡の側面図である。
【図5】図5は、本発明に従って、咽頭鏡が開放位置にある、患者の口を通して挿入された、図1の咽頭鏡の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
喉頭鏡であって、
下側ブレード;および
該下側ブレードに旋回可能に接続されている上側ブレードであって、該下側ブレードが、食道閉塞具として適合された遠位端を有する、上側ブレード
を備える、喉頭鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の喉頭鏡であって、前記下側ブレードおよび上側ブレードは、対向面を有し、該下側ブレードおよび該上側ブレードが、一方の面でヒンジにより取り付けられており、その対向面は開いている、喉頭鏡。
【請求項3】
前記食道閉塞具に隣接して下側ブレード上に披裂用バンパーをさらに備える、請求項1に記載の喉頭鏡。
【請求項4】
前記食道閉塞具に隣接する下側ブレード上に披裂用バンパーをさらに備える、請求項3に記載の喉頭鏡であって、該披裂用バンパーは、ほぼ声帯の方向に挿管チューブを導くための傾斜部を提供するためにくさび形状である、喉頭鏡。
【請求項5】
請求項4に記載の喉頭鏡であって、該披裂用バンパーおよび/または該披裂用バンパーが取り付けられている前記下側ブレードは、該披裂用バンパーに近接している下側ブレードの部分よりも広い、喉頭鏡。
【請求項6】
請求項1に記載の喉頭鏡であって、前記下側ブレードの近位端にハンドル、前記上側ブレードの近位端にハンドグリップをさらに備え、ここで、
該ハンドグリップ部分は、該下側ブレードの近位端上で該ハンドルに対して近づくように、または遠のくように、移動可能であって、該下側ブレードの遠位端および該上側ブレードの遠位端を互いに対して開閉する、喉頭鏡。
【請求項7】
前記下側ブレードおよび前記上側ブレードが、着脱可能である、請求項6に記載の喉頭鏡。
【請求項8】
前記下側ブレードおよび前記上側ブレードが、使い捨て用である、請求項6に記載の喉頭鏡。
【請求項9】
請求項1に記載の喉頭鏡であって、前記上側ブレードに固定された舌部ガードをさらに備え、該上側ブレードが、該舌部ガード、該上側ブレードおよび前記下側ブレードで規定される3面からなる通路を形成するように適合された、喉頭鏡。
【請求項10】
請求項1に記載の喉頭鏡であって、挿管中に吸引するための導管を提供するために、前記下側ブレードまたは上側ブレードのいずれかに内蔵されるか、または固定された吸引チューブをさらに備える、喉頭鏡。
【請求項11】
請求項1に記載の喉頭鏡であって、該喉頭鏡の遠位端の照明手段をさらに備える、喉頭鏡。
【請求項12】
喉頭鏡であって、
下側ブレード;および
該下側ブレードに旋回可能に接続されている上側ブレードであって、旋回可能に接続部が一方の面にあり、その対向する面は開いている、上側ブレード
を備える、喉頭鏡。
【請求項13】
前記下側ブレードの遠位端に食道閉塞具をさらに備える、請求項12に記載の咽頭鏡。
【請求項14】
前記下側ブレードの遠位端の近くで該下側ブレードに披裂用バンパーをさらに備える、請求項13に記載の喉頭鏡。
【請求項15】
請求項12に記載の喉頭鏡であって、前記下側ブレードの近位端にハンドル、前記上側ブレードの近位端にハンドグリップをさらに備え、ここで、
該ハンドルおよび該ハンドグリップは、互いに近接しており、
該ハンドルと該ハンドグリップとの間の距離は、短縮され得、
該下側ブレードの遠位端および該上側ブレードの遠位端の間隔を互いに対して広げる、
喉頭鏡。
【請求項16】
請求項12に記載の喉頭鏡であって、前記上側ブレードに固定された舌部ガードをさらに備え、該上側ブレードが、該舌部ガード、該上側ブレードおよび前記下側ブレードで規定される3面からなる通路を形成するように適合された、喉頭鏡。
【請求項17】
請求項12に記載の喉頭鏡であって、挿管中に、粘液、唾液、または嘔吐物を吸引するために、前記下側ブレードまたは上側ブレードのいずれかに内蔵されるか、または固定されたチューブをさらに備える、喉頭鏡。
【請求項18】
喉頭鏡であって、
ブレード;および
該ブレードに内蔵または固定されたチューブであって、該チューブは、吸引を行うために適合されており、該ブレードは、患者への挿管に使用されるための適合されている、チューブ
を備える、喉頭鏡。
【請求項19】
請求項18に記載の喉頭鏡であって、前記吸引チューブが、近位端で減圧供給源を受容するように適合されており、該吸引チューブが、1以上の開口がある遠位端を有しており、かつ、患者の気道に挿管チューブを挿入する間に吸引するように適合されている、喉頭鏡。
【請求項20】
請求項18に記載の喉頭鏡であって、ここで、前記ブレードが、下側ブレードであって、
該喉頭鏡が該下側ブレードに旋回可能に接続した上側ブレードをさらに備える、喉頭鏡。
【請求項21】
請求項20に記載の喉頭鏡であって、前記上側ブレードが、一方の面で前記下側ブレードと旋回可能に接続していて、もう一方の面は開いており、挿管チューブが、該下側ブレードおよび該上側ブレードから側方に着脱され得る、喉頭鏡。
【請求項22】
請求項20に記載の喉頭鏡であって、患者の食道を塞ぐように適合された下側ブレードの遠位端に食道閉塞具をさらに備える、喉頭鏡。
【請求項23】
請求項20に記載の喉頭鏡であって、前記下側ブレードの遠位端の近くで該下側ブレードに固定されて、前記患者の喉頭を介して該患者の気管へと挿管チューブを方向付けるように適合された傾斜部またはくさび形状を有している、披裂用バンパーをさらに備える、喉頭鏡。
【請求項24】
請求項20に記載の喉頭鏡であって、前記上側ブレードに固定された舌部ガードをさらに備え、該上側ブレードが、該舌部ガード、該上側ブレードおよび前記下側ブレードで規定される3面からなる通路を形成するように適合された、喉頭鏡。
【請求項25】
患者に挿管しつつ、喉頭鏡を用いて吸引する方法であって、以下の工程:
二枚ブレード型喉頭鏡を、患者の口腔にまたは口腔を通過するように挿入する工程であって、該喉頭鏡のブレードのうちの1つは、吸引ラインに適合されている、工程;
該吸引ラインに吸引を適用する工程;および
挿管チューブを、該喉頭鏡を介して挿入する工程
を包含する、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記喉頭鏡が、上側ブレードおよび下側ブレードを有し、該下側ブレードが、食道を塞ぐためにその遠位端に食道閉塞具を有するように適合されている、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、前記患者の披裂軟骨に対して披裂用バンパーをもたれ掛からせることによって該喉頭鏡の適切な位置を決める工程をさらに包含する、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記喉頭鏡が、上側ブレードおよび下側ブレードを備え、傾斜形状を有した披裂用バンパーが、該下側ブレードの内面に固定されており、該下側ブレードの内面から接触せずに前記挿管チューブを患者の喉頭へと方向付けるように適合され、
該方法が、該下側ブレードの内面から離れるように該患者の喉頭内の声帯に向かって挿管チューブを偏向させる工程
をさらに包含する、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法であって、前記喉頭鏡が、上側ブレードおよび下側ブレードを有し、該方法が、前記舌部ガードを備える喉頭鏡のブレードの間で形成されるチャネルの外で前記患者の舌部を保持する工程
をさらに包含する、方法。
【請求項30】
前記喉頭鏡の遠位端に照明をあてる工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法であって、前記喉頭鏡が、下側ブレードに旋回可能に接続した上側ブレードを有し、該旋回可能に接続部が、一方の面にあり、その対向する面が、開いており、それによって、該喉頭鏡が、挿管が完了した後に簡単に着脱される、方法。
【請求項32】
請求項25に記載の方法であって、前記喉頭鏡が、ハンドグリップを備えた上側ブレードおよびハンドルを備えた下側ブレードを有し、該ハンドクリップおよび該ハンドルが、該2つのブレードが所定の距離よりも開くことを防止するストップを提供するように適合された、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503931(P2007−503931A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525469(P2006−525469)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/028714
【国際公開番号】WO2005/023332
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506074510)
【Fターム(参考)】