説明

食酢飲料

【課題】
酢酸の酸味や刺激臭が抑制された、適度の粘性を有し、良好なのど越しを有し、飲みやすく、胃粘膜低刺激性の食酢飲料を提供すること。
【解決手段】
酢酸1質量部に対しβグルカンを、好ましくは0.01〜10質量部含有し、さらに好ましくはβグルカン含有量が0.01〜10質量%である食酢飲料は、酢酸の酸味や刺激臭が抑制されていることに加え、飲料自体が適度の粘性を有するようになるため、きわめて良好なのど越しを有し、飲みやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食酢飲料に関し、詳しくは、酢酸の酸味や刺激臭が抑制された飲みやすく、胃粘膜低刺激性の食酢飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、食酢飲料が健康食品として注目されている。これは、食酢の血圧降下作用や血糖値抑制作用による、いわゆる生活習慣病の予防効果が期待されているためである。しかし、食酢飲料の主成分である酢酸は酸味も刺激臭も強く、また胃粘膜への刺激が強いため、食酢そのものではなく食酢を適度に薄めて飲用する場合が多いが、それでは健康効果が薄くなってしまう。また、単純に食酢を水で希釈しただけでは、酸味以外の風味がないため飲用しにくい問題があった。
【0003】
そこで、糖類を添加したり(例えば特許文献1参照)、高甘味度の甘味料を添加したり(例えば特許文献2参照)、にがりを添加したり(例えば特許文献3参照)、鶏卵を添加したり(例えば特許文献4参照)することで、酸味や刺激臭を抑制する方法が検討された。
【0004】
しかし、これらの方法では酸味や刺激臭をある程度緩和することができても、その効果は不十分であり、さらに、これらの方法は、他の強い風味で酸味や刺激臭をマスキングするものであり、結果として食酢飲料に好ましくない風味をも付与してしまう問題もあった。また食酢飲料は飲みやすさのために果汁や野菜汁等の呈味素材を添加することが多いが、これらの風味は酢酸によりその風味発現(呈味性)が阻害されてしまうという問題もあった。
【0005】
一方、βグルカンを含有する飲料も知られている(例えば特許文献5参照)。しかし、βグルカンは独特の風味を有するため、単独の水溶液をそのまま飲料に供するには問題があり、また、保存性が悪いため長期保存に適さない問題もあった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−269951号公報
【特許文献2】特開2002−335924号公報
【特許文献3】特開2004−275143号公報
【特許文献4】特開2003−206号公報
【特許文献5】特開2005−73508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、酸味と刺激臭が抑制された、飲みやすい食酢飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、酢酸とβグルカンを含有する飲料は、βグルカンによって酢酸の強い酸味と刺激臭が抑制され、また、酢酸によってβグルカンの独特の風味が抑制され、保存性も向上し、さらには、飲料自体が適度の粘性を有するようになるため、きわめて良好なのど越しが得られることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、βグルカンを含有することを特徴とする食酢飲料を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、食酢飲料にβグルカンを添加することを特徴とする食酢飲料の酸味と刺激臭の抑制方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酸味と刺激臭が抑制された、のど越しが良好で飲みやすく、胃粘膜低刺激性の食酢飲料を得ることができる。また食酢飲料が果汁や野菜汁等の呈味素材を含有する場合、その呈味性を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の食酢飲料について詳述する。
【0012】
本発明の食酢飲料は食酢を含有する。該食酢としては特に制限されず、通常の酢酸を主成分とする合成酢や醸造酢を用いることができる。なお、該醸造酢としては、米酢、大麦酢、モルトビネガー、小麦酢、酒粕酢、もろみ酢、きび酢、純米酢、玄米酢、玄米黒酢、大麦黒酢などの穀物酢や、りんご酢、ブドウ酢、白ワインビネガー、赤ワインビネガー、バルサミコ酢などの果実酢をあげることができる。本発明においては、これらの食酢を単独で、或いは2以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0013】
なお、本発明の食酢飲料の酢酸含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。5質量%を超えると、酸味と刺激臭が強すぎて飲用には難しく、また、0.1質量%未満であると、酸味が弱すぎて食酢飲料としては好ましくない。
【0014】
本発明の食酢飲料はβグルカンを含有する。本発明でいう、βグルカンは多糖類の一種であり、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合、1−6−β−D−グルコピラノース結合のうちの少なくとも2種類以上の結合を有し、穀物由来のβグルカン、微生物類由来のβグルカン、担子菌類由来のβグルカンの群から選ばれる一種又は二種以上が好ましい例として挙げられる。
【0015】
これらの穀物由来のβグルカン、微生物類由来のβグルカン、担子菌類由来のβグルカンについては従来公知の文献に記載されているものが使用できるが、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合、1−6−β−D−グルコピラノース結合を少なくとも2種類以上有するβグルカンが好ましく、1−3−β−D−グルコピラノース結合および1−4−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカン、1−3−β−D−グルコピラノース結合および1−6−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカン、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合および1−6−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカンを含有することが特に好ましい。
【0016】
なお、微生物類または担子菌類からの抽出液を、精製を行なわずそのまま、あるいは該抽出液を粉体化、固体化処理のみを行なったものをそのまま使用する場合、該成分中のβグルカンの純度は、0.5〜100%、好ましくは1〜100%、さらに好ましくは20〜100%であれば良く、高純度であればある程良い。
【0017】
また、本発明の食酢飲料における、食酢とβグルカンの含有量の比は、食酢飲料に含有される酢酸1質量部に対し、βグルカンを、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。βグルカン配合量が0.01質量部未満であると、βグルカンの機能性が発揮できない可能性があり、逆に10質量部を超えると、βグルカン特有の風味が感じられるようになり、良好な酸味が得られないおそれがある。
【0018】
また、本発明の食酢飲料におけるβグルカンの含有量は、食酢飲料中に、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。βグルカン配合量が0.01質量%未満であると、βグルカンの機能性が発揮できない可能性があり、逆に10質量%を超えると、粘度が高すぎて飲用しにくくなる問題や、酸味が感じにくくなる問題が生じる。
【0019】
なお、本発明の食酢飲料には、上記βグルカン以外に、更に、摂取した場合に身体に何らかの生理活性を与える物質を配合してもよい。例えば、コレステロール上昇抑制剤、血圧上昇抑制剤、血中コレステロール調節機能剤、血糖値上昇抑制作用剤、腸内細菌叢改善剤、整腸作用剤、免疫増強作用剤、抗ガン作用剤、抗アレルギー作用剤、消化吸収調節作用剤、老化防止剤、抗酸化剤、血行促進剤、アミノ酸、ペプチド、脂質、多糖類、オリゴ糖類、タンパク質、糖質、食物繊維、酵素成分等が挙げられる。
【0020】
これら生理活性を与える物質の具体的な例をあげると、血中脂質濃度を適正化する高度不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、血清コレステロールを調節する植物ステロール、およびそのエステル化物、ジアシルグリセロール、γリノレン酸、αリノレン酸、リノール酸、共役リノール酸等の不飽和脂肪酸、ビートファイバー、コーンファイバー、サイリウム種皮、レシチン、血圧降下に有効なカツオ節ペプチド、イワシペプチド、カゼインドデカペプチド、大豆分離蛋白質等、腸内環境を改善して整腸作用に働く乳酸菌、グルコン酸、オリゴ糖、各種食物繊維等を含む食品や医薬品である。その他、健康機能性を有することが知られている成分として、具体例を列挙すると、クロレラ、スピルリナ、プロポリス、キチン、キトサン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、霊芝、アガリクス、銀杏葉エキス、らかん果、ウコン、ガルシニア、アップルファイバー、ギムネマ、コラーゲン、ブルーベリー、アロエ、ノコギリヤシ、カプサンチン、ルテイン、β−クリプトキサンチン、レニン、タウリン、カゼイン、コラーゲン、グルコサミン、カゼインホスホペプチド(CPP)、ミルクベーシックプロテイン(MBP)、ラクトフェリン、グルタチオン、テアニン、ギャバ、アスパルテーム、キシリトール、リカルデント、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、フコイダン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、セルロース、ペクチン、難消化デキストリン、グルコマンナン、イヌリン、フラクタン、シクロフラクタン、ジフラクトース、レバン、ムチン、フラボノイド、カカオポリフェノール、りんごポリフェノール、ワインポリフェノール、ウーロン茶ポリフェノール、茶ポリフェノール等のポリフェノール、リコピン、カテキン、タンニン、アントシアニン、ルチン、ケルセチン、大豆イソフラボン、大豆サポニン、大豆グロブリン、クロロゲン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、カプサイシン、ゴマリグナン、アリシン、カフェイン、クロロフィル、ナツトウキナーゼ、βラクトグロブリン、植物発酵酵素、メバロン酸、葉緑素、ローヤルゼリー、高麗人参、プルーン、ローズマリー、カモミール、タイム、セージ、ペパーミント、レモンバーム、マロウ、オレガノ、キャットニップティー、ヤロー、ハイピスカス等のハーブ類、ビタミン類、カルシウム含有化合物等のカルシウム強化剤、鉄含有化合物等の鉄分強化剤、必須ミネラルを含有するミネラル強化剤、さらには動植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分等の天然由来成分の生理活性成分等が挙げられる。
【0021】
配合できるビタミン類としては、食品添加物中で強化剤として挙げられているものを使用することができ、例えばビタミンAまたはβカロチン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、これらの誘導体、油脂コーティングしたビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンC、コエンザイムQ10(ビタミンQ)などがある。ビタミン類の誘導体の具体例には、ビタミンB1としてチアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、ビスベンチアミンなど、ビタミンB2としてリボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5'-リン酸エステルナトリウムなど、ビタミンB6としてピリドキシン塩酸塩、ビタミンCとしてL-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0022】
配合できるカルシウム含有化合物としては、食品添加物中でカルシウム強化剤として挙げられているものを使用でき、例えば塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、酸性ピロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、サンゴカルシウム、ドロマイト、卵殻カルシウム、牛骨粉カルシウム、ほたて貝殻カルシウム、ミルクカルシウムなどが挙げられる。
【0023】
配合できる鉄含有化合物としては、食品添加物中で鉄強化剤として挙げられているものを使用でき、例えば塩化第二鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、乳酸鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、ヘム鉄、レバー粉末、油脂コーティングした鉄などがあげられる。
【0024】
配合できる必須ミネラルとしては、例えば亜鉛、カリウム、マグネシウム、マンガン、リン、ナトリウム、セレン、ヨウ素、モリブデンなどが挙げられる。このような必須ミネラルを供給する源として、例えば小麦エキス、小麦胚芽、小麦若葉、クロレラ、カキ肉エキス、海水濃縮物、ナッツ類、魚粉、レバー粉末、玄米粉末、ビール酵母、乳清ミネラルなどが挙げられる。
【0025】
配合できる動植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分等の天然由来成分の生理活性成分として、具体例を挙げると、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、油溶性甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プラセンタエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0026】
上記の材料を摂取した場合に何らかの生理活性を与える成分の本発明の食酢飲料における含有量は、その活性成分の効果発現濃度によるが、0.05〜90質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜50質量%である。
【0027】
本発明の食酢飲料は、果汁、及び/又は、野菜汁を含有するものであると、のど越しを爽やかなものとすることができることに加え、βグルカンが果汁や野菜汁の呈味性を向上させることができる点で好ましい。なお、βグルカンがなぜ、これらの果汁や野菜汁の呈味性を向上させるかについては明らかではないが、βグルカンが親水性と親油性の両方の性質を有し、且つ、そのバランスが良好であるため、果汁や野菜汁に含まれる油溶性の呈味成分とも適度な親和性をもつことにより得られているものと考えられる。
なお、配合できる果汁としては、アセロラ、アボカド、アンズ、イチゴ、イチジク、イヨカン、ウメ、オリーブ、オレンジ、カキ、カボス、カムカム カリン、キイチゴ、キウイ、キンカン、グアバ、クランベリー、グレープフルーツ、コケモモ、ココナッツ、サクランボ、ザクロ、シークヮーサー、スイカ、スウィーティー、スターフルーツ、スダチ、スモモ、タンカン、デコポン、ドラゴンフルーツ、ドリアン、ナシ、ナツミカン、ナツメ、パイナップル、パッションフルーツ、バナナ 、パパイヤ、ビワ、ブドウ、ブラックカラント、ブラックベリー、ブルーベリー、ヘベス、ベルガモット ポンカン、マンゴー、ミカン、ミラクルフルーツ 、メロン、モモ、ヤマモモ、ユズ、ライム、ラズベリー、リンゴ、レイシ、レッドカラント、レモン、らかん果、日向夏、ヘベス、八朔などの果汁を挙げることができ、また、野菜汁としては、ケール、大麦、セロリ、パセリ、ニンジン、クワの葉、アロエ、アスパラガス、ネギ、タマネギ、ホウレン草、ニガウリ、胡瓜、シソ、シュンギク、レタス、ニワトコ、ハコベ、ヨモギ、ショウガ、トマト、ピーマン、トウガラシ、キャベツ、ブロコッリー、カブ、白菜、芽キャベツ、大根、大根の葉、カリフラワー、クレソン、センブリ、大豆、グリーンピース、そら豆などの野菜汁を挙げることができる。
【0028】
本発明では、上記果汁、及び/又は、野菜汁の中でも、特に酸味が強く、食酢飲料に添加した場合に爽やかな酸味とすることができることに加え、生理活性物質としてビタミンC、ビタミンA、ポリフェノールを多く含有する点でブラックカラント、及び/又は、発色が良好で、生理活性物質としてリコピンをも多く含有する点でトマトを用いることが特に好ましい。なお果汁や野菜汁として、果汁飲料や野菜飲料、さらには粉末果汁や粉末野菜汁を用いてもよい。
上記の果汁、及び/又は、野菜汁の本発明の食酢飲料における含有量は、その果汁、及び/又は、野菜汁の濃度にもよるが、5〜90質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜50質量%である。
【0029】
本発明の食酢飲料には、上記の各成分以外に、通常の食酢飲料の製造に用いられる食塩、甘味剤、着色料、調味料、苦味料、強化剤、界面活性剤、可溶化剤、増粘剤、糊料、賦形剤、防腐剤、香料、抗菌剤、殺菌剤、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、酸味料、pH調整剤、保存剤、緩衝剤、油脂、油脂加工品、卵類、乳、乳製品、乳加工品、乳蛋白質等の成分を使用することができる。
【0030】
次に本発明の食酢飲料の製造方法について述べる。
【0031】
本発明の食酢飲料は、水を主原料とし、ここに食酢及びβグルカンを添加し、十分に溶解又は分散させることによって得ることができる。なお、食酢及びβグルカンの溶解又は分散方法は特に限定されず、食酢にβグルカンを溶解又は分散分散した水溶液に食酢を添加してもよい。
【0032】
また、食酢とβグルカンを高濃度で含有する水溶液をあらかじめ上記製造方法で製造しておき、飲用時に水、糖液、果汁、野菜汁のような水性原料で希釈して、飲用に適した酢酸濃度とする方法ももちろん可能である。
【0033】
次に本発明の酸味と刺激臭の抑制方法について述べる。
本発明の食酢飲料の酸味と刺激臭の抑制方法は、食酢飲料に含まれる酢酸1質量部に対しβグルカンを0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜5質量部添加するものである。0.1質量部未満であると酸味と刺激臭の抑制の効果が得られず、20質量部を超えると良好な酸味が感じられなくなる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、「部」及び「%」は特記しない限り質量基準である。
【0035】
〔製造例1〕(微生物由来のβグルカンの調製)
寄託番号FERM BP-8391のアウレオバシジウムプルランス(Aureobasidium pullulans)菌株であるADK-34株を、ポテトデキストロース寒天斜面培地で培養して保存菌株とし、YM液体培地(ディフコ社製)100mlを入れた500ml容三角フラスコに接種して、28℃にて3日間前培養した。本培養は、フルゾーン翼を搭載した30リットル容発酵槽に、クザペック(Czapeak's) 培地(ディフコ社製)15リットル、得られた前培養物を添加して28℃にて3日間培養した。なお培養中、pHは5.0となるように調整し、通気は1vvmとなるように通気量と回転数をシーケンス制御した。培養液15リットルを90℃にて30分間加熱殺菌した後、等量の水を加えてから遠心分離によって菌体を除去し、得られた培養上清をそのままUF膜分離装置(UFP−10C−8A、アマシャムバイオサイエンス社製)に循環させ脱塩した。脱塩後の培養上清を凍結乾燥して110gの水溶性βグルカンの凍結乾燥物を得た(Aureobasidium 培養物:サンプルA)。サンプルAの質量平均分子量は200万であった。 なおサンプルAは、βグルカンの含有量(純度)が90質量%であり、1−3−β−D−グルコピラノース結合および1−4−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカン、1−3−β−D−グルコピラノース結合および1−6−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカン、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合および1−6−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカンを全て含有するものであった。
【0036】
〔製造例2〕(大麦由来のβグルカンの調製)
もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、歩留まり82%まで精麦した。このとき発生した糠を糠−1とした。歩留まり82%まで精麦した大麦は、さらに研削式搗精機により削り、歩留まり55%まで精麦した。このとき発生した糠を粉砕物−1とした。容器(50リットル)に水道水20リットルを入れ、撹拌しながら、15℃に調温した。これに糠−1の6kgを加え、2時間撹拌抽出し、連続遠心機にて固液分離後、上清を凍結乾燥し、抽出促進剤450gを得た。容器(70リットル)に水道水30リットルを入れ、撹拌しながら、上記抽出促進剤を150g加え、溶解後、上記粉砕物−1の7.5kgを加えた。2時間、50℃で撹拌抽出してから連続遠心機にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、冷却後に15リットルの僅かに粘調なβグルカン液を得た。得られたβグルカン液に2倍量のエタノールを加えて沈殿を回収、乾燥させて、大麦から抽出された純度70%の水溶性βグルカン460gを得た(サンプルB)。サンプルBの質量平均分子量は10万であった。
なおサンプルBは、βグルカンの含有量(純度)が70質量%であり、1−3−β−D−グルコピラノース結合および1−4−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカン、1−3−β−D−グルコピラノース結合および1−6−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカン、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合および1−6−β−D−グルコピラノース結合よりなるβグルカンを全て含有するものであった。
【0037】
〔実施例1〕
市販の米酢、及び、上記サンプルAを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が0.45質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン0.9質量部を含有するものであった。得られた食酢飲料は、サンプルA無添加で酢酸含有量0.5質量%の食酢飲料を対照として、パネラー9名で飲用して、酸味と刺激臭の抑制効果、風味、及び、飲みやすさを下記パネラー評価基準に従って4段階で評価し、さらに、その合計点数について下記基準で5段階評価を行ない、その結果を表1に記載した。
【0038】
〔実施例2〕
市販の米酢、及び、上記サンプルAを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が0.9質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン1.8質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0039】
〔実施例3〕
市販の米酢、及び、上記サンプルAを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が1.8質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカンを3.6質量部含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0040】
〔実施例4〕
市販の米酢、及び、上記サンプルAを順次水に溶解して、酢酸含有量が1質量%、βグルカン含有量が0.9質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン0.9質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0041】
〔実施例5〕
市販の米酢、及び、上記サンプルAを順次水に溶解して、酢酸含有量が3質量%、βグルカン含有量が0.9質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン0.3質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0042】
〔実施例6〕
市販の米酢、及び、上記サンプルBを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が0.7質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン2質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0043】

〔実施例7〕
市販の米酢、及び、上記サンプルBを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が1.4質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン2.8質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0044】
〔実施例8〕
市販の食酢、及び、上記サンプルBを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が2.8質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン5.6質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0045】
〔実施例9〕
市販の米酢、及び、上記サンプルAを順次水に溶解して、酢酸含有量が0.5質量%、βグルカン含有量が0.045質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン0.09質量部を含有するものであった。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0046】
〔実施例10〕
実施例1における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例1と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0047】
〔実施例11〕
実施例2における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例2と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例2と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0048】
〔実施例12〕
実施例3における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例3と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例3と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0049】
〔実施例13〕
実施例4における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例4と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例4と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0050】
〔実施例14〕
実施例5における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例5と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例5と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0051】
〔実施例15〕
実施例6における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例6と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例6と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0052】
〔実施例16〕
実施例7における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例7と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例7と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0053】
〔実施例17〕
実施例8における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例8と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例8と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0054】
〔実施例18〕
実施例9における市販の米酢を市販の米黒酢に変更した以外は、実施例9と同様の配合・製法で、酢酸含有量、βグルカン含有量、酢酸1質量部に対するβグルカン含有量が実施例9と同一の食酢飲料を得た。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0055】
<パネラーの酸味と刺激臭の抑制効果評価基準>
対照に比べあきらかに酸味と刺激臭が抑制されている・・・・ 2点
対照に比べ若干酸味と刺激臭が抑制されている ・・・・・・ 1点
対照とほぼ同じ程度の酸味と刺激臭を感じる・・・・・・・・ 0点
対照より強い酸味と刺激臭を感じる・・・・・・・・・・・ −1点
<パネラーの風味評価基準>
βグルカン臭を感じず良好である・・・・・・・・・・・・・ 2点
若干βグルカン臭がするが良好である ・・・・・・・・・・ 1点
やや強いβグルカン臭を感じる・・・・・・・・・・・・・・ 0点
強いβグルカン臭を感じる・・・・・・・・・・・・・・・ −1点
<パネラーの飲みやすさ評価基準>
対照に比べ適度な粘性がありのど越しが極めて良好である・・ 2点
対照に比べ若干粘性がありのど越しが良好である ・・・・・ 1点
対照とほぼ同じ程度ののど越しである・・・・・・・・・・・ 0点
<評価基準>
◎ :9人のパネラーの合計点が 15〜18点
○ :9人のパネラーの合計点が 9〜14点
△ :9人のパネラーの合計点が 5〜 8点
× :9人のパネラーの合計点が 0〜 4点
××:9人のパネラーの合計点が 0点未満
【0056】
【表1】

【0057】
上記表1の結果から明らかなように、食酢飲料にβグルカンを含有させることにより、酸味と刺激臭が抑制された、のど越しが良好で飲みやすい食酢飲料を得ることができることがわかる。
なかでも、酢酸1質量部に対し、βグルカンの含有量が0.1〜2質量部の範囲内である実施例1、2、4、5、6、10、11、13、14、15の食酢飲料は特に酸味と刺激臭が抑制され、且つ、風味が良好なものであった。
【0058】
〔実施例19〕
市販の米黒酢飲料(酢酸含有量1質量%)100質量部に対し、上記サンプルAを1質量部添加し、十分に溶解させ、βグルカン含有量が0.9質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカン0.9質量部含有するものであった。得られた食酢飲料は、サンプルA無添加の米黒酢飲料に比べ、酸味と刺激臭が抑制され、また、適度の粘性を有するため、きわめて良好なのど越しが得られるものであった。
【0059】
〔実施例20〕
上記サンプルA0.5質量%、果汁100%のブラックカラントジュース30質量%、米黒酢(酢酸含有量3質量%)10質量%、果糖ブドウ糖液糖10質量%、水49.5質量%からなる、βグルカン含有量0.45質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカンを1.5質量部含有するものであった。得られた食酢飲料は、サンプルAを無添加とし、水を50質量%とした食酢飲料に比べて、酸味と刺激臭が抑制され、ブラックカラント風味がより爽やかに感じられ、また、適度の粘性を有するため、きわめて良好なのど越しが得られるものであった。
【0060】
〔実施例21〕
実施例9における、果汁100%のブラックカラントジュースを市販のトマトジュースに変更した以外は実施例10と同様にしてβグルカン含有量0.45質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカンを1.5質量部含有するものであった。得られた食酢飲料は、サンプルAを無添加とし、水を50質量%とした食酢飲料に比べて、酸味と刺激臭が抑制され、トマト風味がより爽やかに感じられ、また、適度の粘性を有するため、きわめて良好なのど越しが得られるものであった。
【0061】
〔実施例22〕
実施例9における、果汁100%のブラックカラントジュースを市販の人参ジュースに変更した以外は実施例10と同様にしてβグルカン含有量0.45質量%の食酢飲料を製造した。この食酢飲料は酢酸1質量部に対しβグルカンを1.5質量部含有するものであった。得られた食酢飲料は、サンプルAを無添加とし、水を50質量%とした食酢飲料に比べて、酸味と刺激臭が抑制され、人参風味がより爽やかに感じられ、また、適度の粘性を有するため、きわめて良好なのど越しが得られるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
βグルカンを含有することを特徴とする、食酢飲料。
【請求項2】
酢酸1質量部に対し、βグルカンを0.01〜10質量部含有することを特徴とする請求項1記載の食酢飲料。
【請求項3】
βグルカン含有量が0.01〜10質量%である、請求項1または2記載の食酢飲料。
【請求項4】
果汁、及び/又は、野菜汁を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食酢飲料。
【請求項5】
βグルカンを添加することを特徴とする食酢飲料の酸味と刺激臭の抑制方法。